2017年10月05日

●「いまICTを考え直すときである」(EJ第4619号)

 最近の通信技術について書いたり、話したりするとき、ITと
書くべきか、ICTというべきかについて迷います。現在書籍や
テレビなどでは主流はダントツでITです。ITとは、次の英語
の頭文字をとっています。
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     IT=Information Technology 情報技術
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 この言葉が日本において使われるようになったのは、PCが一
般家庭に普及した1995年頃からです。その頃メールは幅広く
使われていましたが、インターネットは既に日本語対応をしてい
たものの、あまり普及していなかったのです。
 数年が経過して、PCからのウェブサイトの閲覧は当たり前の
ことになり、同時に携帯電話が普及し、携帯電話からもメールが
発信できるようになると、人々は通信とか、それによるコミュニ
ケーションを意識するようになります。ちょうどその頃だったと
思いますが、ITのことを時の総理が「イット」と呼び、話題に
なったものです。
 この時点で既にITは相当浸透しており、ITではなく「IC
T」と呼ぶべきだったのです。ICTは次の英語の省略形です。
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 ICT=
 Information and Communication Technology 情報通信技術
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 このICTが今や急速に発達しており、世の中を一変しようと
する勢いです。その速度は尋常なほど早いのです。その進化に負
けないように、ICTというものをどのようにとらえればよいか
考えてみる必要があります。
 ここで改めてご紹介したいのは、未来のビジネスについて、I
CTの進化という独自の立場から説いている次の本です。既にこ
こまで何回も所説をご紹介しているネットコマース株式会社代表
取締役の斎藤昌義氏の次の著書です。
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                        斎藤昌義著
     『未来を味方にする技術/これからのビジネスを創る
              ITの基礎の基礎』/技術評論社
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 この本の特徴は、この本に掲載されている膨大な図表をロイヤ
リティフリーでダウンロードできるという特典がついていること
です。これは大変ありがたいことです。ちなみに、斎藤昌義氏は
ICTではなく、「IT」という表現を使っています。
 斎藤昌義氏は、ICTの役割について、次の4つに分けて説明
しています。
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 1.利便性の向上と多様性を支える「道具としてのIT」
 2.    効率や品質を高める「仕組みとしてのIT」
 3.      変革や創出を促す「思想としてのIT」
 4.収益を拡大させ、成長を支える「商品としてのIT」
              ──斎藤昌義著の前掲書より
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 斎藤昌義氏によるICTの4つの役割の説明はなかなか意味が
深いのです。以下、そこで斎藤氏の説明を私なりに解釈して説明
することにします。
 第1は「道具としてのIT」です。
 これは理解できます。多くの人はICTを仕事を進めるための
道具として認識しています。一番わかりやすいのは、ワープロ、
表計算、電子メールなどのビジネスソフトです。これを使うこと
によって、仕事の効率や質を確実に高めてくれます。そういう意
味でICTは、ビジネスと一体化しており、不可欠な道具となっ
ています。
 第2は「仕組みとしてのIT」です。
 「仕組みとしてのIT」とは何でしょうか。仕組みについて、
斎藤昌義氏は次のように説明しています。
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 そもそも「仕組み」とは、業務の手順を作業単位、すなわち、
「プロセス」という要素に分解し、時間軸に沿って並べたものも
のです。無駄なプロセスを省き、効率の良いプロセスの順序を決
め、だれもが使えるように標準化し、それをコンピュータプログ
ラムに置き換えることで、だれもがまちがえることなく、仕事を
進められるようにします。経理や人事、受注、調達、生産、販売
など、さまざまな業務プロセスがプログラムに置き換えられてき
ました。            ──斎藤昌義著の前掲書より
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 「道具としてのIT」と「仕組みとしてのIT」の違いは、前
者がそのスキルを習得するための努力が必要になるのに対して、
後者は手順通りデータを入力すれば、だれでも目的とする処理が
できるという点にあります。
 典型的なものに、新幹線や航空会社の座席予約システムがあり
ます。これは発券処理という業務プロセスにのっとってプログラ
ミングされているので、その手順さえ間違わなければ、誰にでも
操作できます。しかし、現在のシステムでは、顧客が日付や時間
あるいは便数を指定して、早い者勝ちで席を予約できるようなシ
ステムになっており、希望する席──窓際か内側か、2人席か複
数席かの指定は困難なようです。
 しかし、業務プロセスを改善して、事前に自分の希望を入力す
れば、AI(人工知能)によって、その希望に最大限合わせた席
をとることが可能になるはずです。業務プロセスは常に見直され
るべきであります。このような「仕組みとしてのIT」がそれぞ
れの目的に合わせて無数に存在するのです。3と4については、
明日のEJで考えていくことにします。
            ──[次世代テクノロジー論/09]

≪画像および関連情報≫
 ●ITは道具ではなく、レストランのようなサービスである
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   「サービスとは何か」――これは、会社の経営者や組織の
  運営者にとってさえ重要な問題である。利益やコスト削減の
  みを追及し、事業顧客(いわゆるお客様)に対するサービス
  の基本を忘れ、それが露呈した段階で衰退していった会社や
  組織がどれほど多いことか。
   ITが、企業活動において「なくてはならない存在」にな
  って、かれこれ20年ほどが経過した。実際には、ビジネス
  にコンピュータが使われるようになった歴史はもっと長いが
  大企業がホストコンピュータやオフコンと呼ばれるシステム
  を本格的に導入し始めたのが1980年頃、中堅企業がウイ
  ンドウズシステムを中心としたクライアント/サーバシステ
  ムを導入し始めたのが1980年後半、と考えればそんなも
  のだろう。しかしこの20年間、IT資産(ハードウェアや
  ソフトウェアなど)はビジネスにおける「道具」と思われて
  きた。机やイス、ペンやノート、そろばんや電卓、電話やF
  AXなどと同じ「ビジネスに必要な道具」だという扱いを受
  けてきたのである。そのためITシステムの開発は「ビジネ
  スに便利な道具を開発する」という考え方の元に行われてき
  たし、導入したITシステムの運用も「ビジネスに便利な道
  具の使い勝手をメンテナンスする」というアプローチで進め
  られてきた。その考え方は、おそらく、歴史の途中までは正
  しかったのだろう。       http://dell.to/2xXJby1
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 ●図形の出典/http://bit.ly/2g5X5qQ 

道具としてのITと仕組みとしてのIT.jpg
道具としてのITと仕組みとしてのIT
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする