2017年01月06日

●「習近平国家主席とはどんな人物か」(EJ第4433号)

 2017年1月3日付、朝日新聞のトップ記事として、中国に
関する次の記事が掲載されています。
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 ◎中国、腐敗摘発へ新機関/政府と同格 全公務員を対象
  中国の習近平指導部が、すべての公務員の腐敗行為を取り
 締まる新たな国家機関「国家監察委員会」を2018年3月
 に創設する方針であることがわかった。内情を知る共産党関
 係者が明らかにした。国務院(政府)などと同格で、各省庁
 や地方政府を厳しく監視する。習氏が進める反腐敗政策の集
 大成ともいえる組織で、習氏への権力集中が一層強まる可能
 性がある。     ──2017年1月3日付、朝日新聞
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 この国家監察委員会は、これまで共産党員の規律違反や腐敗行
為を摘発してきた党中央規律検査委員会の書記で、習国家主席の
盟友といわれる王岐山氏の去就と関係があります。
 王岐山氏は、今年69歳であり、「68歳定年」の慣例により
本来なら引退することになります。そこでより強力な監察機能を
持つ国家監察委員会を来春新設し、そのトップに王岐山氏を就任
させることによって、盟友の温存を図る画策ではないかといわれ
ているのです。いずれにせよ、習政権に逆らう者は、ことごとく
排除する体制の構築といえます。
 ところで、この習近平国家主席とはどのような人物なのでしょ
うか。その人物像は、中国専門のジャーナリストによっても、そ
れぞれ大きく異なるのです。
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 1.習近平は非常に優れた為政者で大衆に人気があり、力強い
   リーダーシップの持ち主である。
 2.習近平はロシアのプーチンタイプの実力者であり、ケ小平
   に次ぐ共産党の中興の祖になる。
 3.習近平は歴代指導者の中で最弱の“皇帝”で、党内の信頼
   も低く、党中央で孤立している。
 4.習近平は独裁者であり、第2の毛沢東を目指しプチ文革を
   起こそうとする危険人物である。
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 このように、習国家主席の印象は、中国をよく知る人によって
もこのように大きく異なるのです。つまり、人によって評価は大
きく分かれるのです。
 中国に詳しいジャーナリストの一人に福島香織氏がいます。テ
レビにもよく登場するので、知っている人は多いと思いますが、
福島氏は産経新聞社に入社し、1998年に上海・復旦大学に語
学入学し、2001年には香港支局長になり、2002年春から
2008年秋まで、中国総局特派員として北京に駐在するという
ベテランの中国通のジャーナリストです。
 福島氏は、2009年11月に産経新聞社を退社し、フリー記
者として中国を取材し、中国に関する多くの著書を上梓しており
私はその何冊かは読んでいます。福島氏は、最新刊書で、習近平
主席のイメージを次のように表現しています。
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 私個人の印象としては、今までの習近平の内政、外交における
言動、その生い立ちや周辺からの人物評を総合すると、小心の用
心深く周囲の人間に対する信頼感が薄く、自分の地位を安定させ
るための強い権力を求めつづけて満足しない独裁志向の極めて強
い人物というふうに映る。その独裁の目的は、中国の発展や人民
の幸福というところにはなく、自分を核心とする共産党体制を守
る、自分の権力地位を守る、という一点にある。
        ──福島香織著/『赤い帝国・中国が滅びる日
  /経済崩壊・習近平暗殺・戦争勃発』/KKベストセラーズ
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 「チャイナ・リスク」というと、経済崩壊、軍事的脅威、社会
動乱などが頭に浮かびますが、福島氏は「習近平政権自身がチャ
イナ・リスクそのもの」であるといっています。それは、この政
権が、かつての胡錦濤政権や江沢民政権とは、明らかに質の違う
危うさをはらんでいるからである──このように、福島香織氏は
いっているのです。
 少なくとも、現在の習近平政権は、前の胡錦濤政権とは大きく
異なるのです。胡錦濤前主席は共産党一党支配の限界というもの
をよく認識していたのです。北京五輪の終わった後の2008年
12月18日、第11期党中央委員会第3回全体会議30周年記
念日に胡錦濤前主席は次のように指摘しています。
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 私は次のような深い認識に至った。党の先進性も党の執政地位
も一度苦労して手に入れたあとは永遠に続く、というものではな
い。永遠に変化しないというものでもない。過去の先進性と現在
の先進性の意味は同じではない。現在の先進性は永遠の先進性で
はない。・・・党は人民と歴史が付与した重大な使命を受け止め
新しい状況の問題に対処するため自らを建設するためにまじめに
研究せねばならない、改革発展を指導する中でつねに自己を認識
し、自己を強化し、自己を高めねばならないのである。
                ──福島香織著の前掲書より
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 胡錦濤前主席は、共産党体制が危機的状況にあることを深刻に
認識し、政治改革に取り組まなければならないと訴えています。
中国共産党指導者が対外的にこのようなことを発言したのは、初
めてのことであり、それだけ現実認識力が高かったのですが、中
国国内ではそれは「弱さ」に映ったのです。しかも、その肝心の
政治改革をやり遂げる力は、胡錦濤前主席にはなかったのです。
 本当は、2008年の北京五輪は、中国が責任ある大国として
民主・法治国家として生まれ変わるチャンスだったのですが、そ
れを胡錦濤政権は、実現することはできなかったのです。
             ──[米中戦争の可能性/003]

≪画像および関連情報≫
 ●習近平とは何者なのか/ニューズ・ウィーク
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   本誌2011年1月19日号にも書いたが、ウィキリーク
  スが年末に公表したアメリカ国務省の外交公電に、中国次期
  トップ習近平の知られざる素顔を暴く証言が含まれていた。
  「無骨な田舎者」「ビジネス感覚に長けたリーダー」「外国
  を敵視する危ない人物」――人となりを示す情報やエピソー
  ドが少なすぎるせいで、これまで習の素顔をめぐってはチャ
  イナウォッチャーの間でさまざまな憶測が飛び交っていたが
  この証言は論争に終止符を打つかもしれない。それぐらい重
  要な中身が含まれている。
   公電は駐北京アメリカ大使館から09年11月に発信され
  た。情報源は、アメリカ在住の中国人学者だ。在米中国人の
  情報が北京を経由し、地球を半周して国務省に戻った理由は
  定かでないが、そういった不可解さを差し引いても、この学
  者が語る内容は具体的で生き生きとした習近平のエピソード
  にあふれている。公電によれば、学者は習と同じ1953年
  に生まれた。習近平と同じく、父親は新中国の建国に貢献し
  た革命第1世代で、毛沢東の出身地である湖南省の別の村で
  生まれ、初期から中国革命に参加した。学者の説明によれば
  父親は「同時に日本と香港でも生活。労働運動のリーダーと
  して次第に頭角を現し、49年に中国に戻ったあと、初代労
  働部長(大臣)に就任した」のだという。
                   http://bit.ly/2j3NOjN
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習近平国家主席.jpg
習近平国家主席
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 米中戦争の可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする