2016年11月14日

●「ヒラリーメール疑惑捜査再開必至」(EJ第4400号)

 米大統領選挙中、共和党のトランプ陣営は、トランプ氏の価値
に言及するよりもひたすらクリントン候補の欠点を痛烈に批判す
ることに重点を置いたのです。それは、このさい何が何でも政権
を民主党から取り戻す共和党の戦略だったといえます。
 予備選においてトランプ氏は、当初泡沫候補の扱いをされてい
ましたが、意外にも予備選を勝ち抜いて、共和党の大統領候補の
資格を勝ち取っています。しかし、その時点でもトランプ陣営は
政治経験と知名度抜群のヒラリー・クリントン候補に勝てるとは
到底思えないほど劣勢だったのです。トランプ陣営にとって、ク
リントン氏はそれほど強大な候補であったといえます。
 したがって、トランプ陣営は、政策で争ったら到底勝てないの
で、相手の欠点を徹底的に衝く戦略をとったのです。その最大の
焦点はクリントン氏のメール問題です。トランプ陣営はこの問題
を徹底的に調べ上げ、そのウラに恐るべき事実があるのことを把
握します。そして、選挙期間中にひたすらこの事実を支持者に訴
えて、勝利を勝ち取る選挙戦を展開します。
 それは、2016年7月18日〜21日の4日間にわたる共和
党全国大会で、はっきりと示されていたのです。今回の大統領選
では、日本の各種メディアは、大勢の記者を米国に派遣し、現地
で取材していたはずですが、なぜか、共和党全国大会の2日目以
降を報道していないのです。
 大会2日目のクリス・クリスティーニュージャージィー州知事
の演じたクリントン模擬弾劾裁判については、前号でお知らせし
ましたが、実はそれだけではないのです。大会3日目に、著名な
ラジオ・パーソナリティのローラ・イングラハム女史のきわめて
激しいヒラリー糾弾演説が行われているからです。
 これは、全米では報道されたものの、日本のメディアはクリン
トン氏に遠慮してか、まったく報道されていないのです。日本の
メディアは、アタマからクリントン氏の勝利を信じ切っていたの
か、メール問題もきちんと報道されているとはいえません。
 ローラ・イングラハム女史の演説は、クリントン氏のメール問
題の真実を真剣に報道しようとしない米国のメディアに激しく怒
りが向けられています。
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 ハイ、ハニー。ハイ、マイ・フレンズ。(この党大会の会場の
一番上の階にいるアメリカのメディア報道陣に向って)お前たち
が、一番腐敗しているんだ。お前たちがこの国で最悪なんだ。お
前たちが、真実を報道しないで、ウソばかり報じている。お前た
ちが、一番責任がある。      ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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 誠に激しいローラ・イングラハム女史の演説ですが、日本のメ
ディアに対してもそっくりそのままいえることです。添付ファイ
ルの写真を見ていただくとわかるように、ローラ・イングラハム
女史は、とてもかっこいいです。日本のラジオ・パーソナリティ
やテレビのコメンテーターとは随分違います。副島隆彦氏は、日
本のメディアを次のようにこてんぱんに糾弾しています。
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 私は日本のメディアに向かって、ローラ・イングラハムに倣っ
て、「お前たちが、一番、悪いんだ。最悪の人間どもだ。いくら
安倍政権というヒラリー派、ネオコン派に属する、権力独占体に
睨まれるのが恐いからといって、それで、これほどの偏向報道を
続けていいのか。恥を知れ!」と、私も、最大級の声で怒りを表
明する。            ──副島隆彦著の前掲書より
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 いま振り返ってみると、共和党全国大会以後も共和党はクリン
トン氏のメール問題に関して、いろいろな働きかけを行っていま
す。この共和党の揺さぶりと、その後のFBIの捜査の再開など
の対応は無関係ではありません。
 共和党全国大会の行われた2週間ほど前の7月5日に、コミー
FBI長官は、ヒラリー氏のメール問題について「国家機密文書
の取扱に関して極めて不注意であったが、刑事起訴する問題では
ない」と発表し、同じ日にリンチ米司法長官はヒラリー氏を「起
訴しない」と決定し、共和党員を激怒させていたのです。
 そのときクリントン氏はまだ正式に民主党の大統領候補には決
定していませんでしたが、FBIや司法当局が、まるでクリント
ン氏の出陣の前の露払いをしているように見えたからです。だか
ら、共和党全国大会が盛り上がったのです。通常であれば、最後
の日に登場するトランプ氏が初日に登場したのも、クリントン氏
糾弾の演出を効果的にするためであったと考えられます。
 ところで、日本のメディアではあまり大きく取り上げられてい
ませんが、9月3日になって、突然FBIが「ヒラリーへの捜査
記録」を公開したのです。これも共和党側からの強い要請に基づ
くものです、それが共和党の選挙戦術だったからです。
 この「ヒラリーへの捜査記録」は、全58ページ中14ページ
はすべてブランクだったのです。日本流にいうと「海苔弁」とい
うわけです。これは、国家機密であって、クリントン氏が国家機
密をセキュリティの甘い自分のサーバーを使って発信していたこ
とを意味します。問題はその内容が何であるのかは公開できませ
んが、外に出せない内容ということになります。
 こういう状況のもとで、10月に入ってさらに新しいクリント
ン氏のメールが発見されたので、FBIコミー長官しては公開せ
ざるを得なかったと考えられます。
 ところが再捜査を公表したところ、今度はクリントン陣営から
はもとより、オバマ大統領自身からもFBIに対してクレームが
来たのです。これらの共和党とオバマ大統領の批判のせいか、コ
ミー長官はまたしても「訴追せず」と火消しを行っています。こ
ういう状況ですから、トランプ政権になると、この問題は、必ず
再々捜査が行われることは必至です。
            ──[孤立主義化する米国/085]

≪画像および関連情報≫
 ●共和党全国大会、有名女性キャスターがナチス敬礼
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   ドナルド・トランプ氏が共和党大統領候補に指名された共
  和党全国大会で21日、トランプ氏の応援演説に駆け付けた
  保守系の女性有名ラジオキャスターのローラ・イングラハム
  さんが演説の後半でトランプ氏に対して右手をピンと張り上
  げる格好のナチス式敬礼を行った。
   共和党全国大会の模様はTVを通じて全米に生中継されて
  いたこともあり、保守系の女性有名ラジオキャスターがトラ
  ンプ氏に対してナチ式敬礼を行ったことは、疑問と同時に波
  紋を呼ぶところともなっている。
   イングラハムさんは、自分がナチス式敬礼を行ってしまっ
  たことに気付くと、直ぐに、手を折り曲げて拍手喝采に応え
  るかのような動作をすることで、自分の動作を隠してしまっ
  たが、イングラハムさんが行った身振りは明らかにナチス式
  敬礼そのもので、一体、なぜ、女性有名ラジオキャスターが
  こうした行動をとったのか、様々な憶測が飛び交っている。
   トランプ氏はその言動からこれまで度々、ヒトラーに例え
  られてきたが、イングラハムさんは熱狂的なトランプ氏支持
  派ということもあり、トランプ氏を批判する意味で、トラン
  プ氏に対してナチ式敬礼を行ったわけではないことだけは確
  かだ。              http://bit.ly/2ftaZ1W
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ローラ・イングラハム氏.jpg
ローラ・イングラハム氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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