2017年08月24日

●「豊洲液状化を隠そうとした東京都」(EJ第4590号)

 2011年3月11日14時46分──東日本大震災が起きた
日と時刻です。この日の午前中に都議会で築地市場の豊洲への移
転関連予算案が1票差で可決されています。
 東日本大震災では浦安市が液状化で最大の被害を受けましたが
新市場の予定地である豊洲でも液状化が起きています。豊洲市場
予定地では、いくつもの噴砂が確認され、護岸まわりの散歩道に
は大きな亀裂が入っており、地盤が水平方向に移動する「側方流
動」が起きていたのです。
 添付ファイルの写真は、左は3月13日(2日後)当時のもの
で、あちこちに、このような水の溜まった亀裂が発見されていま
す。右は地震からしばらく経過した後の豊洲予定地で、亀裂の部
分にブルーシートがかけられているのがわかります。しかし、豊
洲の液状化についてはメディアがあまり取り上げなかったことも
あって、多くの話題になっていません。
 小池都政になってからの海苔弁外しによって明らかになった技
術会議の記録によると、技術会議の安田進委員と長谷川猛委員が
現場の調査を行っていますが、その時間はせいぜい2時間程度の
ものであり、どれほどの事実がわかったのかは疑問です。しかし
その報告は次のようなものだったのです。
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       流動化は縦にしか起こっていない
                  ──技術会議委員の報告
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 重ねて技術会議の性格について述べると、その目的は専門家会
議の提言を具体化・実現化するための組織ではあるものの、その
実態は、実現化の過程で、提言を変更したり、予算を削ったりし
ているのです。そのため、専門家会議は、メンバーや会議内容は
オープンですが、技術会議は座長を除くメンバーは非公開である
うえ検討内容も非公開です。もっとも海苔弁外しによって、ある
程度の検討内容はわかるようになっています。
 「流動化は縦にしか起こっていない」──これは詭弁です。液
状化は、地震で地盤が液状化した際に、地盤が水平方向に移動す
る現象(側方流動)のことであり、「縦にしか起こっていない」
などということは考えられないからです。
 しかし、東京都は、当初「噴砂」は液状化ではないと主張して
いましたが、その後、液状化の事実は認めたものの、次のように
開き直ったのです。
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 液状化対策をしていない埋立地では液状化は発生して当然。だ
からこそ、液状化対策を確実に行うことが大切です。
         ──永尾俊彦著/岩波ブックレット/968
「ルポどうなる?どうする?築地市場/みんなの市場をつくる」
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 液状化の事実に市場関係者は愕然とします。なぜなら、「液状
化したら、市場は何日も使えなくなり、物流が変わってしまうか
らです。まして中央卸売市場は、都の震災対策条例で重要建築物
に指定されており、食料の供給基地にもなっているのです。
 市場関係者は、さいわいまだ建物は建っていないので、液状化
によって汚染がどのようになったのかについて再調査して欲しい
と東京都に申し入れをしたのですが、都はこの要求を次の理由に
より、拒否しています。
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 憤砂は、地震により液状化した部分の地下水に圧力が加わり、
地中から地表部に向かって、地下水とともに砂が噴出するという
メカニズムで発生する現象です。特に、新市場予定地のように、
地表がアスファルト舗装などで覆われていない場合には、地下水
が垂直方向へ向かう動きが阻害されないため、基本的には横方向
に動くとは考えにくい。     ──永尾俊彦著の前掲書より
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 何をいっているのかというと、豊洲市場予定地では、汚染物質
はタテに動くのであって、ヨコには動かないというのです。都と
しては、新市場の開場時期が大幅に遅延しており、再調査をすれ
ばさらに遅れるし、もし調査して汚染物質が移動などしていたら
土壌汚染対策をまた一からやり直すことになり、カネもかかるの
で、再調査を拒否したのです。
 東京都の主張は明らかに矛盾しています。激しい液状化が起き
た浦安市では、噴砂は垂直に動いたとみられ、跡は空洞化して陥
没しています。しかし、豊洲の場合は、陥没はしておらず、クレ
ーターのようになっているので、噴出個所の下部の横からも流動
化した砂が移動し、吹き上げた可能性が高いからです。
 ここに2011年3月29日付の東京都と日建設計の打ち合わ
せの記録があります。タイトルは「豊洲新市場建設工事基本設計
構造打ち合わせ(臨時)」となっています。都からの出席者は、
新市場整備部、施設整備課、基盤整備担当課の3人です。冒頭に
都の職員(氏名は黒塗り)は、次のように発言しています。
─────────────────────────────
 現在は、「建物周辺にのみ液状化対策を行い、建物直下には行
わない」方針となっている。液状化・土壌汚染・既存躯体撤去に
ついては、改めて再整理するべきと考えている。ただし、不安を
煽らないよう、このような状況であることを市場関係者には漏ら
さないで欲しい。           http://bit.ly/2vX9D9P
─────────────────────────────
 これは、明らかに東京都の日建設計に対する「口止め」です。
そもそも築地市場を豊洲へ移転させることに関して、ここまで述
べてきたように、都はさまざまなウソをついており、どうしても
隠蔽体質を持つようになってしまうのです。
 豊洲新市場の土壌汚染対策に関しては「盛り土なし」の問題に
加えて、この液状化の問題もあるのです。市場の建物は完成して
おり、小池知事の方針もあって、来年には豊洲市場に移る予定に
なっています。       ──[中央卸売市場論/037]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜ、豊洲の液状化は騒がれるのか
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   豊洲新市場の地下水の汚染は地上とは関係ない。これは、
  ネットでは当初から言われてきたのに、最近ようやくワイド
  ショーで言われるようになってきました。そこで「豊洲が大
  地震で液状化して地下水が噴出したらどうする」という、い
  ちゃもんがつけられています。ネット上ではとうの昔に論破
  されてるのですが、未だにツイッターではこの問題ではしゃ
  ぐ人がいるので整理しておきましょう。
  1.豊洲が液状化したら築地は潰れてる
   豊洲で地下水が噴出するほどの大地震が起きたら、直線距
  離で2キロしか離れていない築地も大地震に見舞われます。
  最新の建設物が壊れるくらいであれば、耐震基準も満たして
  いない築地の建物は崩壊し、営業できないどころか中で働く
  人が多数死傷し、周囲にアスベストがばらまかれて一帯は立
  入禁止になるでしょう。豊洲に移転しないほうが甚大な被害
  が予想されるんです。
  2.地下水が噴出しても汚染は微量では
   食の安全面で見れば、地下水が噴出し、それに含まれる有
  害物質(水のままか気化したものか)が食品に付着、その状
  態で出荷され小売店等を通じて食卓へ、という経路で汚染が
  広がる可能性が論理的にはありえます。
                   http://bit.ly/2vd4uYv
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液状化の痕跡がある豊洲市場予定地.jpg
液状化の痕跡がある豊洲市場予定地
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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