2016年11月18日

●「なぜクリスティー氏は外されたか」(EJ第4404号)

 トランプ次期米大統領の政権移行チームがもめています。これ
はヒラリー・クリントン氏のメール問題にも影響が及ぶ可能性が
あるので、取り上げることにします。
 これについて、ブルームバークのサイトでは、次のように伝え
ています。
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 ドナルド・トランプ米次期大統領の政権移行チームでは、内紛
で新政権の人選が妨げられているようだ。その根拠の一つがトラ
ンプ氏の長女の夫、ジャレッド・クシュナー氏がクリスティー・
ニュージャージー州知事のグループを排除しようとしているとの
情報だ。
 こうした見方の背景となったのは、クリスティー氏が政権移行
チームの国家安全保障分野のリーダーに起用したマイク・ロジャ
ース元下院議員が11月15日、突然同チームを離れると表明し
たことだった。事情に詳しい2人の関係者が人事問題を理由に匿
名を条件に明らかにしたところによれば、議員時代に下院情報特
別委員長を務めていたロジャース氏の離脱はクリスティー氏とク
シュナー氏の摩擦による実質的な解任だという。クリスティー氏
は政権移行チームを率いていたが、11日に発表された新体制で
降格となり、新たなリーダーにはマイク・ペンス次期副大統領が
就いた。   ──2016年11月16日付、ブルームバーク
                   http://bit.ly/2fYdwk7
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 クリス・クリスティーニュージャージー知事といえば2016
年度米大統領選の予備選に立候補しながら、自分への支持が集ま
らないと見ると、早くからトランプ氏への支持を表明し、トラン
プ氏の選挙活動に付き添ってサポートしていた人物です。
 7月19日の共和党全国大会では、党大会の演説で、模擬裁判
を開廷し、クリントン候補の犯罪疑惑リストを読み上げて糾弾し
たことは既に述べた通りです。
 つまり、早くからトランプ氏有利とみて、トランプ氏勝利のさ
いは、人事などで、主導権を取ろうとしたフシがあります。そし
て実際にトランプ氏が勝つと、政権移行チームの委員長になると
思われていたのです。
 しかし、委員長になったのは、次期副大統領のマイク・ペンス
氏であり、クリスティー氏は副委員長にとどまったのです。この
ことが、クリスティー氏に近いマイク・ロジャース元下院議員の
政権移行チームからの離脱につながったとみられています。政権
移行チームは、明らかにクリスティー氏一派を外そうとしている
ことは確かです。
 なぜ、クリスティー氏は外されたのでしょうか。クリスティー
氏は、トランプ陣営に取って、今回の選挙の功労者の一人です。
クリスティー氏が外された理由について、11月17日付の朝日
新聞朝刊は次のように書いています。
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 米メディアによれば、移行チームの委員長から、ニュージャー
ジー州のクリス・クリスティー知事を外させたのは、クシュナー
氏(トランプ氏の長女イヴァンカ氏の夫)の意向とされる。かつ
てクリスティー氏が検事時代に、クシュナー氏の父を脱税や違法
政治献金などで起訴、刑務所暮らしを強いられたことへの意趣返
しとも報じられる。
 今回のロジャー氏の離脱も、クリスティー氏に近い人物だから
との説もささやかれる。首席補佐官にプリーバス氏を強く推した
のも、クシュナー氏とイヴァンカ氏だった。
        ──2016年11月17日付、朝日新聞朝刊
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 クリス・クリスティー氏が副委員長にとどまった理由について
は別の見方があります。それは、10月にトランプ氏の女性蔑視
発言が報じられたときに、クリスティー氏はトランプ氏を擁護す
ることを拒否し、トランプ氏の不興を買ったのが原因であるとい
う説で、17日付の日本経済新聞が報じています。
 このように、クリスティー氏はニュージャージー連邦地検検事
正を務めていたことがあり、今回政権移行チームを離脱したマイ
ク・ロジャー氏も連邦捜査局(FBI)の特別捜査官や下院情報
特別委員長を歴任しているなど、クリントン氏のメール問題摘発
に深く関与している人物です。この2人が新政権の主流から外れ
つつあることは、クリントン氏のメール問題の今後の進展に影響
を与えるものと思われます。
 しかし、その一方において、クリスティー氏が司法長官になる
可能性はあります。何といってもクリスティー氏は早い段階でト
ランプ氏への支持を表明しており、トランプ政権誕生の功労者の
一人です。確かにクシュナー氏との確執はあったとしても、閣僚
になる可能性は残っています。そうなると、クリントン氏のメー
ル問題は真相解明に急速に動くと思われます。
 ヒラリー・クリントン氏の私的メール問題は、リビア・ベンガ
ジ事件に深く関与しており、副島隆彦氏や巷間いわれている噂が
本当であるとすれば、オバマ政権にも関わる国家犯罪ともいえる
ものであり、ヒラリー氏への訴追は不可避になります。共和党と
しても、あれほど選挙期間中に問題にし、アッピールし続けたク
リントン氏の私的メール問題を、選挙に勝利したからといって、
このまま放置することは許されないことです。
 次期トランプ政権は、ブッシュ(子)政権以来の共和党政権で
あり、議会も上下両院を共和党が制しています。この問題に決着
をつけるには絶好の環境にあります。コミーFBI長官が「問題
なし」としたクリントン氏への捜査を新しい体制によって、捜査
再開が行われるものと思われます。
 EJでは、これまでと同様に、今後のトランプ氏の政権づくり
の動きを注視しながら、副島隆彦氏の本などを参照して、クリン
トン氏のメール問題を追及していきます。
            ──[孤立主義化する米国/089]

≪画像および関連情報≫
 ●米政権移行チームが大混乱/2分で分かるアメリカ
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   アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、政権始動に
  向けホワイトハウスの重要ポストや閣僚の人選を本格化して
  います。
   政権移行チームのリーダーを務めるのはマイク・ペンス次
  期副大統領。先週金曜日、ニュージャージー州のクリス・ク
  リスティーズ知事から代ったばかりです。チームには、トラ
  ンプ氏の長女であるイヴァンカさんをはじめとした家族、シ
  リコンバレーの投資家ピーター・ティール氏、弁護士で元ニ
  ューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏のほか、ワシン
  トンに拠点を置くシンクタンク、ヘリテージ財団の関係者が
  含まれています。
   こうした中、政権移行チームで安全保障問題を担当してい
  たマイク・ロジャーズ氏が15日、チームを抜けました。ロ
  ジャーズ氏は、下院の諜報委員会の元委員長で重鎮。また、
  ジュリアーニ氏は司法長官のポストを辞退しました。
   ニューヨーク・タイムズ紙は政権移行チームの作業が「遅
  れ」から「停止寸前」に変わりつつあると報じました。政権
  移行は通常、速やかに、計画的に進むものだが、スタート時
  点の遅れと不透明感がトランプ政権のスタートに影響する可
  能性があるとしています。     http://bit.ly/2f3pPuK
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ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻.jpg
ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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