2016年11月25日

●「トランプ次期政権は対中強硬政権」(EJ第4408号)

 トランプ次期米大統領は、日本時間の22日、就任初日に実行
する政策を示したビデオメッセージで、「TPPから離脱する」
という声明を発表しています。選挙中にあれほど明確にいってい
たのですから、「やっぱり!」という感じです。
 TPPをアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけていた安倍首
相としては、さぞがっかりしていると思いますが、TPPはそれ
ほど日本にとって利益のある協定なのでしょうか。
 当の安倍首相も首相になる前はTPPに反対だったはずです。
それを米国に歩調を合わせるため、それが中国封じ込めにもつな
がるとの判断から加盟に踏み切った経緯があります。それに協定
の内容の細部はまだ国民に十分知らされてはいないのです。
 元大阪市長の平松邦夫氏は、TPPについてブログで次のよう
にコメントしています。
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 「戦後史の正体」で孫崎享さんが指摘されているように、対米
追随外交の歴史が日本をここまで「属国、属領」的な形に落とし
込めているという指摘をどう受け止めるのでしょうか。
 東京新聞がすっぱ抜いたように、見えない情報、いや意図的に
見せない情報の存在が明らかになっているのに、政治家も、大手
メディアも、経済界も「見えないことにしていきましょう」とい
う前時代的な国民懐柔(誘導)策がいつまで通用すると思ってい
るのでしょうか。
 自民党は、「日本国憲法」をアメリカから押し付けられた憲法
であり、「自主憲法」制定を党是としていた筈。なのに、国民の
暮らしを支えているはずのわが国の健康保険制度、ただでさえ確
かでない食糧自給、そんなこの国の現状を、より、アメリカ主導
型の見せかけの貿易自由協定に踏み込もうというのか。
           ──平松邦夫氏 http://bit.ly/2fT1D20
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 確かに中国のなりふり構わない力にものをいわせる現状変更は
許しがたいものがあります。しかし、対中国封じ込めに関しては
ここにひとつの重要な情報があります。
 11月22日発行の「夕刊フジ」の冒頭で、ジャーナリストの
加賀孝英氏が、米情報当局者の間で、トランプ氏が「対中強硬方
針を決断した」という情報が広がっていると伝えています。そし
て、加賀孝英氏は次のように述べています。
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 トランプ氏は選挙期間中、日本やドイツも批判していたが、一
番激しく攻撃していたのは中国だ。彼は以前から「アンチ・チャ
イナ」を前面に出していた。いわく、「大統領就任初日に中国を
『為替換作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強
化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主
義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ
海で米軍の存在感を高める」・・。まさに中国との「通貨戦争」
「貿易戦争」「全面衝突」すら辞さない決意表明ではないか。
        ──2016年11月22日発行「夕刊フジ」
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 加賀氏はもうひとつ重要な情報を伝えています。それは「なぜ
トランプ氏は勝利できたのか」ということです。それは、米国防
当局と米軍、そしてFBI周辺の陰ながらのバックアップがあっ
たからだという考え方です。つまり、いわゆる「隠れトランプ支
持者」とは、国防当局と軍とFBIであるというわけです。
 加賀氏は、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報として
次のように述べています。
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 国防当局と軍は、オバマ政権の「対中腰抜け政策」に激怒して
いた。彼らは常に、南シナ海や東シナ海で、中国への強硬策を進
言してきたが、オバマ政権は口だけで逃げた。米国のアジアでの
威信は地に落ち、混乱した。オバマ政治を継続するヒラリー氏は
容認できなかった。         ──前掲の「夕刊フジ」
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 確かにオバマ大統領の対中国政策は、ひどいものだったといえ
ます。その証拠に任期中に国防大臣が3人も辞任しています。ロ
バート・ゲイツ、レオン・パネッタ、チャック・ヘーゲル3氏が
辞任し、現在は4人目のアシュトン・カーター氏が国防長官を務
めています。こんなことは前代未聞です。
 トランプ氏は、次期国防長官に対中強硬派で知られるジェーム
ズ・マティス元中央軍司令官を検討しているといわれます。この
マティス氏は海兵隊上がりで、最終階級は大将。NATO変革連
合軍最高司令官、アメリカ統合戦力軍(USJFCOM)司令官
アメリカ中央軍(CENTCOM)司令官などの要職を歴任して
います。もし、マティス氏に決まると中国は大ショックです。
 さらにトランプ氏は、ロシアのプーチン大統領と会い、連携を
考えています。もし、これが実現すると、シリア内戦をめぐる米
露対決は解決し、イスラム国掃討作戦で結束できます。
 そのためにトランプ氏は、今後軍事費を約300億ドル(約3
兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図るものと思われ、
同盟国にも相応の負担増を求めてくると思われます。
 こういった話は、11月17日の安倍VSトランプ会談でも出
ているはずです。アジア問題を重視しているからこそ、他国に先
がけてトランプ氏は安倍首相と会ったのです。そのため、中国は
相当神経質になっているのです。
 確かに加賀氏の情報が正しいとすると、FBIのコミー長官が
ヒラリーメール問題を小出しにして、クリントン氏を揺さぶった
ことは理解できます。それはトランプ氏勝利に貢献したのです。
FBI内部では「なぜヒラリー氏を起訴しないのか」という不満
がうず巻いていたといわれます。
 コミー氏は、国防総省に近いロッキード・マーチン社の役員も
務めており、内部から相当強い突き上げがあったものと考えられ
ます。         ──[孤立主義化する米国/093]

≪画像および関連情報≫
 ●次期米大統領、対中政策は強硬に/WSJ
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  【上海】中国の指導部は、米大統領選挙の候補者たちによる
  中国バッシングに耳を塞ぐことを学んできた。米選挙戦での
  結局は無害な気まぐれだとして、そうしたバッシングを無視
  したのだ。投票が終われば元の鞘に収まっていつも通りにな
  るだろう、と彼ら中国指導者は予想している。
   彼らは何度となく正しかった。ニクソン大統領による19
  72年の訪中以降、共和党であれ民主党であれ新政権は中国
  政策について、前政権が中断したところからまた始めるのが
  常だった。
   だが、今回の選挙は、従来とは異なる結果をもたらすはず
  だ。それはニクソンの関与政策のおおざっぱな練り直し(つ
  まり米政策担当者サークルと企業役員室において依然として
  根強い支持を集めているアプローチ)ではなく、ある種の再
  調整である。中国に向けた米国の態度は現在、政策スペクト
  ラム全域で硬化しつつある。ヒラリー・クリントン氏とドナ
  ルド・トランプ氏のいずれが勝つにしても、勝者は貿易と投
  資から南シナ海に至るまで、さまざまな争点で従来以上に強
  硬な路線を追求する公算が大きい。一方、中国の習近平国家
  主席は、毛沢東時代の反米的な態度とスローガンをこれまで
  復活させてきたが、来週の米大統領選投票を前に自らの権力
  を一段と高めた。       http://on.wsj.com/2gnPeBq
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ジェームズ・マティス氏.jpg
ジェームズ・マティス氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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