2016年05月11日

●「東アジアに緊張をもたらした犯人」(EJ第4273号)

 歴史を振り返ってみると、米国は実にわかりにくいことをやっ
ているように見えることがあります。それは、1970年代後半
から始まった米国による中国の軍事力向上に対する支援です。
 1975年、時の米フォード政権は、F4ファントム戦闘機の
エンジンを中国に輸出しています。さらに、76年10月、米国
政府は、「核ミサイル」誘導に使用するコントロールデータ社の
サイバー72型コンピューターを中国に輸出しています。つまり
米国は中国の軍事力の強化を支援していることになります。
 その同じ76年に中国と対立する台湾に対し、米国はファント
ム戦闘機を売却しています。つまり、敵対する同士の双方に兵器
を売り、両国間の緊張を高めているのです。その結果、兵器は一
層高く売ることができるのです。
 このとき、北京に在住し、中国とアメリカ政府の間の「兵器売
却」交渉をサポートし、推進したのが、後のブッシュ(父)米大
統領なのです。このときブッシュ氏は、在北京アメリカ連絡事務
所長を務めていたのです。
 米国の中国への軍事技術の売却は、その後も長く続くのです。
1980年9月のことですが、米政府の軍事視察団が将校クラス
の軍人を伴い、中国を訪問したのです。そのときの視察団の団長
はウィリアム・ペリー氏ですが、この人物は軍事商社ディロン社
の社長なのです。
 このペリー氏の伯父は、黒船を率いて日本に来航したペリー提
督その人です。ペリー氏はその後、1994年〜97年まで、ク
リントン政権時の国防長官を務めています。このように、米国が
中国に兵器売却を始めたときは、父ブッシュ氏が北京連絡事務所
長であり、1980年のときは、ディロン社というように、闇の
兵器商人がしっかりと入り込んでいるのです。
 これを契機として米国は中国への武器輸出自由化を決め、地対
空ミサイル、対戦車ミサイルなどミサイル技術の輸出・販売を開
始したのです。このとき、米国が中国に供与したミサイル技術が
北朝鮮に流れたものと思われます。
 このようにして中国の軍事力は、米国の支援もあってどんどん
強力になっていったのです。そこにある軍事的な事件が起きるの
です。クリントン政権時の1996年のことです。
 そのとき台湾では総統選挙が行われており、李登輝氏優勢の観
測が流れていたのです。そうすると、中国軍は選挙への恫喝とし
て、急遽軍事演習を強行したのです。そして中国軍は、基隆沖海
域にミサイルを撃ち込むなどの威嚇行為を行ったのです。中台間
は一挙に緊張に包まれたのです。まさに台湾有事です。
 これを受けて米海軍は、台湾海峡に太平洋艦隊の通常動力空母
「インデペンデンス」とイージス巡洋艦「バンカー・ヒル」など
からなる空母戦闘群、さらにペルシャ湾に展開していた原子力空
母「ニミッツ」とその護衛艦隊を台湾沖に派遣したのです。
 これに対して人民解放軍副総参謀長の熊光楷中将は、米国防総
省チャールズ・フリーマン国防次官補に対し、次のメッセージを
送り、米軍の介入を牽制しています。
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 台湾問題に米軍が介入した場合には、中国はアメリカ西海岸に
核兵器を撃ち込む。米国は台北よりもロサンゼルスの方を心配す
るべきだ。      ──人民解放軍副総参謀長の熊光楷中将
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 しかし、中国の牽制はこれまでだったのです。中国は米軍がこ
こまで強硬策に出るとは思わなかったのです。おそらく水面下で
米中間の協議が行われ、中国は軍事演習の延長を見送り、この事
件は落着したのです。
 このように米国は兵器を他国に売却しても、さらにその性能を
上回る兵器を有しているのです。戦闘機でも、潜水艦でも、ミサ
イルでも、戦車でも、レベルが上の兵器には、旧兵器は絶対に勝
てないといわれます。したがって、よりレベルが上の兵器を持っ
ていれば、レベルが下の兵器をいくら売っても米国にとってリス
クはないのです。それに最新鋭の兵器を持っていても、その兵器
の使いこなす技術については、米軍と大きな差があったのです。
 こういう事情もあって、米国による中国への兵器の売却はクリ
ントン政権時の話というのであればまだわかるのです。当時の中
国の軍事力は少なくとも脅威ではなかったからです。しかし、中
国が世界の脅威的な存在になりつつあった以後もディロン社によ
る兵器の売却が続いていたとすれば大問題です。まさかそのよう
なことはないとは思いますが、ネット上にはそのことを肯定する
気になる情報が多く流れているのです。たとえば、次のような情
報もあります。
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 ディロン社は、前ブッシュ大統領の軍事産業専門の投資会社・
カーライルの親会社である。中国の持つ旧式のロシア製戦闘機の
ハイテク化のためのハイテク軍事工場を中国に建設したのもディ
ロン社である。
 93年から2008年までに850機の最新鋭戦闘機の販売契
約を中国と結んだのも米国政府である。中国の旧式のF8型戦闘
機の最新鋭化の仕事を、請け負っているのも米国である。3基の
軍事通信衛星を中国に販売したのも、米国である。
 ロシアが中国にミグ31とSU27戦闘機、ディーゼル発電潜
水艦を売り、ウクライナが航空母艦を中国に売った時も米国は何
も抗議しなかった。ただ米国は、兵器販売でロシア、ウクライナ
に負けないように、ロシア、ウクライナの売買契約成立直後に、
「あわてて」米国製の自走迫撃砲を大量に中国に売りさばいた。
 中国の軍事的脅威に備え、米軍は兵器・軍備の増強を計ってい
る。米国は、日本にも中国の脅威に備え、最新鋭の兵器を売却し
ている。これは、どういう事なのか?
         ──「るいネット」 http://bit.ly/1ST6Osh
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            ──[現代は陰謀論の時代/086]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカと中国が極秘裏に結んだ「軍事協定」とは?
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   2015年10月27日、横須賀基地を母港とするアメリ
  カ軍の駆逐艦「ラッセン」が、ついに南沙諸島の中国の埋め
  立て地から12海里以内に進入。米中両大国が緊迫してきて
  日本でも大きなニュースになっています。本書『チャイナ/
  2049』は、こうした南シナ海制圧も含めた、中国が建国
  100周年の2049年までに世界の覇権を取る戦略が、記
  されています。
   南シナ海へは、CNNテレビの記者から、取材に同行しな
  いかと誘われましたが、危なそうだから断りました(笑)。
  アメリカ軍は本来なら、中国が2年前に南シナ海に進出した
  時に、行動しておくべきでした。そうしていたら、7つの人
  工島や3つの滑走路などは造られずに済んだ。しかし当時の
  アメリカ連邦議会は反対した。中国はアメリカ企業にとって
  最大の市場であり、敵ではないというわけです。
   もう一つの理由は、米中間で、秘密の軍事協定があるから
  です。──本書の第3章に書かれた米中間の「秘密協定」の
  くだりは、この438ページもある大著の中で、最も衝撃的
  でした。いわゆる1973年10月から11月に米中間で交
  わした「約束」です。当時のニクソン政権は、イギリスを経
  由することで、アメリカの法律や規制を回避して、中国にハ
  ードウエアや技術を提供した。人民解放軍に対するレーダー
  装備などの支援も申し出た。    http://bit.ly/1q34uqe
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クリントン大統領とペリー国防長官.jpg
クリントン大統領とペリー国防長官(矢印)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代は陰謀論の時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする