2017年10月23日

●「なぜ、『スターウォーズ』なのか」(EJ第4630号)

 グーグルは、なぜ、わざわざ、マウンテンビューの映画館を借
り切ってまで、全社員に映画『スターウォーズ』を見せているの
でしょうか。今やグーグルは時代の先端を走っている企業であり
この“なぞ”を解いてみる価値はあると思います。
 その前に映画『スターウォーズ』について少し述べる必要があ
ります。この映画は一言でいうと、次のように表現できます。
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 映画『スターウォーズ』とは・・・・・
  遠い昔、遥か彼方の銀河系を舞台に、映画、アニメーショ
 ン、小説、コミック、ゲームなどによって展開されるスペー
 スオペラ・シリーズである。     ──ウィキペディア
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 このシリーズは、米国の映画監督にして映画プロデューサー、
脚本家でもあるジョージ・ルーカス氏の構想に基づいて、自らが
監督として率いるルーカスフィルムが制作したものです。
 この映画は、構想としては「エピソード1」から「エピソード
9」まであるのですが、「エピソード1」からはじめるのではな
く、冒険活劇として完成度の高いと自負する「エピソード4」か
らはじめたのです。連作映画の場合、第1作で失敗すると、資金
繰りの関係から次の映画を制作できなくなるからです。
 さいわい「エピソード4」は成功したので、ルーカスはこの作
品が全9作であることを明かしています。しかし、その後、この
作品は6作で終了すると宣言し、「エピソード3」でこの作品は
終了したのです。製作費の関係であると思われます。
 しかし、2012年10月、ウォルト・ディズニーがルーカス
フィルムを買収し、このシリーズは、全9作すべてが制作される
ことになったのです。そして、2015年に「エピソード7」、
2017年12月には「エピソード8」が公開予定です。「スタ
ーウォーズ」全9作は次のようになっています。
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   1977年/エピソード4/    新たな希望
   1980年/エピソード5/    帝国の逆襲
   1983年/エピソード6/  ジュダイの帰還
   1999年/エピソード1/ファントム・メナス
   2002年/エピソード2/  クローンの攻撃
   2005年/エピソード3/    シスの復讐
   2015年/エピソード7/  フォースの覚醒
   2017年/エピソード8/  最後のジュダイ
   2019年/エピソード9/      未発表
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 なぜ、『スターウォーズ』なのでしょうか。それは、どうして
も『スターウォーズ』でなければならない理由があるのです。そ
のヒントは梅田望夫氏と平野啓一郎氏の対談のなかにあります。
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平野:映画『ブレードランナー』や『マトリックス』じゃなくて
   『スターウォーズ』ってところがミソですね。
梅田:そうです。まさに恐るべき子供たちですよ。大好きな数学
   とプログラミング技術を駆使した凄いサービスを開発して
   『スターウォーズ』の世界をイメージしたりしながら、世
   界中の情報をあまねくみんなに行き渡らせたいと思ってい
   る。           ──梅田望夫/平野啓一郎著
                『ウェブ人間論』/新潮新書
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 映画『マトリックス』は、VR(仮想現実)のことを描いてい
るので論外として、映画『ブレードランナー』は宇宙のことを描
いており、『スターウォーズ』と関連があります。
 『ブレードランナー』は1982年公開の映画ですが、それか
ら37年後には、環境破壊により人類の大半は宇宙に移住し、地
球に残った人々は人口過密の高層ビル群が立ち並ぶ大都市での生
活を強いられていたとの想定に立っています。
 宇宙開拓の前線では、遺伝子工学により開発された「レプリカ
ント」と呼ばれる人造人間が、過酷な奴隷労働に従事していたの
です。この人造人間には4年の寿命しか与えられていないのです
が、なかには人間社会に紛れ込もうとするレプリカントもいたの
です。そのレプリカントを摘発する専任捜査官が「ブレードラン
ナー」という役回りです。
 しかし、同じ宇宙空間のことを描いていても、『スターウォー
ズ』の方がはるかにスケールが大きいのです。平野啓一郎氏は、
梅田望夫氏との対談で次のように述べています。
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平野:『スターウォーズ』はあの広大な宇宙空間を自在に行き来
   して、その中に異形の生物だとか、妙な惑星なんかが満ち
   溢れていて、そこに出会いや発見の驚きがあり、ヨーダみ
   たいなのから知識を得て・・というあの映画の風景は、確
   かにネットの風景と重なり合う感じがします。そこにルー
   ク・スカイウォーカーの世界を変えてやろうというピュア
   な情熱が加わるのかな。
梅田:だからプログラムを作っている彼らは、自分で新世界の創
   造に参加しているというか、自分でプログラムを書くこと
   によって、小さな奇跡を起こすということのワクワク感の
   中にいるんでしょう。
          ──梅田望夫/平野啓一郎著の前掲書より
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 結局、『スターウォーズ』の世界は、インターネットがさらに
高度に発展した世界を描いているのではないかと考えます。現実
には、あり得ない世界を描いているようでいて、そのなかには実
際に実現出来るものが多く含まれており、多くのヒントが得られ
るのです。だから、グーグルでは『スターウォーズ』を全員で見
ることが恒例になっているのです。
            ──[次世代テクノロジー論/20]

≪画像および関連情報≫
 ●ルーカス/『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』を語る
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   10年ぶりの正伝新作にして、初のディズニー製作となっ
  た『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』について。これま
  で無難な発言でお茶を濁してきたジョージ・ルーカスが「レ
  トロ映画。気に入らない」「スター・ウォーズファン向け」
  と語るインタビューが公開されました。
   シリーズの生みの親であるルーカス氏は、新作の物語につ
  いて自身の案が、ディズニーに却下されたこと、当初は『帝
  国の逆襲』『ジェダイの帰還』のように製作に関わるつもり
  だったものの干渉が多く断念したことなども発言。『スター
  ・ウォーズ』をディズニーへ売却した後の葛藤について「愛
  する我が子を奴隷商人に売ってしまった」と口を滑らせて後
  に不適切な表現を詫びるなど、内面を吐露したインタビュー
  内容です。
   ジョージ・ルーカス氏が『フォースの覚醒』について語っ
  たのは、米国のテレビ番組ホスト Charlie Rose 氏とのイン
  タビューの席。収録は『フォースの覚醒』ワールドプレミア
  前ですが、放送は映画公開から一週間ほど経過したタイミン
  グです。時期的には新作公開あわせではあるものの、内容は
  『スター・ウォーズ』ばかりでもなく、スピルバーグとのラ
  イバル関係やコッポラとの関係、自身の映画観や監督業、映
  画業界の課題などなど、約55分にわたって、幅広い話題を
  扱っています。         http://engt.co/2yx1g73
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『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』.jpg
『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする