2017年11月13日

●「ソフトウェア概念誕生とノイマン」(EJ第4644号)

 世界初のコンピュータである米国のENIAC(エニアック)
と、それに続く英国のEDSAC(エドザック)──これらにつ
いて、もう少し述べることにします。
 正確にいうと、ENIACは世界初のコンピュータではありま
せん。ENIACは1946年の開発ですが、1942年に「A
BC」という名前のコンピュータが開発されているからです。
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      ABC(Atanasoff Berry Computer)
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 ABCというコンピュータは、特定の計算にしか対応できない
専用マシンです。別の計算をする場合は、真空管の配列や配線を
変更する必要があり、事実上の作り直しになります。
 それから4年後に開発されたENIACは、1万8800本の
真空管を使い、重量は30トン以上で、設置には165平方メー
トルもの面積を必要とする巨大なマシンですが、基本的にはAB
Cと同じ専用マシンです。弾道計算をする目的で開発された専用
コンピュータです。もし、別の計算を行うには、そのつど真空管
の配列を変更するなどの膨大な手間がかかるので、専用のハード
ウェアそのものであるといえます。
 ところが、1949年に英国によって開発されたEDSACは
汎用コンピュータである点に最大の特色があります。つまり、真
空管の配置や配線などのハードウェアはそのままで、プログラム
というものを変更することで、いろいろな計算ができるのです。
これは凄い発明であり、ソフトウェアの概念の誕生を意味してい
ます。このアイデアを創出したのが、ジョン・フォン・ノイマン
です。彼が「コンピュータの父」といわれるゆえんです。
 EDSACは、現代のコンピュータの5大装置を備えており、
処理方式は逐次処理方式です。ちなみに、PCもノイマン型コン
ピュータそのものです。
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    @ 入力装置 ── データを入力する
    A 制御装置 ── 入出力データを制御する
    B 演算装置 ── 計算を実施する
    C主記憶装置 ── データを記憶する
    D 出力装置 ── データを出力する
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 当時はコンピュータの計算速度を向上させるためには、真空管
の数を増やさなければならなかったのです。しかし、真空管を小
さくするには技術的な限界があり、必然的にコンピュータは大型
化していくことになります。
 1965年に真空管に代わる半導体素子としてトランジスタが
開発されると、コンピュータの規模は急速に小型化します。さら
に、1975年にIC(Integrated Circuit)集積回路が開発さ
れるに及んで、コンピュータはPCの大きさまで小さくなり、し
かもその性能は大幅に向上することになったのです。
 ICが登場して2年後の1977年のことです。アップル社は
「アップルU」という小型のコンピュータを発売します。これが
爆発的に売れ、現代のPCの先駆け的存在になります。このよう
に、PCに関してはアップル社が先行したのです。
 しかし、世界に広く普及したのは、IBM仕様のPC/ATマ
シンだったのです。これは、IBMのデファクト・スタンダード
戦略の成果といえます。OSについてはIBMと寄り添ってOS
の標準化を狙ったマイクロソフトのウインドウズの開発の成功が
そういう状況を作り出したといえます。
 現在、普及しているPCは、次の2種類しかありません。しか
し、OSは違うものの、両者のPCのハードウェアの構造として
は、ほとんど同じマシンであるということができます。
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   PC/AT互換機 ・・・・・ ウインドウズPC
   マッキントッシュ ・・・・・ アップル・マシン
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 これらPC/AT互換機にしても、アップル・マシンにしても
ノイマン型コンピュータであることには違いがないのです。した
がって、現代の技術をもってしても、コンピュータに関しては、
ノイマンを超えることはできないのです。これは、ノイマンがい
かに偉大な仕事をしたかをあらわしています。
 ノイマン型コンピュータを超える「量子コンピュータ」の開発
も進みつつあります。これについては日本の技術も入っており、
大いに期待されますが、量子コンピュータについは改めて取上げ
ることにします。
 ノイマンには負の側面もあります。とくに日本人にとってはそ
ういうことがいえます。昨年のEJのテーマ「現在は陰謀論の時
代」でそれを取り上げています。日本への原爆投下を一番強硬に
主張したのは、ほかならぬノイマン自身であったからです。その
一部を以下に再現します。
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 ノイマンは、ニコラ・テスラの「フィラデルフィア計画」を引
き継いだ人物でもあり、第2次世界大戦中は、「マンハッタン計
画」の軍事顧問として原爆の製造にも参加しています。ノイマン
は、爆薬を32面体に配置することにより、核爆弾が製造できる
ことを10ヶ月にわたる計算で導き、原爆製造にも貢献したこと
によって「原爆の父」ともいわれるのです。
 実は原爆の日本投下に関しては、多くの反対意見があったので
すが、ノイマンはあくまで「無警告で投下すべき」と強硬に主張
し、実際に広島と長崎に原爆は投下されたのです。これはノイマ
ンの負の側面ですが、その他の多くの業績により、この面はあま
り強調されていないようです。
     ──2016年8月16日付、EJ第4238号より
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            ──[次世代テクノロジー論/34]

≪画像および関連情報≫
 ●ハンガリー人宇宙人説
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   現代社会は、天才であふれている。はずみで大魚をつかん
  だ運才、自称天才、エセ天才、ただの詐欺師。もちろん、本
  物の天才もいる。もっとも、本物の天才ともなれば、ヒトと
  は限らない。染色体の数が47本、つまり両親から受け継が
  ない秘密の染色体を持っている可能性もある(人間の染色体
  は46本)。ところが、さらに恐ろしい仮説もある。
   1950年代、アメリカの名門プリンストン大学に、ジョ
  ン フォン ノイマンという数学者がいた。彼は非常な変わり
  者だったので、こんな陰口をたたかれていた。「ノイマンは
  人間そっくりだが、本当は宇宙人」。
   たいていの本では、ジョークですませているが、中には真
  に受けている本もある。いずれにせよ、それが本当なら、染
  色体の数どころの話ではない。染色体があるかどうかも怪し
  い。宇宙人なのだから。
   アメリカのニューメキシコ州に、歴史上初の原子爆弾を開
  発したロスアラモス研究所がある。1945年8月、ここで
  つくられた2個の原子爆弾は広島と長崎に投下されたが、こ
  の忌まわしい研究所で、不気味なうわさが流れていた。「ハ
  ンガリー人はじつは火星人である」。これが普通の職場なら
  「ただのヨタ話やろ」で一件落着なのだが、天下の頭脳が集
  まる研究所である。噂を流した本人も、第一級の科学者だろ
  うし、何か根拠があったに違いない。
                   http://bit.ly/2j8bLYB
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ノイマン型コンピュータの「逐次処理」.jpg
ノイマン型コンピュータの「逐次処理」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする