2017年06月08日

●「海外でトラブルが頻発の中国PT」(EJ第4537号)

 中国には「冊封体制」という考え方があります。「冊封(さく
ほう)」とは、かつての中国の皇帝が貢物をもってきた周辺諸国
の君主に官号・爵位などを与えて君臣関係を結び、彼らにその統
治を認めることをいうのです。
 経済や軍事力で力をつけてきた中国は、どうやらこの冊封体制
の再現を考えているようです。しかし、中国はここまで見てきた
ように、国内に大きな問題を抱え込んでいます。そのため、力を
国外へ向けようとしています。
 中国が最も力を入れてきたのがアフリカです。南ア、タンザニ
ア、ザンビア、ガーナ、ナイジェリア、アンゴラ、モーリシャス
アルジェリア、マダガルガスなどに中国は進出しています。中国
はこれらの国々に対して、札束攻勢をかけたのです。
 しかし、中国の評判は芳しくないのです。ほとんどのプロジェ
クトがうまくいっていないからです。アフリカ各地で中国排斥運
動まで起きています。やり方が汚いからです。これについて宮崎
正弘氏は、次のように中国のやり方を明かしています。
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 とにかくアフリカの場合はまず不良品を売りつける。それから
プロジェクトはもらったのはいいけども、全部役に立たない。国
のトップは買収される。要するに大統領宮殿を造ってくれるって
いうんで靡くわけですよ。つぎにこのプロジェクトをやると言っ
で、それは結局国の借金なんですよね。つぎに農地を買われる。
すでに何万エーカーという土地を買って、そこで中国人が来て農
作物を作って、それをみんな中国へ持って帰るというわけ。それ
は頭に来ますよ。現地の雇用がないんだから、トランプが雇用が
いちばん大事だと言っているように。どこの国だって雇用がいち
ばん大事。だから中国はもう要らない。出で行けということにな
るでしょうね。        ──宮崎正弘/石平著/WAC
         『いよいよトランプが習近平を退治する!』
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 もちろん中国の実績がゼロというわけではないのです。アフリ
カ南部諸国をつなぐ高圧電線網、ザンビアの発電所、アンゴラの
鉄道、コンゴの橋と道路など、実績はいくつもあります。しかし
多くの場合、それがトラブルを生んでいるのです。
 ザンビアのケースを取り上げます。多くの海外プロジェクトで
中国は、現地で雇用せず、多くの中国人作業員を現地に送り込み
作業が終了すると引き上げるか、その地にそのまま居座るという
方式を取るのですが、ザンビアの場合、20億ドルを投資し、2
万人もの現地雇用を創出したのです。
 こういう海外プロジェクトをやる場合は、国有企業が進出する
のですが、多くの場合、企業の態度が横柄なのです。そのため、
多くのトラブルが起きます。2006年には銅山を買いとった中
国企業に対し、現地労働者の激しい抗議デモが発生したのです。
このとき、中国人側が発砲し、46人が殺害されるという悲惨な
事件が起きたのです。これによって一気に反中感情が爆発したの
です。以来、ザンビアの対中感情は現在も悪いままです。
 中国の海外プロジェクトがなぜうまくいかないのかについては
別の理由もあります。高橋洋一氏は、自著で次のような恐るべき
事実を明らかにしています。
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 中国が海外でのプロジェクトで安値受注できるのは、犯罪者を
労働者として送り込んでいるという側面もある。監獄生活か海外
労働のどちらを選ぶか囚人に選択させ、ほぼタダ働きさせている
のだ。そのなかには死刑囚まで含まれている。中国の刑務所で死
刑囚を収容できる上限の人数は400万人で、刑務所は「満員御
礼」の状況が続いているという事情も背後にはあるのだが・・。
 おまけに、中国人の傲慢な態度が現地の人々から総スカンを喰
らっている。一人っ子政策のおかげで「小皇帝」と呼ばれ、甘や
かされて大人になった者が世界へ出ている。これも大きなリスク
要因。アフリカ各地で中国人排斥運動のデモが頻発しているのも
そういった背景があるのだろう。
      ──高橋洋一著/『中国GDPの大嘘』/講談社刊
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 受注契約直前に中国側にひっくり返されたインドネシアの高速
鉄道建設についてこういう話があります。これは、インドネシア
におけるジャカルタからバンドンまでの高速鉄道建設計画であり
2016年1月21日に、ジョコ大統領や中国要人が出席して、
華々しく、起工式が催されています。
 しかし、この計画は現在も着工されていないのです。そもそも
起工式の時点で建設認可が下りていなかったのです。認可に必要
な必要書類が揃っていなかったからです。中国側からの書類が不
足しており、提出された書類も中国語で記載されており、審査員
が読んで理解できなかったのです。これは工事を日本から分捕っ
て受注した中国側の怠慢そのものです。
 なお、受注前に中国側から提出された提案書には、日本の提案
書をまる写ししたものが入っていたのです。日本側は、提案に当
たって、ボーリング調査や地質調査などを数年かけて行い、精密
なデータを作成しているのです。中国側は、そうした調査を一切
行わず、日本のデータをコピーしています。しかもルートも日本
案とまったく同じなのです。
 それでは、日本側のデータがどうして中国側に渡っていたので
しょうか。それは、推測するしかありませんが、インドネシア側
の誰かが中国側に漏らしたか、中国側が買い取ったかのいずれか
ではないかと思います。このようなことをしていると、中国はも
ちろん、インドネシアも国際的信用を失ってしまいます。
 実は、中国が受注した高速鉄道計画が頓挫するのは、これだけ
ではないのです。米国のエクスプレスウェスト社と中国鉄道公司
との合弁によるラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道計画は
中国側がするべきことを時間通りにやっていないという理由で合
弁解消になっています。  ──[米中戦争の可能性/107]

≪画像および関連情報≫
 ●中国高速鉄道、各国が相次いでキャンセル
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   日本が競合の末に敗れたインドネシアを始め、世界各国で
  破格の条件を提示し次々と高速鉄道計画の受注に成功した中
  国ですが、アメリカでは工事の中止が決定、その他の国でも
  同じような動きが出始めるなど、ここに来て暗雲が立ち込め
  ています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴
  史、中国・韓国の真実」』の著者で評論家の黄文雄さんはこ
  れについて「世界が中国のインチキぶりにようやく気が付き
  始めた結果」と一刀両断し、習近平政権がますます苦境に追
  い込まれることになるとの厳しい私見を記しています。
  このところ、中国の高速鉄道の輸出計画が次々と挫折してい
  ます。6月8日には、ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速
  鉄道の計画で、アメリカのエクスプレスウエスト社が中国鉄
  道総公司との合弁解消を発表しました。この合弁は2015
  年9月の習近平主席の訪米前に発表されたものです。201
  6年9月に  も着工する見通しでしたが、エクスプレスウ
  エスト社は合弁解消の理由として「中国企業がやるべきこと
  を時間通りできていない」と計画の遅れが原因だったとして
  います。中国側は寝耳に水のことだったようで「無責任で契
  約違反だ」と批判していますが、もともと習近平主席の訪米
  の成果として強調するためにぶち上げたプロジェクトであっ
  た可能性も高く、むしろアメリカ企業のほうが中国企業の実
  態を見て危機感をのでしょう。   http://bit.ly/29zHFIc
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インドネシア・ジョコ大統領/安倍首相.jpg
インドネシア・ジョコ大統領/安倍首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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