2016年08月30日

●「なぜ、マルコ・ルビオだったのか」(EJ第4350号)

 2016年米大統領選において、共和党の候補者指名を目指し
て立候補した人は実に17人いるのです。一応名前をすべて上げ
ておきます。◎印の人が9人いますが、これは有力候補といわれ
ていた候補者です。
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 ◎1.ドナルド・トランプ   10.リンゼイ・グラム
 ◎2.ジョン・ケーシック   11.マイク・ハッカビー
 ◎3.テッド・クルーズ    12.ボビー・シンダル
 ◎4.マルコ・ルビオ     13.ジョージ・パタキ
 ◎5.ベン・カーソン     14.ランド・ポール
 ◎6.ジェブ・ブッシュ    15.リック・サントラム
  7.ジム・ギルモア     16.リック・ペリー
 ◎8.クリス・クリスティー ◎17.スコット・ウォーカー
 ◎9.カーリー・フィオリーナ
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 トランプ氏を除く主要候補は、今後も何かと米国において話題
になる人物であるので、順番に簡単にご紹介しておきます。米国
政界に影響を与える人物であるといえます。(敬称略)
 ジョン・ケーシックはオハイオ洲知事で、連邦議会下院議員と
して20年近くの経験を有するベテラン。テッド・クルーズはテ
キサス洲上院議員で、ティーパーテイー系の共和党保守派の急先
鋒。マルコ・ルビオはフロリダ洲上院議員で、キューバ系のヒス
パニック。ベン・カーソンは元神経外科医。FOXニュースにコ
メンテーターとしてよく出演。
 ジェブ・ブッシュは元フロリダ州知事で、父も兄も大統領を務
めあまりにも有名。クリス・クリスティーは元連邦検事で、ニュ
ージャージー洲知事。カーリー・フィオリーナは元米ヒューレッ
ド・パッカードの最高経営責任者。候補者中唯一の女性。スコッ
ト・ウォーカーはウィスコンシン洲知事。ティーパーティー運動
を背景に登場した若手保守派の代表的存在。
 共和党本部としては、当然のことながら、存在感の大きいジェ
フ・ブッシュを大本命としていたと思いますが、実は指名は得ら
れても、本選ではヒラリー・クリントン候補には勝てないと考え
ていたのです。唯一クリントン氏に勝てる候補は、マルコ・ルビ
オ氏であると本部は考えていたフシがあります。
 マルコ・ルビオ氏について、共同通信社客員論説委員で青山学
院大学教授は、自著で次のように紹介しています。
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 共和党では以前から、マルコ・ルビオを本命視し、彼に期待す
る動きがあった。まだ若く政治的な手腕は未知数だというものの
合衆国の上院議員の一年生という点はバラク・オバマも同じ。ア
メリカの保守派の知識人たち、特にいわゆるネオ・コンサヴァテ
ィブ系、ネオコンと呼ばれる人びとは、彼ならばヒラリーに勝て
ると期待した。(中略)彼ならば勝てるとみられていた大きな理
由は、政策の幅広さだ。たとえば外交政策一つとっても尖閤問題
まできちんと方針ができあがっていた。──会田弘継著/左右社
  『トランプ現象とアメリカ保守思想/崩れ落ちる理想国家』
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 なぜ、共和党本部はマルコ・ルビオ氏を本命であると考えてい
たのでしょうか。これについて知るには、マルコ・ルビオ氏につ
いて詳しく知る必要があります。
 マルコ・ルビオ氏は1971年生まれの45歳の若手の共和党
議員です。両親がキューバからの移民であるヒスパニック系の政
治家です。米国でヒスパニックというと、メキシコ、キューバ、
プエルトリコなどのラテンアメリカ出自の人を指し、ヒスパニッ
ク系アメリカ人または、ラテン系アメリカ人といいます。
 ネット上には、マルコ・ルビオ氏についての多くの情報があり
ますが、以下は室橋祐貴氏(日本若者協議会代表理事)のブログ
の情報をまとめて紹介します。
 ルビオ氏は、演説が巧みなところから「共和党のオバマ」とい
われていますが、政策については「強いアメリカの復活」を掲げ
て、伝統的家族観の復権、銃規制に反対、法人税引き下げ、対中
国への強固姿勢で知られており、典型的な共和党議員としてのス
タンスをもっています。
 ルビオ氏は、具体的な政策を掲げて、それを実現する実行力に
優れた政治家としての評価があります。これに関してルビオ氏を
有名にした功績があります。ルビオ氏がフロリダ州下院議員時代
の2006年、「フロリダ州の未来のための革新的な100のア
イデア」という本を出版したのです。
 この本には、ルビオ氏がフロリダ洲の対話集会の討議で得られ
た改革のアイデアを100にまとめたものです。州民の要望が盛
り込まれたアイデア集になっています。ルビオ氏はそのなかから
実現可能なものをひとつずつ議会にかけて審議し、既に57のア
イデアが可決されています。これによって、ルビオ氏は上院議員
選で当選し、上院議員になったのです。
 ルビオ氏の政策で注目すべきは安全保障政策です。米国は世界
の警察官として世界への影響力を高めるべきであると主張してい
ます。ルビオ氏は「私は大統領として中国にこう対処する」とい
うWSJへの論文で次のように述べています。
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 オバマ政権は、中国の違法な領海拡張や不当な経済活動、国内
の人権弾圧を無視して、ひたすら対話を求め、中国政府の責任を
促す。しかし、効果が全くないままである。
 対中政策の目標は、第1に「米国の強さ」を保持するために、
太平洋での優位性を取り戻す。第2には、米国経済を中国の果敢
な攻勢から守る。第3は、米国の自由と人権の保護の立場から中
国の人権弾圧を厳しく非難していくことである。
                  http://huff.to/2ciO63W
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            ──[孤立主義化する米国/035]

≪画像および関連情報≫
 ●マルコ・ルビオ――「共和党のオバマ」はいつ化けるか
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   これまで本欄でなかなか紹介するタイミングがなかったが
  極めて重要な人物だと思われるので、今回示しておきたい。
  それが共和党から大統領候補として名乗りを上げているマル
  コ・ルビオ上院議員である。
   取り上げにくかったのは、同党候補者で話題を独占してい
  るドナルド・トランプ氏と、知名度が高い民主党のヒラリー
  ・クリントン氏の状況について世間の関心が集まっていたこ
  と、一方で、ルビオ氏は世論調査でトップに立ったわけでは
  なく一般には地味に映る存在だったからである。しかしなが
  ら紹介するのは、ルビオ氏こそ共和党の指導者たちが最も期
  待し、「勝てる」候補者だと思っている人物だからである。
  そして2月に米大統領選の火ぶたを切るアイオワ州の党員集
  会とニューハンプシャー州での予備選挙の状況次第では、そ
  のルビオ氏が大きく浮上してくる可能性がある。
   ルビオ氏は、その名前が示すようにヒスパニック系。両親
  がキューバからの移民である。弁護士であり、フロリダ州下
  院議員などを経た後、2010年にフロリダ州選出の上院議
  員として当選を果たしている。1971年生まれの44歳、
  党の有望株である。共和党の中枢が彼を支持するにはいくつ
  かの理由がある。現在先頭を争う、トランプ氏とベン・カー
  ソン氏が共和党候補者となった場合、本選挙では民主党のク
  リントン氏に勝てないというデータが出ているからだ。一方
  そのクリントン氏の弱みは、手垢がついて新味に欠けること
  だが、44歳のルビオ氏は新鮮そのものであり、いわば「共
  和党のオバマ」である。      http://bit.ly/2bqAy3v
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マルコ・ルビオ米上院議員.jpg
マルコ・ルビオ米上院議員
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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