2017年08月01日

●「専門家会議と技術会議新設の理由」(EJ第4574号)

 石原都政の3期目──2007年4月〜2011年3月の知事
選では、石原知事は公約にはじめて「豊洲の土壌汚染の解決」を
掲げて当選しています。豊洲の土地の汚染状況が市場関係者だけ
でなく、都民も強い関心を持つようになったからです。
 3期目の石原都政は、この公約を実現させるため豊洲の土壌汚
染対策の提言をするための「専門家会議」を立ち上げ、2007
年5月19日に第1回の専門家会議を開催しています。専門家会
議の座長は、平田健正和歌山大学教授です。
 この会議は、小池都政になった2016年10月15日に同じ
メンバーで再招集されています。豊洲市場にあるべきはずの盛り
土がなく、それに対する対策を練るためです。なぜ、石原都政時
代と同じメンバーかというと、それが平田健正氏の座長を引き受
ける条件だったからです。しかし、この専門家会議の人選と平田
座長についてはあまり評判がよくないのです。以下は、『論座』
/2007年12月号に掲載された記事です。
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 専門家会議の座長である平田健正和歌山大学システム工学部教
授(環境水理学)は、三菱金属(現・三菱マテリアル)などが開
発した複合施設、大阪アメニティパーク(OAP)内のマンショ
ンを関連会社が土壌汚染を隠して販売した事件で、三菱側と住民
側が対策を話し合うために設置された検討会で、三菱側推薦の学
者として座長を務めているのだ。
 また、平田座長は土壌汚染の修復ビジネスに力を入れている三
井金属鉱業や前澤工業などから、01年〜06年の6年間に14
50万円も寄付を受けている。OAPの検討会では、住民側推薦
の学者として前出の畑教授も選ばれた。
 ところが、畑教授らの日本環境学会は豊洲の土壌汚染に早くか
ら取り組んできたのに、同学会の学者は都の専門家会議には一人
も選ばれなかった。都のいう「公正」さとは、私企業のそれにす
ら及ばない程度のものなのだ。
 また、首都直下型地震が今後30年以内に起こる確率は70%
とされるが、同会議には地震の専門家も入っていない。さらに食
品衛生の専門家も、何より最大の利害関係者である、市場で働く
人々の代表が入っていない。     http://amba.to/2u9f1mn
           ──『論座』/2007年12月号より
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 専門家会議のメンバーの選定に当たったのは当時の後藤正新市
場建設調整担当部長です。後藤部長は「公正に選定した」といっ
ていますが、後藤部長が独断で決めるということは考えられない
ことであり、石原知事サイドから、何らかの指示があったことは
間違いないと思います。石原知事はかつて環境大臣を経験してお
り、土壌汚染関係の専門家人脈を知っている可能性は大です。
 とうのは、東京都としては、この時点であまり学問的に厳格な
検査をやって欲しくはないはずです。ビジネス的観点からある程
度妥協のできる人物が座長であって欲しいのです。そういう意味
で公害訴訟において、企業側の座長の経験のある平田健正氏は、
石原都政では最適任だったのでしょう。
 そういう観点から、厳格な査定をすることで知られる日本環境
学会の畑教授や食品の専門家、市場関係者、地震学者などは選か
ら漏れているのです。石原知事は、今年の3月3日の会見で専門
家会議について次のように触れています。
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 豊洲市場は科学者が「問題ない」といっているんですよ。それ
なのに移転せず、築地で働いている人を生殺しにして、ランニン
グコストを無駄にしている責任は小池さんにある。
                ──石原慎太郎元東京都知事
                   http://bit.ly/2f087xA
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 この石原発言に関係しますが、都議選前に自民党都議の何人か
がテレビで、「小池知事は自分が選んだ専門家会議が『豊洲は安
全である』といっているのに移転を決められないでいる」と発言
していましたが、これは大間違いです。小池都政における専門家
会議は、小池知事自身が選んだメンバーではなく、石原都政のと
きの専門家会議が再現されたものだからです。
 この専門家会議を結成した2007年10月、東京都の調査で
豊洲の地下水から環境基準の1000倍のベンゼン、80倍のシ
アン化合物を検出したのです。これを受けて、東京都は土壌汚染
詳細調査を開始し、さらに2008年5月の詳細調査では、豊洲
の土壌から環境基準の4万3000倍のベンゼンなど高濃度の汚
染物質を検出したのです。
 この問題に対応するため、東京都は2008年8月、専門家会
議の提言を実現するための「技術会議」(座長/原島文雄東京電
機大学教授)を発足させています。しかし、この技術会議にも不
可解なことが多いのです。いちばん不可解なのは、メンバーが座
長以外は公表されていないことであり、原島座長の専門はロボッ
ト工学であり、土壌汚染の専門家ではないことです。これについ
て、あるサイトは次のように書いています。
─────────────────────────────
 技術会議の委員は、環境・土木・情報処理の各分野から学識経
験者5名を選定するというが、原島座長のみ公表で委員名は明ら
かにされていない。加えて原島座長はロボット工学が専門の電気
工学者であり、専門分野の不適合性は否めない。また、石原知事
の意向により、「なるべく低価格で短期間で実施できる新技術工
法を選定するために設置された」という。
                  http://amba.to/2uaQixG
─────────────────────────────
 さらに東京都は、任命直後に原島文雄氏を首都大学東京の学長
に招聘しているのです。2009年から4年間です。この事実か
ら原島座長は、やはり東京都に近い学者であるといえます。
              ──[中央卸売市場論/021]

≪画像および関連情報≫
 ●豊洲市場の設計に対する疑問/お墨付きを与えた技術会議
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   豊洲市場は、日建設計が都から発注を受け、設計図面・施
  工図面を書き上げた。それを都は発注条件を満たしているか
  細部にわたって検証し、必要あれば図面の書き換えなど要請
  し、最終図面を了承して、ゼネコン側に図面を渡し、ゼネコ
  ンは設計図面を忠実に施工する。
   施工の進捗については、日建設計は設計の管理・監修業務
  も請け負っており、また、都の担当局の専門家も図面どおり
  に進捗しているか必ずチェックに入る。
   以上が通常も行われている大型官庁工事の設計会社や施主
  官庁の進捗検査の有りようだ。下記図では都の説明図ではな
  い空洞が建物地下にあることが確認され、都は説明不足だっ
  た、説明を忘れていたとおトボケ答弁を繰り返している。
   東京に住むとわかるが地震が昔から多い、それも東日本大
  震災後は頻繁に発生している。豊洲市場は向こう何十年も使
  用するもの。30年以内に大きな地震の発生確率もすでに国
  や都から発表されている。建築物に対しての液状化対策工事
  はなされているが、地下に眠る有害物質が噴出してくる可能
  性は拭いきれない。万が一、地下空洞コンクリにひび割れが
  多数発生し、有害物質が地下室に噴出すれば、その対策工事
  に市場は長期にわたり閉鎖に追い込まれる可能性もある。
                   http://bit.ly/2vd8Guk
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「専門家会議」の平田健正座長.jpg
「専門家会議」の平田健正座長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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