2016年12月26日

●「トランプ次期政権とゴールドマン」(EJ第4428号)

 2016年も今日を含めてあと6日です。EJは28日までお
届けします。それでこのテーマは終了します。
 ところで、次期大統領に決まったトランプ氏は、世界に先駆け
てなぜ安倍晋三首相に会ったのでしょうか。
 12月24日のことですが、BS朝日の「激論!クロスファイ
ア」に出演した菅官房長官は、司会の田原総一朗氏に同じ質問を
され、会談が成功した理由として次の2つを上げています。
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 1.大統領選投票日の3日前に日本政府はトランプ事務所に
   電話を入れ、当選したときの祝いの電話はどこにかけれ
   ばよいか尋ねている。
 2.当選直後の安倍VSトランプの電話会談の内容は極めて
   好感触で、同席した菅官房長官は「2人はウマが合う」
   ことを感じたという。
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 日本政府がトランプ氏にお祝いの電話をかけたとき、先方の対
応が非常に好意的であったことは確かのようです。菅官房長官に
よると、安倍首相が会談を提案すると、トランプ氏はすぐに同意
してくれたといいます。
 これだけではないのです。EJでここまで述べてきているよう
に、トランプ次期米政権は中国の「一つの中国」を批判し、中国
に対する強硬派を次々と安全保障関係の要職につけています。こ
れを見ると、トランプ次期米政権は、中国に対して相当の強い姿
勢で臨むという強い意思を感じます。
 この米国の中国に対する強硬姿勢は、何かと中国から脅威を受
けている日本にとって好都合です。果たしてこれは偶然なのか、
それともトランプ次期米政権に何らかの狙いがあってあえてやっ
ていることなのでしょうか。
 結論からいうと、けっして偶然ではなく、ちゃんとした考え方
に基づいて行われているのです。その知恵をトランプ氏に授けて
いるのが、米外交政策の超大物であるヘンリー・キッシンジャー
博士ではないかといわれています。
 ここで思い出していただきたいことがあります。トランプ氏は
大統領予備選を勝ち抜き、共和党の大統領候補になることが確定
した直後の2016年5月18日、ニューヨーク在住のキッシン
ジャー博士の自宅を訪ねているのです。これは実に重要な意味を
持っています。
 評論家の副島隆彦氏は、トランプ氏のキッシンジャー博士宅訪
問によって、トランプ氏が次期米大統領になることを確信したと
いいます。それは、トランプ氏がデイヴィッド・ロックフェラー
氏につながってくることを意味するからです。このとき、娘婿の
ジャレッド・クシュナー氏もトランプ氏に同行しています。これ
については2016年8月18日のEJ第4342号でご紹介し
ています。http://bit.ly/2b0mMYc
 もうひとつ、トランプ次期米政権の経済関係の要職の顔ぶれを
見ると、政権の中枢にゴールドマンサックスをはじめ、ニューヨ
ークのウォール街出身の大物が陣取っていることがわかります。
例えば、2016年12月1日付の日本経済新聞には、次の記事
が掲載されています。
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【ニューヨーク=山下晃】トランプ次期米大統領の政権移行チー
ムがゴールドマン・サックスの社長兼最高執行責任者(COO)
のゲーリー・コーン氏(56)を政権の要職に据える検討を進め
ていることが分かった。すでに同社出身のスティーブン・ムニュ
ーチン氏が財務長官に指名されており、実現すればトランプ政権
でのゴールドマン色が一段と色濃くなる。
 米メディアによると、米行政管理予算局(OMB)局長などで
の起用が検討されている。コーン氏は11月29日にトランプ氏
の自宅のトランプタワーを訪れ面会している。
 コーン氏は、現在ゴールドマンのナンバー2。最高経営責任者
(CEO)のロイド・ブランクファイン氏がトップの座を譲らず
コーン氏の行く末はウォール街で度々話題に上る。起用が検討さ
れている行政管理予算局は予算の調整や執行を担う。局長は大統
領に直属し現在のルー財務長官も同ポストを経験しており、政権
の重要ポスト。だが金融業界での格はコーン氏の方がムニューチ
ン氏より上との見方があり、コーン氏が引き受けるかは不透明な
部分が残る。   ──2016年12月1日付、日本経済新聞
                http://s.nikkei.com/2i3ZIcH
─────────────────────────────
 ゴールドマンサックスが政権の中枢に座る体制は、米国の政権
ではずっと続いています。クリントン政権、ブッシュ(子)政権
そしてオバマ政権でも同様です。しかし、これらの政権において
彼らは、いずれも中国の利権狙いの政権であり、日本には厳しい
政権だったのです。しかし、2008年にリーマン・ショックに
見舞われると状況は少しずつ変化してきたのです。
 しかし、トランプ氏は、選挙期間中、ゴールドマンサックスを
「特別利益団体ゴールドマンサックス」と厳しく攻撃していたの
です。クリントン氏とのゴールドマンサックスの資金面での癒着
を批判しての言動です。実際にウォール街は、大統領選では、民
主党のヒラリー・クリントン氏へ7800万ドルもの献金をした
のに対し、トランプ陣営にはその100分の1しか出していない
のです。
 しかし、トランプ氏は選挙に勝利し、大統領になることが確定
すると、ゴールドマンサックスへの批判をひっこめ、逆に積極的
にゴールドマン出身者を採用し始めたのです。財務長官にゴール
ドマンサックスの元幹部のスティーブン・ムニューチン氏を指名
し、新聞報道にあるように、ゴールドマンサックスの社長兼CO
Oのゲーリー・コーン氏を米行政管理予算局の局長に任用しよう
としています。そこには何があったのでしょうか。
            ──[孤立主義化する米国/113]

≪画像および関連情報≫
 ●ウォール街の敵か味方か/2016年11月14日
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   米次期政権の財務長官候補に、JPモルガン・チェースの
  ジェイミー・ダイモンCEOや、ゴールドマン・サックス元
  幹部、スティーブン・ムニューチン氏などの名が挙がってい
  ることが、米CNBCの報道から明らかになった。「大手銀
  行の敵か味方か」と論じられてきたトランプ氏だが、ゴール
  ドマンCEOは「強気の経済政策が市場にポジティブな影響
  をもたらす」と歓迎の意を示している。
   ロイター通信は、下院金融委のジェブ・ヘンサーリング委
  員長も有力視されていると報じている。いずれも内部の事情
  に詳しい関係者筋からの情報で、トランプ氏側から正式なコ
  メントは発表されていない。
   過去に何度か財務長官候補として浮上したことのあるダイ
  モンCEOは、以前から財務長官の地位には興味がない意思
  を明確にしている。またトランプ氏の政治界進出に関しても
  「政治経験のない実業家が大統領になれるはずがない」と一
  貫して否定的な態度を貫いてきた。
   新政権誕生後には「世界に変化の時期が訪れている」とい
  うメモを社内にまわし、「組織リーダーが協力しあって、経
  済成長に貢献する手段を模索する必要がある」と現実を受け
  とめながら前向きに進んでいく方向性を打ちだしている。し
  かしトランプ氏に対する不信感が突如消滅したというわけで
  はないはずだ。          http://bit.ly/2hT0uZc
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ウォール街はトランプ次期政権の味方か.jpg
ウォール街はトランプ次期政権の味方か
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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