2017年06月20日

●「中国でクーデターは起こらないか」(EJ第4545号)

 中国のジニ係数が0・7に達し、クーデターが起きても不思議
でないレベルに達しています。それほど格差が拡大しているから
です。しかし、クーデターなどは起きないと何清蓮氏はいうので
す。彼は、中国の民衆のことを「自己組織化の能力に欠け、ばら
ばらな砂のような存在である」と表現しています。
 何清蓮氏はそれに加えて現在の習近平政権の力は強大であり、
仮に民衆が天安門事件のようなクーデターを起こしても、たちま
ち鎮圧されるとして、次のように述べています。
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 中国政府は高度に組織化された完全武装の独裁政権である。そ
の武装力は中国の歴代王朝のなかでもずば抜けている。この世界
第3位の軍事大国に対峙する民衆は、刃物類を購入することさえ
制限を受けている始末である。当局の武装力と民間の抵抗力の格
差には前代未聞の開きが生じている。
 2015年7月9日に始まった「一斉摘発行動」によって権利
擁護活動家が一網打尽にされた後は、国内ではたとえゆるいつな
がりであっても、組織的な反対勢力は一掃された。つまり、軍事
クーデターでも起きない限り、中共の統治を武力で終わらせるこ
とは不可能なのである。
 何清蓮×程暁農著/中川友訳/ワニブックス「PLUS新書」
 「中国──とっくにクライシスなのに崩壊しない“紅い帝国”
のカラクリ/在米中国人経済学者の精緻な分析で浮かび上がる」
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 中国のジニ係数については、中国ウオッチャーの宮崎正弘氏も
言及しています。2013年頃、中国のジニ係数は0・62ぐら
いで最悪であるといわれていたのです。しかし、中国の国家統計
局の出す数字はあまり信用できず、本当の数字はわからないです
が、北京大学が2016年12月に独自調査に基づいて発表した
数字の0・73がひとり歩きしています。これについて、宮崎正
弘氏は次のように述べています。
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 ジニ係数が0・73などとは異常事態である。所得格差、富の
偏在に対しても国民の不満を「反日」ですり替え、「愛国主義」
の具体的ジェスチャーとして、アメリカの無人潜水艇を捕獲した
り、空母「遼寧」を西太平洋に派遣したりして、「中国はアメリ
カと伍せる軍事大国だ」と国民を鼓舞しても、それは支配階級の
演出する危ういナショナリズムだから、効果は期待できなくなっ
た。富裕層は、愛国の虚実を知っており、インテリ層は情報操作
だという本質を見抜いている。そして、庶民は急に愛国などと言
われても、馬鹿馬鹿しくて関心を抱かない。目先の食事がいちば
ん大事なのである。        ──宮崎正弘著/徳間書店
     『米国混乱の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』
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 中国では人民によるクーデターは起こらない──何清蓮氏はこ
う述べています。しかし、軍事ジャーナリストの野口裕之氏によ
ると、クーデターは起こり得るというのです。以下、野口裕之氏
のレポートに基づいて、要約して述べることにします。
 それは北朝鮮に深く関係する話です。現在の北朝鮮に隣接する
中国側の部分、すなわち旧満州東部からロシア沿海州南西部は、
李氏朝鮮の時代(1392〜1910)以降、多くの朝鮮人が移
住したのです。深い森林で覆われ、朝鮮総督府の支配も届かない
無法地帯で、匪賊や馬賊の根拠地だったのです。彼らは頻繁に越
境して、朝鮮半島の北部(北朝鮮)の町村を襲っては、朝鮮人ら
への略奪や殺戮を繰り返したのです。
 時代が経過して、これらの匪賊や馬賊は中国の人民解放軍にな
ります。そしてこの地域は「瀋陽軍区」に属することになったの
です。彼らは、長い間にわたる付き合いから、しだいに人民解放
軍と生活必需品や武器やエネルギーなどをお互いに交換するよう
になります。これがいわゆる「辺境貿易」のはじまりです。
 この辺境貿易は、ケ小平が市場経済の号令をかけた1992年
から公認されたので、これを契機に大きく発展することになりま
す。このときから、中朝貿易には、中国政府が認可した企業が行
なう一般貿易と、国境周辺の地方人民政府が許認可権を持ってい
る辺境貿易の2つになったのです。
 実は、この瀋陽軍区は習近平主席による軍制改革によって「北
部戦区」に再編成されたのですが、これについては、1月24日
付、EJ第4444号で述べています。北部戦区の本部は瀋陽で
あり、ロシアと北朝鮮方面で軍事衝突などに対応する戦力です。
そして5戦区中最大の戦力なのです。
 これについて、「闇株新聞」の著者が次のように分かり易く書
いているので、参考までに引用します。
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 「瀋陽軍区」は中国人民解放軍ではあるものの、朝鮮系の馬賊
・匪賊の末裔が多く(だから強い)、北朝鮮に武器・エネルギー
・食料・生活必需品を密輸し、さらに、北朝鮮のレアメタル採掘
権なども入手し不正蓄財に励んでいます。これは経済制裁を受け
ている北朝鮮にとってもメリットがあり、経済制裁の「抜け穴」
となっています。
 もともと中国人民解放軍とは軍務だけではなく、武器や食料な
どを自己調達する「軍産複合体」のようなものですが、とくに、
「瀋陽軍区」は不正蓄財で潤い、ますます中央政府と対立するよ
うになっていきました。        http://bit.ly/2sDVMEf
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 この戦区が瀋陽軍区であったときのトップは、当時中央軍事委
員会副主席だった徐才厚(江沢民派)です。徐才厚は中国人民解
放軍のナンバー2、制服組のトップを務めた人物です。しかし、
習近平主席は、腐敗キャンペーンの一環で、病気療養中の徐才厚
を汚職など規律違反を理由に病院で逮捕し、連行しています。彼
は党籍を剥奪され、その後死亡しています。
             ──[米中戦争の可能性/115]

≪画像および関連情報≫
 ●国内最強の軍隊を有する瀋陽軍区
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   江沢民のあとの胡錦濤、習近平は共産党軍事委員会委員長
  であっても人民解放軍の統制がまったくでいていない。この
  ことが北朝鮮危機の問題にあらわれている。「反習近平の勢
  力が北朝鮮を握っていて、それに習近平は指一本、触れられ
  ない」といったのは共産党の幹部レベルでの権力闘争ではな
  く、現在の共産党指導部が人民解放軍の支配下にある北朝鮮
  をどうすることもできないということだ。
   俗に「3つの50万トン」という言葉がある。石炭、原油
  穀物を各50万トンずつ、中国が北朝鮮に無償で提供とする
  という援助契約だ。そのなかで一番大事なのは原油の50万
  トンであり、北朝鮮は中国経由で原油の供給を受けている。
  中国はその原油を止めたと称しているが、本当に止まったか
  どうかはわからない。北朝鮮にとって原油供給減は丹東から
  新義州につながる、鴨緑江の河口に敷設されたパイプライン
  一本だけである。この唯一のパイプラインが象徴するように
  中国は板挑戦経済の首根っこを押さえている。したがって、
  中国が北朝鮮を完全にコントロールしている。ただし、対北
  朝鮮用のパイプラインのバルブを握っているのは、北京の中
  央政府ではない。北朝鮮と1300キロの国境を接している
  人民解放軍の瀋陽軍区である。したがって、正確には「中国
  の人民解放軍・瀋陽軍区が北朝鮮をコントロールしている」
  というべきだろう。       http://amba.to/2sf2Eax
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勢力が拡大した北部軍区(瀋陽軍区).jpg
勢力が拡大した北部軍区(瀋陽軍区)
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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