2017年04月18日

●「日本は実験なしで核を開発できる」(EJ第4503号)

 シカゴ大学教授ジョン・ミアシャイマー氏の本に次の一節があ
ります。本テーマの2回目にご紹介した言葉です。
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 取り締まる者のいない世界体制の中で安全を保障する最良の方
法は、その地域の覇権国家になり優位に立つことで、どこからも
攻撃されないようにすることなのだ。
       ──ジョン・J・ミアシャイマー著/奥山真司訳
    『大国政治の悲劇/米中は必ず衝突する!』/五月書房
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 日本は専守防衛を目指しています。どこの国とも戦争はやらな
い。しかし、悪意を持つ国があり、その国から攻められたら国を
守らなければならないので、自衛隊という事実上の軍隊を保有し
ています。その実力は世界第4位といわれています。
 もし、米中戦争が起きれば、確実に日本は戦場になります。世
界第4位の軍隊を保有していても、覇権国にならない限り、攻め
られる恐れがあるのです。北朝鮮ではありませんが、「攻められ
ない」ことを目指すのなら、「核を持つ」のはひとつの選択肢で
あるといえます。専守防衛も果たせます。
 しかし、日本にとって核兵器を持つことは、非常にハードルが
高いといわざるを得ません。トランプ氏は選挙中に日本の核保有
を容認するかのような発言をしましたが、後でそれを取り消して
います。日米安保条約は「日本に核を持たせないための条約」と
さえいわれているのです。
 2015年8月8日のことです。中国の環境時報は「日本は核
実験なしで核兵器を作る技術力があり、短期間で中国以上の核兵
器大国になる能力がある」と報道したのです。環境時報は、中国
共産党中央委員会の機関紙「人民日報」の国際版です。その論説
を紹介します。具体的には、中国城市安全研究所副所長の楊承軍
教授による署名原稿です。
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 論説は、日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置がある
など、核融合技術で世界一流と紹介。核爆発実験をしなくても高
性能のスーパーコンピューターによるシミュレーションで核兵器
を作る能力があるなどと主張した。さらに、日本はミサイル搭載
用の核弾頭を開発する能力もあり、極めて短期間のうちに「世界
第3位の核兵器保有国」になれると主張した。
                   http://bit.ly/2oAv1hp
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 これは、多くの日本人にとっては驚きのニュースです。日本で
は、核兵器について議論をするのもはばかられるし、作れないと
は思わないが、短期間のうちに「世界第3位の核兵器保有国」に
なれるとは考えてもいないからです。
 2014年の時点での核兵器の保有数は、以下のようになって
います。
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     1位: ロシア ・・・・・ 8000発
     2位:アメリカ ・・・・・ 7315発
     3位:フランス ・・・・・  300発
     4位:  中国 ・・・・・  250発
     5位:イギリス ・・・・・  225発
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 日本が世界3位の核保有国になるためには、日本が300発以
上の核兵器を短期間で作れるということを意味します。楊承軍教
授はそのようにいっています。
 楊承軍教授は、もし日本が核兵器を持つと、次のようになるこ
とを指摘して論文をしめくくっています。
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 日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、とくに、わが国
(中国)の安全に対する重大な脅威になる。したがって、強い関
心を持ち続けなければならないし、絶対に、警戒を緩めてはなら
ない。                   ──楊承軍教授
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 かつて「日本も核兵器を持つかどうか」について、北朝鮮の脅
威に関連して、議論ぐらいすべきじゃないかということをいった
政治家がいます。中川昭一元衆議院議員(故人)です。中川氏の
発言です。
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 「非核三原則」は国民との重い約束だ。しかし、最近の北朝
 鮮の核兵器実験の動向を受けて、この約束を見直すべきかど
 うか議論を尽くすべきだ。        ──中川昭一氏
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 楊承軍教授の論文は本当のことをいっているのでしょうか。
 これに関しては、iRONNAに木走正水氏の次のレポートが
あるので、それを基にして検証してみたいと思います。
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 「日本には実験なしで核兵器開発できる能力がある」中国メ
 ディアは本当か          http://bit.ly/2pBUR2j
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 まず、楊承軍教授のいう「日本には世界最大のヘリカル型核融
合実験装置がある」というのは事実です。重い原子であるウラン
やプルトニウムの原子核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、
軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネ
ルギーを発生させる装置が核融合炉ですが、核融合に関する技術
において、今や日本は世界の先端を走っているのです。
 米国は、この研究は水爆の研究と同じであるとして、中止する
よう強い圧力をかけてきたのですが、米国には弱い日本政府とし
ては珍しく、「これは人類のための研究である」として、つっぱ
ねてきたのです。そのため、関連技術で多くのノーベル賞受賞者
が出ているのです。核融合は世界最先端の爆縮技術がないと実現
不可能です。       ──[米中戦争の可能性/073]

≪画像および関連情報≫
 ●「非核」でも核武装している?
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   日本では「非核」であることは当然として受け止められて
  いるが、世界から見ると、日本ほどの技術力と経済力があっ
  て「非核」なのはドイツと日本、イタリア(ともに第二次世
  界大戦の敗戦国)だけだ。
   日本では国連を「国連」と翻訳しているが、そのまま英語
  を翻訳すれば「連合軍」だから、まだ世界は戦争が終わった
  ときの秩序を保持していることを示している。もし今後、世
  界的な戦争がなければ、第二次世界大戦の勝ち負けが長く国
  際政治に影響を与えることを示している。
   ところで、日本は非核大国だが、アメリカの核ミサイルを
  積んだ原子力潜水艦が西太平洋にいるので、日本はいわゆる
  「核の傘」の下にいる(集団的自衛)。そして日本は50基
  を超える原発と濃縮技術、再処理技術、ロケット技術、それ
  に制御はお手の物なので、核兵器とそれを運搬するミサイル
  はすぐ作ることができる。つまり日本はアメリカとの集団的
  自衛で核武装している状態にあり、かつプルトニウムも濃縮
  施設ももっているので、現実に核武装し、自国でも原発を持
  てる状態にあるという状態だ。諸外国は技術力が優れ、軍事
  も強い日本が独自の核ミサイルを持つことを極度に警戒して
  おり、むしろアメリカの原潜の方が日本の核ミサイルより安
  全と思っている。         http://bit.ly/2owzQHa
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中川昭一氏/日本核武装論.jpg
中川昭一氏/日本核武装論
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする