2016年05月26日

●「米議会は兵器供与を知っていたか」(EJ第4284号)

 米国(を支配している寡頭勢力)は、「独裁国家は『悪』であ
る」とし、そういう国があると国家戦略に基づいて、CIAなど
の工作員を密かに国内に送り込み、反政府勢力に兵器を与えるな
ど支援し、育てるのです。そして、時期を見て戦争やテロや革命
運動などを仕掛けて、米国に都合のよい国への体制転換を図ると
いうことをこれまで何回もやってきたのです。
 フセインのイラクも、カダフィー大佐のリビアも米国によって
戦争を仕掛けられ、無理やり体制転換をさせられた国々です。フ
セインは確かに最悪の独裁者であり、多々問題はあったものの、
それでもきちんとイラクを治めていたのです。しかし、米国に戦
争を仕掛けられ、フセイン体制が崩壊したことによって、国自体
の安定感が失われてしまっています。
 カダフィー大佐のリビアも、既に述べているように、独裁国家
ではあるものの、その強権を生かして数々の適切な政策を実施し
その結果、国全体が豊かになり、アフリカ全体をひとつにまとめ
る壮大な計画を着実に実行しつつあったのです。そして90%以
上の国民もそれを強く支持していたのです。
 しかし、アフリカからの利権を失うことを恐れた仏英米の思惑
によって、カダフィー政権は崩壊させられたのです。その結果、
リビア国内はイラクと同様に安定感を失いつつあります。仏英米
は国連決議1973号に基づき、リビアへの軍事介入は行ったも
のの、例によって地上軍は送らず、空爆にとどめています。しか
し、イスラム国がそうであるように、空爆だけではなかなか体制
は崩壊しないのです。
 そこで、米オバマ政権は、ベンガジに拠点を構える反政府勢力
に最新鋭の兵器を与え、カダフィー政権を国内から揺さぶりをか
けて壊滅させたのです。しかし、未確認情報ですが、オバマ政権
は、リビアの反政府勢力に兵器を供与することについて議会を通
していないといわれています。そういうさなかにベンガジ事件は
起きたのです。ところで、米国は、どのような兵器をリビアに持
ち込んだのでしょうか。
 米国がリビアの反政府勢力に供与したとされる兵器の多くは、
「MANPADS」であるとされています。「MANPADS」
とは、次のような兵器です。
─────────────────────────────
  MANPADS → Man-portable air-defense systems
  携帯式地対空ミサイルシステム http://bit.ly/1TSRMCL
─────────────────────────────
 MANPADSは、手で持ち運ぶことができる地対空ミサイル
です。もともと地上部隊を敵の航空機から防護するために開発さ
れたもので、テロリストの兵器として民間航空機に対して使われ
る可能性があるので、重大な警戒が払われている兵器です。この
兵器を米国(寡頭勢力)は大量にリビアの反政府勢力に供与して
いるのです。
 このような米国の支援によってカダフィー政権は、2011年
10月に崩壊しています。つまり、米国は目的を果たしたわけで
供与した兵器を回収しようとしたのです。おそらく兵器供与のさ
いに、目的を達成した場合には兵器を返却する約束になっていた
ものと思われます。なぜなら、反政府勢力にそのような危険な兵
器を持たせたままではきわめて危険であるからです。
 米国としては、その回収した兵器をシリアの反政府勢力に供与
することを考えていたのです。地図を見ていただくとわかるよう
に、リビアとシリアの距離は非常に近いのです。そういうわけで
2012年5月に駐リビア米大使に就任したクリストファー・ス
ティーブンス氏は、その役割を担っていたものと考えられます。
つまり、この任務の最高指揮官は、ヒラリー・クリントン国務長
官ということになります。
 スティーブンス大使がそういう役割を担っていたことは、大使
がシリア反政府勢力の主力支援国であるトルコの外交官と頻繁に
会っていたことからも間違いはないといえます。そしてベンガジ
の領事館は、その兵器返還の窓口だったのです。したがって、ス
ティーブンス大使はベンガジには何回も足を運んでいるのです。
実際にベンガジ事件の数日前には、莫大な兵器を積んだ船がベン
ガジ港を出港し、トルコ経由でシリアに行っているのです。
 しかし、いったん貸与した兵器を取り戻すのは簡単なことでは
ないのです。約束通り返還しない勢力もあり、そのたびに何回も
折衝する必要があり、大使は、ベンガジの領事館に頻繁に訪れて
いたものと思われます。そのさいに危険な目に何回も遭ったと思
われるので、警備を強化するよう国務省に600通も申請メール
を送ったのです。
 ところが、リビア反政府勢力に兵器を供与していたこと自体が
秘密であったとすれば、クリントン国務長官がそれにまともに対
応できるはずがないのです。したがって、クリントン国務長官は
一貫してスティーブンス大使の要請を断り続けたのです。当然の
ことながら、クリントン国務長官が兵器返還に関するリビア大使
とのメールのやりとりも、国務省の公式メールアドレスは使えな
いので、私用メールアドレスを使ったものと思われます。
 もし、ベンガジ事件がなければ、兵器供与の件は一切表に出な
かったでしょう。しかし、大使をはじめ4人が死亡する大事件が
起きてしまったので、直接の責任者であるクリントン国務長官の
対応がいま問題になっているのです。
 このベンガジ事件が明らかになったとき、オバマ政権はこの事
件を次のように発表しています。
─────────────────────────────
 暴徒によるリビア・ベンガジの米領事館襲撃事件は、イスラム
教の預言者ムハンマドを冒涜する映画がイスラム教徒の怒りを買
い、その映画に対するイスラム教徒の抗議行動が発端になって発
生したものである。        ──オバマ政権の公式見解
─────────────────────────────
            ──[現代は陰謀論の時代/097]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリー氏もターゲット/オバマ政権直撃/ベンガジ事件
  ───────────────────────────
   【ワシントン=加納宏幸】2012年にリビア東部ベンガ
  ジで起きた米領事館襲撃事件をめぐる「情報隠蔽」疑惑がオ
  バマ政権の中枢を直撃し、今年11月の中間選挙や2016
  年の大統領選の争点に浮上してきた。共和党は襲撃事件の調
  査のため下院特別委員会の設置を主導。当時の国務長官で、
  民主党の大統領候補として最有力視されるヒラリー・クリン
  トン氏の追及も視野に入れている。
   「ベンガジで命を落とした同胞のためになる調査を特別委
  には期待したい。超党派で答えを出すため、民主党には敬意
  を持ってこの悲劇を扱い、委員を指名することを期待する」
   共和党のベイナー下院議長は9日、特別委の委員指名に際
  して声明を発表し、民主党に特別委への参加を呼び掛けた。
  ベイナー氏は12人の委員のうち7人の共和党委員を指名し
  たが、民主党は委員を出すかどうか結論を出していない。調
  査の焦点は、襲撃事件に先立ち、オバマ政権が国際テロ組織
  アルカーイダ系による犯行を予測できていたかどうかだ。ク
  リントン氏を含む政権中枢は当時、事件はインターネットの
  動画投稿サイトに掲載されたイスラム教を侮辱する動画に対
  する抗議行動によるものだと説明していた。
                   http://bit.ly/22mP4eE
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携帯式地対空ミサイルシステム
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする