2016年11月15日

●「メール問題はこのままにできない」(EJ第4401号)

 「反トランプ」デモが止まらない。選挙から4日経つのに拡大
するばかりです。クリントン候補に60%以上の州民が投票した
というカルフォルニア州では、アメリカ合衆国からの離脱・独立
の動きがはじまっています。これを英国離脱の「Brexit」にちな
んで「Calexit」 を呼んでいます。
 米国では、南部11州が奴隷制度廃止に反対し、1860年代
に連邦を離脱し、「アメリカ南部連合」を結成したことがありま
したが、合衆国からの離脱の動きはそれ以来のことです。それほ
どトランプ大統領の誕生は米国にとって大衝撃なのです。
 今回のトランプ氏の選挙戦の戦いを見ていると、共和党とトラ
ンプ氏の「デキレース」ではなかったかと思われます。共和党と
しては、予備選のトランプ氏の戦いを見ていて、共和党としては
トランプ氏には予備選のように自由に選挙戦を戦わせ、ときにト
ランプ氏の発言をめぐって党本部と対立することはあっても、党
本部としては、ひたすらクリントン氏の最大の弱点である「私用
メール問題」を徹底的に追及する高等戦略をとったのではないか
と思われます。見事な役割分担が功を奏したのです。
 それを象徴するように、トランプ氏は勝利宣言では、選挙戦と
は一変してまともな発言をし、対立していたライアン下院議長と
会うとともに、政権移行チームのトップに副大統領になるペンス
氏を据えて、共和党本部の支えを得ながら、新政権づくりを進め
ようとしています。11月13日の朝日新聞は、その模様をトッ
プ記事に掲げています。
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◎政権移行 共和党頼み
 米国のトランプ次期大統領が11日、政権移行チームの陣容を
刷新した。来年1月の政権発足に向け、閣僚など膨大な政治任用
ポストを埋めるには準備不足は否めず、ワシントンでの政治経験
の長いペンス次期副大統領を執行委員長に充てた。選挙期間中は
対立してきた共和党の支えも得ながら人選し、新政権づくりを進
めたい考えとみられる。    ──2016年11月11日付
                       朝日新聞朝刊
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 ところで、クリントン氏の私用メール問題は今後どうなるので
しょうか。
 これは、単なる選挙用の攻撃材料としては終わらないと考えら
れます。しかし、真相が明らかになると、米国の国益にも深く関
わる事件であるので、捜査は継続されるものの、本当のところは
どうだったのかはわからないままになる可能性があります。そし
て、陰謀論的なかたちでいい伝えられると思います。
 しかし、副島隆彦氏の本では、メール問題について衝撃的な真
相が明らかにされています。EJでは、副島氏の本を手掛かりと
して、ネットの情報も加えて真相に迫るつもりです。
 ヒラリー・クリントン氏が国務長官に就任したのは、2009
年1月21日のことです。就任直前の1月13日、クリントン氏
は国務省には内緒で自宅の地下にある個人サーバーで、マイクロ
ソフト社と契約し、次のアカウントを登録しています。それまで
の上院議員時代には別のメールアドレスを使っていたのです。
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  Clintonemail.com /プロバイダー=マイクロソフト社
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 クリントン氏は、2009年3月18日から、上院議員時代の
メールアドレスを使うことをやめ、自宅地下の個人サーバーのア
カウントを使いはじめたのです。そして、上院議員時代のすべて
のメールを削除し、復元しないようにしています。このような私
用メールは政府の閣僚が絶対にやってはならないことです。
 米国では、閣僚は私用のメールアドレスを使って公務をするこ
とは許されず、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウ
ントを使うことになっています。これは携帯電話でも同様であり
閣僚になると、たとえ私的な会話であっても、外部に流出すると
問題になるので、セキュリティが万全の特殊な携帯電話を使うこ
とになっています。
 2012年9月11日、エジプトやリビアなどアラブ諸国のア
メリカ在外公館が次々と襲撃されたのです。これによって、在リ
ビア・アメリカ領事館のクリストファー・スティーブンス駐リビ
ア大使ら4人が殺害されたのです。これがリビア・ベンガジ事件
といわれる事件です。死亡したスティーブンス大使は、ヒラリー
・クリントン氏の忠実な部下の一人だった人物です。
 ところがこの事件に不審を抱いた民間団体があるのです。ジュ
ディシャル・ウォッチという行政を監視する民間団体です。この
民間団体によって新事実が次々と暴かれるのです。その新事実と
は、次のようなことです。
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 2012年9月11日にベンガジの米領事館と中央情報局(C
IA)の活動拠点がテロリストに襲撃された数日後にホワイトハ
ウスが送信した電子メールで、新たな事実が発覚した。これらの
メールは昨年、事件への対応と事後処理に関するすべての文書だ
とオバマ政権が主張した資料には含まれていなかった。保守系の
監視団体ジュディシャル・ウォッチによる情報公開請求を受けて
4月29日に公表されたこのメールを見ると、オバマ政権がなぜ
メールを隠そうとしたのかが分かる。
                 http://on.wsj.com/2f4Rtbf
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 この事件がどうして起きたのかについて、オバマ政権は、ユー
チューブに投稿された不明瞭な反イスラム動画に対する自然発生
的な抗議行動が原因であるとし、自らの関わりを一貫として否定
したのです。このときは、クリントンのメール問題は何も表には
出ていないのです。それが明らかになるのは、2013年3月3
日のことです。あるハッカーによるハッキングがきっかけで判明
したのです。      ──[孤立主義化する米国/086]

≪画像および関連情報≫
 ●「ベンガジ疑惑」を乗り越えたヒラリ−と暴言トランプ
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   ヒラリー・クリントンに対して共和党は「ベンガジ事件」
  に関する疑惑を執拗に追及しています。この事件は2012
  年9月11日にリビアのベンガジにあったアメリカ領事館で
  クリストファー・スティーブンス駐リビア大使ら国務省およ
  びCIAの職員4人が、重武装をした勢力の攻撃を受けて殺
  害されたものです。
   この事件に関して共和党は、発生直後から事件当時国務長
  官として在外公館の安全確保に責任を負っていたヒラリーに
  「過失」があったのではないかという追及を続けています。
  重要なドラマとしては、まず2013年1月には「上下両院
  合同の調査委員会」が開催され、ジョン・マケイン上院議員
  (共和)などが代わる代わるヒラリーを追及したのです。
   その13年の喚問では、感情的にふるまって悪印象を与え
  たヒラリーですが、2015年10月にあらためて下院調査
  委員会に証人として召喚された時には、慎重に言葉を選びつ
  つ堂々と受け答えをしており、11時間におよぶロングラン
  の喚問を「破綻なく」乗り切りました。ですが、共和党の追
  及はこれで完全に止むことはありませんでした。その追及で
  は、まず「当時ベンガジで起こりつつあった武装勢力の攻撃
  について、アメリカで発生した『ムハンマド侮辱ビデオ』に
  反対する平和的なデモと同様だと誤認したこと」が、結果的
  に大使の死につながったのではという疑惑、そして「その疑
  惑に関してモミ消しを図ったのではないか?」という疑惑の
  2点が焦点になっています。    http://bit.ly/29avNdY
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ベンガジ米領事館襲撃事件.png
ベンガジ米領事館襲撃事件
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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