2017年07月24日

●「豊洲移転問題と内田茂氏との関係」(EJ第4568号)

 築地市場の豊洲移転について、都議会のドンといわれる内田茂
氏はどういう役割を果たしていたのかについて、調べることにし
ます。本人によると、「豊洲のことは知らない」といっています
が、そんなことはあり得ないことです。内田氏は自民党東京都連
会長や幹事長として、長年都議会を事実上仕切ってきており、自
民党とのパイプも強いので、築地市場を豊洲に移転させることに
ついても、大きな役割を果たしているのです。
 これについては、そもそもの話からはじめなければならないの
です。東京ガス側は、もともと東京都に豊洲工場の跡地を売るつ
もりはなく、東京ガス自身が独自の開発計画をもっていたと主張
しています。つまり、東京ガスとしては本当は売りたくなかった
のだが、東京都があまりにも熱心なので、売ってあげたというス
タンスをあくまでとりたかったようです。
 しかしこれは事実とは異なるのです。東京ガスは都市博を見込
んで、豊洲地区で壮大な開発計画を掲げていたのですが、都市博
中止で計画が狂ってしまったのです。それは豊洲の護岸強化工事
に約60億〜70億もの工事費を既に注ぎ込んでいたからです。
このままでは、これらの工事費は、東京ガスの自己負担になって
しまいます。ちなみに正確にいうと、その工事を行っていたのは
東京ガスの子会社の東京ガス豊洲開発(現東京ガス用地開発)と
いう会社です。
 そこで、何とか東京都に公共施設を豊洲に移転してもらうべく
都に働きかけることを考えたのです。公共施設がくれば、莫大な
工事費は減免される可能性があるからです。そのとき、さすがに
築地市場の移転は考えていなかったと思われます。東京ガスだか
らこそ、まさかガス工場の跡地に、食品を扱う中央卸売市場の移
転は考えにくかったからです。
 そこで東京ガスが相談したのは、当時東京都の港湾局長をして
いた現千代田区長の石川雅己氏だったのです。その石川港湾局長
が提案したのは、築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転構想
です。当時の石川港湾局長は、内田チルドレンの1人といわれて
おり、ここで内田茂氏と豊洲移転問題が、強い関連を持つことに
なるのです。
 当時築地市場は、現地での再整備を進めており、豊洲の「と」
の字も出ていなかったのです。しかし、1995年になると、状
況は一変します。石川港湾局長が自民党議員を絡めて、相当暗躍
したといわれます。
 これについて、当時青島都知事時代に特別秘書を務めていた辺
見廣明氏は石川雅己氏について、副知事として市場を担当した植
野正明氏は当時の番所宏育市場長に関して、次のように厳しい意
見を述べています。
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◎辺見廣明特別秘書
 95年夏にそう話したことは覚えていないが、当時から豊洲が
移設先という話は聞いていました。石川氏がどの程度関与してい
たかはわかりませんが、彼は自民党の内田都議と仲が良く、業者
との蜜月が過ぎるという噂が絶えなかった。このため青島知事の
判断で港湾局長職は1年間だけで代わってもらい、福祉局長に就
いて頂いたという経緯がありました。
◎植野正明副知事(市場担当)
 番所築地市場長が、築地は豊洲へ移転しなければならないとい
う趣旨の話をあちこちで吹聴していたので、「市場長の立場で言
うべきことではない」とクギを刺した覚えがあります。
                   http://bit.ly/2tgJBLe
─────────────────────────────
 しかし、東京都と東京ガスとの正式な交渉は遅々として進まず
進展しなかったのです。1997年10月に「築地市場の現在地
での再整備について」という文書が出されます。中央卸売市場名
の文書です。そこには、次のように書かれていたのです。
─────────────────────────────
 豊洲地区は消費地に遠く、運搬に伴う時間、労力のロスは大き
くなろう。買出し人の多くは、都心部から橋を渡って来場し、ま
たもときた道を戻らなければならない。消費地から離れ、道路も
混雑するとなれば、買出し人の数は減少し、市場の活気は衰え、
都民との距離は遠くなる。
         ──永尾俊彦著/岩波ブックレット/968
「ルポどうなる?どうする?築地市場/みんなの市場をつくる」
─────────────────────────────
 この文書では、明らかに築地での再整備が望ましいという主張
ですが、東京都は中央卸売市場名があるのに、この文書の作成を
否定し、怪文書扱いにしてしまったのです。そのうえで東京都は
1998年8月から、三菱総合研究所に依頼して、東京ガスの豊
洲の土地の調査をはじめているのです。このとき、東京ガスの了
解を得ていなかったといわれています。
 小池知事の時代になってやっと「海苔弁」ではなくなった東京
都の開示資料によると、東京都から東京ガスへの最初の訪問につ
いて次の記述があります。
─────────────────────────────
 最初に都の中央卸売市場の部長が東ガスを訪ね、豊洲の売却を
打診したのは1998年9月21日だ。初対面なのに東ガス側は
のっけから不満を爆発させる。
 「調査は8月から始まっているのに今頃になっての挨拶は不満
だ。なぜ、事前に話に来なかったのか。トップも怒っている」。
 都は、前述のように三菱総研に委託し、同年8月から東ガスの
豊洲の土地の調査を開始していたが、束ガスに事前に説明してい
なかった。都は「説明が遅れたことについては大変申し訳ない」
と陳謝した。だが、東ガスはおさまらない。
                ──永尾俊彦著の前掲書より
─────────────────────────────
              ──[中央卸売市場論/015]

≪画像および関連情報≫
 ●都議会のドンの引退で混迷を深める豊洲移転問題
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   東京・千代田区長選の結果を受け、“都議会のドン”こと
  内田茂都議が政界を引退する見通しとなった。これで豊洲移
  転問題も、小池都知事の主導でスムーズに解決する・・・と
  思いきや、現実にはさらなる混迷が待ち構えていた。様々な
  利権と思惑がうごめく内幕を追う――。
   小池百合子都知事と“都議会のドン”こと内田茂都議(元
  自民党都連幹事長)の代理戦争と化した、2月5日の千代田
  区長選。結果は小池知事の推す現職、石川雅己区長が大勝。
  ドン内田が支援する与謝野馨元財務相の甥、与謝野信候補の
  得票は石川区長の3分の1弱にとどまり、都議会自民の退潮
  はもはや誰の目にも明らかだ。知事ブレーンのひとりが興奮
  気味にふり返る。
   「この『代理戦争』をトリプルスコアの大差で勝った事実
  は重い。今回の選挙で完全に潮目が変わった。7月の都議選
  でも千代田区長選と同じく、都民は自民にNOを突きつける
  ことになるはずです」知事の番記者も、こう太鼓判を押す。
  「豊洲移転を決めた石原慎太郎元知事の参考人招致を小池知
  事はかねて求めていたが、石原さんは、首を縦に振らなかっ
  た。しかし千代田区長選を経て、それも実現することになっ
  た。小池知事に強烈な追い風が吹いています。この勢いは夏
  の都議選まで続くと見ています」。http://amba.to/2eCUmos
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内田茂氏.jpg
 
内田 茂氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中央卸売市場論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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