2017年09月25日

●「IT技術を習得することの必要性」(EJ第4611号)

 このところ新聞を見ると、AI(人工知能)やビットコイン関
連の記事が載らない日がなくなっています。これらに関連して、
IoT、フィンテック(Fintech) 、量子コンピューターなどの
記事も多くなってきています。
 日本経済新聞では、これらのICT関連技術について、連載囲
み記事を掲載し、その解説に努めています。それぞれに詳しい解
説が必要だからです。ビットコインの連載に関しては、既に何回
も取上げていますが、最近はそれに加えて、「ビットコイン狂騒
曲」のタイトルで、9月19日から23日まで、『迫真』で5回
にわたり連載が行われています。
 EJでもビットコインを取り上げています。2014年9月か
ら11月まで53回連載しています。ところで2014年といえ
ば、2月23日にビットコインの取引所での一つであるマウント
ゴックスが倒産しています。
─────────────────────────────
 2014年 9月 1日付、EJ第3866号
      〜2014年11月18日付、EJ第3918号
                  http://bit.ly/1wXUpx7
─────────────────────────────
 当時、多くの人は「マウントゴックスの倒産=ビットコインの
破綻」と考えており、その誤解を解くのが、EJ執筆のひとつの
目的だったのです。それが今やビットコインが、社会の大きな話
題になっています。2018年には、邦銀が連合して仮想通貨を
導入する計画が進んでいます。この仮想通貨は、ビットコインそ
のものではありませんが、ビットコインの中核技術であるブロッ
クチェーンを使っています。
 3年後の2020年の東京五輪までを考えても、VR(仮想現
実)、AR(拡張現実)、ドローン、自動運転車をはじめ、IC
T技術の進化によって、今までなら考えられなかったものが次々
に実現するはずです。その30年後の2050年までを考えると
人口動態や宗教、経済、文化にいたるまで「メガテック」と呼ば
れる大変化が起きるといわれています。それを予測することは、
非常に困難です。なぜなら、30年前の1987年に、アップル
アマゾン、フェイスブック、グーグルなどが席巻する今日の状況
をとうてい予測できなかったからです。
 しかし、3年〜5年後であれば十分予測することは可能です。
なぜなら、変化はある日突然起きるものではなく、既に存在する
技術が突然進化して、驚くべきものを生み出すからです。理論と
しては前からあった技術なのに、スマホが普及して、「ポケモン
GO」のアプリが開発されたことによって、突然注目されるよう
になったAR技術のようにです。つまり、今後3年後に変化を起
こすものは、既に現在の世界に存在する技術だからです。
 そこで本日からはじまるEJでは、それらの「技術/テクノロ
ジー」を取り上げることにします。
─────────────────────────────
   世の中を変化させる次世代テクノロジーについて知る
    ── 考えられないものが実現する5年間 ──
─────────────────────────────
 技術の話というと、文系の人は身構えます。そして、「それは
私の専門ではないので・・」とか、「それは技術の専門家にまか
せてあるので・・」とか逃げまくります。それでいて、わからな
くても恥ずかしいとは思っていないようです。
 文系の人の立場からいうと、理系の人は、エンジニアとして専
門的な教育を受けており、その道の専門家であるが、自分はそう
いう教育を受けていないので、わからなくても別に恥ずかしくは
ないという考え方の人が多いのです。
 しかし、この考え方は間違っています。私たちは、仕事でも生
活でもインターネットを利用し、スマホを使って、多くの人とコ
ミュニケーションをとっています。それにAI(人工知能)、ロ
ボット、ドローン、ビットコインなど、サイエンスや、テクノロ
ジーに囲まれて生活をしています。そのような時代に文系だから
といって、技術系のものから目をそむけていたら、完全に時代に
置いて行かれてしまいます。もはや、文系/理系と区分する時代
ではなくなっているのです。
 このような背景を受けてか、国立大学の文系学部廃止論が話題
になったことがあります。これは、2015年6月に文科省が発
表した文書が発端になったのです。そこには、いわゆる文系学部
の人文科学系学部と大学院、法学部や経済学部などの社会科学系
学部と大学院、教員養成系学部・大学院について、次のように書
かれています。
─────────────────────────────
 組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野
への転換に積極的に取り組むよう努める。   ──文部科学省
 「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」より
─────────────────────────────
 文科省のこの文書は、現代社会が理系人材を求めているので、
それに応えて文系学部の廃止に言及していますが、この考え方は
いささか乱暴です。文系学部を廃止してしまうのではなく、文系
学部の教育のなかに理数系教育を取り入れるべきであると考えま
す。現代は高度なICT社会になっており、文系学部といえども
理数系的センスを磨くべきであると考えるからです。
 私は、ある大学の経済学部で、ウェブサイトを構築する「イン
ターネット・プログラミング」講座を担当していたことがありま
す。経済学部の学生であっても、せめて自分でウェブサイトの構
築ぐらいできるICT対応力をマスターさせるべきであるという
大学の方針で、この講座が設けられたのです。
 2020年から小学校でプログラミング教育が開始されます。
他国に比して遅きに失してはいるものの、小学生の頃から理系セ
ンスを磨くのに役立つことは確かです。
            ──[次世代テクノロジー論/01]

≪画像および関連情報≫
 ●国立大の「文系廃止」の誤解はなぜ広がったのか?
  ───────────────────────────
   文部科学省が2015年6月に国立大学向けに出した人文
  系の組織再編を促す通知の波紋がなかなか収まらない。同省
  は「人文系切り捨てではない」と理解を求めるが、学術団体
  が7月に抗議声明を発表し、8月には一部の英字紙が「日本
  の大学が教養教育を放棄へ」と海外で発信する。文部科学省
  は「文系軽視は誤解」と火消しに躍起になっているが、果た
  して“誤解”は払拭されるのか。
   全国の国立大学を揺るがした今回の通知のタイトルは「国
  立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」。国立
  大の組織改編に向けた第3期中期目標・中期計画の期間が来
  年度からスタートするのに合わせて出されたものだ。
   しかし、通知を目にした国立大の人文系教員たちから「人
  文系軽視だ」などと不満が噴出。その原因をたどると“舌足
  らず”な文章構成に突き当たる。以下の一文が該当部分だ。
  《「ミッションの再定義」で明らかにされた各大学の強み・
  特色・社会的役割を踏まえた速やかな組織改革に努めること
  とする。特に、教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学
  部・大学院については(中略)組織の廃止や社会的要請の高
  い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする》
                   http://bit.ly/1O8lapc
  ───────────────────────────

「ポケモンGO/AR技術」.jpg
「ポケモンGO/AR技術」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする