2016年11月01日

●「9人のリンカーン暗殺事件共犯者」(EJ第4392号)

 リンカーンが暗殺されたことを受けて、陸軍長官エドウィン・
スタントンの下に、大規模な軍捜索隊──第16騎兵連隊基幹が
特別に編成されています。コンガー大佐とベーカー中尉を指揮官
として、そこにドハティ中尉を副官として加えた将校3名、下士
官・兵が26名、合計29名の部隊です。
 事件から12日後の4月25日から26日の早朝にかけて、ブ
ースの逃亡を手助けした元南軍兵士ほかの証言から、ブースらの
潜伏先──ある農場の納屋にブースらが潜んでいることを捜索隊
は突き止めたのです。
 その納屋にリンカーンの殺害犯ブースをはじめとして数人の共
犯者が潜んでおり、銃撃戦の結果、ブースは射殺されたのです。
リンカーン暗殺事件の犯人と協力者とされる9名が逮捕され、軍
法会議にかけられたのです。その審理は7週間に及び、366名
の証人が喚問されています。そして、1865年7月5日に次の
ような判決が下されています。
─────────────────────────────
 <絞首刑>
  ・デイヴッド・ヘロルド、ルイス・パウエル、ジョージ・ア
   ツェロット、メアリー・サラット
 <終身刑>
  ・マイケル・オローリン、サミュエル・アーノルド、サミュ
   エル・マッド
 <懲役6年>
  ・エドマン・スパングラー
 <無罪>
  ・ジョン・サラット(メアリー・サラットの息子)
─────────────────────────────
 ところが、この事件はこれで終わりではなかったのです。射殺
されたはずのバースが実は別人で、しかもその遺体は陸軍長官ス
タントンの指示によって、ある秘密の場所に埋葬され、その場所
については明かすことはできないとスタントンは言明します。ス
タントン長官は、なぜ秘密裏に埋葬したのか、なぜ場所を明かせ
ないのかについて次のように釈明しています。
─────────────────────────────
 ジョン・ウィルクス・ブースが、南部の人たちの間で、リンカ
ーン大統領を暗殺した英雄(ヒーロー)になることを防ぐためで
ある。         ──エドウィン・スタントン陸軍長官
─────────────────────────────
 いかに最高指揮官であるとはいえ、大統領暗殺犯の遺体をろく
に捜査もせずに秘密裏に埋葬するなど、絶対にやってはならない
ことです。スタントン長官は、何らかの事情でバースをはじめと
する暗殺隊と通じていて、リンカーン暗殺に加担している可能性
が濃厚です。そのため、スタントンは、バースであるとしている
遺体が本当はバースではないことを知られたくなかったものと思
われます。
 スタントンについての疑惑は多くあります。大統領暗殺を成功
させるために、劇場を変更し、鍵が故障しているブースに大統領
を案内させ、警備をわざと手薄にする。このようなことは陸軍長
官というスタントンの地位なくしてできることではないのです。
 1867年になって、当時の捜索隊指揮官を務めたベイカー氏
は、上梓した『諜報機関の歴史』という書籍のなかで、スタント
ン長官に指示されたバースとされる遺体の埋葬先を旧監獄の地下
監房の床の下に埋めたことを暴露します。捜査機関は直ちにその
場所の捜査を行い、遺体を発見しますが、その遺体がバースであ
るかどうかは判定できなかったのです。
 さらにスタントンはその遺体のポケットに入っていたブースの
日記を入手していたのですが、彼はそれを隠蔽していたのです。
軍法会議で、容疑者の証言でそれが明らかになると、スタントン
は一転してその存在を認め、ブースの日記を証拠として提出した
のです。
 ところが、その日記は、リンカーン暗殺当日前後の期間に相当
する24ページ分が破り取られており、裁判の証拠品としては役
に立たない代物になっていたのです。そもそもこの裁判は一般裁
判で行われるべきものなのに、軍法会議になったのもスタントン
長官の強い要請があったからといわれています。一般裁判と違い
軍法会議は、検事も弁護士もすべて軍人であり、軍の管理下にあ
るので、軍の高官の意見に影響を受ける可能性大です。
 このようにスタントン長官は、最高指揮官でありながら、意図
的にバースの逮捕を遅らせ、遺体を隠したり、証拠を隠蔽するな
ど多くの疑惑に包まれているものの、誰も彼を訴追することはで
きなかったのです。なお、スタントンは、リンカーンの副大統領
をしていたアンドリュー・ジョンソン17代大統領の下でも陸軍
長官を務めているのです。
 リンカーンが暗殺される半日以上前に、ワシントンD.C.から
遠く離れたミネソタ州のセント・ジョセフという小さな村で、次
のような奇怪な噂が広がったのです。
─────────────────────────────
     リンカーン大統領が暗殺されたらしい!
─────────────────────────────
 この噂は、ニューハンプシャー州にまで本当のニュースのよう
に広がり、ニューヨーク州ミドルタウンの地元新聞「ホイッグ・
プレス」の記事になったのです。もちろん事実でないことはすぐ
分かったのですが、リンカーン大統領の耳にも入ったのです。
 本来であれば、たとえ噂であってもこのような事態になれば、
大統領の側近はその日の夜の芝居見物を中止させるか、警備を厳
重にすべきですが、そのどちらもやっていないのです。流石にリ
ンカーンは部下に「本当は今晩はどこにも行きたくないのだが、
劇場や関係者に迷惑をかけるしね」といったといわれます。リン
カーンは、何となく身の危険を感じていたのです。
          ──[孤立主義化する米国/077]

≪画像および関連情報≫
 ●米国初の大統領暗殺の犠牲者、リンカーンの最後
  ───────────────────────────
   米国はどんなテロにも屈しない。それが9.11からの方
  針だ。だが、これの困った所は、例えばゲリラやテロが出る
  国に行く米国人にも通じる。だから誘拐されてもFBI、家
  族も一切の犯人との接触を禁じられている。唯一交渉人が交
  渉にあたれると言うことになる。そんな大国になった米国に
  は過去に大統領の暗殺という悲劇がある。
   有名な所ではJFKだが、噂によると今出回っている暗殺
  時の様子もカットが入っており、事実が報道されていないと
  いう話もある。そのJFKより先、暗殺されたエイブラハム
  ・リンカーンがいる。米国で初めて暗殺された大統領でもあ
  る。「奴隷解放の父」と呼ばれている彼だが、最初から奴隷
  に対して特別の思想を持っていたわけではなかった。彼の成
  長過程で育まれて行ったもののようだ。それほど、白人と黒
  人と言うのは米国では違う人種として固定観念が定着してい
  たのだろう。
   この時代はもちろん1861年代だから、テレビもない。
  映像がない。やっと写真を撮るカメラが普及し始めたばかり
  の時代だ。と言っても今のように簡単に撮れたわけではなく
  長い時間がかかった。たいがいのリンカーンの写真が気難し
  顔をしているのは、撮影に時間がかかり過ぎたせいだと言わ
  れている。本来の彼はもっと陽気な人間だったらしい。
                   http://bit.ly/2e7Da7W
  ───────────────────────────

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刑が執行された旧アーセナルの刑務所
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2016年11月02日

●「メール問題再捜査の選挙への影響」(EJ第4393号)

 今回は、米大統領選の状況にやや変化が生じているので、この
問題を取り上げます。やはり、「オクトーバー・サプライズ」と
いうべき事態が起こったようです。それは、FBI(米連邦捜査
局)がクリントン氏の私用メール問題に関する捜査を再開させた
ことです。
─────────────────────────────
 米連邦捜査局(FBI)は28日、民主党大統領候補のクリン
トン氏(69)が、国務長官時代に私用メールアドレスを使って
いた問題で、新たなメールが見つかったとして、捜査を再開した
ことを明らかにした。投票日が11日後に迫るなか、大統領選で
優勢のクリントン氏にとって、打撃となる可能性もある。
 FBIのコミー長官は同日、米議会あてに送った書簡で、捜査
チームが新たに「捜査に関連すると見られるメールを見つけた」
と報告。「FBIが適切な捜査を行うことに合意した」として、
捜査を再開したことを明らかにした。ただ、捜査にかかる時間や
致命的な内容が含まれている可能性があるのかなどについては現
段階で不明としている。    ──2016年10月29日付
       「朝日新聞デジタル」 http://huff.to/2epiBld
─────────────────────────────
 FBIのコミー長官は、現在は離党しているものの長く共和党
党員であり、それだけに大統領選挙直前になっての「捜査再開」
は賛否両論がありますが、いずれにしてもクリントン陣営に大打
撃を与えることは必至の情勢です。
 コミー長官は、このメール問題の公表に関し、次のような微妙
な表現をしています。
─────────────────────────────
 新たな捜査を公表した場合と、議会に知らせずに捜査を進め、
選挙後に重大な事実が見つかった場合の問題性を考慮して公表に
踏み切った。             ──FBIコミー長官
          2016年10月31日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 この発言はいろいろ解釈できます。FBIを管轄する司法省内
では、選挙に影響を与えるとして「公表は避けるべき」という意
見が多かったのですが、コミー長官はあえて発表にこだわったと
いいます。長官の表現によると、捜索によって重大な事実が発見
される可能性を示唆しているようにもとれます。
 コミー長官の言葉には、もし公表しないで選挙が行われ、クリ
ントン氏が大統領になった後で、メール問題に重大な事実が出て
きた場合、FBIが公表しなかったことが問題になるというニュ
アンスがあるように感じます。
 問題は、このFBIの公表によって選挙の状況に影響が出てく
るかどうかです。30日に実施されたワシントンポスト、ABC
テレビの実施した世論調査によると、両者の支持率は次のように
1ポイント差になっています。23日の時点では、クリントン氏
が12ポイントリードしていたのですが、その差が1ポイントに
なったというのです。
─────────────────────────────
       ドナルド・トランプ ・・・ 45%
      ヒラリー・クリントン ・・・◎46%
─────────────────────────────
 しかし、大統領選の支持率調査は、メディアによって大きく異
なるので、「リアル・クリア・ポリティクス」(RCP)の総合
世論調査の20日時点と30日時点の調査を比較すると、次のよ
うになっています。
─────────────────────────────
                 30日     20日
  ドナルド・トランプ ・・ 41.6%   42.1%
 ヒラリー・クリントン ・・◎45.0%  ◎48.5%
─────────────────────────────
 これによると、クリントン氏は支持を下げてはいますが、トラ
ンプ氏の方も下げています。これは、FBIのメール問題の捜査
再開によって、状況が一変したというわけではないようです。し
かし、次のニュース(ヤフー・ニュース)もあります。
─────────────────────────────
 トランプ氏が大統領選を制するには絶対に負けられない州であ
るフロリダ州では、米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ大学研
究所の共同世論調査でトランプ氏の支持率が46%と、クリント
ン氏の42%を上回った。前回はクリントン氏が1ポイントリー
ドしていた。 ──ヤフー・ニュース  http://bit.ly/2dTK7uQ
─────────────────────────────
 10月24日付のEJ第4386号に示したフロリダ州とオハ
イオ州の支持率を再現します。
─────────────────────────────
            トランプ   クリントン
     オハイオ ◎46.5%   46.0%
     フロリダ  43.8%  ◎47.4%
─────────────────────────────
 「オハイオ州とフロリダ州を制した者が大統領選を制す」とい
われていますが、10月21日の時点では、オハイオ州はトラン
プ氏がリードしているものの、フロリダ州では4ポイント差でク
リントン氏が優勢だったのです。それが上記ヤフー・ニュースで
はフロリダ州ではトランプ氏が逆転したと報道しています。
 そうであるとすると、オハイオ州とフロリダ州を制しつつある
トランプ氏が優勢ということになります。これに加えて今後メー
ル問題でさらに何かクリントン氏にとって不利な情報が出ると、
投票結果に致命的な打撃を与えることは確実です。
 いずれにしてもこの大統領選は最後まで「接戦」になることは
確実であり、クリントン氏の余裕ある勝利はとても望めない状況
です。トランプ氏にもクリントンシにも勝利の可能性がある状況
です。         ──[孤立主義化する米国/078]

≪画像および関連情報≫
 ●Eメール再捜査開始でもクリントン優勢は変わらず
  ───────────────────────────
   先週末の金曜日に突如、米連邦捜査局(FBI)が大統領
  選のヒラリー・クリントン候補の私用メール問題の捜査を再
  開すると発表した。これによりいわゆるリスク回避の円買い
  が強まり、上昇していたドル円はあっという間に105円半
  ばから104円半ばへと約1円も急落した(円高ドル安)。
  突然の発表に驚き、市場はトランプ大統領実現のリスクが再
  度高まったと受け止めたといえよう。
   ただ、FBIが議会に送った書簡をみると、「メールの重
  大性は判断できず、捜査にどれくらい時間がかかるか不明」
  という趣旨のことが述べられており、クリントン氏が不利益
  になる新たな証拠が発見されたというわけでもなさそうであ
  る。また、捜査には時間がかかるとみられ、大統領選まであ
  と10日ばかりしかないことから、これ以上選挙本番前に新
  たな材料が出る可能性は低い。
   一方、トランプ候補には女性へのセクハラ行動の証言者が
  さらに増えており、女性からの支持を大きく失っているため
  従来の支持率が回復する兆しはない。両者のスキャンダルや
  罵り合いで、史上最低の大統領選などと揶揄され、もはやど
  ちらがより最低ではないかを競う選挙になってきたといえよ
  う。               http://bit.ly/2flHvXC
  ───────────────────────────

コミー米FBI長官.jpg
コミー米FBI長官
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2016年11月04日

●「米大統領選と『テカムセの呪い』」(EJ第4394号)

 米大統領選まであと4日ですが、米国の大統領に関して「テカ
ムセの呪い」という伝説があるのをご存知でしょうか。
 アメリカ大陸の先住民はインディアンです。独立戦争後、アメ
リカ合衆国は、インディアンを虐殺し、彼らが支配していた土地
を奪って国土を広げていったのです。それは「西部劇」という映
画のかたちで米国開拓史として美化され、世界中の人々に伝えら
れましたが、実際には残虐きわまりない殺戮劇だったのです。
 インディアンには全般を束ねる指導者という概念は存在しませ
んでしたが、戦いの先頭に立って戦闘を指揮し、ときにはアメリ
カとの交渉役を務めた人物がいたのです。それがショーニー族首
長であるテカムセです。1811年に米軍は、ティペカヌー河と
ウォーバシュ河の合流点でインディアン連合軍を破っています。
このとき米軍を率いていたのは、ハリソンという将軍です。
 ハリソンは1812年にテームズ河の戦役でも、英国軍とイン
ディアンの連合軍を破り、この戦役でテカムセ首長は戦死したの
です。そのときハリソンはホイッグ党に所属する上院議員でした
が、政治的な実績はほとんどなかったのです。しかし、テカムセ
を葬った軍事的功績と知名度を買って、ホイッグ党の実力者たち
はハリソンを1840年の大統領選に出馬させたのです。「彼な
ら意のままに操れる」と考えたからです。ハリソンは首尾よく当
選し、1841年に9代米大統領に就任します。
 このハリソンが選挙に勝った1840年を起点として「テカム
セの呪い」は始まるのです。最初の犠牲者はなんとハリソン本人
だったのです。ハリソンは1841年3月4日に大統領に就任し
ちょうど1ヶ月後の4月4日に病死しています。大統領在任たっ
たの1ヶ月、あまりにも短いです。
 米国の大統領就任演説は少しでも多くの人々に聴いてもらうた
め、外部の広い会場で行われます。当日は冷え込みが厳しく、会
場では寒風が絶え間なく吹く日だったのです。そういう会場でハ
リソンは、コートも着ず、手袋もしないで1時間45分演説し、
風邪をひいて肺炎を併発し亡くなってしまったのです。それ以来
20年ごとの年代に選出される大統領はことごとく任期を全うす
ることなく、亡くなっているのです。
─────────────────────────────
   ★ 1840年  ウィリアム・H・ハリソン
       1841年 4月 4日/肺炎で死去
   ★ 1860年  エイブラハム・リンカーン
       1865年 4月14日/   暗殺
   ★ 1880年 ジェームズ・ガーフィールド
       1881年 7月 2日/   暗殺
   ★ 1900年  ウィリアム・マッキンリー
       1901年 9年14日/   暗殺
     1920年 ウォレン・G・ハーディング
       1923年 8月 2日/   病死
   ★ 1940年 フランクリン・ルーズベルト
       1945年 4月12日/   病死
     1960年    ジョン・F・ケネディ
       1963年11月22日/   暗殺
                   http://bit.ly/2feNxG7
─────────────────────────────
 米国の大統領は「1期4年2期まで」と決められています。上
記7人の大統領は、任期を全うできなかったことはいずれも共通
していますが、7人中5人は就任年に亡くなっているのです。★
印がそうです。
 もう少し詳しくいうと、ハリソンとガーフィールドは1期目の
就任年に、リンカーン、マッキンリー、ルーズベルトは2期目の
就任年に亡くなっています。しかも、7人中4人は暗殺されてい
るのです。かなり高い確率であるといえます。
 ジョン・F・ケネディの年度である1960年の20年後にあ
たる1980年に選出された大統領はドナルド・レーガンです。
レーガンは、1981年3月30日に暗殺されかかったものの、
未遂に終わり、2期8年の任期を満了しています。それ以来、こ
のテカムセの呪いは終了したといわれているのです。これについ
て、ウィキペディアは次のように書いています。
─────────────────────────────
 レーガンは1980年大統領に選出されたが直後の1981年
3月30日に暗殺未遂に遭いながらも、2期8年の任期を全うし
た。また、2000年に選出されたジョージ・W・ブッシュ大統
領も2期目の2005年5月10日にグルジアで演説中に手投げ
弾を投げ込まれたが不発に終わり、2期8年の任期を全うして現
在も存命中である。ブッシュ大統領はこの他にも2002年にプ
レッツェルを食べている最中に失神、こん倒し顔に傷を負うが窒
息は免れた。また、任期満了直前にイラク人記者に靴を投げつけ
られるもうまくよけて無傷であった(ブッシュの靴)。このため
いわゆる「テカムセの呪い」による大統領の不慮の死は単なる偶
然という結論になった。        http://bit.ly/2feNxG7
─────────────────────────────
 ウィキペディアは「テカムセの呪い」は単なる偶然と結論づけ
ていますが、本当にそうでしょうか。もし、この呪いがまだ生き
ているとすると、次に該当する年度は2020年──東京オリン
ピックの年になります。
 今年、2016年に選出される大統領は4日後に決まります。
トランプ候補かクリントン候補のいずれかです。どちらが大統領
に決まるにせよ、ひと騒動あると思います。何しろ2人ともまた
とないほどの不人気候補であり、2020年の大統領選で有力候
補が出馬すると、おそらくその2期目は勝てないと思われます。
いずれにせよ、2021年に就任する新大統領が「テカムセの呪
い」を受けるかどうかが注目されます。米国の大統領には、これ
以外にも不思議なことがたくさんあるのです。
            ──[孤立主義化する米国/079]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカ大統領を死に追いやるのは偶然か「呪い」か
  ───────────────────────────
   1840年のアメリカ大統領選挙で勝利したウィリアム・
  H・ハリソンは就任からわずか一月で病死する。そしてハリ
  ソンが大統領選挙に当選した1840年以降20で割り切れ
  る年に当選した大統領は任期途中で死亡することが続いた。
  人々はいつしかハリソンが1811年のティピカヌーの戦い
  で殺したインディアン、ショーニー族の酋長テカムセの呪い
  ではないかと噂するようになった。今回は、ハリソンからケ
  ネディまで7人の大統領が倒れたと言われる「テカムセの呪
  い」を考察したい。
   アメリカ大統領選挙は四年に一回行われる。アメリカ大統
  領は任期途中で辞任や死亡があっても副大統領が大統領職を
  前大統領の任期切れまで引き継ぎ、次の大統領選挙が行われ
  るので4年ごとに大統領選挙が必ず行われる仕組みになって
  いる。そして、1840年のハリソンから1960年当選の
  ケネディまで、20で割り切れる年に当選した大統領は任期
  途中で死亡しているのである。
   1840年当選 ウィリアム・H・ハリソン
   1860年当選 エイブラハム・リンカーン
   1880年当選 ジェームス・ガーフィールド
   1900年当選 ウィリアム・マッキンリー
   1920年当選 ウォレン・G・ハーディング
   1940年当選 フランクリン・ルーズベルト
   1960年当選 ジョン・F・ケネディ
   以上の7人の大統領が任期途中で死亡している。個々の大
  統領の死亡原因を見てみたい。  http://exci.to/2egnoEt
  ───────────────────────────

テカムセ首長.jpg
テカムセ首長
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2016年11月07日

●「ケネディはリンカーンの生れ変り」(EJ第4395号)

 米大統領選に関しては、「テカムセの呪い」だけでなく、もっ
と不思議なことがあります。それは、リンカーンとケネディとい
う2人の大統領の驚くべき類似点です。
 ごく大雑把に考えても、次の3つの類似点があります。しかし
これらは誰でも考えつくことです。
─────────────────────────────
 1.リンカーンとケネディはともにだれでも知っている米国
   の大統領であり、多くの人に敬愛されている。
 2.リンカーンとケネディはともに黒人の人権問題に対して
   真剣に取り組み、結果を遺した大統領である。
 3.リンカーンとケネディはともに任期の途中で国民の期待
   も空しく暗殺者の凶弾に倒れた大統領である。
─────────────────────────────
 詳細に調べてみると、リンカーンとケネディには驚くべき類似
点があります。それはけっして偶然の一致ということでは片付け
られない一致点であるといえます。
 まず、2人が下院議員に当選した年と大統領に選出された年に
は、次のように正確に100年の差があります。
─────────────────────────────
            下院議員に当選  大統領に選出
  リンカーン ・・・   1846年   1860年
   ケネディ ・・・   1946年   1960年
─────────────────────────────
 リンカーンは、ホイッグ党員として、1864年に下院議員に
選出され1期2年を務めています。ケネディは、その100年後
の1946年に下院議員のジェームズ・カーレイがボストン市長
になるため、民主党下院議員を辞職したことによるいわゆる補選
で勝利し、下院議員になっています。
 そしてリンカーンが大統領に選出された年は1860年であり
1861年3月4日から大統領になっています。これに対しケネ
ディは、リンカーンが大統領に選出された100年後の1960
年に大統領に選出され、1961年1月20日に大統領になって
いるのです。これは驚くべき一致です。
 リンカーンとケネディは、ともに暗殺されています。その暗殺
のされ方もとてもよく似ているのです。その主な類似点を上げる
と次の3つになります。
─────────────────────────────
    1.2人ともピストルで背後から撃たれている
    2.2人とも夫人の目の前で銃で撃たれている
    3.2人の暗殺はいずれも金曜日に起きている
─────────────────────────────
 暗殺に関してはまだ不思議なことがまだあります。リンカーン
が殺されたのはフォード劇場であり、ケネディが撃たれたのは、
リンカーン・コンチネンタルというフォード社が製造した車の上
であることです。
 それに、リンカーンには「ケネディ」という名前の秘書がおり
ケネディには「リンカーン」という名前の秘書がいたのです。ど
ちらの秘書も暗殺当日、大統領がその場所に行くことに反対を表
明していたといいます。ウソのような話ですが事実です。
 ちなみに、2人とも、死後に同名の空母が作られています。リ
ンカーンは「エイブラハム・リンカーン号」、ケネディは「ジョ
ン・F・ケネディ号」です。
 まだあります。2人の大統領の暗殺者は、リンカーンについて
はジョン・ウイリアム・ブース、ケネディについてはリー・ハー
ベイ・オズワルドですが、2人が生まれた年も100年違いであ
ることです。それに名前の文字数は同じです。
─────────────────────────────
    ◎John Wilkes Booth ・・ 1839年生まれ
    ◎Lee Harvey Oswald ・・ 1939年生まれ
─────────────────────────────
 米国では大統領が任期を全うできずに亡くなると、副大統領が
残りの任期を務めますが、その副大統領の名前は2人とも「ジョ
ンソン」であり、ファーストネームの文字数も同じ6文字です。
─────────────────────────────
    ◎Andrew Johnson アンドリュー・ジョンソン
    ◎Lyndon Johnson   リンドン・ジョンソン
─────────────────────────────
 類似点はまだあります。2人の副大統領の生まれた年が100
年違いなのです。アンドリュー・ジョンソンは1808年生まれ
であり、リンドン・ジョンソンは1908年生まれ、ちょうど、
100年違いです。そもそもリンカーンとケネディの副大統領の
名前が同じ「ジョンソン」であることも不思議なのです。しかし
これに関して「ウィキペディア」は「単なる都市伝説の類い」と
片付けています。
─────────────────────────────
 アメリカでは、テカムセの呪い、ケネディ家の呪いなどと結び
つけて語られることの多い話題で、オカルト系の書籍で題材とし
て取り上げられる場合も多い 。
 この話題が取り上げられるようになった背景には、ケネディ大
統領暗殺事件を検証したウォーレン委員会報告書の最終的な結論
が一般人には理解し難いもので、憶測も含めて様々な陰謀説が各
方面で囁かれ始めたことや、マルコムXやキング牧師、ロバート
・ケネディなどの暗殺事件が続発した当時の社会不安がある。
これらの社会不安と歴代大統領の中でも人気の高い2人を結び付
け、商業主義に利用した面も否定できない。何らかの因果関係を
見出そうとする人々がいるのも事実だが、都市伝説の類で単なる
偶然の一致とする説が一般的である。   ──ウィキペディア
                   http://bit.ly/2frEtfG
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/080]

≪画像および関連情報≫
 ●ナポレオンとヒトラーをつなぐ不可解な数字
  ───────────────────────────
   世の中には特定の人や物で、不思議な共通点や関連性があ
  ることあります。なかなか説明できないものが多く、単なる
  偶然、ごじつけですましているものも多い。今回は、こんな
  不思議な一致や共通点がある歴史上の有名人のお話です。
   ナポレオンとヒトラーはフランスとドイツの独裁者で、一
  時期には一大帝国を作り、近隣諸国を従えた歴史上の有名人
  です。ところがこの二人は129年の差で皇帝や総統になっ
  ています。また不思議なことに129という数字で二人は結
  ばれています。それでは、どのくらい129があるか見てみ
  ましょう。
  1.まずフランス革命が1789年でドイツ革命が1918
  年であり、その差129年です。
  2.ナポレオンがクーデターでフランスの政権を握ったのが
  1799年、ヒトラーのナチス党がドイツ議会に登場したの
  が1928年であり、その差129年です。
  3.ナポレオンがフランスで皇帝になったのが1804年。
  ヒトラーがドイツで総統になったのが1933年で、その差
  129年です。
  4.ナポレオンがオーストリアの挑戦に対し撃破したのが、
  1809年、ヒトラーがオーストリアを併合したのが、19
  38年で、その差129年。
  5.ナポレオンのロシア遠征が行われたのが1812年、ヒ
  トラーのソビエト侵攻が1941年で、その差129年で、
  両方とも冬季に敗北しているのも同じ。
                   http://bit.ly/2frFx3o
  ───────────────────────────

リンカーンとケネディ.jpg
リンカーンとケネディ
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2016年11月08日

●「米大統領選/結局どちらが勝つか」(EJ第4396号)

 本日は米国の大統領選挙の投票日です。泣いても笑っても、明
日の昼頃までに、次期米国大統領がトランプ氏かクリントン氏か
が決まります。
 選挙の終盤の10月28日、FBIによるクリントン氏の私用
メール再捜査の決定によって、トランプ氏が支持率で猛烈に追い
上げ、これまで一定のリードを保ってきたクリントン氏を急追し
ている──メディアはそのように報道しています。
 米国はメディアによって支持率の数字が大きく異なるので、そ
ういう世論調査を平均したRCP(リアル・クリア・ポリティク
ス)の最新調査と10月30日の支持率を比較してみます。
─────────────────────────────
               最新調査 10月30日
  ドナルド・トランプ ・・ 44.8%  41.6%
 ヒラリー・クリントン ・・◎46.6% ◎45.0%
─────────────────────────────
 これを見ると、いずれもクリントン氏が勝っていますが、10
月末には3・4ポイントあったトランプ氏との差が、最新調査で
は1・8ポイントに縮小しています。それでもまだクリントン氏
が優勢であることは変わっていないのです。
 ただ支持率の差が1ポイントになってくると、どちらが勝って
も不思議ではないのです。2012年の大統領選挙で、ロムニー
氏に1ポイント差で負けていたオバマ氏が、得票率51・1%で
勝利しています。1ポイント差は誤差の範囲内です。
 しかし、選挙人の獲得予測に関して、6日の日本経済新聞は次
のように報道しています。
─────────────────────────────
 クリントン氏が支持率で10ポイント超離した際は、選挙人の
獲得予測も、全米51州・地区の選挙人(538人)の過半数を
超える270人を超えた。
 直近は、クリントン氏が216人に下方修正され、トランプ氏
は164人に追い上げる。4日発表の米CNNテレビの獲得予想
ではトランプ氏は200人の大台に乗せた。
         ──2016年11月6日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 米国の大統領選挙では、どんなことがあっても共和党ないし民
主党が勝つと決まっている州があります。そのような州では、事
実上選挙戦は行われないのです。したがって選挙は、支持率が競
り合っている「激戦州」で主として行われるのです。
 現在激戦が続いているのは、次の8つの州であり、その勝敗に
よって結果が決まると考えられます。()は選挙人の数です。
─────────────────────────────
 ≪トランプ氏がリードしている州≫
  1.ニューハンプシャー州(4人)
    ・クリントン氏を「1・6ポイントリード」
  2.オハイオ州(18人)
    ・クリントン氏を「3・3ポイントリード」
  3.アイオワ州(6人)
    ・クリントン氏を「2・4ポイントリード」
  4.ネバダ州(6人)
    ・クリントン氏を「2・0ポイントリード」
 ≪クリントン氏がリードしている州≫
  5.ペンシルベニア州(20人)
    ・トランプ氏を「2・6ポイントリード」
  6.フロリダ州(29人)
    ・トランプ氏を「1・2ポイントリード」
  7.コロラド州(9人)
    ・トランプ氏を「3・0ポイントリード」
 ≪支持が拮抗している州≫
  8.ノースカロライナ州(15人)
    ・両者拮抗
         ──2016年11月6日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 1ポイントのリードは逆転もあり得ると考えると、現在、トラ
ンプ氏がリードしているニューハンプシャー州、クリントン氏が
リードしているフロリダ州、両者が拮抗しているノースカロライ
ナ州の勝敗が重要なカギを握ります。
 激戦州8州からこれら3州を外して、他の5州で2ポイント以
上リードしている候補が勝利するとすれば、その選挙人の獲得数
は次のようになります。
─────────────────────────────
      トランプ30人VSクリントン29人
─────────────────────────────
 既にクリントン氏は選挙人を「216人」固めているといわれ
ます。したがって、もしクリントン氏がトランプ氏を2ポイント
以上離している州──ペンシルベニア州、コロラド州の2州で勝
つとすると、245人になります。過半数の270人まで、あと
25人足りない状況です。したがって、クリントン氏が現在トラ
ンプ氏を1・2ポイント差でリードしているフロリダ州で勝てば
大統領選を制することができます。
 しかし、トランプ氏が既に獲得している選挙人は164人であ
り、2ポイント以上リードしている洲を全て取っても、「194
人」で200人に届かず、フロリダ州でクリントン氏を逆転した
としても「223人」、270人に47人に足りない状況です。
拮抗しているノースカロナイナ州を取っても「238人」、それ
でも270人に38人足りない状況です。
 このように考えると、支持率調査や選挙人獲得予測の状況では
トランプ氏が追い上げたとしても、なおかつクリントン氏優勢の
状況は変わらないのです。しかし、トランプ氏には「隠れトラン
プ派」がおり、最終版で姿を現すといわれています。結果は予断
を許さない状況です。  ──[孤立主義化する米国/081]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選/市場の勝者と敗者を予想/投票日サプライズ
  ───────────────────────────
   現代の米国史上、最も異例の大統領選が最終盤を迎える中
  世界の金融市場は現状維持という結果に賭けている。民主党
  の次期大統領の行動を共和党支配の新議会が引き続き制約す
  るというものだ。
   だが、米連邦捜査局(FBI)が民主党候補ヒラリー・ク
  リントン前国務長官の私用メール問題の再捜査を開始したと
  の発表を含め、10月中の一連のサプライズを踏まえると、
  11月8日の大統領・議会選投票日に生じ得るさらなるサプ
  ライズへの投資家の準備は不十分かもしれない。
   エバーコアISIのアナリストは10月30日付のリポー
  トで、クリントン氏の私用メール問題をめぐる論争の再燃が
  「大統領選に根本的な変化をもたらす公算は小さい」との分
  析を示した。最も大きなショックとなるのは共和党候補ドナ
  ルド・トランプ氏の勝利か、クリントン氏と民主党の大勝だ
  ろう。これらいずれの展開になっても、6月の英国民投票で
  の欧州連合(EU)離脱選択の場合と同様、投資家はリスク
  が高い株式や新興市場資産から逃避し、最も安全とされる政
  府債やドル、円に駆け込む可能性がある。一方で、両候補と
  も歳出拡大と減税を推進したい意向で、それは株価に強材料
  債券相場には弱材料となる。    http://bit.ly/2eAPttz
  ───────────────────────────

トランプかクリントンか/米大統領選.jpg
トランプかクリントンか/米大統領選
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2016年11月09日

●「なぜメール問題捜査を再開したか」(EJ第4397号)

 今朝のEJが届く時点では、米大統領選の結果は出ていないと
思います。この原稿は6日の午後に書いており、その時点では、
大統領選の結果を見通すことは困難です。しかし、今日中にはど
ちらかに決着がつくことは確かです。
 もし、ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏を破り、次期大統
領に決定したとしても、FBIの捜査は確実に進展すると思われ
ます。ここで重要なのは、FBIのコミー長官が10月28日に
なって、なぜクリントン氏のメール問題を再捜査すると宣言した
かということです。FBIのコミー長官は、7月にメール問題に
ついて次のように述べて、訴追しないことを明言しています。
─────────────────────────────
  情報の扱いが極めて不注意だったが、訴追の必要はない
                 ──FBIコミー長官
─────────────────────────────
 このようにして、いったん捜査を終了したはずのメール問題を
コミーFBI長官は、大統領選の投票日直前になって捜査再開を
表明したのです。それが大統領選に何らかの影響を与えることは
十分承知のうえでの表明と思われます。
 オバマ米大統領は、コミーFBI長官のこのメール問題再捜査
表明に対して、次のように批判したのです。大統領がFBI長官
を批判するのは極めて異例なことです。
─────────────────────────────
 私たちには、結果についてほのめかしたり、不完全な情報に基
づいて捜査をしたりしないとの原則がある。 ──オバマ大統領
                   http://bit.ly/2fdgVfg
─────────────────────────────
 ところで、FBIはどのようにして、クリントン氏の新しい私
用メールを入手したのでしょうか。
 アンソニー・ウィーナーという元下院議員がいます。FBIは
このウィーナー元議員がわいせつなメールを未成年者に送りつけ
た容疑で議員のノートPCを押収したのです。この捜査自体はク
リントン氏には何の関係もないのです。
 押収したノートPCには、65万通に及ぶ電子メールが含まれ
ていたのですが、その多くは、ウィーナー元議員の別居中の妻で
クリントン氏側近のフーマ・アベディン氏のアカウントに属する
ものだったのです。
 フーマ・アベディン氏とは何者でしょうか。副島隆彦氏の本に
アベディン氏についての紹介があるので引用します。
─────────────────────────────
 ヒラリーの選挙戦を指揮しているのが、フーマ・アベディンと
いう女性だ。ヒラリーの側近中の側近である。このアベディンが
ヒラリーの選対副本部長だ。選対本部長はクリントン政権で首席
補佐官を務めたジョン・ボデスタである。
 このアベディンは両親がパキスタン人でイスラム教徒だ。アメ
リカ生まれだが、両親の仕事の関係でパキスタンに行って育って
18歳でアメリカに戻ってきた。彼女の母と兄がムスリム同胞団
に関係している。
 アべディンはヒラリーがファーストレディであった時から補佐
官を務めていた。また、ヒラリーが国務長官を務めていた時期の
ほぼすべての期間に補佐官だった。以上は古村治彦氏の情報であ
る。ヒラリーはこのアべディンを「2人目の娘」と呼んでいる。
しかし本当はヒラリーの愛人だとも噂されている。
                      ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 そもそもなぜメール問題がそれほど重要なのでしょうか。
 これは、ヒラリー・クリントン氏が国務長官の時代のリビアの
ベンガジ襲撃事件に深く関係するのです。これを理解するには、
リビアのカダフィ大佐という指導者が、どのような政治家であり
何をやったか、何をやろうとしていたかということについて知る
必要があります。
 このことについてEJでは、「現代は陰謀論の時代」のテーマ
のときに書いています。このテーマでは、いろいろなものを取り
上げましたが、リビア問題は次の部分で述べています。
─────────────────────────────
    ◎「現代は陰謀論の時代」
    2016年5月16日付、EJ第4276号
              http://bit.ly/27pt5HJ
        〜5月31日付、EJ第4287号
              http://bit.ly/1RGI98p
─────────────────────────────
 ここで考えてみるべきことがあります。冒頭でも述べたように
コミーFBI長官は、なぜあえて批判されることを覚悟してまで
一度「訴追せず」と判断したクリントン氏のメール問題を再捜査
すると宣言したかということです。
 もし、これが原因でクリントン氏が選挙戦に破れ、大統領にな
れなかったとし、もしメール問題が後で訴追に値しないというこ
とにでもなったら、コミー長官はどのようにして責任をとるので
しょうか。そういう意味でこれは、コミー長官にとって、きわめ
てリスクの高い決断であるといえます。
 しかし、新しく発見したメールにクリントン氏に関して犯罪に
値する問題があり、訴追するような事態になったら、どうなるで
しょうか。この場合、選挙の直前だからといって、再捜査を先延
ばしにしたら、コミー長官はもっと厳しく非難されることになる
のではないでしょうか。
 コミー長官は、そのあたりのことを考慮して再捜査に踏み切っ
たものと考えられます。それは、新しく発見されたクリントン氏
のメールは犯罪性が高いという確信を長官自身がもったからこそ
再捜査を宣言したのではないかという考え方です。
            ──[孤立主義化する米国/082]

≪画像および関連情報≫
 ●「隠れ支持者」はトランプ氏の秘密兵器になるか
  ───────────────────────────
   【11月5日AFP】8日に投票日を迎える米大統領選で
  共和党候補のドナルド・トランプ氏に投票すると公にするの
  を控えている「隠れた」支持者はどれほどいるだろうか。
   民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官との大接戦
  が予想される中、こうした「隠れ支持者」がトランプ氏の秘
  密兵器となり、結果を左右するかもしれない。
   ホワイトハウス前で取材に応じた退役軍人のトーマス・ハ
  ドソンさんは、期日前投票でトランプ氏に票を投じたことを
  気が進まない様子で認めた。いつもは共和党候補に投票する
  ことを「とても誇りに」感じているが、今回は「良心の呵責
  (かしゃく)」があると語った。
   重要なのはトランプ氏の隠れ支持者が、英国民投票が欧州
  連合離脱という結果に終わったのと同じような衝撃の選挙結
  果をもたらすことができるのかということだ。政治学者らは
  こうした予想外の選挙結果を「ブラッドリー効果」と呼ぶ。
  1982年のカリフォルニア知事選で、世論調査では大きく
  リードしていた黒人のトム・ブラッドリー元ロサンゼルス市
  長が敗れたことに由来する。有権者の多くは人種差別だと批
  判されることを恐れて、ライバルの白人候補に投票すると認
  めたがらなかったとみられている。 http://bit.ly/2fQbw1j
  ───────────────────────────

フーマ・アベディン/ヒラリーの側近.jpg
フーマ・アベディン/ヒラリーの側近
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2016年11月10日

●「大統領選勝敗に影響/メール問題」(EJ第4398号)

 現在、米国大統領選挙の開票が続いています。開票直後からト
ランプ氏がクリントン氏をリードし、12時20分に、ニューヨ
ーク・タイムズ紙は「80%の確率でトランプ氏勝利」と報道し
たのです。
 そしてそれから10分後に「オハイオ州でトランプ氏勝利」の
ニュースが流れたのです。「オハイオ州を制する者は大統領選を
制す」といわれており、これでトランプ氏の勝利の可能性は、か
なり高くなったといえます。
 さらに、午後1時になって、大票田のフロリダ州でトランプ氏
の勝利が伝えられると、トランプ氏のリードはさらに広がり、も
はやクリントン氏の逆転は困難な情勢になっています。選挙結果
は午後遅くなって判明しますが、大統領選については明日のEJ
で取り上げることにします。
 クリントン氏の票が意外に伸び悩んでいるのは、やはり投票日
直前の10月28日、FBIのコミー長官によるメール問題再捜
査の発表にあると思われます。なぜなら、それまではどの調査で
もクリントン氏が優勢であったからです。
 しかし、11月6日になって、コミー長官は「メール問題でク
リントンを訴追せず」と発表したのです。FBIに一体何があっ
たのでしょうか。
─────────────────────────────
 10月28日 ⇒ クリントン氏のメール問題の再捜査発表
 11月 6日 ⇒ メール問題でクリントン氏を訴追しない
─────────────────────────────
 実は、FBIが再捜査を発表する前のことですが、トランプ陣
営では次のような噂が広がっていたのです。
─────────────────────────────
 10月の終わりに「大きな爆弾」が炸裂し、クリントン陣営
 が吹っ飛ぶだろう。          ──トランプ陣営
─────────────────────────────
 そして実際に10月28日に、FBIのコミー長官はメール問
題の捜査再開を発表したのです。まさに「大きな爆弾」の炸裂そ
のものです。まさか、FBIの捜査の情報が事前に漏れていたこ
とはないと思いますが、その疑いは濃厚です。コミー長官は元共
和党員であることも疑われている要因ですが、コミー氏は既に党
からは距離を置いており、真面目な人でもあるので、そんなこと
をする人ではないという人が多いのも事実です。
 コミー長官もクリントン氏の新しいメールが見つかって、捜査
を再開すべきかどうか相当悩んだはずです。選挙前であるからと
いって、再捜査をしないで後から問題が発生した場合、それこそ
大問題になります。
 そこでコミー長官は、メール問題の再捜査の決断について、米
議会に対して、次のような書簡を送ったのです。
─────────────────────────────
 私は以前行われた議会の委員会で、クリントン元国務長官の個
人メール・サーバーの私的な使用問題に関してFBIの捜査が終
了したという証言をしました。
 しかし、最近、事態に進展があり、私は過去の証言を補足する
ために本書簡を書いております。FBIは本件とは無関係な事件
の捜査過程で、本件に関連すると思われる電子メールの存在を知
るに至りました。昨日、私は捜査チームからその旨の説明を受け
たことを皆様にご連絡するために本書簡を書いています。
 私は捜査官によって新たに発見された電子メールの中に機密情
報が含まれているかどうか、また、本件にとってこれらの電子メ
ールが重要であるかどうかを判断するために、FBIが適切な捜
査を行えるよう適切な措置を講ずべきだということに同意しまし
た。FBIはこの資料が重要であるかどうか判断することはでき
ませんし、私にはこうした追加捜査を完了するのにどれだけの時
間が掛かるか予想もできませんが、私は過去において議会で行っ
た証言に照らし合わせて、FBIが現在行っている事柄に関して
諸委員会に新しい情報を提供することは重要だと信じています。
                   http://bit.ly/2eTbx0e
─────────────────────────────
 これに対し、民主党のハリー・リード上院院内総務は30日、
「法律に違反している可能性がある」として、FBIコミー長官
を激しく非難しています。また、オバマ大統領も、1日、ラジオ
のナウディスニュースとのインタビューで、「捜査はほのめかし
や不十分な情報、漏出情報に基づいて行うのではなく、具体的な
決定に沿って行うという原則があるはずだ」と語ったということ
は既に述べた通りです。
 こういう非難を受けたためか、コミー長官は、6日になって、
米議会に再び書簡を送り、米大統領選の民主党候補ヒラリー・ク
リントン氏による国務長官時代の私的な電子メール使用について
犯罪に相当しないという結論に変更はないと伝えたのです。これ
についてブルームバークは、次のように報道しています。
─────────────────────────────
 クリントン氏の私的メール使用と関係する可能性がある新たな
メールを調査していると10月28日に議会に伝えて以降、問題
のメールについて「FBIの調査チームが24時間体制で調査し
てきた」とコミー長官は説明。「その過程でクリントン氏が国務
長官時代に受信・送信した全てのやりとりを調べた結果、われわ
れが7月に示したクリントン前国務長官に関する結論は変わらな
かった」とコメントした。       http://bit.ly/2eMUi0s
─────────────────────────────
 要するに、FBIとしては、オバマ大統領や米議会から批判を
受けたので、新しいとされるメールをすべて調査した結果、犯罪
性なしと判断したというのです。60万通といわれるメールです
が、多くは既に調査したメールと重複しており、新しいメールは
数千通であったとFBIは発表しています。
            ──[孤立主義化する米国/083]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン氏よりトランプ氏の肩を持ったFBI長官
  ───────────────────────────
   米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントンの陣営は、
  投開票まで11日となったタイミングで「メール疑惑」に関
  連するかもしれない新たなメールの発見と捜査の再開を発表
  したジェームズ・コミーFBI長官について「あからさま」
  「開いた口が塞がらない」と、ダブルスタンダードを批判し
  た。コミーは一方で、ロシアが米共和党候補ドナルド・トラ
  ンプを支援する目的で米大統領選に介入していることの公表
  には反対していたからだ。
   米ケーブルテレビCNBCやニュースサイトのハフィント
  ン・ポストは、匿名の元FBI高官の証言を入手。それによ
  るとコミーは、ロシアが選挙に介入していることを公式に批
  判するには「大統領選投票日に近過ぎる」と言って反対した
  という。コミーは大統領選挙への影響だけでなく、法執行機
  関が自らの立場を利用して、選挙に影響を与えることを禁じ
  たハッチ法に抵触する可能性があると懸念していた。
   10月7日、米国土安全保障省長官と国家情報長官は、ロ
  シアのサイバー攻撃を断定した内容の共同声明を発表した。
  「米政府の情報機関は、最近米国人や政治組織がハッカー攻
  撃を受けてメールが流出したのはロシア政府の指示によるも
  のだと確信しており、一連の情報収集の目的はアメリカの選
  挙に干渉することだ」。コミーは声明の内容には同意したも
  のの、公表は遅らせようとしたという。声明にもFBIの名
  前は含まれなかった。       http://bit.ly/2f6XoNr
  ───────────────────────────

コミ―FBI長官.jpg
コミ―FBI長官
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2016年11月11日

●「トランプの勝利を予言した評論家」(EJ第4399号)

 大方の予想を裏切って、誰もが予想していなかったドナルド・
トランプ氏が第45代大統領になることが決まったのです。英国
のEU離脱に続く衝撃的なニュースです。
 それにしても、勝利会見のトランプ氏が一転してまともだった
ので、1000円下落した日経平均が下落分を取り戻し、10日
午前10時現在、1万7千円台を取り戻しています。しかし、ト
ランプ氏はそれほど甘い人間ではありません。選挙中に公約した
ことは、全部ではないにせよ、実現を図ろうとするはずです。
 ところで、既にこのテーマのEJの読者にはお知らせしている
ように、トランプ大統領の実現を今年の5月の段階で公言してい
た人がいます。評論家の副島隆彦氏です。8月18日付、EJ第
4342号のその部分を再現します。
─────────────────────────────
 2016年5月3日、共和党のインディアナ州予備選でトラン
プが勝った。当日、競争者のテッド・クルーズ候補(テキサス州
上院議員)が選挙戦から撤退した。これで、トランプの勝ちが決
まった。
 このあと5月12日にトランプは、アメリカの共和党の実力者
で下院議長のポール・ライアン(若い。46歳)と話をつけた。
これでトランプは共和党の大統領候補指名を確実にした。ポール
・ライアンと何を話したか。「私たちの間には今もいくつかの相
違点がある。しかし、大きいところでは意思一致(合意)」でき
た」と互いに承認し合った。これは「トランプ=ライアン・ステ
ートメント(宣言)」と呼ばれるべきものだ。共和党本部がトラ
ンプに折れたのだ。
 どうやら、ここでドナルド・トランプが、次のアメリカ大統領
になる流れが生まれた。そして私は5月22日に「トランプが大
統領になる」と決断した。自分なりに10日間真剣に考え込んだ
あとでの結論だった。            ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
                   http://bit.ly/2b0mMYc
─────────────────────────────
 これは大胆な予言です。もし、外れれば著名な評論家の名声に
も傷がつくことにも考えられます。しかし、本選が始まるとトラ
ンプ氏の暴言やスキャンダルもあって、一貫してメディアの世論
調査では、クリントン氏のリードが続いたのです。
 さらに、両候補による3回のテレビ討論を経て、さらにクリン
トン氏が有利に選挙戦を進め、「ヒラリー圧勝」が伝えられても
副島氏はひるまず、10月になると『ヒラリーを逮捕、投獄せよ
/Lock Her Up』(光文社) という本を上梓して、オクトーバー
・サプライズとしてクリントンは沈むと主張したのです。この本
の第1章の冒頭には次のように書かれています。
─────────────────────────────
 世界は大きな変動期に入っている。いま起きつつある事態を、
先へ先へと私は予測、予言してゆく。まず、アメリカ国民の怒り
を、テレビ番組の司会者やコメンテイターたちの、怒鳴り声での
ヒラリー糾弾の様子を知ってほしい。「ロック・ハー・アップ」
「ヒラリーを捕まえろ、牢屋に入れろ」のアメリカ全土を揺るが
しているアメリカ国民の叫び声が現にあるのだ。
 トランプ支持者たちは、全米のどこの会場でも、毎日、「ヒラ
リーを逮捕せよ、投獄せよ」と怒号している。これは国民政党で
ある共和党の多数意見だ。今やアメリカ国民の多数意見だ。それ
が「ロック・ハー・アップ!ロック・ハー・アップ!」は、「ヒ
ラリーを逮捕せよ、投獄せよ」の大合唱である。それなのに日本
国民はこの事実をほとんど知られていない。  ──副島隆彦著
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
                         光文社刊
─────────────────────────────
 いくらなんでも「ロック・ハー・アップ!」は激し過ぎると思
うかもしれませんが、実はトランプ氏の集会では、支持者からこ
の叫び声は、何回も何回も繰り返されていたのです。
 トランプ氏が正式に共和党の大統領候補の指名を受けた共和党
全国大会は、2016年7月18日〜21日にわたって、オハイ
オ州クリーブランドのクイッケン・ローンズ・アリーナで開催さ
れ、その初日の模様は日本でもテレビで報道されましたが、大会
の2日目に起きたことは報道されていません。何が起きたかにつ
いて、副島氏の本から引用します。
─────────────────────────────
 ・・・大会2日目、予備選から撤退したニュージャージー州知
事のクリス・クリスティーが登壇した。彼はトランプへの支持も
そこそこに、民主党の指名獲得を確実にしているヒラリー・クリ
ントンを糾弾した。国務長官時代の私用メール問題について「模
擬裁判」を始めた。会場から「有罪!」「牢屋にぶち込め!」と
声が上がった。
 ・・・同じ日、ニューハンプシャー州下院議員のアル・バルダ
サロがラジオ番組に出演した。大使ら4人が死亡した2012年
のリビア米領事館襲撃事件(=ベンガジ事件)について、当時国
務長官だったクリントンは「国家反逆罪で銃殺されるべきだ」と
言い放った。          ──副島隆彦著の前掲書より
─────────────────────────────
 「私用メール問題」といっても多くの日本人は、ことのいきさ
つを知らないから、確かにルール違反ではあるが、そんなに悪い
ことではないのではないかと思う人が多いと思います。
 日本では閣僚クラスの政治家でも平気で私用のスマホを使って
電話したり、メールを送受信しています。安倍首相もドコモの携
帯電話で電話し、タブレットを使い、LINEでスタンプまで送
っています。だから、国務長官が私用メールを使うことをそんな
に深刻な犯罪だとは思っていないのです。しかし、クリントン氏
の私用メール問題は、ベンガジ事件に関連しており、きわめて深
刻なのです。      ──[孤立主義化する米国/084]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン攻撃に終始した共和党全国大会
  ───────────────────────────
   ドナルド・トランプの公式指名は最終日の木曜日になると
  予測されていたが、大多数の代議員はトランプに投票したた
  め、昨日の大会の初めに突然、指名を獲得したことが公表さ
  れた。今日三日目を迎えた大会は、トランプとの党内統合及
  び政策について語ることより、クリントンを攻撃することで
  共通の目的を見出したようである。ニュージャージー州知事
  のクリス・クリスティは一連の度重なる不運により、主に苛
  立ちからヒラリー・クリントンを攻撃し始めた。クリスティ
  はトランプにオバマ大統領に任命された全ての閣僚を解雇す
  ることを容易にする法律改正を提案したと伝えた。
   トランプは最初の副大統領の選択として、オハイオ州知事
  のジョン・ケイシックを希望していたが拒絶されたため、残
  されたショート・リストから社会保守派のインディアナ州知
  事マイク・ペンスを選択する結果になった。指名を公表する
  数日前、イバンカを含むトランプの子供達はペンスに会い彼
  を承認したようである。トランプとペンスは多数の政策にお
  いて著しい違いがあるため、両氏の間には既にぎこちない雰
  囲気があるが、ペンスを選択したことで、指名に必要な12
  37を無理なく獲得し、19日トランプは共和党大統領候補
  者として正式に指名を受けた。中絶や同性結婚に反対する強
  力な社会保守派の代議員らは、そのような課題で立場が頻繁
  に変わるトランプを信用していなかったため宗教を最も重視
  すると宣言し、社会政策で極右派であるペンスを副大統領に
  選択したことが著しく効果的であったようだ。
                   http://bit.ly/2fEKCqN
  ───────────────────────────

クリス・クリスティー知事.jpg
クリス・クリスティー知事
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2016年11月14日

●「ヒラリーメール疑惑捜査再開必至」(EJ第4400号)

 米大統領選挙中、共和党のトランプ陣営は、トランプ氏の価値
に言及するよりもひたすらクリントン候補の欠点を痛烈に批判す
ることに重点を置いたのです。それは、このさい何が何でも政権
を民主党から取り戻す共和党の戦略だったといえます。
 予備選においてトランプ氏は、当初泡沫候補の扱いをされてい
ましたが、意外にも予備選を勝ち抜いて、共和党の大統領候補の
資格を勝ち取っています。しかし、その時点でもトランプ陣営は
政治経験と知名度抜群のヒラリー・クリントン候補に勝てるとは
到底思えないほど劣勢だったのです。トランプ陣営にとって、ク
リントン氏はそれほど強大な候補であったといえます。
 したがって、トランプ陣営は、政策で争ったら到底勝てないの
で、相手の欠点を徹底的に衝く戦略をとったのです。その最大の
焦点はクリントン氏のメール問題です。トランプ陣営はこの問題
を徹底的に調べ上げ、そのウラに恐るべき事実があるのことを把
握します。そして、選挙期間中にひたすらこの事実を支持者に訴
えて、勝利を勝ち取る選挙戦を展開します。
 それは、2016年7月18日〜21日の4日間にわたる共和
党全国大会で、はっきりと示されていたのです。今回の大統領選
では、日本の各種メディアは、大勢の記者を米国に派遣し、現地
で取材していたはずですが、なぜか、共和党全国大会の2日目以
降を報道していないのです。
 大会2日目のクリス・クリスティーニュージャージィー州知事
の演じたクリントン模擬弾劾裁判については、前号でお知らせし
ましたが、実はそれだけではないのです。大会3日目に、著名な
ラジオ・パーソナリティのローラ・イングラハム女史のきわめて
激しいヒラリー糾弾演説が行われているからです。
 これは、全米では報道されたものの、日本のメディアはクリン
トン氏に遠慮してか、まったく報道されていないのです。日本の
メディアは、アタマからクリントン氏の勝利を信じ切っていたの
か、メール問題もきちんと報道されているとはいえません。
 ローラ・イングラハム女史の演説は、クリントン氏のメール問
題の真実を真剣に報道しようとしない米国のメディアに激しく怒
りが向けられています。
─────────────────────────────
 ハイ、ハニー。ハイ、マイ・フレンズ。(この党大会の会場の
一番上の階にいるアメリカのメディア報道陣に向って)お前たち
が、一番腐敗しているんだ。お前たちがこの国で最悪なんだ。お
前たちが、真実を報道しないで、ウソばかり報じている。お前た
ちが、一番責任がある。      ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 誠に激しいローラ・イングラハム女史の演説ですが、日本のメ
ディアに対してもそっくりそのままいえることです。添付ファイ
ルの写真を見ていただくとわかるように、ローラ・イングラハム
女史は、とてもかっこいいです。日本のラジオ・パーソナリティ
やテレビのコメンテーターとは随分違います。副島隆彦氏は、日
本のメディアを次のようにこてんぱんに糾弾しています。
─────────────────────────────
 私は日本のメディアに向かって、ローラ・イングラハムに倣っ
て、「お前たちが、一番、悪いんだ。最悪の人間どもだ。いくら
安倍政権というヒラリー派、ネオコン派に属する、権力独占体に
睨まれるのが恐いからといって、それで、これほどの偏向報道を
続けていいのか。恥を知れ!」と、私も、最大級の声で怒りを表
明する。            ──副島隆彦著の前掲書より
─────────────────────────────
 いま振り返ってみると、共和党全国大会以後も共和党はクリン
トン氏のメール問題に関して、いろいろな働きかけを行っていま
す。この共和党の揺さぶりと、その後のFBIの捜査の再開など
の対応は無関係ではありません。
 共和党全国大会の行われた2週間ほど前の7月5日に、コミー
FBI長官は、ヒラリー氏のメール問題について「国家機密文書
の取扱に関して極めて不注意であったが、刑事起訴する問題では
ない」と発表し、同じ日にリンチ米司法長官はヒラリー氏を「起
訴しない」と決定し、共和党員を激怒させていたのです。
 そのときクリントン氏はまだ正式に民主党の大統領候補には決
定していませんでしたが、FBIや司法当局が、まるでクリント
ン氏の出陣の前の露払いをしているように見えたからです。だか
ら、共和党全国大会が盛り上がったのです。通常であれば、最後
の日に登場するトランプ氏が初日に登場したのも、クリントン氏
糾弾の演出を効果的にするためであったと考えられます。
 ところで、日本のメディアではあまり大きく取り上げられてい
ませんが、9月3日になって、突然FBIが「ヒラリーへの捜査
記録」を公開したのです。これも共和党側からの強い要請に基づ
くものです、それが共和党の選挙戦術だったからです。
 この「ヒラリーへの捜査記録」は、全58ページ中14ページ
はすべてブランクだったのです。日本流にいうと「海苔弁」とい
うわけです。これは、国家機密であって、クリントン氏が国家機
密をセキュリティの甘い自分のサーバーを使って発信していたこ
とを意味します。問題はその内容が何であるのかは公開できませ
んが、外に出せない内容ということになります。
 こういう状況のもとで、10月に入ってさらに新しいクリント
ン氏のメールが発見されたので、FBIコミー長官しては公開せ
ざるを得なかったと考えられます。
 ところが再捜査を公表したところ、今度はクリントン陣営から
はもとより、オバマ大統領自身からもFBIに対してクレームが
来たのです。これらの共和党とオバマ大統領の批判のせいか、コ
ミー長官はまたしても「訴追せず」と火消しを行っています。こ
ういう状況ですから、トランプ政権になると、この問題は、必ず
再々捜査が行われることは必至です。
            ──[孤立主義化する米国/085]

≪画像および関連情報≫
 ●共和党全国大会、有名女性キャスターがナチス敬礼
  ───────────────────────────
   ドナルド・トランプ氏が共和党大統領候補に指名された共
  和党全国大会で21日、トランプ氏の応援演説に駆け付けた
  保守系の女性有名ラジオキャスターのローラ・イングラハム
  さんが演説の後半でトランプ氏に対して右手をピンと張り上
  げる格好のナチス式敬礼を行った。
   共和党全国大会の模様はTVを通じて全米に生中継されて
  いたこともあり、保守系の女性有名ラジオキャスターがトラ
  ンプ氏に対してナチ式敬礼を行ったことは、疑問と同時に波
  紋を呼ぶところともなっている。
   イングラハムさんは、自分がナチス式敬礼を行ってしまっ
  たことに気付くと、直ぐに、手を折り曲げて拍手喝采に応え
  るかのような動作をすることで、自分の動作を隠してしまっ
  たが、イングラハムさんが行った身振りは明らかにナチス式
  敬礼そのもので、一体、なぜ、女性有名ラジオキャスターが
  こうした行動をとったのか、様々な憶測が飛び交っている。
   トランプ氏はその言動からこれまで度々、ヒトラーに例え
  られてきたが、イングラハムさんは熱狂的なトランプ氏支持
  派ということもあり、トランプ氏を批判する意味で、トラン
  プ氏に対してナチ式敬礼を行ったわけではないことだけは確
  かだ。              http://bit.ly/2ftaZ1W
  ───────────────────────────

ローラ・イングラハム氏.jpg
ローラ・イングラハム氏
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2016年11月15日

●「メール問題はこのままにできない」(EJ第4401号)

 「反トランプ」デモが止まらない。選挙から4日経つのに拡大
するばかりです。クリントン候補に60%以上の州民が投票した
というカルフォルニア州では、アメリカ合衆国からの離脱・独立
の動きがはじまっています。これを英国離脱の「Brexit」にちな
んで「Calexit」 を呼んでいます。
 米国では、南部11州が奴隷制度廃止に反対し、1860年代
に連邦を離脱し、「アメリカ南部連合」を結成したことがありま
したが、合衆国からの離脱の動きはそれ以来のことです。それほ
どトランプ大統領の誕生は米国にとって大衝撃なのです。
 今回のトランプ氏の選挙戦の戦いを見ていると、共和党とトラ
ンプ氏の「デキレース」ではなかったかと思われます。共和党と
しては、予備選のトランプ氏の戦いを見ていて、共和党としては
トランプ氏には予備選のように自由に選挙戦を戦わせ、ときにト
ランプ氏の発言をめぐって党本部と対立することはあっても、党
本部としては、ひたすらクリントン氏の最大の弱点である「私用
メール問題」を徹底的に追及する高等戦略をとったのではないか
と思われます。見事な役割分担が功を奏したのです。
 それを象徴するように、トランプ氏は勝利宣言では、選挙戦と
は一変してまともな発言をし、対立していたライアン下院議長と
会うとともに、政権移行チームのトップに副大統領になるペンス
氏を据えて、共和党本部の支えを得ながら、新政権づくりを進め
ようとしています。11月13日の朝日新聞は、その模様をトッ
プ記事に掲げています。
─────────────────────────────
◎政権移行 共和党頼み
 米国のトランプ次期大統領が11日、政権移行チームの陣容を
刷新した。来年1月の政権発足に向け、閣僚など膨大な政治任用
ポストを埋めるには準備不足は否めず、ワシントンでの政治経験
の長いペンス次期副大統領を執行委員長に充てた。選挙期間中は
対立してきた共和党の支えも得ながら人選し、新政権づくりを進
めたい考えとみられる。    ──2016年11月11日付
                       朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 ところで、クリントン氏の私用メール問題は今後どうなるので
しょうか。
 これは、単なる選挙用の攻撃材料としては終わらないと考えら
れます。しかし、真相が明らかになると、米国の国益にも深く関
わる事件であるので、捜査は継続されるものの、本当のところは
どうだったのかはわからないままになる可能性があります。そし
て、陰謀論的なかたちでいい伝えられると思います。
 しかし、副島隆彦氏の本では、メール問題について衝撃的な真
相が明らかにされています。EJでは、副島氏の本を手掛かりと
して、ネットの情報も加えて真相に迫るつもりです。
 ヒラリー・クリントン氏が国務長官に就任したのは、2009
年1月21日のことです。就任直前の1月13日、クリントン氏
は国務省には内緒で自宅の地下にある個人サーバーで、マイクロ
ソフト社と契約し、次のアカウントを登録しています。それまで
の上院議員時代には別のメールアドレスを使っていたのです。
─────────────────────────────
  Clintonemail.com /プロバイダー=マイクロソフト社
─────────────────────────────
 クリントン氏は、2009年3月18日から、上院議員時代の
メールアドレスを使うことをやめ、自宅地下の個人サーバーのア
カウントを使いはじめたのです。そして、上院議員時代のすべて
のメールを削除し、復元しないようにしています。このような私
用メールは政府の閣僚が絶対にやってはならないことです。
 米国では、閣僚は私用のメールアドレスを使って公務をするこ
とは許されず、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウ
ントを使うことになっています。これは携帯電話でも同様であり
閣僚になると、たとえ私的な会話であっても、外部に流出すると
問題になるので、セキュリティが万全の特殊な携帯電話を使うこ
とになっています。
 2012年9月11日、エジプトやリビアなどアラブ諸国のア
メリカ在外公館が次々と襲撃されたのです。これによって、在リ
ビア・アメリカ領事館のクリストファー・スティーブンス駐リビ
ア大使ら4人が殺害されたのです。これがリビア・ベンガジ事件
といわれる事件です。死亡したスティーブンス大使は、ヒラリー
・クリントン氏の忠実な部下の一人だった人物です。
 ところがこの事件に不審を抱いた民間団体があるのです。ジュ
ディシャル・ウォッチという行政を監視する民間団体です。この
民間団体によって新事実が次々と暴かれるのです。その新事実と
は、次のようなことです。
─────────────────────────────
 2012年9月11日にベンガジの米領事館と中央情報局(C
IA)の活動拠点がテロリストに襲撃された数日後にホワイトハ
ウスが送信した電子メールで、新たな事実が発覚した。これらの
メールは昨年、事件への対応と事後処理に関するすべての文書だ
とオバマ政権が主張した資料には含まれていなかった。保守系の
監視団体ジュディシャル・ウォッチによる情報公開請求を受けて
4月29日に公表されたこのメールを見ると、オバマ政権がなぜ
メールを隠そうとしたのかが分かる。
                 http://on.wsj.com/2f4Rtbf
─────────────────────────────
 この事件がどうして起きたのかについて、オバマ政権は、ユー
チューブに投稿された不明瞭な反イスラム動画に対する自然発生
的な抗議行動が原因であるとし、自らの関わりを一貫として否定
したのです。このときは、クリントンのメール問題は何も表には
出ていないのです。それが明らかになるのは、2013年3月3
日のことです。あるハッカーによるハッキングがきっかけで判明
したのです。      ──[孤立主義化する米国/086]

≪画像および関連情報≫
 ●「ベンガジ疑惑」を乗り越えたヒラリ−と暴言トランプ
  ───────────────────────────
   ヒラリー・クリントンに対して共和党は「ベンガジ事件」
  に関する疑惑を執拗に追及しています。この事件は2012
  年9月11日にリビアのベンガジにあったアメリカ領事館で
  クリストファー・スティーブンス駐リビア大使ら国務省およ
  びCIAの職員4人が、重武装をした勢力の攻撃を受けて殺
  害されたものです。
   この事件に関して共和党は、発生直後から事件当時国務長
  官として在外公館の安全確保に責任を負っていたヒラリーに
  「過失」があったのではないかという追及を続けています。
  重要なドラマとしては、まず2013年1月には「上下両院
  合同の調査委員会」が開催され、ジョン・マケイン上院議員
  (共和)などが代わる代わるヒラリーを追及したのです。
   その13年の喚問では、感情的にふるまって悪印象を与え
  たヒラリーですが、2015年10月にあらためて下院調査
  委員会に証人として召喚された時には、慎重に言葉を選びつ
  つ堂々と受け答えをしており、11時間におよぶロングラン
  の喚問を「破綻なく」乗り切りました。ですが、共和党の追
  及はこれで完全に止むことはありませんでした。その追及で
  は、まず「当時ベンガジで起こりつつあった武装勢力の攻撃
  について、アメリカで発生した『ムハンマド侮辱ビデオ』に
  反対する平和的なデモと同様だと誤認したこと」が、結果的
  に大使の死につながったのではという疑惑、そして「その疑
  惑に関してモミ消しを図ったのではないか?」という疑惑の
  2点が焦点になっています。    http://bit.ly/29avNdY
  ───────────────────────────

ベンガジ米領事館襲撃事件.png
ベンガジ米領事館襲撃事件
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2016年11月16日

●「ヒラリーメールは何を意味するか」(EJ第4402号)

 なぜ、大方の予想に反して、ドナルド・トランプ氏が大統領に
決まったのでしょうか。それは、共和党を含むトランプ陣営が対
抗相手であるヒラリー・クリントン氏の私的メール問題を手を替
え品を替え攻撃したからです。なぜなら、この私的メール問題が
リビア・ベンガジ事件に深く関わっているからです。
 トランプ陣営と共和党本部は、トランプ氏の数々の暴言によっ
て不仲になっていたはずです。しかし、そのウラではきちんと連
携して動いていたと思われます。確かに共和党はFBIに対して
クリントン氏にFBIが行った7月2日の尋問資料(供述調書)
の全面公開を求めたり、クリントン氏を訴追しない方針を決めた
コーミーFBI長官を批判しています。
 また、共和党は、選挙期間中にクリントン候補に対して行われ
るインテリジェント・ブリーフィングを実施しないよう要求した
りしているのです。インテリジェント・ブリーフィングとは、大
統領候補者に対して、国家情報長官室やCIAから行われる国家
機密の開示のことです。共和党としては、私的メールの内容いか
んによっては逮捕・訴追されるかもしれないクリントン氏に国家
機密を話すのは問題であるという考え方です。
 逆に民主党としては、ロシアのプーチン大統領に親近感を示す
トランプ氏に国家機密を明かすことへの懸念を表明しています。
8月5日付、産経ニュースは、インテリジェント・ブリーフィン
グについて次のように述べています。
─────────────────────────────
【ワシントン=加納宏幸】米共和党の不動産王トランプ氏、民主
党のクリントン前国務長官が大統領候補として国家情報長官室や
中央情報局(CIA)から国際情勢の説明を受ける「インテリジ
ェンス・ブリーフィング」(情報説明)が近く始まる。テーマは
「イスラム国」(IS)やロシア情勢などだ。来年1月の就任後
すぐに米軍最高司令官を務めるための準備だが、両候補に機密情
報を伝えることへの慎重論も出ている。
 オバマ大統領は4日の記者会見で、「(野党の)共和党であれ
候補になれば、大統領の職をゼロから始めることのないよう安全
保障に関する説明を受ける必要がある」と述べた。一方で情報機
関から受けた説明を外に漏らすことのないようクギを刺した。ト
ランプ氏が念頭にあるとみられる。
 トランプ、クリントン両氏に対して情報説明を始めることには
民主、共和両党から、情報漏洩(ろうえい)を懸念する意見が出
ている。CIA長官を務めたパネッタ元国防長官ら民主党有力者
は、トランプ氏がロシア政府に対して、クリントン氏のメールを
ハッキングするよう求めた発言を問題視。リード上院院内総務は
情報機関に対し、「トランプ氏は危険人物なので、(機密情報に
ついて)何も言わず偽の情報説明をすればいい」と求めている。
          ──2016年8月5日付、産経ニュース
                   http://bit.ly/2fTUFIF
─────────────────────────────
 上記の産経ニュースの記事のなかで「トランプ氏がロシア政府
に対して、クリントン氏のメールをハッキングするよう求めた発
言」はきわめて重要です。これは何らかの事情でトランプ陣営は
メールの内容の一部を把握しており、それに基づいてトランプ氏
は演説などで繰り返し発言しているとみられます。
 トランプ氏は、FBIや司法当局がメールに重大な内容が書か
れていたとしても、国家機密ということで公開しないことが考え
られるので、ロシアに働きかけて、メールの内容を公開してくれ
と要請しているのです。ロシアには、ウィキリークスのジュリア
ン・アサンジ氏がいるからです。
─────────────────────────────
 ロシアよ。私の演説を聞いていたら、ヒラリーが勝手に(証拠
隠滅)削除した3・3万通のメールを見つけ出してくれ。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 しかし、クリントン氏を支持するオバマ政権では、これらの発
言は「暴言」として、問題視しないで無視しています。しかし、
クリントン氏の私的メール問題をフォローしていくと、単なる暴
言とはいえなくなってきているのです。
 8月10日になってトランプ氏は、「IS/イスラム国」の創
設者はオバマ大統領であり、クリントン前国務長官は共同創設者
であるとするとんでもない発言を行っています。まさに暴言の類
いですが、これとても単なる暴言とはいえない真実味を帯びてい
るのです。
─────────────────────────────
 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が8月
11日のフロリダ州での集会で、過激派組織「イスラム国」(I
S)について「オバマ大統領に敬意を払っている。彼がISの創
設者だからだ。共同創設者は、ひねくれクリントンだ」と語る場
面があった。
 トランプ氏は最近の世論調査で、民主党候補ヒラリー・クリン
トン前国務長官(68)に大きくリードを許している。トランプ
氏の発言はオバマ氏とクリントン氏の失策がISの台頭を招いた
と訴える趣旨とみられるが、再び暴言と受け止められ、物議を醸
す恐れもある。    ──2016年8月11日付、時事通信
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 「オバマ大統領とクリントン氏がイスラム国(IS)を創設し
た」というのは、いかにも根拠のない暴言のように聞こえますが
EJでも前回テーマで取り上げたように、そうとはいえないので
す。これはベンガジ事件と深い関係があり、クリントン氏の私的
メール問題とも無関係ではないのです。
            ──[孤立主義化する米国/087]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリーが土壇場で大苦戦する「3つの理由」/東洋経済OL
  ───────────────────────────
   いよいよ、11月8日のアメリカ大統領選挙まであとわず
  かとなった。10月分の雇用統計も発表され、民主党のヒラ
  リー・クリントン候補を応援する主要メディアは、堅調な雇
  用の数字はオバマ政権の成果であり、民主党の政策は正しか
  ったと国民に訴えている。
   ところが、そのヒラリーの勝利を前提にしていた米国の株
  式市場は、S&P500が4日で9営業日連続の下落となっ
  た。これは1980年以来初めての現象だ。これに対する一
  般的な解説は、10月28日の金曜日、突如出たFBI(米
  連邦捜査局)によるヒラリーのメール問題の再調査で、ヒラ
  リーの勝利が「確定」から「不安」になったということであ
  る。だが筆者にはその前から、大統領がどちらになっても株
  はいったん下がることを織り込み始めていたように見える。
  一例は、日本で恐怖指数といわれるVIX指数の先物の残高
  と、それを対象とするETF(上場投資信託)・ETN(指
  標連動証券)の派生商品の値動きに乖離が生じていたことで
  ある。VIX先物の買いがどんどんたまっているのに、VI
  XのETF・ETNの価格は、それほどは変動しなかった。
  これは大地震の前、プレートへじわじわと圧力がかかるって
  いるのに、限界を迎えるまで地上では危険を感じない状態に
  似ている。            http://bit.ly/2fT5r3I
  ───────────────────────────

次期米大統領ドナルド・トランプ氏.jpg
次期米大統領ドナルド・トランプ氏
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2016年11月17日

●「バノン氏が力を握るトランプ政権」(EJ4403号)

 来年1月に誕生するトランプ政権には権限が対等な次の2人の
補佐官が就任する模様です。
─────────────────────────────
       プリーバス大統領首席補佐官
       バノン首席戦略官・上級顧問
─────────────────────────────
 首席補佐官というのは閣僚級ポストで、大統領への面会や文書
の管理などのほか、ホワイトハウスの職員を監督・統括する官房
機能も担う役職で、日本の官房長官に匹敵します。共和党本部は
首相補佐官に誰が選ばれるのかについて、緊張感を持って見守っ
ていたのです。候補者として、プリーバス氏とバノン氏の2人が
候補に上がっていたからです。
 というのは、共和党で公職の最高位にあるライアン下院議長は
バノン氏との仲は最悪であるのに対し、プリーバス氏とは、同じ
ウィスコンシン州出身で、気心は通じている人物だからです。し
たがって、もし首席補佐官にバノン氏が就くと、共和党本部との
関係は最悪になり兼ねなかったからです。
 結果として首席補佐官にラインス・プリーバス氏が就き、参謀
役としてスティーブン・バノン氏が政権をサポートするという人
事配置になったのです。この人事について、ライアン議長と反ト
ランプの急先鋒であるグラハム上院議員は次のような歓迎のコメ
ントを出しています。
─────────────────────────────
 ◎ライアン下院議長
  わが友を誇りに思い、興奮している。
 ◎グラハム上院議員
  プリーバス氏を首席補佐官にした選択はすばらしい。統治に
  ついて真剣に考えていることを示すものだ。
        ──2016年11月15日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 しかし、トランプ氏は明らかにバノン氏に重点を置いているよ
うに見えます。トランプ氏は11月13日に発表した声明におい
て、バノン氏の名前を先に上げ、首席戦略官・大統領上級顧問に
指名しています。
 バノン氏は、トランプ氏がイラクで戦死したイスラム教徒の米
兵の遺族を中傷したことで支持率が急下落したときに、トランプ
陣営の最高責任者に就任した人物で、以後体制を立て直し、トラ
ンプ陣営を勝利に導いた立役者であり、トランプ氏から厚い信頼
を得ています。
 トランプ氏は、プリーバス氏に首席補佐官として、共和党本部
との橋渡しをする役割をさせ、バノン氏に大きな権限を与えると
思われるので、トランプ政権の政策にはバノン氏の意向が強く反
映される可能性があります。
 それでは、バノン氏とはどういう人物なのでしょうか。朝日新
聞は次のように紹介しています。
─────────────────────────────
 バノン氏は、以前は最右派系ニュースサイト「プライバート・
ニュース」の会長だった。このサイトは「反エスタブリッシュメ
ント(既得権層)」が特徴で、2007年設立以来、既存の政治
やメディアを批判的に扱うことで存在感を伸ばしてきた。しばし
ば信頼性の低い、陰謀史観的な「ニュース」を掲載。白人至上主
義や反イスラム、反ユダヤなど人種差別的論調を牽引してきたこ
とでも知られる。
 サイトでは、トランプ不支持を打ち出した保守派の論客ビル・
クリストル氏を「裏切り者のユダヤ人」などと人種差別的な表現
で批判。共和党主流派を敵視することでも有名で、以前はティー
パーティー(茶会)を支持。最近も「我々に必要なのは、共和党
に平手打ちを食らわせてやることだ」などと、発言し、主流派内
にも懸念が広がっていた。
        ──2016年11月15日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 これによると、選挙中のトランプ氏の言動の源泉がこのバノン
氏であることがよくわかります。バノン氏は、米海軍やゴールド
マン・サックス勤務の経験もあり、さまざまなルートから、多く
の情報を収集しています。クリントン氏の私的メールの内容につ
いても、そのルートから多くの情報を収集し、選挙戦に有利にな
るよう展開してきています。そういう意味で、バノン氏は「米国
の最も危険な政治職人」と呼ばれているのです。
 選挙中にトランプ氏が発言したいわゆる「暴言」といわれるも
のは多いですが、なかでも「イスラム国(IS)はオバマ大統領
とクリントンが創設者である」というのは、まさに決定打という
べき発言といえます。しかし、これは必ずしも暴言とはいえない
のです。イスラム国が組織として結成された経緯を考えると、も
ともとシリア政府に対抗する反政府軍のひとつなのです。
 米国はイスラム国に対して空爆を行っていますが、その戦い方
は非常に不可解です。米軍のイスラム国への空爆は、その多くが
爆撃しないで戻ってきているからです。2015年1月〜3月で
米爆撃機は7319回出撃していますが、空爆を実行したのは、
1859回しかないのです。とても米国が本気でイスラム国の制
圧をしようと努力しているとは思えないのです。やはり、米国は
イスラム国の創設に関わっているのでしょうか。
 これについては、EJの前回のテーマ「現在は陰謀論の時代」
の次の部分を参照していただきたいと思います。
─────────────────────────────
 2016年 6月 1日/EJ第4288号〜
            http://bit.ly/1P2nbRA
        2016年 6月21日/EJ第4302号
                  http://bit.ly/28K3Qcg
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/088]

≪画像および関連情報≫
 ●わざとイスラム国に負ける米軍/MAG2 NEWS
  ───────────────────────────
   数的優位な有志連合軍が「イスラム国」(ISIS)にイラ
  クの戦略的要衝ラマディを奪われるなど、不可解とも取れる
  戦況が続く中東情勢。しかし国際情勢解説者の田中宇さんの
  無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』はこの状況につ
  いて、決して不可解ではなく、米軍がわざとISISに負け
  ているだけだと断言します。
   2015年5月17日、米軍が指導するイラク政府軍の約
  1万人の部隊が、イラク中部のスンニ派の都市ラマディで、
  自分らの10分の1しかいない1000人程度の過激派テロ
  組織「イスラム国」(ISIS)と戦って敗北、敗走し、ラマ
  ディはISISの手に落ちた。米国とイラクにとって、昨年
  6月のモスル陥落以来の大敗北だ。イラク軍は装甲車大砲な
  ど大量の兵器を置いて敗走し、それらの兵器はすべてISI
  Sのものになった。ラマディは、首都バグダッドから130
  キロしか離れていない。東進を続けるISISは、イラクを
  危機に陥れている。敗北時、イラク軍には世界最強の米軍が
  ついていた。米軍は制空権を握り、戦闘機でいくらでもIS
  ISを空爆できた。しかし、地上で激戦のさなかの空爆は4
  回しか行われず、それも市街の周辺部を小規模に空爆しただ
  けだった。            http://bit.ly/1U7zLGF
  ───────────────────────────

スティーブン・バノン氏.jpg
スティーブン・バノン氏
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2016年11月18日

●「なぜクリスティー氏は外されたか」(EJ第4404号)

 トランプ次期米大統領の政権移行チームがもめています。これ
はヒラリー・クリントン氏のメール問題にも影響が及ぶ可能性が
あるので、取り上げることにします。
 これについて、ブルームバークのサイトでは、次のように伝え
ています。
─────────────────────────────
 ドナルド・トランプ米次期大統領の政権移行チームでは、内紛
で新政権の人選が妨げられているようだ。その根拠の一つがトラ
ンプ氏の長女の夫、ジャレッド・クシュナー氏がクリスティー・
ニュージャージー州知事のグループを排除しようとしているとの
情報だ。
 こうした見方の背景となったのは、クリスティー氏が政権移行
チームの国家安全保障分野のリーダーに起用したマイク・ロジャ
ース元下院議員が11月15日、突然同チームを離れると表明し
たことだった。事情に詳しい2人の関係者が人事問題を理由に匿
名を条件に明らかにしたところによれば、議員時代に下院情報特
別委員長を務めていたロジャース氏の離脱はクリスティー氏とク
シュナー氏の摩擦による実質的な解任だという。クリスティー氏
は政権移行チームを率いていたが、11日に発表された新体制で
降格となり、新たなリーダーにはマイク・ペンス次期副大統領が
就いた。   ──2016年11月16日付、ブルームバーク
                   http://bit.ly/2fYdwk7
─────────────────────────────
 クリス・クリスティーニュージャージー知事といえば2016
年度米大統領選の予備選に立候補しながら、自分への支持が集ま
らないと見ると、早くからトランプ氏への支持を表明し、トラン
プ氏の選挙活動に付き添ってサポートしていた人物です。
 7月19日の共和党全国大会では、党大会の演説で、模擬裁判
を開廷し、クリントン候補の犯罪疑惑リストを読み上げて糾弾し
たことは既に述べた通りです。
 つまり、早くからトランプ氏有利とみて、トランプ氏勝利のさ
いは、人事などで、主導権を取ろうとしたフシがあります。そし
て実際にトランプ氏が勝つと、政権移行チームの委員長になると
思われていたのです。
 しかし、委員長になったのは、次期副大統領のマイク・ペンス
氏であり、クリスティー氏は副委員長にとどまったのです。この
ことが、クリスティー氏に近いマイク・ロジャース元下院議員の
政権移行チームからの離脱につながったとみられています。政権
移行チームは、明らかにクリスティー氏一派を外そうとしている
ことは確かです。
 なぜ、クリスティー氏は外されたのでしょうか。クリスティー
氏は、トランプ陣営に取って、今回の選挙の功労者の一人です。
クリスティー氏が外された理由について、11月17日付の朝日
新聞朝刊は次のように書いています。
─────────────────────────────
 米メディアによれば、移行チームの委員長から、ニュージャー
ジー州のクリス・クリスティー知事を外させたのは、クシュナー
氏(トランプ氏の長女イヴァンカ氏の夫)の意向とされる。かつ
てクリスティー氏が検事時代に、クシュナー氏の父を脱税や違法
政治献金などで起訴、刑務所暮らしを強いられたことへの意趣返
しとも報じられる。
 今回のロジャー氏の離脱も、クリスティー氏に近い人物だから
との説もささやかれる。首席補佐官にプリーバス氏を強く推した
のも、クシュナー氏とイヴァンカ氏だった。
        ──2016年11月17日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 クリス・クリスティー氏が副委員長にとどまった理由について
は別の見方があります。それは、10月にトランプ氏の女性蔑視
発言が報じられたときに、クリスティー氏はトランプ氏を擁護す
ることを拒否し、トランプ氏の不興を買ったのが原因であるとい
う説で、17日付の日本経済新聞が報じています。
 このように、クリスティー氏はニュージャージー連邦地検検事
正を務めていたことがあり、今回政権移行チームを離脱したマイ
ク・ロジャー氏も連邦捜査局(FBI)の特別捜査官や下院情報
特別委員長を歴任しているなど、クリントン氏のメール問題摘発
に深く関与している人物です。この2人が新政権の主流から外れ
つつあることは、クリントン氏のメール問題の今後の進展に影響
を与えるものと思われます。
 しかし、その一方において、クリスティー氏が司法長官になる
可能性はあります。何といってもクリスティー氏は早い段階でト
ランプ氏への支持を表明しており、トランプ政権誕生の功労者の
一人です。確かにクシュナー氏との確執はあったとしても、閣僚
になる可能性は残っています。そうなると、クリントン氏のメー
ル問題は真相解明に急速に動くと思われます。
 ヒラリー・クリントン氏の私的メール問題は、リビア・ベンガ
ジ事件に深く関与しており、副島隆彦氏や巷間いわれている噂が
本当であるとすれば、オバマ政権にも関わる国家犯罪ともいえる
ものであり、ヒラリー氏への訴追は不可避になります。共和党と
しても、あれほど選挙期間中に問題にし、アッピールし続けたク
リントン氏の私的メール問題を、選挙に勝利したからといって、
このまま放置することは許されないことです。
 次期トランプ政権は、ブッシュ(子)政権以来の共和党政権で
あり、議会も上下両院を共和党が制しています。この問題に決着
をつけるには絶好の環境にあります。コミーFBI長官が「問題
なし」としたクリントン氏への捜査を新しい体制によって、捜査
再開が行われるものと思われます。
 EJでは、これまでと同様に、今後のトランプ氏の政権づくり
の動きを注視しながら、副島隆彦氏の本などを参照して、クリン
トン氏のメール問題を追及していきます。
            ──[孤立主義化する米国/089]

≪画像および関連情報≫
 ●米政権移行チームが大混乱/2分で分かるアメリカ
  ───────────────────────────
   アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、政権始動に
  向けホワイトハウスの重要ポストや閣僚の人選を本格化して
  います。
   政権移行チームのリーダーを務めるのはマイク・ペンス次
  期副大統領。先週金曜日、ニュージャージー州のクリス・ク
  リスティーズ知事から代ったばかりです。チームには、トラ
  ンプ氏の長女であるイヴァンカさんをはじめとした家族、シ
  リコンバレーの投資家ピーター・ティール氏、弁護士で元ニ
  ューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏のほか、ワシン
  トンに拠点を置くシンクタンク、ヘリテージ財団の関係者が
  含まれています。
   こうした中、政権移行チームで安全保障問題を担当してい
  たマイク・ロジャーズ氏が15日、チームを抜けました。ロ
  ジャーズ氏は、下院の諜報委員会の元委員長で重鎮。また、
  ジュリアーニ氏は司法長官のポストを辞退しました。
   ニューヨーク・タイムズ紙は政権移行チームの作業が「遅
  れ」から「停止寸前」に変わりつつあると報じました。政権
  移行は通常、速やかに、計画的に進むものだが、スタート時
  点の遅れと不透明感がトランプ政権のスタートに影響する可
  能性があるとしています。     http://bit.ly/2f3pPuK
  ───────────────────────────

ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻.jpg
ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻
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2016年11月21日

●「カダフィー大佐を殺したのは誰か」(EJ第4405号)

 民主主義国家から見ると、「独裁国家=悪」という考え方を持
つものです。とくに民主主義国家を世界中に拡大したいと考えて
いる米国はそのように考えるのがつねです。しかし、独裁国家で
あってもきちんと統治されている国家は少なくないのです。かつ
てのイラクもそういう国のひとつだったのです。
 ところが米国は、イラクが実際には保有していなかった大量破
壊兵器を確証もないのに保有しているとし、イラクに戦争を起こ
してフセイン大統領を排除したのです。このさい、大量破壊兵器
の有無など、どうでもよかったのです。米国が戦争を起こした理
由は他にあります。
 それは一言でいえば米国の国益を守るためです。本当の理由は
イラクが米国に対して、絶対に容認できないことをやったからで
す。それは、イラクが自国の原油の取引をドルからユーロに変更
したことです。
 原油は現在ドルでしか取引できませんが、もし他の産油国がイ
ラクに同調してユーロでの取引に切り替えるようなことが起きる
と、米ドルは基軸通貨の地位を失いかねないことになります。そ
のため、イラクが大量破壊兵器を保有しているという不確かな情
報に基づいて戦争に踏み切ったのです。つまり、イラクは米国の
虎の尾を踏んでしまったのです。実際にイランでもドルをユーロ
に切り替えており、これに対して米国はイランに対し、厳しい経
済協力を課したのです。
 それでは、リビアのカダフィ大佐は、なぜ殺されたのでしょう
か。リビアも資源豊かな産油国であり、独裁国家であることはイ
ラクと同じです。リビアはアフリカでも屈指の石油産出国であり
2010年のGDPは779億ドル、アフリカ第7位の豊かな国
です。リビアを統治していたカダフィ大佐は、独裁者ではあった
ものの、国民に対しては善政を行っていたのです。
 ただ、カダフィー大佐は、アフリカを何とかひとつにまとめよ
うと努力していたのです。しかし、そのためにやろうとした次の
3つのことが、欧米諸国の国益を損ねたといえます。ちなみにこ
れら3つのうち、カダフィー大佐が実際にやったのは「1」だけ
で、「2」と「3」は実現する前に殺害されています。
─────────────────────────────
 1.コミュニケーション用衛星を独自に打ち上げ、英米資本
   家に損害を与えた。
 2.「ユナイテッド・ステート・オブ・アフリカ」を作り上
   げようと努力した。
 3.AMF(アフリカ通貨基金)を設立して、IMFに損害
   を与えようとした。
─────────────────────────────
 このなかで、「3」はストロスカーン前IMF専務理事と組ん
で、カダフィー大佐は、米ドルに替わる基軸通貨を作る方向で動
いていたのです。この点はフセイン大統領と同じであり、とくに
米国にとっては、とても受け入れられないことだったのです。
 しかし、リビアの場合は、イラクの場合と違って、世界の関心
が日本の311(東日本大震災)に向いているときに、こっそり
とNATOによる空爆が行われ、地上では米国が後押しする反政
府勢力によって、カダフィー大佐が殺害されたのです。かたちの
うえでは、カダフィ大佐の殺害は反政府勢力によって行われたと
されています。
 カダフィー大佐は、2011年4月30日、空爆を続けるNA
TOに対して、次のメッセージを発信しています。
─────────────────────────────
 NATOの人々よ、聞きなさい!あなたたちは、アフリカから
欧州への移民流入を堰き止めてきた壁を爆撃しているのでり、ア
ルカイダのテロリストを抑えてきた壁を爆撃しているのです。リ
ビアがその壁だったのでしょう。それをあなたたちは破壊しよう
としているのです。あなたたちは馬鹿ものだ。アフリカからの数
千の移民のせいで、アルカイダに対する支援のせいで、あなたた
ちは地獄に落ちるがよい。実際、そうなるだろう。私は、嘘はつ
かない。今言っていることは嘘ではない。
         ──カダフィー大佐/2011年4月30日
─────────────────────────────
 それでは、米国は何をやったのでしょうか。
 米国は、リビア第2の都市であるベンガジを中心に反政府軍を
密かに組織し、武器を貸与してカダフィー大佐の殺害を企てたの
です。その中心人物はベンガジ米領事館のスティーブンス大使な
のです。スティーブンスは大使ですから、当時国務長官をしてい
たヒラリー・クリントン氏の部下ということになります。このク
リス・スティーブンス大使について、副島隆彦氏は次のように述
べています。
─────────────────────────────
 このクリス・スティーブンスは、国務長官だったヒラリーの直
属の外交官で、CIAの人殺し部隊というか特殊部隊の責任者で
もあった。スティーブンス大便はその前年に、自分が直接指揮を
してカダフィ大佐を惨殺した。リビアの独裁者カダフィ殺し──
2011年10月20日の最高責任者はヒラリーである。ヒラリ
ーはカダフィが殺される2日前に、リビアの首都トリポリに自ら
乗り込んでいる。そして暗殺部隊と写真に収まっている証拠写真
がある。                  ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 カダフィー大佐が殺害されてから、クリス・スティーブンス大
使の周辺は危険が増していたのです。米国のベンガジ領事館は、
領事館としての最小限度の警備も設備も備えておらず、単なる派
出所に過ぎなかったからです。スティーブン大使は、何回もベン
ガジの警備体制を整えて欲しいとクリントン国務長官に申請した
のですが、クリントン国務長官は、なぜか、その申請のすべてを
却下したのです。    ──[孤立主義化する米国/090]

≪画像および関連情報≫
 ●カダフィーの真実/理想社会を創った英雄
  ───────────────────────────
  カダフィー大佐。
   2年前のリビア戦争で話題になった人です。最期は反政府
  軍らに殺害されます。「独裁者」とか「アラブの狂犬」とか
  悪の象徴であるかのような感じでしたね。確かに緊張みなぎ
  った強面ですし。腕っ節の強そうな剛毅な感じもします。
   40年以上も独裁者だった、とい言われていましたね。ま
  た武装もしていないリビア国民をも無差別に攻撃したとか。
  残虐非道で、悪魔のような人物。リビア国民は恐怖と圧政に
  強いられていたんだろうな、という感じでした。
   ですので、リビア戦争では、「民主主義万歳!」「反政府
  運動イケイケ!」という感慨をおそらく全世界の人達が持っ
  たでしょう。欧米メディアでは、カダフィー大佐を「悪者」
  として報道していましたし。無差別攻撃の映像が流れたり。
  そんな報道一色でした。これに対して「正義の味方」の「国
  連・NATO」といった感じでもあったりします。しかし、
  カダフィー大佐は、報道されていた人物とは真逆でした。
  「え!?」と想うかもしれません。最初知った時は、私も驚
  きました。カダフィーの本当の姿は、独裁者でも無ければ、
  狂犬でもありませんでした。なんとリビアの国民の全てを愛
  し、リビア国民の幸福の実現のために、本気で取り組んだ方
  だったのです。          http://bit.ly/1TCa8HJ
  ───────────────────────────

クリス・スティーブンス大使.jpg
クリス・スティーブンス大使
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2016年11月22日

●「カダフィー暗殺部隊と米国務長官」(EJ第4406号)

 ヒラリー・クリントン前国務長官の私的メール問題がいかに重
要であるかを理解するには、リビア・ベンガジ事件で何が起きて
いたかを知ることがきわめて重要です。なぜなら、これは犯罪で
あり、事実が明らかになれば、クリントン氏の逮捕は十分あるし
オバマ大統領の関与も取り沙汰される可能性があります。
 しかし、逆にいうと、国家機密に関する問題なので発表すれば
国益を害する恐れがあるので、そのまま不問にしてしまう可能性
もあるのです。いずれにせよ、トランプ新政権が発足すると、こ
の問題はもう一度蒸し返されることになると思います。
 リビア・ベンガジ事件というのは、リビア第2の都市ベンガジ
で、2011年9月11日(911)に米領事館が多数の暴徒に
襲われ、スティーブンス大使ら4名が殺害された事件です。領事
館の職員が4人も殺されるのは大事件です。
 ところが当初クリントン国務長官は「領事館職員1名死亡」と
発表。しかし、実際は領事館職員3名と特命全権大使のスティー
ブンス氏の4名が死亡しているのですが、そのことを在リビア大
使館も国務省も正確な情報を掴んでいなかったのです。
 その約1年前にカダフィー大佐が殺害されているのですが、そ
の時点では誰もカダフィー殺害事件と領事館襲撃事件とを結び付
けて考える人がいなかったのです。領事館が暴徒に襲撃されたの
は、2011年の米国映画『イノセンス・オブ・ムスリム』で、
予言者ムハンマドが残酷な殺人者であるとする部分の14分間の
映像がユー・チューブに動画投稿されたのが原因とであると米国
務省は強く主張したからです。
 しかし、これは事実と異なります。なぜ、領事館が襲撃された
のかについての真相を知るには、カダフィー大佐が誰によってど
のように殺害されたかを知る必要があります。
 まず、添付ファイルをご覧ください。この写真は、副島隆彦氏
の新刊書『ヒラリーを逮捕、投獄せよ』(光文社刊)の95ペー
ジ出ていた写真です。そこには、次の説明がついています。
─────────────────────────────
 2011年10月18日にトリポリの飛行場で。一緒に写真に
写っている者たちはリビア人ではなく、アフガニスタン人の傭兵
の殺人部隊だ。彼らは、このあと自国に帰って「事故で」殺され
る。首からぶら下げているのは、後ろの米軍輸送機に搭乗するた
めの許可証である。        ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
          カラー写真の出所 http://bit.ly/2f9i32f
─────────────────────────────
 この写真を見て驚いたことがいくつもあります。1つは、この
時期に米国の国務長官が、なぜりビアの首都トリポリにいたのか
ということです。この時期というのは、リビアにはNATOの空
爆が行われている最中でいわば戦場なのです。そんな危険な場所
に国務長官がなぜ赴くのでしょうか。まるで陣頭指揮です。しか
もその2日後に、カダフィー大佐は殺害されているのです。
 副島氏によると、クリントン長官を取り巻いているのは、アフ
ガニスタンの殺人部隊であるということです。その全員が飛行機
の搭乗証をぶら下げているのをみると、後ろに写っている米国の
輸送機に乗ってどこかから飛んできたものと思われます。それは
おそらくアフガニスタンからだと思われます。
 クリントン国務長官を取り巻いているのは、アフガニスタン人
の傭兵で、彼らがカダフィーを殺害したといわれています。それ
にしても米国の国務長官がどうしてこのような殺人集団と一緒に
写真に収まっているのでしょうか。もしクリントン氏ではなく、
スティーブンス駐リビア全権大使であれば理解できます。なぜな
ら、スティーブンス氏は任務としてCIAと一緒にリビアで反政
府勢力を育てようとしていたからです。
 もうひとつ重要なことがあります。それは、「彼らはこのあと
自国に帰って「事故で」殺される」という部分です。これに関し
て、副島氏は次のように説明しています。
─────────────────────────────
 この暗殺部隊は、リビア人ではなくて、アフガニスタン人であ
る。彼らはこのあと自国のカブールに英雄として凱旋しようとし
た。だがカブール空港に着陸しようとして、「タリバーンの攻撃
があって」輸送機ごと爆殺された。口封じで殺されたのだ。ヒラ
リーというのは、こういう恐ろしいことをやってきた女なのであ
る。                    ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 カダフィー大佐を殺害するために、米国はアフガニスタンの傭
兵を雇い、目的を果たした時点で、その殺人部隊全員を殺害した
ことになります。爆破された輸送機はおそらく写真に写っている
米軍輸送機であると思われます。ひどい話ですが、CIAであれ
ばそのぐらいのことはやり兼ねないのです。
 このようにクリントン国務長官は、リビア事件に深く関与して
いたのです。そのとき、クリントン長官の指示を受けて動いてい
た人物は、次の2人です。
─────────────────────────────
       1. クリス・スティーブンス
       2.シドニー・ブルメンソール
─────────────────────────────
 「1」のクリス・スティーブンス氏は、当時駐リビア米国大使
であり、ベンガジ事件で殺害されています。「2」のシドニー・
ブルメンソールは、夫のクリントン元大統領時代にホワイトハウ
スで側近を務め、自分に最も近いアドバイザーの一人です。
 クリントン氏は、自分が国務長官になるとき、ブルメンソール
氏に国務省のポストを与えようとしたのですが、オバマ政権から
拒否されています。しかし、クリントン氏は何かとブルメンソー
ル氏にアドバイスを求め、私的な秘書のように扱っていたといわ
れています。      ──[孤立主義化する米国/091]

≪画像および関連情報≫
 ●新ベンチャー革命/2016年5月8日
  ───────────────────────────
   筋金入りの反戦主義者であるケリー米国務長官はヒラリー
  のカダフィ暗殺関与とベンガジ米領事館襲撃事件の闇を是非
  暴露して欲しい、それこそが日本を乗っ取っている戦争中毒
  勢力の弱体化に貢献する。
  1.次期米大統領選は、ヒラリーに仕掛けられていると思わ
    れるスキャンダル爆弾がさく裂するかどうかで決まる。
  2.本ブログでは今、次期米大統領選を取り上げていますが
    米共和党指名候補がトランプ氏で確定し、一方ヒラリー
    氏が米民主党指名候補として有力となっています。
   まったく政治経験のないトランプ氏が決選に勝ち残ったこ
  とから、この選挙戦は前例のない異例なものとマスコミは報
  じています。常識的に予想すれば、政治経験豊富なヒラリー
  の方が有利なはずですが、好事魔多しであるヒラリーにはス
  キャンダル爆弾が仕掛けられていると本ブログでは観ていま
  す。さて、本ブログは、日本を乗っ取っている米国戦争屋の
  ウォッチをメインテーマとしていますが、ヒラリーは米民主
  党における米戦争屋エージェントであると本ブログでは観て
  います、なぜなら、ヒラリーをNY州上院議員にしてくれた
  恩人は米戦争屋ボス・デビッドRFだからです。
                   http://bit.ly/2g9q61B
  ───────────────────────────

シドニー・ブルメンソール氏.jpg
シドニー・ブルメンソール氏
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2016年11月24日

●「党派性の強いベンガジ特別委員会」(EJ第4407号)

 そもそも「ヒラリーメール」(以下、この表現で統一)はいつ
頃からいわれるようになったのでしょうか。副島隆彦氏の本を中
心に時系列に事件を追ってみることにします。
 クリントン国務長官が退任したのは2013年2月1日のこと
です。同年3月3日に、あるハッカーがシドニー・ブルメンソー
ル氏のメールをハッキングしたのです。ブルメンソール氏という
のは、ビル・クリントン元大統領の補佐官であり、国務長官に就
任したヒラリー・クリントン氏の私的な相談相手を務めていた人
物といわれています。
 したがって、ブルメンソール氏のメールのなかには、当然のこ
とながら、クリントン国務長官とやりとりしたメールが多く含ま
れていたのです。このハッカーは、「グッシファー」と呼ばれる
ルーマニア人であり、ブルメンソール氏のメールアカウント経由
でクリントン国務長官のメールをハッキングしたことを明らかに
したうえで、クリントン氏が国務省の国家機密を勝手に使ってい
たという事実を暴露したのです。
 しかし、このことは表に出ていないので、ヒラリーメールのこ
とは多くの人の知ることにならなかったのです。その後その男は
ルーマニアで逮捕され、7年の刑を宣告されています。2015
年に米国に移送され、現在バージニア州の拘置所に収監されてい
るといわれます。
 ちょうどその頃、元CIA職員であるエドワード・スノーデン
氏は、政府が違法な情報収集をしているとして、主要メディアに
国家機密を送り始めたのです。実はそのなかに、ヒラリーメール
が多数含まれていたのです。しかし、身の危険を感じたスノーデ
ン氏は、2013年5月20日に香港に脱出し、6月23日にモ
スクワに政治亡命しています。
 2014年5月2日に米議会下院に「ベンガジ特別委員会」が
設置されます。委員長は共和党のトレイ・ガウディ氏です。この
特別委員会の設立は、ヒラリーメールが発覚したことと無関係で
はないのです。ヒラリーメール(一部ではあるものの)その内容
が尋常ならざるものであったからこそ、特別委員会を立ち上げた
ものと思われます。
 さらにその頃から、次期大統領選には、民主党からヒラリー・
クリントン氏が出馬することが既定事実になっており、共和党と
してはその意味からもヒラリーメールとの関連でベンガジ事件を
究明することによって、ヒラリー・クリントン氏の出馬を牽制し
たかったのではないかと考えられます。
 果せるかな、この特別委員会には民主党が猛烈に抵抗したので
その開催が3ヶ月間も遅れたのです。もし開催され、調査がはじ
まると、ベンガジ事件が暴かれ、オバマ政権にとって不利な事態
になると考えたうえでの抵抗です。
 2014年8月に調査が行われると、ベンガジ特別委員会の要
請に基づいて国務省はヒラリーメールの一部を提出したのです。
このあたりから、クリントン氏が国務長官時代の公務に、私的な
メールアカウントを使っていたことが明るみに出たのです。
 2014年11月に、ベンガジ特別委員会は、クリントン氏が
私的に使用したメールをすべて提出するよう命令しています。こ
れを受けて、ヒラリー事務所は3万490通の印刷されたメール
(約5万5千ページ)を国務省に提出しています。なお、このメ
ールの数については、いろいろいろな情報があってはっきりして
いないのです。
 2015年3月3日付けのニューヨーク・タイムズ紙が、ヒラ
リーメール問題を取り上げたのです。これによって、この問題が
世界的に知られることになったのです。このニューヨーク・タイ
ムズ紙の記事について、新田容子日本安全保障・危機管理学会主
任研究員は次のように報じています。
─────────────────────────────
 2015年3月3日付けのニューヨーク・タイムズ紙によると
クリントン氏が国務省時代の4年間、個人のメールアカウントを
使用して職務に当たっていたという。
 側近が5万5千ページに渡る同氏のメール内容をアメリカ国立
公文書記録管理局(米国連邦政府下の独立機関)へ提出した後に
明るみに出た。タイムズ紙はクリントン氏が職務用に個人メール
を使用した初めての政府高官ではないとしているが、このスクー
プは懸案を引き起こしている。評論家や政治家達がこの問題にか
かる倫理性と合法性について論じている一方、クリントン氏の通
信の安全性が取りざたされている。   http://bit.ly/2fpO21F
─────────────────────────────
 クリントン氏は、2015年10月22日のベンガジ特別委員
会の公聴会で「自分はきちんと職務を果たしている。やましいこ
とはしていない」と証言しています。この公聴会は、10時間に
わたり議論が行われましたが、新しい事実はほとんど出なかった
のです。肝心のメールが表には出ていないからです。
 しかし、ガウディ委員長は、ブルメンソール氏とやり取りした
メールの内容にこだわり、民主党委員と激しい論戦になったとい
います。BBC系のサイトは次のように述べています。
─────────────────────────────
 ガウディ委員長が、クリントン氏の友人のシドニー・ブルーメ
ンソール氏が、リビア関連の機密情報をメールでクリントン氏に
送っていた事実にこだわったのだ。ガウディ委員長は、ブルーメ
ンソール氏がクリントン氏のリビア政策に不当に影響を及ぼし、
スティーブンス大使よりも頻繁にクリントン氏に連絡をとってい
たのではないかと示唆した。
 民主党の委員たちはそれに強く反発し、ブルーメンソール氏の
証言内容を公開するよう要求した。そのやり取りをクリントン氏
は、面白がっているような表情で超然と眺めるだけだった。
                   http://bbc.in/2f5n6Wx
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/092]

≪画像および関連情報≫
 ●ベンガジ事件やメール問題の追及かわす/下院公聴会
  ───────────────────────────
   ワシントン(CNN)2012年に起きたリビア・ベンガ
  ジの米領事館襲撃事件をめぐり、ヒラリー・クリントン前米
  国務長官は22日、下院特別委員会の公聴会に出席した。
   襲撃事件ではクリス・スティーブンス駐リビア大使ら米国
  人4人が死亡した。公聴会では、下院の過半数を占める共和
  党の議員たちが、国務長官としてのクリントン氏の事件への
  対応や、長官在任中に個人の電子メールアカウントを使用し
  ていた件などを追及した。
   党派色の非常に強い公聴会で、多くの米国民の見方に影響
  を及ぼすものではなかったかも知れない。共和党は在外公館
  の警備に関するクリントン氏の失策が事件を招いたと考え、
  前国務長官が徹底調査に応じていないとの立場を崩そうとし
  ない。一方、民主党から見れば、公聴会は同党の大統領選指
  名候補争いで最も有力視されているクリントン氏を傷つける
  ために開かれた一種の「魔女狩り」だ。
   クリントン氏は終始落ち着いた様子で、質疑の主導権を握
  っていた。それでも時間が経つにつれ、共和党からの質問内
  容や、何度も発言に横やりを入れられることにいらだちの表
  情も見せていた。だが結果としてクリントン氏は、約11時
  間にわたる公聴会をさしたる痛手も受けずに切り抜けること
  ができた。            http://bit.ly/2gfZTAr
  ───────────────────────────

ベンガジ特別委員会/公聴会でのクリントン氏.jpg
ベンガジ特別委員会/公聴会でのクリントン氏
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2016年11月25日

●「トランプ次期政権は対中強硬政権」(EJ第4408号)

 トランプ次期米大統領は、日本時間の22日、就任初日に実行
する政策を示したビデオメッセージで、「TPPから離脱する」
という声明を発表しています。選挙中にあれほど明確にいってい
たのですから、「やっぱり!」という感じです。
 TPPをアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけていた安倍首
相としては、さぞがっかりしていると思いますが、TPPはそれ
ほど日本にとって利益のある協定なのでしょうか。
 当の安倍首相も首相になる前はTPPに反対だったはずです。
それを米国に歩調を合わせるため、それが中国封じ込めにもつな
がるとの判断から加盟に踏み切った経緯があります。それに協定
の内容の細部はまだ国民に十分知らされてはいないのです。
 元大阪市長の平松邦夫氏は、TPPについてブログで次のよう
にコメントしています。
─────────────────────────────
 「戦後史の正体」で孫崎享さんが指摘されているように、対米
追随外交の歴史が日本をここまで「属国、属領」的な形に落とし
込めているという指摘をどう受け止めるのでしょうか。
 東京新聞がすっぱ抜いたように、見えない情報、いや意図的に
見せない情報の存在が明らかになっているのに、政治家も、大手
メディアも、経済界も「見えないことにしていきましょう」とい
う前時代的な国民懐柔(誘導)策がいつまで通用すると思ってい
るのでしょうか。
 自民党は、「日本国憲法」をアメリカから押し付けられた憲法
であり、「自主憲法」制定を党是としていた筈。なのに、国民の
暮らしを支えているはずのわが国の健康保険制度、ただでさえ確
かでない食糧自給、そんなこの国の現状を、より、アメリカ主導
型の見せかけの貿易自由協定に踏み込もうというのか。
           ──平松邦夫氏 http://bit.ly/2fT1D20
─────────────────────────────
 確かに中国のなりふり構わない力にものをいわせる現状変更は
許しがたいものがあります。しかし、対中国封じ込めに関しては
ここにひとつの重要な情報があります。
 11月22日発行の「夕刊フジ」の冒頭で、ジャーナリストの
加賀孝英氏が、米情報当局者の間で、トランプ氏が「対中強硬方
針を決断した」という情報が広がっていると伝えています。そし
て、加賀孝英氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 トランプ氏は選挙期間中、日本やドイツも批判していたが、一
番激しく攻撃していたのは中国だ。彼は以前から「アンチ・チャ
イナ」を前面に出していた。いわく、「大統領就任初日に中国を
『為替換作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強
化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主
義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ
海で米軍の存在感を高める」・・。まさに中国との「通貨戦争」
「貿易戦争」「全面衝突」すら辞さない決意表明ではないか。
        ──2016年11月22日発行「夕刊フジ」
─────────────────────────────
 加賀氏はもうひとつ重要な情報を伝えています。それは「なぜ
トランプ氏は勝利できたのか」ということです。それは、米国防
当局と米軍、そしてFBI周辺の陰ながらのバックアップがあっ
たからだという考え方です。つまり、いわゆる「隠れトランプ支
持者」とは、国防当局と軍とFBIであるというわけです。
 加賀氏は、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報として
次のように述べています。
─────────────────────────────
 国防当局と軍は、オバマ政権の「対中腰抜け政策」に激怒して
いた。彼らは常に、南シナ海や東シナ海で、中国への強硬策を進
言してきたが、オバマ政権は口だけで逃げた。米国のアジアでの
威信は地に落ち、混乱した。オバマ政治を継続するヒラリー氏は
容認できなかった。         ──前掲の「夕刊フジ」
─────────────────────────────
 確かにオバマ大統領の対中国政策は、ひどいものだったといえ
ます。その証拠に任期中に国防大臣が3人も辞任しています。ロ
バート・ゲイツ、レオン・パネッタ、チャック・ヘーゲル3氏が
辞任し、現在は4人目のアシュトン・カーター氏が国防長官を務
めています。こんなことは前代未聞です。
 トランプ氏は、次期国防長官に対中強硬派で知られるジェーム
ズ・マティス元中央軍司令官を検討しているといわれます。この
マティス氏は海兵隊上がりで、最終階級は大将。NATO変革連
合軍最高司令官、アメリカ統合戦力軍(USJFCOM)司令官
アメリカ中央軍(CENTCOM)司令官などの要職を歴任して
います。もし、マティス氏に決まると中国は大ショックです。
 さらにトランプ氏は、ロシアのプーチン大統領と会い、連携を
考えています。もし、これが実現すると、シリア内戦をめぐる米
露対決は解決し、イスラム国掃討作戦で結束できます。
 そのためにトランプ氏は、今後軍事費を約300億ドル(約3
兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図るものと思われ、
同盟国にも相応の負担増を求めてくると思われます。
 こういった話は、11月17日の安倍VSトランプ会談でも出
ているはずです。アジア問題を重視しているからこそ、他国に先
がけてトランプ氏は安倍首相と会ったのです。そのため、中国は
相当神経質になっているのです。
 確かに加賀氏の情報が正しいとすると、FBIのコミー長官が
ヒラリーメール問題を小出しにして、クリントン氏を揺さぶった
ことは理解できます。それはトランプ氏勝利に貢献したのです。
FBI内部では「なぜヒラリー氏を起訴しないのか」という不満
がうず巻いていたといわれます。
 コミー氏は、国防総省に近いロッキード・マーチン社の役員も
務めており、内部から相当強い突き上げがあったものと考えられ
ます。         ──[孤立主義化する米国/093]

≪画像および関連情報≫
 ●次期米大統領、対中政策は強硬に/WSJ
  ───────────────────────────
  【上海】中国の指導部は、米大統領選挙の候補者たちによる
  中国バッシングに耳を塞ぐことを学んできた。米選挙戦での
  結局は無害な気まぐれだとして、そうしたバッシングを無視
  したのだ。投票が終われば元の鞘に収まっていつも通りにな
  るだろう、と彼ら中国指導者は予想している。
   彼らは何度となく正しかった。ニクソン大統領による19
  72年の訪中以降、共和党であれ民主党であれ新政権は中国
  政策について、前政権が中断したところからまた始めるのが
  常だった。
   だが、今回の選挙は、従来とは異なる結果をもたらすはず
  だ。それはニクソンの関与政策のおおざっぱな練り直し(つ
  まり米政策担当者サークルと企業役員室において依然として
  根強い支持を集めているアプローチ)ではなく、ある種の再
  調整である。中国に向けた米国の態度は現在、政策スペクト
  ラム全域で硬化しつつある。ヒラリー・クリントン氏とドナ
  ルド・トランプ氏のいずれが勝つにしても、勝者は貿易と投
  資から南シナ海に至るまで、さまざまな争点で従来以上に強
  硬な路線を追求する公算が大きい。一方、中国の習近平国家
  主席は、毛沢東時代の反米的な態度とスローガンをこれまで
  復活させてきたが、来週の米大統領選投票を前に自らの権力
  を一段と高めた。       http://on.wsj.com/2gnPeBq
  ───────────────────────────

ジェームズ・マティス氏.jpg
ジェームズ・マティス氏
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2016年11月28日

●「激戦3州の投票数再計算の可能性」(EJ第4409号)

 米大統領選は、トランプ氏が勝利し、次期大統領に決まってい
ますが、厳密にいうとまだ確定していないのです。12月19日
に選挙人による投票が行われ、来年1月6日に正式に次期大統領
が決まります。そして、1月20日に大統領就任式が行われるこ
とになっています。
 11月23日、米インターネット・メディアである「クック・
ポリティカル・リポート」は、今回の米大統領選の正式な得票数
は、次の通りであることを発表しています。
─────────────────────────────
                   最終得票数
    クリントン氏 ・・ 6422万7373票
     トランプ氏 ・・ 6221万2752票
             ―――――――――――
               201万4621票
─────────────────────────────
 これによると、敗者のクリントン氏の方が201万票多くなっ
ています。しかし、米国の大統領選挙は、民主党と共和党が州ご
とにそれぞれ決めた選挙人を一般投票で選ぶのであって、大統領
候補者を直接選ぶのではないのです。
 選挙人はあらかじめ投票する候補者を決めており、そのため、
獲得選挙人が多い方が勝利するのですが、選挙人は絶対にあらか
じめ決めている候補者に、投票しなければならないというわけで
もないのです。一般的にはあり得ないことですが、12月19日
も造反が起きる可能性はゼロではないのです。そういう意味では
大統領選の勝負はまだついていないといえます。
 今回の米大統領選は何もかも異常であり、何が起きても不思議
ではないのです。2016年11月25日付の朝日新聞には次の
記事が出ています。
─────────────────────────────
 今月8日に投開票された米大所額選で、激戦となったペンシル
ベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州について再集計を求め
る動きが広がっている。コンピューターヘのハッキングで投票が
不正操作された可能性があるとしている。
 ミシガン大のコンピューター科学者アレックス・ホルダーマン
教授らは、以前から州の集計システムの脆弱性を指摘していた。
大統領選では、民主党全国委員会やクリントン前国務長官の陣営
幹部のメールがハッキングされ、内部告発サイト「ウイキリーク
ス」が次々暴露。ロシアの関与が指摘されている。科学者のみな
らず、支持者が投票用紙の再点検と再集計を求める請願書を州に
提出する動きもある。
        ──2016年11月25日付/朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 確かにこれらの激戦各州での両候補者の差は1・2ポイント以
下とわずかであり、もし3州で逆転すると、勝者と敗者は逆転し
クリントン氏が勝利することになります。単なる集計ミスではな
く、ロシアによるとみられる不正操作が原因とみられており、再
集計される可能性はあります。
 今のところクリントン陣営に再集計を求める動きはないですが
トランプ大統領誕生に反発する勢力はけっして少なくなく、そう
いう勢力が、今後再集計を強く求める可能性は高いといえます。
カルフォルニア州などは合衆国離脱まで口にしているのです。
 米国では大統領が代わるというのは大変なことなのです。政権
交代によって閣僚が代わるのは当然のことですが、閣僚以外に約
3000人は“首が切られる”ことになります。これらは政治任
用されている公務員です。その数は全体の公務員の10%以下に
抑えられるようにはなっているものの、やはり、それは大移動で
す。約3000人の内訳は次の通りです。
─────────────────────────────
     1.  高級管理職 ・・・ 1050人
     2.  上級管理職 ・・・  650人
     3.スケジュールC ・・・ 1290人
─────────────────────────────
 「1」と「2」は管理職ですが、「3」のスケジュールCとは
幹部の秘書が中心であり、一般職も含みます。主がいなくなれば
“首が切られる”のは当然です。
 この大統領交代、とくに今回のように党の代わる交代(民主党
から共和党)は大変な騒ぎになります。したがって、どのような
ことが起きても不思議ではないのです。この政権交代の騒ぎにつ
いて、副島氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 (政権交代になると)ワシントンの各省の高級官僚どもが、大
量に失職する。総取り替えになる。アメリカ人は、官僚、公務員
たちでも政権交代の時に首を切られる。年功序列で、定年まで安
心、ということはない。日本の公務員制度にも、民間企業と同じ
首切り、失業があるべきなのだ。(中略)
 官僚たち内部のこのイス争い(権力闘争)が、今、アメリカの
各省の本省の、幹部公務員たちの間で起こっている。それで朝か
ら晩まで、この人事を巡る大騒動の噂話でもちきりで、ワシント
ン全体を揺るがしている。公務員としての仕事どころではない。
ものすごい騒ぎとなって、アメリカ政治が、激しく揺れている。
失業したら、いまどきは、アメリカの上級公務員でも、なかなか
再就職先は、簡単には見つからない。──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 このように大統領選挙は、その結果によって、自分の運命が大
きく変化してしまう人がたくさんいるのです。閣僚クラスになる
と、もともと大学教授や事業家などの何らかの職業を持っており
元に戻るだけですが、それはレアケースなのです。ほとんどの人
は職を失ってしまうのです。彼らにとってそれは死活問題である
といえます。      ──[孤立主義化する米国/094]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選、専門家が3州の結果の再確認提案
  ───────────────────────────
   ミシガン大学のコンピュータサイエンスを専門とする教授
  のJ. Alex Halderman氏ら3人の専門家は、 投票結果の確認
  を呼びかけている。電子投票マシンのハッキングが可能であ
  ることを示す大きな証拠があるという。ただし、ほとんどの
  専門家が、ハッキングによって国政選挙に影響を与えるのは
  非常に難しいはずだという見解で一致している。このような
  マシンは、3州の複数の郡で使用されていたと Halderman氏
  は指摘している。
   Halderman 氏は、そのようなハッキング行為があったこと
  を示す証拠はないと認識しているという。それでも、得票数
  が拮抗したいくつかの州では、不安を取り除くため、また多
  くの電子投票マシンが生成する紙のバックアップを常に確認
  するという前例を作るために、再集計する価値があると同氏
  は主張している。
   Halderman氏は、 「選挙がハッキングされたというよりも
  世論調査が体系的に誤っていたというのがおそらく最もあり
  得る説明だと思う」とMedium のブログに記した。「しかし
  このような一見あり得ないような説明のうちの一方が他方よ
  りも圧倒的に可能性が高いとは思わない」(Halderman氏)
                   http://bit.ly/2gtlXp7
  ───────────────────────────

米国バージニア州投票所.jpg
米国バージニア州投票所
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2016年11月29日

●「失敗したヒラリーメールの火消し」(EJ第4410号)

 米大統領選におけるテレビ討論において、トランプ氏とクリン
トン氏は次のやり取りをしています。
─────────────────────────────
 クリントン:ドナルド・トランプのような人間に米国の法律が
       任されていないのは喜ばしいことだ。
  トランプ:もし、俺様が法律を担う立場なら、お前は確実に
       刑務所行きだ!
─────────────────────────────
 まことに低レベルのやり取りですが、クリントン氏には、リビ
ア侵攻、アルカイダ支援、ショックドクトリン、それにクリント
ン財団、ウォール街との癒着、そして公務に私的メールの使用と
まるで米国版「疑惑の総合商社」です。これでもし選挙に負ける
と「刑務所行き」も十分あり得ることだったのです。実際にヒラ
リーメール問題についてトランプ氏は、特別検察官を任命して、
問題を追及すると明言していたのです。
 しかし、選挙終了後、トランプ氏は、ヒラリー疑惑をどうする
のかについてニューヨーク・タイムズ紙の記者に問われると、次
のように答えているのです。
─────────────────────────────
 私は前に進みたい。後退したくない。クリントン一家を傷つけ
たくないんだ。本当にそんなことしたくない。彼女は大変な思い
をしてきたし、いろいろな形でとても苦しんできたからね。
                 ──ドナルド・トランプ氏
─────────────────────────────
 まるで「仏のトランプ」への変貌です。しかしこれについて、
トランプ氏の支持者たちは強く反発しています。共和党支持者で
ある「レッド・ステイト・コム」は、約束していた特別検察官を
任命しないなら、「この候補は、これまで本人が主張していたよ
うな人間ではないという赤裸々な事実」が明かされることになる
と書いています。赤(レッド)は共和党の色であり、共和党の強
い州は「レッド・ステイト」と呼ばれるのです。
 また、トランプ氏を強力に支持してきた右派メディア「ブライ
トバート・ニュース」は、「約束が違う」とトランプ氏の立場修
正を非難しています。ブライトバートの前最高経営責任者は、ス
ティーブ・バノン氏であり、彼は次期トランプ政権の首席戦略官
に任命されているので、ヒラリーメール問題がトランプ氏のいう
ようにこのままになるとはとても思えないのです。
 今回の米大統領選においてクリントン陣営は、終始ヒラリーメ
ールの対応に追われ、その結果選挙に敗れるという最悪の結果に
終わっています。しかも、この問題は大統領選が終了してもまだ
終わっていないのです。
 ヒラリーメール問題があまねく世界の知るところとなったのは
2015年3月3日付のニューヨーク・タイムズ紙の報道です。
その翌日、AP通信がヒラリーメールを追跡した結果、ニューヨ
ークチャパクア地区にあるクリントン氏の自宅のサーバーにたど
り着いたと報道しています。
 クリントン氏のITの知識は十分ではなく、自宅のサーバーは
元国務省職員でクリントン氏の選挙スタッフのブライアン・パグ
リアンス氏によってセットされたこともわかっています。しかし
そのサーバーには何のセキュリティ対策も施されていなかったと
いわれます。これでは、メールが流出するはずです。もし表に出
せないメールをやり取りするのであれば、もっと厳重なセキュリ
ティー対策を施すべきであったのです。
 そして、ニューヨーク・タイムズ紙報道の1ヶ月後の2015
年4月12日に、ヒラリー・クリントン氏は大統領選への出馬を
正式に表明しています。クリントン氏にとって最悪のタイミング
での出馬表明になってしまったといえます。
 その点日本の政治家は、閣僚でも平気で個人のメールアカウン
トを使うし、普通の携帯電話で重要な会話をやり取りしているの
です。安倍首相ですらドコモのケータイを使っています。要職に
ある者は、たとえ個人的な対話でもすべてが公務になると認識す
べきです。ヒラリーメールの深刻さについて、副島隆彦氏は次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 ヒラリーが国務長官に就任した(2009年1月)後、すぐに
この私的なメール・アカウントを契約して使い始めた。ヒラリー
が、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウント(暗号
化され三重に防衛されている)を使わずに、個人アカウントのメ
ールで、自分の手下、配下の国務省の下部組織である、CIAの
特殊部隊(暗殺部隊、破壊工作班)をいいように使っていた。そ
れが、ヒラリー・メールの公表とともに今どんどんバレようとし
ている。それがまさしくべンガジ事件であり、ヒラリー・メール
問題だ。ヒラリーはもう逃げられない。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 クリントン陣営としては、当然ヒラリーメール問題の火消しを
必死になってやっています。気になるのは、2016年6月27
日に、ロレッタ・リンチ米司法長官が、ビル・クリントン元大統
領と密談していたことです。ヒラリー氏の夫であるビル・クリン
トン元大統領はこの事件の利害関係人であり、司法長官は会うべ
きではないのです。
 それも話し合っている場所が異常な場所なのです。アリゾナ州
の空港に駐機していた司法長官専用機の中で、2人は何かを話し
ていたのです。時期が時期だけにそれがヒラリーメール問題であ
ることは明らかであると思います。
 しかし、後に何を話したのかについて聞かれたリンチ司法長官
は「ビル・クリントン氏とは孫とゴルフの話をしただけ」と答え
ています。そんな話なら、空港のティールームでも話せばよいの
です。         ──[孤立主義化する米国/095]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリー氏/夫の失態で窮地に!
  ───────────────────────────
   クリントン元大統領と言えば、マサチューセッツ州の予備
  選でも選挙違反と思しき行動を取って一部で猛烈な批判を浴
  びたものです。今度は、妻ヒラリーのメール問題の調査をめ
  ぐり最終段階にある米司法省の長官に歩み寄るという失態を
  犯してしまいました。
   オブザーバーによると、アリゾナ州のフェニックス空港に
  て離陸するはずのクリントン元大統領が乗ったプライベート
  ・ジェット機は、ロレッタ・リンチ米司法長官が控える航空
  機が同じ滑走路に着陸するまで待機していたといいます。明
  らかに、クリントン元米大統領が面会する機会を伺っていた
  と解釈できますよね?リンチ米司法長官と言えば、当時大統
  領だったクリントン氏にNY東部地区連邦地方裁判所の判事
  に指名された人物です。
   妻のクリントン候補は暫く沈黙していたものの、FBIで
  聴取を受けた後にNBCのインタビューに応じるなかで夫と
  ロレッタ米司法長官との面会に触れ「短い、偶然の機会だっ
  た」と振り返っていました。その上で、両者の顔合わせがい
  かに政治的に批判を招くものだったかとお互い認識したと言
  及、二度とこうした面会はないと述べた一方で「後の祭り」
  と断っていました。もともと、クリントン元大統領は空港で
  誰かに話しかける癖があったようです。
                   http://bit.ly/2gtUVQW
  ───────────────────────────

ロレッタ・リンチ米司法長官.jpg
ロレッタ・リンチ米司法長官
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2016年11月30日

●「クリントン周辺で連発する不審死」(EJ第4411号)

 2016年の米大統領選の最中の6月〜8月に、クリントン陣
営に何らかの関係のある人物が次々と5人も亡くなっています。
それらは次の人物です。
─────────────────────────────
 1. ジョン・アッシュ ・・ 2016年6月22日死亡
 2.   セス・リッチ ・・ 2016年7月10日死亡
 3. ジョー・モンタノ ・・ 2016年7月25日死亡
 4.ヴィクター・ソーン ・・ 2016年8月01日死亡
 5.ショーン・ルーカス ・・ 2016年8月04日死亡
─────────────────────────────
 「1」は、ジョン・アッシュ氏の死です。
 ジョン・アッシュ氏は、黒人エリートの国連職員ですが、民主
党本部とヒラリー・クリントン氏のことで、議会で宣誓証言をす
る前日(諸説あり)の6月22日に亡くなっています。ヒラリー
氏に不利な証言をする予定だったようです。死因は、自宅でベン
チ・プレスをしているときに心臓麻痺を起して亡くなったことに
なっています。なお、ニューヨーク州ドッブス・フェリーの警察
当局は、後になって死因を修正、練習時に喉を損壊し亡くなった
としています。
 しかし、ジョン・アッシュ氏の場合は一応病死であり、死亡に
よって、ヒラリー氏を利することはあっても、ヒラリー陣営の仕
業とはいえないと考えられます。
 「2」は、セス・リッチ氏の死です。
 セス・リッチ氏は28歳、民主党の全国委員会の幹部職員です
が、FBIの捜査官との面会に向う途中で、銃弾を数発受けて死
亡しています。7月10日のことです。
 セス・リッチ氏は、民主党本部の腐敗というか不祥事に強い怒
りを持っていて、それらを内部告発しようとしていたのです。と
くに当時民主党本部のやっていたバーニー・サンダーズへの選挙
妨害や、ヒラリーメールの証拠をFBIに提出しようとして、そ
れによって被害を受ける関係者に殺されたものと思われます。
 セス・リッチ氏が暴こうとしていたことは、ロシア情報局が実
施したとみられるハッキングによって、結果として暴かれること
になったのです。これに関する次の記事があります。
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 米国民主党全国委員会のコンピューター・サーバーがハッキン
グされ、民主党本部によるバーニー・サンダース議員への意図的
なサボタージュを示す2万通のEメールがウィキリークスによっ
て報じられました。
 この事件の責任を取って、民主党全国委員会の委員長であるデ
ビー・ワッサーマン・シュルツ議員が辞任しています。このハッ
キングには、ロシア情報局が関連していたと見られ、FBIやC
IAの捜査では、米国大統領選挙において、民主党ヒラリー・ク
リントン候補のダメージを狙い、ドナルド・トランプ氏の当選を
促す意図があったという見方が強まり、ホワイトハウスもこれを
確認しています。           http://bit.ly/2gueTeg
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 「3」は、ジョー・モンタノ氏の死です。
 ジョー・モンタノ氏は民主党全国大会の元議長で、セス・リッ
チ氏と同様に、ヒラリー・クリントン氏が選出されるために行っ
てきた違法的な活動をすべて把握していたといわれます。
 ジョー・モンタノ氏の死については、「ヒラリーと不審な仲間
たち」のサイトに次のように出ています。
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 ジョー・モンタノ氏の家族によると、彼が遺体で発見されたの
は、民主党全国大会に出席するため、でかける準備をしている時
だったという。家族によると彼の健康は絶好調だった。
 彼の死は民主党全国大会(DNC)の当時、議長だったデビ―
・ワッサーマン・シュルツの件を表沙汰にしたウィキリークスの
暴露から数時間内のことだった。モンタノはまた、副大統領候補
であり、機密にあずかってると推察されているティム・ケインの
補佐役でもあった。インサイダー紙によるとモンタノはDNCの
不祥事とティム・ケインについてあまりにも知りすぎていたと解
説している。             http://bit.ly/2gufnNT
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 「4」は、ヴィクター・ソーン氏の死です。
 ヴィクター・ソーン氏については、その著書を副島隆彦氏は翻
訳しています。副島氏はソーン氏について、驚きをもって次のよ
うに述べています。
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 ヴィクター・ソーン氏が死んだのは8月1日だ。彼は作家で、
クリントン財団の秘密を暴いた本を書いた人だ。自分の家のそば
の山で、銃弾を浴びて死んでいるのが発見された。何と、このヴ
ィクター・ソーン氏は、私、副島隆彦が、2006年に翻訳出版
した『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』(徳間書
店)の著者である。(中略)私はヴィクター・ソーン氏とメール
を交信しながら、この本を翻訳した。だから、人ごとではない。
私は、彼を同志、仲間として、追悼する。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
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 「5」は、ショーン・ルーカス氏の死です。
 彼は民主党のサンダース氏の支持者で、クリントン財団と民主
党本部(DNC)の秘密の利益供与を調べていた弁護士です。ル
ーカス氏は、DNCの不正行為を暴露しようと準備していたので
す。彼は、8月4日に自宅で不審な死を遂げています。
 このように、クリントン陣営と民主党にとって都合の悪い人物
が、6月〜8月に実に5人も死亡しているのです。しかし、米国
のメディアはこのことをほとんど報道していないのです。なぜで
しょうか。       ──[孤立主義化する米国/096]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン夫妻の友人47人の不審死
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   夫は第42代米国大統領ビル・クリントンで、自身も米国
  初の女性大統領を狙うヒラリー・クリントン。昨今、彼女の
  名前をメディアで見聞きしない日はない。しかしビルとヒラ
  リーの周囲には、どす黒い疑惑が渦巻いていた──!?
   クリントン夫妻の周りに「不自然な死」が多いことをご存
  じだろうか?実は最近になって、複数の海外メディアがこの
  疑惑を報じていて、その数何と47人。「クリントン夫妻の
  友人たちは、変な死に方をする癖をお持ちのようだ」と皮肉
  られている。その中でも特に有名な10人を紹介したい。
  ■ジェームス・マクドゥガル:1998年/心臓発作
   マクドゥガルはアーカンソー時代、クリントン夫妻の不動
  産ビジネスのパートナーであった。しかしこのビジネスには
  不正があり、後に社名を取って「ホワイトウォーター疑惑」
  と呼ばれるようになった。マクドゥガルはこの不正を訴追さ
  れ、3年半の懲役刑を受けて服役中に持病の心臓発作を起こ
  した。彼が発作を起こした時、除細動器が刑務所に常設され
  ていたが使用されず、時間のかかる遠方の福祉病院に運ばれ
  た。彼はクリントン夫妻を訴追しようとしたスター検察官側
  の最重要証人として裁判に出廷予定であったが、彼の死によ
  り訴追は困難となった。      http://bit.ly/2f7VTPN
  ───────────────────────────
 ●写真出典/──副島隆彦著の前掲書より

クリントン周辺で次々と起きる不審死.jpg
クリントン周辺で次々と起きる不審死
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする