2016年12月21日

●「中国を追い詰めている4つの事実」(EJ第4426号)

 現在中国は、米国からすさまじいプレッシャーを受けていると
いえます。それは次の4つの事実と深く関わっています。これに
より、中国軍が南シナ海と東シナ海で、不穏な動きを見せる可能
性があります。
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 1.次期米国トランプ政権の安全保障関連の閣僚人事構想が
   極端に「反中国」である。
 2.トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統からの祝意の電
   話を受け、対話したこと。
 3.トランプ氏がFOXテレビのインタビューで「一つの中
   国」に疑問を示したこと。
 4.米日露が連携を結ぶ動きがあり、安全保障面で中国が脅
   かされる恐れがあること。
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 「1」の反中国閣僚人事構想について述べます。偶然ではなく
十分練られた人事構想であるといえます。
 次期トランプ政権の閣僚人事において、「反中国」の傾向が見
られることは既に述べていますが、さらに新しい情報について書
くことにします。
 トランプ氏は、国務長官にエクソン・モービルCEOのレック
ス・ティラーソン氏を指名しています。ティラーソン氏を強く推
薦した人物は3人いますが、すべて強硬な反中国派であることで
す。いずれもブッシュ(子)政権時の閣僚です。
 1人は、国防長官のロバート・ゲーツ氏です。そしてもう1人
は、国務長官や大統領補佐官を務めたコンドリーザ・ライス氏、
さらにもう1人は、ウィルバー・ロス次期商務長官の下で米通商
代表部(USTR)代表に就く予定の、米大手鉄鋼メーカーCE
Oのダン・ディミッコ氏です。これらの3人は、コテコテの対中
強硬派として知られています。
 さらに、閣僚ではありませんが、ロス商務長官のスタッフに就
任するR・ライティザー、J・ゲリッシュ両弁護士は、中国の鉄
鋼ダンピング問題や国際貿易訴訟を得意としています。よくぞこ
こまで集めたりと思えるほど、反中国の強硬派ばかりの布陣なの
です。中国も当然のことながら、分析をしていると思うので、不
安になるのは当然です。
 「2」と「3」は、トランプ氏による「一つの中国」に対する
見直し発言です。
 トランプ氏の台湾発言は、ついうっかり口にしたのではなく、
十分考えたうえでの発言です。この発言の背景について、中国分
析の第一人者である遠藤誉氏は、次のように解説しています。
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 トランプ氏の周囲には「米国は中国との通商交渉で強硬姿勢を
貫け」と主張する経済学者のピーター・ナブァロ氏や、タカ派の
ジョン・ボルトン元国連大使がいて、中国に対し、「台湾カード
を使え」とアドバイスしているようだ。     ──遠藤誉氏
               ──19日発行の「夕刊フジ」
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 米国は「一つの中国」をなぜ認めたのでしょうか。これには少
し歴史を振り返る必要があります。
 中国と米国は、1972年から国交正常化交渉を始めていたの
です。そのとき台湾が中国の一部かどうかをめぐって、もめにも
めたのです。それで7年の月日が流れています。
 結局ニクソン政権は、泥沼化したベトナム戦争からの撤退のた
め、中ソ対立を抱えていた中国に接近したのです。そのため、米
国は中国が主張する「一つの中国」を受け入れたのです。しかし
現在も台湾とは民間レベルで親密な関係を保っているし、台湾と
の間における事実上の軍事同盟によって「台湾関係法」を結び、
武器を売却するなど、親密な関係にあります。
 これについて、中国はその都度反発しながらも、米国が一応は
「一つの中国」の原則は認めているので、大いに不満ではあるも
のの、米中関係を平和裡に保ってきたのです。
 ところがトランプ氏は、まだ大統領就任前ではあるものの、そ
の「一つの中国」の原則の見直しに言及したのですから、中国が
反発するのは当然といえます。もし、トランプ氏があくまでこれ
にこだわるとどうなるでしょうか。これについて、遠藤誉氏は次
のようにいっています。
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 問題は、トランプ氏が本当に台湾の独立を支持すれば、戦争が
起きる、ということ。中国は2005年に「反国家分裂法」を制
定した。「台湾が独立するなら、武力を行使して鎮圧する」と書
いてある。その心配は。「ビジネスのため、そこまでいかないと
思う。だがトランプ氏は何を言い、何をやるか予測不可能だ」。
               ──19日発行の「夕刊フジ」
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 こういう状況ににおいて、東シナ海と南シナ海において、中国
は、それぞれ不可解なアクションを起こしてきています。
 12月10日、中国軍機6機が沖縄本島と宮古島の間を通過し
たさい、航空自衛隊のF─15戦闘機が、スクランブル(緊急発
進)しています。当然の防衛措置ですが、中国国防省は「空自機
が『妨害弾』を発射して安全を脅かした」と抗議したのです。
これに対して日本側は、妨害弾など発射していないので、「事実
と異なる」と反論・抗議しています。これが東シナ海での中国の
アクションです。
 南シナ海については、12月15日午後、中国海軍が、米海軍
の測量艦「パウディッチ」が、水中グライダー2機を回収しよう
としたところ、中国海軍艦艇が割って入り、1機を強奪するとい
う不可解な行動をとったことです。これについては、昨日のEJ
で詳しく述べています。中国は何を狙っているのでしょうか。こ
れについては、明日のEJで続いて取り上げます。
            ──[孤立主義化する米国/111]

≪画像および関連情報≫
 ●宮古海峡沖を中国軍用機6機が通過
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   12月10日午前、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡の上
  空を中国軍のSU30戦闘機2機や情報収集機など合計6機
  が通過したと発表されました。航空自衛隊戦闘機がスクラン
  ブル発進(緊急発進)し対応しましたが、中国機による領空
  侵犯はなかったようです。同日夜になり、中国国防省が定例
  の遠洋訓練をしていた中国空軍機に対し、虚空自衛隊の戦闘
  機「F−15」2機が接近し、妨害弾(フレアとみられる)
  を発射し乗員の安全に危害を与えたとして、日本側に厳重な
  申し入れを行ったと発表しました。
   自衛隊機による同様の対応は今年夏頃にも起きており、中
  国軍機による攻撃動作(ミサイルロックオン)を回避する為
  フレアを作動させ退避しています。防衛省によると「中国機
  の飛行を妨害した事実はない」とコメントしており、この騒
  ぎは日本国内でも報じられています。
   防衛省の発表によると10日午前、中国軍用機(戦闘機な
  ど)6機が東シナ海から沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を
  抜け、太平洋の方面に飛行したということです。確認された
  のは「SU30戦闘機」2機、「H6爆撃機」2機、「TU
  154情報収集機」1機、「Y8情報収集機」1機の合わせ
  て6機。その後、SU30戦闘機2機はUターンして東シナ
  海方面に戻ったということですが、ほかの4機は先島諸島の
  太平洋側を南西方向に飛行したということです。
                   http://bit.ly/2hM0QBu
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中国軍戦闘機/沖縄/宮古島.jpg
中国軍戦闘機/沖縄/宮古島
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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