2017年10月24日

●「仮想空間SLとVR/ARの融合」(EJ第4631号)

 映画『スターウォーズ』のどのシリーズかは忘れましたが、円
卓テーブルで会議をやるシーンがあります。何人かが会議に参加
しているのですが、小柄な老人という異形のスタイルのヨーダも
参加しています。よく見ると、会議参加者の何人かは身体が透き
通っているのです。
 身体が透き通っている会議参加者は、本人は別の星にいて、会
議に参加しているのです。基本的にはテレビ会議と同じですが、
『スターウォーズ』での会議は、身体が透明であるとはいえ、本
人が会議に参加して、出席者の話を聴いたり、発言したりしてい
るのです。リアルの世界の実際の会議とほとんど変わりません。
そんなことはできるはずがない。おとぎ話の世界である──少な
くともこの映画が公開された時点では、そんなものが実現すると
はだれも考えてなかったと思います。
 ところが、これは2000年代後半に、仮想空間「セカンドラ
イフ」のなかで、ほとんど実現しています。米IBM社は、セカ
ンドライフという仮想空間のなかに会議室を作り、そこに支店長
がアバターとして出席して会議を行う「セカンドライフ支店長会
議」を実験としてやっています。これなら、わざわざ出張する必
要もないので、コストもかからないのです。ネットに接続できる
少し性能の高いPCがあれば十分可能です。
 仮想空間セカンドライフについては、2007年9月にEJで
も取上げています。そのなかで、IBMの支店長会議にも言及し
ているので、その号をご紹介しておきます。
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        2007年9月20日付/EJ第2169号
 「セカンドライフでの支店長会議」 http://bit.ly/2zGuYEC
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 もっともこの場合、仮想空間に入るのは、あくまで本人のアバ
ターであり、本人はリアル空間にいて、そこで話したり、聴いた
りすることになります。これを逆にして、リアル空間での実際の
会議に、別の場所にいる本人のアバターが登場すれば、『スター
ウォーズ』の会議に近くなりますが、これは現在では「AR(拡
張現実)」の技術を使えば、実現可能ではないかと考えます。
 このようにSF映画から、未来の技術を読み説くことは、きわ
めて意義のあることなのです。
 これについて、英誌『エコノミスト』のトム・ブランデージ氏
も、スマホによって仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の融合
が起きるとして、次のように述べています。
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 これからどうなるのか。現在のトレンドは、パソコンではなく
スマートフォンが、中核的デバイスとなる方向を明確に示してい
る。このため、パソコンやゲーム機ベースのVRは過渡的段階に
過ぎず、VRの未来はスマートフォン・ベースのメディアになる
ように思える。(中略)
 今後について技術者やSF作家のあいだには、VRのイメージ
を現実世界と融合させた拡張現実(AR)が、タッチスクリーン
に続く新世代のコンピュータ・インターフェースになる可能性が
高いという共通認識がある。空想と現実が重なり合う世界という
のはSFにおなじみのテーマだ。
         ──英『エコノミスト』編集部/土方奈美訳
   「2050年の技術/英『エコノミスト』誌は予測する」
                       『文藝春秋』
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 1950年代のことですが、「シネラマ」という立体映画が日
比谷の帝国劇場で上映されていたことがあります。3台の撮影機
でパノラマ式に撮影し、これを横長の画面に3台の映写機で写す
映画ですか、少し立体的に見えるだけのことです。
 現代では、その画面のなかに入っていくことができます。VR
(仮想現実)です。VRは現在、ブームになりつつありますが、
技術自体は昔からあるのです。VRは、1968年にユタ大学の
アイバン・サザーランド氏によって、ヘッドマウントディスプレ
イが開発されています。ちなみに、サザーランド氏は、インター
ネットの前身といわれるアーパネットの開発者の一人です。
 VRよりもビジネスでの利用が進んでいるのは、AR(拡張現
実)です。これは、VRの変種といわれています。そのとき、周
囲を取り囲む現実環境に情報を付加・削除・強調・減衰させ、人
間から見た現実世界を拡張させるものをARといいます。
 ARは実際に見る方がわかりやすいので、次のURLをクリッ
クしていただきたいと思います。リアルの空間にあるはずのない
ヘリコプターが出現し、部屋中を飛び回ります。
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     「リアル空間を飛び回るヘリコプター」
             http://bit.ly/2xXKdfa
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 現在、ARはビジネスに多用されています。セールスパーソン
は、販売する商品を3D化し、スマホかタブレットにダウンロー
ドして、客先に持っていき、ARの技術で、実際の部屋などに再
現して顧客に見せることが一般化しています。たとえば、家具営
業では、リアルの部屋にその家具を置いたイメージをプレゼンで
きるのです。といっても、なかなかピンとこないと思うので、そ
のプレゼンの様子を次のURLをクリックして見ていただきたい
と思います。スマホやタブレットはここまで活用できるのです。
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       「ARによる営業でのプレゼン」
            http://bit.ly/2irGwY0
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 ここまで述べているように、過去に実現できている技術が現実
のビジネスで幅広く使われるようになっているのです。このよう
な技術の応用は、その技術のことを理解することが何よりも必要
になります。      ──[次世代テクノロジー論/21]

≪画像および関連情報≫
 ●セカンドライフの思い出
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   インターネット上の仮想世界で、ユーザーは、好みのアバ
  ターになって生活します。いわゆるMMORPG(オンライ
  ンゲーム)とは違って、ゴールや目標などはありません。こ
  の三次元世界を模した仮想世界で、何をしようと自由です。
  運営は米国のリンデンラボ社が行っています。このセカンド
  ライフ、人口も最盛期と比べるとガクッと減ったようですが
  今も細々と運営されているようですね。かくいう私は、最盛
  期当時、セカンドライフ(以下、SLと略します)にはまっ
  て、あの仮想空間で3年ほど遊びました。その思い出話も絡
  めつつ、SLについて書きます。
   私がSLをやっていたのが2006〜2008年頃だった
  と思います。SLが最も賑わっていた時期でした。世界や日
  本の著名な企業の参入も相次ぎ、TVや書籍などで大いに紹
  介されて、ユーザー数(人口)も激増しました。トヨタが支
  店を出したり、電通がSL内の広大な土地を買い占めたりと
  あの頃はバブルだったなあ〜
   2006年、私も好奇心でSLに登録しました。登録は現
  在も無料で行えるようです。始めた当初は、SL内の広大な
  仮想空間をうろうろと見て回っていたのですが、そのうち探
  検にも飽きてビジネスのまねごとを始めました。商品販売の
  仕事です。            http://bit.ly/2itgPGt
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映画「スターウォーズ」での会議.jpg
映画「スターウォーズ」での会議
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする