2017年05月18日

●「米国には北に5つの選択肢がある」(EJ第4522号)

 「すべての選択肢がテーブルの上にある」──トランプ米大統
領をはじめペンス副大統領、ティラーソン国務長官がこれと同じ
言葉を発しています。米国は、自国の安全が脅かされることがな
いようにしたいのです。こういう米国の立場になって考えた場合
「あらゆる選択肢」には次のようなものがあります。
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      1.中国を通じて経済制裁を強める
      2.北朝鮮と米国が直接対話をする
      3.北朝鮮を核保有国として認める
      4.金正恩の斬首作戦を成功させる
      5.米国は北朝鮮を限定攻撃をする
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 第1の選択肢として考えられるのは「中国を通じて経済制裁を
強める」ことです。
 北朝鮮に最も影響力のある国は中国です。北朝鮮にとって中国
は最大の輸出国であり、石油や食料品などの最大の輸入国でもあ
ります。そういう意味において中国は、北朝鮮の生殺与奪の権利
を握っているといえます。したがって、北朝鮮に経済制裁をかけ
るのには、中国がやるのが一番効果的なのです。
 中国は、既に北朝鮮に対して経済制裁の圧力をかけています。
石炭の輸入を今年中停止し、もし、それでも北朝鮮が核実験を強
行するときは、石油の輸出を止める断油措置を講じ、それに加え
て、中朝国境を閉鎖すると警告したのです。
 中国の場合、国境に接する北部戦区と北朝鮮は、いわゆる「辺
境貿易」を密かにやっており、国境封鎖はこれができなくなるの
で、北朝鮮は大きなダメージを受けます。これによって北朝鮮は
核実験を中止しましたが、その代り14日に弾道ミサイルを発射
しています。
 しかし、中国の本音は地政学上北朝鮮を崩壊させることには反
対であり、中国を通じての経済制裁には限度があり、これによっ
て北朝鮮が核・ミサイルの開発・保有をあきらめることはあり得
ないと考えます。
 第2の選択肢として考えられるのは「北朝鮮と米国が直接対話
をする」ことです。
 水面下ではありますが、米国と北朝鮮はノルウェーのオスロで
非公式会談を行っています。これについて、産経新聞ニュースは
次のように伝えています。
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【北京=西見由章】ノルウェー・オスロで米国の元政府高官らと
接触した北朝鮮外務省の崔善姫米州局長は13日、帰国に向けた
経由地の北京の空港で、トランプ米政権との対話について「必要
な条件が整えば対話する」と記者団に語った。韓国の文在寅政権
については「見守っていく」と述べるにとどめた。
                   http://bit.ly/2rlgkhN
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 水面下とはいえ、米国がなぜ対話に応じたかというと、北朝鮮
で米国人が4人拘束されているからです。しかし、米国政府と北
朝鮮の正規の対話に応ずる条件(適切な状況下)としては北朝鮮
が絶対に飲めない次の条件ということになります。
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    北朝鮮が核・ミサイルの開発と保有を放棄する
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 この条件がある限り米朝対話は絶対に実現しないということに
なります。北朝鮮が妥協できる余地があるとすると、それは「核
・ミサイルの凍結」だけですが、これはトランプ政権としては飲
めない条件です。なぜなら、それでは歴代米政権、とくにオバマ
政権と何も変わらないし、米国はまたしても騙されることになり
かねないからです。
 第3の選択肢として考えられるのは「北朝鮮を核保有国として
認める」ことです。
 「アメリカファースト」の米国があくまで自国の安全にだけこ
だわるのであれば、この第3の選択肢しかないのです。しかし、
米国としては、この選択肢は簡単には取れないのです。それは、
次のことが必然的に起きるからです。
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 1.北朝鮮を核保有国として認めることは、それは米国の敗
   北を意味するからである。
 2.北朝鮮が核保有国になると、核保有こそ効果的防衛手段
   になるので核が拡散する。
 3.北朝鮮が核保有国になると、米の核の傘が無力化し、日
   本や韓国の核武装を招く。
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 第4の選択肢として考えられるのは「金正恩の斬首作戦を成功
させる」ことです。
 この作戦は、既に水面下でCIAによって行われています。し
かし、北朝鮮の場合、これは容易ではないのです。クリントン大
統領時代に米CIA長官を務めたジェームズ・ウールジー氏は、
次のように述べています。
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 金正恩の「斬首作戦」の実行は、通常の暗殺ミッションに比
 ベて、はるかに難しい。他の独裁者とは違うのです。
         ──ジェームズ・ウールジー元CIA長官
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 北朝鮮は外国人が簡単に入国できる国ではなく、外部の組織が
斬首作戦を実行することは困難なのです。したがって、北朝鮮内
部に協力者をつくり、暗殺を実行させる必要があります。これに
ついては、たびたび試みられているものの、この国では成功率が
きわめて低いのです。1から4までの選択肢はいずれも難があり
ます。第5の選択肢については、明日のEJで取り上げます。
             ──[米中戦争の可能性/092]

≪画像および関連情報≫
 ●金正恩「斬首作戦」 実行ならば日本経済も打ち首に
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   国内の目が「森友学園」に注がれている間、東アジアには
  深刻な危機が訪れていた。核とミサイルをおもちゃにしてい
  た「お坊ちゃま」の暴走に、トランプ大統領は怒髪天。「金
  正恩」斬首作戦が実行されれば、日本経済も「打ち首」寸前
  で、逆風の大嵐が吹き荒れるというのだ。
   4月26日未明の平壌。小雨の空模様に加え、この日は新
  月。辺りは墨を流したような闇が広がるだけだ。前夜から、
  米韓空軍は平壌を大規模空爆。防空レーダーと防衛隊に壊滅
  的な打撃を与えていた。この闇と噴煙の中を縫うように、数
  台のヘリコプターが進んでいく。いくつかは地上部隊をおろ
  し、平壌の制圧に走らせるが、いくつかは意思を持ったよう
  に別の“標的”に急進していくのだ。
   ブラックホーク。幾多の戦場で活躍した米軍のヘリは“目
  標”の建物の前に降りると、次々と隊員たちを吐き出した。
  米海軍の特殊部隊・シールズ。韓国の「北派工作員」。先導
  するのは軍用犬だ。「精鋭部隊」は建物を取り囲むと、意を
  決したように四方八方から侵入を開始。数十分後、漆黒の闇
  に銃声、続けて歓声が響いた。「彼をやったぞ!」――。あ
  とひと月も経たないうちにこうした光景が見られるとはにわ
  かには信じがたいけれど、絵空事とは一笑に付せないほど、
  北朝鮮とアメリカの対立は深刻さを増している。
                   http://bit.ly/2pERg8m
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ノルウェー/オスロでの米朝水面下会談.jpg
ノルウェー/オスロでの米朝水面下会談
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする