2017年06月05日

●「中国はソ連邦に酷似してきている」(EJ第4534号)

 今後一体中国はどうなるのでしょうか。このテーマを読み説く
ため、中国を論じた多くの本を読んでみたのですが、その予測は
いずれも暗いものです。「かつてのソ連邦と同じ運命になる」と
いう意見も多いのです。
 中国の経済関係の統計は信用できないということを指摘してき
ましたが、仮に数字を恣意的に改ざんしても、中国は社会主義国
であるので、ある程度の期間はもつのです。しかし、そういうデ
タラメな国家運営をやっていると、いつかは崩壊します。ソ連邦
がその典型です。ソ連邦と中国を比較してみます。
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         建国年     崩壊年   存続期間
  ソ連邦  1922年   1991年    69年
  中国   1949年            68年
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 ソ連邦は69年間で崩壊しています。それでも約70年間もっ
たのです。それがある日突然崩壊したのです。表面的には誰も崩
壊するとは思っていなかったので、世界は驚愕したものです。
 それでは中国はどうでしょうか。同じように中国も大きな矛盾
を抱えており、それが積もり積もっています。そして、今年で既
に68年間が経過しています。今のところ中国も表面的にはとて
も崩壊するようには見えませんが、崩壊する要因は少なくないの
です。中国が一番恐れているのは、人民の反乱です。
 中国の人口は13億人を超えています。それを少数のエリート
集団の共産党が一党で支えています。共産党一党支配です。もし
人民が何かに不満を持って立ち上がったら、共産党はひとたまり
もないからです。その人民の不満を一番起こしやすいのが経済不
調・崩壊であるといえます。
 政治評論家の長谷川慶太郎氏は、中国がもし崩壊すると、何が
起きるかについて、次のように述べています。
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 あれほどの広大な国土と世界一の大きな人口を抱える大国が崩
壊した場合、その後、もう一度中央集権国家を建設するには、中
核となる政治勢力が必要であるが、その時にはもはやそれを担え
る政治勢力は存在しない。そうなれば中国は、抗争、内乱等の大
混乱を経て、各地にそれぞれ、解放軍の幹部が中心となって成立
する新しい国家が次々に生まれることになるだろう。
 具体的には、著者は中国全土が現在ある7つの大軍区(洛陽軍
区、北京軍区、済南軍区、南京軍区、広州軍区、成都軍区、蘭州
軍区)に従って、それぞれが独立国家になる、すなわち中国は分
裂国家となるという判断で事態を見るべきであると考えている。
            ──長谷川慶太郎著/東洋経済新報社
        『中国崩壊前夜/北朝鮮は韓国に統合される』
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 長谷川氏の著著は、2014年5月に発刊されているので、上
記のように7軍区で説明されていますが、現在これは5戦区に改
編になっています。
 ソ連邦でもそうですが、社会主義国の最大の問題点は、賄賂の
横行です。そのことがよくわかっている習近平主席は、「ハエも
トラも切る」として、腐敗排除キャンペーンを行っていますが、
とても根絶できるるものではないのです。高橋洋一氏がこんな話
をしています。高橋氏の著者からその部分を引用します。
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 2015年、日本の政界にさざ波が立った。高支持率を維持し
続ける安倍政権を支えてきた経済再生担当大臣の甘利明氏に、収
賄疑惑が降りかかったのだ。ここで私がこの事件を持ち出したの
は、中国のネットユーザーの声が面白かったからである。たとえ
ばこんな声だ。
 「政治のみならず、企業、公共機関など、日本の社会はすべて
透明度が高い。まったく恐ろしい国家だ」。「100万円程度で
辞任?それくらいなら、下級公務員でも、もらっているよ」
 お金を受けとったとされる甘利氏を擁護、あるいは日本社会を
賞賛する声が目立ったのである。これは別に皮肉ではない。つま
り、それだけ中国社会の腐敗ぶりが凄まじいのだ。
      ──高橋洋一著/『中国GDPの大嘘』/講談社刊
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 中国は2015年11月に贈収賄罪の刑法を改正しています。
それまでは、贈収賄の規模や収賄額を基準にして量刑を決めてい
たのですが、それを「贈収賄の額プラス情状」に改めたのです。
これは、収賄額が巨額であっても反習近平派の収賄状況について
暴露すれば、刑を減刑するし、収賄額が少なくとも口を割らない
場合は、重刑になることもあるというものです。
 驚くべきことですが、中国には『賄賂白書』というものがある
のです。この賄賂白書について、近藤大介氏は、次のように述べ
ています。
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 反腐敗闘争には、実はカラクリがある。私が北京に住んでいた
胡錦清時代の2010年8月、中国経済改革研究基金会国民経済
研究所という民間経済シンクタンクが、中国初の『賄賂白書』を
発表した。それによると中国のGDPの3割にあたる4兆元(約
70兆円、当時)が「賄賂経済」だという。胡錦清時代には「全
民腐敗」という言葉が流行語になるほど、社会に賄賂が蔓延して
いた。               ──近藤大介著/講談社
     『活中論/巨大化&混迷化の中国と日本のチャンス』
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 『賄賂白書』について当時の温家宝首相は、「わが国は腐敗に
まみれている」といって嘆いたそうですが、その温家宝首相も後
に一族で27億ドルもの不正蓄財が指摘されたのです。中国の腐
敗の深刻さは底なしといえます。これが積もり積もると、経済の
崩壊はある日突然起こり、国家は破綻に追い込まれるのです。
             ──[米中戦争の可能性/104]

≪画像および関連情報≫
 ●ソ連と酷似してきた中国/急激な成長と衰退
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   中国の急激な成長期が終わり、衰退期に入ると予測されて
  いるが、共産国家は衰退期を上手く乗り切れない。崩壊した
  ソ連は発足から急成長を続けたが、たった一度の衰退期を乗
  り切れずに崩壊した。最近の中国は何から何まで過去のソ連
  にそっくりで、双子の兄弟のようです。
   かつて共産国家ソ連はユーラシア大陸のほとんどを勢力下
  に置いて、世界を支配するかに思えました。ベトナム戦争で
  アメリカが敗れ、ソ連側が勝った頃に拡大は頂点に達し、ソ
  連が新たなリーダーになるように見えた。中国も、リーマン
  ショック頃まで急拡大し、世界のリーダーになるのは時間の
  問題と思われました。
   不思議な事にアメリカに挑む新興勢力は必ず、米国の7割
  程度の国力をピークに、衰退期に入る。ソ連と戦後日本がそ
  うだったし、中国も同じくらいのGDPで頭打ちになり、衰
  退期に入りました。「7割の法則」が在るのかどうか知りま
  せんが、アメリカの衰退時期と新興国家の成長期が重なると
  こうなっている。ソ連は1917年のロシア革命で誕生した
  が、伝説のように市民が蜂起した訳ではなく、ドイツの悪巧
  みで発生した。当時第一次大戦で負けそうだったドイツは、
  対戦相手のロシアで革命を起こさせて有利にするため、レー
  ニンを送り込んだ。レーニンはロシア人だがドイツに亡命し
  て国家崩壊を企む人物で、日本で言えば麻原彰晃レベルの人
  間でした。普通は誰も相手にしませんが、ロシアは大戦や財
  政危機で国民生活が破綻しており、飢えた人々はレーニンに
  従った。             http://bit.ly/2slm2km
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政治評論家/長谷川慶太郎氏.jpg
政治評論家/長谷川慶太郎氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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