2016年07月01日

●「米国ドル紙幣は『借金札』である」(EJ第4310号)

 米国では、1871年法の制定によって、それに基づき、次の
名前の大文字の“企業”が作られたのです。それによって何が起
こっているのでしょうか。
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        THE UNITED STATES OF AMERICA
─────────────────────────────
 1871年法によって、アメリカ合衆国は「株式会社USA」
という法人(企業)になったのです。これによって、アメリカ合
衆国という巨大企業の株式はワシントンD.C.が保有し、管理す
ることになります。これは、大企業の持ち株会社(ホールディグ
ス)によく似ています。ホールディングスは、本体とは別の組織
の株式会社になって傘下の企業の株式を管理するからです。
 ワシントンD.C.は、まさにここでいう持ち株会社であり、ア
メリカ合衆国の株式を管理することになります。当然のことなが
ら、これはワシントンD.C.がアメリカ合衆国全体を支配するこ
とを意味します。陰の勢力の一端が見えてきます。
 つまり、米国を支配するには、別に大統領になる必要はないの
です。ワシントンD.C.の株式を押さえてしまえばよい。株式会
社ですから、それは十分可能です。しかもワシントンD.C.とい
う株式会社は、非公開株である以上、そのやり取りは表には出な
いのです。「アメリカは国ではなく、企業である!」の論文を書
いたリサ・ジュリアーニ氏によれば、このシステムを構築したの
は、ロンドンのロスチャイルドであるといっています。
 それに加えて、米国市民が納める税金も米国の国家予算には使
えないシステムになっています。ベンジャミン・フルフォード氏
は、これらについて次のように述べています。とても信じられな
いような内容ですが、事実です。
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 アメリカには、IRSという国税庁がある。ここにアメリカ市
民は税金(連邦税と州税)を納めている。ところが、その納めた
税金は、アメリカの国家予算(州予算)としては、一切、計上さ
れないのだ。その使途は、驚かないで聞いてほしい。
 なんと67%がイギリス王室(を中心としたヨーロッパ王族、
貴族)に渡され、残る23%はワシントンD.C.の株主に、そし
て残る10%はIRSの経費となっているといわれているのだ。
 では、アメリカはどうやって予算を組んでいるか。これは国債
を発行して米連銀(FRB)に買い取ってもらい、それでドルを
刷って賄っているのだ。それでも足りないときはドラッグや人身
売買などCIAによる非合法な手投で稼いだダーティー・マネー
で補うしかない。アメリカが年がら年中、世界中で戦争をしてい
るのは、そのためだ。戟争をしなければ、ダーティー・ビジネス
ができなくなるからである。──ベンジャミン・フルフォード著
          『崩壊するアメリカ/巻き込まれる日本/
    2016年、新世界体制の成立』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 もうひとつ重要なことがあります。日本のお札を見ていただき
たいのです。円には「日本銀行券」と印刷されています。つまり
日本の中央銀行である国有の日本銀行が発行している紙幣なので
円はお札(お金)ということができます。
 ドル紙幣はどうでしょうか。ドル紙幣には「note」と印刷
されています。ドル紙幣を見ると、添付ファイルの矢印のところ
に「note」と印刷されています。「note」とは、証書の
ことです。証書とは、借金の証文のことであり、「借金札」なの
です。それはドルの発行システムに関係します。
 どうしてドルは「note」なのかについて、フルフォード氏
は、次のように述べています。
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 実はアメリカ政府はドルを勝手に刷ることができない。では足
りない予算を補ったり、マネーサプライ(通貨供給量)を上げた
りするにはどうしているか。政府は必要な発行額に合わせてアメ
リカ国債を発行する。そして米連銀がその国債をすべて引き受け
る。その借金札として「ドル」が発行されるのだ。「note」
と書かれているのはそのためだ。
 アメリカが中央銀行を持たず、その代役をするFRB(連邦準
備理事会)という特殊な機関を持つ制度になっているのもそのた
めで、その米連銀のオーナー一族が「閣の支配者」となる。「閣
の支配者」とは、ドル発行権を握った勢力を意味しているのだ。
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
 実は1871年法によって設立された企業がもうひとつあるの
です。それは、1913年に発足した「連邦準備制度理事会(F
RB)」がそれです。FRBも企業であり、単なる私企業に過ぎ
ないのです。
 FRBは、一般には米国の中央銀行であると説明されています
が、普通の国の中央銀行とは異なるのです。日銀も株式会社です
が、日本政府が51%以上の株式を持っているので、ほとんど国
有化されていますが、FRBの株式を米国政府は1株も持ってい
ないのです。したがって、米国は、中央銀行を持っていない国と
いっても過言ではないのです。
 米国では何回も中央銀行の設立が計画されたのですが、そのつ
どその中心人物が殺害され、設立が実現しなかったのです。また
FRBの設立についてもきわめて不透明なことがあったのです。
1910年にJPモルガンが所有するジョージア州のジキル島で
全国通貨委員会の会員による秘密会議を開くなど、不可解ないき
さつがあったことはあまねく知られています。
 ワシントンD.C.は、都市ではなく、イタリアのバチカン市国
のような国に近い存在なのです。陰の勢力の本拠地といってもよ
いと思います。しかし、最近このからくりは以前のように必ずし
もうまくいっておらず、陰の勢力は危機に襲われているといわれ
ています。       ──[現代は陰謀論の時代/123]

≪画像および関連情報≫
 ●日本銀行について」〜FRBとの違いは?/るいネット
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   現在の米国は、世界最大の債務国。これは米国政府の借金
  であり、この借金には利息が付きます。この利息を払うのは
  米国国民であり、この利息で儲けているのがFRBの所有者
  ということになるんでしょう。米国政府・財務省が国債を発
  行する一方、連邦準備制度はそれを購入できるドル紙幣を印
  刷している、と。これによって、無から負債が創造される、
  と。FRBの所有者たちはこの無から創造された負債の利息
  をおいしく頂く。・・・ということは、米国が莫大な債務を
  抱えていたほうが「おいしい」となります。しかも、FRB
  は特権的に法人税が免除されている・・・。
   1992年度の時点での計算(この計算が正しいかどうか
  は知りませんが)では、アメリカ国民の税金の40%が連邦
  準備の株主たちに、その利息支払いに提供されているという
  ことです。
   これはアメリカ国民の富の略奪以外の何ものでもない・・
  ・と。では、日本はどうなのか・・・です。日銀も国民の富
  を略奪する機関なのか。何のためにインフレやデフレを引き
  起こして富を略奪するのか。それとも略奪なぞしていないの
  か。日銀は、ベルギーの国立中央銀行をモデルに大蔵省の管
  理化のもとに、国家主導の中央銀行として1882年に設立
  されました。FRBは政府から独立した機関として1913
  年に創設されました。民間銀行がその株式を所有しました。
                   http://bit.ly/297miKD
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米国紙幣は借金札である.jpg
米国紙幣は借金札である
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2016年07月04日

●「ワシントンD.C.はオカルト的設計」(EJ第4311号)

 世界を支配している陰の勢力とは何か。話がやや複雑になって
いるので、事実を整理して先に進むことにします。
 ここまで「米国を支配する寡頭勢力」という表現を使ってきま
したが、それは米国の首都「ワシントンD.C.」のことであるこ
とがわかってきています。
 しかし、首都といっても、この「ワシントンD.C.」は都市で
はないのです。世界中の国の首都は、その中心都市がなっていま
すが、米国だけは違うのです。米国には、ワシントン州はありま
すが、ワシントン市はないのです。
 つまり、米国の首都は既存の都市を選定したのではなく、わざ
わざ創設したのです。場所はポトマック河付近です。具体的には
メリーランド州とヴァージニア州の2州から提供された区域であ
り、その広さは次の通りです。
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    メリーランド州 ・・・ 166平方メートル
    ヴァージニア州 ・・・  93平方メートル
─────────────────────────────
 そこを「ワシントンD.C./コロンビア特別区」とし、米国の
首都にしたのです。
 1946年にヴァージニア州から土地の返還要求があり、返還
に応じたので、現在では、メリーランド州から提供された区域だ
けになっています。そのため、ペンタゴンだけはヴァージニア州
にあるのです。
 ワシントンはフランス人設計士ピエール・ランファンによる設
計で建設が進み、1800年になって大統領官邸や連邦議会の建
物ができたので、その時の大統領ジョン・アダムスはワシントン
に移り住みました。このワシントンD.C.は、どの州にも属さず
連邦議会の直轄地となっています。
 ところで「コロンビア」というのはどういう意味でしょうか。
 コロンビアとは、「コロンブスの地」という意味です。アメリ
カ大陸の発見者のコロンブスに由来しています。ちなみに、国名
の「アメリカ」は「アメリゴの土地」を意味していて、コロンブ
スより少し遅れて新大陸に渡ったアメリゴ・ヴェスプッチの名に
ちなむといわれています。
 それでは、ワシントンD.C.には何があるのでしょうか。
 ワシントンD.C.には、次の重要な建物が8つあります。
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       1.ホワイトハウス
       2.アメリカ合衆国議会議事堂
       3.合衆国最高裁判所
       4.ワシントン記念塔 
       5.スミソニアン博物館
       6.世界銀行
       7.連邦捜査局(FBI)
       8.アメリカ国防総省(ペンタゴン)
─────────────────────────────
 それぞれについて簡単に説明します。この特別区/ワシントン
D.C.はある明確な目的で作られた計画都市だったといえます。
 1の「ホワイトハウス」は、大統領が執務を行う官邸・公邸の
建物であり、ワシントンD.C.のペンシルヴァニア通りにありま
す。ホワイトハウスの設計者は、ジェームズ・ホーバンという人
で、フリーメイソンであるといわれています。
 2の「アメリカ合衆国議会議事堂」は、ワシントンD.C.の東
に位置しますが、首都の中心とみなされ、ワシントンD.C.の東
西南北は、議事堂を基準に定められています。
 3の「合衆国最高裁判所」は、アメリカ合衆国最上級の裁判所
であり、アメリカ合衆国連邦政府の司法府(連邦裁判所)を統括
します。ワシントンD.C.にあります。
 4の「ワシントン記念塔」は、ワシントンD.C.の中心部に位
置するナショナル・モールの中心にそびえ立つ、169メートル
の巨大な白色のオベリスクです。
 1776年の独立戦争時に、アメリカ大陸軍を率いてイギリス
軍との戦いを勝利へと導いた合衆国初代大統領、ジョージ・ワシ
ントンの名誉ある功績を称えて建造された、アメリカ合衆国大統
領記念碑の一つです。
 5の「スミソニアン博物館」は、米国を代表する科学、産業、
技術、芸術、自然史の博物館群・教育研究機関複合体の呼び名の
ことです。映画「ナイトミュージアム2」の舞台になったことで
も有名になったことでも有名な博物館です。
 6の「世界銀行」は、各国の中央政府または同政府から債務保
証を受けた期間に対し、融資を行う国際機関です。当初は国際復
興開発銀行を指したのですが、1960年に設立された国際開発
協会とあわせて世界銀行と呼んでいます。
 7の「連邦捜査局(FBI)」は、FBIとしてあまねく知ら
れていますが、テロ・スパイなど国家の安全保障に係る公安事件
や連邦政府の汚職に係る事件、複数の州に渡る広域事件、銀行強
盗など、莫大な被害額の強盗事件などの捜査を担当します。職員
を1万人以上を擁し、逮捕権のみで起訴権をもたず、主に米国国
内で捜査を行う機関です。本部は、ワシントンD.C.のペンシル
ヴァニア通りにあります。
 8の「アメリカ国防総省(ペンタゴン)」はワシントンD.C.
郊外のヴァージニア州のアーリントンにあります。約23000
人の軍人、軍属および民間の従業員、約3000名のペンタゴン
の国防以外の援助要員を収容しています。
 ペンタゴンとは、五角形を意味します。5階建てで、各床に環
状の廊下があり、この構造により、世界最大のオフィスビルであ
りながら、一番遠いところにも10分以内でたどり着くことがで
きるとされています。この五角形の建物に象徴されるように、ワ
シントンD.C.は、古代のオカルト的原則に基づいて設計されて
いるのです。      ──[現代は陰謀論の時代/124]

≪画像および関連情報≫
 ●米国防総省ビルが五角形の理由
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   米国の国防総省はペンタゴンとも呼ばれている。ワシント
  ンにある国防総省の建物が上から見ると、ペンタゴン(五角
  形)をしているからだ。しかし、なぜ、国防総省は五角形と
  いう特異な形で設計されたのだろうか?
   ワシントンポスト紙(電子版)に国防総省のビルがなぜ五
  角形という特異な形態に至ったかという興味深い長文の記事
  が掲載された。この五角形の建物が建設されるに至った経緯
  がなかなか面白い。
   記事によると国防総省の前身は戦争局という部署で、4万
  人の職員に対して400万平方フィートの床面積を提供すべ
  く、1941年から秘密裏に庁舎建築の計画に着手。その後
  ワシントンのポトマック川を越えた場所にあるアーリントン
  実験農場に用地を獲得。建物は陸軍工兵隊によって建設が進
  められることとなったという。実際に建物を建設するに当た
  っては、高層ビルとした場合は、ワシントンの都市景観の阻
  害する可能性があることや、鉄などの資材の調達が難しかっ
  たや、短期間に建設することは困難だという理由から5階建
  て低層ビルでの建設が決定。その上で建設予定地となってた
  アーリントン実験農場の土地の形状がたまたま五角形だった
  ことから建物は土地に合わせて上から見ると五角形の形をし
  た低層ビルで建設することで具体的な設計に入ったという。
                   http://bit.ly/29c5pPb
  ───────────────────────────

米国国防総省(ペンタゴン).jpg
米国国防総省(ペンタゴン)
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2016年07月05日

●「五芒星があられるワシントンDC」(EJ第4312号)

 米国防総省──ペンタゴンには謎がいっぱいあります。なぜ、
五角形なのでしょうか。
 ペンタゴンは、星型五角形「ペンタグラム」という言葉からき
ています。ペンタグラムとは「五芒星」という意味です。一般的
に「星印(☆)」といわれているものは「五芒星」です。
 五芒星はいろいろなものにつけられています。軍隊の軍帽、そ
れから米国の星条旗をはじめとする各国の国旗には、五芒星が多
く使われています。何かの護符になっているのです。
 線書きで五芒星を書いてみてください。真上の角から左下の角
へ、そして右上の角、左上の角、右下の角ときて最後に真上の角
へと戻ります。一筆書きできれいな星ができあがります。中央を
見ると、下向きの正五角形が描かれています。
 さらに五芒星の角を結んで線を書くと、より大きな五角形が現
れます。そしてそれぞれ5つの辺を一片とする正三角形を描くと
さらに大きな正五角形が現れます。これは、どんどん拡大するエ
ネルギーをあらわしているのです。パワーがあるのです。
 五芒星の一つの角が上を向くように描かれた場合──多くの場
合はそうなる──「神」をあらわし、良い精霊を呼び出したりす
る時に使われます。これに対し、角を下に向けて描かれた星は悪
魔サタンをあらわすとされ、悪い精霊を呼び出したりする際に使
われるのです。添付ファイルの左側の五芒星は「神」、右側のそ
れは「悪魔」をあらわしているのです。
 実はワシントンD.C.のホワイトハウスの北側に、次のように
5つのスポットが存在します。
─────────────────────────────
      1.    ファイエット・スクエア
      2.     ワシントン・サークル
      3.      デュポン・サークル
      4.      ローガン・サークル
      5.マウント・ヴァーノン・スクエア
─────────────────────────────
 この事実を指摘しているサイトでは、実際にワシントンD.C.
を歩いた体験に基づき、次のように述べています。
─────────────────────────────
 これらの広場は、それぞれが道路で五角形に結べるばかりでな
く、それぞれ一つ飛びに線(すなわち道路)で結ぶことが出来る
/厳密には後述するようにそれは完璧ではないが・・・。それは
すなわち、「1」「2」「3」「4」「5」という風に直線を辿
ることができ、それによって星型五角形を描くことができる。
 1992年に筆者がD.C.で入手した観光マップによると、五
角形のみならず、星形の都市計画が明瞭に視て取れる。逆さ五芒
星の頂点に当たるところにあるのがホワイトハウスである。五芒
星が逆さであること、国会議事堂の上空から見た形状が「双頭の
鷹」(民主党と共和党を象徴する?)のデザインになっているの
が、フリーメイソンの伝統的な定規とコンパスの徴であると読め
るという主張もある。ワシントンDCの都市計画とフリーメイソ
ンとの関連、また陰謀史観的な記事はウェブ上でいくらでも見つ
けることが出来る。          http://bit.ly/29fleVO
─────────────────────────────
 このように、ワシントンD.C.のホワイトハウス周辺の都市計
画は、ピラミッドと五芒星(逆さ五芒星)がモチーフになってい
るのです。ピラミッドの頂点に当たるところがホワイトハウスで
あると同時に、逆さの五芒星の下の頂点角がピラミッドの頂点に
一致するようになっているのです。
 ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』では、五芒星につ
いて、次のような興味ある記述があります。
─────────────────────────────
 ラングドンは、五芭星に関連する最も驚くべき事実はあえて話
さないことにした──五芒星の図形そのものも金星に由来すると
いう事実だ。学生のころに受けた天文学の授業で、金星が八年周
期で黄道上に五芭星を描くと知り感銘を受けた。驚いたのはこの
現象に気づいた古代人も同じらしく、それゆえ金星とその五芒星
は完璧さ、美しさ、そして性愛のもたらす循環の象徴となった。
ギリシャ人は金星の魔法に敬意を表し、その八年の周期の半分を
基準としてオリンピア競技会の開催時期を決めた。現代のオリン
ピックがなおもそれに従って、四年ごとに開催されていると知る
人は少ない。ましてや、オリンピックの公式マークが五芭星に決
まりかけていたことははとんど知られていない。大会の精神であ
る統合と調和のメッセージをより強く打ち出すため、土壇場にな
って、五つの組み輪に変えられたのである。
             ──ダン・ブラウン著/越前敏弥訳
           『ダ・ヴィンチ・コード』上/角川文庫
─────────────────────────────
 金星が8年周期で黄道上に五芭星を描くのは本当です。日食と
月食は太陽と月と地球の直列ですが、これは「金星」との直列な
のです。これが2012年6月6日に起きたのです。2012年
6月6日は、2004年6月8日から8年かけて作り上げた魔法
陣を完結させるための最後の金星と地球の接近なのです。
 これは「ヴィーナストランジット」といわれますが、五芒星の
5つのポイントに到達した年月日は次の通りです。これをよって
もわかるように、五芒星というのは、壮大な宇宙の世界で起きて
いる現象なのです。
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 1.2004年06月08日 6.2012年06月06日
 2.2006年01月13日
 3.2007年08月16日
 4.2009年03月28日
 5.2010年10月29日
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/125]

≪画像および関連情報≫
 ●天空の魔方陣「ヴィーナストランジット」
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   来月の5月21日に,世にも珍しい「金環日食」が日本全
  国で見ることができると伝えましたが、どうやら今回の「金
  環日食」は一般的に言われている「26年ぶり」という表向
  きの天体の周期とは別で「1万3000年ぶり」の裏の大き
  な意味を伴った周期でやってくるようです。1万3000年
  前といえば、ちょうどムーが滅亡した時期と重なりますが、
  今回が具体的にどんな意味があるのかはわかりません。ただ
  日本列島のほぼ全域で見ることができることは、間違いなく
  「日本人」に対して何か意味のある宇宙からのメッセージで
  あるかと思います。というのも、その2週間後の6月4日に
  やってくる「部分月食」も今回は「日本から」見ることがで
  きる貴重な天体ショーひとつです。 http://bit.ly/29eJv09
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ワシントンD.C.逆五芒星.jpg
ワシントンD.C.逆五芒星
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2016年07月06日

●「ワシントンDCの支配勢力は何か」(EJ第4313号)

 米国が独立したのは1776年7月4日です。しかし、南北戦
争を経て、1871年に米議会はアメリカ合衆国の国民に対する
裏切りともいえる法律を可決しています。それが「D.C.法(1
871年法)」です。これは事実です。これによって、建国で誕
生したアメリカ共和国は消滅したのです。このことは、7月1日
のEJ第4310号で述べた通りです。
 1871年法によって、従来の「アメリカ合衆国」は、いわば
「株式会社アメリカ合衆国」に変更され、それがイタリアのヴァ
チカン市国のようなワシントンD.C.という“独立国家”になっ
たのです。
 それでは、誰が米国、すなわち、ワシントンD.C.を支配して
いるのでしょうか。2004年に『アメリカは国でなく企業であ
る!』という論文を発表したリサ・ジュリアーニ氏は次のように
述べています。
─────────────────────────────
    それはヨーロッパの王族と国際的銀行家である
             ──リサ・ジュリアーニ氏
─────────────────────────────
 つまり、米国は、1871年から寡頭勢力(欧州の王族と国際
的銀行家たち)に事実上乗っ取られ、支配されているというので
す。そしてその寡頭勢力の本拠地がワシントンD.C.であるとい
うわけです。
 現在、この陰の勢力、あるいに闇の勢力について一番精力的に
研究している人は、おそらくベンジャミン・フルフォード氏であ
ろうと思います。そのフルフォード氏はワシントンD.C.を乗っ
取ったのは「ヒクソス」であるというのです。
 「ヒクソス」とは何でしょうか。
 ヒクソスについて述べる前提知識として、フルフォード氏の著
書に基づいて、「イルミナティ」について簡単に述べておくこと
にします。イルミナティには、次の2つがあるのです。
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       1.イタリア・フリーメイソン
       2.グノーシス派イルミナティ
─────────────────────────────
 「1」のイタリア・フリーメイソンは、古代エジプト文明時代
以前から、いわゆるカエサル(皇帝)の血を受け継いできた一族
であると信じており、その血統を重視します。そして彼らは高度
な「古代の科学技術」を継承してきています。
 ここで古代科学技術とは何かというと、人類はかつて超高度に
発達した技術を持っていたのですが、一度滅亡しているという前
提に立っています。彼らはそれらの高度な技術を今の時代に受け
継いでいる一族ということになっているのです。
 しかし、イタリア・イルミナティにはある伝説が伝わっている
のです。彼らは、彼らの信奉する神によって世界を支配する権利
なるものが与えられているが、その契約が2012年12月21
日に終わるという伝説です。そのため、日が近づくにつれて、彼
らの間には動揺が広がっていたのです。
 このイタリア・フリーメイソンの混乱に乗じて台頭したのが、
グノーシス派イルミナティです。つまり「2」です。彼らは「世
界は神が創造したはずなのに、なぜ、悲劇に溢れているのか」と
いう疑問から生まれた勢力です。彼らは「神こそが悪魔である」
という結論を持っており、悪魔的な存在が創造主であるからこそ
世の中には悲劇が溢れるのであって、彼らは堕天使、すなわち、
ルシファーを信奉する勢力です。
 彼らは、イタリア・フリーメイソンの神に対抗する以上、叡智
を集める必要があると考えたのです。そのため、古代から「時の
天才」をスカウトして、仲間に加えていったのです。イタリア・
イルミナティの血統主義に対して、グノーシス派イルミナティは
能力主義ということになります。
 古代ギリシャのピタゴラス、ルネッサンスのレオナルド・ダ・
ヴィンチ、アイザック・ニュートンなどの天才を仲間にし、フラ
ンス革命、アメリカ独立戦争、ロシア革命などの「革命」を陰で
仕掛けてきたのです。
 これら2つのイルミナティは、いわゆる「闇の支配者」として
欧米列強の権力者、ヨーロッパの王族、巨大メジャー企業群、バ
チカン、フリーメイソンなどの秘密結社、マフィアなどの犯罪組
織などのパワーの秘密の司令塔の役割を果たしてきたのですが、
やがて両者は、その考え方の違いから対立を深めるのです。
 そこで出てきたのが「ナチス派」です。ナチス派は、グノーシ
ス派から派生したのですが、やがて優生学を信奉するようになる
のです。それにより、能力向上を重視するグノーシス派に加えて
血統主義によってトップになれない次男、非嫡流子弟を取り込み
勢力を拡大したのです。その一人が、あのアドルフ・ヒトラーな
のです。そしてヒトラーは暴走をはじめます。
 しかし、ヒトラーが「アジア・アフリカ人を劣等民族として抹
殺する」というに及んで、アジア、アフリカに多くの植民地を持
つ欧米列強を抑えきれなくなり、ナチス滅亡の決定を下し、ヒト
ラーナチスは排除されたのです。
 ヒトラーの考え方はこうです。優生学を信奉し、超人計画──
寡頭勢力のなかから、神に代わる真の指導者=超人をつくり出し
世界を支配する計画の遂行です。これは、結果として、イタリア
・フリーメイソンとグノーシス派イルミナティの両方を優生学に
よって統合し、劣等民族は抹殺するという考え方です。この考え
方を継承したのが、米国のブッシュ一族です。
 ブッシュ家の父と子の二代にわたってこの計画は実行に移され
たのです。これを「アメリカナチス派」とフルフォード氏は呼ん
でいます。その計画は2001年の「9・11」を契機に実行に
移され、現在のイスラム国のテロへとつながってきています。こ
のように、ナチス勢力はまだ生残っているのです。
            ──[現代は陰謀論の時代/126]

≪画像および関連情報≫
 ●ナチスヒトラーを支援したアメリカ
  ───────────────────────────
   2015年12月20日(日)放映のNHK総合「新・映
  像の世紀/第三集」は久しぶりになかなか見ごたえのあるド
  キュメンタリーでした。第一次世界大戦で敗れたドイツを軍
  事強国として再興させたのはヒトラーですが、この番組では
  このヒトラーのナチスドイツの軍備拡張に大きく貢献したの
  がアメリカであったという事実を伝えています。勿論こんな
  ことは決して教科書には書かれていないし教えてくれる先生
  もいないでしょう。
   この膨大な軍事費を提供したのはアメリカハリマン銀行な
  どの金融街。因みにハリマン銀行は、ブッシュ一族の銀行で
  す。フォードはじめアメリカの大企業100社以上がナチス
  を支援していた話も出てきます。
   ドイツフォード社はドイツ軍の軍用車両の約40%を製造
  していました。「フォード社」の創業者ヘンリー・フォード
  は反ユダヤ主義者でもあり、ヒトラーを溺愛したことでも有
  名で、アメリカナチス党の初代党首でもあります。
   彼は1922年という早い時期から、外国人としては初め
  てナチスに資金援助をしました。その見返りとしてヒトラー
  はフォードの大統領選挙立候補を助けるために突撃隊の派遣
  を申し出たりしました。     http://amba.to/299ZN5M
  ───────────────────────────

ブッシュ父子元米大統領.jpg
ブッシュ父子元米大統領
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2016年07月07日

●「ヒクソスはどのような勢力なのか」(EJ第4314号)

 陰謀論の本を読むと必ず出てくるのは「人口削減計画」です。
おぞましい言葉ですが、「人工ハルマゲドン計画」というものが
あるのです。これについて、ベンジャミン・フルフォード氏は、
次のように述べています。
─────────────────────────────
 2001年9月11日以降、40億人の人類を抹殺するという
狂気の「人工ハルマゲドン計画」は実行へと移される。2001
年以降、世界で起こった大混乱、たとえばワクチンを使った断種
エイズやSARSなど特定人種を狙った「ウイルス兵器」、「プ
ロジェクト・ブルービーム」といった洗脳計画、HAARPを使
った人工地震・・・。これらはすべて「人工ハルマゲドン」計画
にもとづいた行動であった。
 そしてナチス・アメリカは2012年12月、最終戦争=ハル
マゲドンとして、イスラエルとアラブ諸国の間で対立を煽り、核
戦争を引き起こす。そうして第3次世界大戦を起こして、アメリ
カを中心とした「ゴク」と、反アメリカの「マゴグ」で戦い、マ
ゴグ陣営を国民ごと抹殺しようとしてきたのである。
             ──ベンジャミン・フルフォード著
          『崩壊するアメリカ/巻き込まれる日本/
    2016年、新世界体制の成立』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 ここで「ヒクソス」について述べる必要があります。ヒクソス
は歴史学上では紀元前2000年頃、現在から4000年前に、
トルコ、シリア、パレスチナ地方に起源を持つ雑多な人々の集団
であるとされています。
 ヒクソスは、当時としては最新にして強力な武器を持つ集団で
戦闘は圧倒的に強かったといわれます。どのような武器を持って
いたかについてフルフォード氏は、「複合弓/コンポジット・ボ
ウ」を上げています。
 フルフォード氏によると、この複合弓は最盛期のモンゴル帝国
時代、600メートル以上の飛距離を誇ったといいます。10世
紀にして、現代でも通用する恐るべき兵器だったようです。この
強力兵器を駆使して、古代エジプト第2王朝時代にヒクソスは突
如としてエジプトを滅ぼし、支配してしまいます。
─────────────────────────────
 ヒクソスは小アジアといわれるトルコ・シリア・パレスチナ地
方周辺の遊牧民の一族であった。そして自らを「神」とする宗教
観を持ち、それゆえに科学技術に長けていた。神となるには、神
にしかできない技術が必要となる。それを実現するには「知恵」
が必要とわかっていたからである。
 そのヒクソスの神の業の一つが、先に紹介した複合弓だ。当時
の人からすれば、とんでもない威力の弓は、まさに神の力であっ
たことだろう。自らを「神」、あるいは、その神の代理人「ファ
ラオ」(王)と位置づけてきたヒクソスは、もともと遊牧民なの
で、自分たち以外の人間を「家畜」とみなすようになる。
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
 そして約1世紀に渡るエジプト支配の後、ヒクソスはエジプト
を離れ、中近東に戻ってくるのです。そのとき、ヘブライ人を奴
隷として連れ出しているのです。
 このヘブライ人は、ヒクソスの指示により、ユダヤ教を信ずる
ようになります。これが古代ユダヤ人になります。この場合、ヒ
クソスはユダヤ教徒の信ずる神「ヤハウェ」──絶対かつ唯一の
神となり、神の言葉で人々を支配するのです。あるいは神の代理
人である預言者となって、ユダヤ人を支配したのです。
 つまり、ヒクソスは、自らは神を演じ、統治はリーダーにまか
せ、それを裏からコントロールすることに優れており、けっして
表に登場しないのです。したがって、表舞台に立つのは常に傀儡
なのです。だから、闇の勢力といわれます。
 自らが神を装うヒクソスにも神があります。その神は山羊の頭
と二本の尾を持っており、今日でいう「悪魔」の姿そのもの。つ
まり、「サタニズム」です。
 エジプトを征服していた時代に、その神をエジプト人が信じて
いた「セト神」と融合させ、最上級の神として位置付け、信仰さ
せています。この「セト」という言葉が「サタン」になったとい
われているのです。
 このヒクソスの世界支配を実現するための組織がナチスなので
す。現在はその中心地は米国で、「アメリカ・ナチス」と呼ばれ
ているのです。このアメリカナチスについて、ベンジャミン・フ
ルフォード氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 ナチスは20世紀半ばまでアドルフ・ヒトラーを総統にドイツ
で第3帝国を形成、優生思想に基づきヨーロッパを支配しようと
したが、それに失敗するとアメリカへと根拠地を移した。そのア
メリカではナチスの直系としてブッシュ一族が管理、パパ・ブッ
シュが総統となる。
 戦後はアメリカ軍とCIAを使ってアメリカを「闇の支配者」
のための植民地経営企業にする任務を請け負ってきた。その一方
で世界中の犯罪組織を傘下に従え、ドラッグ武器、人身売買とテ
ロを行う組織を作っていく。──ベンジャミン・フルフォード著
 『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/アメ
      リカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 ワシントンD.C.の街のなかに逆五芒星があらわれていること
から見て、米国はサタニズムに冒されているといってもよいと思
います。これによって、ワシントンD.C.を支配しているのは、
いわゆる陰の勢力、あるいは闇の勢力はであり、人数の少ない寡
頭勢力です。この寡頭勢力はヒクソスの影響を強く受けているグ
ループであるということができます。
            ──[現代は陰謀論の時代/127]

≪画像および関連情報≫
 ●謎の民族「ヒクソス」と出エジプト記
  ───────────────────────────
   皆さんは旧約聖書出エジプト記をもとにした映画「十戒」
  をご覧になった事はありますか?チャールトン・へストンが
  モーセを演じて、エジプト王の圧政から逃れ紅海を割ってユ
  ダヤ人を導く奇跡を示したクライマックスはあまりにも有名
  ですよね。
   エジプトを脱出したユダヤ人はすくなくとも数万、あるい
  は数十万もいたような感じでしたが、私鳳山の悪い癖は、な
  ぜそんな大量のユダヤ人がエジプトにいたのかという事に疑
  問を感じたのです。
   モーセのようにエジプト王の養子になって宰相になった者
  などごく少数で、大部分は奴隷のような境遇だったように見
  受けられました。当時のエジプトはたしかに大国で近隣諸国
  を圧する勢いでしたが、それにしても異民族数十万とは多す
  ぎます。戦争で征服し捕虜にしたにしてもそんなに増えます
  か?あんまり多すぎると、こんどは彼等が蜂起して王権を奪
  われる可能性もでてくるのではないでしょうか?
   そこで私はヒクソスという異民族の存在を考えました。ヒ
  クソスはエジプト第2中間期と呼ばれる時代に古代エジプト
  に登場した人々。彼らは一般にシリア・パレスチナ地方に起
  源を持つ雑多な人々の集団であったと考えられている。ヒク
  ソスと言う呼称は「異国の支配者達」を意味する古代エジプ
  ト語、「ヘカ・カスウト」のギリシア語形に由来する。ヘカ
  ・カスウトはしばしば「羊飼いの王達」とも訳されていたが
  現在では誤訳であるとされている。 http://bit.ly/29k1rFK
  ───────────────────────────

戦車に乗って複合弓を構えるヒクソス.jpg
戦車に乗って複合弓を構えるヒクソス
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2016年07月08日

●「極限に達した貧富の格差の急拡大」(EJ第4315号)

 約6ヶ月にわたって書いてきた今回のテーマは本日が最終回に
なります。そこで今回は日本に関することを書きます。日本にも
陰謀論的なことはたくさんあるからです。
 ところで本日は参院選の3日前です。今回の選挙には、今まで
にはない異様さがあります。それは安倍政権による驚くほど徹底
的なメディア規制によって、政治については必要最小限の報道し
かなされなくなっているという事実です。
 テレビでは政治番組が激減しています。日曜日の午前中といえ
ば、今までは政治番組がたくさんあったのですが、現在では次の
2つしかないのです。
─────────────────────────────
  1.フジ「新報道2001」/07時30分〜09時
  2.     NHK「日曜討論」/09時〜10時
─────────────────────────────
 籾井会長率いるNHKは御用報道ですし、フジテレビは安倍首
相のオトモダチメディアです。政権にとってマイナスのことを報
道するはずはないのです。それでいて、フジに関しては、月〜金
まで、2時間のBSプライムニュースが許されており、オトモダ
チメディアは特別待遇です。もちろんその内容は与党寄りの報道
であり、そんなことをやっているから、フジの視聴率が無残なこ
とになってしまっているのです。
 それでも昨年までは、午前10時30分からテレ朝の「報道ス
テーションサンデー」があったのですが、これも今年から、日曜
午後4時30分からの単なるニュース番組に格下げされ、ほとん
ど内容がなくなっています。安倍政権はとくにテレビ朝日には強
い圧力をかけています。
 夜の「報道ステーション」も古館キャスターは解任され、的確
な鋭い意見を述べるコメンテーターは外され、現在では、気の抜
けたビールのような番組になってしまっています。
 新聞ではとっくの昔に批判的記事は姿を消していますし、唯一
政治的な記事を載せていた『週刊ポスト』と『週刊現代』も最近
は政治的記事を極端に減らしています。7月4日発売の『週刊ポ
スト』は、メイン記事は入れ歯の大特集、『週刊現代』は手術と
薬の大特集です。参院選と都知事選という大きな政治イベントが
あるにもかかわらず、この有様です。
 まさに徹底的な報道規制であり、国民の知る権利の侵害をして
いるのに、国民はそれでも自民党に大きな支持を与えています。
安倍政権はかつての民主党政権よりは多少マシですが、メディア
を規制するという絶対にやってはならないことを平然と行ってい
ます。これはきわめて危険なことです。
 今年の3月頃のことですが、ホリエモンこと、堀江貴文氏の次
の発言が話題になったのです。
─────────────────────────────
 今の20歳の地方在住の社会人女子の生活水準は、タイ・バン
コクの同年代の女性と大差はない。日本の非正規雇用の中高年は
タイ・シンガポール・インドネシアの一般レベルより低い。
                      ──堀江貴文氏
─────────────────────────────
 今や日本をはじめとする先進国に住んでいる大多数が貧困化し
中進国の人よりも貧しくなっているのです。この事実に目をそむ
けてはならないと思います。ベンジャミン・フルフォード氏にい
わせると、安倍政権は「ナチス政権」であるといいます。バック
に米国がついているからです。
 世界の格差は相当ひどくなっています。なんと上位62人と下
位36億人の資産が同額であるというのですから・・。今年1月
のCNNの次の報道記事を読んでください。
─────────────────────────────
◎「貧菖の格差増大、上位62人と下位36億人の資産が同額」
 世界の富裕層の上位62人が保有する資産は、世界の人口全体
の下位半数が持つ合計と同じ額に達していることが18日までに
分かった。貧困問題に取り組む非政府組織(NGO)オックスフ
ァム・インターナショナルの報告で明らかになった。
 オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年
次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌『フォーブス』の長者番
付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づ
く2015年版の年次報告書を発表した。
 それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産
は、どちらも計1兆7600億ドル(約206兆円)だった。
 富裕層の資産は近年、急激に膨れ上がっており、上位グループ
の資産はこの5年間で計約5000億ドル増えた。一方、下位半
数の資産は、計1兆ドル減少した。2010年の時点では、上位
388人の資産の合計が下位半数の合計に等しいという結果が出
ていた。また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の
資産額を上回る水準にあるという。(中略)
 富裕層と貧困層の所得格差も拡大を続けている。1日あたりの
生活費が1・90ドル未満という極貧ライン以下の生活を送る下
位の20%の所得は1988年から2011年まで、ほとんど動
きがなかったのに対し、上位10%の所得は46%も増加した。
一方で富裕層の税金逃れは総額7兆6000億ドルに上っている
と推定される。オックスファムは格差縮小に向け、世界の指導者
にこうした問題への対策を改めて呼び掛ける。
             ──2016年1月18日/CNN
             ──ベンジャミン・フルフォード著
 『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/アメ
      リカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 世界は大きな構造変化の兆しがあり、とくに今年11月の米大
統領選の結果によって大きく変わる可能性があります。128回
にわたるご愛読を感謝いたします。7月11日からは新しいテー
マです。    ──[現代は陰謀論の時代/128/最終回]

≪画像および関連情報≫
 ●選挙報道の時間はなぜ減少したか
  ───────────────────────────
   7月10日に参議院選挙が行われる。6月22日の公示日
  以降は、公職選挙法に基づき、ニュース番組はより公平性が
  求められる。特定の候補者やタスキ、選挙カーばかりが映ら
  ないような配慮が行われ、テレビ出演する各党幹部の発言の
  時間についても“平等”になるよう細かい配分がなされる。
  こういった選挙報道についてこの頃は変化が見られている。
  2014年の衆議院選挙を前に自民党は、在京テレビ局に対
  して「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保
  についてのお願い」と題する文書を配布した。その結果、何
  が起きたかといえば、選挙に関する報道時間の激減だった。
   駒澤大学専任講師で政治学者の逢坂巌さんの調査では20
  14年の総選挙では解散日から投票日までの総報道量は70
  時間17分だった。これは、この10年間で最も報道量の多
  かった2005年の総選挙のときのわずか5分の1、最も少
  なかった2003年に比べても半分の少なさだった。逢坂さ
  んはその原因が自民党からの文書にあったと指摘する。
  「文書が出されたタイミングと、報道量が激減したタイミン
  グがぴったり重なります。特にワイドショーが取り上げなく
  なりました。ニュースも減っています。これは圧力がかけら
  れたからと言うよりは、現場が“忖度”したから。後で面倒
  なことになるくらいなら報じないと判断した可能性は高い。
  あの文書は結果として、報道する側に大きな影響を与えまし
  た」。 現場もそれを認めている。 http://bit.ly/29j3fNT
  ───────────────────────────

堀江貴文氏.jpg
堀江 貴文氏
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2016年07月11日

●「世界で大きな変化が起きつつある」(EJ第4316号)

 世界が大きく激動しつつあります。とくに米大統領選における
トランプ現象、英国の欧州連合(EU)からの離脱、世界各地で
イスラム国によると見られるテロの続発など、世界でただならぬ
動きが起きています。
 ベンジャミン・フルフォードの本に、その変化を如実に示して
いる次の2つの指数が紹介されています。2つの指数は添付ファ
イルをごらんください。
─────────────────────────────
        1.オンス・バーレル指数
        2. バルチック海運指数
─────────────────────────────
 1の「オンス・バーレル指数」は、金1オンスでどのくらいの
量の石油(バレル)が買えるかを年代ごとに示したものです。こ
の数値は、国際的に大きな経済危機が起きると、必ず跳ね上がる
のです。要するに金価格が上がり、原油価格が下がればこの数値
は上昇するのです。
 グラフにあるように、チェルノブイリ原発事故、米ソ冷戦崩壊
ラテンアメリカ債務危機、アジア通貨危機、リーマンショックで
は、数値はすべて跳ね上がっています。心配なのは、2016年
になると、この数値が今までにないほど跳ね上がっていることで
す。何が起ころうとしているのでしょうか。
 この数値はドルベースです。ドルの価値を維持するために、金
の価格と原油の価格は、つねに何らかのコントロールが行われ、
その数値が大きく上昇しないようにされています。いわばドルの
生命維持装置のようなものであるといってよいと思います。
 それにもかかわらず、この数値が上昇するのは、この生命維持
装置が機能不全に陥ったことを意味しています。それが経済危機
であるというのです。つまり、今後途方もない経済危機が起きる
可能性があることを予告しているといえます。
 2の「バルチック海運指数」は、大量の石炭や鉄鉱石、穀物を
梱包せずに運ぶ、ばら積み船運賃の国際市況のことです。これは
世界で実際に行われている経済活動をあわわしています。
 この数値が上がっていれば、経済活動は活発であることを示し
下がっていれば、世界の経済活動が停滞していることを意味しま
す。したがって、経済を見るプロはこの数値を参照するのです。
 海運は隠しようのない、かつコントロールしようのないデータ
なのです。なぜなら、それはGPSで確認できるし、海上保険も
あるので、誤魔化しようがないからです。したがって、この数値
が高ければ経済活動は活発であるし、停滞しているようだと、数
値は下がるのです。
 現在、この数値が驚くほど下がっています。既に過去最低記録
を更新していますし、一般に報じられているよりもはるかに経済
は停滞していることを示しているようです。何が起ころうとして
いるのでしょうか。
 ところで、なぜプロは、特殊性の高いこれらの指数を重視する
かということについて、ベンジャミン・フルフォード氏は次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 景気の動向を示す経済統計や指数は、どれもこれも嘘と捏造が
まかり通っているからだ。ちょっと操作をするだけで簡単に誤魔
化すことができる。
 たとえば物価指数や平均株価などが典型であろう。株価でいえ
ば、どんな不況でも業績を上げている企業は存在する。ニューヨ
ークダウ平均を上げたければ、業績悪化で株価の下がった企業銘
柄を外し、業績が上がっている企業を選び直せば、いくらでも平
均値を上げることができる。とくに現在は量的緩和をしてお札を
刷りまくって、それを市場に投入している。
 物価指数や平均所得も同様で、所得が下がっている場合、物価
指数の調査対象を「安い商品」に切り替える。そうすれば「名目
上」所得は上昇する。ゆえに景気は上昇している、と大々的に報
じるわけだ。       ──ベンジャミン・フルフォード著
 『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/アメ
      リカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 冒頭に述べたように、2015年〜2016年にかけて、世界
中でいろいろな出来事が起きています。よく考えると、そのほと
んどは米国の変化と関係があります。それはオバマ政権になって
から少しずつ顕在化してきたものでしたが、米国は明らかに内向
きになり、孤立主義になりつつあります。それは、今年の11月
に行われる米大統領選の結果によって、決定的な変化になること
は必至の情勢です。
 次期米国大統領は、果してヒラリー・クリントン氏か、ドナル
ド・トランプ氏か──この結果を現在予測することは、非常に難
しいことですが、いずれにしても、米国は大きく変化するはずで
す。そこでEJの今回のテーマは、米国を取り上げます。
─────────────────────────────
    「世界の警察官」をやめて米国はどう変わるか
     ──内向きの米国で世界はどう変わるか─―
─────────────────────────────
 このテーマであれば、前回のテーマである「現代は陰謀論の時
代である」とうまく繋がってきます。この世界は誰が支配してい
るのかに深く関係するからです。
 今回の英国のEUからの離脱によって、冷戦後に出現した世界
秩序が崩壊に向って歩みを進める先駆けになり、米欧の「大西洋
同盟」が危機に瀕する可能性があります。
 日本にとって、今回の米大統領選の結果ほど安全保障に影響を
与えるものはないと思います。在日米軍はどうなるのか、日米安
保同盟はどう変化するのか。米大統領選の進行に合わせて、明日
から書いていくことにします。
            ──[孤立主義化する米国/001]

≪画像および関連情報≫
 ●下げ止まらないバルチック指数/世界景気懸念で日本株は
  ───────────────────────────
  [東京2014年7月22日ロイター]・・ばら積み船運賃
  の国際市況を示すバルチック海運指数が下げ止まらず、1年
  半ぶりの低水準となっている。船の供給過剰や季節要因が主
  因だが、世界の貿易量の伸びが鈍化しているのではないかと
  市場では警戒感が強い。高まる地政学リスクも、貿易のネガ
  ティブ要因だ。連休明けの日本株は反発したが、世界経済の
  減速懸念が強まるなか、ここ最近のレンジ内の動きに、とど
  まっている。           http://bit.ly/29Dvx9y
  ───────────────────────────

2つの重要指数.jpg
2つの重要指数
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2016年07月12日

●「国防長官が3回代わるオバマ政権」(EJ第4317号)

 2013年11月23日のことです。中国国防省は突如として
東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定したことを発表し
たのです。FNNニュースを再現します。
─────────────────────────────
 中国国防省は23日、東シナ海上空に国籍不明機などが侵入し
た場合、戦闘機による緊急発進の対象となる「防空識別圏」を設
定したと発表した。
 これは、中国国防省が23日午前から施行するとして発表した
もので、沖縄の尖閣諸島が含まれ、日本が設定している防空識別
圏と広い範囲で重なっている。
 中国はまた、防空識別圏内を飛ぶ航空機に対し、飛行計画の提
出や国防省の指示に従うことなどを義務づけ、従わない場合は、
中国軍が防衛的緊急措置をとるとしている。
 中国メディアが22日、日本にも到達可能な国産のステルス無
人攻撃機の試験飛行に成功したと報じるなど、尖閣諸島をめぐる
緊張がさらに高まるのは必至となっている。
                   http://bit.ly/29EwxqF
─────────────────────────────
 周辺国への事前説明や協議は一切ないのです。それにこの空域
は、日本固有の領土である尖閣諸島上空を覆っているのです。日
本の主権に対する重大な挑戦です。しかも中国はこの空域を飛行
するすべての民間航空会社に対し、飛行計画の事前の提出を要請
したのです。これは国際法を完全に無視している無茶苦茶で、一
方的な要求です。
 日本政府は、この中国の一方的で、非常識な要求をはねつけて
います。当然のことです。しかし、オバマ政権は、米民間航空機
各社に飛行計画の提出を認めるような態度をとったのです。これ
に日本政府は仰天したのです。
 実はオバマ大統領は、同じ年の9月にシリア問題に絡んで次の
有名な発言をしていたのです。
─────────────────────────────
     アメリカはもはや世界の警察官ではない
─────────────────────────────
 中国は、このオバマ大統領の発言を受けて、防空識別圏(AD
IZ)を設定しても米国からクレームはこないと判断して、この
暴挙に及んだものと思われます。
 このオバマ大統領の対応を見て、チャック・ヘーゲル米国防長
官は直ちに軍に指示して“ある行動”をとらせたのです。“ある
行動”とは、中国の設定した東シナ海・防空識別圏に事前通告せ
ず、B52爆撃機を飛行させたことです。
 そのB52爆撃機の飛行は、2013年11月25日に行われ
ましたが、中国からの反応はゼロ。中国は自ら設定した防衛識別
圏を管理する能力を持っていなかったのです。ウォール・ストリ
ート・ジャーナルはこのニュースを次のように報道しています。
─────────────────────────────
【ワシントン】米政府当局者は26日、米戦略爆撃機「B52」
2機が中国当局に事前通報しないまま、東シナ海の尖閣諸島周辺
上空を飛行したと発表した。中国は最近同上空に防空識別圏(A
DIZ)を設定したと発表しており、米軍機による飛行は中国に
対する直接的な挑戦ないし異議申し立てを意味する。
 米当局者によれば、2機のB52はグアムの空軍基地から飛び
立ち、ワシントン時間の25日午後7時(日本時間26日午前9
時)ごろ中国が新たに設定した防空識別圏内に入った。
 米国防当局者はこれより先、米国は中国の新たな防空識別圏に
挑戦すると約束するとともに、中国が要求している飛行計画や無
線周波数、無線中継機情報の提出に従わない方針を明らかにして
いた。              http://on.wsj.com/29pLVFg
─────────────────────────────
 ヘーゲル国防長官は、この飛行についてオバマ大統領の了解を
とっていないのです。米軍としては、いつも行っている警戒飛行
活動の一環として行っており、軍の自主的判断に基づくものです
が、これによって中国に明確に「NO」を突き付けたのです。
 オバマ大統領と国防長官は、国防に関してまったく意見が合わ
ず次々と辞任し、現在の国防長官は4人目です。
─────────────────────────────
   ロバート・ゲイツ ・・ 2006年12月18日辞任
   レオン・パネッタ ・・ 2011年 7月 1日辞任
  チャック・ヘーゲル ・・ 2013年 2月27日辞任
 アシュトン・カーター ・・ 現職
─────────────────────────────
 辞任した各国防長官たちは、回顧録でオバマ大統領を批判して
います。ロバート・ゲイツ氏は「オバマ氏は自らに仕える司令官
を信頼せず、自らの戦略を信じていない」と痛烈に批判していま
す。ゲイツ氏はブッシュ政権から引き続き国防長官を務めており
大統領の考え方の違いに我慢がならなかったのでしょう。
 レオン・パネッタ氏は、クリントン政権時代のホワイトハウス
首席補佐官を務め、オバマ政権ではCIA長官も務めているので
ゲーツ氏よりも政権に好意的ですが、それでも「米国の力は大統
領の発言にかかっており、レッドラインを超えたと判断したら、
行動しないといけない」と戒めています。
 チャック・ヘーゲル氏は共和党出身ですが、ブッシュ政権での
イラク戦争に反対していたことを買われて国防長官に抜擢された
のですが、オバマ大統領のイスラム国政策を批判し、「オバマ政
権のシリア政策でトクするのはアサド政権だ」と批判し、国防長
官を辞任しています。
 このように、オバマ政権は歴代の国防長官にすべて批判されて
おり、それによって世界の国々のパワーバランスが大きく変わろ
うとしています。オバマ大統領率いる現在の米国政権は、明らか
に内向きになっているといわざるを得ないのです。
            ──[孤立主義化する米国/002]

≪画像および関連情報≫
 ●ゲーツ元国防長官が回顧録でオバマ大統領を批判
  ───────────────────────────
  【ワシントン】ロバート・ゲーツ元米国防長官は近く発売さ
  れる回顧録の中で、アフガニスタン紛争をめぐるオバマ大統
  領の対応を鋭く批判した。回顧録は米軍の戦略にとって重要
  な時期に政権内部に生じていた軋轢についても明らかにして
  いる。(2014年当時)
   ブッシュ前大統領とオバマ大統領の両政権で国防長官を務
  めたゲーツ氏はこう記述している。オバマ大統領は自らが承
  認した戦略に不信感を抱き、戦闘から抜け出す方法を最も見
  つけたがり、自身が選んだ司令官に幻滅し、国防総省の政策
  を細かく管理しようと試み、ホワイトハウスの補佐官と大将
  が対立することになった、と。
   ゲーツ氏は2011年3月のホワイトハウスでの会議で、
  オバマ大統領がアフガニスタンのカルザイ大統領に対する不
  信感と同様に、現地で戦術を指揮する人物として自らが選ん
  だペトレイアス陸軍大将に対する不信感も強調したと述懐し
  ている。ゲーツ氏は「座りながらこう考えた。大統領は自分
  の指揮官を信頼していない。カルザイ大統領を嫌っている。
  自分の戦略を信じていないし、この戦争を他人事のようにと
  らえている」とし、「彼にとって(戦争から)抜け出すこと
  がすべてだ」と記している。だが、ゲーツ氏をいらつかせる
  原因となったのはオバマ大統領だけではない。同僚はゲーツ
  氏を冷静で礼儀正しい男性だと表現する。文官で無党派の同
  氏の立場を考えると、オバマ大統領に対するこうした厳しい
  評価はいっそう驚きだと指摘する。 http://bit.ly/29uKl5w
  ───────────────────────────

中国が勝手に設定した防空識別圏を飛行するB52.jpg
中国が勝手に設定した防空識別圏を飛行するB52
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2016年07月13日

●「オバマはどのような大統領なのか」(EJ第4318号)

 今回のテーマを取り上げたきっかけは、ジュンク堂池袋本店で
次の新刊書を見つけて購入したからです。テーマを決めるには、
メインになる書籍が必要なのです。
─────────────────────────────
                       高畑昭男著
          『「世界の警察官」をやめたアメリカ/
      国際秩序は誰が担うのか』/株式会社ウエッジ刊
─────────────────────────────
 オバマ大統領がどのような大統領であるかを如実に示している
のは、ウクライナ紛争とシリア問題における米国の対応であり、
そこによくあらわれていると思います。
 ウクライナ紛争では、2014年3月1日、プーチン大統領が
軍事介入についてロシア上院の承認を取ったとき、オバマ大統領
は、軍事行動を止めるよう電話で1時間半にわたって説得したも
のの、失敗に終わっています。
 そしてオバマ大統領は、「ウクライナのいかなる軍事的措置は
大きな代償を伴うだろう」とロシアを牽制し、ウクライナの新政
権へ援助を約束したのですが、あくまで経済的、外交的援助に限
定するとし、軍事的措置は視野に入れていないことをわざわざメ
ディアに発表したのです。
 これは、ロシアが軍事的に介入してきても米国としては何もし
ないという意思表明であり、そのためロシアは易々とクリミアに
軍を進め、軍事的に占拠することができたのです。
 プーチン大統領としては、当然米軍と一戦を交えることだけは
絶対避けなければならないものの、やはりオバマ大統領の「アメ
リカはもはや世界の警察官ではない」という宣言と「ウクライナ
への軍事的措置は視野に入れていない」という発言が、仕掛けて
も「米軍は出てこない」という判断をプーチン大統領にもたらし
たものと思われます。プーチン氏のしたたかな計算です。
 実は英国は、ロシアを牽制するため、欧米の共同軍事訓練をウ
クライナ周辺で行うべきと提言していたのですが、米国がそれを
拒んだので、実現しなかったのです。オバマ大統領は何が何でも
軍事行動は行いたくないという態度です。
 もちろんウクライナは、米国の同盟国ではないし、NATOの
加盟国でもないのです。米国やNATOはウクライナを守る義務
はないのです。しかし、無関係というわけではないのです。
 ウクライナは、NATOアフガニスタン国際治安支援部隊(I
SAF)に部隊を派遣しており、一緒に戦ってもいるのです。い
わばNATOのパートナー国なのです。ロシアはウクライナがN
ATOに加盟することを非常に警戒していますし、英国の提案の
ように共同軍事訓練をやっていたら、ロシアは軍を動かすことは
できなかったと思います。
 白鴎大学教授の高畑昭男氏は、これについて次のような見解を
述べています。
─────────────────────────────
 アメリカは、軍事衛星や各種の傍受システムなど世界最先端の
ハイテク軍事技術を備えている。ロシア軍や民兵勢力の動きは手
に取るように見えている。初期段階で英国が提案したようにNA
TOの共同演習を展開したり、地中海艦隊をロシアに近い黒海方
面へものものしく移動させるなどの陽動作戦で牽制していたら、
事態は異なっていた可能性が高い。ロシア側は「アメリカが何を
するかわからない」と警戒し、慎重な行動を余儀なくされたに違
いない。            ──高畑昭男著の前掲書より
─────────────────────────────
 続いて、シリアのアサド政権での化学兵器使用疑惑におけるオ
バマ政権の対応です。2012年の夏以降、アサド政権は、複数
回にわたり、反政府勢力や市民に対して化学兵器を使用し、大勢
の死者が出ているという「国境なき医師団」の声明に対して、オ
バマ政権がどう動いたかです。
 2012年8月に行われた再選キャンペーンにおいてオバマ大
統領は、次のように述べているのです。
─────────────────────────────
 国民の信を失ったアサド大統領は退陣すべきである。シリアの
軍事介入は考えていないが、化学兵器が使われたりすれば、それ
は「レッドライン」だ。すべての計算が一変する。
                ──高畑昭男著の前掲書より
─────────────────────────────
 「レッドライン」とは超えてはならない一線のことであり、こ
の文脈からは「生物兵器が使われるようなことになれば軍事介入
も辞さない」という意味にとれます。
 そのレッドラインをアサド政権が越えたのです。レッドライン
発言から考えて、当然オバマ大統領は軍事介入の決断をしたので
すが、その最終決定の決断は議会に預けてしまったのです。これ
に対して下院議員の一人は「米軍最高司令官の責任を放棄するも
の」と痛烈に批判したのです。
 軍事介入の決断を議会に預ける演説をしたのは、2013年8
月31日ですが、その前日、オバマ大統領はスーザン・ライス大
統領国家安全保障問題担当補佐官らの側近に次の趣旨のことを話
したということが、高畑昭男氏の本に出ています。
─────────────────────────────
 とびきりのアイデアがある。まず君たちに聞いてみたい。議会
に決断を委ねるのだ。           ──オバマ大統領
─────────────────────────────
 側近は「議会に諮る必要はないし、議会が反対すれば大統領の
立場が悪くなる」と進言したのですが、オバマ大統領は聞き入れ
なかったといいます。
 イラク戦争のさい、ジョージ・ブッシュ大統領も議会の承認を
求めましたが、それは大統領がイラクとの開戦を宣言し、そのあ
とで、議会に諮っているのです。決定自体を議会に預けたオバマ
大統領とは違うのです。 ──[孤立主義化する米国/003]

≪画像および関連情報≫
 ●オバマ米大統領、シリア軍事介入決断/議会承認へ
  ───────────────────────────
  【ワシントン】オバマ米大統領は2013年8月31日、ホ
  ワイトハウスで記者会見し、シリアに対して限定的な軍事攻
  撃を命じることを決定したと表明した。大統領は事前に議会
  の承認を求めることにも同意した。米国のシリア攻撃は秒読
  み段階にあるとみられていたが、オバマ大統領が議会の承認
  を求めると表明したことで、シリアの化学兵器使用を受けて
  展開していた米軍の動きは停止する。米国の分析報告書によ
  ると、シリア政府は21日に化学兵器を使用し、400人以
  上の子どもを含む1400人以上が死亡した。
   オバマ大統領の側近はこれまで、大統領がシリアへの軍事
  攻撃について議会の承認を求めることはなく、大統領には軍
  事行動の開始を命じる法的な権利があるとの見解を示してい
  た。今回の決定はオバマ氏自身にとってもいら立たしい方針
  転換だった。
   大統領は議会の指導者が9月9日の議会再開から議論を行
  い、採決することで合意していると述べた。民主党が多数派
  を占める上院の指導部は再開の前倒しを検討した。シリアへ
  の軍事攻撃の方針が決まり、大統領のシリア政策は未知の方
  向に進むことになる。議会では軍事介入だけでなくオバマ氏
  を巡っても意見が割れており、対立が起きることは確実だ。
  大統領は議会での審議に同意することで、英国のキャメロン
  首相のように議会承認を得られないというリスクを負うこと
  になる。           http://on.wsj.com/29IXolG
  ───────────────────────────

議会にシリア攻撃の可否を委ねる.jpg
議会にシリア攻撃の可否を委ねる
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2016年07月14日

●「なぜ議会に最終決定を委ねたのか」(EJ第4319号)

 米国はもはや世界の警察官ではない──オバマ大統領によるこ
の演説が行われたのは、2013年9月10日、午後9時〜9時
17分、ホワイトハウスのイーストルームの間から、全米テレビ
中継を通じて米国民へ語りかけています。その要旨は、次のよう
になります。
─────────────────────────────
 私は米軍最高司令官であると同時に、世界最古の民主主義国の
大統領でもある。問題がアメリカに対する直接的脅威でない以上
討議を米議会に委ねるのが正しいと判断した。われわれの民主主
義は、議会の支持を得て大統領が行動するときに最も強力かつ効
果的となるからだ。
 イラク、アフガニスタン戦争後、いかなる軍事攻撃も、国民に
支持されないのはわかっている。国民から寄せられた声の中で、
「アメリカは世界の警察官たるべきでない」という意見にも同意
する。アメリカは世界の警察官ではない。世界で起きる凶事のす
べてを正すのはわれわれの能力と手段を超える。だが、適切な努
力とリスクによってわれわれの子孫を化学兵器から守れるなら、
われわれは行動すべきだ。          ──高畑昭男著
           『「世界の警察官」をやめたアメリカ/
       国際秩序は誰が担うのか』/株式会社ウエッジ刊
─────────────────────────────
 なぜ、オバマ大統領はこんな演説をしたのでしょうか。
 それは、オバマ大統領がレッドラインを越えたとして「シリア
に軍事介入する」と決断したはずの重要決定を議会に委ねたこと
の言い訳ではなかったと思われるのです。
 やはりオバマ大統領は、何となく後ろめたさを感じていたので
はないかと思われます。大統領として決断しながら、それから逃
げるような対応について、何らかの説明が必要だと感じたものと
思われます。
 米国の大統領は「世界一孤独な権力者」といわれています。な
ぜなら、合衆国憲法では「行政権は大統領に属する」と定められ
ているからです。つまり、あらゆる権限は大統領に集中しており
それを行使するのは大統領しかいないからです。
 南北戦争を決断したリンカーン大統領、湾岸戦争に踏み切った
ブッシュ(父)大統領、アフガニスタンとイラク戦争をはじめた
ブッシュ(子)大統領のいずれも自らが決断したあとに議会の承
認をとっています。自ら決断せず、議会に最終決定を委ねたのは
オバマ大統領だけなのです。
 米国の南北戦争は、奴隷解放のために起こされた内戦といわれ
ていますが、少し事情が異なるのです。確かにリンカーンは奴隷
解放を唱えてはいましたが、けっして奴隷解放のために南北戦争
を起こしたわけではないのです。
 当時米国の南部は世界の綿花の75%を生産していたのですが
それはコストが安い奴隷を酷使することによって可能だったので
す。したがって、もし奴隷制度が廃止されると、南部は経済崩壊
を起こしてしまうことになります。
 北部もそのことはわかっていて、リンカーンを大統領に選出す
る1860年の大統領選で米国民は消極的選択をしたのです。こ
の7月10日に投開票され、自公両党が圧勝した参院選でも日本
国民は消極的選択をしたといえます。憲法改正を進めることが分
かっていて安倍政権を選んだのは、明確な選択肢を示さない野党
よりもマシという選択だったと思われるからです。
 リンカーンが何をするかわかっていた南部諸州は、リンカーン
が大統領になると、先手を打って「独立」を宣言し「アメリカ連
合国」という新しい国家を立ち上げたのです。この時点で米国は
二分されたことになります。
 リンカーンはこのことを深刻に考えたのです。もはや奴隷制度
の廃止ではなく、いかにして米国を一本化するかです。これにつ
いて、リンカーンの有名な言葉があります。
─────────────────────────────
 もし、奴隷を一人も自由にせずにアメリカを救うことができる
ものならば、私はそうするでしょう。
 もし、すべての奴隷を自由にすることによってアメリカが救え
るならば、私はそうするでしょう。
 もし、一部の奴隷を自由にし、他はそのままにしておくことに
よってアメリカが救えるものならば、そうもするでしょう。
                   http://bit.ly/29MkN5u
─────────────────────────────
 そのため、リンカーンは、それによって起こり得るあらゆる非
難や抵抗を押し切って戦争を決断し、二分された米国をひとつに
まとめたのです。リンカーン大統領の決断がなければできなかっ
たことです。二分化された国家をひとつにまとめるには戦争を起
こすしかなかったのです。大統領の決断はきわめて重いのです。
 オバマ大統領の決断で不可解なことは、「ロシアがアサド政権
を説得し、国連を通じて化学兵器を廃棄させる」というプーチン
大統領の提案をやすやすと受け入れたことです。その直前にオバ
マ大統領は、化学兵器問題ではプーチン氏と妥協しないといって
いたからです。戦争しないで済むなら、何であろうと受け入れる
のでしょうか。
 オバマ大統領は、2014年4月に訪日したとき、日米安全保
障条約第5条の対象に尖閣諸島も含まれると明言しましたが、米
側同行記者に次の質問を受けています。
─────────────────────────────
 中国が尖閣諸島を侵略した場合に、アメリカ軍を出動させて日
本を守ると約束したそうだが、それは新たなレッドラインを示し
たことにならないか。      ──高畑昭男著の前掲書より
─────────────────────────────
 これに対し、オバマ大統領は条文の解釈として既に定着してい
る内容を述べたに過ぎないと、法律家のようなコメントを返して
いるのです。      ──[孤立主義化する米国/004]

≪画像および関連情報≫
 ●米国の「真のレッドライン」は何か/イアン・ブレマー氏
  ───────────────────────────
   シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、米国による軍事介入
  の可能性に世界の注目が集まるなか中東における米国のレッ
  ドライン(越えてはならない一線)と信頼に深刻な影響を与
  えかねないもう1つの深刻な問題が見過ごされている。
   国際原子力機関(IAEA)の報告によると、イランは高
  度ウラン濃縮のための遠心分離機約1000基を設置し終え
  試験を行う予定だという。イランの濃縮能力が高まるに伴い
  核兵器製造のための高濃縮ウラン備蓄に必要とする時間は大
  幅に縮小している。向こう1─2年で、イランが兵器転用可
  能なウランの備蓄に必要な期間は約10日にまで減る可能性
  がある。米国が確実に対処するにはあまりに短い時間だ。
   米国が講じるシリアへの次なる一手は、イラン情勢と表裏
  一体だ。米政府が中東で懸念する最大の安全保障問題は、核
  兵器製造の可能性を秘めたイランである。核武装したイラン
  は地域を不安定化させ、原油相場に衝撃を与えるほか、米国
  の同盟諸国を脅かすことになる存在だ。長期的な見通しほど
  予測困難であり、決してそれは明るいものではない。核の力
  を手に入れたイランは中東諸国にドミノ効果を引き起こしか
  ねない。新たに「アラブの春」が起きた場合、核兵器を保有
  する破綻国家は脅威以外の何ものでもない。
                   http://bit.ly/29uEhJB
  ───────────────────────────

米国南北戦争.jpg
米国南北戦争
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2016年07月15日

●「世界の警察官は4ヶ国でスタート」(EJ第4320号)

 「世界の警察官」といえばすぐアメリカを連想しますが、本当
は5ヶ国あるのです。それは、第二次世界大戦後に創設された国
際連合の常任理事国である次の5ヶ国です。
─────────────────────────────
           1.アメリカ
           2.イギリス
           3.フランス
           4. ロシア
           5.  中国
─────────────────────────────
 これら5ヶ国の正式名称は「安全保障理事会常任理事国」とい
うのです。つまり、国際連合のこの仕組みは、昨今日本で話題沸
騰になった「集団的安全保障」という考え方を具現化し、大きな
戦争を抑止して平和を実現することです。これら5つの大国はそ
の目的を実現する主役といえます。したがって、世界の警察官は
これら5ヶ国のはずです。
 しかし、これら5ヶ国のうち、世界の警察官らしい役割を果た
してきたのは米国であるといえます。そもそもこの集団的安全保
障の仕組みそのものには大きな疑問があるのです。これについて
しばらく述べることにします。
 国際連合の前身は、第一次世界大戦後の国際連盟です。米国の
ウッドロー・ウイルソン大統領の提案によって実現した国際平和
機構の仕組みです。国際連盟は、1920年1月、連合国と中立
国あわせて45ヶ国が参加して創設されたのです。世界史でも初
めての国際的な集団安全保障の試みだったのです。この国際連盟
の創設による功績によってウイルソンはノーベル平和賞を授与さ
れたのです。
 しかし、国際連盟は力不足だったのです。なぜなら、本来大戦
を阻止する目的で創設された国際連盟が、第2次世界大戦を防げ
なかったことです。それは、さまざまな制度上の不備や平和を破
壊する国に対する制裁の仕組みを欠いていたからです。さらに物
事の意思決定は、全会一致で決めることになっており、最高意思
決定機関である総会で1ヶ国でも反対があるとどのような決議も
成立しなかったのです。
 しかし、何よりも大きな失敗は、創設の旗を振った米国がこの
国際連盟に入れなかったことです。ウイルソン大統領は議会の孤
立主義者たちの反対によって、上院の批准が得られなかったので
す。このときの経緯について、国際問題評論家の古森義久氏は著
書で次のように書いています。
─────────────────────────────
 病弱のウイルソン大統領は医師の制止にもかかわらず、国内各
地を回り、国際連盟加盟をアピールした。だが旅中に血栓症に倒
れ、上院は加盟条約の批准を否決してしまった。アメリカ国内の
一部の伝統的な孤立志向が反戦感情と結びつき、勢いを得た結果
だった。アメリカなしの国際連盟には当初、ドイツもソ連も入れ
なかった。フランスとイギリスが中心メンバーとなったものの、
両国の利害は対立した。日本やイタリアも加わったが、英仏主体
の国際連盟には冷淡だった。国際連盟の加盟国は一時は59ヶ国
にも達したとはいえ、1930年代には日本、ドイツ、イタリア
が次々と脱退していった。そして国際連盟は39年のドイツ軍の
ポーランド突入による第二次大戦の始まりに対しても、まったく
無力となった。 ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 この国際連盟の集団的安全保障の考え方を引き継ぎ、世界の警
察官を何とか実現させたいと考えたのは、第32代米大統領フラ
ンクリン・ルーズベルトです。ルーズベルト大統領は、その創設
に当たって次の2つのことの実現を目指したのです。それは、ウ
イルソン大統領の失敗の轍を踏まないようにしたことです。
─────────────────────────────
 1.アメリカ自身がその国際平和機構への加盟が実現できる
   ようにする。
 2.平和を破壊する国家に対して実力行使できる仕組みを創
   設すること。
─────────────────────────────
 同じような構想を英国のチャーチル首相も持っていたのです。
チャーチル首相は、世界を「西半球(南北米大陸)」「ヨーロッ
パ」「太平洋圏」の3つに分け、地域ごとに平和と安定をはかる
べきであると主張し、米国、英国、ソ連、フランスの4ヶ国を世
界の警察官にする案を示したのです。
 これに対して米国はアジアの中国の存在を重視し、フランスよ
りも中国を4ヶ国のなかに加えるべきであると主張したのです。
なおルーズベルト大統領は、当時日本を「平和を脅かす国」と位
置づけ、第2次世界大戦後、日本の経済力を解体して、再起不能
にするといっていたのです。そのため、中国をアジアの警察官に
しようとこだわっていたのです。これについて、白鴎大学の高畑
教授は次のように述べています。
─────────────────────────────
 4人目の警察官を「中国にするかフランスにするか」の米英ソ
連の腹の探りあいは、三者三様の利害を反映していて興味深い。
国際政治の裏で指導者の人柄や性格がいかに作用するかについて
もうかがえる。そうこうするうちに、新たな機構の骨格をまとめ
るための非公式会議が1944年8月、ワシントン郊外ジョージ
タウンのダンパートン・オークス邸で開かれた。ところが、中国
とフランスの扱いが定まっていなかったために、ソ連代表は中国
代表との同席を拒否し、米英ソ連3ヶ国の会談と、ソ連が同席し
ない米英中国3ヶ国の会談が別々に開かれる異例の方式となった
という。──高畑昭男著/『「世界の警察官」をやめたアメリカ
      /国際秩序は誰が担うのか』/株式会社ウエッジ刊
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/005]

≪画像および関連情報≫
 ●ウイルソンと国際連盟、そしてソビエトの取扱
  ───────────────────────────
   アメリカ第28代大統領ウッドロー・ウィルソンは、第一
  次世界大戦終結へ向けて努力するばかりではなく、終結後の
  新しいヨーロッパの安全保障体制の構築に腐心をしました。
  1823年のモンロー主義による孤立主義の宣言、1904
  年の金融・財政に関しては関与を行なうというルーズベルト
  ・コロラリーの宣言のなかで、1917年4月に第一次世界
  大戦へ参戦をしたアメリカは、ヨーロッパの(国際)政治に
  は決してかかわりを持たないというそれまでの孤立主義から
  大きな変革を自らが行なおうとしたのでありました。
   なぜ、ヨーロッパの国家間関係にアメリカ大統領が、明晰
  なアドヴァイザー達と共に取り組んだのか、その背景の大き
  な理由は、まず、ハプスブルグをはじめ、ホーエンツォレル
  ン、(オットーマン)などの王朝が第一次世界大戦において
  消滅をし始めたことが上げられます。
   ヨーロッパの絢爛豪華な文化的遺産は、まさにこのような
  王朝文化であったのであり、その王朝が、一つ、また、一つ
  と次から次へと消滅してゆく第一次世界大戦の持つ意味は、
  一般のヨーロッパ人にとっては、ヨーロッパの歴史始まって
  以来のことでありました。唯一ナポレンの時代を経験してい
  ました、実際にそれを経験した人物など既におらなかったわ
  けであり、王朝が消えてゆく状況に直面したヨーロッパは、
  未曾有の政治的混乱が予想されたのであります。
                   http://bit.ly/29Delys
  ───────────────────────────

ウッドロー・ウイルソン元米大統領.jpg
ウッドロー・ウイルソン元米大統領
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2016年07月19日

●「安保理拒否権はなぜ設けられたか」(EJ第4321号)

 米国のルーズベルト、英国のチャーチル、ソ連のスターリンの
3人は、テヘラン、ヤルタと場所を変えて、国際連合の構想を固
めていったのです。4人目の世界の警察官をフランスにするか、
中国にするかをめぐっては意見がまるで合わなかったのです。
 チャーチルとスターリンは中国の参加に反対し、フランスにつ
いてはルーズベルトとスターリンが反対したのです。米国が推す
中国については戦いで「あまりにも弱過ぎる」とし、フランスは
英国に亡命フランス政権を組織したシャルル・ドゴール将軍が強
い反共主義者であるとしてスターリンが反対したのです。
 結局、ダンバートン・オークス邸での会議を経て、「一般的国
際機構の設立に関する提案」(ダンバートン・オークス案)がま
とまり、世界の安全を守る安全保障理事会は米国、英国、ソ連、
フランス、中国の5ヶ国に決定したのです。これによって世界の
警察官は5ヶ国になったのです。
 そのときの案には、現在とは大きく違う点があります。それは
国連の加盟国は戦争を含む武力行使が一切禁止され、もしこれに
違反すると、安全保障理事会の5人の警察官による武力行使を含
む強力な制裁を受けるというものです。
 しかし、ダンバートン・オークス案には、5人の世界の警察官
には「拒否権」が与えられており、1ヶ国でも拒否権を行使する
と、安全保障理事会は強制行動を起こせなくなってしまうという
のです。これに中南米諸国が懸念を表明したのです。
 もし、安保理常任理事国5ヶ国の利害の伴うある国が加盟国の
どこかの国を侵略しようとしたさい、利害の伴う警察官が安全保
障理事会で拒否権を使うことがあるからです。そこで、中南米諸
国は、メキシコ郊外のチャプルテペックで会議を開き、安全保障
理事会の承認が得られない場合は、自らの国を守る自衛権を行使
できるようにするという決議をしているのです。これが、次の国
連憲章第51条の「個別自衛権」になったのです。
─────────────────────────────
 ≪国連憲章/第51条≫
 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃
が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維
持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の
権利を害するものではない。(一部省略)http://bit.ly/XZ7yG3
─────────────────────────────
 問題は、安全保障理事会常任理事国になぜ「拒否権」が与えら
れたかです。拒否権にとことんこだわったのはソ連です。これが
決まったのは、ダンバートン・オークス邸の会議においてです。
 これには面白い話があります。このとき、ソ連の主席代表とし
て出席していたのは、アンドレイ・グロムイコ駐米大使です。あ
の長い東西冷戦時代の外相として、西側をとことん揺さぶり、悩
ませた人物です。
 ところが、グロムイコ代表は、ダンバートン・オークス会議で
は、「とてもナイスで、ものわかりのよい人物」だったといわれ
ているのです。これについて、国際問題評論家の古森義久氏は次
のように述べています。
─────────────────────────────
 ソ連の国連創設への当時の取り組みは米英側が予想したよりは
ずっとスムーズで柔軟だった。だからこそグロムイコ代表の言動
も「ナイス」と評されたのだろう。ただし同じ人物評でも崩壊し
た旧ソ連側に語らせると「ダンバートンオークス会議でのグロム
イコはスターリンの理想的な走り使い少年だった」(ヘンリー・
トロフィメンコ・ロシア科学アカデミーUSAカナダ研究所首席
アナリスト)となる。(中略)ダンバートンオークス会議ではグ
ロムイコ代表はおどろくほどの協調性を示し、米英側の国連に関
するほとんどの提案に柔順に同意した。
        ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 しかし、グロムイコソ連代表は、次の2つのことに関しては、
絶対に譲らなかったのです。
─────────────────────────────
 1.国連に参加するのは、ソ連邦だけでなく、構成する15
   の共和国すべてを個別に加盟させる。
 2.国連での重要な平和と安全の案件についてはすべての安
   保理常任理事国の賛成を必要とする。
─────────────────────────────
 実はグロムイコソ連代表にはしたたかな計算があったのです。
本当に通したいのは「2」であり、「1」については少し譲って
もよいという計算です。「1」の15の共和国全部の参加につい
ては、協議の結果、ソ連邦と、ウクライナ、ベラルーシ両共和国
の3国の加盟で決着したのです。大幅譲歩です。
 しかし、「2」に関しては、ソ連代表は絶対に譲らなかったの
です。米英側は、拒否権の制限を主張し、常任理事国のうち4ヶ
国が賛成すれば、残り1国の拒否権は認めないという案や、紛争
案件の当事者はもちろん、利害関係国は採決に加わることができ
ない仕組みを提案したのですが、グロムイコソ連代表は微動だに
しなかったのです。
 確かに当時の中国は自由主義陣営に属していたので、米英仏中
が組めば、ソ連は孤立し、自国に不利益な決定を押し付けられる
ことを警戒したものと思われます。結局、米英が折れて、国連憲
章はソ連の要求を受け入れ、1945年4月〜6月にサンフラン
シスコで行われた国連憲章制定会議で確定したのです。
 しかし、国連の運営はこの拒否権が大きなカベになり、空転を
重ねて行くことになるのです。しかもソ連は現在のロシアとなり
中国は共産主義国家として安全保障理事会の常任理事国の一角を
依然として占めているため、北朝鮮の暴挙のように、本当に国連
として動かなければならないときに、何も有効に機能できない状
態が現在も続いているのです。
            ──[孤立主義化する米国/006]

≪画像および関連情報≫
 ●国連の安保理が平和の障害になっている/2015年記事
  ───────────────────────────
   国連が創設されたのは70年前。その主要機関の一つであ
  る安全保障理事会は、国際平和と安全に責任を持つことを目
  的に作られた。しかし、理事会の構成や、常任理事国だけに
  与えられた拒否権の問題などで、その影響力の限界が指摘さ
  れており、創設70年を節目に、新たな改革が求められてい
  る。安保理は、常任理事国5ヶ国(中、仏、英、米、露)と
  総会が2年の任期で選ぶ非常任理事国10ヶ国で構成されて
  いる。来年より、日本も非常任理事国となることが決まって
  いる。インターナショナル・ビジネス・タイムズ(IBT)
  に寄稿した、インドの政治家で国連事務次長も務めたシャシ
  ・タルール氏は、安保理は1945年当時の地政学的現実を
  反映し、現状に合っていないと主張する。同氏は、創設当時
  51ヶ国だった国連加盟国は現在193ヶ国となっているの
  に、安保理の理事国は11ヶ国から15ヶ国に増えたのみだ
  と指摘。また、創設時のパワーバランスに重きが置かれ、世
  界人口の5%に過ぎない欧州が議席の33%を支配していた
  り、70年前に戦勝国だったという理由で常任理事国がその
  地位や拒否権を享受しているのはおかしいとし、改革が必要
  だと述べている。         http://bit.ly/29zOid0
  ───────────────────────────

グロムイコ元ソ連外相.jpg
グロムイコ元ソ連外相
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2016年07月20日

●「なぜ、NATOは創設されたのか」(EJ第4322号)

 国連憲章第51条をもう一度読んでみましょう。第51条を再
現します。
─────────────────────────────
 ≪国連憲章/第51条≫
 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃
が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維
持に必要な措置をとるまでの間、「個別的又は集団的自衛の固有
の権利」を害するものではない。(一部省略)
             「」は著者 http://bit.ly/XZ7yG3
─────────────────────────────
 この第51条は、世界の平和を脅かす紛争には、基本的に国連
の安全保障理事会が対応するが、その手続きが整うまでの間、当
事国がその敵と戦う自衛権(個別自衛権)の発動を妨げるもので
はないことを規定しています。
 この場合、個別自衛権に加えて「集団的自衛権」も認められて
いることは注目に値します。これは、実質的には、2国間、多国
間の同盟を指していることが明らかだからです。これは、安全保
障理事会による集団安全保障システムがきちんと機能すれば、国
連加盟国が多国と同盟を結び、集団的自衛権を行使する必要はな
いはずです。まさにこれは、理想と現実のギャップであり、その
ギャップは現在に至るも解決できないでいるのです。
 日本は個別的自衛権を発動させるために、事実上の軍隊(自衛
隊)を持ったものの、米国と同盟を結んでも集団的自衛権だけは
憲法の関係上使えないようになっていたのです。しかし、安倍政
権による安保法制の成立によって、制約付きではあるものの、集
団的自衛権が使えるようになったのです。
 国際連合の基本フレームを構築したのは、米国のルーズベルト
大統領、英国のチャーチル首相、ソ連のスターリン書記長の3人
ですが、理想主義者のルーズベルト、現実主義者のチャーチル、
狡猾なスターリン──彼らはまるで性格が違うのです。
 国連構築の会議において、スターリンは終始笑顔で、機嫌が良
かったそうです。そのため、ルーズベルトはスターリンを信頼し
てしまい、個人的な親近感を深めつつあったといいます。「ソ連
とだって十分話し合いができる」と思い込んでしまったのです。
そして拒否権などの絶対に譲ってはならないものもソ連に譲歩し
てしまっています。
 しかし、チャーチルは、スターリンの笑顔の裏に隠された野心
を持つ独裁的な性格を早くから見抜き、当時欧州に広がりつつあ
ったソ連共産主義は脅威と考えていたのです。そして、まさに事
態はチャーチルの懸念した通りになったのです。これに関して、
白鴎大学の高畑教授は次のように述べています。
─────────────────────────────
 ルーズベルトの理想を阻んだのは、大戦終結と同時に始まった
東西冷戦の現実である。それを端的に示すエピソードが、早くも
2ヶ月後に起きている。英国首相を退いたチャーチルは1946
年3月、トルーマン大統領の招きで訪米し、ミズーリ州アルトン
のウエストミンスター大学で国際情勢に関する演説を行った。こ
の中でチャーチルは、すさまじい勢いで欧州に広がるソ連共産主
義の脅威について「バルト海のシュテッティンからアドリア海の
トリエステまで、欧州大陸を横切る『鉄のカーテン』が降ろされ
た。中欧、東欧の歴史ある国々の首都がカーテンの向こう側に閉
ざされた」と警告し、欧州が東西に分断されつつある深刻な状況
に目を向けるよう訴えた。冷戦の緊張を象徴する「鉄のカーテン
演説」として知られる有名なスピーチである。 ──高畑昭男著
           『「世界の警察官」をやめたアメリカ/
       国際秩序は誰が担うのか』/株式会社ウエッジ刊
─────────────────────────────
 チャーチルのいうシュテッティンは、ポーランド北西部の都市
であり、トリエステはイタリア北東部の現スロベニア国境のある
港町です。これら両都市を結ぶラインの左側にあるポーランド、
チェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、ルーマニア
ブルガリアなどにソ連の鉄カーテンが降ろされ、それらの国はい
ずれも自由のない暗黒の世界に引きずり込まれた──チャーチル
はこのように訴えたのです。
 1949年にソ連は原爆開発に成功します。そうすると、米国
の核兵器独占態勢は崩れ、ソ連の脅威は一層強くなります。これ
によって生まれたのがNATO(北大西洋条約)です。ベルギー
オランダ、ルクセンブルグ、イギリス、アメリカの西欧5ヶ国は
イタリア、ポルトガルの南欧2ヶ国、アイスランド、デンマーク
ノルウェーの北欧3ヶ国にカナダを巻き込んで、北太平洋条約を
締結し、軍事同盟のNATOが生まれたのです。1949年4月
のことです。北大西洋条約の第5条には次の規定があります。こ
こにも国連憲章第51条が出てくるのです。
─────────────────────────────
≪北大西洋条約/第5条≫
 締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける1または2以
上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすこ
とに同意する。したがって、締約国は、そのような武力攻撃が行
われたときは、各締約国が、国際連合憲章第51条の規定によっ
て認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋
地域の安全を回復し及び維持するために、その必要と認める行動
(兵力の使用を含む)を個別的に及び他の締約国と共同して直ち
に執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同
意する。               http://bit.ly/29CsBJh
─────────────────────────────
 要するに、「NATO加盟国に対する武力攻撃は、全加盟国に
対する武力攻撃とみなす」を柱とする集団的自衛権です。これに
対してソ連も1955年に東側陣営を糾合したワルシャワ条約機
構(WTO)を創設して、NATOに対抗したのです。
            ──[孤立主義化する米国/007]

≪画像および関連情報≫
 ●欧米唯一の指導者/ウラジミール・プーチン
  ───────────────────────────
   売女マスコミ人間、ロビン・エモットとサビーヌ・シーボ
  ルトによるロイターのニュース報道が、欧米には正直で理性
  的で信頼できるジャーナリストや政府幹部が全くいないこと
  を示している。http://reut.rs/29vmAJy
   まず、記者の不誠実さ、無能さを検討し、次に欧米政府幹
  部のそれを検討しよう。エモットとシーボルトは、NATO
  を“欧米の防衛同盟”と表現している。クリントン政権以来
  NATOは、アメリカ合州国が確立したニュルンベルク原則
  の下では、戦争犯罪にあたる攻撃的戦争を仕掛ける同盟だ。
  NATOの旗印のもとで、NATOの隠れ蓑の下で、アメリ
  カ政府によって、多数の国々が爆撃され、侵略され、政府を
  打倒された。これら破壊された国々は、NATO同盟の国々
  に対する、いかなる脅威ともなっておらず、NATO加盟諸
  国に対する、いかなる攻撃的行動も行ってはいなかった。ロ
  イターの記者や編集者連中は、一体どうして、これに気がつ
  かずにいられるのだろう?彼らは、一体なぜ、アメリカ政府
  の侵略道具を“防衛同盟”と呼ぶのだろう?エモットとシー
  ボルトは、“ロシアによる侵略が”NATOが、3000人
  から、4000人の兵士をバルト諸国やポーランドに派兵し
  ている理由だと報じている。言い換えれば、バルト三国とポ
  ーランドに対する、ありもしないロシア侵略なるものが、軍
  事的配備によって対抗すべき事実とみなされているのだ。
                   http://bit.ly/29DUvRx
  ───────────────────────────

スターリンソ連書記長.jpg
スターリンソ連書記長
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2016年07月21日

●「中仏両国は常任理事国の資格なし」(EJ第4323号)

 世界平和を目指す目的で創設されたはずの国際連合(国連)が
3人の創設者、米国のルーズベルト、英国のチャーチル、ソ連の
スターリンのうち、ルーズベルトがスターリンに親近感をおぼえ
たせいか拒否権などでスターリンに大幅な譲歩を重ね、1945
年4月12日に病死してしまうのです。
 1945年10月24日、加盟国の半数以上の国連憲章の批准
が終わり、国連は正式に発足したのです。既に8月には日本が無
条件降伏し、長く苦しい世界大戦が終わり、これからは国連の安
全保障システムによる平和な時代が訪れると世界中が期待したの
です。しかし、国連発足1年も経たないうちに、その期待は裏切
られることになります。
 それは、米国とソ連という超大国とその陣営の対立による東西
冷戦が激化したためです。そのために西側陣営はNATO、東側
陣営はWTOという東西両陣営の軍事同盟が対峙するという平和
どころか、一触即発の最悪の事態になってしまったのです。
 その国連に対して、フランスの国際政治学者のモーリス・ベル
トラン氏は、次のように国連を皮肉ったのです。
─────────────────────────────
 国連は紛争を解決する平和の守護者ではなく、「芝居の舞台」
として機能するようになった。   ──モーリス・ベルトラン
─────────────────────────────
 「芝居の舞台」とはどういう意味でしょうか。これについて英
国の国連代表団の高官で、国連の歴史研究家のエバン・ルアード
氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 1945年から55年までの国連は失敗に終わった。大多数の
加盟国は国連を大国やその他の国が紛争を解決するための場所と
みなしていなかった。国連はむしろ公然と議論し、反対側と公的
に非難し、決議案を示し、世論を一定方向へ扇動する場とみてい
た。国連は平和を模索する場というよりは戦場であり、互いを理
解しあう場というよりは、互いをだますための場であり、和解よ
りは対立のための道具として認識されるようになった。1945
年からの10年間、国連は冷戦の一手段にすぎなくなった。国連
は東側諸国にとって、自分の意見を世界に宣伝するための場だっ
た。西側諸国にとって国連は多数票を獲得し、世界が自分たちの
側についていることを示せる、という場となった」。
        ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 つまり、国連の紛争解決の機能は、拒否権などによって最初か
ら有名無実化し、政治プロパガンダを演ずる場所となり、その意
味において、「芝居の舞台」といわれるのです。
 ここまで述べてきたように、国連の構想は第二次世界大戦中に
企画されています。したがって、第二次世界大戦の勝者が戦後の
国際秩序を統治するためのメカニズムとして意図されていたので
す。そのため、その勝者は、安全保障理事会の常任理事国として
拒否権という特権を与えられることになったのです。
 それでは「勝者の条件」とは何なのでしょうか。
 「枢軸国」という言葉があります。これは、第二次世界大戦で
のドイツ・イタリア・日本の日独伊三国同盟を中心とした諸国の
ことをいうのです。したがって、その枢軸国と戦った連合国が勝
者ということになります。
 しかし、連合国といっても、第二次世界大戦における戦闘で莫
大な犠牲を払い、枢軸国を破った国こそ真の勝者です。そういう
意味では、米英ソの3ヶ国ということになります。フランスと中
国(中華民国)は勝者ではないのです。ソ連と英国は、ドイツと
戦って勝利しており、米国は日本に勝利しているのに対し、フラ
ンスはドイツに、中国は日本に破れているからです。
 その証拠として、終戦後枢軸国側への要求や戦後への構想を決
める重要会議では、フランスと中国は外されています。テヘラン
会議やヤルタ会談は、米英ソの3大国主導で決められています。
ということは、米英ソこそ枢軸国に対する勝者であり、3人の警
察官だったということになります。
 それではフランスはどうだったのでしょうか。
 フランスは戦争ではドイツに破れて降伏し、全土を制圧され、
親ナチスのビシー政権を誕生させています。ドイツへの抵抗勢力
としては、ドゴール将軍が英国において「国民解放戦線」を立ち
上げていますが、これに関して米国もソ連もこの亡命政権風の組
織を政府としては認めておらず、フランスに対してきわめて冷淡
だったといえます。
 それらの勝者というより敗者である中国を米国が、フランスに
関しては英国が自国の思惑で、枢軸国への勝者として安全保障理
事会の常任理事国の特権を与えているのです。これを認めたとこ
ろに国連の深刻なひずみが存在するといってもよいのです。
 それから70年以上を経た現在でも、これらの5大国は常任理
事国に名を連ねています。しかも、このうちソ連はロシアとなり
中国は中華民国から中華人民共和国に変わったにもかかわらず、
依然として常任理事国の地位を保っているのです。これは、きわ
めて奇異なことです。これら5ヶ国は真に世界の平和を維持する
大国としての務めを本当に果たしているとはいえないからです。
 国連予算の分担率を見ると、2016年は次のようになってい
ます。常任理事国でない日本とドイツが5位内に入っています。
─────────────────────────────
       分担率      分担金額(百万ドル)
   アメリカ  22%           594
     日本  10%           237
     中国   8%           194
    ドイツ   6%           156
   フランス   5%           119
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/008]

≪画像および関連情報≫
 ●「戦勝5ヶ国の絶対権利」は永久不滅なのか
  ───────────────────────────
   フランスは2001年、国連安全保障理事会の常任理事国
  (米英仏ロ中)は、大量虐殺のような犯罪行為に歯止めを掛
  ける事案に関しては拒否権の行使を控えるべきだという提案
  を持ち出した。国連創設70周年記念を目前にした現在、オ
  ランド大統領はこの案を再び積極的に追求し始めている。は
  たして、実現は可能だろうか。
   当然、ロシアと中国が難色を示すのは想像にかたくない。
  ロシアは旧ソ連時代を合わせて1946年以降、実に100
  回以上の拒否権行使を行っている。2011年以降は4回の
  拒否権行使を行い、シリアにおける虐殺行為に歯止めをかけ
  るための決議を妨害している。
   拒否権行使が約80回に上る米国も、この件に関しては熱
  心さを欠いている。フランス案を支持しているのは英国のみ
  である。拒否権を廃止もしくは制限するような、正式な定款
  変更が実現することはありえないと、誰もが考えている。
   しかしここ15年間でP5に対する国際的な圧力は高まっ
  ている。2005年総会における「保護する責任」原則の全
  会一致の採択以降、それはより一層顕著になっている。シリ
  ア情勢に対する決議の妨害は激しい嫌悪を生み出しており、
  最新の総計では、68ヶ国がさまざまな国連フォーラムでフ
  ランス案に対する支持を表明していた。
                   http://bit.ly/1C5ilAT
  ───────────────────────────

国連安全保障理事会.jpg
国連安全保障理事会
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2016年07月22日

●「UNは国際連合を意味していない」(EJ第4324号)

 日本人が何の疑問もなく「国連」と呼ぶ国際機関は、次の英語
を翻訳したものです。
─────────────────────────────
   United Nations/ユナイテッド・ネーションズ/UN
─────────────────────────────
 「ユナイテッド・ネーションズ」をそのまま訳せば「連合国」
になります。どのように考えてもユナイテッド・ネーションズは
「国際連合」とは訳せないのです。これは完全なる誤訳です。し
かし、なぜこの明らかな誤訳を現在においても日本はまだ使って
いるのでしょうか。
 日本で国連と呼ぶ軍事同盟の名前は意外に早くから決まってい
ます。これについて、古森義久氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 この軍事同盟を「ユナイテッド・ネーションズ」と最初に呼ぶ
ことを提唱したのは日本軍のパールハーバー奇襲を受けた直後の
アメリカのルーズベルト大統領だった。ホワイトハウスを訪れ、
入浴中だったイギリスのチャーチル首相に相談し、同意を得たと
いうのが定説である。
 チャーチル首相はイギリスの詩人、バイロンがうたった「ユナ
イテッド・ネーションズが剣を抜けば」という一節を引用して賛
意を表したという。その呼称は「連合国」としてすぐ42年1月
1日に発効した大西洋憲章に盛られた。その2年半後のダンパー
トンオークス会議では戦後の国際機関もこの軍事同盟と同じ呼称
にすることが決められた。その過程ではソ連は「世界連合」を、
イギリスは「世界評議会」を、それぞれ新国際機関の名に提唱し
たという。   ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 重要なのは、この名称が決まったのが、第二次世界大戦中であ
ることです。さらに、国連の創設が決まった1945年6月の時
点でも戦争はまだ終わっておらず、唯一の枢軸国として日本は連
合国に対して血みどろの抗戦を展開していたのです。
 驚くべきことは、連合国側は、日本軍が米国に宣戦布告し、真
珠湾を攻撃した1941年12月の時点で、この戦争の勝敗の帰
趨はついたとして、そのため、戦争勝利後の世界をどう統治する
かという思索をめぐらせていたのです。そのシナリオが、ユナイ
テッド・ネーンョンズであったということができます。
 そのため、連合国の敵国であった日本やドイツなどに対しては
ユナイテッド・ネーションズでは「敵国条項」が設けられており
現在も残っているのです。ちなみに、ここでいう「敵国」を正確
にいうと、日本、ドイツ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー
フィンランドなのです。どういうわけか、イタリアが入っていな
いのです。どうして入っていないのでしょうか。
 それは、イタリアが途中で枢軸国から脱退、日本とドイツに宣
戦布告したので除外されているのです。ドイツについてもナチス
・ドイツから国の体制が変換したという理由で、敵国から外そう
とする動きもあったといわれます。ドイツは欧州の一国であり、
この国を敵国に回すと、困ることがあるからです。結局、日本だ
けが悪者になってしまうことになります。これもきわめて不可解
な勝者の論理ということになります。
 つまり、ユナイテッド・ネーションズという名の軍事同盟は、
ナチス・ドイツや日本のような侵略国家が二度と生まれないよう
にするためのものであり、日本やドイツを戦後に再起不能な状態
にまで解体し、第二次世界大戦を戦った米英ソの連合国の大国が
その後の世界を支配する目的を持っていたのです。
 ところが、米英ソのうち、ソ連が東側陣営を糾合し、米英を中
心とする西側陣営との間で冷戦構造をつくるに及んで、この軍事
同盟の構想が根本から崩れてしまうのです。逆にいうと、これが
日本とドイツを救ったといえます。
 不可解なのは、日本は「連合国」と訳すべきユナイテッド・ネ
ーションズをなぜ「国際連合」と訳したのでしょうか。ちなみに
中国では忠実に「聯合国」と訳しているし、台湾においてもそれ
が公式呼称になっています。
 当時の日本の外務省当局は、当然のことながら、ユナイテッド
・ネーションズの性格を知っていたはずです。そうでいながら、
あえて実体にそぐわない「国際連合」という訳語を当てはめたも
のと考えられます。むしろ戦後日本は国連に積極的に深く関わり
それを本当の意味の世界平和を実現する国際機関に変えることを
意図していたのではないかと考えられます。
 なにしろ日本は太平洋戦争において「退却」を「転進」、「全
滅」を「玉砕」、「敗戦」を「終戦」、「占領軍」を「進駐軍」
といい換えてきた国であり、こういうことは得意だからです。し
かし、「連合国」を「国際連合」としたことは、失敗だったとい
う指摘があります。元外務省国連局社会課長の色摩力夫氏です。
─────────────────────────────
 戦後のわが国の社会にあり得べき違和感を懸念して、俗耳に入
り易い「政治的表現」を狙ったらしい。だがこれは賢明な判断で
はなかった。「国連」という呼称がわれわれ日本人の途方もない
「国連神話」を生み出す要因の一つとなったからだ。
     ──色摩力夫著『国際連合という神話』/PHP新書
        ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 ところで、敵国条項については日本の努力もあって、1995
年に国連総会で「旧敵国条項の削除を検討する報告書承認」決議
案を採択。賛成155、反対0、棄権3という圧倒的多数の支持
で採択されたのです。しかし、敵国条項は今もって削除は行われ
ていないのです。
 国連憲章の改正は、加盟国の3分の2以上の国々が国内手続き
にしたがった批准をしなければならないというえらく面倒な手続
きが必要だからであり、決議が採択されても依然敵国条項は残っ
ているのです。     ──[孤立主義化する米国/009]

≪画像および関連情報≫
 ●国際連合(国連)なんか存在しない
  ───────────────────────────
   私が自虐史観から目覚めるのに欠かせなかったのが、独立
  総合研究所の青山繁晴さんの存在。青山繁晴さんは、毎週水
  曜日に関西地方で夕方17時〜19時に放送されている「ス
  ーパーニュースアンカー/関西テレビ」に出演し、大変重要
  な事実を伝え続けてくれています。
   本日、2013/1/16(水)のスーパーニュースアン
  カーの青山繁晴さんのお話は、まさに過去の戦争で日本に押
  し付けられた戦後体制のお話が一部ありました。私たちは、
  United Nations=国際連合(平和を維持するため世界各国が
  協調するための機関)などと学校で教わるし、テレビや新聞
  でもそう伝えられるので、それが正しいと思い込んできまし
  た。しかし、中国をはじめ、世界各国で United Nations の
  訳語は「連合国」なんです。つまり、先の大戦で勝利した連
  合国が、恒久的に世界支配の座につき、利益追求するために
  作った虚構なのです。日本は国連憲章の中で未だに「敵国」
  扱いされている、「敵国条項」があります。それにつけこん
  で中国は「日本は敵国だから、侵略行為をすれば国連安保理
  の決議無でも攻撃しても良い」という論理を掲げ、尖閣諸島
  に挑発を繰り返しているのです。
   国連が常任理事国の利益だけを追求した胡散臭い機関であ
  ることくらいもう知っていたけど、まさに世界は「連合国」
  と認識しているにも関わらず、日本だけが「国際連合」など
  という誤訳を押し付けられ、真実を隠されてきたんです。
                   http://bit.ly/2ae8Eqe
  ───────────────────────────


古森 義久氏
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2016年07月25日

●「なぜUNを国際連合と訳したのか」(EJ第4325号)

 ルーズベルトが理想として掲げた国連による集団安全保障シス
テムをごく簡単に述べるとこうなります。
 それは、「戦争なき世界」を実現するために各国の武力行使を
原則禁止し、侵略行為が起きたときに安全保障理事会と常任理事
国の「5人の警察官」が合意の下で武力行使権限を行使し、平和
を回復する仕組みです。「5人の警察官が力を合わせて世界の平
和を守る」という壮大な理想であるといえます。
 このさい、実際に紛争処理に当たるのは国連に常設する「国連
軍」ということになっています。国連軍とは安全保障理事会(安
保理)と特別協定を結んだ加盟国がそれぞれ兵力を供出し、安保
理に直属する軍事参謀委員会の助言を得て、軍隊を直接指揮する
というものです。
 しかしすべては理想倒れに終わっています。何よりもソ連のゴ
リ押しで常任理事国に「拒否権」が与えられたことによって集団
安全保障システム自体が機能不全に陥っています。国連軍につい
ても肝心の安保理と特別協定を結ぶ国がなく、いままで一度も組
織されたことはないのです。
 といっても「国連軍」らしいものが結成されたことがこれまで
に2回あります。「朝鮮国連軍」とイラクを攻撃するための湾岸
戦争のさいの「多国籍軍」の2つです。これについては、改めて
述べることにします。
 さて、ここでなぜ日本政府がユナイテッド・ネーションをあえ
て「国際連合」と訳し、いままで使ってきたかということについ
て考えます。なお、日本が国連に加盟するまでの記述は「UN」
という表現を使うことにします。
 UNの集団安全保障システムが正常に機能するなら、加盟国は
自国を防衛するための最小限度の軍隊組織を持つだけでよいこと
になります。よく考えると、自国の防衛以外に他国に武力行使を
しない憲法を持つ日本にとってUNの集団安全保障システムは実
に理想的なものであるといえます。
 日本は、サンフランシスコ講和条約が発効し、主権が回復した
1952年にUN加盟を申請したのですが、冷戦の最中でもあり
ソ連をはじめとする社会主義国の反対によってなかなか実現しな
かったのです。
 しかし、1956年10月の日ソ共同宣言とソ連との国交回復
によって、1956年12月12日に安保理決議121の承認勧
告を得て、12月18日の全会一致の承認で、80番目のUN加
盟国になったのです。
 日本は、国連に加盟すると、異常なほど国連に力を入れ始めた
のです。日本は折からの高度成長の波により、国力を向上させて
いたので、80番目の加盟国とはいえ、しだいに国連における影
響力を高めつつあったのです。確かに国連が適切に機能してくれ
れば日本にとっては有益です。
 そのため、実際は常任理事国の拒否権によって機能不全に陥っ
ていた国連を「世界平和実現のための国際機関」にしようとして
「国際連合」と訳したものと考えられます。ちなみに日本が国連
に加盟した1956年の通常予算の分担率は1・92%であり、
当時の加盟国80ヶ国が出す予算総額の50分の1以下の資金を
負担するに過ぎなかったのです。しかし、日本は2016年には
米国に次いで分担率は10%を負担するまでになっています。
 しかし、多額の分担金を負担する割には、日本の国連に占める
影響力は必ずしも高いとはいえないのです。これについては、外
国の国連専門家たちからは、日本の影響力の微小さについて不公
平であるとの声も上がっています。
─────────────────────────────
◎フランス国際法学者ロスタン・メイディ氏
 日本は急速に増えている国連平和維持活動(PKO)経費の多
くを負担しているが、意思決定過程からは外されている。この事
実に日本側から強いいらだちの感情が起きるのは当然だろう。
◎米国元国務次官補プリンストン・ライマン氏
 国連では、分担金の額が影響力の主要素であることは疑問の余
地がない。アメリカに近い最高レベルの金額を長年払いつづけて
きた日本の国民からその支払額にふさわしい地位を国連で得るこ
とへの期待が当然出るだろう。
        ──古森義久著/『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 問題は、常任理事国の改革を含む国連改革の実施です。これに
ついては、長い間にわたって一顧だにされなかったのですが、こ
こにきて、少しずつその機運が盛り上がりつつあります。なぜな
ら、本来は世界の警察官の役割を果たすべき常任理事国が本来の
任務を果しているとはいえないからです。オバマ米大統領までが
「もはやアメリカは世界の警察官ではない」という始末です。
世界の警察官であるからこそ常任理事国のポストが与えられてい
ることをオバマ大統領は忘れています。
 2016年7月21日付、日本経済新聞の夕刊に、次期国連事
務総長候補のアルゼンチンのスサナ・マルコラ外相の記事が掲載
されていたので、紹介します。
─────────────────────────────
◎事務総長選で安保理改革訴え/候補のアルゼンチン外相
 次期国連事務総長選に立候補しているアルゼンチンのスサナ・
マルコラ外務・宗務相は日本経済新聞の取材に応じ、「一部の国
のみが決定権を持つ国連安全保障理事会は行き詰まっている」と
話した。次期総長選の争点として安保理改革の是非を問う意向を
示した。2016年末に退任する国連の潘基文事務総長の後任選
びに立候補している。「(政治的権限を持たない)事務総長は意
思決定する立場ではないが、私は意思決定の過程に選択肢を提供
できる」として、常任理事国に偏重した意思決定の仕組みの変革
を訴えた。 ──2016年7月21日付、日本経済新聞/夕刊
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/010]

≪画像および関連情報≫
 ●安保理は機能不全から抜け出せるか/安保理関係者
  ───────────────────────────
   「国連は今、悩み続けている」。2012年の暮れ、国際
  社会の平和と安全を守ることを任務とする国連安全保障理事
  会の関係者は、NNNの取材に対してこう漏らした。
   確かに、2012年ほど、安保理の限界が声高に批判され
  た年もなかっただろう。拒否権を持つ常任理事国の意見の不
  一致。そして、その度に、国際社会として一枚岩の対応に出
  られないという機能不全。その象徴がシリア問題だった。
   内戦の激化により死者が4万人を超えたともいわれるシリ
  ア問題で、この1年、安保理は何ら有効な対応策を打ち出す
  ことができなかった。アサド政権への制裁を求める安保理決
  議案は、3度にわたってロシアと中国の拒否権で廃案となっ
  た。「欧米」対「中露」で分裂する安保理に孤立無援となっ
  た特使のアナン前国連事務総長は、任命からわずか半年で、
  安保理への批判を口にして調停役から自ら退いた。
   また、シリアに派遣された非武装の停戦監視団も、数か月
  間の活動で撤退を余儀なくされた。そもそも、そこには監視
  するべき「停戦」などなかったからだ。アサド政権は数度に
  わたって停戦を受け入れるかのような姿勢を見せたが、結局
  戦闘がやむことはなかった。
   こうした事態に安保理が対応できなかった最大の理由。そ
  れは国際社会の結束の欠如だ。アサド政権に対する圧力の是
  非、また、国際社会はどこまで介入するべきか、こうした点
  で安保理は「欧米」対「中露」で真っ二つに割れ、結局、内
  戦収束に向けた道筋をつけることはできなかった。
                   http://bit.ly/2a4Lx2o
  ───────────────────────────

スウェーデン/スサナ・マルコラ外相.jpg
スウェーデン/スサナ・マルコラ外相
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2016年07月26日

●「朝鮮国連軍は現在も存在している」(EJ第4326号)

 最も「国連軍」らしいものが結成されたのは、朝鮮戦争のとき
の「朝鮮国連軍」です。そこで、どのようにして朝鮮戦争が起き
たのかについて考えてみます。
 北朝鮮軍が韓国に侵入したのは、1950年6月24日の午後
10時頃のことです。そのとき、トルーマン米大統領は、ホワイ
トハウスではなく、ミズリー州インデペンデンスの自宅にいたの
です。そこにアチソン国務長官による北朝鮮軍侵入の速報が入っ
たのです。
 トルーマン大統領は、翌25日に安保理を緊急招集し、北朝鮮
による武力攻撃により、韓国の平和が破られたとし、北朝鮮に対
し、直ちに攻撃停止と軍の撤収を求める決議(82号)を9対0
で採択します。続いて、韓国政府の要請に対し、攻撃を撃退し、
国際平和と安全を回復するために必要なあらゆる支援を加盟国に
求める決議(83号)を7対1で採択しています。極めて迅速な
決定です。このとき安保理は正常に機能したのです。
 安全保障理事会は、現在においては常任理事国5ヶ国、非常任
理事国10国の15ヶ国の構成ですが、1965年以前は非常任
理事国6ヶ国の11ヶ国の構成だったのです。2つの決議のうち
82号の9対0はソ連ともう1国の欠席、83号は反対はユーゴ
スラビア、ソ連、エジプト、インドは欠席です。
 このときなぜソ連は、欠席していたのでしょうか。
 これについては、少し歴史を振り返る必要があります。朝鮮半
島が分断された原因は、ソ連のスターリンの策略にあります。当
時、日本とソ連は中立条約を結んでいたのです。しかし、スター
リンは、米国のルーズベルト大統領、英国のチャーチル首相との
ヤルタでの密約に基づき、広島、長崎に原爆が投下された直後の
1945年8月に「日ソ中立条約は延長せず」と日本に一方的に
通告し、日本に宣戦布告し、侵攻を開始したのです。
 この侵攻のとき、ソ連軍は満州と朝鮮半島になだれ込み、朝鮮
半島の北部に日本が降伏した後も居座り続けたのです。当時朝鮮
は日本が併合していたのです。このソ連の行為を日本人は決して
忘れてはなりません。なぜなら、ソ連はやってはならないことを
日本に対して2つやっているからです。
 1つは日ソ条約の条約違反です。ソ連は一方的に条約を延長し
ないと通告していますが、条約は1946年まで有効であり、明
らかな条約違反ということになります。
 2つは、事実上敗戦が決まっていたのに、北方領土までソ連軍
が占領したことです。これが違法であることはいうまでもないこ
とです。この問題は現在に至るも解決していないのです。
 ソ連が朝鮮半島北部、正確にいうと、北緯38度線の北部に居
座ったのは北方領土を占領した策略と同じです。戦争終結のどさ
くさに紛れて他国の領土に侵攻し、そのまま居座って自国の支配
下に置く卑劣な作戦です。
 朝鮮半島については、共同信託統治下に置かれ、速やかに統一
国家として独立されることが連合軍として原則合意されていたの
です。そのため、朝鮮半島に居座り続けるソ連に対し、米国は朝
鮮半島からの撤退を要求したのです。
 しかし、ソ連は撤退しなかったのです。そのとき米軍は朝鮮半
島の南部に展開していたものの、その数は限られていたのです。
なぜなら、米軍の多くは日本にいて、日本軍の終戦処理に追われ
ていたからです。
 ソ連は北への自由な出入りを禁止し、日本が残した産業基盤を
接収し、本気で統治を始めたのです。米国は国連総会の決議の下
に朝鮮に関する国連臨時委員会を創設し、朝鮮半島の南北両域で
の自由選挙を求めたものの、ソ連は拒否し、そのまま朝鮮の北部
に居座り続けたのです。
 米国はやむを得ず、朝鮮半島の南部地域だけに自由選挙を実施
させ、1948年8月に李承晩を初代大統領とする大韓民国が正
式に発足するのです。それを待っていたように、同年9月9日、
ソ連の後押しによって、朝鮮民主主義人民共和国が金日成を主席
として共和国樹立の宣言をします。これが、朝鮮半島の南北分断
のはじまりです。
 これに平行してソ連は安全保障理事会に対し、難問を持ちかけ
ていたのです。それは、1949年10月1日に建国された中華
人民共和国を安全保障理事会の常任理事国として、中華民国に代
わって就任させよと迫っていたからです。しかし、米国などの多
数派が拒否したため、それを不服としてソ連は安全保障理事会を
ボイコットしています。
 もちろん北朝鮮をそそのかして韓国に武力進攻させたのはソ連
の仕業です。それなら、ソ連は常任理事国としてなぜ「拒否権」
を行使して北朝鮮を守らなかったのでしょうか。その点について
ソ連は事態を少し甘く見ていたようです。高畑昭男氏はこれにつ
いて次のように述べています。
─────────────────────────────
 推定10万人の北朝鮮軍はまたたくまに韓国領土の大半を席巻
し、緒戦は破竹の勢いがあった。このため、スターリンは仮に安
保理決議が成立しても、北朝鮮軍が力ずくで既成事実を固めるこ
とができると踏んでいた可能性もある。だが、アメリカを中心と
する朝鮮国連軍は、緒戦の劣勢を立て直し、9月に入ると仁川上
陸作戦を機に反転攻勢に成功し、北朝鮮軍を敗走させた。
    ──高畑昭男著『「世界の警察官」をやめたアメリカ/
       国際秩序は誰が担うのか』/株式会社ウエッジ刊
─────────────────────────────
 現在、朝鮮戦争は停戦状態になっていますが、北朝鮮と韓国の
間には平和条約が締結されていません。このことはあまり知られ
ていませんが、「朝鮮国連軍」は、現在でも米、英、仏の「3人
の警察官」をはじめとする8ヶ国による国連軍後方司令部が日本
に設置されています。もし、北朝鮮と韓国で戦闘が再開されると
即座に朝鮮国連軍が動く体制が現在でも維持されているのです。
            ──[孤立主義化する米国/011]

≪画像および関連情報≫
 ●「韓国の亡命政権、難民に備えよ」(2015年9月)
  ───────────────────────────
   朝鮮戦争勃発前、「そのとき」に備えて現実的な対応に取
  り組んだ地方自治体がある。半島と地理的に近い山口県だ。
  韓国の李承晩政権の日本亡命と難民流入対策として、独自に
  情報収集を進めていた。19日に成立した安全保障関連法を
  めぐる情緒的な反対論とは対極にある「いま、目の前にある
  危機」に取り組んだ県の対応を、安保問題の専門家も注目す
  る。(九州総局 村上智博)
   山口県が、国とは別に独自の情報収集に乗り出した直接の
  きっかけは、さきの大戦終了後、朝鮮半島からの密入国者が
  増えていたためだ。むろん、戦後に建国した北朝鮮による、
  不穏な動きを探るのが最大の主眼であった。
   「山口県史」によると、朝鮮半島の緊張の高まりに危機感
  を持った知事の田中龍夫が昭和22年、まず手をつけたのが
  知事直轄組織の「朝鮮情報室」の創設だった。36歳の若さ
  で知事に就任した直後のことだった。
   朝鮮総督府の勤務経験者ら朝鮮語に長けた人材を集め、中
  波と短波をラジオで傍受し翻訳した。田中はこうして得た情
  報を分析し「朝鮮情報」という冊子にまとめ、首相の吉田茂
  ら閣僚に報告していた。      http://bit.ly/1NiBrdK
  ───────────────────────────

アチソン元米国務長官.jpg
アチソン元米国務長官
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2016年07月27日

●「ロシアと中国はなぜ常任理事国か」(EJ第4327号)

 民主党の鳩山政権時代の話です。2010年3月5日に開催さ
れた参院予算委員会で、自民党の佐藤正久参院議員が鳩山首相と
平野官房長官に対して朝鮮戦争について質問したのです。その模
様を産経フジニュースは次のように伝えています。
─────────────────────────────
 鳩山由紀夫首相と平野博文官房長官は5日の参院予算委員会で
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)が、休戦状態にある朝鮮戦
争の再発に備え日本にある国連軍の指定基地であるのを知らない
という失態を演じた。普天間移設には国連軍の扱いも必要だが、
国連重視を唱える政権にもかかわらず、首相と平野氏の念頭には
なかったことになる。
 質問したのは、陸上自衛隊のイラク先遣隊長だった「ひげの佐
藤」こと佐藤正久参院議員(自民)で「そこも分からずに移設を
うんぬんするのはおかしい」とあきれ顔だった。
 日本には国連軍地位協定に基づき国連軍の軍人がいて司令部も
存在するが、平野氏は「国連軍の形でいるか分からないが、神奈
川県米軍キャンプ座間に、国連軍の旗を掲揚している」「正規の
国連軍は日本に駐留したことはない」と迷答弁。佐藤氏が「7ヶ
所あるうちの一つが普天間だと知っていたか」と質すと、首相は
「教えていただいたことに感謝する」と、初耳だと認めるしかな
かった。    ──2010年3月5日付、産経フジニュース
─────────────────────────────
 はじめての政権奪取とはいえ鳩山元首相は、日本の総理がシビ
リアン・コントロールにおいて、有事には自衛隊の頂点に立つ最
高司令官であることを知らなかったのです。これについては次の
菅元首相も知らなかったといいます。誠にお粗末な話です。
 「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」に基づ
いて、在日米軍施設と併設する形で「国連軍後方司令部」が横田
基地に置かれています。在日米軍基地のうち、次の7ヶ所が協定
に基づく国連軍施設に指定されているのです。
─────────────────────────────
   1. キャンプ座間   5.   嘉手納飛行場
   2.横須賀海軍基地   6.   普天間飛行場
   3.佐世保海軍基地   7.ホワイトビーチ地区
   4.  横田飛行場     (沖縄市うるま市)
─────────────────────────────
 2014年現在の後方司令部の構成国は、米国、英国、フラン
ス、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、韓
国、トルコの9ヶ国です。
 これは何を意味しているのかというと、朝鮮戦争に関しては、
ソ連(ロシア)、中国を除く「3人の世界の警察官体制」が今も
続いていることになります。
 世界の警察官といわれる以上、世界平和と安全を守る責任があ
るはずです。そのために国連の常任理事国の地位が与えられてい
るのです。しかし、その常任理事国の一国であるソ連が、北朝鮮
をそそのかし、侵略戦争に踏み切らせたことは、明らかな国連憲
章の違反であるといえます。
 その朝鮮戦争は現在も続いているのです。終わっていないので
す。それにもかかわらず、ソ連はロシアへの体制変換があったと
はいえ、そのまま常任理事国を引き継いでいます。なぜ、それが
認められたのでしょうか。
 確かにロシアは、ソ連の構成国の中でも人口・軍事・経済的に
主要な位置にあったことと、ソ連が有していた国際的な条約や関
係を継承することを約束したことによって、国連は現在のロシア
をソ連の後継政権と認めたのです。しかし、北朝鮮問題について
ソ連のとった国連憲章違反については不問とされています。これ
はおかしな話です。国連憲章に違反した国が依然として常任理事
国を続けているからです。
 もうひとつ安保理の常任理事国については疑問があります。そ
れは、5人の世界の警察官のうちの1つであるはずの中華民国が
なぜ中華人民共和国になったのかです。
 これは「アルバニア決議」として採択された国連総会2758
号決議に関係するのです。この決議の提案国が、中華人民共和国
(現在の中国)の友好国であるアルバニアであるところから「ア
ルバニア決議」といわれるのです。正確には次のようにいわれて
います。1971年10月25日に採択された決議です。
─────────────────────────────
   ≪国連総会2758号決議≫
   国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復
─────────────────────────────
 これはどういう意味でしょうか。
 この決議の名称にはおかしなことがあります。中華人民共和国
の建国は1949年であり、国連の設立後のことです。したがっ
て、中華人民共和国が国連の加盟国であったことはないのです。
したがって、「中華人民共和国の合法的権利の『回復』」という
のはおかしな表現です。加盟国でない中華人民共和国が権利を回
復するはずはなく、それをいうなら「合法的権利の『取得』」と
いうべきです。そこに何があったのでしょうか。
 アルバニア決議の賛否については、添付ファイルにしてありま
すが、賛否の状況は正確には次の通りです。
─────────────────────────────
 賛成(中共派) 76ヶ国/ソ連、英、仏、ヨーロッパなど
 反対(台湾派) 35ヶ国/ 米、日、オーストラリアなど
 棄権      17ヶ国
 無投票      3ヶ国
─────────────────────────────
 実は、現在でも、国連憲章には中華民国(台湾)が常任理事国
になっています。その事実は意外と知られていないのです。これ
については、明日のEJでさらに追及することにします。
            ──[孤立主義化する米国/012]

≪画像および関連情報≫
 ●「大陸と台湾」はOK、でも「中国と台湾」はノー
  ───────────────────────────
   2011年6月中旬、筆者は、生まれて初めて台湾を訪れ
  た。上海浦東空港を離陸し、2時間弱で台北桃園空港へと着
  陸した。案外近いものだ。飛行機の座席から窓の外をのぞく
  と、緑がいっぱい見えた。他の乗客たちと一緒に流れに乗っ
  て、入国審査へと進んだ。日本を含めた他の国と同様、本国
  人と外国人は別れて入国するルールとなっていた。本国人は
  少なかった。列に並ぶこともなく、スムーズに審査を受け、
  入国していく。そんな光景を筆者は羨ましくながめていた。
  外国人は長い列に並ばなければならなかった。それだけ外国
  からの訪問客が多いということであろう。筆者がよく入国す
  る日本、中国、香港などもそうだ。台湾が特別なわけではな
  い。外国人の入国には色々と手間がかかるものだ。
   列に並びながら周りを見渡すと、中国からの訪問客が圧倒
  的に多いことに気づいた。ほとんどが団体ツアー客だ。相変
  わらず「大陸仕込み」の大声で隣の人と話をしたり、「列が
  長すぎる」と愚痴をこぼしたりしている。列に割り込んでく
  る男性も居た。一緒に並んでいた日本人や欧米人が、何とも
  言えない不可解な表情で、その光景を眺めているのが印象的
  だった。20分くらいは並びそうだ。読書をしながら辛抱強
  く待とうと決断し、かばんから1冊の本を取り出した。と、
  その矢先、隣の隣に並んでいた中国人観光客が突如大声で騒
  ぎ出した。「中華民国って何だよ!ここは中華人民共和国台
  湾省じゃないのか!」      http://nkbp.jp/2al77lt
  ───────────────────────────

アルバニア決議賛否状況.jpg
アルバニア決議賛否状況
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2016年07月28日

●「アルバニア決議の不可解さを探る」(EJ第4328号)

 2016年7月24日、ラオスの首都ビエンチャンで、東南ア
ジア諸国連合(ASEAN)の外相会談が行われたのです。ここ
では南シナ海の中国の主張を否定した仲裁裁判所の判決への対応
が協議されることが期待されていたのです。
 中国にとっては、この外相会談は日米中が入らない南シナ海の
関係国会談であり、ここで「仲裁判決の受け入れを求める共同声
明」が出されると、大きなダメージになります。そのため、中国
の王毅外相は事前にビエンチャン入りし、ASEANの複数の外
相と相次ぎ会談することによって、経済支援を武器として札束で
頬を叩き、仲裁判決をテーマにしないよう働きかけたのです。
 そのあらわれが、相手国の部屋まで足を運んで会談を行ってい
ることです。中国は自ら大国であるという意識を強く持っており
会談を行うときは、小国の場合、相手国を呼び付けることが多い
のです。それをわざわざ出向いてきてやっているんだぞという意
思表明です。鼻持ちならない大国意識といえます。会談の前に安
倍首相をわざと待たせたりするのも、そういう態度のあらわれで
す。しかし、真の大国ならば国際法を順守すべきです。
 しかし、結果は3つに分かれたのです。仲裁判決を受け入れる
べきと主張するのは、フィリピン、ベトナム、シンガポール、イ
ンドネシア、マレーシアの5ヶ国で、対中牽制は容認するが連携
を優先すべきと主張するのは、タイ、ブルネイ、ラオス、ミャン
マーの4ヶ国、中国批判を一切認めないは、カンボジア1ヶ国に
なったのです。
 そのため共同声明が出せなかったのです。文案として「南シナ
海について法律の完全な尊重が必要である」が検討されたのです
が、カンボジアが中国の批判は絶対に認めないと強硬に主張した
ので、意見がまとまらなかったからです。ASEANの意思決定
は、全会一致が原則になっているので、1国でも反対すれば通ら
ないのです。考えてみると、これは常任理事国が拒否権を持つ安
保理の議決と同じです。
 さて、中華人民共和国(現在の中国)がいかにして、安保理の
常任理事国の地位を手に入れたかですが、これには多くの謎があ
ります。中国は、どのようにして、中華民国(台湾)を追い出し
常任理事国の地位を手に入れたのかについて考えます。
 アルバニア決議はどのような内容なのでしょうか。決議の全文
は次のようになっています。
─────────────────────────────
 国連総会は、国連憲章の原則を思い起こし、中華人民共和国の
合法的権利を回復させることが、国連憲章を守り、かつ国連組織
を憲章に従って活動させるためにも不可欠であることを考慮し、
中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な
代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の5つの常任
理事国の1つであることを承認する。
 中華人民共和国のすべての権利を樹立して、その政府の代表が
国連における中国の唯一の合法的な代表であることを承認し、蒋
介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占
領する場所からただちに追放することを決定する。
                   http://bit.ly/2a8QdBB
─────────────────────────────
 非常に読みにくい決議文になっています。本来論理的におかし
いことを無理に論理づけたのですから、わかりにくくなるのは当
然です。要するに次のことをいいたいものと思われます。
─────────────────────────────
 中華人民共和国の政府の代表は、国連における中国の唯一の合
法的な代表であるが、蒋介石が国連とそのすべての関連組織に代
表として不法に占拠していたので、これを追放する。
─────────────────────────────
 つまり、中華民国も中華人民共和国も同じ中国であって、この
決議(1971年10月25日)までは、蒋介石なるものが、中
国の名において国連およびその関連施設を不法に占拠していたが
これを追放し、正常化する──こういう決議なのです。
 要するに、これは中国が唱える「一つの中国」論ですが、肝心
の中華民国(台湾)はそれを受け入れていないのです。しかし、
中国の国力の向上とともに、世界中の国が「一つの中国」を受け
入れざるを得ないようになっています。それでも台湾は現在でも
中国の一部であるとは認めず、独立を目指しているのです。
 中華人民共和国の建国は1949年のことであり、「一つの中
国」を認めない限り、常任理事国の地位を引き継ぐことはできな
かったということはいえます。いずれにせよ、中華人民共和国が
常任理事国になれたのは、その当時のソ連の強いバックアップが
あったからです。ソ連としては、常任理事国に共産主義国家が増
えることは大きなメリットがあったのです。
 不可解なのはこの決議に対する中華民国のとった行動です。中
華民国の代表はアルバニア決議の出る前に退場しているのです。
つまり、決議に加わっていないのです。中華民国は常任理事国の
ひとつであり、自分の国を外す決定であるので、拒否権を行使し
てもよかったと思います。もしやっていれば、アルバニア決議は
採択されなかったことになります。
 もうひとつ納得できないことがあります。それは、国連総会の
決議は、重要な決議の採択には、3分の2以上の賛成を必要なの
です。しかし「追放反対重要問題決議案」は提出されましたが、
「否決」されているのです。これは過半数でいいのです。
─────────────────────────────
        ≪追放反対重要問題決議案≫
         賛成 ・・・・・ 55
         反対 ・・・・・ 59
         棄権 ・・・・・ 15
         欠席 ・・・・・  2
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/013]

≪画像および関連情報≫
 ●日本は常任理事国入りをすべきである/2015年5月
  ───────────────────────────
   国連の常任理事国入りを目指して日本、ドイツなど4ヶ国
  が、安全保障理事会の改革案を提出したことを、このほど、
  朝日新聞が報じた。
   記事によると、日本、ドイツ、インド、ブラジルの4ヶ国
  は、現在15ヶ国の安保理の構成国を25〜26ヶ国とし、
  常任理事国を現在の5から11へ非常任理事国を現在の10
  から15へと拡大する改革案を提出した。4ヶ国はそれぞれ
  常任理事国入りを目指しており、安倍晋三首相も積極的な姿
  勢を示している。
   改革に必要な国連憲章の改正には、全加盟国の3分の2の
  賛成と現・常任理事国のアメリカ、イギリス、フランス、ロ
  シア、中国の5ヶ国の賛同が必要。だが、既得権益を手放し
  たくない仏中の反対などが予想され、実現の見通しは不透明
  という。
   果たして、国連の体制を見直し、常任理事国を増やすべき
  なのか。答えは「イエス」である。その最大の理由は、国際
  情勢の変化だ。現在の国連は、第2次大戦の際に、戦勝国で
  ある連合国側が敗戦国を抑えこむ形でつくられた。だが、戦
  後70年が経ち、勤勉な国民性を持つ日本やドイツは目覚ま
  しい発展を遂げ、世界経済の牽引役となっている。また、人
  口が増加するインドやブラジルなどの国々が先進国の仲間入
  りを果たそうとするなど各国の役割が大きく変化している。
                   http://bit.ly/2am71ID
  ───────────────────────────

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蒋介石国民党総裁
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2016年07月29日

●「改革が必要な安保理の拒否権行使」(EJ第4329号)

 国連安全保障理事会の常任理事国の持つ拒否権──この拒否権
の存在によって国際連合は、その目的である世界平和の実現のた
め、紛争を解決する本来の機能を果たせないでいます。なぜなら
安保理の拒否権は、米国、英国、フランス、中国、ロシアの5大
国に与えられた独占的特権であり、そこには何の制限も課せられ
ていないからです。
 制限なき拒否権──これがどれほど危険なものであるかについ
て考えます。そもそも拒否権は今までどのくらい行使されたのか
2008年7月現在の数字は次のようになっています。
─────────────────────────────
             2008年7月現在
                  発動回数
       アメリカ ・・・・   83回
       イギリス ・・・・   32回
       フランス ・・・・   18回
        ロシア ・・・・  127回
         中国 ・・・・   10回
            http://bit.ly/2a45fd4
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 全体の47%を旧ソ連を含むロシアが発動しています。しかも
そのほとんどが自国の権益を害する案件に関して発動されている
のです。この127回には含まれませんが、シリア内戦に限って
も、ロシアは4回拒否権を発動しているのです。これはロシアと
長らく同盟関係にあるシリア・アサド政権を擁護するための発動
になっています。
 それでいて、クリミア半島の帰属をめぐってロシアとウクライ
ナの間で起こったクリミア危機(ウクライナ紛争)では、ロシア
の拒否権行使の脅威を原因とし、国際社会、とりわけ国連はロシ
アによるクリミア併合や軍事介入に対してほとんど何も対処・糾
弾することができていないのです。安保理の常任理事国の一国が
武力行使にかかわっているのですから、国連としては動きようが
ないのです。
 米国の大統領にも拒否権が認められています。しかし、無制限
というわけではなく、一定の制限がかけられています。その仕組
みを簡単に説明します。
 議会が制定した法案は、国家元首である大統領のもとに送付さ
れてきます。大統領はこの法案を承認する場合は、法案に署名す
れば法案は法律になります。この場合、大統領が署名しなくても
議会の会期中に日曜日を除いて10日以上経過すると自動的に法
律になります。
 大統領が法案に反対する場合は、法案に署名しないで、承認で
きない理由を記述した書類を添えて、議会の会期中に日曜日をの
ぞく10日以内に議会に差し戻すのです。これは大統領の拒否権
の発動ということになります。
 大統領の拒否権によって差し戻された法案に対して、議会はど
うしても法案を成立させたいときは、次の2つの対応をとること
ができます。
─────────────────────────────
 1.大統領の拒否の内容を十分考慮し、必要に応じて法案に
   修正を加えて大統領に再送付する。
 2.上下両院でその法案を3分の2以上で再可決すれば、大
   統領の署名なしでも法律にできる。
─────────────────────────────
 このように、議会がその気になれば、大統領の拒否権を跳ね返
すことができるようになっているのです。これは大統領の独裁を
防ぐ仕組みにもなっています。
 このような制限を安保理の常任理事国の持つ拒否権にもかける
ことは可能です。例えば、次のように拒否権に一定の歯止めをか
ければ、独裁を防ぐことができます。
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 1.安保理決議の内容によっては、必ずしも全会一致を必要
   としないようにする。
 2.常任理事国5ヶ国のうち、4ヶ国が賛成すれば、1ヶ国
   の拒否権は認めない。
 3.安保理にかかわる紛争案件の当事者となる常任理事国は
   表決には加われない。
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 しかし、これらの拒否権行使の制限は一切行われることなく、
70年以上の年月が経過しています。なぜなら、この仕組みを変
更するには、国連総会で全加盟国の3分の2以上の賛成に加えて
常任理事国のすべての国の賛成が必要になります。これは、事実
上いかなる変更も不可能ということになります。
 これまで拒否権行使の抑止の試みがぜんぜんなかったわけでは
ないのです。次のフランスによる提案があります。しかし、この
提案にロシアや米国が賛成するとは思えないのです。次の記事は
早稲田大学学生原貫太氏のレポートからの引用です。
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 (安保理の)拒否権の行使を抑止しようという取り組みがフラ
ンスを主導として行われてきている。2001年、フランスは、
「ジェノサイド(集団殺害)などの大量残虐行為に対して歯止め
を掛ける議案に関しては、安保理常任理事国は自発的、そして集
団的に拒否権の発動を控えるべきだ」といった内容の提案を持ち
出した。フランスは、「拒否権は常任理事国の特権であるべきで
はないし、そうなることも出来ない」という姿勢を示しており、
イギリスもこの案に対して賛成の意を示している。
 また、2006年4月の国連安保理決議1674号による「保
護する責任」の再確認などの影響もあり、常任理事国に対する国
際的な圧力は一層強まっきている。  http://huff.to/29W2L3m
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            ──[孤立主義化する米国/014]

≪画像および関連情報≫
 ●「国連安保改革への道」/植木安弘上智大学教授
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   国連は今年で創設70周年を迎えます。国連の前身、国際
  連盟が僅か20年でその使命を終えたのと比べると、国連は
  東西冷戦や非植民地化、南北対立など、さまざまな国際政治
  変動を乗り越えて今日まで存続し、国際協調の促進の場とし
  ての役割を果たしております。
   その国連で国際平和と安全保障の維持で最も重要な役割を
  与えられているのが安全保障理事会です。安全保障理事会の
  決議には法的拘束力があり、経済制裁や武力制裁といった強
  制行動が取れる極めて強い政策決定権限を持った国連の中心
  的機関です。
   国連は現在193の加盟国で構成されています。ところが
  安全保障理事会は僅か15ヵ国で構成されているにすぎませ
  ん。しかも、その内5ヵ国が常任理事国で、拒否権を持って
  います。この常任理事国は第二次世界大戦の戦勝国であり、
  米国、イギリス、フランス、ロシアと中国の5ヵ国がこの特
  別な地位を占めています。このように重要な国連の政策決定
  機関を改革してその決定に参画したいという動きは以前もあ
  り、1965年に一度国連憲章が改正され、理事国の数が、
  11から15に増えました。その時は非常任理事国の枠を拡
  大しただけでした。        http://bit.ly/2adiWbs
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安保理における拒否権行使
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