2017年11月14日

●「ウーバーVSエアビーアンドビー」(EJ第4645号)

 「見えない大陸」、「もうひとつ地球」について、具体的にそ
れは何であり、そこでは何が行われるのかについて考えていくこ
とにします。
 「スマートフォン・セントリック」という言葉があります。そ
れは、「すべてのテクノロジーはスマートフォンに集約されてい
る」という意味です。大前研一氏は、デジタルアイランド(島)
がデジタルコンチネント(大陸)になるといいましたが、スマホ
こそデジタルコンチネントを形成しているというのです。
 スマホがあれば、新聞を読むことも、動画を見ることも、地図
と音声で道案内をしてもらうこともできます。音楽を聴くときも
わからないことを尋ねることもできますし、買い物の決済も可能
です。また、電車に乗ることも、車を呼ぶことも、株や外貨を買
うこともできます。何でもできる夢のマシンです。
 スマホで注目すべきは、それを動かすシステム(OS)は、世
界中で使っているのに次の2つしかないことです。
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      1.   iOS ・・ アップル系
      2.アンドロイド ・・ グーグル系
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 OSはこのように2つに分かれていますが、スマホのアプリの
ほとんどは共通に開発されており、どのアプリも、アイフォーン
(iOS)でもアンドロイドスマホでも使えるのです。つまり、
スマホのなかに全世界をカバーする新しい経済圏・デジタルコン
チネント(大陸)ができているといえます。
 このスマホというマシンは、機能がアプリで、次々と追加でき
る強みがあります。しかも、現在、世界中の人のほとんどは、こ
のスマホを常時携帯して持ち歩いており、いつでもどこでも使う
ことができる状態にあります。
 スマホが普及しなければ、絶対に生まれることがなかった企業
の代表的な例として、ライドシェアのウ―バー(Uber)という企
業があります。2009年の創業です。ライドシェアといっても
ウ―バーは、車を作っているわけでも、特別な技術を持っている
わけでもなく、単なる自動車配車ウェブサイトと配車アプリを制
作しただけです。世界中に走っている自家用車やタクシーを世界
中の人たちがいつでも好きなときに使えるようにするアイデアを
創出しただけのことです。
 それでいて、5年足らずで、現在は時価総額7兆円、世界中で
3000人の従業員を使う巨大企業に成長しています。ウーバー
はサンフランシスコ生まれですが、単なる米国企業ではないので
す。大前研一氏はウ―バーについて次のように述べています。
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 Uberはサンフランシスコで生まれながら、本社機能はオラ
ダにあります。世界のどこかで誰かがUberを使うと、その瞬
間にオランダの本社に取引情報が送信されます。運転手に売上の
85%を支払う業務は、オランダで行われているのです。
 さらにオランダ本社はそこから経費を除いた利益を、タックス
・ヘイブン(租税回避地)であるバミューダに本社登録した別会
社に送り、最終的にサンフランシスコの親会社に送られる「技術
料」は全体の1・45%だけです。
 そのため、Uberが大成功しても、米国政府には税収がほと
んど入りません。Uberの実際の本社はサイバースペースにあ
り、世界中のあらゆるオーダーを同じシステムで決済しているの
で、国という単位はほとんど意味を成していないのです。これが
21世紀の企業の形であり、テクノロジー4・0時代の企業の形
です。                   ──大前研一著
 『テクノロジー4・0/「つながり」から生まれる新しいビジ
              ネスモデル』/KADOKAWA
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 ウーバーの創業とほぼ同時期にエアビーアンドビー(Airbnb)
という企業が誕生しています。ウ―バーと同じサンフランシスコ
生まれの企業です。
 サンフランシスコのアパートに同居する3人の貧乏な若者がい
たのです。彼らはとって目下の急務は、アパートの家賃をどのよ
うにして支払うかです。相談の結果、自分たちのアパートを貸す
ことにします。要するにまた貸しです。サンフランシスコでは、
よく国際会議が開かれるので、安く部屋を借りたい人は必ずいる
との判断です。
 しかし、彼らはベットを持っていないので、エアマットを持ち
込み、彼らの作る朝食付きで貸すことにし、サイトでお客を募集
します。そのため、当初、サービスをそのままあらわすサイト名
をつけます。しかし、後からそれを短縮しています。
─────────────────────────────
     Airbedandbreakfast.com → Airbnb.com
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 このエアビーアンドビー、初日には3人のお客が付き、次々と
お客が付いたので、彼らはこの事業に手ごたえを感じ、ネット上
で、自宅や部屋を誰かに貸したい人と部屋を借りたい人をマッチ
ングさせ、このビジネスを推進したのです。スマホさえあれば、
それはきわめて容易であり、ニューヨーク、ハンブルグを皮切り
に、宿泊施設が不足している観光地や、宿泊費の非常に高い大都
市、世界5000都市でビジネスは急速に拡大させます。そして
創業からわずか5年で、時価総額5兆円のベンチャー企業に成長
したのです。
 ウ―バーにしてもエアアンドビーにしても、それぞれの国の法
律や規制を無視してビジネスを展開させたので、今になっていろ
いろなトラブルを抱えていますが、あまりにもシンプルで、あま
りにも速いので、国の対応がどうしても遅れてしまいます。しか
し、この流れを止めることは困難です。これが、スマートフォン
・セントリック、見えない大陸でのビジネス展開です。
            ──[次世代テクノロジー論/35]

≪画像および関連情報≫
 ●21世紀競争の主戦場は「見えない経済大陸」/大前研一氏
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   クラウド型会計ソフト「MFクラウド会計」をはじめとす
  るビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」
  や、個人向け自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワ
  ード」など、お金に関するプラットフォームを提供するマネ
  ーフォワードが、4月末に開催した「MFクラウド・エキス
  ポ/2015」。MFの辻庸介代表取締役社長CEOや、今
  やIT分野の有識者と認められている堀江貴文氏に加えて、
  世界的なビジネスオピニオンリーダーである大前研一氏が講
  演するなど、最新のビジネス事情についての知見が共有され
  た。大前氏はその中で、経営コンサルタントとしての豊富な
  経験や、幅広い調査から、21世紀の経営者が踏まえるべき
  ことや、使うべきツールを紹介。1990年代後半の執筆活
  動から蓄積してきた、サイバースペース内のプラットフォー
  ムに富が蓄積されることや、グローバル化などの基本的な条
  件に改めて言及するなど、幅広く解説した。今回はその、大
  前氏の講演の全体を前編、中編、後編にわけて紹介する。以
  下が大前氏の講演だ。
   21世紀と20世紀とどこが違うのかということを、何十
  年か書いてきています。ちょっと古い本ですけれども、まず
  は『「新・資本論」/見えない経済大陸へ挑む』という本を
  14〜15年前に書きました。その本で、どういうことを書
  いたかというと、21世紀の経済って実は見えないんだ、見
  えない部分が多いんだよねということです。
                   http://bit.ly/2Aminpq
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ライドシェア/ウ―バー.jpg
ライドシェア/ウ―バー
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする