2017年06月09日

●「中国はどうしてまだ崩壊しないか」(EJ第4538号)

 書店に行ってみるとわかることですが、「中国は崩壊する」を
テーマにする本と「中国はなぜ崩壊しないか」をテーマにする本
が溢れています。前者と後者を比率でいうと、7対3です。この
ところ後者の本が新刊書では多くなっています。
 「なぜ、中国は崩壊しないのか」については、中国が社会主義
国であるということに尽きると思います。なぜなら、社会主義の
国であれば、資本主義国ではやってはならないことが何でもでき
るからです。統計を改ざんし、事実を隠してウソの報告をしても
誰からも咎められることはないからです。たとえ、中国経済が、
とっくの昔に崩壊していても、それを隠すことだって十分可能で
す。国家がその気になれば何でもできるのです。
 その典型的な例を日本にみることができます。現在、多くの日
本人は、日本の政府債務がGDP対比で200%を超えているこ
とを知っています。数字で示されれば、確かにその通りであり、
信じてしまいます。
 GDP対比200%以上であるのは「政府債務」ですが、多く
の人は、それを「日本の債務」とイコールでとらえています。そ
のため、多くの日本人は、日本は途方もない借金大国だと考えて
しまっています。しかし、これは、財務省がマスコミを使って国
民にそう思わせているだけです。なぜ、そんなことをするのかと
いうと、国民に「増税やむなし」と思わせたいからです。
 その一方で、日本が「世界一の債権大国」であることをほとん
どの日本人は知りません。それも1年や2年ではないのです。日
本が25年連続の世界一の債権大国であることを・・・。
 なぜ、こんなことになるのかというと、マスコミが政府におも
ねっており、伝えるべきことを正しく伝えていないからです。世
界一成功した投資家といわれるウォーレン・バフェット氏は、次
のように述べています。
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 マスコミが馬鹿な国は、国民も馬鹿になり、投資家も馬鹿に
 なる。           ──ウォーレン・バフェット
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 バフェット氏の指摘は強烈です。これは日本のことをいってい
るのかもしれません。知って欲しいことがあります。政府を含む
国の数字は原則として自己申告であるということです。国際機関
ではその数字が正しいかどうかはチェックしないのです。ところ
で、日本の財務省は借金を多くみせたいのです。その場合、どこ
までを借金に含めるかは財務省の判断に委ねられています。
 日本の借金には、為替介入の引当金、特殊法人の借金、有料道
路の建設費まで含め、そのうえ地方自治体の借金や、「第3セク
ター」のようなものまで全て政府の借金に入れています。つまり
日本の借金は「官僚の天下り費や飲み屋のつけ」まで含まれてい
ることになります。借金を大きくみせたいからです。
 これに対してドイツの借金は、あくまで「政府の借金」だけに
絞っています。財務省が「日本の借金」を外国と比較するなら、
アメリカやドイツと同じ基準で計算するべきであるし、基準が違
うなら、世界の政府の借金の比較はそもそも意味がないことにな
ります。もうひとつ論点があります。
 資本主義国では、政府が発行する国債などを中央銀行が直接引
き受けることなどにより、中央銀行が政府の財政赤字を補填する
形で資金を出すことを「財政ファイナンス」として、禁じていま
す。しかし、日本はデフレから脱却するために「異次元の金融緩
和」を続けています。これは政府の財政赤字を補てんするためで
はありませんが、結果としては日銀の保有する国債は膨大な量に
なっています。これに関して、経済評論家の三橋貴明氏は次のよ
うに述べています。なお、これは三橋氏の2014年6月20日
のレポートであることをお断りしておきます。
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 日本銀行が2014年6月18日に発表した1〜3月の資金循
環統計によると、日銀がもつ国債の残高は3月末で201兆円と
なり、昨年3月末より57・2%増えた。国債全体に占める日銀
の保有残高の割合は20・1%で、保険会社を抜いて初めて最大
の保有者となった。日銀の保有残高が急増したのは、昨年4月か
ら始めた大規模な「金融緩和」で市場に大量のお金を流すために
満期が長い「長期国債」を金融機関から毎月6兆〜8兆円買って
いるからだ。今年末には長期国債の保有残高が190兆円と20
12年末(89兆円)の2倍になる。
 日本銀行が国債を保有した場合、政府は借金を返済する必要も
利払いをする必要もなくなります。一応、政府は日本銀行が保有
する国債に対し、律儀に金利を支払っていますが、日銀の決算終
了後に「国庫納付金」として返還されています。
 というわけで、日銀の国債保有が量的緩和で増えている以上、
現在は政府の借金が実質的に減り続けているというのが真実なの
です。それにも関わらず、財務省やマスコミは相変わらず、「国
の借金1000兆円突破!間もなく破綻!」といった論調で国民
を煽り、悲壮感をまき散らし、経済成長やデフレ脱却の妨害をし
ています。              http://bit.ly/2rTlILK
─────────────────────────────
 政府の借金は、返済しなくてもよいといいませんが、個人の借
金と違って、完済しゼロにする必要はないのです。返す場合でも
長期間にわたって少しずつ返済すればよいのです。それは、政府
の寿命は一般人と違って永遠に続くと考えているからです。財務
省はあえて政府の借金を家計の借金と同一視し説明しています。
 公表していませんが、中国の借金はGDP対比300%を確実
に超えています。中国はこれを返済するつもりはないし、返済で
きないでしょう。現在も政府債務は増え続けていますが、これに
よって中国経済が崩壊する様子はみられないのです。つまり、社
会主義国では何でもやれるのです。しかし、ものには限界という
ものがあります。いつかは突然崩壊するはずです。それは明日か
も知れないのです。    ──[米中戦争の可能性/108]

≪画像および関連情報≫
 ●日本の政府債務残高、実は世界最速ペースで減少
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   日本は国内総生産(GDP)比で世界最大の政府債務残高
  を抱える国として長年知られてきた。しかし、実情は変わり
  つつある。実効ベースで見た場合、公的借り入れ負担は年間
  にGDPの15ポイントに相当するペースで急減していると
  の推計もあるためで、そうだとすれば一段と管理可能な水準
  に向かっていることになる。
   変貌の謎を解く鍵は日本銀行による先例のない日本国債買
  い入れだ。一部エコノミストはこれを政府債務の「マネタイ
  ゼーション(貨幣化)」と呼ぶ。政府のバランスシートに国
  債の負債は残るが、もはや民間部門が保有するわけではない
  ため、実効ベースでは関係ないというのが、一部識者の見方
  だ。日本の政府債務残高はグロスベースで現在、GDPの2
  倍余りと推計されるが、日銀統計を使ったシュルツ氏の算定
  では、銀行や家計など民間部門から日銀に保有が移行しつつ
  あることで大きな影響が生じている。同氏の推計によれば、
  政府債務残高のうち、民間保有分は2012年末の第2次安
  倍晋三内閣発足直前のGDP比177%から、向こう2−3
  年で同100%程度に低下する見通しだ。日本が借り入れを
  減らしている訳ではない。安倍政権はさらなる財政刺激策を
  準備中であり、その資金は国債発行で賄われる。
                   http://bit.ly/2sfaXE9
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経済評論家/三橋貴明氏.jpg
経済評論家/三橋貴明氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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