2016年06月01日

●「米国はなぜシリアに目をつけたか」(EJ第4288号)

 米オバマ大統領による5月27日の広島訪問は、日本はもちろ
ん世界各国でも評判はなかなか上々のようです。これによってオ
バマ氏は一躍“優しい大統領”、“いい人”になった感じですが
米国の大統領には恐ろしいウラの顔があるのです。
 問題を整理します。オバマ政権が「アラブの春」の混乱を利用
して、リビアのベンガジを拠点とするカダフィー政権の反政府勢
力に最新兵器を貸与したことは事実ですが、このことは米議会の
承認なしに行われていると思われます。そのため、一般的には、
リビアに関してはフランスと英国が主役で、米国は脇役に回った
ように見えます。
 しかし事実は異なります。リビアへの軍事介入の国連決議は、
フランス、レバノン、英国によって提案されましたが、米国はそ
れに賛成したものの、ロシア、中国、ブラジル、インド、ドイツ
は棄権していることは既に述べた通りです。
 したがって、多国籍軍は仏英米で編成されましたが、地上軍は
送らず、もっぱらNATO軍が空爆したのです。このように、あ
くまでリビアは欧州勢が中心であって、米国はそれに協力してい
るように見えます。しかし、米国(を支配する寡頭勢力)は、リ
ビアの反政府勢力を支援して、内部からカダフィー政権を倒して
いるのです。英国のベンガジの領事館は治安の悪さを理由に撤退
しているからです。つまり、米国はやはり主役なのです。ある政
権を倒すとき、その反政府勢力に肩入れして、内部から崩すのは
米国CIAの得意技なのです。
 問題は、オバマ政権はその兵器を反政府勢力から回収しようと
したとき、何らかのトラブルが発生し、ベンガジの米領事館がテ
ロ勢力によって襲撃され、リビア米大使を含む4人が殺害された
ことです。
 この事件に深く関与していたのが、当時のクリントン国務長官
です。だから、ムハンマドを冒涜する映画に怒ったデモ隊の反乱
としかいえなかったのです。
 この兵器回収に関する国務省と領事館とのメールでの指示と報
告をクリントン氏は、公電を使わず私的メールアドレスを使って
行ったのは当然のことながら事実を隠蔽するためです。そのメー
ルのやり取りの相手は大使ではなく、クリントン財団のスタッフ
(ブルーメンソール氏)であったというのです。おそらくメール
の内容を知られたくなかったからです。つまり、クリントン氏の
メール問題は私的メールを使ったことよりも、むしろメールの中
身の方がFBIの関心事であると思われます。クリントン氏は絶
体絶命のピンチであり、逮捕もあり得るのです。
 一方において、シリアの内戦に関しては、間違いなくオバマ政
権が主役です。米国のシリアへの軍事介入は、2011年にはじ
まっています。つまり、リビアのカダフィー政権を倒した後、反
政府勢力に貸与した兵器を回収してベンガジ港からシリアに運び
反政府勢力に供与しているのです。またしても反政府軍への肩入
れです。しかし、この作戦は明らかに失敗しています。
 そもそも米国はなぜシリアに介入しようとしたのでしょうか。
それはシリアがアラブ・イスラムの世界における地政学的なハー
トランド(中心地)だからです。もともとシリアは、鉄器を使い
古代イスラムの覇者となったアッシリアが支配しており、「アラ
ブの槍/イスラムの砦」といわれ、アラブ最強の軍事力でイスラ
ム世界の守護神になってきた国です。つまり、ここを押さえれば
イスラム世界を制圧できるといえます。したがって中東において
強い影響力を発揮したい米国は、虎視眈々としてシリアを狙って
きたのです。「アラブの春」によるシリア国内の混乱は、またと
ないチャンスだったのです。2011年1月のことです。
 アラブの世界のことを考えるうえで必要なのは、宗教の問題で
す。世界のイスラム教社会の約90%はスンニ派で構成されてお
り、数ではスンニ派がシーア派を大幅に上回っています。サウジ
アラビアやバーレーン、アラブ首長国連邦という一部のペルシャ
湾岸諸国の政府当局者はスンニ派ですが、イランとイラクはシー
ア派が政権を握っていたのです。ところで、シリア政権はシーア
派の分派であるアラウィ派なのです。
 オバマ政権は、アサド政権はアラウィ派、すなわちシーア派で
あり、シリアの74%はスンニ派なので、内部から揺さぶれば簡
単に崩壊すると考えたフシがあります。しかし、これは完全な間
違いだったのです。
 バッシャール・アサド大統領というと、日本では最悪の独裁者
というイメージが強いです。それは日本のメディアが欧米メディ
アの情報の影響を強く受けているからです。そのなかには、意図
的に悪いイメージが刷り込まれることがあります。
 その典型的な例がカダフィー大佐です。彼は、「世界最悪の独
裁者ランキング」(2010年度)の第11位です。これは、ワ
シントン・ポストが発行する外交専門誌である「フォーリン・ポ
リシー」が発表しているのです。ちなみにバッシャール・アサド
大統領は第12位です。われわれはカダフィー大佐と同様に必要
以上にアサド大統領を悪くとらえているフシがあります。
 アサド政権はスンニ派ですが、世俗的(非宗教)で、社会主義
色の濃いバース党政権なのです。バース党はアラブ復興社会党の
ことで、統一・自由・社会主義をスローガンにアラブの統一とア
ラブ社会主義を唱えており、支持者が多いのです。シリアのスン
ニ派将兵も政府に忠誠心を抱く者は少なくないのです。
 米国は、シリア内部に「自由シリア軍」を創設し、リビアのベ
ンガジから持ち込んだ最新鋭の兵器を与え、訓練してアサド政府
軍と戦わせようとしたのですが、士気が低く、戦闘になると、兵
器を放り出して逃亡する者が多いので、アサド政権に打撃を与え
ることはできなかったのです。アサド政権には国家防衛隊が拡大
し、ロシアの支援も受けて精強になっていったのです。
 反政府勢力でありながら、これらの米国製兵器を収集し、少し
ずつ勢力を伸ばしつつあったのが、IS、すなわち、後のイスラ
ム国なのです。     ──[現代は陰謀論の時代/101]

≪画像および関連情報≫
 ●世界最悪の独裁者ランキング(2010年度)
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   2010年6月、アメリカのワシントン・ポストが発行す
  る外交専門雑誌「フォーリン・ポリシー」が、世界の独裁者
  をランク付けした「世界最悪の独裁者ランキング/最悪中の
  最悪)」を発表した。対象は、現役(2010年時点)の世
  界の独裁者23人で、順位が上位になるほど、長期にわたり
  権力を私物化し、国民を苦しめている度合いが高いと評価さ
  れる。
   それによると、1位に北朝鮮の最高指導者、金正日総書記
  (当時)が選ばれた。フォーリン・ポリシー誌は金総書記を
  「フランスの洋酒コニャックを楽しむ偶像化されたカルト的
  孤立主義者」と断じた。それとともに、「16年間の独裁体
  制の中で、国民を飢餓に追いやり、20万人以上を強制収容
  所に送り込む中で、国の貴重な資源を費やし核兵器開発を推
  進している」と非難した。
   2位はジンバブエのロバート・ムガベ大統領で、「殺人専
  制君主」と強い言葉で表現された。さらに、「当初、独立戦
  争の英雄とされていたが、30年間の長期にわたる独裁の中
  で、自身に反対する勢力に対し次々と拷問し逮捕に追いやっ
  た」とし、経済政策においても「通貨操作(デノミネーショ
  ン)により驚異的なインフレーションを引き起こし経済を大
  混乱させた」と非難した。     http://bit.ly/1VpxgP6
  ───────────────────────────

シリア・アサド大統領.jpg
シリア・アサド大統領
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2016年06月02日

●「オバマの軍事行動は失敗している」(EJ第4289号)

 核なき世界を目指すオバマ大統領は、前任者のブッシュ大統領
と違って、平和を目指す大統領のイメージがあります。ノーベル
平和賞を授与されていることも、そういうイメージができる要因
になっています。
 オバマ大統領は、アフガニスタン、イラク、シリアへの軍事介
入に当たって、多くの失敗を重ねています。これら3つの軍事介
入のうち、アフガニスタンとイラクについては、オバマ大統領の
前任者であるブッシュ大統領が起こしたものを引き継いでいます
が、シリア内戦への軍事介入に関しては、純粋にその成否は、オ
バマ大統領に責任があります。
 2008年11月4日、米大統領選に勝利したオバマ氏はその
祝勝会において次のように述べています。
─────────────────────────────
 今夜祝っている間にも、イラクの砂漠やアフガニスタンの山中
で起床し、我々のため己の命を危険に晒している米国人がいるこ
とを忘れてはならない。我々はこれらの戦争を終わらせなければ
ならない。われわれはできる。「イエス・ウイ・キャン!」
                   ──バラク・オバマ氏
─────────────────────────────
 オバマ氏は、イラクからの撤兵、アフガニスタン戦争の早期終
結を訴えて大統領選に圧勝したのです。しかし、オバマ氏のこれ
らの公約は達成されたのでしょうか。
 2011年12月18日、オバマ大統領は「我々は安定し、民
衆に選ばれた政府を持つイラクから去る」と宣言し、米軍はイラ
クからの撤退を完了しています。このように、イラクからの米軍
の撤退という公約は一応果されたことになります。
 しかし、米国が仕掛けた戦争によって、シーア派のフセイン大
統領が支配していたイラク政権を崩壊させてしまったことにより
それまでイラクでは沈静化していたシーア派とスンニ派の抗争に
火をつけてしまったのです。
 フセイン政権を崩壊させることにより、そういう騒乱が起きる
ことは十分予想できたにもかかわらず、オバマ政権はそれをうま
く収拾できず、圧迫されたスンニ派から武装勢力「イスラム国」
を生み出す事態になったのです。
 そこで2014年6月に再び軍事顧問団300人をイラクに送
る羽目になり、8月8日から、英国、フランス、カナダなど11
ヶ国の空軍と一体になって、航空攻撃、巡航ミサイル攻撃に踏み
切ったのです。そして、2015年の2月には、攻撃目標の選定
や特殊作戦のため、3000人の地上部隊を再びイラクの地に駐
留させることになったのです。これは、ブッシュ政権からの引き
継ぎであるとはいえ、オバマ政権の失敗であるといえます。
 ブッシュ政権が起こしたアフガニスタン戦争についても、オバ
マ大統領は、自分の任期中の2016年末までに撤退を行う予定
でしたが、2015年10月にその延期を発表しています。当初
の予定では、アフガニスタンに駐留する米軍1万800人のうち
大使館警備要員約1000人を残して撤退する方針であったもの
の、2017年以降も5500人規模の米軍を駐留させることに
なっているのです。
 アフガニスタン占領にしても、イラクの占領にしても、オバマ
政権は、前任者のブッシュ政権の負の遺産を引き継いだかたちで
すが、いずれにしても中途半端な結果に終わっています。
 とくにアフガニスタンの駐留に関しては、オバマ政権以前であ
る2008年時点では2・5万人弱だったのに、2010年には
10万人近くまで拡大しているのです。それにもかかわらず、タ
リバン勢力を制圧できず、何回も試みたタリバンとの和解も成功
していないのですから、前政権からの負の遺産とはいえ、オバマ
政権にも重大な責任があるといえます。
 これら2つの軍事介入の事後処理の失敗に加えて、オバマ政権
は、シリアへも軍事介入しています。これについても現在のとこ
ろ、失敗といわざるを得ないのです。シリアで米国は何をやった
のでしょうか。簡単に振り返ります。
 2010年12月にチュニジアで始まった民主化運動「アラブ
の春」がシリアに波及し、騒乱状態に陥ったのです。オバマ政権
は、これをイラン、ロシアと友好関係にあるシリアのアサド政権
を倒す絶好のチャンスと考えたのです。
 2011年7月、リチャード・アル=アスアド大佐が率いる政
府軍の一部が離反し「自由シリア軍」を結成します。このバック
にいたのが、米国のCIAです。アサド家はシーア派の分派であ
るアラウィ派で、シリア全人口の12%に過ぎないことと、シリ
アの74%はスンニ派であるので、アサド政権は簡単に倒せると
考えたのです。
 翌8月に自由シリア軍は、フセイン・ハルムーシュ大佐率いる
自由将校旅団と合流して規模を拡大します。さらにアサド政権に
反目するスンニ派の勢力を取り込んで、戦闘員は2万人規模に拡
大し、シリア各地で武装闘争を仕掛けたのです。
 しかし、これは米国の大誤算だったのです。スンニ派の将兵の
多くはアサド政権に忠誠を尽くし、精強の中核部隊は政府側につ
いたからです。しかも政府軍の規模は約30万人と圧倒的であり
自由シリア軍はとても歯が立たなかったのです。米国は彼らにリ
ビアのベンガジから持ち込んだ最新の兵器を与え、軍事顧問団が
訓練して政府軍と戦わせたのですが、自由シリア軍全体の士気は
低く、シリアの民衆の支持も乏しかったので、とても政府軍に対
抗できなかったのです。
 そこで、米国は新たに「新シリア軍」を作る計画を立て、兵隊
を募ったのですが、100人程度しか集まらず、彼らをヨルダン
やトルコで訓練してシリアに送り込もうとすると、逃亡したり、
アルカイダ系の武装組織「ヌスラ戦線」に兵器の車両を引き渡し
てしまうなどの体たらくで、米国はこれにも失敗するのです。深
刻なのは、米国の最新鋭の兵器の多くが、敵方にわたってしまっ
ていることです。    ──[現代は陰謀論の時代/102]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカは、シリアに侵略の損害賠償をすべきではないか
  ───────────────────────────
   2015年10月30日、金曜日、アメリカのバラク・オ
  バマ大統領は、シリアはアメリカの国家安全保障に対するい
  かなる脅威でもなく、いかなる国も侵略していないのに、ア
  メリカ特殊部隊兵士50人を、シリア領土に派兵するつもり
  だと発表した。実際、シリアは、アメリカ合州国やヨーロッ
  パにも脅威となっているイスラム聖戦士に対して戦っている
  のだ。
   アメリカは、シリアの選挙で選ばれた、欧米同盟国の世論
  調査でさえ、いまでも大多数のシリア国民に支持されている
  ことを示している大統領を打倒するためシリア(最初は爆撃
  で、そして現在は、最初の軍隊によって)を侵略している。
   2012年、アル・ヌスラ(シリアのアルカイダ)に資金
  提供しているアメリカ同盟国のカタール政権が、シリアを調
  査すべく、世論調査会社を雇った際に判明したのは、55%
  55%のシリア国民が、アサドにそのまま大統領でいて欲し
  いと考えていることだった。更に、2015年9月18日に
  私が報じた通り、“世論調査では、シリア人は圧倒的にIS
  ISはアメリカのせいだと考えていることを示しており”こ
  うした最近の世論調査はギャラップとつながっているイギリ
  ス企業によるものだ。ロシアは、アメリカと対照的に、シリ
  アを全く侵略してはおらず、選挙で選ばれた政権から、侵略
  をしているイスラム聖戦士や、アメリカ爆撃機に対する防衛
  戦争を、支援するよう要請されたのだ。そして、ロシアは現
  在要求された支援を行っている。  http://bit.ly/1ZcJ7ze
  ───────────────────────────

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3つの軍事介入に失敗したオバマ政権
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2016年06月03日

●「シリアの反政府勢力/ヌスラ戦線」(EJ第4290号)

 5月29日、シリアで拘束されたとみられる安田純平さんの新
しい映像が公開されました。3月に公開された映像と比べると、
かなりやつれています。
 日本政府は何をしているのでしょうか。菅官房長官は「邦人の
安全確保は政府の最も重要な責務」と口にするだけで、何のアク
ションも起こしていないようにみえます。これは「テロとは交渉
しない」と標榜している手前、動けないということがあります。
それに米国を気にしているということもあると思います。
 本当かウソかわかりませんが、東京五輪紹致に2・2億円もの
資金を払いながら、生命の危険に脅かされている安田さんにはビ
タ一文払う気がないようです。自国民なのですから、米国のこと
など気にしないで、安田さんをなぜ助けないのでしょうか。
 このままでは、日本という国は「ジャーナリストを見殺しにす
る国」というレッテルが貼られてしまいます。かつて日本赤軍に
よるダッカでの日航機ハイジャック事件で、「人の命は地球より
重い」として、超法規的措置で人質を解放した日本政府の姿勢は
どこに行ってしまったのでしょうか。
 ところで安田さんは、ヌスラ戦線に拘束されているといわれま
すが、ヌスラ戦線とはどういうグループなのでしょうか。
 ヌスラ戦線は、主にシリアのスンニ派イスラム教徒で構成され
ており、比較的穏健なグループなのです。イスラム国のように残
虐なことはしないのです。しかし、今回は日本政府から何のアク
ションもなければ、安田さんをイスラム国に引き渡す可能性を示
唆しています。
 もうひとつ重要なことがあります。それはヌスラ戦線はシリア
の反政府勢力の一つであるということです。シリアの反政府勢力
といえば、昨日のEJで述べたように、米国がバックアップして
いる「自由シリア軍」がありますが、それとヌスラ戦線はどうい
う関係にあるのでしょうか。
 シリアでは政府軍がまとまっているのに対し、反政府勢力はお
互いに反目し、闘争を繰り返しながら、いくつかのグループに分
かれています。現在では、安田さんを拘束しているアルカイダ系
のヌスラ戦線が中心で、そこにスンニ派の武装勢力であるイスラ
ム国も参入し、反政府勢力の一角を占めるようになっているので
す。イスラム国は、昨日のEJで述べたように、イラクのスンニ
派の武装勢力ですが、シリアにも進出してきたのです。
 米国は自由シリア軍を反政府勢力として育てようとしたのです
が、うまく行かず、結局は、時間とともにばらけて他のグループ
に吸収されていったのです。問題は、これらのシリア反政府勢力
には米国がリビアのベンガジから持ち込んだMANPADS(携
帯式地対空ミサイルシステム)を含む最新鋭の武器が渡っている
可能性があることです。
 ちなみにオバマ政権は、シリアへの軍事介入については議会の
承認を取ろうとしています。シリアへの介入で議会の承認が取れ
れば、ベンガジに議会の承認を得ずにリビア反政府勢力に兵器を
貸与したことを隠蔽することがきるからです。
 しかし米議会はシリア侵攻に反対したのです。アフガン、イラ
ク戦争にうんざりしていた米国世論によってオバマ政権は断念せ
ざるを得なかったのです。2013年8月のことです。シリア政
府軍が毒ガスを使用したことが報道されたのです。ザ・ウォール
・ストリート・ジャーナル電子版は、これについて次のように報
道しています。
─────────────────────────────
 シリアの反体制派は2013年8月21日、政府軍が同日未明
に首都ダマスカス近郊で毒ガスを使用し、1000人以上が死亡
したと発表した。現場は、国連の化学兵器調査団が拠点としてい
るところから8─16キロの地点。これが事実とすれば、シリア
内戦開始以来最も大規模な化学兵器の使用となる。
 シリア政府軍はダマスカス周辺で、反体制派に対する新たな軍
事作戦を開始したが、毒ガスの使用を否定し、反体制派が国際的
な支持を得るために話をでっちあげたか、自作自演の攻撃を行っ
たかのどちらかだと反論した。
      2013年8月22日付/THE WALL STREET JOURNAL
                 http://on.wsj.com/1VxYN0V
─────────────────────────────
 これに対してアサド政府は「やっていない」と反論しましたが
反政府勢力は「やっている」として、その現場写真まで流れたの
です。しかし、この現場写真には問題があり、本物ではない可能
性があるのです。現代はこういう画像や動画は簡単に作成できる
し、こういう場合の証拠写真としてよく使われるのです。それに
NATOがリビア攻撃の口実とした反政府デモ、カダフィー体制
への反対デモの映像などは、インドで作成されたニセの「映画」
であるといわれています。
 インドには、ボンベイ(現ムンバイ)とハリウッドをもじって
「ボリウッド」と呼ばれるくらい映画産業がたくさんあります。
デモはたくさんのエキストラを集めて撮影されたといわれていま
す。こういう映像が作られ、ネットで拡散されると、大勢の人が
見てそれを信じてしまうのです。
 それでも米議会は、オバマ政権に対してシリア侵攻を容認しな
かったのです。しかし、イスラム国がシリアとイラクを広範囲に
わたって侵略するに及んで、米国防総省は、2014年9月22
日、シリアへの大規模な空爆を開始するのです。そして、オバマ
大統領は、過激派組織「イスラム国」に対する武力行使決議案を
議会に提出し、ついにというか、やっと地上作戦の容認を得るこ
とができたのです。2015年2月12日のことです。これで議
会の承認を受けないで、リビアに貸与した兵器に関しては隠蔽す
ることができるはずだったのです。
 しかし、ここにきて当時のクリントン国務長官のメール問題が
暴露されると、ヒラリー・クリントン氏とオバマ大統領は大変な
ことになります。    ──[現代は陰謀論の時代/103]

≪画像および関連情報≫
 ●米欧による介入主義は消滅したのか/鶴岡路人研究員
  ───────────────────────────
   アサド政権と各種反政府勢力との間で内戦状態に陥ったシ
  リアにおいて、2013年8月21日の攻撃で化学兵器が大
  規模に使用され、多数の市民が死亡した事件は国際的アジェ
  ンダとしてのシリア危機の位置づけを、大きく変えることに
  なった。約一年前にオバマ米大統領が自ら設定した「レッド
  ・ライン」が踏み越えられてしまったのである。
   それまでにもシリア国内で化学兵器が使用されたとされる
  事例は多数あったもののその使用規模が今回は大きく異なっ
  ていた。これを受けて、英仏を中心に、アサド政権への懲罰
  的な武力行使を求める声が高まり、8月末にかけて、米英仏
  等による武力行使が一気に現実味を増した。
   しかし、8月29日に英国議会下院が、武力行使への英国
  の参加承認につながる政府提出動議を否決し、武力行使への
  英国の参加の道が途絶えた。それを受け、今度はオバマ大統
  領が、米国でも武力行使に連邦議会の承認を求める方針を発
  表した。さらには、米欧主導の武力行使に強く反対するロシ
  アが仲介に乗り出す形で、9月14日に、シリアの化学兵器
  破棄に関する米露合意が成立し、武力行使が当面回避された
  格好になったことは周知のとおりである。2014年前半中
  の化学兵器廃棄のスケジュールが示され、国連安保理決議も
  成立した。しかし、実際に問題が解決されることになるかは
  現時点では不透明である。     http://bit.ly/1UisgGI
  ───────────────────────────

ヌスラ戦線.jpg
ヌスラ戦線
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2016年06月06日

●「全米揺るがすオバマ政権の大事件」(EJ第4291号)

 ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補の指名を確実にし
て以来、日本では民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏に
ついての情報がまったく伝えられなくなっています。
 現在米国の民主党では、クリントン氏とサンダース氏が大統領
予備選をまだ戦っています。クリントン氏の民主党の大統領候補
の指名は確実ですが、対抗者のサンダーズ氏はなぜか予備選を降
りていないのです。
 サンダース氏が今でも大統領選を降りないのは、クリントン氏
が何らかの事情で大統領選に出られなくなる可能性に賭けている
フシがあります。
 実際に現在、クリントン氏は相当苦境に立っています。FBI
の事情聴取が報道され、ただでさえその人気に陰りが出ているの
で、未だに指名を獲得できないでいるのです。5月29日にも次
の記事がネット上に出たのです。
─────────────────────────────
  Hillary Clinton to be Indicted on Federal
  Racketeering Charges.
  ヒラリー・クリントンはラケッティア活動で起訴される
   ──2016年5月29日付、米ハフィントン・ポスト紙
─────────────────────────────
 ラケッティア活動とは、違法行為によって不正な利益を得る犯
罪を総称する言葉です。これを規制する法律にRICO法があり
ます。しかし、この記事はネット上にアップされた直後に消去さ
れています。オバマ政権からの圧力であると思われます。
 この記事を書いたのは、フランク・ヒューグエナード記者です
が、彼はサンダーズ氏の支持者であり、記事の目的は、クリント
ン支持層を崩すための情報戦の一環とされています。
 米国の大統領選は、いくら相手を誹謗中傷してよいことになっ
ており、当然のことながら、クリントン氏が民主党の指名を受け
れば、今度はトランプ氏がもっと激しくその弱点を衝いてくるこ
とは確実であるといえます。
 ジェームズ・コーミーFBI長官は、ヒラリー・クリントン氏
が夫の元大統領ビル・クリントンと設立したクリントン財団を犯
罪組織と認定し、ロレッタ・リンチ司法長官に、クリントン財団
が、資金洗浄や個人、企業、外国政府から、政治的、政策や司法
上の利益などを獲得する見返りに賄賂を受け取っていたとする起
訴内容を提出するとしています。
 おそらくオバマ大統領の高度な政治判断により、起訴はさせな
いと思いますが、トランプ氏との対決では、クリントン氏は相当
苦しい選挙戦を戦うことになることは必至です。
 実はもうひとつ現在全米を揺るがしているオバマ政権に関する
大事件、いや大スキャンダルがあります。この事件は米国では連
日のように報道されていますが、なぜか日本では何ひとつ報道さ
れていないのです。
 それはATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)
が極秘に進めたオペレーション「ファースト&フュリアス」をめ
ぐる事件です。この名称は映画『ワイルド・スピード』からとら
れています。原題は「ファースト&フュリアス」です。
─────────────────────────────
 映画『ワイルド・スピード』(The Fast and The Furious)
 ≪あらすじ≫
 ストリート・カーレースに大金を賭ける若者たちが、夜な夜な
集まるロサンゼルス。ある夜、ストリート・レーサー達をとり纏
める凄腕ドライバーのドミニクは、一人の白人・ブライアンに勝
負を挑まれる。ブライアンは勝負に負けるが、勝負への姿勢をド
ミニクに気に入られ、行動を共にすることになる。
 だが、ブライアンの正体は実は警察官であり、高額な貨物を載
せたトラックが次々と改造車の集団に襲われるという事件を追っ
て、潜入捜査のため彼らに接触したのだった。身分を隠してスト
リート・レーサーの仲間となったブライアンだったが、やがて、
ストリート・レーサーらに対する友情が芽生える。しかし、ジョ
ニー・トランのグループによるレーサー同士の抗争に巻き込まれ
事態は思わぬ方向に進展してゆく。   http://bit.ly/22EJog8
─────────────────────────────
 ATFの「ファースト&フュリアス」オペレーションは、オバ
マ政権下の2009年から2011年の間に実施された作戦であ
り、これは別名「ガン・ウォーキング」とも呼ばれています。つ
まり、銃を歩き回らせる作戦です。
 国境を越えて米国の銃を大量にメキシコに不法に流すのです。
ATFがアリゾナ州の銃ディーラーに銃を渡し、メキシコから米
国に来ている麻薬密売の容疑者たちに銃を販売させます。しかし
麻薬密売容疑者は、銃の所持が禁じられているので、銃のディー
ラーと麻薬密売容疑者の間には「ストロバイヤー」が入ることに
なります。ストロバイヤーは、銃の所持を禁じられている人のた
めに代理で銃を購入する人です。
 要するにこれは一種の「おとり捜査」なのです。メキシコ政府
と連絡をとったうえで、わざと大量の銃をメキシコに流し、それ
らの銃の流れを追跡してストロバイヤーから麻薬密売容疑者をた
どり、麻薬カルテルの大物メンバーを突き止め逮捕する──これ
が目的だったのです。
 それでは、なぜこのおとり捜査を「ファースト&フュリアス」
と呼んだのかというと、おとり捜査の筋が似ているからです。実
際に捜査中の容疑者の何人かは自動車修理をしながら、ストリー
トレーシングをしていたのです。
 しかし、このおとり捜査は大失敗だったのです。販売された銃
は2000丁で、取引額が100万ドルを超えるにもかかわらず
逮捕したのはストロバイヤー数人であり、麻薬カルテルの大物な
ど一人も逮捕できていないからです。それもそのはずです。この
作戦には大きな手抜かりと別の意図があったのです。明日のEJ
でお話しします。    ──[現代は陰謀論の時代/104]

≪画像および関連情報≫
 ●米銃器取締当局の内部告発者
  ───────────────────────────
   米国からメキシコに大量に流れる銃器を追跡しようという
  作戦は失敗し、米アルコール・タバコ・火器爆発物取締局/
  ATFの局長代理の解任とアリゾナ地区連邦検事の辞任を招
  くに至りました。「ファスト&フュリアス(迅速かつ猛烈)
  作戦」と名付けられ、かつては秘密だったこの作戦では、A
  TFのエージェントたちが米国の銃器店に何千もの武器をメ
  キシコの麻薬カルテルとの仲介者に売りつけるように奨励し
  ていました。そこからメキシコの犯罪組織の上層部の人間た
  ちに辿り着けると考えていたのです。
   しかし、ATFは、2500丁もの銃器の行方を見失って
  いました。先週、米司法省は議会の公聴会で証言し、問題と
  なっているATFのおとり捜査と関係ある銃火器が少なくと
  も米国内の11の暴力犯罪で使用されていたと認めました。
  米国の国境警備隊員が殺害された事件もその一つです。その
  一方で、この作戦が容疑者の逮捕に結びついたことは一度も
  ありませんでした。それでも今年8月にはその作戦に直接に
  関与した3人の幹部が昇進しています。ATFの特別捜査官
  で今回のこの「ファスト&フュリアス作戦」に関する内部告
  発の一翼を担ったビンセント・セファルーに登場してもらい
  ます。彼はこの内部告発により報復人事を受けてきました。
                   http://bit.ly/25DEylo
  ───────────────────────────

映画「ワイルド・スピード」.jpg
映画「ワイルド・スピード」
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2016年06月07日

●「ファースト&フュリアス真の狙い」(EJ第4292号)

 オバマ政権がATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取
締局)に実施させたオペレーション「ファースト&フュリアス」
作戦の成果は惨憺たるものだったのです。
 この作戦の目的は、大量の米国の銃をメキシコに不法に流入さ
せ、その銃の流通をたどることによって、メキシコの麻薬カルテ
ルをあぶり出すことにあったのです。
 しかし、麻薬カルテルをあぶり出すどころかストロバイヤー数
人を逮捕しただけに終わっているのです。それどころか2000
丁を超える大量の銃は、メキシコに流れ込み、その多くは、麻薬
ギャングの手に渡った結果、犯罪に使われ、何の罪もないメキシ
コ市民が200人以上亡くなっているのです。
 ことはそれだけでは済まなかったのです。2010年12月に
アリゾナ州の国境警備官ブライアン・テリー氏が不法移民の追跡
中に銃撃戦に巻き込まれて死亡したのです。そのとき、現場には
2丁の銃が落ちていたのですが、その銃はATFが不法流入させ
た銃だったのです。
 なぜ、失敗に終わったのかというと、次の2つのことを怠って
いたからです。
─────────────────────────────
  1.2000丁の銃に追跡装置を付けていなかったこと
  2.事前にメキシコ政府に作戦について報告していない
─────────────────────────────
 この国境警備官ブライアン・テリー氏の死がきっかけになり、
「ファースト&フュリアス」作戦が明らかになります。米下院監
視・政府改革委員会による調査が行われ、エリック・ホルダー司
法長官の聴聞会が開催されたのです。
 このとき監視・政府改革委員会から要求された書類の一部の提
出を司法長官が拒否したのです。これは前代未聞のことです。エ
リック・ホルダー氏はこれによって法廷侮辱罪に問われ、議会に
より告訴される事態になったのです。
 司法長官が告訴される──大変不名誉なことであり、普通は辞
任するものですが、司法長官は辞任を拒否したのです。議会はあ
くまで、提出されない書類の提出を改めて求めたところ、今度は
オバマ大統領が異例の大統領特権を発動してこれを拒否したので
す。これで疑惑はかえって深まったのです。
 よほど見られては困る書類であることをあらわしています。し
かも、オバマ大統領にとって就任以来、初めての発動なのです。
加えてメキシコ大統領もこの間、本件について沈黙を守っていま
すが、これも不思議な話です。
 オバマ大統領は、銃は規制すべきであるという信念を持ってい
ます。したがって、何とかして銃規制の世論を盛り上げたいと考
えていたのです。銃による死者が出るたびにオバマ大統領は涙を
流しながら、コメントすることがよくあります。
 「ファースト&フュリアス」作戦は、麻薬カルテルを摘発する
ことを表向きの目的にしていますが、実は2000丁もの銃を不
法にメキシコに流し、銃による死者を多く作り出そうとしたフシ
があります。もし、これを国内でやってバレたら大変なことにな
ります。そのため米国に近く、人口流入も激しいメキシコでやっ
たものと思われます。
 もし本当であるとしたら、これはとんでもないことです。なぜ
なら、これによって罪もないメキシコ市民が200人以上も亡く
なっているからです。もし米国人の死者が出なかったら、これほ
どの騒ぎにはならなかったと思われます。
 「マッチポンプ」という言葉があります。これは英語ではなく
和製の外来語なのです。「マッチで自ら火事を起こしてそれを煽
り立て、それを自らポンプで消すこと」などと喩えられるように
問題や騒動について、自身でわざわざ作り出しておきながら、あ
るいは自身の行為がその根源であるにもかかわらず、そ知らぬ顔
で巧妙に立ち回り、その解決・収拾の立役者役も自ら担って賞賛
や利益を得ようとする、そのような行為を指して用いられる表現
です。「ファースト&フュリアス」作戦におけるオバマ政権の狙
いは、まさにマッチポンプそのものといえます。
 しかし、これほどの事件がなぜ日本には全然伝えられなかった
のでしょうか。実はこれには理由があるのです。これに関連して
「保守主義提唱者の随想」というサイトがあります。このサイト
で、「ファースト&フュリアス」作戦を取り上げているので、ご
紹介します。
─────────────────────────────
 ファースト&フュリアス事件は、オバマ政権がメキシコの麻薬
ギャングに故意に銃器を流出させた事件。表向きは「流通経路を
探るため」と言いながら、実の目的はわざと銃がらみの事件を多
発させて世論を銃規制に誘導すること。実際に流出した銃で国境
警備隊員が殺される事件が発生した。この超級スキャンダルが、
日本のメディアに全く登場しないのは、まさしくアメリカ・左翼
メディアの偏向報道によるものである。
 腐った日本のメディアはアメリカ・左翼メディアのコピーを垂
れ流すだけである。ベンガジ事件も同様である。いまだにあの事
件を引き起こしたのは「反イスラム動画」だという話になってい
るが、笑止千万である。        http://bit.ly/1ZnNh7j
─────────────────────────────
 このブログの記事によると「表向きは『流通経路を探るため』
といいながら、実の目的はわざと銃がらみの事件を多発させて世
論を銃規制に誘導すること」とあります。まさにマッチポンプそ
のものであることを指摘しています。
 どうしてこのブログは「ファースト&フュリアス」作戦につい
て正確に事実を指摘しているのでしょうか。
 それはこのブログには「コンサバティブ・ブログ」と書いてあ
ることに関係があります。「コンサバティブ」とは「保守的な」
という意味です。日本には米国のコンサバティブなメディアの記
事は入ってこないのです。──[現代は陰謀論の時代/105]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカはなぜ銃社会なのか?
  ───────────────────────────
   ナッシュ均衡は、いろいろな社会現象を読み解くときに、
  知っておくととても便利な道具です。ここではナッシュ均衡
  を使って、「アメリカはなぜ銃社会なのか?」(銃規制に反
  対する全米ライフル協会のひとたちは、べつに頭がおかしい
  わけじゃない)ということを説明しています。
   映画『ビューティフルマインド』は、統合失調症に苦しむ
  数学者ジョン・ナッシュと、彼を支えた家族の物語だ。ここ
  ろの病を克服してノーベル経済学賞を受賞した天才を讃えて
  彼の発見した定理は「ナッシュ均衡」と名づけられた。
   ナッシュ均衡は「他のプレイヤーの戦略を所与とした場合
  どのプレイヤーも自分の戦略を変更することによってより高
  い利得を得ることができない戦略の組み合わせ」のことで、
  この非協力ゲームでは条件によっては複数の均衡解が存在す
  る――といっても、これはぜんぜん難しい話じゃない。
   たとえば自動車が登場したばかりの社会を考えてみよう。
  みんなが好き勝手な走り方をすれば、あちこちで正面衝突が
  起きてしまう。そこでまず、右側通行か左側通行かを決めな
  くてはならない。このときもっとも合理的な行動は、右側通
  行の車がなんとなく多ければ自分も右側を走ることだ(逆に
  左側通行が多ければ左側を走ればいい)。
                   http://bit.ly/25GWHSD
  ───────────────────────────

エリック・ホルダー司法長官.jpg
エリック・ホルダー司法長官
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2016年06月08日

●「リベラルとコンサバティブの違い」(EJ第4293号)

 全米で話題になっている「ファースト&フュリアス」事件が、
なぜ日本ではまったく報道されなかったのでしょうか。今日はこ
れについて書くことにします。
 このことを理解するには、米国のメディアの現況について知る
必要があります。米国のメディアには、次の2つがあります。
─────────────────────────────
     1.   リベラル ・・・・ 民主党系
     2.コンサバティブ ・・・・ 共和党系
─────────────────────────────
 日本で読める米国のニュースは、「主流メディア」と呼ばれて
いるソースに基づいたものです。具体的には、CNNやニューヨ
ーク・タイムズ、ワシントンポストなどの、いわゆる「リベラル
のメディア」です。そのシェアは圧倒的です。
 リベラルに対してコンサバティブのメディアがあります。コン
サバティブというのは「保守的な」という意味です。テレビのほ
とんどはリベラルであり、コンサバティブなのはFOXテレビぐ
らいのものです。そのシェアたるやほんの一握りです。同じルパ
ート・マードック氏が率いるニューズ・コーポレーション傘下の
ウォール・ストリート・ジャーナルもコンサバティブです。
 リベラルとコンサバティブでは、選ぶニュースも異なるし、同
じニュースであっても報道の仕方がぜんぜん違うのです。「ファ
ースト&フュリアス」のスキャンダルについては、現民主党政権
にとってマイナスの情報であり、リベラルのメディアは一貫して
報道を控えてきたのです。したがって、主流メディア、すなわち
リベラルメディアの記事しか伝えられない日本では「ファースト
&フュリアス」事件のニュースは報道されなかったのです。
 つまり、日本に届く米国のニュースには、2つのフィルターが
かかっているのです。米国メディアの政治的見解によって、ニュ
ースの選別が行われます。これが第1のフィルターです。それに
加えて、ニュースの扱いや表現においてはメディアの政治的見解
によるフィルターがかかります。これが第2のフィルターです。
したがって、日本のメディアの伝える米国発のニュースを見てい
るだけでは、米国の本当の姿を把握することは困難です。
 一般的な日本人は、その政治信条──どこの党の支持者である
か、どの政治家を支持しているかというものをあまり表面に出し
ませんが、米国人は違うのです。自分が民主党に代表されるリベ
ラルか、共和党に代表されるコンサバティブなのかについて、米
国人は「私はこちらです」と明言するそうです。また、そう明言
しなくてもその人の話を聞いていると、リベラルかコンサバティ
ブかがわかるといいます。それに米国人は政治の話になると、感
情むき出しに議論することが多く、けんかになることも多いそう
です。そういう意味で米国人は政治意識が高いといえます。
 「ファースト&フュリアス」事件と米国人の政治意識について
は、米国人と結婚し、現在米国に住んでいる上田尊江氏の日経ビ
ジネス/オンラインに掲載されたコラム「米政府の大スキャンダ
ルを知らないの?日本で報道されていないのね」を参考にして書
いていますが、次の記述は大変に興味深いので、少し長いですが
引用します。
─────────────────────────────
 兄弟なのに政治絡みの口論がきっかけになって数年も音信不通
になったことがある。結婚して渡米し、ささいなことをきっかけ
に主人が兄弟とののしりあう姿を初めて見たときは衝撃を受けた
というか、呆れてしまった。
 それほどまでに米国人にとって個人の政治的信条は身近で大切
なのである。そして考え方は両極に分かれ、先鋭化している。な
ぜここまで二極化したのか、色々な意見があるところだろう。驚
くほど真ん中というものがない。イエスかノー、リベラルかコン
サバ、なのだ。(中略)
 結婚して米国に来てすぐ気づいたことは、主人がFOXニュー
スを一日中つけっぱなしにしていることだった。主人が熱心にF
OXを見ている様子から「この人、本当は極右でやばいのかも」
と偏見を持ったくらいである。結婚前、日本で付き合っていたと
きは、政治の話などしなかった。
 もっと驚いたのは、私自身がコンサバティブだったと気付かさ
れたことだ。日本にいるとき、自分はリベラルだと思っていたが
米国ではどう見てもコンサバティブに入る。米国のリベラルの意
見は日本の常識の範囲をはるかに超えており、自分をリベラルだ
と思っている日本人の多くはこちらに来るとコンサバティブにな
るのではないかとにらんでいる。   http://nkbp.jp/1TQ63k8
─────────────────────────────
 米国のメディアは、リベラルかコンサバティブかに分かれてい
ますが、それぞれの信条に基づいて報道しているので、その違い
さえ知っていれば国民は正しい情報をつかめると思います。しか
し、日本のメディアは次の2つの権力に屈服し、真実を伝えるこ
とができないでいます。
─────────────────────────────
          1.官邸からの圧力
          2.財務省筋の圧力
─────────────────────────────
 安倍官邸は、かねてからメディアに対して強い圧力をかけてお
り、メディア側もそれに屈して日曜日の政治番組をNHKと安倍
首相のお友達メディアに絞り、政権の政策を批判するコメンテー
ターなどの番組関係者を外すなど干渉をしています。
 これに加えて、財務省も莫大な宣伝費予算を盾に、番組を細か
くチェックし、増税を支持する学者やコメンテーターを番組に数
多く主演させると共に、その一方で増税反対などの意見を展開す
る学者や政治評論家を外しているのです。これらの2つの圧力に
よって今や日本のメディアは完全に死んでいる状態です。メディ
アは政権チェックの機能を果たしていない状況です。
            ──[現代は陰謀論の時代/106]

≪画像および関連情報≫
 ●米国にとって「リベラル」と「保守」とは何か
  ───────────────────────────
   米国研究者にとって「リベラリズム」と「リベラル」は似
  て非なる概念である。「リベラリズム」とは「自由主義」を
  指し、大英帝国の専制君主に反旗を翻して独立を勝ち取った
  米国にとって、まさに国の根幹となる思想である。それは欧
  州の政治的伝統を織りなしてきた三つの思想のうち、「貴族
  主義」と「社会主義」の二つを否定することを意味する。す
  なわち、特権階級や巨大政府による支配のいずれをも拒み、
  政治的・経済的に独立した自由な市民(デモス)による統治を
  重んじるということである。
   そして、その自由主義の枠のなかで、より強固な自由を求
  めるのが米国流の「保守」であり、政府による一定の介入を
  求めるのが米国流の「リベラル」ということになる。
   具体的には、「保守」とは、
  @ 自由な市場競争を重んじること(=規制緩和、減税、民営
  化、自由貿易の促進など)
  A 地域や教会を中心とした自治の伝統を重んじること(=政
  府主導による制度や規範の形成を拒むこと)
  B国際社会における自国の行動の自由を重んじること(=国
  際機関や他国によって米国の利益を左右されないこと)の三
  つを意味する。順に、@経済保守、A社会保守、B安保保守
  とも称され、ティーパーティー(茶会)、エヴァンジェリカル
  (福音派)、ネオコンなどは、@〜Bの中の強硬派として日本
  でもよく知られている。      http://bit.ly/1TWdAmO
  ───────────────────────────

サンダーズ氏は「リベラル左派」.jpg
サンダーズ氏は「リベラル左派」
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2016年06月09日

●「アサド大統領は本当に悪者なのか」(EJ第4294号)

 このテーマも100回を超えているので、そろそろ終りにしな
ければならないと思っています。話は「アラブの春」から「リビ
アのカダフィー政権崩壊」、そして「シリアの反政府勢力」に及
んでいるので、これと深い関係のある「ISIS」について最後
に述べることにします。
 昨日の「リベラルとコンサバティブ」で述べたように、日本の
メディアの伝える米国発の情報だけでは、必ずしも米国の真実が
伝わってこないのです。そのひとつの例が、カダフィー大佐につ
いてのイメージです。
 米国は、「独裁は『悪』であり、民主化は『善』である」とい
う勧善懲悪でとらえる傾向が強いのです。カダフィー大佐は独裁
者であり、多くの人を殺している──こういう情報を何回も流さ
れると、他に情報がなければそうかなと思ってしまいます。ウソ
も何回もつかれると真実になってしまうのです。
 しかし、カダフィー大佐は、その独裁を利用して、自国のリビ
アのみならず、アフリカ全体のために尽くそうとしており、その
一部を実行に移しています。ただそのことが欧米の利害に関わる
ので彼らは反政府勢力を支援して潰してしまったのです。
 同じようなことがシリアにもいえるのです。われわれは、シリ
アのアサド大統領は独裁者であり、大勢の自国民を殺しており、
悪い奴であると考えています。そのため、米国はシリアでも反政
府勢力を支援してアサド政権を潰そうと画策しています。
 しかし、アサド大統領は本当に悪者なのでしょうか。調べてみ
ると、必ずしもそうとはいえない事情が浮かび上がってきます。
以下、日本のアラブ地域研究者で政治学者の青山弘之氏のレポー
トを参考にして書くことにします。
 シリア紛争は始まってから既に5年が経過していますが、オバ
マ政権が相当力を入れて支援しているにもかかわらず、今もって
アサド政権は潰れそうにありません。もっともシリアに関しては
ロシアが軍事的に支援をしていることもありますが、米国を中心
とする国際社会は、そのロシアも「悪」として経済制裁を課して
排除しようとしています。
 2011年3月のことです。政治犯の釈放や地方行政の改革を
求めて、散発的なデモが起きたのです。これに対してバッシャー
ル・アサド大統領率いる政権は、やや過剰ともいえる弾圧を加え
たことがきっかけになって紛争が起き、現在まで続いているので
す。アサド政権がなぜ過剰な弾圧を行ったのかというと、それは
「アラブの春」による大規模な反政府デモが起きることを懸念し
たからです。
 ロンドンに拠点を持つ反体制組織のシリア人権監視団の統計に
よる次の事実があります。
─────────────────────────────
 ◎2011年3月18日〜2015年3月14日の死者総数
  21万5518人
       シリア軍 ・・・ 7万6200人
    反体制武装集団 ・・・ 3万9227人
─────────────────────────────
 一般的なイメージは「シリア軍の一方的な暴力」ということに
なりますが、死者数を見ると、政府軍の死者の方が圧倒的に多い
のです。反政府武装集団は早い段階から最新鋭の兵器で武装して
おり、首都ダマスカスやアレッポ市の住宅街を無差別に攻撃して
いるのです。
 この兵器は米国から供与されたものであり、最初のうちは米軍
が反政府勢力を指揮していたのです。反政府勢力のほとんどは外
国人の戦闘員なのです。そして、上記の反体制武装集団の死者3
万9227人中2万6834人が外国人戦闘員の死者なのです。
つまり、アサド政権は、外国人部隊と戦っているのです。
 もともとシリアの反政府勢力は、「自由シリア軍」が中心で、
オバマ政権はこのグループを支援したのです。しかし、自由シリ
ア軍は現在雲散霧消してしまったのです。この経緯について青山
弘之氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 「独裁」打倒をめざしていたはずの「自由シリア軍」はイスラ
ーム過激派に圧倒され、その一部は敗退、消滅し、かろうじて活
動を続けている武装集団も、その多くがヌスラ戦線などの指揮下
に身を置いている。欧米諸国が「シリアにおける唯一の正統な代
表」とみなしてきたシリア革命反体制勢力国民連立(いわゆるシ
リア国民連合)や国内で活動を続ける民主的変革諸勢力国民調整
委員会といった反体制政治組織、政治家・有識者も、主導権争い
に明け暮れ、一致団結することはおろか、体制転換後の具体像さ
え示せず、低迷している。          ──青山弘之氏
                   http://bit.ly/1F5x9Rp
─────────────────────────────
 現シリア大統領のバッシャール・ハーフィズ・アル=アサド氏
は、眼科医でなのです。学校時代は学術優秀で、ダマスカス大学
医学部に学び、卒業後は軍医として働いた後、1992年に英国
に留学、ロンドンのウェスタン眼科病院で研修を受けていたので
す。もともと大統領になるつもりはなかったのですが、大統領を
継ぐ予定だった兄が交通事故で亡くなってしまうのです。そこで
アサド氏は研修を中断してシリアに戻り、大統領になるために一
定の軍隊でのキャリアを積んだ後、2000年7月にシリア大統
領に就任したのです。
 アサド大統領は、「古参と新たな血の融合」「腐敗との戦い」
といった新たな運動を唱え、体制内部の腐敗一掃とあらゆる分野
での改革を訴えて、それを実行に移しています。そして「腐敗と
の戦い」において最初のターゲットになったのは、前首相のズウ
ビーです。彼はこれによって自殺に追い込まれています。そして
党や政府の高官が次々と腐敗の容疑で逮捕されていったのです。
中国の周近平主席のやっている「ハエもトラも叩く」と同じやり
方であるといえます。  ──[現代は陰謀論の時代/107]

≪画像および関連情報≫
 ●これでわかる!「シリア内戦」の全貌/末近浩太氏
  ───────────────────────────
   2011年の「アラブの春」の一環として始まったこの紛
  争も今年の3月で丸5年を迎え、既に総人口約2100万人
  の半数以上が国内外への避難を余儀なくされ、27万とも、
  47万とも推計される人びとが命を落としている。「内戦」
  の泥沼化、そして、あらゆる「普遍的価値」を蹂躙する過激
  派組織「イスラーム国(IS)」の出現。今日のシリアには
  「アラブの春」後の中東の「絶望」を象徴する終末的風景が
  広がっている。
   シリアでは、なぜ「アラブの春」が「内戦」になってしま
  ったのか。その「内戦」は、なぜ泥沼化したのか。なぜIS
  は生まれたのか。そして、シリアはどこに向かおうとしてい
  るのか。シリアは、1946年のフランスの植民地支配から
  独立後、宗教に基づかない近代西洋的な国民国家を範とする
  国造りが行われた。
   現在のアサド政権の成立は、1970〜71年に起こった
  クーデタにまでさかのぼる。2000年に「先代」ハーフィ
  ズの後を襲うかたちで次男のバッシャールが大統領に就任し
  実に40年以上にわたってアサド一家による独裁政治が続い
  ていた。市民の不満は、軍や治安部隊、秘密警察によって監
  視・抑圧されていた。       http://bit.ly/1OcJqt6
  ───────────────────────────

アサド大統領の支持者は少なくない.jpg
アサド大統領の支持者は少なくない
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2016年06月10日

●「シリアの内戦はなぜ長く続くのか」(EJ第4295号)

 ここで「ISIS」がどのようにして生まれたかについて、シ
リアとの関係において整理することにします。その前にISIS
の名称について述べます。
 ISISには複数の名称があります。ISISは「イスラミッ
ク・ステート・オブ・イラク・アンド・シリア」をあらわしてい
ます。驚くべきことに、イラクとシリアという2つの国の名前を
勝手に入れています。その後、シリアの部分を「レバント」に入
れ替えて、「ISIL」と呼ぶようになったのです。「イスラミ
ック・ステート・オブ・イラク・アンド・レバント」です。レバ
ントというのは、シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエルを含
む地域を指す言葉です。
 NHKは当初「ISIS」と呼称していたのですが、イスラム
諸国から抗議を受けて、「イスラミック・ステート」、すなわち
「IS」と呼ぶようになったのです。そういうわけで現在では、
単に「IS」か「イスラム国」と呼ぶようになっています。EJ
では「イスラム国」と呼称することにします。
 シリアの問題点は、現在のアサド大統領が兄の死亡後、代わっ
て大統領になったことです。つまり、公正な選挙によって大統領
が選ばれていないことです。このように40年以上にわたってア
サド一家の世襲による独裁政治が続いているのです。
 当然民意の高まりによって市民による民主化運動が起こります
が、アサド政権は軍や治安部隊を使ってその動きを弾圧してきた
のです。このようなことをしていると、民主化運動を達成するた
めに武器を取る者も出てきます。しかし、アサド政権は強大で、
なかなか崩せなかったのです。
 そこに起きたのが「アラブの春」です。2010年にチュニジ
アのジャスミン革命にはじまり、アラブの世界に現政権に対する
抗議・デモ運動が広がっていったのです。シリアではこれを機に
自由シリア軍が結成されています。そのバックに米国がいたこと
は既に述べた通りです。
 しかし、エジプトとシリアでは政権の打倒に成功したものの、
2012年以降、国内で対立や衝突が起こるなど、民主化がうま
くいかなくなってきています。つまり、チュニジアはうまくいっ
たのですが、他の国は、かつてのイラクのように、独裁政権を倒
してかえって国内を混乱に陥れてしまっています。
 ところで、シリアにおけるアラブの春には、不思議なことが2
つあります。それは次の2つの疑問です。
─────────────────────────────
   1.アサド政権はなぜ依然として崩壊しないのか
   2.反政府勢力はなぜ政権と対峙できているのか
─────────────────────────────
 「1」について考えます。
 アサド政権が崩壊しないのはシリアの軍の特殊性にあります。
シリアの場合、軍はアサド政権を守る軍隊になっているのです。
アサド大統領の親族や側近が軍の中枢を占めており、いわばアサ
ド政権の私兵化しているのです。
 だからこそ、デモが先鋭化したとき、軍隊は平気で市民に対し
て銃口を向けるし、発砲もできるのです。これは、中国の軍隊が
国の軍隊ではなく、中国共産党のそれであることと、大変よく似
ています。
 その中国とロシアは、欧米の勢力に対抗してシリアを支援して
います。ロシアにいたっては空爆による軍事支援までしてアサド
政権を強く支援しています。アサド政権にとってこの支援は心強
いと思います。
 それに加えて、イランがシリアを支持しているのです。なぜな
ら、アサド政権は、イスラムの少数派であるアラウイ派ですが、
これはシーア派の分派だからです。さらに、イランは中東政治に
おいて、サウジアラビアと競合しているからです。
 このように、中国、ロシア、イランがシリアを支援し、欧米勢
力に対抗しようとしています。つまり、シリアの内戦は国際的な
代理戦争の色合いを深めているのです。
 続いて「2」について考えます。このような私兵化した強大な
アサド政権軍に対して、反政府勢力はなぜ現在も対峙できている
のかという疑問です。
 これについて、中東・イスラム研究者であり、国際政治学者の
末近浩太氏は、3つのプレーヤーが反政府勢力を支援したからで
あるとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 なぜ、反体制諸派は政権軍と対峙し続けられたのか。それは、
次の3つのプレイヤーが、シリア国外から武器や資金を提供した
からであった。
 第1に、米国、欧州連合、トルコ、サウジアラビアなどの湾岸
産油国である。これらの諸国は、独裁者であるアサド大統領の退
陣を求め、反体制諸派をシリアの「正式な代表」として政治的・
軍事的に支持した。
 第2に、シリア国外で活動してきた反体制派の諸組織である。
彼らは、アサド政権の反体制派に対する弾圧や取り締まりを逃れ
て、数十年にわたって欧州や中東の各国で細々と活動してきた。
「アラブの春」は、祖国への帰還と政権奪取のための千載一遇の
チャンスであり、国内で蜂起した反体制諸派を支援した。
 第3に、過激なイスラーム主義者である。彼らは、独裁政治と
社会の「脱イスラーム化」を行ってきた「不義の体制」であるア
サド政権を打倒するために、世界中からシリア国内の反体制諸派
に合流していった。
 この3つのプレイヤーはそれぞれ異なる背景やイデオロギーを
有しながらも、「アサド政権の打倒」で奇妙な一致を見せ、シリ
ア国内の反体制諸派の勢力拡大を後押ししたのである。
           ──末近浩太氏 http://bit.ly/25M0vie
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/108]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜアサド政権は倒れないのか?
  ───────────────────────────
   2013年6月、アメリカのオバマ大統領は「シリア情勢
  の悪化」に懸念を表明するとともに、アサド政権が化学兵器
  を使用したと主張、反体制派向けの支援強化を発表した。
   たしかにシリアの情勢は悪化している。しかし、この段階
  でアメリカをはじめとする西洋諸国や報道機関が言う「情勢
  の悪化」はシリア人の生活や権利の状況が客観的に悪化して
  いることを意味するのではなく、シリアの反体制派にとって
  の状況や戦況の悪化を意味している点に注意が必要である。
   これを受け、6月22日にドーハで開催された11ヶ国閣
  僚会合は反体制派への武器供給をはじめとする支援の強化で
  合意したが、その意図は現在の政府軍優位の戦況を反体制側
  が有利になるよう変更し、それを待って危機打開のための国
  際会議を開催しようというものである。
   ただし、反体制派への支援の強化により、戦況が反体制派
  有利に転換する保証は皆無であるし、反体制派の誰がそうし
  た支援の受け皿になるのかについても確たる展望があるわけ
  でもない。要するに、反体制派を支援する各国が満足するま
  で、シリア危機の政治的解決のための努力としての国際会議
  は開催されず、その間、反体制派への武器支援の充実により
  現場では破壊と殺戮に拍車がかかるのである。
       ──SINODOS   http://bit.ly/217BevA
  ───────────────────────────

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中東・イスラム研究者/未近浩太氏
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2016年06月13日

●「イスラム国は本当に消滅するのか」(EJ第4296号)

 「ニューズウィーク/日本版」/2016年6月14日号が、
タイミングよく『ISISと中東』という特集を組んでいるので
その冒頭の部分を引用します。
─────────────────────────────
 シリア内戦とテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISI
L)の台頭は、数百万人に上る難民の流入を通じ、ヨーロッパに
第二次大戦後で最大の危機をもたらした。シリアとISISの問
題は遠く離れたアメリカの大統領選挙にも大きな影を落とした。
世論はISISをはじめとするイスラム過激派を国家の存続に関
わる脅威と見なし、多くの政治家が米軍のシリア侵攻とISIS
の撲滅を主張した。
 だが、情勢は大きく変わりつつある。イラク政府軍はアメリカ
主導の反ISIS連合の支援を受け、主要都市ファルージヤの奪
回に乗り出した。この軍事攻勢には、弱体化し始めたISISに
さらなる打撃を加える狙いがある。このままいけばISISは近
いうちにシリアとイラクの支配地域を失い、いずれ壊滅するので
はないかとの期待が高まっている。
     ──グレン・カール/元米国家情報会議情報分析次官
   「ニューズウィーク/日本版」/2016年6月14日号
─────────────────────────────
 元CIA諜報員のグレン・カール氏の分析によると、イスラム
国は、米軍主導の反イスラム国連合の支援を受けるイラク政府軍
によって、今後さらに弱体化し、いずれ壊滅する運命にあると予
測しています。しかし、これとはまったく異なる分析も存在する
のです。本当のところどうなのでしょうか。
 これを明らかにするには、ISISがどのようにして誕生し、
ここまできたのかについて知る必要があります。
 イスラム国は、2003年のイラク戦争後に結成された「イラ
クのアル=カーイダ」がその前身です。この武装勢力は、イラク
国内で、反欧米ジハード(聖戦)を掲げて米軍とイラク新政府軍
に対抗して武装闘争を繰り広げていましたが、次第に勢力が衰え
て行ったのです。
 そのイラクのアル=カーイダ(以下IS)を救ったのは、20
11年の隣国シリアの内戦だったのです。彼らはシリア内戦では
シリアや周辺国から流れてきたスンニ派武装グループを巧みに吸
収し、急速に勢力を拡大します。
 その頃からISは、イラク・シリアにまたがるイスラム国家樹
立を前面に出すようになり、母体組織であるアルカーイダとも対
立し、たもとをわかっています。アルカーイダとしては、彼らの
度が過ぎた残虐さに眉をひそめ、破門したのです。
 2014年に入ると、彼らはシリア北東部をほぼ制圧し、イラ
ク北部に侵攻し、6月上旬には、イラク第2の都市モスルを陥落
させ、イスラム国家樹立の拠点としたのです。この頃から、イス
ラム国と呼称するようになったのです。
 どうして、イスラム国はそれほど短時間で勢力を拡大できたの
でしょうか。欧米諸国の若者たちが、こぞってイスラム国建設の
ための戦いに身を投じているからです。それは、発想がきわめて
ネット的であり、21世紀的な最先端の国家像を持っていたから
です。ベンジャミン・フルフォード氏は、その21世紀的国家像
について次のように述べています。
─────────────────────────────
 イスラム国は、イスラム国の「教義」を受け入れた信者を「国
民」として規定し、その国民が活動する領域を「国土」と定めて
いる。それを認めなければ武力で打倒する。一見、むちゃくちゃ
な因縁のように思えるが、この発想自体、こんにち、それほど珍
しくない。
 まず、共通のルールを作る。そしてそれを受け入れた人が「メ
ンバー」となる。そのメンバーのネットワークが活動領域となり
定められたルールで管理する。
 ネットのコミュニティでは、当たり前の考え方であろう。先進
国の若者からすれば、イスラム国は自分たちがネットで体感して
きたバーチャルなコミュニティを「リアル」で実現しょうとして
いる、そう映っている。だから、新しい時代を感じようと建国の
戦いに参加しているのだ。 ──ベンジャミン・フルフォード著
            『崩壊するアメリカ巻き込まれる日本
  /2016年、新世界体制の成立』/KKベストセラーズ刊
─────────────────────────────
 6月10日のEJ第4295号で末近浩太氏が述べているよう
に、現在のシリアの状況はきわめて複雑化しています。アサド政
権については、欧米諸国の拡大を嫌うロシア、中国、イランが、
直接的、間接的にバックアップしています。なかでもロシアは積
極的です。これに加えて、レバノンのイスラム主義組織・政党ヒ
ズボラは、アサド政権側で内戦に参加しています。
 これに対する反政府組織としては、米国、EU、トルコ、サウ
ジアラビアなどの湾岸産油国がアサド政権の退陣を求め、反体制
諸派がシリアの代表であると主張して、政治的、軍事的に支持し
ています。まるで国際間の代理戦争の様相を呈しているのです。
 問題は、反体制諸派の方です。ひとつは過激なイスラム主義者
のアルカーイダ系のヌスラ戦線です。彼らはシリア政府の弾圧を
恐れ、国外に逃れた勢力を吸収し、それにアサド政権から離脱し
た分子を糾合して大きな勢力になっています。
 もうひとつの反政府組織はイスラム国です。彼らは独自の発想
で、シリア国内をかき回し、シリアの都市部を次々と占拠し、そ
こを首都とする国家を宣言しています。
 これに対して米国は、あくまで反アサド・反イスラム国で、穏
健派のシリア反政府勢力を支援しようとしています。しかし、現
在そのような勢力は存在しないのです。アサド政権から離脱した
自由シリア軍などは、とっくの昔に雲散霧消してしまっているか
らです。このような状況なので、シリアの内戦はいつまでも終結
しないのです。     ──[現代は陰謀論の時代/109]

≪画像および関連情報≫
 ●シリア内戦を仲裁する露イラン
  ───────────────────────────
   2015年7月にイランと米国など(米露中英仏独)が調
  印した、対イラン制裁を解除する協約(合意文)について、
  米議会(上院)が反対しきれないことが確定的になった。上
  院では、共和党のほぼ全議員と民主党の一部議員が、イスラ
  エルの強い圧力の言いなりになってイラン制裁の解除に反対
  している。上院は、大統領府(ホワイトハウス)がイランと
  締結した協約を拒否できる新法を作り、9月中旬に協約の可
  否を決議する。議会が協約の破棄を決議しても、オバマは拒
  否権を発動して破棄を無効にできるが、議会の上下院の両方
  で、決議が3分の2以上の圧倒的多数だった場合、オバマは
  拒否権を発動できない。議席数100人の上院では、67人
  以上の議員がイランとの協約に反対なら、オバマは拒否権を
  発動できず、米国は協約に調印しなかったのと同じになる。
   9月2日、民主党のミクルスキ上院議員がイラン協約への
  賛成を表明し、賛成派が上院の3分の1を上回る34人にな
  った。反対派が66人以下となることが確定し、米議会がイ
  ランとの協約を廃棄できないことが確実になった。これは外
  交面のオバマの勝利、イスラエルと米共和党の敗北とみなさ
  れている。イラン制裁は来年初めまでに段階的にすべて解除
  されていき、米国を含む世界の企業がイランとの間で投資や
  貿易ができるようになる。     http://bit.ly/1JYjuIL
  ───────────────────────────

イスラム国/ISIS.jpg
イスラム国/ISIS
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2016年06月14日

●「なぜモスルとラマディは落ちたか」(EJ第4297号)

 イスラム国については疑問がたくさんあります。彼らは、米国
製の最新鋭の兵器を有し、少ない勢力で2014年6月にイラク
第2の大都市であるモスルを陥落させています。モスル陥落の様
子について、英『エコノミスト』誌は次のように書いています。
─────────────────────────────
 イラク軍はモスルで完敗を喫した。兵士たちが街中で制服を脱
ぎ捨て逃げ出したほどだ。あとには、燃え尽きた装甲車の間に遺
体が散らばっていた。手足を失った遺体もあった。ジハード(聖
戦)主義組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の約
1500人の武装集団が、イラク軍の15分の1以下の兵力であ
るにもかかわらず、軍用ヘリコプター「ブラックホーク」6機を
奪ったほか、モスルにある銀行の金庫から莫大な金額を略奪した
と報じられている。(中略)
 米軍の最後の部隊がイラクから撤退した2年半前、米国のバラ
ク・オバマ大統領はこの国を「安定して自立した主権国家」と表
現した。しかし今、ジハード主義者たちがイラクを引き裂きつつ
ある。モスルはイラク第2の都市だ。6月10日、イラクのヌリ
・アル・マリキ首相は、非常事態宣言の発令を国民議会に要請し
国外からの支援を求めた。
 その翌日、イラク・スンニ派の過激派と結束したISISは、
サダム・フセインの故郷であるティクリートを掌握した。ティク
リートは首都バグダッドから車で北へわずか2時間半の距離にあ
る都市だ。 ──『エコノミスト』誌/2014年6月14日号
                   http://bit.ly/25T5wFI
─────────────────────────────
 ここに書かれていることは事実です。しかし、通常の軍隊では
このようなことは起こり得ないのです。何しろイラク政府軍は、
世界最強の米軍軍事顧問団の訓練を受け、最新の兵器で武装した
1万人以上の部隊なのです。しかもモスルは人口100万人の大
都市です。そんな大都市をたった1500人に過ぎない寄せ集め
の武装勢力で陥落させることはほとんど不可能です。しかし、簡
単に陥落したのです。何が原因だったのでしょうか。
 その責任は当時のマリキ政権にあります。彼らは上層部をシー
アで固めて、政敵の追放にエネルギーを燃やし、イラク軍の機動
力や兵力の強化に力を注いでこなかったからです。
 不思議なのは、そういうイラク軍の脆弱性に米軍が気が付かな
いはずがないのに、そのままにしておいたことです。つまり、モ
スル陥落は、はじめから織り込み済みだったのではないかという
ことになります。米軍の目的は何でしょうか。
 それはイスラム国に兵器を供与することです。イスラム国は、
モスルを占領したことによって、最新鋭タンク、戦闘機、軍用車
両および米軍やイランから供与された多くの兵器があったのです
が、イラク軍は敗走したので、すべてイスラム国の手にわたって
いるのです。これは米軍によるイスラム国への武器供与ではない
かとされているのです。
 米軍は、なぜそのような敵を利することをするのでしょうか。
米国としては、中東への戦略上イスラム国には生残ってもらわな
いと困ることがあるのです。しかし、その理由は、非常に複雑な
話なので、改めて述べます。
 ところが、約1年後の2015年5月、やはり米軍が指導する
1万人のイラク政府軍がラマディから敗走してしまうのです。イ
スラム国はわずか1000人ほどの勢力です。なぜ、イラク軍は
そんなに弱いのでしょうか。
 ラマディが落ちると、首都バクダットまでは130キロしか離
れていないのです。それでもオバマ大統領は地上軍派遣に踏み切
らなかったのです。ラマディ陥落の報道記事を示します。
─────────────────────────────
【カイロ=大内清】イラクからの報道によると、同国政府軍は、
2015年5月17日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム
国」による攻勢にさらされていた西部のアンバール県の県都ラマ
ディの大部分から撤退した。イスラム国は同日、インターネット
上に発表した声明で、ラマディにある軍拠点の制圧に続き、市全
域の掌握に成功したと表明した。
 イスラム国の声明は、撤退した政府軍から戦車やミサイルなど
の装備品を奪ったとしている。ラマディがイスラム国に完全掌握
される事態となれば、政府軍が進めている同県での軍事作戦が頓
挫しかねないほか、東へ約110キロの首都バグダッド周辺にま
で本格的な戦闘が及ぶ恐れがある。
 これに対しイラクのアバディ首相は、政府軍や政府に協力的な
地元部族などに対し、ラマディ内外に残されている陣地の防衛に
全力を挙げるよう指示した。スンニ派住民が多数派を占めるアン
バール県はシーア派主導の政府への不満が強い地域で、イスラム
国はすでに同県の主要都市であるファルージャなどを支配下に置
いている。      産経ニュース  http://bit.ly/1UmikAx
─────────────────────────────
 このニュースに世界上の人々はラマディには米軍の空軍基地も
あって米軍が制空権を握っており、いくらでも空爆できる状況に
あるのに、なぜそんなに簡単に陥落してしまうのかと疑問を抱い
たと思います。しかもこのときは、マリキ体制からアバディ政権
に移行しており、軍隊の立て直しも進んでいたのです。ラマディ
陥落についてカーター国防長官は次のコメントを出しています。
─────────────────────────────
 イラク軍は戦意が欠けていた。自分たちより、ずっと少数の
 敵の前から逃亡した。      ──カーター米国防長官
─────────────────────────────
 同じことが、モスルとラマディで起きているのです。イスラム
国は、ここでも豊富な兵器を手に入れ、次第に重装備になり、ま
すます手のつけられない存在になっていくのです。本当にイラク
軍はそんなに弱い軍隊なのでしょうか。
            ──[現代は陰謀論の時代/110]

≪画像および関連情報≫
 ●ラマディ陥落で米国防長官がイラク軍批判
  ───────────────────────────
   【ワシントン=青木伸行】カーター米国防長官は24日に
  放映されたCNNテレビのインタビューで、イスラム教スン
  ニ派過激組織「イスラム国」に、イラク西部アンバール県の
  要衝ラマディの制圧を許したのは、イラク政府軍の士気の低
  下が主な要因だったとの見解を示して批判した。
   カーター氏は「イラク軍は戦う意思を見せなかった。数の
  面で敵をはるかに上回っていたが、戦わずして撤退した。過
  激派組織と戦うイラク軍の戦意に問題がある」と指摘した。
  その上で、「われわれはイラク軍に訓練と装備を供与するこ
  とはできるが、戦意は与えられない」と述べ、士気の低下に
  強い懸念を示し、軍を立て直すよう求めた。
   共和党などから、「地上で空爆を誘導する米特殊部隊最大
  1万人を派遣すべきだ」(マケイン上院軍事委員長)など、
  見直し論が高まっていることに対しても「ラマディでの敗因
  は、イラク軍が戦わなかったことにある」と反論した。ただ
  「支援の変更が必要なときがくれば(大統領に)勧告する」
  とも語った。国防総省はこれまでに(1)市街戦であるため
  空爆の効果が薄れていた(2)砂嵐によって、イラク軍は米
  軍などの空爆、航空支援を期待できないと考え撤退したとも
  説明している。          http://bit.ly/1UKrMcL
  ───────────────────────────

ラマディイスラム国に陥落.jpg
ラマディイスラム国に陥落
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2016年06月15日

●「米国はイスラム国を支援している」(EJ第4298号)

 6月12日未明、イスラム国を名乗る最悪のテロ──無差別の
銃の乱射事件がフロリダ州のナイトクラブで発生しました。死者
50人、負傷者53人。残虐な無差別殺人です。パリ、ベルギー
で繰り返されたイスラム国のテロが、遂に米国にまで波及したの
でしょうか。イスラム国の正体解明をさらに進めます。
 イラクの首都バクダッドに近いラマディが陥落したとき、イラ
クのハイダル・アバディ首相は、米軍に対して強い不信感を持っ
たのです。なぜなら、カーター米国防長官が「イラク軍は戦意が
欠けていた。自分たちより、ずっと少数の敵の前から逃亡した」
と発言したからです。これに対し、アバディ首相は次のように反
論しています。
─────────────────────────────
 なぜカーター氏があんなことを言ったのか驚いている。とい
 うのも彼はイラクに対し非常に協力的だったからだ。誤った
 情報が耳に入ったに違いない。     ──アバディ首相
─────────────────────────────
 なぜ、アバディ首相がこのようなことをいったのかというと、
ラマディがイスラム国に攻められたとき、すぐ近くに空軍基地が
あり、そこに米軍機がたくさん駐機されていたのに、出撃して支
援してくれなかったことに不満を漏らしているのです。
 それに、米軍は確かにイスラム国への空爆に参加していますが
その多くが、爆撃しないで戻ってきているのです。2015年1
月〜3月で米爆撃機は7319回出撃していますが、空爆を実行
したのは、1859回しかないのです。その理由はどこを空爆し
たらよいか情報がないからだといっているのです。
 しかし、これについてイラク政府高官は、怒りをもって次のよ
うに述べています。この記述は、国際政治学者の田中宇氏のブロ
グに基づいています。
─────────────────────────────
 ISISはシリア北部の町ラッカに本拠地があり、米軍はラッ
カのどこにISISの施設があるか知っていたが、それを空爆せ
ず温存してやっている。ラッカからイラクへの幹線国道を空爆す
れば、ISISがシリアからイラクに軍勢や武器を移動できなく
なるのに、米軍はそれもやっていない。米軍は、いくらでもIS
ISを空爆できるのにそれをせず、自由に活動させている。20
14年6月、米軍とイラク軍は第2の都市モスルをISISに奪
われたが、この際、米国がイラクに与えた2300台の装甲車が
残置され、ISISの手に渡っている。米国がISISに装甲車
をあげて支援した構図になっている。  http://bit.ly/1UJPdpw
─────────────────────────────
 このイラクの政府高官のいうことは、信じられない話ですが、
「米軍はわざと負けている」ということです。わざと勝たないよ
うにしているというべきかもしれません。その証拠にラマディが
陥落して、イラクの首都のバクダットが脅かされているのに、米
国は平然としているからです。バクダットには攻め込まないとい
う密約がイスラム国との間にあるかのようです。
 イラク政府がイラクの危機を米国側に訴えても、米国は次のよ
うな冷たい態度をとったのです。
─────────────────────────────
      米国はイラクの安全に責任を持たない
                ──米政府高官
─────────────────────────────
 イラクは間違った情報を基にして米国に不当にも戦争を起こさ
れ、国内を滅茶苦茶にされた国です。独裁者であるとはいえ、国
内をきちんと治めていたフセイン大統領を排除した結果、国内を
収拾のつかない宗教対立の混乱に陥れています。
 オバマ大統領はイラクからの撤退を公約に掲げて大統領選を制
し、2009年1月20日、大統領に就任しています。そして公
約通り、かなり強引に、2011年12月18日に米軍をイラク
から撤退させています。
 しかし、その時点ではイラクは依然として政治的には不安定な
状態だったのです。イスラム教のシーア派、スンニ派、クルド民
族が合意した権力分担は既に行き詰まり状態にあったし、シーア
派主導の政府がスンニ派の副首相を更迭するよう議会に求めたほ
か、治安筋によると、スンニ派の副大統領に対する逮捕状も出さ
れているという状況だったのです。
 それでいて、イスラム国に攻め込まれる危機に対して、頼りの
米軍から「米国はイラクの安全に責任を持たない」といわれたの
では、イラク政府としてはたまったものではないと思います。あ
まりにも米国は無責任といわざるを得ないのです。
 米国の態度に不安を覚えたイラク政府は、イランに助けを求め
たのです。これについて、既出の田中宇氏は、次のように書いて
います。
─────────────────────────────
 ラマディ陥落後、ISISがバグダッドに侵攻するのを防ぐた
め、ラマディとバグダッドの間にあるアンバール州のハッバーニ
ヤの町に、3千人のシーア派民兵団が急いで展開した。シーア派
民兵団は、イランから軍司令官が派遣され、イランの傘下で訓練
されており、イラク政府軍より強い。シーア派民兵団を、スンニ
派の地域であるアンバール州に入れると、シーアとスンニの抗争
を扇動しかねないので、イラクとイランの政府は、シーア派民兵
をラマディなどアンバール州の戦闘に参加させていなかった。イ
ラク軍を指揮する米軍と、シーア民兵を指揮するイラン軍(革命
防衛隊)が敵どうしということもある。しかし米軍は今回、シー
ア民兵のアンバール州への展開を認めた。
                   http://bit.ly/1UJPdpw
─────────────────────────────
 米国の意図は、イラクという国を、シーア派、スンニ派、クル
ドに3分割しようとしているのです。それによって、何がもたら
されるのでしょうか。  ──[現代は陰謀論の時代/111]

≪画像および関連情報≫
 ●米国の対「イスラム国」戦略は「過剰な約束」なのか
  ───────────────────────────
   米スタンフォード大学上席研究員のフランシス・フクヤマ
  と同非常勤講師で元駐アフガン米大使のカール・アイケンベ
  リーが、連名で、2014年9月23日付フィナンシャル・
  タイムズ紙に論説を寄稿し、米国は、中東において、かつて
  英国が欧州大陸に対して取った、オフショア・バランサー政
  策を見習うべきである、と論じています。
   すなわち、オバマは、ISIS(イスラム国)を「弱体化
  させ壊滅させる」として、空爆を始めたが、それは過剰な約
  束である。もっと実現性のある戦略がいる。
   オバマは、英国の伝統的な欧州大陸政策から学ぶことがで
  きる。英国は、永遠の友人を持たず、ある国が欧州の覇権を
  握りそうな時には、それに対抗する連合を支援した。オフシ
  ョア・バランス政策により、覇権国候補に対抗した。米国は
  こういう役割を果たすのに適している。米国は、シーア派と
  スンニ派の紛争を終結させる立場にはないし、シリアやイラ
  クの政治を改善する手段も持たない。米国が望みうるのは、
  17世紀欧州での30年戦争のように戦いが続かないことで
  あり、アサドやISISのような悪が完全に勝利しないよう
  にすることである。ISISは、シリアとイラクで手を広げ
  過ぎ、そのイデオロギーのアピールは狭い。空爆や地域の国
  家の地上軍の反撃にも脆弱である。地域諸国はISISの残
  虐性に鑑み、これと戦う気持ちがある。
                   http://bit.ly/24KPM5c
  ───────────────────────────

カーター米国務長官.jpg
カーター米国務長官
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2016年06月16日

●「ロシア空爆でイスラム国は壊滅か」(EJ第4299号)

 米国はイラクをどのようにしようとしているのでしょうか。
 米軍がイスラム国と戦うフリをして、イスラム国を支援してい
るのではないかという強い疑念がイラク政府にはあり、イランに
頼ろうとしているように見えます。
 イラクには、シーア派、スンニ派、クルド人の3つの勢力があ
ります。現在のイラク政府はシーア派主導の政府です。米国には
軍事支援を正式な国というか政府にしかできないという法律上の
決まりがあります。
 つまり、イラクの3勢力にそれぞれ兵器や資金を支援する場合
支援はイラク政府にしかできないので、イラク政府に渡して、分
配してもらうことになります。しかし、これら3派はそれぞれ仲
が悪いので、イラク政府は、米国にもらった兵器や資金をスンニ
派やクルド人には渡さないのです。これは当然のことであるとい
えます。敵に回る可能性の高い勢力に兵器などを渡せば、敵に塩
を送ることになるからです。
 そこで米国はシーア派、スンニ派、クルド人の3勢力を「国」
とみなして、それぞれに軍事支援ができるよう検討しているので
す。しかし、これについては、イラク政府やシーア派民兵団が猛
反発しいるといわれます。
 なぜなら、このイラク3分割案──シーア派、スンニ派、クル
ド人は、イスラエルが熱望している構想です。それぞれの勢力に
兵器や資金が渡ると、もともと仲が悪いので、内戦が激しくなる
ことが考えられます。それは、イスラエルにとって大変都合が良
いことなのです。この作戦は次のように呼ばれています。
─────────────────────────────
       3分割によるイラク弱体化・内戦化
─────────────────────────────
 正式に国と認められている勢力にしか軍事支援できないという
米国の法律では、リビアのベンガジでの反政府勢力への兵器供与
などは明らかに違法になります。もし、ヒラリー・クリントン氏
がこれに関わっていたとすると、明らかに法を冒していることに
なります。しかし、米国はシリアにおいても反政府勢力を支援し
ているので、これも違法になります。
 問題は、米国のイスラム国に対する対応です。表面的には、イ
スラム国は米国にとって敵対勢力です。何人もの米兵が殺されて
います。そのため、米国をはじめとする有志連合の各国は、空爆
を繰り返しています。
 しかし、有志連合各国は空爆はしているものの、とくに米国の
場合、出撃はしても、約半分は攻撃しないで戻ってきているので
す。米国が本気でやっているとはとても思えないのです。だから
イスラム国は依然として生き残っています。
 「空爆などいくらやっても、地上軍が出ないとイスラム国は潰
せない」ということがよくいわれます。しかし、戦地には最前線
には出ないものの、地上軍の支援のため、相当の数の米軍が軍事
顧問団として出陣しているのです。
 とくにイラク政府軍は相当の勢力になっています。その軍隊に
最新鋭の兵器と弾薬を与え、それを世界一の戦闘組織である米軍
が実戦指導をしているのですから、弱いはずがないのです。それ
に有志連合各国の空爆が加わるのです。それでもイスラム国に勝
てないとは奇怪な話です。
 しかし、イスラム国は現在、明らかに弱体化しつつあります。
どうして弱体化したのでしょうか。
 それは、ロシアのイスラム国への空爆がきっかけになったので
す。なぜなら、ロシアは米国などの空爆と違って、凄まじい空爆
を繰り広げたからです。2015年9月28日のことです。
 「マネーボイス」というサイトでは、その模様について次のよ
うに書いています。
─────────────────────────────
 ロシア軍参謀本部によると、今回の空爆で「イスラム国」はパ
ニックに陥っており、すでに600人の戦闘員が攻撃を避け、ヨ
ーロッパに逃れたとしている。
 また、「イスラム国」のほか、「アル・ヌスラ戦線」「ジェイ
シュ・アル・ヤルムーク」のなどのテロ組織の戦闘員3000人
以上が、シリア政府軍の攻撃とロシア空軍の空爆を恐れて、シリ
アからヨルダンへ逃げたと伝えられている。
 さらに、10月7日にはカスピ海からロシア海軍の4つの艦艇
から26発の巡航ミサイルがシリアに向けて発射され、ロシア空
軍のみならず海軍も「イスラム国」撃滅の作戦に参加した。
 ちなみに巡航ミサイルはイランとイラク上空を通過してシリア
に着弾するため、両国の空域上空を飛ぶ許可が必要となる。イラ
ンとイラクはロシアにこの許可を与えていた。
                   http://bit.ly/1UyxgHL
─────────────────────────────
 このロシアの空爆に関して米国は困惑しています。米軍の空爆
と比較してあまりにも大きな差が出ているからです。ロシアの爆
撃について、米国は次のようにロシアを批判しています。
─────────────────────────────
 ロシアの空爆は「イスラム国」の拠点を外しており、アメリカ
が支援しているイスラム原理主義ではない反政府勢力の「自由シ
リア軍」や、多くの民間人が犠牲になっている。
                   http://bit.ly/1UtXW0p
─────────────────────────────
 しかし、きわめてこの反論は不可解です。ここでいう「自由シ
リア軍」は、米国が支援しているとされていますが、既に実態は
なく、ほとんどはイスラム国に寝返り、現在は組織としては存在
していないといっても過言ではないのです。
 これらの米国のウソや矛盾をロシアのイスラム国への本気の空
爆が暴いたというかたちになっています。それほどロシアの空爆
は、すさまじいものであったのです。
            ──[現代は陰謀論の時代/112]

≪画像および関連情報≫
 ●ロシアのシリア空爆/BBCニュースジャパン
  ───────────────────────────
   国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、
  2015年12月23日、9月末からのロシアによるシリア
  空爆で少なくとも市民200人が死亡したという報告書を発
  表した。目撃者や支援団体の証言にもとづく内容という。
   アムネスティ・インターナショナルは報告書で、ロシアが
  シリア空爆を開始した9月30日から11月29日の間にロ
  シアの空爆を合計25回以上受けた5ヶ所について「遠隔か
  ら調査」したところ、「国際人道法の尊重が著しく欠落して
  いる」ことが示唆されたと指摘している。
   アムネスティによると、ホムス、ハマ、イドリブ、ラタキ
  ア、アレッポの各地で「爆撃とその後の状況を目撃した16
  人から、電話やインターネットで、聞き取り調査した」とい
  う。調査した中には医師や人権活動家も含まれる。さらに、
  空爆に関連する「音声や動画を入手・調査し」、「兵器専門
  家の助言を得て」報告書をまとめたと説明している。
   ロシア政府は繰り返し、そうした批判は「情報戦」の一環
  だとして、民間人に被害は出していないと主張している。ま
  たシリア空爆は、アサド大統領の要請を受けてのものだと説
  明している。一方で、反政府勢力や欧米諸国からは、過激派
  勢力「イスラム国」(IS)ではなくむしろ反政府勢力を標
  的にしていると批判されている。  http://bbc.in/22q3DPZ
  ───────────────────────────

ロシアによるイスラム国空爆.jpg
ロシアによるイスラム国空爆
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2016年06月17日

●「イスラエルとアルヌスラとの関係」(EJ第4300号)

 現在、イラク、シリア情勢は、非常にわかりにくくなっている
といえます。ある国にとってどの国が味方で、どの国が敵かとい
う「敵/味方関係」に偽装の部分があるので、全体構造が非常に
わかりにくくなっているのです。しかし、どの時代でも中東の混
乱の中心につねにいる国があります。どこの国でしょうか。それ
はイスラエルです。
 これらの関係をわかりやすく説明してくれているのは、国際政
治学者の田中宇氏です。そこで、以下、田中氏の「ISISと米
イスラエルのつながり」というレポートを基にして、一体イラク
とシリアで何が起きているのかについて説明します。これは、陰
謀論に深く関係してくるのです。
 添付ファイルの地図を見ていただきたいのです。シリアは南部
のゴラン高原を介してイスラエルに接しています。ゴラン高原は
もともとシリアの領土だったのですが、1967年の中東戦争の
さいイスラエルに侵攻され、その90%を占領されてしまったの
です。その状態が現在まで続いています。
 停戦ラインとして非武装地帯が設けられており、1974年か
ら停戦維持のために国連の監視軍(UNDOF)が駐留していま
す。添付ファイルの右側の地図を参照してください。現在ここに
変化が起きているのです。
 2011年のことです。アサド政権に対して叛旗を翻したイス
ラム過激派を中心とする反政府勢力の台頭によって、シリアは内
戦に突入したのです。これによって、ゴラン高原にも変化が起き
つつあります。
 反政府勢力の中心には「ヌスラ戦線」(以下、アルヌスラ)が
います。このアルヌスラが2014年の夏以来、ゴラン高原西部
のイラク政府軍を攻撃し、そこを占領したのです。そして、国連
の監視軍をゴラン高原のイスラエル側に追い払い、イスラエルと
対峙するようになります。アルヌスラにとってはイスラエルも敵
のひとつであり、イスラエルとアルヌスラの戦争がいつはじまっ
ても不思議ではない情勢になったのです。
 しかし、ここで奇怪なことが起こります。イスラエルとアルヌ
スラは戦争どころか、イスラエルはゴラン高原の非武装地帯を通
じてアルヌスラの負傷兵を受け入れ、野戦病院で治療をしたり、
イスラエル側は何やら木箱に入った支援物資をアルヌスラに渡し
たりしているのです。このようなことは、メディアは絶対に報道
しないのですが、そういうやり取りを見ている国連監視軍は、報
告書に次のように報告しています。田中宇氏のレポートです。
─────────────────────────────
 イスラエルが、停戦ライン越しにアルヌスラを支援するように
なったのは13年5月からで、それ以後の1年半の間に千人以上
の負傷者をイスラエル側の病院で治療してやっている。イスラエ
ル側は、シリアの民間人に対する人道支援と位置づけているが、
負傷者はアルヌスラの護衛つきで送られてくるので、民間人でな
く兵士やアルヌスラの関係者ばかりと考えられる。イスラエルの
ネタニヤフ首相は14年2月にゴラン高原の野戦病院を視察して
おり、これは政府ぐるみの戦略的な事業だ。国連監視軍は14年
6月にも、イスラエルがアルヌスラを支援していると指摘する報
告書を出している。          http://bit.ly/1PuZ1zk
─────────────────────────────
 米国も怪しい動きをしています。添付ファイルの地図を見てい
ただきたいのですが、シリアとイスラエルに接しているヨルダン
には米軍基地があります。ここで米軍は、アサド反政府勢力に軍
事訓練を施しているのです。
 米軍がこのような支援をするのは、あくまで「自由シリア軍」
ということになっています。米国CIAが主導してアサド政権か
ら離脱させた勢力(穏健派と称されている)ですが、既に述べた
ように、この勢力は今やその実態はなくなっています。
 しかし、あくまで米国は自由シリア軍は存続していると主張し
ていますが、それはあくまで本国向けのスタンスです。実際は、
米欧からさまざまな支援──兵器や食料などを受けるための「窓
口」と化しているのです。そのため、実際に支援物資を受けたり
軍事訓練を施されているのは、実質的にはアルヌスラかイスラム
国なのです。米軍はそのことに気が付いているのに、気づかない
ふりをしています。そして、シリアからヨルダンの米軍基地への
行き帰りはゴラン高原のイスラエル領を通っているのです。した
がって、アルヌスラがゴラン高原をシリア政府軍から奪ったのは
そのルートを確保するためだったのです。
 もうひとつ知っておくべきことがあります。シリアとイスラエ
ルに国境に接しているレバノンという国があります。レバノンに
は、シーア派イスラム主義の政治組織「ヒズボラ」があります。
このヒズボラとイランの軍事顧問団がシリアのアサド政権を支援
しているのです。このシリア政府軍、イラン軍事顧問団、そして
ヒズボラの3つは「シリア・イラン連合軍」と呼ばれているので
す。この連合軍は、アルヌスラが占拠しているゴラン高原の停戦
ラインを奪還しようと攻勢をかけてきています。
 その動きが2015年1月にあったのです。イスラエル軍は無
人戦闘機をシリア領空に飛ばし、ゴラン高原近くのシリア政府軍
の拠点を空爆しているのです。これによって、ヒズボラ兵士やイ
ランの軍事顧問団の何人かが殺されています。
 ややこしいのは、表面的には、イスラエルとアルヌスラとは基
本的には敵同士なのです。しかし、その実情は現在のところ、上
記のようにかなり違うのです。はっきりしていることは、イスラ
エルにとってヒズボラは明確に敵であるということです。
 2015年1月のイスラエルによるシリア・イラン連合軍への
攻撃についてイスラエルは、「ヒズボラから攻撃を受ける恐れが
あったので、先制攻撃をした」と発表しています。このイスラエ
ルという国はどういう国なのでしょうか。彼らがいまやっている
ことはどういう意図に基づいているのでしょうか。
            ──[現代は陰謀論の時代/113]

≪画像および関連情報≫
 ●シリア反体制派、ゴラン高原の検問所を占拠
  ───────────────────────────
  CNN/イスラエルとシリアの境界にあるゴラン高原のクネ
  イトラ検問所がシリア反体制派の支配下に入ったことが20
  14年8月28日までに分かった。イスラエル軍と英国に拠
  点を置くシリア反体制派組織「シリア人権監視機構」が明ら
  かにした。イスラエル軍によれば、検問所を襲撃したグルー
  プには国際テロ組織アルカイダ系の武装組織「ヌスラ戦線」
  も含まれるという。
   ゴラン高原の活動家シャミル・ジョラニ氏によれば、攻撃
  にはヌスラ戦線とは別のイスラム主義組織を含む複数のシリ
  アの反体制派組織も参加したという。シリア軍は反体制派を
  戦闘機で攻撃したが、イスラエルとの協定で検問所への攻撃
  はできないため、占領を止めることはできなかったという。
  この攻撃でイスラエル軍兵士1人が軽傷を負った。また、イ
  スラエル軍は報復としてシリア軍の陣地2カ所を攻撃した。
  重武装したイスラエル軍にとって、シリアの反体制派は大き
  な脅威ではない。だが国連平和維持活動(PKO)の国連兵
  力引き離し監視軍(UNDOF)をはさんで、両者が目と鼻
  の先で対峙しているという事態は、地域不安定化の新たな火
  種とも言える。昨年6月にもクネイトラ検問所はシリア軍と
  反体制派の戦闘の舞台となった。これをきっかけにオースト
  ラリア軍がUNDOFから撤退。イスラエル軍は新たな部隊
  と戦車を国境地帯に送り込んでいた。
                   http://bit.ly/1YsTEYr
  ───────────────────────────

イスラエル/シリア/レバノン.jpg
イスラエル/シリア/レバノン
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2016年06月20日

●「イスラエルがISを支援する理由」(EJ第4301号)

 アルヌスラとイスラム国──もともとは一緒の組織だったので
すが、現在はアルヌスラからイスラム国が分派し、両者は敵対関
係にあるということになっています。
 しかし、田中宇氏によると、両者は敵対するライバルのふりを
しているものの、実は味方で、対立する別々の組織を演ずる策略
をしている可能性があるというのです。
 ジョージ・タウン大学のダニエル・バイマン教授は、「ISI
Sとアルカイダが1つになる日」という論文で、両者の合体はあ
り得るといっています。
─────────────────────────────
 アルカイダはISISに脅威を感じている。しかも拠点とする
パキスタン国境地帯は、米軍の執拗なドローン攻撃にさらされて
いる。危険なので拠点をシリアに移し、ISIS並みの独自「国
家」を樹立する計画だとの報道もある。
 その場合、アルカイダとISISは今以上に凄惨な主導権争い
を繰り広げるのか、それとも小異を捨てて合体し「国力」の強化
を図るだろうか。
 アルカイダは対米テロ攻撃を最優先し、ISIS独自国家の樹
立・拡大を最大目標に掲げる。ただし、もとをただせばISIS
はイラクにおけるアルカイダの下部組織だった。それに、両者の
幹部クラスは、スンニ派のジハード(イスラム聖戦)派として、
かつてアフガニスタンやイラクで共に戦った仲間。資金源も似通
っているし、戦闘員の調達先も重なっている。
     ──ダニエル・バイマン(ジョージタウン大学教授)
   「ニューズウィーク/日本版」/2016年6月14日号
─────────────────────────────
 アルヌスラとイスラム国が一体であるとすると、少なくともこ
れらの勢力は、イスラエルにとっては敵のはずです。それなのに
イスラエルはゴラン高原の非武装地帯を通じて、これらの勢力を
支援しています。これはどうしたことでしょうか。
 前号で述べたように、アルヌスラについては、イスラエルは間
違いなく、負傷兵を受け入れたり、支援物資を与えたりしている
ことは確かですが、イスラム国まで支援していたのでしょうか。
 イスラム国の指導者はバクダディという人物です。この人物は
米国をはじめとする有志連合軍の空爆で負傷していますが、イス
ラエルの野戦病院で治療を受けています。ネット・ジャーナリス
トのリチャード・コシミズ氏の著書に次の情報があります。田中
宇氏のいう「イスラエルは、アルヌスラとイスラム国を助けてい
る」という情報と一致しています。
─────────────────────────────
 テロ組織ISISの首領アルバグダディ師が、イラクとシリア
の国境付近の町カイムへの空爆で負傷し、治療のためイスラエル
に渡航しました。イラクの通信社アルヤウム・アルサーメンによ
ると、ISISの一団が占領地ゴラン高原へ行き、そこからイス
ラエルに入ったところが目撃されているということです。ドイツ
の諜報機関に属するある関係者は、「アルバグダディは、国境付
近におけるISISのリーダーの一行への空爆で重傷を負った」
と語りました。アルバグダディ師は、ゴラン高原地帯に入るとと
もにイラク軍と対ISIS有志連合軍の戦闘機の標的から外れた
地域で治療を受けています。フランスの新聞ル・モンドも、「カ
イムへの戦闘機の攻撃で、ISISのリーダーの一団が標的にさ
れたが、その中にはアルバクダディも含まれていた」と報じてい
ます。             ──リチャード・コジミズ著
   『これが真相だ!パリ八百長テロと米国1%の対日謀略』
                        成甲書房刊
─────────────────────────────
 ところで、なぜイスラエルは、イスラム国のバクダディ氏を助
けるのでしょうか。
 それは、アルヌスラとイスラム国が、シリア・イラン連合軍と
戦ってくれているからです。シリア・イラン連合軍とは、シリア
のアサド政権軍、イラン軍事顧問団、そしてレバノンのヒズボラ
のことであり、いずれもイスラエルの難敵なのです。つまり、敵
の敵は味方というわけです。
 イスラエルとしては、この内戦は勝負がつかないように、いつ
までも続いていて欲しいのです。したがって、もしアルヌスラや
イスラム国が劣勢になれば、武器を供与して、シリアの内戦が終
わらないように、絶妙なバランスをとっているのです。
 さらにイスラエルは、イランが核兵器を開発しているという情
報を米国に流し、米国とイランが手を結ぶことのないように画策
してきたのです。そのため、米国はイランに対してこれまで経済
制裁をかけてきたのです。これはイスラエルにとって、きわめて
都合のよい事態です。
 しかし、最近になってオバマ大統領は、今年の2月にイランの
核兵器疑惑の“濡れ衣”を解き、イランの経済制裁の解除を決め
ましたが、これはイスラエルにとって最悪なのです。なぜなら、
これによってイランが強くなり、シリア・イラン連合軍によって
アルヌスラやイスラム国が追いつめられるからです。
 これに危機感を抱いたイスラエルのネタニアフ首相は、米政界
に圧力をかけるため、2016年3月に訪米し、オバマ大統領に
は会わずに米議会でイランを非難する演説を行っています。これ
は、明らかにオバマ大統領に対する圧力です。
 これに対してオバマ政権はイスラエルに報復しています。イス
ラエルは表面上は核保有国にはなっていませんが、核兵器を持っ
ていることは確実です。これに対してオバマ政権は、米国がイス
ラエルの核兵器開発を技術供与したことを示す1980年代の国
防総省の報告書を機密解除しています。これによってイスラエル
が秘密裏に核兵器を保有していることが明らかになったのです。
このようにイスラエルは、アルヌスラやイスラム国をけしかけて
イラクやシリアの内戦状態を維持させようと、さまざまな仕掛け
をしているのです。   ──[現代は陰謀論の時代/114]

≪画像および関連情報≫
 ●イラン 制裁解除巡り米にさらなる対応求める/6月16日
  ───────────────────────────
   イランは、経済制裁が解除されたあとも外国の銀行との取
  引が正常化していないなどとして、制裁を主導してきたアメ
  リカにさらなる対応を求めました。イランのザリーフ外相は
  15日、訪問先のノルウェーで、アメリカのケリー国務長官
  と1時間余りにわたって会談しました。
   イランでは、欧米などとの合意に基づいて、ことし1月に
  核開発に関連する経済制裁が解除されましたが、外国との銀
  行取引の正常化や凍結された資産の返還が思うように進んで
  いません。銀行などにとっては、アメリカがイランに科して
  いるほかの無数の制裁に、図らずも違反してしまうという懸
  念が強く、イランのメディアによりますと、ザリーフ外相は
  懸念を払拭(ふっしょく)するためには、アメリカ側の踏み
  込んだ対応が必要だとの認識を示したということです。
   会談のあと、ケリー長官は「誠意を見せることは重要だ」
  などと述べ、どのような取引が許されるのかについて、より
  明確にしていく意向を示しました。
   イランは、最高指導者のハメネイ師が「相手が合意を破る
  のであれば、それを燃やしてやる」と述べるなど、欧米側へ
  の不満を強めていて、今回の会談が、イランが強く望んでい
  る銀行取引の正常化などにつながるのか注目されます。
  ──NHKニュース・ウェブ    http://bit.ly/28Mjsn7
  ───────────────────────────
イスラム国指導者/アル・バクダディ氏.jpg
イスラム国指導者/アル・バクダディ氏
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2016年06月21日

●「イスラム国の指導者の正体は何か」(EJ第4302号)

 イスラム国指導者アル・バクダディなる人物の正体について、
とんでもない情報があります。
 2015年2月のことです。BSフジの「プライムニュース」
に出演した飯島勲内閣官房参与は、次のような驚くべき発言をし
ているのです。
─────────────────────────────
 ISの一番頭の、いわゆるバクダディと称する、本名はサイ
 モン・エリオット。これ、ユダヤ系の人物なんです。同時に
 ある某国の、私のインテリジェンス(スパイ活動)では工作
 員もやっていた。        ──飯島勲内閣官房参与
                  http://bit.ly/1UUaPzq
─────────────────────────────
 これは驚くべき発言です。中東で大暴れしているイスラム国の
頭目がイスラエルのモサド工作員であるサイモン・エリオットと
いう人物だというのですから・・・。
 これが本当であるとすると、イスラエルがバクダディなる人物
の負傷を治療したり、アルヌスラやイスラム国に兵器や食料など
の物質を援助するのは、腑に落ちるのです。
 ところで「モサド」とは何でしょうか。
 モサドはイスラエルが世界に誇る対外情報機関です。いわばイ
スラエルのスパイ組織です。「モサド」とはヘブライ語の「諜報
及び特別工作」の略で、主に国外での情報収集を任務としている
のです。各情報機関は、首相も出席する「インテリジェンス・コ
ミュニティー」と呼ばれる定例会議で情報交換を行なっています
が、議長はモサドの長官が務めるのです。
 上記の飯島参与の発言について調べてみると、どうやらこれは
エドワード・スノーデン氏から出てきた情報です。スノーデン氏
は現在もロシアに滞在しているので、ロシアサイドからの意図的
なリークであると思われます。
 そのスノーデンサイドからの情報と思われる決定的な写真を添
付ファイルにしてあります。添付ファイルをご覧ください。写真
は2つありますが、上の写真の赤い丸で囲まれている人物がサイ
モン・エリオット(バクダディ)氏です。下の写真についても同
様です。
 問題なのは、上下の写真に写っている白髪の人物です。この人
物は、ジョン・マケイン米上院議員なのです。2000年の大統
領選挙で、ジョージ・ブッシュ氏と共和党の指名を争って敗れ、
2008年の大統領選では共和党の指名は獲得したものの、本選
挙で民主党のオバマ氏に敗れたあのマケイン氏です。
 どうしてマケイン氏がサイモン・エリオット(バクダディ)と
同じ写真に収まっているのでしょうか。これによって、イスラム
国の頭目のバグダディなる人物が架空の指導者であることがわか
ります。
 マケイン氏といえば、米国の軍産複合体系のタカ派議員であり
中東にはよく行っているのです。2015年1月20日に安倍首
相はイスラエルを訪問していますが、そのときマケイン米上院議
員と現地で会い、懇談しています。果たしてこれは、偶然なので
しょうか。
 このとき、安倍首相はイスラム国と戦う支援金として2億ドル
を中東諸国に供出すると表明したのですが、なぜこの時期にわざ
わざイスラエルに行って、そのようなことをしたのでしょうか。
そのため、イスラム国は日本人2人の身代金としてその2億ドル
はこっちに寄こせと要求してきたのです。日本政府は中東情勢の
本当のからくりを理解しているのでしょうか。安倍首相のイスラ
エル訪問について田中宇氏は次のように書いています。
─────────────────────────────
 安倍首相のイスラエル訪問は、安倍がイスラエル現地で会った
マケイン米上院議員ら、米政界の軍産イスラエル系の勢力からの
要請を受けて行われた(イスラエルはパレスチナ問題で欧州に経
済制裁される分の投資や貿易を日本に穴埋めさせたい)。
 安倍は軍産イスラエルに頼まれてイスラエルを訪問し、訪問と
ともにISISに人質事件を起こされ、軍産イスラエルの新たな
テロ戦争に見事に巻き込まれた。日本は、ISIS人質殺害事件
を機にイスラエルとテロ対策で協調を強めようとしているが、こ
れは防火体制を強化する策を放火魔に相談するのと同じで、とて
も危険だ。              http://bit.ly/1PuZ1zk
─────────────────────────────
 このように驚くべき情報が次々と出てきす。日本ではこの手の
情報はすべて「陰謀論」とされ、報道されることはないのです。
しかしネットではほとんどの情報が出ているのです。情報を分析
すればすべてわかります。それに日本では国として諜報機能(イ
ンテリジェンス)が弱く、そういう情報が外交においてどこまで
生かされているかきわめて疑問です。
 イスラエルと対立しているイランは、イスラム国について疑問
を持っており、次のように、そのからくりについて、正確に把握
していることがわかります。
─────────────────────────────
 イランのアーモリー・ラーリージャーニー司法府長官などは、
米欧がISISの創設に関与し、資金や政治面で支援していると
断言している。つまり、米欧のシオニストのことを言っているの
だ。同じくイランの外交官は、「西側諸国で公開された資料によ
り、ISISやその他のテロ組織の主な支援者はアメリカ、シオ
ニスト政権、サウジアラビアであるという結論に達した」「こう
した資料に注目すると、イスラエルがテログループを支援してい
ることは完全に明らかである」とまで言及している。
                ──リチャード・コシミズ著
   『これが真相だ!パリ八百長テロと米国1%の対日謀略』
                        成甲書房刊
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/115]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜ、イスラム国の指導者がイスラエルの工作員であること
  に触れられないのか?
  ───────────────────────────
   IS(イスラム国)の最高指導者バグダディ氏の正体が、
  イスラエル諜報機関のサイモン・エリオット氏であるという
  説は、日本のメディアではなるべく触れないことにしている
  ようだ。専門家やジャーナリスト評論家などへの質問として
  も、まず、出てこない。その理由は「それを言っちゃあ、み
  もふたもない」からか?この説に反対意見の人も受け入れる
  意見の人も、どららも、なんの証拠も確信も持ててないから
  か。こういうことを前提に、ちょっと、周辺情報論で、陰謀
  論も避けずに攻めてみたい。
   2014年9月に、日本人捕虜湯川さんの裁判に絡むとい
  うことで、日本から、イスラム教徒の中田考さんが招聘され
  もう1人のイスラム教徒常岡さんも同行を許された。2人は
  約束通りISに入国できて案内役と合流し、裁判立ち合いは
  実現しなかったものの、2人とも特に問題なくISから出国
  できている。この「当たり前のこと」が約束通り行われたと
  ころに、カトケンとして、ISの組織に欧米的なモノを感じ
  た。それは、カトケンのイスラム圏に対するイメージとして
  「日本人が考える当たり前のことが約束通りに運ばない」と
  いうものが強いからだ。おそらく、イスラム圏に強い中田考
  さんは、カトケン以上に「イスラム教国の行政システムはス
  ムーズになんか動かない」ということを熟知していることで
  あろう。             http://bit.ly/1leolkD
  ───────────────────────────

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バクダディとマケイン
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2016年06月22日

●「シーア派とスンニ派の歴史的違い」(EJ第4303号)

 世の中には、メディアで報道している事実や、その道の権威の
いっていること以外信じない人が大勢います。そうではなくて、
物事には必ずウラの事実があることを伝えるべく、今年の1月か
ら今回のテーマを書いています。
 日本では、一般に周知されている以外のことをいうと、たちま
ち陰謀論者のレッテルを貼られてしまいます。しかし、その陰謀
論者のいっていることの方が正しいことがたくさんあるのです。
むしろ本当のことを隠そうとして、それらの文書にレッテルを貼
り、読ませないようにしているのです。そんな本を読んでいると
軽蔑される雰囲気を巧みにつくっているのです。
 現在EJでは、イスラムのことを書いていますが、この世界を
理解するには、次のイスラム教の二大宗派について正確な知識を
持つことが必要です。
─────────────────────────────
           1.シーア派
           2.スンニ派
─────────────────────────────
 中東情勢の本を読むと、この二大宗派の話が必ず出てきます。
しかし、必ずしもわかりやすくないのです。そこで少し陰謀論的
アプローチをしてみることにします。
 中近東のイスラム世界の文化には大別すると、次の2つの潮流
があります。
─────────────────────────────
         1. ペルシャ系文化
         2.遊牧系トルコ文化
─────────────────────────────
 アラブ中東地域に住んでいる人は、基本的には遊牧民です。移
動生活が基本なのです。遊牧民は国境を「線」ではなく「面」で
とらえようとします。国家というものの考え方が違うのです。つ
まり、国境線で囲まれた特定範囲が国家ではなく、自分たちが活
動できる領域が国家ということになります。民族的な対立などで
自由に活動できない地域が他国ということになります。この考え
方はイスラム国のそれによく似ているといえます。
 ペルシャ、イスラム、オスマンなどの大帝国といっても、地図
に載っている領域をすべて支配し、管理していたわけではないの
です。大体この領域が支配地域であるというレベルです。
 ペルシャ帝国といえばかつてのアラブの覇者ですが、イランで
生まれ、最も古いメソポタミア系の文化の流れを汲んでいます。
オスマントルコは19世紀末までは巨大な帝国だったのですが、
第1次世界大戦で破れて解体され、大半の領土を奪われて現在の
トルコになっています。
 そのとき、英国、フランス、米国の欧米列強国は、石油資源な
どの利権を基にして、自分たちの都合のよいように、勝手に国境
線を引いて国をつくったのです。このようにして、トルコ、シリ
ア、イラク、イランなどができています。
 しかし、そのとき、その土地に長く住む部族の歴史的背景など
はまったく考慮されず、国境の線引きが行われたのです。当然住
民からは強い不満が出たのです。
 なぜなら、これまでなら自由に行き来できた場所に国境線が引
かれると、そこに行くと不法入国になってしまうからです。これ
に関して訪米列強国は、ちゃんと手を打っているのです。国を支
配する国王や独裁者に対して、石油利権の一部を譲渡し、国の国
境線を守らせたのです。国を守ることによって、自分に莫大なカ
ネが入ってくることを知り、権力者は一転して国というものに執
着するようになったのです。
 ベンジャミン・フルフォード氏によると、ペルシャ系文化圏と
遊牧系トルコ文化圏という性格の異なる文化圏をゆるやかにまと
めたのが「イスラム教」であるというのです。
─────────────────────────────
 イスラム教については、興味深い情報がある。バチカンに拠点
を持つイタリア・フリーメイソンの関係者は「イスラム教はバチ
カンが作った」といっているのだ。
 ローマ帝国の国教となり、ヨーロッパ全般に広がったローマ教
会はさらに当時、先進国だった中近東への拡大を目論んでいた。
当時のペルシャは多神教やゾロアスター教(拝火教)を信仰して
いた。一神教を広めるために遊牧文化圏のアラブの特性に合わせ
てキリスト教をローカライズしたのが「イスラム教」だというの
だ。彼らの情報によればマホメットもコーランもバチカンによっ
て指導、製作されたものらしい。
 ようするにアラブの遊牧民に受けやすい「一神教」としてイス
ラム教を普及、そのイスラム教指導者を裏から支配するという計
画である。        ──ベンジャミン・フルフォード著
          『崩壊するアメリカ/巻き込まれる日本/
    2016年、新世界体制の成立』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 そのようにして生まれたのが二大宗派といわれる「シーア派」
と「スンニ派」です。これら2つの宗派を分けるのは、宗教指導
者と権力者の関係です。
 シーア派というのは、宗教指導者を最高指導者(カリフ)とし
て仰ぎ、権力者(国王や大統領)は世俗管理を行う代理人という
位置づけです。イランはまさにこの体制です。
 これに対してスンニ派では、あくまで権力者が最高指導者であ
り、それを指導するのが宗教指導者という位置づけです。サウジ
アラビアがその体制です。
 遊牧民が社会のベースになっている場合は、独裁権の強い方が
社会は安定するので、スンニ派が合っています。イラクでは少数
派のスンニ派のフセイン大統領が独裁支配していたのに対し、イ
ランでは米国傀儡のパーレビ国王が権力を握っていましたが、シ
ーア派のイラン人が国王を追い出し、ホメイニ師をカリフにして
います。        ──[現代は陰謀論の時代/116]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜスンナ派とシーア派は 争うのか?/塩尻和子
  ───────────────────────────
   宗教集団を統率する本罪制度を持たないイスラームでは、
  当初から正統と異端を区別する意識はなかった。宗教的少数
  派も、基本的な教義から外れさえしなければ、少なくとも宗
  教上は異端として迫害されることもなく、同じモスクで祈り
  ともにメッカ巡礼に出かけ、近所付き合いをして姻戚関係を
  結ぶこともできた。歴史の過程で分派間の確執や紛争が生じ
  るのは、政治的覇権や経済的利害問題が背景にある時に限ら
  れてきた。昨今、イラクでは、スンナ(スンニ)派を中心と
  した「イスラーム国」がシーア派を敵視して大きな国際問題
  となっているが、その要因も「宗教的な宗派対立」ではない
  ことに注意する必要がある。
   イスラーム初期の分派発生が、預言者ムハンマドの後継者
  争いという政治的闘争によるものであったことも、こうした
  特徴をよく示している。ムハンマドの従弟で女婿であるアリ
  ーがようやく第4代「カリフ」(共同体の指導者)に就任し
  た際、当時シリア総督であったムアーウィヤは彼のカリフ位
  就任を認めず、二人はシッフィーンの戦いで対峙することに
  なった。アリー軍は戦闘では優勢だったが、敵側の戦略に嵌
  まって停戦協定を結びそれに反発したかつての味方が661
  年にアリーを 暗殺するという事態が生じてしまった。
                   http://bit.ly/28KwwBZ
  ───────────────────────────

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アラブ・イスラム世界
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2016年06月23日

●「サウジアラビアの2つの柱の危機」(EJ第4304号)

 シーア派とスンニ派──数からいうと、シーア派は世界のイス
ラム教徒人口の10〜20%に過ぎず、多数派はスンニ派という
わけです。代表的な国としては、シーア派はイラン、スンニ派は
サウジアラビアです。
 実は、このサウジアラビアがいろいろな意味で現在注目されて
いるのです。ところで、われわれ日本人はサウジアラビアという
国についてどれほどのことを知っているでしょうか。
 サウジアラビアと聞いて頭に浮かぶのは、砂漠、ラクダ、金持
ちの王様、そして白のシーツのような衣装をまとい、頭にも白い
布をかぶったヒゲの男性といったところでしょうか。なぜか、女
性のイメージは浮かんでこないのです。
 サウジアラビアという国名は、「サウド家のアラビア」という
意味であり、王室と有力部族が権力を握っています。まるで幕藩
時代の日本のようです。世界最大級の石油産出量を誇るが、その
収入はすべて王室が支配しているのです。その代り、税金はほと
んど取らず、国民に手厚い福祉を提供しています。
 しかし、ベンジャミン・フルフォード氏は、サウジアラビアを
「世界で最も異端の国」といっています。なぜ、異端の国かとい
うと、現代においても宗教警察が道端で鞭打ちの刑を平然と行っ
ているからです。これは、サウジアラビアが単なるスンニ派の国
ではなく、「ワッハープ」という極端に厳しい戒律と男尊女卑を
教義に据えているいわば「カルト」だからです。実はこれとイス
ラム国とは無関係ではないのです。
 このサウジアラビアについて、情報史研究家の柏原竜一氏は自
著で次のように述べています。
─────────────────────────────
 サウジアラビアはサウド家という王室により統治されている。
サウド家とワッハーブ派イスラム教との関係は、サウド家がワッ
ハーブ派を守り、ワッハーブ派はサウド家の王位の正当性を承認
するというものだ。サウジアラビアはワッハーブ派のイスラム法
(シャリーア)の解釈を受け入れ、イスラム聖職者が、教育その
他の分野で強い発言権を持つ。宗教指導者が国政における要職を
占め、王室のメンバーと婚姻を結ぶ。
 サウジ国王は、湾岸戦争の際に米軍に協力を求めるといった重
大な決定を正当化するのに宗教指導者に支援を求める。そして、
王室であるサウド家は、自らを信心深いスンニ派のイスラム教徒
であると主張することで、アラブ民族主義や、共産主義、それに
イランのシーア派イスラム原理主義のような外部のイデオロギー
に対抗してきたのだ。            ──柏原竜一著
       『陰謀と虐殺/情報戦から読み解く悪の中東論』
                       ビジネス社刊
─────────────────────────────
 サウジアラビアは、これまで一貫して「親米」を貫いているの
です。とくに1990年から1991年にかけての湾岸戦争を契
機に湾岸地域における米国の軍事プレゼンスは大きく拡大してい
ます。サウジアラビアには米軍が駐留しているのです。
 現在サウジアラビアを支えているのは、次の2つの柱です。し
かし、現在、この2つの柱が揺らいでいるのです。
─────────────────────────────
        1.石油資源による莫大な富
        2.ワッハーブ派イスラム教
─────────────────────────────
 第1の柱は「石油資源による莫大な富」です。
 今までこの柱は、文字通りサウジアラビアを支えていたのです
が、原油安によってこの柱が大きく揺らいでいるのです。何しろ
サウジアラビアのGDPの半分、歳入の80%が石油関連産業に
依存しているのです。
 したがって、原油価格の下落は即座にサウジアラビアの大幅な
減収に直結するのです。2015年はその財政赤字を補うため、
600億ドル(約7兆円)もの金融資産を取り崩して対応したの
ですが、それでも足りなかったので、2015年7月には40億
ドルの国債を発行しているのです。
 そのため、2016年度は歳出を14%削減するとともに、一
部国有組織の段階的民営化、付加価値税の導入、たばこへの課税
も行う方針です。加えて向こう5年間の補助金見直し計画の一環
として、燃料や電気、水道料金の引き上げまで打ち出すという深
刻さです。
 第2の柱は「ワッハーブ派イスラム教」です。
 サウジアラビアでは、宗教は自己のアイデンティティそのもの
なのですが、最近それが大きく落ちているのです。
 「自己のアイデンティティーをどこへ求めるか」という世論調
査において、サウジアラビアは次の数字になっています。
─────────────────────────────
         イスラム教徒 ・・・ 47%
           アラブ人 ・・・ 34%
      サウジアラビア国民 ・・・ 19%
─────────────────────────────
 これによると、サウジアラビアの場合、イスラム教徒とアラブ
人と答える人が圧倒的に多く、サウジアラビア国民であるという
人がきわめて少ないのです。同じ王国であるヨルダンでは58%
がヨルダン国民という回答であり、サウジアラビア国民の国家へ
の求心力が極端に小さいことがわかります。
 それではどうすれば求心力を高めることができるでしょうか。
 それは、第2の柱であるワッハープ派の信仰を対外的に広める
ことによって、サウド家の統治の正当性を獲得する必要がありま
す。それはいくらカネがかかってもやらなければ国家としての存
続が危うくなります。
 これと矛盾するのは「親米」という路線です。サウジアラビア
は、「親米」であると同時に「反米」であるという両義性を持つ
国家なのです。     ──[現代は陰謀論の時代/117]

≪画像および関連情報≫
 ●サウジアラビアのビジョン2030に黄信号
  ───────────────────────────
   IMFはサウジアラビアが2020年に財政破綻すると警
  告している。公表されたビジョン2030は原油依存から脱
  却して高度医療と観光を中心とする国を目指した構造改革で
  サルマン国王の長男であるモハメド皇太子が描くサウジアラ
  ビアの未来図である。政策の多くは湾岸諸国が以前から目指
  してきたものだが、ビジョン2030では改革案を整理統合
  し、中長期的ロードマップとして、財源を具体化した。改革
  項目ごとに数値目標が掲げられ、具体的になったものの、達
  成するハードルはいずれも高く、実現には多くの困難が予想
  される。
   ビジョン2030の中心課題は民営化である。資産価値は
  2兆ドル(日本円で約216兆円)以上とされるアラムコの
  株式の一部を一般に公開し、残りを構造改革の投資基金とす
  る。民営化スキームはクエートで1950年代に実行され湾
  岸諸国も同様の政策をとることとなった。サウジアラビアは
  原油輸出の収入で米国債を購入し米国の安全保障を受けてき
  たが、民営化により米国債売却となれば米国債暴落に結びつ
  く。労働人口の大半を周辺湾岸諸国に頼るサウジアラビアに
  とっては、インフラ整備において労働力確保は必須の条件で
  ある。そこで周辺国からの出稼ぎ外国人労働者にもグリーン
  カードを与え、労働者虐と国内雇用における人権問題の解決
  を目指す。            http://bit.ly/28MnmlX
  ───────────────────────────

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サウジ国王と安倍首相
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2016年06月24日

●「米国から離別するサウジアラビア」(EJ第4305号)

 サウジアラビアがこれまでの対米従属路線を明確に変更しつつ
あります。なぜ、対米従属姿勢をとってきたかというと、基本的
には安全保障の観点からです。1990年〜1991年の湾岸戦
争時から米軍はサウジアラビアに駐留しています。
 中東地域におけるサウジアラビアの敵は、イスラエルをはじめ
たくさんありますが、何といっても最大の敵はシーア派の大国イ
ランです。米国は、そのイランの核問題に対して、厳しい対応を
とってきており、サウジアラビアとしては親米路線をとるメリッ
トが十分あったのです。
 しかし、2013年頃からサウジアラビアは、公然と米国を批
判したり、兵器も米国以外から購入する方針を打ち出し、反米の
姿勢を鮮明にするようになっています。米国にとって深刻なのは
親米/知米派のサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン王子
が反米に舵を切ったことです。バンダル・ビン・スルタン王子と
は次のような人物です。
─────────────────────────────
 バンダル・ビン・スルタンは、2949年に初代国王の孫とし
て生まれる。1968年に英国王立空軍大学を卒業し、アメリカ
でも研修を受けた後、サウジアラビア空軍に入った。後にジョン
・ホプキンス大学で国際公共政策の修士号を得ている。彼はその
後1983年から2005年に到るまで駐米大便を務めている。
つまり、レーガン政権、ブッシュ(シニア)政権、クリントン政
権、ブッシュ(ジュニア)政権の駐米大使を務めたということで
ある。そのために、アメリカに大きな影響力を行使できる人物な
のである。         ──柏原竜一著/『陰謀と虐殺/
       情報戦から読み解く悪の中東論』/ビジネス社刊
─────────────────────────────
 これでわかるように、バンダル王子は歴代の米国の大統領とき
わめて近い人物であり、この人物が米国を見限ったということは
米国にとっては深刻なことであるといえます。
 2012年7月にアブドラ国王は、バンダル王子を総合情報局
局長に任命しています。彼に与えられた使命は、シリアのアサド
体制の打倒、それに中東におけるイランの勢力拡大の阻止の2つ
です。きわめて重要な使命です。
 しかし、米オバマバ政権は、アサド政権に対して曖昧な態度を
取り、ロシアの仲介にまかせたり、イランとの核交渉を進めて和
解の方向を目指すなど、サウジアラビアを裏切るような外交を積
極的に展開するようになります。これについて、情報史研究家の
柏原竜一氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 トルコやサウジアラビアといったスンニ派諸国が、アメリカに
反抗的な姿勢を取るようになった背景には、アメリカが同時に進
めていたイランとの核交渉がある。スンニ派諸国、とくにサウジ
アラビアは、思想的にはイスラム国に思想的には近いとはいえ、
アメリカからは距離を置きはじめた。その最大の要因は、アメリ
カのイランへの接近だったのである。重要なことは、シリア内戦
の当初には確立されていたはずのアメリカとスンニ派諸国との連
合が、イスラム国の登場により瓦解したということだ。
                ──柏原竜一著の前掲書より
─────────────────────────────
 バンダル王子をはじめとするサウジアラビア王政は、一層反米
的な姿勢をエスカレートさせています。2013年末に、イラン
傘下のヒズボラの影響力が強まったレバノンにおいて、ヒズボラ
の対抗勢力になりうるレバノン国軍に対してサウジアラビアは、
30億ドルの支援を行っています。レバノンにとって30億ドル
は2年分の軍事費に相当する金額です。
 そのさい、サウジアラビアはひとつ条件をつけています。それ
は「兵器は米国から買ってはならない。フランスから買え」とい
う条件です。レバノン国軍は、その通りに実行したので、フラン
スのオランド大統領が感謝し、返礼としてサウジアラビアを訪問
しています。
 国際政治学者の田中宇氏のレポートによると、2013年12
月17日、サウジアラビアの駐英大使を務めるナワフ王子は、米
ニューヨークタイムズ紙上で、次のような宣言を行っています。
─────────────────────────────
 シリアの最大の問題は化学兵器でなくアサド政権だ。シリアや
イランに対する米欧の政策は、中東を不安定化する。わが国は、
アラブの盟主・イスラム発祥の地・エネルギー部門の世界の中央
銀行として、米欧のやり方を看過できないので、アサドやイラン
の台頭を防ぐため独自の動きを拡大し、シリア反政府武装勢力を
支援する。米欧は、アルカイダ系が強くなったのでシリア反政府
勢力を支援できないと言うが、話が逆だ。米欧が支援しないので
アルカイダ系が強まったのだ。     http://bit.ly/28P9HdT
─────────────────────────────
 サウジアラビアは、米国のドルで原油を決済し、その莫大なる
石油収入を米国債などのドル建ての金融商品に投資し、米国に多
額の資金を提供し、ドルの基軸通貨体制を支える大黒柱の一つと
しての役割を果たしてきたのです。さらに米軍を駐留させ、安全
保障の面でも外交の面でも米国に依存してきたのです。そのサウ
ジアラビアが、米国を見限り、離れようとしています。
 改めて考えてみるまでもなく、現在のサウジアラビアの情勢は
日本の置かれた状況に酷似しています。米国の覇権は明らかに衰
退しつつありますが、日本はそのギャップを自国の憲法解釈を変
更させることによる安保法制で埋めようとしています。それは本
当に正しいことでしょうか。サウジアラビアのように米国にハシ
ゴを外される結果にならないでしょうか。
 米国の中東政策の変更によって、中東情勢は変わりつつありま
す。その底流には2つの潮流──ペルシャ系文化と遊牧系トルコ
文化が動き、復活しようとしているのです。
            ──[現代は陰謀論の時代/118]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜアメリカは距離を置くのか/存在感を増していくイラン
  ───────────────────────────
   サウジアラビアは今年初めに47人の大量処刑を行った。
  その中に反体制派のシーア派聖職者、ニムル師が含まれてい
  たため、怒ったイラン市民がサウジアラビア大使館を襲撃し
  両国は国交断絶に至った。これまで同盟関係にあるサウジに
  甘かったアメリカだが、今回はイランだけでなくサウジにも
  不快感を表明。専門家からはアメリカとサウジの関係の冷え
  込みが指摘されている。
   ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)は、サウジアラビア
  は、敵に囲まれていると指摘する。北はイスラム国、南は敵
  対するシーア派の反乱軍がいるイエメン、東はシーア派が支
  配し、サウジが最も恐れるライバル国イランだ。サウジはイ
  スラム国とイランの影響を恐れ、国内でもテロリストだけで
  なく、反体制派やジャーナリスト、人権派弁護士などを摘発
  しており、体制維持にやっきになっているという。
   ハフィントンポストに寄稿した政治学者、アリ・アルアー
  メッド氏はサウジ政府は窮地に追い込まれていると述べる。
  2016年の国家予算は、原油価格の低迷とイエメンでの戦
  費がかさんだ影響で減少。原油から得る収入は2014年に
  比べ2015年は23%も減少しているため、2016年も
  更なる落ち込みが予測されている。 http://bit.ly/28Sg42L
  ───────────────────────────

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バンダル・ビン・スルタン王子
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2016年06月27日

●「フランスもEU離脱を望んでいる」(EJ第4306号)

 2016年6月23日、英国で実施された国民投票の結果、英
国のEUからの離脱が決定しました。まさに青天の霹靂です。国
民投票という言葉は、いかにも民主主義的な響きがしますが、要
するに、多数決で決めたというに過ぎないのです。しかも僅差で
す。これで民意が反映されたとは思えません。大阪都構想の市民
投票の結果と同じです。
 ところで、キャメロン首相は、なぜ国民投票というリスクの多
い方法を選んだのでしょうか。
 ごく簡単にいうと、キャメロン首相は自身の政権(保守党)を
守るため、国民投票を約束せざるを得なかったのです。そうでな
いと、政権を維持できなかったからです。
 背景としては、ギリシャに端を発した信用不安が広がったEU
では、各国が緊縮財政を余儀なくされ、それによる国民の不満は
増大していたのです。これが伏線にあります。
 それに加えて、2004年にEUに加盟したポーランドなど東
ヨーロッパから、英国への移民が急増し、「職を奪われないか」
「EUに加盟して得られる利益よりも、負担ばかりが多くなるの
ではないか」などの不安が高まってきたのです。
 こうした不満を背景に、英国独立党は「反EU」を掲げて支持
を伸ばし、保守党の支持層を切り崩す勢いを見せたのです。保守
党の中に少なからずいた反EUの議員は「EUからの離脱」を公
然と主張し、「国民投票を実施しなければ党首のクビをすげ替え
る」とキャメロン首相に迫ったのです。
 キャメロン首相は、2013年1月、議会選挙で勝利して政権
の続投が決まれば、国民投票を実施すると公約して選挙に勝った
のです。キャメロン首相としては、国民投票をすれば残留派が勝
利し、独立党の勢いに歯止めをかけ、EU離脱派の議員を押さえ
込むことができると考えていたものと思われます。
 しかし、EU離脱派の勢いは強く、キャメロン首相の思い通り
にはならなかったのです。英国国民の非常に多くの人がEUに対
して強い不満を抱いていたからです。
 ところで、フランス国内でもEUからの離脱を望むナショナリ
ズム的な声が上がっており、EU崩壊の危機が高まりつつあるこ
とは確かです。それは、EUのシステム自体に多くの問題がある
ことを示しています。
 2016年6月現在、EUの経済は多くのリスクをはらんでい
るといえます。とくに英国とフランスは、中国に接近し、経済的
な果実を得ようとしています。英国は、2015年10月には中
国の周近平国家主席を国賓として招き、経済的関係の強化を図ろ
うとしています。
 一方、フランスでは、IMFに中国の人民元をSDR(特別引
出権)の構成通貨に入れるよう積極的に働きかけ、一部に異論は
あったものの、2015年12月9日にIMFはそれを正式に了
承しています。中国の経済に多くの不安が広がるなかで、IMF
のラガルド専務理事は積極的にそれを実現させたのです。
 経済力に余裕のあるドイツでも中国傾斜は顕著であり、メルケ
ル首相などは何回も訪中している始末です。それにEU諸国は、
中国が主導するAIIBにも率先して加盟しています。とくにド
イツの加盟は、米国に対する裏切りそのものです。
 これについて、ベンジャミン・フルフォード氏は、自著で次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 人民元のSDR入りを推進したのは、IMF専務理事のクリス
ティーヌ・ラガルドという元フランス財務大臣。彼女が2011
年、IMFの専務理事入りしたのは、やはり、同じ元フランス財
務省でIMF専務理事だったドミニク・ストロス=カーンが「失
脚」したためだが、このストロス=カーンもまた、基軸通貨をド
ルではなくSDRに切り替えようと提案した矢先に、「レイプ事
件」で逮捕、失脚した。その意味で言えば5年越しの悲願の達成
であったのだ。      ──ベンジャミン・フルフォード著
   『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/
    アメリカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 フランスはEUを構成する主要国のひとつです。ギリシャ危機
をきっかけとして、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの加盟
国の経済危機が相次いで表面化すると、フランスはドイツと共に
これらの国の国債を大量に抱え込むことになったのです。それら
はいずれも不良債権になる可能性が大なのです。実際に、この負
の財産が、世界第5位のフランスの財政にいま重くのしかかって
いるのです。
 フランスの経済の現況について、「お金の学校」というサイト
では、次のように書いています。
─────────────────────────────
 GDPというものがあります。日本語で言えば国内総生産で、
単純に説明するとある国の中で1年の間に作られた生産物やサー
ビスの金額を合計したものです。日本は現在、世界第3位の国内
総生産を誇っています。これは1位のアメリカ、2位の中国に次
ぐものです。第4位にはドイツが入り、そして第5位にはフラン
スが入ります。しかしフランスの経済がいよいよ危ない事になっ
ていると言われています。GDPでは世界5位に位置するフラン
スですが、ユーロを導入して以降その経済状態は常に不安定な状
態にあると言われ続けており、経済アナリスト会社などはもうフ
ランスの経済状態に使うネガティブな修飾詞がない状態だとまで
語っています。2014年5月には、フランスの鉱業・製造業が
ここ1年で3・7%も落ち込んだと発表され、さらにダメ押しを
するようにアナリスト達の調査によれば、「上向きになる兆しは
まったく見られない」と断言までされてしまいました。
                   http://bit.ly/28SKkap
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/119]

≪画像および関連情報≫
 ●フランス最悪大統領の迷走が止まらない/支持率17%
  ───────────────────────────
   欧州連合(EU)の時限爆弾は、フランス」と2012年
  11月にいみじくも指摘したのは英誌エコノミストだ。その
  予想通り、「欧州の病人」とまで言われるようになったフラ
  ンスが再び混乱している。
   元凶は、1958年に第5共和政になってから史上最悪の
  支持率17%を記録した社会党のオランド仏大統領。元パー
  トナーのロワイヤル前社会党大統領候補とジャーナリストの
  トリルベレールさんの三角関係に身を焦がしたと思ったら、
  女優ジュリー・ガイエさんにあっさり乗り換えたオランド大
  統領。その経済財政政策も女性関係同様、優柔不断が原因で
  迷走を極めている。
   就任直後は100万ユーロ超の高額所得者層に対する75
  %の所得税など「左派」受けする政策を打ち出したものの、
  その後はビジネス促進のための400億ユーロ減税、500
  億ユーロの歳出削減と市場重視に転換した。しかし、失業率
  は改善せず、2014年3月の地方選で大敗すると、エロー
  首相を交代させ、後任に党内穏健派で改革推進派のバルス内
  相を充てたのは良かった。しかし、党内左派を閣内に取り込
  んだのがまずかった。オランド大統領はすべてが中途半端な
  のだ。              http://bit.ly/28XBf3z
  ───────────────────────────

クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事.jpg
クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事
 
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2016年06月28日

●「パリのテロはやらせではないのか」(EJ第4307号)

 今回のテーマの最後に、パリとベルギーのテロについて、述べ
ておきたいと思います。テロの起きた日と死者の数を次に示して
おきます。
─────────────────────────────
   ◎パリのテロ
     ・2015年11月13日/死者130人
   ◎ベルギーのテロ
     ・2016年04月22日/死者 32人
─────────────────────────────
 これら2つのテロはイスラム国の犯行であるとされています。
イスラム国が犯行声明を出しているからです。しかし、これら2
つのテロには、不可解なことがたくさんあるのです。
 パリのテロは、フランスのパリ市街と郊外のサン=ドニ地区の
商業施設で、イスラム国の戦闘員と見られるジハーディストのグ
ループが銃や爆弾を使って起こした同時多発テロです。広範囲に
多発的にテロは起きています。
 ベルギーのテロは、大勢の人が集まる首都のブリュッセルのブ
リュッセル空港およびマールベーク駅で連続爆破テロとして発生
し、32人が死亡しています。
 このテロについて、ネット上では「やらせ」ではないかという
情報が広がっているのです。少なくともイスラム過激派の犯行で
はないという情報もあります。ちなみに、「ジハーディスト」と
いうのは、聖戦を信じる兵士という意味です。
 ひとつの証拠は、ジハーディストが無差別に人々を攻撃すると
きには、ある特徴のある行動を取るとされていますが、パリのテ
ロではそういう行為を見たという証言はないという点です。これ
について、ベンジャミン・フルフォード氏は、次のように述べて
います。
─────────────────────────────
 ジハーディストが攻撃をするとき、周囲の人々に「コーランを
唱えてください」と声をかける。イスラム教では同胞を殺すこと
を戒めている。イスラム教徒でコーランを読めない人間はまずい
ないので、そうして同胞がいないことを確認するのだ。
 ところが、事件の現場にいた人たちからこの確認行為を見たと
いう証言は一切、なかった。この一点だけでもテロ実行犯がイス
ラム教徒でな証拠となろう。──ベンジャミン・フルフォード著
   『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/
    アメリカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 「やらせのテロ」に付き物の現象というものがあります。代表
的なものは次の3つです。
─────────────────────────────
      1.何らかの方法で事前予告がある
      2.クライシスアクターが登場する
      3.犯行をあらわす動画公開がある
─────────────────────────────
 1は「何らかの方法で事前予告がある」ことです。
 これについては、パリのユダヤ人コミュニティに「近くフラン
スで大規模テロがある」と伝わっていたのです。さらに最大の被
害を出したバタクラン劇場では事件当日は警備員がなんと全員休
暇中だったというのです。
 911では、崩壊したWTCビルに勤務する3000人のユダ
ヤ人には直前に「出勤するな」という指令が届いてるのです。W
TCの崩壊で死亡したユダヤ人は、たまたま当ビルに訪れていた
2人だったといいます。偶然に起きる事故ではないのですから、
事前予告は出せるはずです。
 ベルギーのテロに関しては、「ブリュッセルはテロに狙われて
いる」という警告が出ていたことをベルギー当局自体が認めてい
ます。オランダ政府は、CIAからの情報として、同じ情報を入
手し、それをベルギー政府に伝えていると発表しています。
 それだけではないのです。トルコのエルドアン大統領は演説で
「ブリュッセルのテロ」を演説で警告しているのです。しかし、
ベルギー政府は何の対策も講じなかったのです。さらにブリュッ
セル空港の警備を担当していたウクライナ人が連続事故の当日に
限って不在だったのです。これは事前に犯行が伝えられていたこ
とを物語っています。
 2は「クライシスアクターが登場する」ことです。
 ところで「クライシスアクター」とは何でしょうか。一応ウィ
キペディアに次の説明があります。何となく嫌々説明している感
じのウィキペディアです。
─────────────────────────────
 クライシスアクターとは、偽りの報道を作成するさいに登場
 するとされる役者を指す言葉である。crisis actor
        ──ウィキペディア http://bit.ly/1X6sfb7
─────────────────────────────
 テロが起きればほとんどの場合、多くの人が死にます。仮にテ
ロが「やらせ」の場合でも、亡くなる人が出るのですが、そのテ
ロを一層深刻なものに見せるため、怪我人や死体役を演ずる役者
が大勢登場するのです。
 ネットに登場する一番有名なクライシスアクターを添付ファイ
ルにしてあります。この泣いている女性は、2012年7月20
日に、コロラド州の都市オーロラにある映画館で発生した銃乱射
事件(12名死亡)、2012年12月14日にコネチカット州
サンディフック小学校での銃乱射事件(26人死亡)、2013
年4月15日のボストンマラソンの爆発テロ事件、そして、今回
のパリのテロ事件にいずれも登場しているのです。
 写真を見る限り、同じ女性であると思います。どうしてこの女
性はテロにばかり登場するのでしょうか。惨事を演出するための
アクターと考えれば納得がいきます。「3」については、明日の
EJで述べます。    ──[現代は陰謀論の時代/120]

≪画像および関連情報≫
 ●テロが起きてもゆるい警備 パリは危険な街なのか?
  ───────────────────────────
   フランスは常にのんびりしている。2015年11月13
  日、パリ市内および近郊で同時多発テロが発生した。多くの
  市民が死傷し、特に市内バタクラン劇場ではおびただしい死
  傷者が出た。事件を受け、オランド仏大統領は非常事態宣言
  を発令。警察権限の強化などが行われた。
   これらニュースを日本から見ていると、フランスはとんで
  もなく危険な場所に変貌してしまったかのように思える。テ
  ロから数ヶ月経った今も「パリで暮らして大丈夫ですか?」
  という連絡をもらうことが、しばしばある。確かに普段、定
  期的にパリの情報が入ってくるわけでもないお茶の間に、連
  日テロの報道が流れれば、「パリはなんと危険な街になった
  のか」という印象を与えてしまうだろう。
   もちろんテロ直後は市民の間にも不安が渦巻いていた。周
  囲の日本人でも、親の勧めで学業半ばに帰国を決めた学生は
  いたし、会社から派遣されている駐在員の中には、妻と子供
  を先に日本に返した人もいた。観光客は一気に減り、普段予
  約が取れないレストランも、簡単に予約が取れるようになっ
  た。明らかにパリの街は沈み、一気に出歩く人が減った。し
  かし、今も人の数に若干の名残はあるものの、いつでもパリ
  は(少し皮肉を込めて)マイペースである。
                  http://exci.to/290zSmY
  ───────────────────────────

一番有名なクライシスアクター.jpg
一番有名なクライシスアクター
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2016年06月29日

●「動画に多くのウソが混じっている」(EJ第4308号)

 パリのテロで多くの犠牲者を出したパリのバタクラン劇場につ
いて知っておくべきことがあります。この劇場のオーナーはユダ
ヤ人であり、この人はいつもイスラエルのイベントを優先して開
催していたといわれます。
 これとパリのテロが関係があるかどうかはわかりませんが、何
年も前からイスラム過激派(反シオニスト集団)が標的として、
狙っていたといいます。そのためか、オーナーは、2015年
9月11日にこの劇場を売却していたのです。
 さて、「やらせのテロ」に付き物の3つの現象を再現し、3に
ついて述べることにします。
─────────────────────────────
      1.何らかの方法で事前予告がある
      2.クライシスアクターが登場する
      3.犯行をあらわす動画公開がある ←
─────────────────────────────
 3は「犯行をあらわす動画公開がある」ことです。
 このようなテロが起きると、テロの模様を示す多くの写真や動
画が必ず公開されます。しかし、今回は明らかにいつもとは違う
現象がみられたのです。これについて、ベンジャミン・フルフォ
ード氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 報道直後からいくつもの違和感があった。即座に「おかしい」
と思ったのは、これだけ広範囲で多発的に起こったにもかかわら
ず、速報のニュース映像に、一般市民がスマートフォンなどで撮
影した映像がなかった点であろう。日本でこのような事件があれ
ば、テレビ局クルーの映像ではなく、まずはスマフォで撮影した
映像がツイッターやフェイスブックを通じて世界中に流れていた
はずだ。3・11の震災で実証済みであろう。
             ──ベンジャミン・フルフォード著
   『99%の人類を奴隷にした「闇の支配者」最後の日々/
    アメリカ内戦から世界大改変へ』/KKベストセラーズ
─────────────────────────────
 今回のパリやベルギーのテロでは、劇場惨事を映した防犯カメ
ラや携帯画像がまったくというほど出てきていないのです。今や
スマホは世界中で普及しており、そのいずれにも高感度のカメラ
が搭載されています。これほど大きなテロが起きれば、テロリス
トの隙を見て撮影した画像がネット上に溢れてもおかしくはない
のですが、それがないのです。これは、このテロがやらせである
ことの一つの可能性を示しています。
 パリのテロの公開動画におかしなものがいくつかあります。そ
の一つを取り上げることにします。動画を公開したのは、フラン
スの有名な新聞「ル・モンド」紙です。
─────────────────────────────
   ≪パリのテロ/動画時間/1分33秒≫
   2階の窓から逃げようとする妊婦を捉えた衝撃映像
     仏「ル・モンド」紙  http://bit.ly/28X5D0B
─────────────────────────────
 何はともあれ、URLをクリックして、動画を全部見ていただ
きたいのです。左の建物はバタクラン劇場で、その裏手の通りで
す。3階にいた2人は、テロリストに追われ、逃げ場を失い、窓
から外へ身を乗り出して、隠れているのです。
 3階の窓の壁側には男性が一人隠れ、3階の手すりから女性が
ぶらさがっています。しかも、女性は妊婦であり、このような状
況では長く持ちません。建物の1階からは何人かの人が逃げ出し
ており、壁の2人には気がつかないようです。いやたとえ気がつ
いたとしても、建物中には多くのテロリストがおり、救出は困難
であると考えられます。下はアスファルトの舗道なので、飛び降
りることもできず、なすすべもない状況です。
 添付ファイルの「A」をご覧ください。よく見ると、女性は両
手でぶら下がっているにしてはどこか不自然です。それは、建物
の壁に対する腕の角度です。本来であれば、両手はかべに平行に
なるはずなのに、壁との間に少し角度があります。よく見ると、
妊婦の足は2階の窓の格子の上にあり、そのため、腕と壁には少
し角度ができているのです。それにしてもこの女性は相当背が高
い人であることがわかります。
 添付ファイルの「B」で3階の窓には人が現れ、女性を引っ張
り上げようとしています。しかし、これも相当の力持ちでもない
限り、引っ張り上げるのは困難です。しかし、この妊婦は九死に
一生を得たのです。
 それにしても、この「ル・モンド」紙の記者はこの映像をどの
ようにして撮影したのでしようか。妊婦がいつ落ちても不思議は
ないのに、助けもしないで、写真を撮っていたことになります。
このように考えると、妊婦はハーネスで吊られており、テロ当日
ではなく、別の日に撮った映像であると考えられます。つまり、
「やらせ」ということです。リチャード・コシミズ氏は自著で次
のように述べています。
─────────────────────────────
 どうにも違和感のあるテロである。血なまぐさい映像がほとん
ど出てこない。犠牲者120人超というが、一体、だれが犠牲に
なったのか、はっきりしない。死亡者リストも発表されていない
ようだ。「爆破」があったというが、「あれは花火であり、爆発
を偽装した」という情報も入ってくる。ボストン・テロ同様に、
ほとんど実態のないテロだったのか?そして、続報が極端に少な
い。シオニストに占拠されたメディアが沈黙するときは「忘れて
ほしい」時だ。テロの背後関係に焦点が当たっており、矛盾が噴
出しているので追及を逃れるために黙るしかないのではないか。
                ──リチャード・コシミズ著
    『パリ八百長テロと米国1%の対日謀略』/成甲書房刊
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/121]

≪画像および関連情報≫
 ●パリの襲撃事件は「ヤラセ」である
  ───────────────────────────
   世界中で起きているテロリズム(劇場)は大抵、世界戦争
  を起こして世界の資源や富を独占したい米政府やイスラエル
  政府を裏で操っている金融資本やネオコンなどのグローバル
  エリート集団と邪悪なエイリアン(悪魔)の共同演出だとい
  うことが既に明らかになっていますが、アメリカのDahb
  oo7さん(ビデオ投稿者)によれば、今回のパリの襲撃事
  件もヤラセだということを突き止めています。いくら演出で
  も、多くの犠牲者が出ている事件もありますから彼らのやり
  方は非常に残虐です。       http://bit.ly/291zGUq
  ───────────────────────────

九死に一生を得た妊婦.jpg
九死に一生を得た妊婦
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2016年06月30日

●「『陰の勢力』は一体どこにいるか」(EJ第4309号)

 今回のテーマは、2016年1月4日から書いており、本号で
122回になります。既に6ヶ月が経過していますが、今日から
最終結論部分に入り、間もなく終了し、7月上旬に新しいテーマ
に挑戦します。今回のテーマを再現しておきます。
─────────────────────────────
      今の世の中は陰謀論の時代になっている
      ─世界を動かしている陰の勢力は何か─
─────────────────────────────
 今回は、さまざまな問題を取り上げ、陰謀論とされている本も
積極的に読み込み、ネット上にある関連情報もていねいに読んで
そのウラに潜む「陰の勢力」に迫ったつもりです。しかし、6ヶ
月かけても、陰の勢力の正体に十分迫り切れているとはいえない
のです。しかし、次の3つのことがわかったといえます。
─────────────────────────────
 1.世の中で起こっていることには必ずウラがあり、真実を
   求めるためには、そのウラを探る必要がある。
 2.そのウラを仕切る勢力(寡頭勢力)は「国」という概念
   ではとらえられない勢力として存在している。
 3.メディアのほとんどはそのウラの勢力に支配されており
   彼らにとって不利な情報は絶対に出てこない。
─────────────────────────────
 陰の勢力の中心が米国に巣食っていることは確かです。何回も
いうように、米国そのものではなく、米国を支配している勢力で
す。その勢力は一体米国のどこにいるのでしょうか。
 ここで質問があります。米国の首都はどこですか。
 多くの人は「ワシントン」と答えると思います。しかし、これ
は正確ではありません。米国で「ワシントン」は2つあるからで
正しくは「ワシントンD.C.」というべきです。
 それでは「ワシントンD.C.」とは何でしょうか。「D.C.」
とは、次のような意味です。
─────────────────────────────
     District of Columbia/コロンビア特別区
─────────────────────────────
 ワシントンD.C.は、ポトマック河畔に日本から送られた桜並
木があり、春には桜祭りが開催され、日本とは縁の深いところで
す。ところで「特別区」とは何でしょうか。これに答えるには、
少し歴史を振り返る必要があります。
 米国は独立戦争の後で、どこを首都にしようかと議論になった
のです。多くの都市から首都への名乗りが上がりましたが、なか
なかまとまらない。そこで首都を創設することにしたのです。場
所の選定が行われ、最終的に議会で決定したのは、ポトマック川
付近だったのです。
 1790年7月16日に首都地域が確定し、そこを「コロンビ
ア特別領」とし、そのなかの町の名前を初代大統領ジョージ・ワ
シントンにちなみ、ワシントン市と呼称することにしたのです。
このように、当初ワシントン市は、コロンビア特別領内の独立し
た地方自治体だったのですが、1871年2月21日、第41回
連邦議会で「DC法案」が可決され、ワシントン市とコロンビア
特別領が統合されて、コロンビア特別区になったのです。この地
域は連邦議会が直接管轄することにされたのです。この連邦法を
「DC法/1871年法」と呼んでいます。
 問題はなぜそうなったかです。これは、議会が、憲法の範囲を
逸脱して、たった10平方マイルの広さのDCに政府を形成させ
たことを意味するからです。実はこれには大きな秘密が隠されて
いるのです。
 これについては、2004年にリサ・ジュリアーニなる米国の
ジャーナリストが書いた次の論文に詳しく書かれています。私は
この論文の存在をベンジャミン・フルフォード氏の本ではじめて
知ったのです。
─────────────────────────────
                   リサ・ジュリアーニ著
          「アメリカは国ではなく、企業である!」
    United States Isn't a Country─It's a Corporation!
                   http://bit.ly/1A4RRNV
─────────────────────────────
 この論文には何が書かれているのでしょうか。このリサ・ジュ
リアーニ氏の論文の前提には、南北戦争(1861年〜1865
年)があります。1870年代の米国は、南北戦争によって疲弊
していたのです。国家破産状態にあったといっても過言ではない
と思います。とにかくお金がなかったのです。そういう状況の下
で、1871年法が制定されています。
 1871年法は、それに基づいて“企業”が作られているので
すが、その名前は次のようになっています。
─────────────────────────────
        THE UNITED STATES OF AMERICA
─────────────────────────────
 すべて大文字です。しかし、アメリカ合衆国のオリジナル憲法
では小文字で「united states」 と書かれていたのです。憲法の
表現も次のように異なります。
─────────────────────────────
 ◎オリジナル憲法の表現
  The Constitution for the United States of America
  ・アメリカ各州を統合するための憲法
 ◎1871年後憲法表現
  THE CONSTITUTION OF THE UNITED STATES OF AMERICA
  ・アメリカという名の企業の憲法
─────────────────────────────
 単に小文字が大文字になっただけではないのです。オリジナル
の「for」 が「of」に変わっているのです。
            ──[現代は陰謀論の時代/122]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカで唯一「州」に属さない「ワシントンD.C.」
  ───────────────────────────
   ニューヨークはニューヨーク州、ロサンゼルスはカリフォ
  ルニア州など、アメリカ合衆国の都市は「50の州」にそれ
  ぞれ属していることは、ご存知でしょう。
   ですが、唯一特定の州に属していない都市があるのです。
  それが、アメリカの首都「ワシントンDC」。うっかり「ワ
  シントンDCはワシントン州にある」と勘違いしそうですが
  まったくの別物です。「ワシントン州」は太平洋側の最北に
  位置し、一方「ワシントンDC」はその反対側の東海岸の都
  市のこと。
   そしてこの「DC」の意味、ご存知でしょうか?
   しらべぇ編集部が、アンケートサイト「マインドソナー」
  で全国20〜60代の男女417名を対象にした調査では、
  7割以上の人がDCの意味を知らないという結果に。
   ホワイトハウスやアメリカ国会議事堂など、国の重要な建
  物がたくさんあるワシントン。法律上の正式名称は「コロン
  ビア特別区(District of Columbia)」。
   そしてこの「DC」(District of Columbia)のDには、
  「どの州にも属さない連邦政府の直轄地」という意味が込め
  られています。Cの「コロンビア」はアメリカ大陸の発見者
  であるコロンブスにちなんでつけられました。一時は住民投
  票で「ニュー・コロンビア州」の設立が提案されましたが、
  連邦議会がそれを承認しなかったという歴史もあるのです。
                  http://exci.to/292ab0T
  ───────────────────────────

ホワイトハウス.jpg
ホワイトハウス
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