2016年12月05日

●「ロシアは真にハッキングの犯人か」(EJ第4414号)

 絶対有利とみられていたヒラリー・クリントン氏が大統領選に
敗れた原因はいろいろあるものの、最も大きなダメージは、その
出陣式ともいうべき民主党全国大会の直前に「民主党の中心人物
7人」の1万9000通以上のメールが、内部告発サイトのウィ
キリークスによって白日の下に晒されたことであるといえます。
 どうしてかというと、これによって予備選でサンダーズを支持
した共和党の支持者がクリントン氏から完全に離れたからです。
それは当然です。候補者をサポートすべき民主党全国委員会(D
NC)が、クリントン氏を当選させるために、サンダーズ氏を潰
そうと画策していたことがバレてしまったからです。
 もし、民主党全国委員会のサーバーのハッキングが本当にロシ
アによるものであるとすれば、このハッキングとメールの公開は
クリントン氏を不利にさせ、トランプ氏を勝たせるためにはきわ
めて効果的であったことになります。
 しかし、当のロシアのプーチン大統領は、2016年9月1日
にブルームバークの取材に応じ、DNCのサーバー侵入事件につ
いて、次のように述べています。
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 ・よく聞きなさい。そもそも誰がハッキングしたのかは重要で
  はない。重要なのは国民に公開された情報の内容だ。そちら
  について議論するべきである。
 ・犯人捜しにつながる些細な物事を論点にして、国民の関心を
  「問題の本質」から反らす必要はない。
 ・それでも私は、ふたたび言おう。この事件に関して私は何も
  知らない。またロシアが国家レベルで、それを行ったことは
  一度もない。           http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 ロシアがこの情報漏洩に関わったかどうかは本当のところは不
明ですが、常識的に考えれは、ロシアのサーバー攻撃を担当する
チームが、DNCのサーバーをハッキングし、そのメール情報を
ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏に提供した可能
性は高いと思います。しかし、当然のことながら、アサンジ氏は
「そのような証拠は一切ない」という微妙な表現で、そのことを
否定しています。
 しかし、プーチン大統領は「ロシアがやったのではない」と明
確に否定しているものの、まるでブルームバークの記者をからか
うかのように、次のような趣旨のことを述べています。
─────────────────────────────
 仮にロシアが、機密情報を利用して、米国の大統領選挙に影響
を与えたいと願ったとしても、米国の政治は複雑な色合いを持っ
ており、それを理解することは、わが国の外務省にいる専門家で
すら、それを汲むのに充分な感性を持っているのか、私には確信
がもてない。   ──プーチン大統領 http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 これに対して米国当局は、2016年7月25日、この情報漏
洩事件について、「どのようにしてDNCのサーバーがハッキン
グされたのか。またこの侵害が、ロシアがトランプに利益をもた
らすための事件か否かについて、現在FBIは、鋭意捜査してい
る」という見解を表明したのです。
 つまり、FBIは、DNCのサーバーのハッキングが、プーチ
ン大統領と犬猿の仲のヒラリー・クリントン氏より、プーチンに
友好的なトランプ氏を大統領にすることを望んで行われたロシア
によるハッキングではないかということがいいたいのです。
 これに対して、9月7日付の「RT/旧ロシア・トゥデイ」は
次のように米当局に反論しています。
─────────────────────────────
◎タイトル「米国のメディアが、DNCのスキャンダルを誤魔化
 すため、反ロシアの『魔女狩り』を始めた」
 極めて重要な選挙が行われる年に、大量の漏洩メールによって
「民主党の姑息な取引」が暴かれたとき、米国のメディアは何を
しようとするだろう?もちろん、ロシアの批判だ。
 さまざまな国に諜報活動を働いている張本人でありながら、証
拠もないまま、米政府はロシアへの帰属ばかりを続けている。米
メディアも、国内のスキャンダルに触れようとせず、米国の主張
をまことしやかに伝えている。     http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 ロシアによると思われる米大統領選の関与は、投票にまで及ん
でいる可能性があります。現在、米国での選挙の投票は、電子投
票と紙による投票の二本立て行われています。
 しかし、電子投票機は不正操作などに弱く、紙による記録も残
らないので、正確に集計できないとの懸念が根強いのです。それ
でも未だに広く普及しており、ロイターの調べによると、11月
の米大統領選では、国民の4人に1人が電子投票機で投票するこ
とになります。ロシアのハッキングは、この電子投票に影響を与
えた可能性があります。
 ロイターが、米国勢調査局、選挙補助委員会、選挙監視団体な
どのデータを分析したところ、全国民の25%に当たる4400
万人の有権者が、電子投票機を使う管区に住んでいる計算になり
ます。このなかには、ジョージア、ペンシルベニア、バージニア
といった激戦州も含まれているのです。
 とくに次の3州は票差が非常に少なく、再集計が求められてお
り、ウィスコンシン州は再集計をすることが決まっています。も
し、この3州の結果が覆ると、クリントン氏が逆転します。
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              選挙人     票差
     ウィスコンシン  10人   0・7%
     ペンシルベニア  20人   1・2%
        ミシガン  16人   0・3%
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/099]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選3州で不正操作か/専門家が不審な傾向を指摘
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  (CNN)今月8日に投開票された米大統領選をめぐり、激
  戦となった一部の州で票数が不正に操作されたり、コンピュ
  ーターシステムへの不正侵入があったりした可能性を、著名
  な専門家らのグループが指摘していることが23日までに分
  かった。
   ミシガン大学のコンピューター科学者、アレックス・ホル
  ダーマン教授らによると、大統領選で民主党地盤とされなが
  ら共和党のドナルド・トランプ氏が制したウィスコンシン、
  ミシガン、ペンシルベニア各州の集計結果に不審な傾向がみ
  られるという。同教授らのグループは17日、敗北した民主
  党候補、ヒラリー・クリントン氏の陣営幹部らに対し、3州
  の再集計を要請するべきだと申し入れた。
   申し入れの内容に詳しい情報筋によれば、これらの州では
  機械を使った電子投票方式の郡でクリントン氏の獲得票が少
  なく、投票用紙に記入する方式の郡での票数を7%も下回っ
  ていたことが判明した。グループは、不正侵入の証拠が見つ
  かったわけではないとしたうえで、独立機関による調査が必
  要だと主張している。米誌ニューヨーク・マガジンが最初に
  報じた。CNNは、同グループやトランプ氏の政権移行チー
  ムに取材を試みたが、22日夜の時点で回答は得られていな
  い。クリントン陣営の関係者は、この指摘に基づく監査を要
  請するかどうかについて明言を避けた。
                   http://bit.ly/2fOxvBq
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米国の電子投票機.jpg
米国の電子投票機
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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