2016年11月29日

●「失敗したヒラリーメールの火消し」(EJ第4410号)

 米大統領選におけるテレビ討論において、トランプ氏とクリン
トン氏は次のやり取りをしています。
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 クリントン:ドナルド・トランプのような人間に米国の法律が
       任されていないのは喜ばしいことだ。
  トランプ:もし、俺様が法律を担う立場なら、お前は確実に
       刑務所行きだ!
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 まことに低レベルのやり取りですが、クリントン氏には、リビ
ア侵攻、アルカイダ支援、ショックドクトリン、それにクリント
ン財団、ウォール街との癒着、そして公務に私的メールの使用と
まるで米国版「疑惑の総合商社」です。これでもし選挙に負ける
と「刑務所行き」も十分あり得ることだったのです。実際にヒラ
リーメール問題についてトランプ氏は、特別検察官を任命して、
問題を追及すると明言していたのです。
 しかし、選挙終了後、トランプ氏は、ヒラリー疑惑をどうする
のかについてニューヨーク・タイムズ紙の記者に問われると、次
のように答えているのです。
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 私は前に進みたい。後退したくない。クリントン一家を傷つけ
たくないんだ。本当にそんなことしたくない。彼女は大変な思い
をしてきたし、いろいろな形でとても苦しんできたからね。
                 ──ドナルド・トランプ氏
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 まるで「仏のトランプ」への変貌です。しかしこれについて、
トランプ氏の支持者たちは強く反発しています。共和党支持者で
ある「レッド・ステイト・コム」は、約束していた特別検察官を
任命しないなら、「この候補は、これまで本人が主張していたよ
うな人間ではないという赤裸々な事実」が明かされることになる
と書いています。赤(レッド)は共和党の色であり、共和党の強
い州は「レッド・ステイト」と呼ばれるのです。
 また、トランプ氏を強力に支持してきた右派メディア「ブライ
トバート・ニュース」は、「約束が違う」とトランプ氏の立場修
正を非難しています。ブライトバートの前最高経営責任者は、ス
ティーブ・バノン氏であり、彼は次期トランプ政権の首席戦略官
に任命されているので、ヒラリーメール問題がトランプ氏のいう
ようにこのままになるとはとても思えないのです。
 今回の米大統領選においてクリントン陣営は、終始ヒラリーメ
ールの対応に追われ、その結果選挙に敗れるという最悪の結果に
終わっています。しかも、この問題は大統領選が終了してもまだ
終わっていないのです。
 ヒラリーメール問題があまねく世界の知るところとなったのは
2015年3月3日付のニューヨーク・タイムズ紙の報道です。
その翌日、AP通信がヒラリーメールを追跡した結果、ニューヨ
ークチャパクア地区にあるクリントン氏の自宅のサーバーにたど
り着いたと報道しています。
 クリントン氏のITの知識は十分ではなく、自宅のサーバーは
元国務省職員でクリントン氏の選挙スタッフのブライアン・パグ
リアンス氏によってセットされたこともわかっています。しかし
そのサーバーには何のセキュリティ対策も施されていなかったと
いわれます。これでは、メールが流出するはずです。もし表に出
せないメールをやり取りするのであれば、もっと厳重なセキュリ
ティー対策を施すべきであったのです。
 そして、ニューヨーク・タイムズ紙報道の1ヶ月後の2015
年4月12日に、ヒラリー・クリントン氏は大統領選への出馬を
正式に表明しています。クリントン氏にとって最悪のタイミング
での出馬表明になってしまったといえます。
 その点日本の政治家は、閣僚でも平気で個人のメールアカウン
トを使うし、普通の携帯電話で重要な会話をやり取りしているの
です。安倍首相ですらドコモのケータイを使っています。要職に
ある者は、たとえ個人的な対話でもすべてが公務になると認識す
べきです。ヒラリーメールの深刻さについて、副島隆彦氏は次の
ように述べています。
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 ヒラリーが国務長官に就任した(2009年1月)後、すぐに
この私的なメール・アカウントを契約して使い始めた。ヒラリー
が、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウント(暗号
化され三重に防衛されている)を使わずに、個人アカウントのメ
ールで、自分の手下、配下の国務省の下部組織である、CIAの
特殊部隊(暗殺部隊、破壊工作班)をいいように使っていた。そ
れが、ヒラリー・メールの公表とともに今どんどんバレようとし
ている。それがまさしくべンガジ事件であり、ヒラリー・メール
問題だ。ヒラリーはもう逃げられない。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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 クリントン陣営としては、当然ヒラリーメール問題の火消しを
必死になってやっています。気になるのは、2016年6月27
日に、ロレッタ・リンチ米司法長官が、ビル・クリントン元大統
領と密談していたことです。ヒラリー氏の夫であるビル・クリン
トン元大統領はこの事件の利害関係人であり、司法長官は会うべ
きではないのです。
 それも話し合っている場所が異常な場所なのです。アリゾナ州
の空港に駐機していた司法長官専用機の中で、2人は何かを話し
ていたのです。時期が時期だけにそれがヒラリーメール問題であ
ることは明らかであると思います。
 しかし、後に何を話したのかについて聞かれたリンチ司法長官
は「ビル・クリントン氏とは孫とゴルフの話をしただけ」と答え
ています。そんな話なら、空港のティールームでも話せばよいの
です。         ──[孤立主義化する米国/095]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリー氏/夫の失態で窮地に!
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   クリントン元大統領と言えば、マサチューセッツ州の予備
  選でも選挙違反と思しき行動を取って一部で猛烈な批判を浴
  びたものです。今度は、妻ヒラリーのメール問題の調査をめ
  ぐり最終段階にある米司法省の長官に歩み寄るという失態を
  犯してしまいました。
   オブザーバーによると、アリゾナ州のフェニックス空港に
  て離陸するはずのクリントン元大統領が乗ったプライベート
  ・ジェット機は、ロレッタ・リンチ米司法長官が控える航空
  機が同じ滑走路に着陸するまで待機していたといいます。明
  らかに、クリントン元米大統領が面会する機会を伺っていた
  と解釈できますよね?リンチ米司法長官と言えば、当時大統
  領だったクリントン氏にNY東部地区連邦地方裁判所の判事
  に指名された人物です。
   妻のクリントン候補は暫く沈黙していたものの、FBIで
  聴取を受けた後にNBCのインタビューに応じるなかで夫と
  ロレッタ米司法長官との面会に触れ「短い、偶然の機会だっ
  た」と振り返っていました。その上で、両者の顔合わせがい
  かに政治的に批判を招くものだったかとお互い認識したと言
  及、二度とこうした面会はないと述べた一方で「後の祭り」
  と断っていました。もともと、クリントン元大統領は空港で
  誰かに話しかける癖があったようです。
                   http://bit.ly/2gtUVQW
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ロレッタ・リンチ米司法長官.jpg
ロレッタ・リンチ米司法長官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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