2015年07月01日

●「理研調査委はSTAP細胞を否定」(EJ第4067号)

 これからの説明のために必要になるので、6月5日付のEJ第
4049号で説明したSTAP細胞関連の3つの細胞を再現して
おくことにします。
─────────────────────────────
  1. STAP細胞
     ・万能細胞であるが、自己増殖能はない
  2.STAP幹細胞
     ・万能細胞であり、かつ自己増殖性あり
  3.  FI幹細胞
     ・2に加え胎児と胎盤の両方に分化する
                   http://bit.ly/1KddaRV
─────────────────────────────
 私の印象では、理研は笹井芳樹CDB副センター長が自殺(2
014年8月5日)するまでは、かなり小保方氏を庇っており、
何とかSTAP細胞の正当性を立証しようと努力していたように
感じます。
 しかし、笹井氏が亡くなると、理研の調査委員会の結論として
は一転して「STAP細胞=ES細胞」ということで、幕引きを
図ったように思うのです。つまり、笹井氏の死後、理研は方針を
変更したと考えられます。
 現在、小保方氏以外のSTAP細胞事件の関係者は口を揃えて
次のようにいっています。
─────────────────────────────
 STAP細胞は、小保方晴子氏以外、誰ひとり世界中で再現
 に成功した人はいない。
─────────────────────────────
 これをもっと正確にいうと、ネイチャー誌に掲載された論文の
レシピで、再現に成功した人はいないという意味になります。し
かし、小保方氏の監督の下で、生後1週間の赤ちゃんマウスの脾
臓からSTAP細胞を作製し、STAP幹細胞まで成功した人は
少なくとも1人いるのです。それは、若山照彦山梨大学教授その
人です。若山教授はノフラー博士の質問に「100%自分の手で
作製した」と強調しています。もし「STAP細胞=ES細胞」
であり、STAP細胞など存在しないのであれば、若山氏が成功
するはずがないのです。
 このSTAP幹細胞は2株とも残されており、若山氏も理研も
解析して、正当なものであることを確認しています。「FLS─
T」の2株がそうです。もし、そうであったとすると、「STA
P細胞は存在する」ということになるはずです。
 若山教授自身も外国の知人の研究者がSTAP細胞の作製に成
功したというメールをもらったとノフラー博士に話していますし
笹井氏も自身の記者会見で、理研内部で少なくとも2人が作製に
成功していると発言しています。1人もいないどころか世界に何
人もいるではありませんか。
 ところが、奇怪なことに、その若山氏自身が「世界でSTAP
細胞を再現できた人は一人もいない」と発言しているのですから
理解に苦しみます。若山教授は2014年6月16日の記者会見
で、記者からSTAP細胞の再現実験についてどう思うかと質問
され、次のように答えています。
─────────────────────────────
 世界中でSTAP細胞を作れるといっている人は小保方氏しか
いないのですから、本人にやってもらうのが一番良いのではない
でしょうか。      ──若山教授/6月16日の記者会見
─────────────────────────────
 実は、理研の調査報告書にも若山教授がSTAP細胞の作製に
成功したことの記述があるのです。
─────────────────────────────
 STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラ、またはテラトーマの作
製にまで到達できたSTAP細胞は、すべて小保方氏が作ったも
のである。CDB若山研のメンバーで挑戦した者は多いが、小保
方氏以外で成功した者はいなかった。例外として、一度だけ、小
保方氏が付き添って指導したときに、若山氏がSTAP細胞作製
を行い、さらにSTAP幹細胞作製まで到達したことがあった。
(表:STAP関連細胞株一覧の「FLS─T1、T2。この細
胞株のデータは論文には使われていない」)。
      ──「研究論文に関する調査報告書」/調査委員会
─────────────────────────────
 ここで留意すべきは、この調査委員会とは、理研が設置した調
査委員会のことであり、その正式名称は「研究論文に関する調査
委員会」になっていることです。STAP細胞が存在するかどう
かの調査委員会ではないのです。したがって「FLS─T1/T
2」に関しては、論文のデータはないので、調査委員会としては
関知しないというわけです。
 現在、若山研究室に残されていたSTAP幹細胞は次の通りで
すが、2〜4については、同種のES細胞が存在することが明ら
かになっています。
─────────────────────────────
  1.  FLS ・・・  8株
  2.AC129 ・・・  2株/同様のES細胞が存在
  3.FLS─T ・・・  2株/同様のES細胞が存在
  4.  GLS ・・・ 13株/同様のES細胞が存在
─────────────────────────────
 このうち、「FLS─T」は論文のデータではないとして外さ
れ、残りについて調査委員会が遺伝子配列データの解析をしたと
ころ、若山研究室が別の実験で作製したES細胞のどれかと一致
したというのです。これをもって、STAP細胞とされていたも
のは、ES細胞の混入に由来すると断定しているのです。
 STAP細胞でないと説明がつかない現象はすべて一蹴され、
調査されていないのです。これではあまりにも乱暴な結論といわ
ざるを得ないのです。    ─ [STAP細胞事件/040]

≪画像および関連情報≫
 ●「理研の調査委員会報告書」/アクチュアリーの練習帳
  ───────────────────────────
  昨年12月26日に発表された、例のSTAP細胞に関する
  論文についての理研の「研究論文に関する調査委員会」の報
  告書と、それに関する説明用のスライドを読みました。この
  報告書の目的はSTAP細胞に関する(ネイチャー誌に載っ
  た)三つの論文について、研究不正があるかどうか、もしあ
  るならその責任を負うべき者は誰かを明らかにすることで、
  調査の対象となるのはSTAP細胞を作った(ことになって
  いる)小保方さんと小保方さんの作ったSTAP細胞からS
  TAP幹細胞を作った(ことになっている)若山さんと、研
  究チームのリーダーであった丹羽さんの三人です。で、結論
  としては、論文の中の図についていくつかデータの捏造がみ
  つかり、小保方さんの責任だと認定しており、若山さんと丹
  羽さんについては、研究不正は見つからなかったということ
  です。しかしこの報告書の中味は、むしろ小保方さんが作っ
  たSTAP細胞から若山さんが作ったSTAP幹細胞といわ
  れるものが、遺伝子を調べてみると全て(STAP細胞とは
  別の実験で)若山さんの研究チームが作ったES細胞と同じ
  ものだということが分かったということのようです。本来小
  保方さんの作ったSTAP細胞が残っていればそれを調べる
  のが一番良いんでしょうが、STAP細胞というのはほとん
  ど増殖しないので、あまり長くはもちません。で、今はもう
  残っていません。しかしそのSTAP細胞をSTAP幹細胞
  にすれば増殖するようになり、ずっと残すことができるとい
  うことのようです。        http://bit.ly/1QWBPzp
  ───────────────────────────

STAP論文の調査結果を報告する槇委員長.jpg
STAP論文の調査結果を報告する槇委員長
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2015年07月02日

●「STAP現象がないと説明が困難」(EJ第4068号)

 2014年4月16日のことです。笹井芳樹理研CDB副セン
ター長(故人・当時)の記者会見が開催されたのです。小保方氏
の会見から一週間後のことです。その会見は、3時間をゆうに超
える長時間会見になったのです。
 報道各社は科学に強い記者を揃え、鋭い質問を笹井氏にぶつけ
ています。それは、まるで「STAP細胞などない」という前提
に立って、その証拠を掴もうと根ほり葉ほり笹井氏を追及する異
様な展開になったのです。とくに科学雑誌の複数の女性記者の質
問はかなりヒステリックなものに終始した感があります。
 それにしても「STAP細胞はある」という観点からの質問は
ほとんどなかったように思います。それは、報道各社は事前に知
り合いの科学者からアンケートを取り、それに基づいて質問項目
を決めていたからです。このようなもし事実ならノーベル賞級の
大発見には、ほとんどの科学者は反対するものだからです。それ
はある種の嫉妬が混じっていると思います。
 記者の質問のなかには、「先生にはこのSTAP細胞で、山中
伸弥教授を抜いてやろうという野心があったのではないですか」
というぶしつけなものもあったのですが、笹井氏は終始落ち着い
て、どのような無礼な記者の質問にも激することなく、ていねい
に時間をかけて答えており、そこに笹井氏の誠実な人柄を少なく
とも私は感じました。
 全体を通じて笹井氏の主張は「STAP細胞はある」という自
信に満ちた内容であったのです。そうでなければ、あれだけ堂々
たる論陣を張ることはできなかったと思います。
 この会見の動画があります。時間は3時間で切れてしまい、最
後まで収録されていませんが、内容を把握するのに十分です。記
者会見の動画のURLと、会見のさい記者に配付されたA43枚
の説明資料のURLを次に示します。動画をご覧になるときは、
説明資料を印刷して聞くと分かり易いと思います。
─────────────────────────────
             2014年4月16日
     ◎笹井芳樹CDB副センター長記者会見
             http://bit.ly/1CCeoQa
     ◎科学研究面に関する説明資料/1〜3
             http://bit.ly/1TX4x2d
─────────────────────────────
 笹井氏は、記者から「STAP細胞があるという根拠を示して
ください」という質問に対して、次の3つを上げ、「これらはS
TAP現象を前提にしないと容易には説明できないことである」
と述べています。
─────────────────────────────
   1.ライブイメージングを自分自身が目視している
   2.STAP細胞は特徴ある性質の細胞であること
   3.胚盤胞の細胞注入実験(キメラ)の結果である
─────────────────────────────
 「1」は、笹井氏自身が酸で処理した後の培養で、細胞が変化
していく様子を自分をはじめ複数の笹井研究室の部員が見て確認
しているといっているのです。
 「ライブイメージング」というのは、顕微鏡ムービーのことで
再処理後の細胞の入った培養皿をセットし、自動撮影するので、
途中で細胞を追加するなどの人為的な操作は一切不可能であると
いっています。
 理研の調査委員会は、細胞の遺伝子解析結果だけを証拠に残存
するすべてのSTAP幹細胞はES細胞であると結論づけていま
すが、小保方氏がマウスをすり替えたり、培養液などにES細胞
を混入させることができたとは思えないのです。
 当時小保方氏は、笹井研修室にいて笹井氏の指導を受けて実験
していたのです。CDBの笹井研究室といえば、日本のES細胞
のメッカであり、ESの専門家がたくさんいるのです。そんな環
境の下で、ES細胞の混入ができたとは考えられないのです。
 「2」は、STAP細胞はES細胞と形状も性質もが異なるの
で、見る人が見れば、その違いが分かるはず、といっているので
す。これは重大な指摘であると思います。
 STAP細胞はES細胞より小型で、核も小さく、細胞質がほ
とんどないのです。また、遺伝子の働き方もSTAP細胞と異な
るので、増殖能が低く、長期培養ができないのです。そのため、
それに増殖能を持たせるため、STAP幹細胞にして保管してい
るのです。STAP細胞とES細胞の違いは添付ファイルをご覧
ください。これは、笹井氏の説明資料にも載っています。
 実は、槇委員長による理研の調査委員会には、STAP細胞が
ES細胞と形状が違うことを示すデータを提出ているのですが、
それらは一切無視されています。都合の悪いデータは見ない方針
のようです。最初から結論ありきです。
 「3」については詳しい説明が必要です。改めて詳しく述べま
すが、簡単に述べると次のようになります。STAP細胞由来の
細胞をマウスの受精卵に注入するさい、細胞の塊を注入しないと
キメラマウスができないのです。これはES細胞と大きく異なる
点です。
 さらに、STAP細胞由来のキメラマウスの場合、胎児だけで
なく、胎盤にも分化するのです。これは、ES細胞にはできない
ことです。したがってこれは「STAP細胞=ES細胞」を覆す
決定的な証拠なのですが、槇委員会はこれについても無視してい
ます。あくまで遺伝子解析オンリーです。
 これについては、STAP細胞は「ES細胞に胎盤に分化する
TS細胞が混ぜ合わされている」という説がありますが、これは
実際にやってみると、2つの細胞はうまくくっつかず、ひとつの
細胞塊にならないと笹井氏は述べています。
 この実験は丹羽仁史氏が実際にやっており、ひとつの細胞塊に
ならないことを確認しているのです。槇委員会はこれらのことも
一切無視しています。    ─ [STAP細胞事件/041]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞/笹井氏の記者会見を受けて/上昌広氏
  ───────────────────────────
  4月16日、理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳
  樹・副センター長が、STAP細胞の研究不正問題で記者会
  見を行った。テレビ局が生中継したため、私も視聴すること
  が出来た。笹井氏の説明は分かりやすかった。今回の論文発
  表の経緯を解説し、STAP細胞「検証する価値のある合理
  性の高い仮説」と結論した。ただ、様々な問題点を指摘され
  たことを受けて、「論文は撤回するのが適切」と意見を述べ
  た。妥当な意見だろう。ただ、筆者は、この記者会見を聞い
  て違和感を抱いた。それは「最後の段階で論文仕上げに協力
  しただけ」で、「実際に指導したのは若山照彦教授である」
  との主張を繰り返したからだ。この発言に納得する人は少な
  いだろう。笹井氏は、理研の再生科学総合研究センターのナ
  ンバー2だ。一般企業に例えれば、理研本部はホールディン
  グ・カンパニー、再生科学総合研究センターは事業会社に相
  当する。笹井氏は、一つの事業会社の副社長で、今春に社長
  昇格が予想されていた実力者である。センターの経営に大き
  くかかわってきたと考えるのが普通だ。通常、経営者は、経
  営判断に関して責任を負う。現に、記者会見では、小保方晴
  子氏のユニット・リーダーへの抜擢人事には関係したと明言
  している。今回の不祥事について、任命責任を負うのが当た
  り前だ。ところが、彼の発言からは、そのような気配は感じ
  られなかった。まるで、自分のことを理研のリーダーと思っ
  ていないように見えた。     http://huff.to/1GHuKaY
  ───────────────────────────

STAP細胞とES細胞の比較.jpg
STAP細胞とES細胞の比較
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2015年07月03日

●「STAP細胞は本当にES細胞か」(EJ第4069号)

 故笹井芳樹CDB副センター長は、STAP細胞について次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 あるものをないということはできない。したがってSTAP現
象は有力な仮説であるといえる。それを前提にしないと、説明で
きないことがある。     ──笹井芳樹CDB副センター長
─────────────────────────────
 笹井氏は、記者会見で次のことを強調しています。仮説を立て
るときは「反証仮説」というものを必ず用意し、検証を行うとい
うことです。STAP現象の場合の反証仮説は、「ES細胞の混
入」と「自家蛍光現象の見間違い」の2つ。とくにES細胞の混
入については、慎重にそれがないことを十分見極めているといっ
ています。
 毎日新聞の須田桃子記者の本には、「ES細胞の混入」につい
ての笹井氏の発言を次のように紹介しています。
─────────────────────────────
 ES細胞の混入は、(反証仮説として)研究者として真っ先に
考えることの一つ。ES細胞では証明できないということを何度
も確認している。キメラマウス実験で、受精卵の発生の初期段階
の細胞塊を採ってきて入れたのではないか、という説もあるが、
『世界の若山』が見間違えるはずがない。これまでのところ、反
証仮説として説得力の高いものは見出していない。
 ES細胞とは遺伝子の解析結果のパターンも異なる。混ざり物
なら簡単に分かる。私たちがSTAP細胞と呼んでいるものが、
今までに知られていない細胞であるのは確かだ。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 しかし、槇委員長による理研の検証委員会は、笹井氏の「それ
を前提にしないと、説明できないことがある」ということなどを
完全に無視し、残存試料の遺伝子解析だけから「STAP細胞は
ES細胞である」と断定したのです。それは、あらかじめ決めら
れていたストーリーに沿って、そのストーリーを補強する証拠だ
けを採用し、結論づけているようにみえます。
 なぜなら、委員会は、誰がES細胞を混入したのかについて特
定していませんが、限りなくその犯人は小保方氏であることを暗
示しています。報告書には次のように書かれています。
─────────────────────────────
 客観的状況に照らし混入の機会があったと見られる全ての関係
者を洗い出し、聞き取り調査を行ったが、小保方氏を含め、いず
れの関係者も故意又は過失による混入を全面的に否定しており、
残存試料・実験記録・関係者間のメール送信記録・その他の客観
的資料の分析検討によっても、混入行為者の特定につながる証拠
は得られず、ES細胞混入の目撃者も存在せず、混入の行為者を
同定するに足りる証拠がないことから、委員会は、誰が混入した
かは特定できないと判断した。──研究論文に関する調査報告書
                   http://bit.ly/1T02A3v
─────────────────────────────
 そうであるとすると、若山教授が研究室を山梨大学に移す直前
に小保方氏の指導によって、生後1週間の赤ちゃんマウスから、
STAP細胞を作製し、それからSTAP幹細胞の作製、キメラ
マウスの作製に成功したことの説明がつかなくなります。
 調査委員会は、このとき作製された「FLS─T1/T2」に
ついても遺伝子解析を行い、それがES細胞由来のものであると
断定しているのです。
 そのとき若山教授は、最初から最後まで自分の手で、この実験
をやっているのです。小保方氏がES細胞を混入させる機会はな
かったはずです。それとも、小保方氏がマジシャンのような手を
使ってES細胞を混入させたとでもいうのでしょうか。
 添付ファイルを見てください。当時CDBのC棟4階にあった
若山研究室の見取り図です。STAP細胞研究当時はES細胞は
インキュベーターに入れられ、鍵もかけられていないので、時間
帯によっては、研究室員でなくても、誰でもそれを取り出せる状
況にあったのです。したがって、調査報告書には、誰がES細胞
を混入させたのかは特定できないとしています。
 仮に小保方氏が若山教授にES細胞をSTAP細胞と称して渡
していたとします。ところが、昨日のEJで述べているように、
STAP細胞はES細胞と形状が異なるのです。STAP細胞は
ES細胞よりも明らかに小さく、笹井氏のいうようにES細胞に
扱い慣れている「世界の若山」がそれを見間違いするはずはない
ではありませんか。
 もうひとつ重要なことがあります。ES細胞はある程度発生の
進んだ胚盤胞から作製しますが、そのさい1〜2週間を要するの
です。しかし、STAP細胞からSTAP幹細胞を作るには3〜
5日で十分です。作製に要する日数も違うのですから、若山教授
がこれを見落とすことはあり得ないのです。
 これについて、若山教授は『日経サイエンス』のインタビュー
で次のように述べています。
─────────────────────────────
 STAP細胞は増殖の速さからみて、1日目で増殖を始めてい
る。樹立成績も胚盤胞からES細胞を作るのは50%程度だが、
STAP細胞からSTAP幹細胞は、80〜100%と非常に高
い。実験当時もこのことは頭にあったが、STAP細胞というの
は本当にすごい細胞だと思っていた。  ──若山山梨大学教授
       ──『日経サイエンス』/2014年6月号より
─────────────────────────────
 この『日経サイエンス』のインタビューがいつ行われたのかは
わかりませんが、若山教授は同じ年の3月10日に論文の撤回を
呼びかけているのです。若山教授については、疑惑が深まるばか
りです。          ─ [STAP細胞事件/042]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞とは何だったのか/粥川順二氏
  ───────────────────────────
   STAP細胞問題とはいったい何だったのか?「事件」と
  もいえるこの問題にはあまりにも多くの側面があり、一言で
  表現するのは不可能である。しかしながら、現時点で1つ、
  はっきりしていることは、小保方晴子氏だけでなく理化学研
  究所(以下、理研)幹部を含む当事者たちは、科学という営
  みの前提であるはずの「信頼」を内部から崩壊させたという
  ことであろう。この問題のおかげで2014年は、最初から
  最後までSTAP細胞に振り回された年だった。その余波は
  2015年のいまも続いている。
   昨年1月末、このSTAP細胞という新しい「万能細胞」
  の作成成功が報じられたとき、筆者がまず気になったのは胎
  盤にも分化できることなど、iPS細胞とは性質が異なると
  いわれているこの細胞を研究したり、臨床応用したりするこ
  とには何からの生命倫理的な問題──より適切にはELSI
  (倫理・法律・社会的問題。「エルシー」と発音)──はな
  いのか、ということであった。それを考えるために原著論文
  を手に入れ、解説記事なども参照しつつ、辞書を引きながら
  少しずつ読み始めていたところ、ネット上で研究不正の疑惑
  が流れ始め、それらと原著論文を照らし合わせるのがやっと
  という状態になってしまい、ELSIどころではなくなって
  しまった。           http://huff.to/1IpsASK
  ───────────────────────────

STAP細胞研究当時の若山研究室.jpg
STAP細胞研究当時の若山研究室
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2015年07月06日

●「胎児と胎盤にもなるSTAP細胞」(EJ第4070号)

 STAP論文というのは、そのなかで存在を主張するSTAP
細胞がES細胞ではあり得ないということをひたすら訴えている
論文であるといえます。それは単に「形状が異なる」というだけ
ではなく、たくさんあるのです。
 STAP細胞の生成過程を復習します。STAP細胞は、生後
1週間の赤ちゃんマウスから作られます。そのマウスは、万能性
に関係する「Oct4」という遺伝子が働くと、緑色の蛍光を発
するように遺伝子操作が行われています。
 そのマウスの脾臓からリンパ球を取り出し、それを弱酸性の溶
液に30分程度浸して刺激を与え、その後で培養液に入れて培養
を開始します。酸の刺激に耐えて生き残る細胞は全体の約4分の
1ですが、培養の2日目ぐらいから生き残った細胞のなかに緑の
蛍光を発する細胞が現れます。それは生き残った細胞の30%程
度であり、全体の7〜9%が蛍光を発することになります。
 その細胞は、元のリンパ球の2分の1程度と小さく、お互いに
くっつきながら、7日目には数10個から数千個の塊をつくるの
です。これがSTAP細胞です。その細胞は明らかにES細胞と
は違う形状をしており、それらの細胞は「これまでに見たことの
ない動きをしながら塊をつくっていく」のです。
 この細胞の変化は、弱酸の刺激を与えた細胞を顕微鏡下にセッ
トし、その後の変化は小保方氏だけでなく、丹羽仁史プロジェク
トリーダーをはじめCDBの複数の研究者が観察し、確認してお
り、試験管ムービーも撮られ、残されているのです。
 この作製プロセスのなかで、もし小保方氏がES細胞を混入さ
せたとすると、どのように混入させたというのでしょうか。
 考えられることは、弱酸の刺激を与えた細胞を培養するときの
シャーレにES細胞を混入させることです。それは絶対にできな
いとはいえませんが、その後の細胞の変化を顕微鏡ムービーで、
笹井氏や丹羽氏や複数の研究員が見ているのです。明らかにES
細胞とは形状の異なる小型の細胞が「これまでに見たことのない
動きをしながら塊をつくっていく」(丹羽氏の表現)のを目視し
ています。いずれもES細胞の専門家であり、ES細胞の特性は
知り尽くしている人たちばかりです。見間違えるはずがないでは
ありませんか。
 さてSTAP論文では、この緑色に蛍光を発するSTAP細胞
を作るまでが小保方氏の役割であり、それが万能性(多能性)を
持つかどうかを証明するキメラマウスを作るのは若山照彦山形大
学教授の役割なのです。
 そのキメラマウスが簡単にはできなかったのは既に述べた通り
です。そこで若山教授は、STAP細胞からキメラマウスの作る
方法をいろいろ変化させ、工夫しています。これについて、毎日
新聞の須田桃子記者は次のように書いています。
─────────────────────────────
 2011年11月、若山氏は、それまでとは違う作製方法を試
みることにした。通常、キメラマウスを作る実験は、バラバラに
した細胞を細い針で一個ずつ受精卵に入れていく。だが、バラバ
ラにするのは細胞にとって負担が大きい。
 そこで、細胞の塊をカッターで4等分し、細胞20個ほどの小
さな塊をそのまま受精卵に入れることにしたのだ。細胞の負担は
少ない反面、受精卵に刺す針は太くなるため、下手をすれば受精
卵が破裂してしまう。顕微鏡下で受精卵を扱う作業に習熟し、高
度なテクニックを持つ若山氏だからこそ採用できた方法だった。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 このようにして若山教授は、STAP細胞由来のキメラマウス
の作製に成功しています。添付ファイルは、STAP細胞由来の
キメラマウスの写真ですが、胎児だけでなく、胎児と母体をつな
ぐ胎盤も緑色に光って見えます。これは、STAP細胞が胎児だ
けでなく、胎盤も形成していることをあらわしています。これは
ES細胞やiPS細胞にはできないことなのです。
 したがってこれは、STAP細胞がES細胞でないことの有力
な証拠になるはずですが、理研調査委員会の報告書はそれに対し
て明確な論評をしていないのです。
 このSTAP細胞事件に対してかなり早い段階から疑問を持っ
て発信しておられる内科医(神経内科)の西岡昌紀氏は、この胎
盤のように見える細胞の塊に対する理研調査委員会の結論につい
て、次のように厳しく批判しています。
─────────────────────────────
 今回の理研の発表は、その「胎盤」に見えた細胞の塊は実は胎
盤ではなかったのだろうと述べている。小保方さんがSTAP細
胞と呼んだ細胞は、当初発表されたように胎盤を形成してはおら
ず、胎盤でない細胞塊を若山教授を含む著者たちが胎盤と見誤っ
たものだというのが、理研の「結論」である。
 しかし、理研のこの「結論」には根拠がない。たしかに、若山
教授らが胎盤でない細胞塊を胎盤と見誤った可能性はあり得るが
若山教授が実際にそうした見誤りをしたことの証明は、理研の発
表のなかにはない。この分野の世界的権威である若山教授がその
ような見間違いをしたとする理研側の主張には何も根拠がないの
である。したがって、若山教授らが見た細胞塊が、真実、胎盤で
あった可能性は依然、否定されていない。
        ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 理研としては、昨年末の報告書をもってSTAP細胞事件はも
はや終わった事件にしていますが、このように現時点でも多くの
疑問がネット上にあふれているのです。この「胎盤」のことをひ
とつとっても、「STAP細胞はES細胞である」という結論は
間違っているといわざるをえないのです。その反証はまだまだた
くさんあるのです。    ── [STAP細胞事件/043]

≪画像および関連情報≫
 ●ES細胞混入説に執筆陣が反論/GoHoo
  ───────────────────────────
  一般に、マスメディアは「疑惑」が浮上したとき、「疑惑」
  を強める報道に傾斜していく。不正や不祥事を追及すること
  がメディアに期待された役割であることは否定しない。だが
  今回はメディアがSTAP論文発表当初に大喝采を送っただ
  けに、メディア自身がこの予期せぬ「疑惑」に、小保方氏へ
  の被害者意識≠もってもしくは世間への贖罪意識≠
  もって追及を強めているとすれば、非常に危うい。当初、i
  PS細胞より優れていると強調したのは、メディアがiPS
  細胞の研究動向を全く調べもしないで理研側の発表を鵜呑み
  にしたからにほかならなかった。そして、「かっぽう着の異
  彩リケジョ 実験室の壁ピンク/スッポン飼育」などと論文
  の筆頭執筆者である小保方晴子氏に異様なまでスポットライ
  トを浴びせたのも、誰がそうさせたのではなく、メディア自
  身が進んでそうしたことだった。「疑惑」の報道も十分な調
  査や裏付けをもってなされるべきことであり、安易に風評的
  疑惑を広めることに加担すべきではないだろう。STAP論
  文「捏造」説に拍車をかけている風評の一つが、万能細胞の
  一種であるES細胞(胚性幹細胞)が混入したとする「ES
  細胞混入説」だ。多くのメディアがことあるごとに、しかし
  さりげなくこの説を紹介し「疑惑」の印象を強化している。
                   http://bit.ly/1HxgmqA
  ───────────────────────────
 ●写真の出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より

STAP細胞は胎児と胎盤に分化する.jpg
STAP細胞は胎児と胎盤に分化する
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2015年07月07日

●「なぜ、ES混入ばかりを疑うのか」(EJ第4071号)

 STAP細胞は増殖能を持っておらず、長期保存はできないの
です。したがって、論文の筆者たちは、増殖能を持たせたSTA
Pステムセル、すなわちSTAP幹細胞(STAP─SC)を作
り、保存していたのです。
 理研の調査委員会が遺伝子解析をしたのは、これらのSTAP
幹細胞であり、その結果、それらの残存STAP幹細胞のすべて
がES細胞由来であると断定されたのです。
 そうであるとすると、STAP細胞には幹細胞化する以前に何
らかの方法でES細胞が混入されたことになります。幹細胞化の
実験を実施したのは若山照彦教授ですが、小保方氏がSTAP細
胞であるとして若山教授に渡していた細胞のなかにはES細胞が
混入されていたか、あるいはES細胞そのものであったかのどち
らかになります。
 もし渡されたものがES細胞そのものであった場合、STAP
細胞とES細胞は明らかに形状が異なるので、「世界の若山」の
目をごまかすことは困難であると笹井氏はいっています。そこで
ここではSTAP細胞にES細胞が混入されたと仮定します。混
入の場合は目視ではわからないかもしれません。
 しかし、そのSTAP細胞を幹細胞化する時点で、わかること
になるのです。まして若山教授であれば簡単に見分けることがで
きるはずです。
 ところで、STAP細胞をSTAP幹細胞にするにはどのよう
にするのでしょうか。
 幹細胞を作製する場合、STAP細胞とES細胞では培養液が
違うのです。
─────────────────────────────
       ES細胞 ・・・・  2i+LIF
     STAP細胞 ・・・・ACTH+LIF
─────────────────────────────
 STAP細胞論文では、STAP細胞を「2i+LIF」に入
れて培養すると、すべて死亡してしまうとしています。STAP
細胞の幹細胞化は若山教授と小保方氏が何回も試行錯誤を重ねて
やっと成功したのです。おそらく最初はES細胞の培養液「2i
+LIF」で試したはずです。しかし、「2i+LIF」では、
STAP細胞は生存できないのです。
 そこでACTHというホルモンを加えた特殊の培養液を作って
培養したところSTAP幹細胞を樹立できたというのです。この
経緯はSTAP論文に記載されています。
 ところが奇怪なことに若山教授は、2014年6月16日の記
者見のときに次のような趣旨の発言をしているのです。
─────────────────────────────
 「ACTH+LIF」でSTAP幹細胞の樹立をおこなったが
「2i+LIF」でSTAP細胞が死滅する実験は、小保方氏が
やっており、自分はやっていない。       ──若山教授
─────────────────────────────
 これはおかしいです。そもそもSTAP細胞からSTAP幹細
胞にする実験の担当は若山教授であり、小保方氏との何回もの試
行錯誤のすえに「ACTH+LIF」でやる方法を案出したので
あって、若山教授がES細胞の培養液である「2i+LIF」を
使っていないとは思えないのです。若山教授はこの時点では「こ
れ以上STAP論文に関わっていると自分が全責任を負うことに
なる」と考えて、自分に責任が及ばないように逃げています。
 なぜ、若山教授はSTAP細胞を「2i+LIF」で培養する
実験を自分はやっていないといったのかというと、もし、STA
P細胞にES細胞が混入していた場合、「2i+LIF」で培養
すると、STAP細胞の中のES細胞は増殖します。この時点で
STAP細胞にはES細胞が混入していることが明白にわかるは
ずです。ですから、若山教授は、その実験を自分はやったとはい
えなかったのです。
 さらにSTAP細胞が胎児だけでなく、胎盤にも分化するとい
うことについては、次の2つの反論があります。胎児と胎盤の両
方に分化するのは「FI細胞」といわれます。
─────────────────────────────
  1.胎児の血液が胎盤に流れ込んで光っているに過ぎない
  2.STAP細胞は、TS細胞とES細胞の混合物である
─────────────────────────────
 「1」に関しては、小保方氏が胎盤の切片を作って分析し、血
液の流入でないことを確かめています。つまり、胎盤の組織でも
万能細胞に特有の遺伝子である「Oct4」が働き、緑の蛍光を
発していたということになります。
 「2」に関しては、毎日新聞の須田記者と丹羽仁史氏との間で
次のやり取りがあり、丹羽氏ははっきりと否定しています。
─────────────────────────────
須田:ES細胞の混入説は考えにくいと説明がありました。ST
   AP細胞は細胞塊で解析しているので、ES細胞だけでは
   なく、ES細胞と(胎盤に分化する)TS細胞の両方が混
   入している可能性はどのようにお考えでしょうか。
丹羽:若山先生からインジェクション(受精卵への注入)の状況
   をうかがったが、小保方さんからもらった細胞は極めて均
   一な細胞集団と聞いています。その一方で、私自身、ES
   細胞とTS細胞を混ぜたことがあるが、この2つはわずか
   数日で見事に分離します。おそらく発現しているカドヘリ
   ン(細胞を接着させる分子)が違うんだと思う。そういう
   観点からすると、お互い均一に密着してかつ均質に混ざり
   合った細胞塊を両者で作ることは、少なくとも私の経験か
   らは極めて困難だというのが私的な見解です。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/044]

≪画像および関連情報≫
 ●存在の証拠、根底から揺らぐ/2種の細胞混合か
  ───────────────────────────
  STAP(スタップ)細胞の論文で、理化学研究所の小保方
  晴子氏(30)らが培養しSTAP細胞として公開した遺伝
  子データが、胚性幹細胞(ES細胞)など2種類の細胞を合
  わせて得られたデータだった可能性の高いことが3日分かっ
  た。理研の遠藤高帆(たかほ)・上級研究員が独自に解析し
  たもので、STAP細胞の存在の証拠が根底から大きく揺ら
  いだ。問題となったのはSTAP細胞を培養してできる幹細
  胞。小保方氏らは「FI」という種類のマウスから作り、胎
  盤にもなる能力があると論文に記載した。だが論文に付随し
  てインターネットで公開された遺伝子の働き具合を示すデー
  タを遠藤氏が解析したところ、ES細胞と、胎盤になる能力
  のある幹細胞「TS細胞」が混ざった特徴があった。もとに
  なったマウスも「B6」「CD1」という別の種類だった。
  これにより、STAP細胞の最大の特徴である胎盤に分化で
  きる能力がTS細胞に由来していた可能性が浮上。遠藤氏は
  5月22日、理研に解析結果を報告し「偶然や間違いで起き
  るとは考えにくく、意図的に混ぜ合わせた可能性がある」な
  どと話したという。理研は「この結果だけではSTAP細胞
  の存否を結論付けることはできない」として、理研内の再現
  実験チームの検証結果が出てから慎重に判断する方針だ。論
  文共著者の丹羽仁史・プロジェクトリーダーは4月の会見に
  おいて、「ES細胞とTS細胞は均質に混ざらない」と否定
  している。     http://bit.ly/1KzPUiv(静止画音声)
                   http://bit.ly/1GVPKM2
  ───────────────────────────

ES/TSの混入を否定する丹羽仁史氏.jpg
ES/TSの混入を否定する丹羽 仁史氏
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2015年07月08日

●「検証実験は本当に失敗だったのか」(EJ第4072号)

 ある画期的な発明なり、発見が行われたとします。その発明や
発見が、それまでのその分野の常識を覆すものであり、本当なら
ノーベル賞に十分値するほど画期的なものであったとき、世間は
きっとそれを称賛するでしょう。
 しかし、その発明や発見の対象分野の人たち──具体的にいう
と、その分野の学者や研究者や利害関係者は、一応儀礼的な称賛
こそ口にするものの、内心ではあまり愉快なものではないと思う
のです。そこには強い妬みの感情もあると思います。そういう場
合、きっとそれは間違いに違いない。どこかにミスがあるのでは
ないかと必死になってミスを探す人も出てくると思います。ST
AP細胞事件はまさにそれであるといえます。
 それは、小保方晴子前CDB研究ユニットリーダーが2014
年1月28日のSTAP細胞の発表会のさいに口にした論文の最
初の投稿時に返されたネイチャー誌の査読者の次の言葉に象徴さ
れていると思います。
─────────────────────────────
 あなたの論文は、過去何百年にもわたる細胞生物学の歴史を
 愚弄している。   ──ネイチャー誌サイドのある査読者
─────────────────────────────
 これを裏付けているのは、STAP論文が発表されるや、細胞
生物学分野の学者や研究者はもとより、公共放送のNHKをはじ
めとする各種メディアが総動員され、STAP細胞への一斉批判
攻撃が行われたことで明らかです。
 皆で寄ってたかって論文の間違いや矛盾を指摘し、追い込まれ
た理化学研究所は、笹井氏を盾にして論文を支えようとしたもの
の、笹井氏が自殺をするや方針を変更し、結局すべての罪を小保
方氏一人にかぶせて強引に幕引きをしたのです。
 小保方氏の会見のときは、事前に弁護士サイドからの周到な根
回しがあったのです。本人の精神状態が安定しておらず、病院か
ら会見場に来て、再び病院に戻るということが周知されていたの
で、報道陣の質問は抑制が効いており、本人をストレートに批判
するものは少なく、比較的穏やかなものであったと思います。
 しかし、笹井芳樹CDB副センター長の会見のときは、その分
質問は情け容赦のないものだったと思います。報道各社社は科学
記者を動員し、細胞生物学者から事前にアンケートを取り、それ
を基にして執拗な質問を笹井氏に3時間以上にわたって浴びせた
のです。私は笹井氏と記者の質疑応答をすべて聞き、ノートしま
したが、90%以上が「STAP細胞は存在しない」という前提
に立っての質問であり、その存在を肯定するものは皆無であった
と思います。
 笹井会見が行われたのは、STAP細胞の発表からわずか2ヶ
月足らずの時期であり、もう少し「STAP細胞は存在するかも
しれない」という前提に立ってのとらえ方があってもよいと思い
ますが、残念ながら、現在そのような声はネットでしか聞こえて
こないのが現状です
 遺伝子解析の結果がすべてではないと考えます。この問題に限
らず、これまで遺伝子解析のミスで犯人にされ、後からそれがわ
かって無罪になった人も多くなっています。現に最初にSTAP
幹細胞を解析してSTAP論文内容の疑惑を指摘した若山教授の
解析結果は誤りだったではありませんか。それに疑惑を指摘する
ときは記者会見をして、誤りがあったときはメールとホームペー
ジの修正で済ますという態度は卑怯です。若山教授はSTAP論
文の共著者の一人なのですから。
 ところで、理研の調査委員会の報告でさっぱり聞こえてこない
のは、小保方氏の再現実験の詳細です。本当に再現実験には失敗
したのでしょうか。理研はこれに関して詳細を語ろうとはしてい
ませんし、メディアもなぜかこれには消極的です。
 理研の報告では「緑の細胞はいくつか出現したか、再現には成
功しなかった」という結論だけですから、多くの人々は「やっぱ
り本人がやっても再現はできなかったのか」と思うしかないわけ
です。これでは誰でも捏造だったのだと信じてしまいます。
 これに関して、既出の内科医・西岡昌紀氏は、「小保方殺し」
第8の疑問として、次のように述べています。
─────────────────────────────
 今回の理研の発表によれば、たしかにキメラの作製には成功し
なかったが、小保方さんがスクリーンの前で指さして見せたあの
緑色に発光した細胞(Oct4─GFP陽性細胞)自体は、45
回試みたうち40回、作製に成功しているというのである。
 その先のキメラ形成に成功しなければ、当初、小保方さんらが
ネイチャー誌で発表した実験結果の完全な再現にはならないこと
はいうまでもない。だが、ネイチャー誌の論文で小保方さんが担
当したのは、基本的にはマウスから得た細胞を酸処理したところ
Oct4─GFPが活性化し、緑色に光る細胞が見られたという
実験の前半部分である。その後のキメラ形成は、若山教授らが分
担した実験である。
 つまり、小保方さんは自分が担当した部分については、45回
中40回、再現することに成功しているのである。それにもかか
わらず、彼女がネイチャー誌で発表した実験結果が何一つ再現で
きなかったようなイメージが形成されているのは、あまりにも公
平を欠いていないだろうか?
        ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 論文でもキメラ実験の担当者は若山照彦氏なのです。したがっ
て、理研が本気で検証する気であれば、小保方氏が検証実験で作
製したSTAP細胞を使って「世界の若山」がキメラマウス作り
を行うべきですが、理研の調査委員会はそれを小保方氏にやらせ
ています。なぜかというと、それからキメラマウスができてしま
うと、理研自体がさらに窮地に追い込まれるからです。幕引きの
シナリオが狂うからです。 ── [STAP細胞事件/045]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方検証の失敗を伝える産経ニュース
  ───────────────────────────
  STAP細胞の作製に「200回以上成功した」と主張して
  いた小保方晴子氏。検証実験では計48回にわたり作製を試
  みたが、全て失敗した。その理由は何だったのか。STAP
  細胞の作製は、マウスの体の細胞を弱酸性の溶液に浸し、万
  能性遺伝子の働きを示す緑色に光ることを確認するのが最初
  のハードルだ。小保方氏の実験では、光る細胞は得られたも
  のの、その割合は論文よりも1桁低く、万能性遺伝子の働き
  とは確認できなかった。細胞は死滅するときに自然と光るこ
  とがある。作製に失敗した理研の検証チームは8月の中間報
  告で、小保方氏がこうした無関係の発光現象を、万能性遺伝
  子の光だと誤認した可能性を示唆していた。第2のハードル
  は、作製した細胞を別のマウスの受精卵に注入し、この細胞
  が全身に散らばった「キメラマウス」と呼ばれる胎児を作る
  ことだ。小保方氏はこうした実験を複数回行い、万能性を確
  認したと説明してきた。だが小保方氏が作製した細胞を16
  15個の受精卵に注入しても、万能性を示すキメラマウスは
  一匹も作れなかった。検証実験は厳密な監視下で行われてお
  り、データの信頼性は高い。実験結果はSTAP細胞の存在
  が根本的に疑わしいことを示している。
                   http://bit.ly/1NEEHer
  ───────────────────────────

小保方検証失敗を伝える理研幹部.jpg
小保方検証失敗を伝える理研幹部
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2015年07月09日

●「200回成功は本当のことなのか」(EJ第4073号)

 小保方晴子氏は記者会見で、記者の「STAP細胞は今でもあ
ると思うか」という質問に対し、次のように答えています。
─────────────────────────────
 STAP細胞はあります。私はSTAP細胞の作製に200回
以上成功しています。           ──小保方晴子氏
─────────────────────────────
 この小保方氏の発言を聞いて、多くの科学記者は逆に「STA
P細胞はない」と確信したといいます。なぜかというと、そんな
ことはあり得ないと考えたからです。自分たちの常識の世界を超
えることには人間はこういう反応を示すものです。これについて
ある有名ブログは次のように論評しています。
─────────────────────────────
 馬脚をあらわしたというか、語るに落ちたというか、墓穴を掘
ったというか、命取りになることを小保方晴子は、昨日(4月9
日)の会見で喋ってしまった。それは、「STAP細胞の作製に
200回以上成功した」という発言だ。今、本人は、この言葉の
始末をどうするか、どう辻褄を合わせるか、狼狽して思案してい
る最中だろう。横にいた弁護士は、しまったと臍を噛んだに違い
ない。                http://bit.ly/1ghgwIk
─────────────────────────────
 ここまでEJを読んでいただいている読者はわかると思います
が、小保方氏は博士論文の時点からSTAP細胞の発表まで一貫
して、後にSTAP細胞と呼ばれる細胞の実験を繰り返してきて
いるのです。したがって、200回以上成功しているといっても
何も不思議もないと考えます。
 この小保方会見をテレビで見ていたCDBの研究者の一人は、
次のように疑問を呈していたといいます。
─────────────────────────────
 STAP細胞の作製に200回以上成功したといっていたが、
どの段階を成功といっているのか。200回の作製には最低でも
数年はかかる。           ──CDBのある研究者
─────────────────────────────
 STAP細胞を作製するのに要する時間は、赤ちゃんマウスの
脾臓からリンパ球を取り出してから約1週間で作製することがで
きるのです。確かにそれにしても200回成功するには何年もか
かります。この疑問には、笹井氏が次のように答えています。こ
れは、笹井氏から須田桃子記者への返信メールの一部です。
─────────────────────────────
 200回という数字が一人歩きしているが、実験の仕方によっ
ては例えば3条件で8種類ほどの体細胞サンプルで3回実験を繰
り返すこともある。それだけで72回のSTAP細胞の作製(た
だし、万能性に関連する遺伝子Oct4の発現を見るまで)にな
るので、極端とは言えないかと思う。(万能性の確実な証拠とな
る)キメラマウス作製実験までをやったという意味ではなかった
のでは・・・。     ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 笹井氏の記者会見では、ある女性の科学記者が、STAP細胞
の作製はキメラマウスの作製までを含むという前提で、笹井氏に
ヒステリックに食い下がっていましたが、なぜそのように疑惑の
目でばかり見るのでしょうか。科学記者なのですから、もっと冷
静に質問すべきではないかと思います。
 ところで、小保方氏は検証実験では光を発するSTAP細胞を
40回作製していますが、それらからはいずれもキメラマウスは
作製できなかったと理研は発表しています。40回やって成功0
というわけです。
 しかし、キメラマウスを作るには時間がかかるのです。とても
40回もやれるはずがないのです。STAP細胞を仮親マウスの
受精卵に入れ、子マウスを出産させるのですから、最低でも20
日〜30日かかるのです。小保方氏が実証実験を始めた時期を9
月としても、多くてもせいぜい3回ぐらいしか実験することはで
きなかったはずです。
 まして、キメラマウスを成功させる確実なウデを持っている当
事者の若山教授をわざわざ外し、異常なバッシングを受けている
小保方氏にやらせたとすると、3回程度の実験ではその成功率は
限りなくゼロになります。仮にキメラの実験を理研がやったとし
ても、STAP細胞の存在を疑っており、成功しては困る理研の
スタッフのやった実験結果にはとても納得できるものではないと
いえます。とにかく理研としては小保方氏による実証実験失敗と
いう事実だけを作りたかったに違いないからです。
 さて、前回ご紹介したように、理研は小保方氏による検証実験
で、40回作製したとするSTAP細胞は、細胞が死ぬときに発
する自家蛍光であると断定していますが、これにも大きな疑問が
あります。
 笹井氏は、自家蛍光を反証仮説に掲げ、「FACS」という装
置でそれを検証し、自家蛍光ではないとしていますが、理研はそ
れを無視しています。既出の内科医・西岡昌紀氏もFACSによ
る検証を無視するを理研を「小保方殺し」第4の疑問として上げ
次のように述べています。
─────────────────────────────
 笹井氏は、このFACSを使って、小保方さんが作製した緑色
に光る細胞が「死んでいく細胞ではないと確認した」と述べてい
た。笹井氏のこの指摘は間違っていたのだろうか?FACSは死
んでいく細胞と万能細胞を見分けるうえで、そんなに無力だった
のだろうか?「捏造」を唱える専門家のなかにも、FACSの信
頼性そのものを疑う人は、私がいままで議論した人々のなかには
いなかった。  ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/046]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方氏「STAP作製200回以上成功」正当性強調
  ───────────────────────────
  新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に不正が
  あったとされた問題で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニ
  ットリーダーが9日午後、大阪市内で記者会見を開いた。小
  保方氏は「論文の提示法について、不勉強で自己流にやって
  しまったのは申し訳ございませんとしか言いようがない」と
  謝罪した。その一方で「STAP細胞は200回以上作製に
  成功している。論文は現象論を示しており、最適条件を示し
  たわけではない」と、これまでの研究成果の正当性を強調し
  た。小保方氏は会見で、理研の調査委員会が「実験ノートが
  3年間で2冊しかない」としたことに対しても反論。「実際
  はそんなことはない。もっと存在する。調査委から求められ
  てその場で提出したのが2冊だったということ」と話した。
  論文作成時に論文の画像データを実験の元データからではな
  く、部内で説明するためのパワーポイントから引用したこと
  について小保方氏は「何度も何度もパワーポイント内で更新
  していたので、そこに載っていたデータを安心しきって使っ
  てしまった。元データを使っていればよかった」と述べた。
  ただ、今回の問題が科学界で疑念を持たれることにつながっ
  たのではないかと問われたの対しては「結果自体が変わるも
  のではない。結果自体が正しく提示されているので問題はな
  いと考えていた」と語った。 http://s.nikkei.com/1G0Soyr
  ───────────────────────────

記者会見で質問に答える小保方晴子氏.jpg
記者会見で質問に答える小保方 晴子氏
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2015年07月10日

●「肝心なことをはぐらかす桂委員長」(EJ第4074号)

 「STAP細胞は胎児にも胎盤にも分化する」──STAP論
文にはそう記述されているし、それを示す写真も付いています。
もしそれが真実であるとすると、「STAP細胞はES細胞では
あり得ない」ことになります。なぜなら、ES細胞は胎盤には分
化しないからです。
 これについて既出の精神内科医・西岡昌紀氏は、次のように述
べています。
─────────────────────────────
 ES細胞は受精した受精卵が細胞分裂を行い、増えた細胞のな
かから得られる細胞である。それは、受精卵の細胞分裂で生じた
初期胚の一部である。それ(ES細胞)を他の個体の受精卵に混
入すると、その受精卵の細胞と混在する形で、胎児の体を形成す
る過程に加わることが起こりえる。
 しかしES細胞は、胎児と母体を繋ぐ胎盤の形成には加わらな
い。ES細胞は、他の受精卵から生じた胎児の体の一部になって
いくことはあっても、胎盤の一部にはならないのである。これは
発生生物学の常識である。この「常識」に異論を唱える専門家は
事実上、いない。──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 しかし、STAP細胞の存在を認めたくない人たちは、何とか
これを否定しようとするのです。2014年2月23日(日)、
インターネット動画共有サイト「ニコニコ動画」で、次のタイト
ルで討論会が行われたのです。
─────────────────────────────
    「STAP論文徹底解説」/ニコニコ動画主催
     聞き手/毎日新聞科学環境部/須田桃子記者
     出演者/  西川伸一CDB前副センター長
            中武悠樹慶應義塾大学助教授
            2014年2月23日(日)
─────────────────────────────
 このとき、西川氏と中武氏は「もし自分がSTAP論文の査読
者だったら」という前提で討論が行われています。実は西川氏は
小保方氏が2012年にネイチャー誌に最初に出した論文を読ん
でおり、それに比べると、STAP論文はES細胞の専門家の笹
井芳樹氏、幹細胞の権威の丹羽仁史氏が加わったことで論文の真
実性が増し、内容が一段と面白くなったと話しているのです。そ
のひとつが、STAP細胞が胎児と胎盤に分化することが書き加
えられていることです。
 ところが、中武悠樹慶應義塾大学助教授はこのことに強くこだ
わったのです。これについては、須田記者の本にも掲載されてい
るので、引用します。
─────────────────────────────
 中武氏は、胎盤への分化に否定的だった。「そこのところの解
釈は非常に難しくて、論文上でも表現に非常に気を付けている跡
はみられる」と切り出し、STAP細胞が胎盤にも分化すること
を明確に裏付けるデータは示されていないと指摘した。さらに、
「ES細胞も“良いES細胞”は胎盤の一部の細胞に分化できる
ので、胎盤に分化できる新しい細胞という表現には、専門の研究
者はクェスチョンマークをつける」とも話した。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 つまり、中武助教授は、非常にレアケースであるが、ES細胞
でも胎盤にも分化することがあることを指摘しているのです。こ
こで「良いES細胞」とは、キメリズムの高いES細胞という意
味だそうです。発生生物学に100%はないからです。
 しかしこのことは、理研がその気になればすぐにでも決着させ
ることができるのです。なぜなら、若山教授自身が作ったキメラ
マウスはホルマリン漬けされてCDBに残っており、これを解析
すれば明白になるからです。
 ところが桂調査委員長は、それをせず、論文に出ている写真だ
けを専門家に見せて意見を聞き、調査報告書には「専門家の意見
によれば、胎盤ではなく卵黄嚢の可能性が高い」と記述されてい
るだけです。白黒をつけたくはないのです。
 この点は記者から次のように突っ込まれましたが、桂委員長の
対応は次のようにいい加減であり、曖昧そのものです。
─────────────────────────────
Q:胎盤がなぜあるのか?──という疑問についてはどう考える
  のか?
A:これに関しては、我々は疑っている。あの光る胎盤は、血液
  とか胎盤以外ものだった可能性があるということは、専門家
  に見てもらったところ、そのような回答を得ている。これは
  切片を切ったらそうでなかったというのがあるが、それがど
  うだったかは最終的に検証できなかった。しかし、胎盤であ
  るとの証明があるとは思っていない。胎盤でないというとこ
  ろまで突き詰めて証明することは難しかったが・・・、胎盤
  であったとの証明があったとは思っていない。
Q:つまり、GFPで光っている胎盤が確認できていないのか?
A:我々の調査委では確認できなかった。
Q:はぁ・・・、胎盤の形状を保持しているものは確認していな
  いのか?
A:光っているものが、図によっては胎盤なのか別の組織なのか
  専門家は、疑わしいと言っている人がいる。疑わしいという
  言い方だが・・・。──桂調査委員長と記者の一問一答より
─────────────────────────────
 とにかくこの調査委員会は、あらかじめ理研によって決められ
たシオリオに沿って進められ、STAP細胞事件の幕引きを図る
ことにあったといわざるを得ないのです。笹井氏は亡くなってお
り、それが可能だったのです。─ [STAP細胞事件/047]

≪画像および関連情報≫
 ●桂調査委員長と記者のやり取りについて
  ───────────────────────────
   意味不明の回答だと感じます。この点が一般には最も注目
  されていて、残存資料を分析すればわかる話だということで
  確認結果について、どういう説明がなされるのか大きな関心
  を持って皆が待っていたわけです。ところが、桂委員長の答
  えは、疑問だらけです。
   @残存している現物を実地に確認したのかどうか自体が曖
  昧。「調査委では確認できなかった」というのはどういうこ
  とか?なぜ確認できなかったのか?専門家ではないからか?
  何か物理的制約があったのか?シーケンサー?にかければす
  ぐわかるというのが、もっぱらの指摘だったはずではなかっ
  たか?
   A専門家に見てもらったところ、「図によっては、疑わし
  いと言っている人がいる」というが、「図によっては」とい
  うことは現物を見せていないということか?「〜人がいる」
  というのはどういう意味か?数人に見せて、その一部が言っ
  ているだけなのか?
   B「切片を切ったらそうでなかったというのがあるが、」
  とはどういう意味か?丹羽氏は、切片によって、間違いなく
  胎盤だと確認したと4月の会見時に言っているが、それとは
  どういう関係になるのか? 切片は専門家にみせたのか?
   C「胎盤であるとの証明があるとは思っていない」という
  が、何を以て証明があったと判断されるのか?証明のための
  基準、方法が示されなければ、ある、ないといっても仕方が
  ない。この点の調査委の調査は明らかに杜撰です。丹羽氏の
  指摘は調査対象外と桂委員長は述べましたが、ご冗談でしょ
  う。               http://bit.ly/1RjSUDL
  ───────────────────────────

記者から質問を受ける桂調査委員長.jpg
記者から質問を受ける桂調査委員長
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2015年07月13日

●「Nスペ不正の深層の2つの問題点」(EJ第4075号)

 STAP細胞事件をここまで調べてきていえることは、「ST
AP細胞潰し」に最も貢献しているのはNHKであるということ
です。今回のSTAP細胞事件関連の報道で終始他のメディアの
先頭を走り、「小保方犯人説」を主導してきたのはNHKである
からです。そのNHKの主たる情報源は、若山照彦山梨大学教授
ということになります。
 その白眉とでもいえるものは、2014年7月27日に放送さ
れたNHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
です。これは、「小保方犯人説」を強く印象づける内容になって
いますが、この番組作りに事実を捻じ曲げた作為があることが、
ネット上で大きな話題になっています。EJでは、これらのネッ
ト上の情報に基づいてこの番組を検証することにします。笹井氏
の自殺の原因もこの番組にあると思われるからです。
 番組は動画で残されていますので、必要に応じて再現していた
だきたいと思います。
─────────────────────────────
 NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
              放送日:2014年7月27日
                  http://bit.ly/1gppun3
─────────────────────────────
 しかし、番組の内容に入る前に、この番組には次の2つの大き
な問題点があることをお知らせする必要があります。
─────────────────────────────
 1.若山教授が依頼した第三者機関による試料の遺伝子解析
   結果が違っていたにもかかわらず修正していない
 2.NHKはこの番組制作にあたり、小保方氏を取材のため
   追いかけ回し、怪我までさせたのに放送したこと
─────────────────────────────
 「1」に関しては、公共放送のNHKとしては信じられない不
祥事であると思います。若山教授は6月16日に第三者機関なら
ぬ放医研の知り合いの研究者に依頼した試料の遺伝子解析結果を
記者会見し、STAP細胞が若山研にはいないはずのマウスから
作製されており、それが論文撤回の根拠であるとし、小保方氏の
捏造を強く印象づけています。
 しかし、この遺伝子解析結果に誤りがあったのです。若山教授
はそのことを7月22日にメールやホームページ上で修正してい
ます。このとき番組は既に完成していたと考えられますが、NH
Kはそれに何の修正もせず、27日に放送しています。
 ネット上では、若山教授がSTAP細胞が若山研にないマウス
から作られていることを発表するときは記者会見を開き、誤りが
あったことは、メールやホームページの修正で済ます姿勢に非難
が集中したのです。既出の神経内科医の西岡昌紀氏はこれについ
て次のように述べています。
─────────────────────────────
 若山照彦・山梨大学教授が、「第三者機関」に、小保方さんが
STAP細胞作製に使ったマウスの細胞の遺伝子解析を依頼した
結果、若山教授が小保方さんに渡したマウスとは違ふマウスの遺
伝子が検出された、と言ふ報道がなされ、小保方さんがSTAP
細胞を「捏造」したかの様な印象が作り上げられた事は、皆さん
御記憶の通りです。私は、この話はおかしいと思って居ました。
mRNAを使ってDNAのSNPを解析、比較した、と言ふ方法
が変だからです。
 そして、昨日(7月4日)、インターネット上で、若山教授が
細胞の遺伝子解析を依頼した「第三者機関」が、若山教授に近い
放医研であった事を知り、「これでは第三者機関とは言へないの
ではないか」とツイッターで疑問を投げかけたばかりです。そう
したら、今朝の朝日新聞を読んで驚きました。若山教授が、自ら
その「遺伝子解析」は間違いだったかも知れないと認めた(!)
と言ふ記事が載って居たからです。こんないい加減な話が有るで
しょうか?(中略)
 余りにもいい加減です。そして、余りにも無責任です。小保方
さんが有りもしないSTAP細胞を「捏造」したかの様な印象を
造成する上で、最も強調され、マスコミによって報道されたのは
この「遺伝子解析」でした。ところが、ネイチャー誌の論文撤回
が決まった途端、その「不正」の最大の根拠であった筈の「遺伝
子解析」を「間違いだったかも知れない」と、それを発表した若
山教授自身が認めたのですから。    http://bit.ly/1SaeRQM
─────────────────────────────
 若山教授は、遺伝解析にミスがあったことは7月はじめにはわ
かったはずです。若山教授はおそらくそのことを真っ先にNHK
に連絡を入れていると思います。何しろ若山氏自身が番組に出演
しているのですから。しかし、NHKは何の修正もしないまま番
組を放送しています。考えられないことです。
 「2」については、6月12日のEJ第4054号で述べてい
ますが、NHKの取材班が小保方氏を追いかけ回し、転倒させ、
怪我を負わせています。記者に追いかけられ、ホテルのトイレに
逃げ込んだ小保方氏を女性記者がトイレの中に入って取材をしよ
うとしたのです。こんなことは許されることではないはずです。
 怪我をさせたことについては、NHKは謝罪はしたものの、番
組では何の謝罪メッセージを載せないまま放送しています。本来
であれば、こういう事故を起こした場合、番組は放送しないのが
公共放送として当然のマナーであるはずです。しかし、それを平
然と放送し、小保方氏はもちろんのこと、笹井氏の名誉を著しく
傷つけているのです。         http://bit.ly/1MMIkPA
 それでもこのNHKスペシャルが事実を正しく伝えているので
あれば報道機関としては許されるのですが、明らかに意図的に小
保方氏がSTAP細胞事件の真犯人──ES細胞を盗み出し、そ
れをSTAP細胞と称して発表した研究者であるかのような細工
を施しているのです。明日のEJから、この番組の内容にメスを
入れることにします。   ── [STAP細胞事件/048]

≪画像および関連情報≫
 ●NHKスペシャル/笹井氏の自殺に影響があったか
  ───────────────────────────
   論文の疑義が明らかになってから、笹井氏はスキャンダル
  めいた報道も含めて糾弾されてきた。とりわけ7月27日に
  放送された「NHKスペシャル調査報告/STAP細胞不正
  の深層」は、特に笹井氏とSTAP細胞の研究との関わりつ
  いて厳しく取り上げたものだった。
   番組は、多くの専門家らに話を聞きながら「研究不正の深
  層に何があったのか」に迫った。放送開始から24分経過し
  た頃、「エリート科学者/問われる責任」と題されたパート
  が始まった。小保方晴子ユニットリーダーは12年4月から
  英ネイチャー、米セル、米サイエンスと名だたる科学雑誌に
  STAP細胞論文を投稿したが、「全体的にプレゼンテーシ
  ョンのレベルが低い」「ES細胞が混ざっているのではない
  か」などと専門家に指摘され、掲載されなかった。ところが
  12年12月に笹井氏が論文作成に加わってから事態が一変
  した。小保方氏に画像やグラフの作成を次々と指示し、4月
  に投稿した論文から40近くも増やした。13年3月にネイ
  チャーに投稿した論文には、編集部から「審査した専門家も
  編集部も大きな可能性を感じています。いくつかの問題に答
  えられれば掲載を検討します」との連絡があったという。番
  組では小保方氏と笹井氏がやり取りしたメールの内容まで紹
  介していた。笹井氏からは「小保方さん、本日なのですが、
  東京は雪で、寒々しております」「小保方さんとこうして論
  文準備が出来るのを、とても嬉しく楽しく思っており、感謝
  しています」といったメールが送られていたようだ。
                   http://bit.ly/1ARWGcw
  ───────────────────────────

Nスペ『調査報告/STAP細胞/不正の深層』.jpg
Nスペ『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
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2015年07月14日

●「STAP反対者だけ登場する番組」(EJ第4076号)

 2014年7月27日に放送されたNHKスペシャル『調査報
告/STAP細胞/不正の深層』は、次の4つの部分から構成さ
れています。
─────────────────────────────
     第1部:疑惑の論文はこうして生まれた
     第2部: STAP細胞は存在するのか
     第3部: エリート科学者問われる責任
     第4部:    研究不正をどう防ぐか
─────────────────────────────
 2014年7月初旬というと、STAP論文に対する疑惑が拡
大し、ネイチャー誌もSTAP論文の取り下げを決定したことで
多くの人が論文に対する何らかの疑惑を拭い切れなくなっていた
時期に当たります。
 それでも小保方氏や笹井氏がそんなメリットのない捏造をする
はずがないと考えていた人は少なからずいたはずです。しかし、
そういう人たちの思いを完全に打ち砕いたのが、このNHKスペ
シャルだったといえます。
 このNHKスペシャルは、次の3つの点で、公共放送としては
かなりバイアスのかかった番組になっています。
─────────────────────────────
 1.STAP細胞の存在に疑問を持つ人たちだけしか番組に
   登場しておらず、不公平である
 2.STAP細胞の正体はES細胞であり、存在しないとい
   う前提で話を誘導しようとする
 3.小保方・笹井両氏を論文捏造の首謀者のように扱い、2
   人の名誉を不当に毀損している
─────────────────────────────
 第1部「疑惑の論文はこうして生まれた」では、論文ができた
経緯について紹介しています。しかし、そのなかでさりげなく、
小保方氏が当時CDBのC棟4Fにあった若山研究室の奥まった
一画で、一人で研究していたことを伝えています。実験は小保方
氏一人で行っており、ES細胞を混入させようと思えばできる状
態であったことを視聴者に示唆しています。
 それからもうひとつ、小保方氏の実験ノートを大写しにし、そ
の記述がメモ程度であったことを視聴者に印象づけています。こ
の実験ノートは小保方氏が理研に提出したものであり、NHKは
それをどのようにして手に入れたのでしょうか。
 問題は第2部「STAP細胞は存在するのか」です。冒頭に記
者は米国のハーバード大学を訪問し、万能細胞の権威ジョージ・
デイリー教授にインタビューしています。
 そこでデイリー教授に、論文通りではSTAP細胞は再現でき
ていないこと、そして、細胞が緑色に光る現象は何回か目撃した
が、それは細胞が死ぬさいに発光する自家蛍光ではないかと考え
ているといわせています。
 しかし、ハーバード大学にまで行きながら、STAP論文の共
著者の一人であり、小保方氏の師であるバカンティ教授には会っ
ておらず、会う予定もなかったようです。ただ、デイリー教授は
バカンティ教授に再現実験に協力してもらうことで合意したとい
うナレーションとともに、バカンティ氏の写真が大写しになった
だけです。
 とにかくこの番組では、小保方氏の味方は誰も登場しないので
す。もし、NHKとしてバカンティ氏にも会う意思があり、たま
たまアポイントが取れなかったのであれば、そのことをアナウン
スするはずです。褒める人には会いたくないのでしょう。
 ここで山梨大学の若山研究室のシーンになります。若山教授と
研究員2人が研究室で実験しています。若山教授が小保方氏に渡
したマウスの遺伝子と、それから作製されたSTAP幹細胞の遺
伝子は一致するはずであるとして、それを確かめる遺伝子解析を
しているのです。その解析と同じ結果が出て、それが後で間違い
だった放医研の調査は外していますが、マウスは異なるのは事実
であるのだからという理屈でそのまま取り上げています。
 その解析結果が異なることが図を使って解説され、その意外な
結果に考え込む若山教授が写し出されます。もちろんNHKがそ
のように演出したのです。若山教授は次のようにつぶやきます。
─────────────────────────────
 僕のどこに間違いがあったのか。そういう疑いをすべて捨てて
自分にミスがないっていうのを自分が納得できないと、僕は先に
進めない。            ──若山照彦山梨大学教授
─────────────────────────────
 続いて、同じ理研の上席研究員の遠藤高帆氏がリュックサック
を背負って登場します。この人物はSTAP論文が出た直後から
この論文について強い疑惑を抱き、公開されているSTAP細胞
を自分一人で3ヶ月もかけて研究し、ある発見をしたのです。
 遠藤氏がいうのは、若山教授が小保方氏から渡された細胞──
すなわち、STAP細胞には「アクロシンGFT」という特殊な
遺伝子が組み込まれていることを指摘したのです。これに関する
記者と遠藤高帆氏との一問一答です。
─────────────────────────────
 遠藤:STAP細胞には、精子で発現するアクロシンという特
    殊な遺伝子が組み込まれているのです。
 記者:それはSTAP細胞の研究には関係があるのですか。
 遠藤:全く必要ないと思います。STAP細胞は調べれば調べ
    るほど存在自体がわからなくなってくるというようなも
    のだと思います。       ──NHKスペシャル
        『調査報告/STAP細胞/不正の深層』より
─────────────────────────────
 この「アクロシンGFT」という遺伝子は、後から重要な意味
を持ってきます。なぜ、そのような遺伝子がSTAP細胞に組み
込まれたのでしょうか。謎は一層深まるばかりです。
             ── [STAP細胞事件/049]

≪画像および関連情報≫
 ●Nスペ『STAP細胞/不正の深層』の度し難い悪意
  ───────────────────────────
   理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹
  ・副センター長の自殺の報道に接した瞬間に、私はマスコミ
  に対する憤りがふつふつと湧いてきました。論文に対する疑
  惑が生まれて以降のSTAP細胞に関するマスコミ報道に異
  常なものを感じてきたからです。死後に、笹井氏が亡くなる
  10日程前から研究の会話に支障が出るようになったことが
  報じられましたが、ちょうどこの頃に、NHKがNHKスペ
  シャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』を流してい
  たことを私は後になって知りました。ネット上に、同番組が
  アップされているのを見つけ、私自身も見てみました。番組
  名に『STAP細胞/不正の深層』とあるように、STAP
  細胞をトンデモ学説扱いにして、番組が作られていました。
  いかにもNHKらしい番組で、一見中立的な立場のように装
  いながら、実のところは極めて悪意のある番組であったと、
  私は断言します。
   なぜ私がNHKの悪意について断言できるのかといえば、
  笹井氏は4月16日の記者会見で、誠実な科学者らしさを発
  揮して、例えば、以下に挙げることを述べられていたからで
  す。「STAP現象についてはもしも存在しないと思ってい
  たら、共著者には加わらなかった。しかし、それは論文の材
  料がきちんと組み上がっていたときに確信を持つのであって
  今はその組み上げ細工にヒビが入ってしまった。有望ではあ
  るが、仮説に戻して検証し直す必要があると思ってます。こ
  れを、信じる信じないということで論じるべきでないという
  科学者としての立場です」。   http://amba.to/1HodRSR
  ───────────────────────────

遺伝子解析結果を検証する若山研.jpg
遺伝子解析結果を検証する若山研
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2015年07月15日

●「捏造を証明するための番組の捏造」(EJ第4077号)

 NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』の
制作者は、番組の構想として、小保方氏が若山研の保有するES
細胞を盗み出し、自身の研究室の冷凍庫に密かに保管していたと
視聴者が思える状況を作ろうとしていたと考えられるのです。
 そのための細工と思われるものが、番組の第2部「STAP細
胞は存在するのか」のなかに見られます。なお、この番組づくり
において、若山教授はもとより研究室の2人の研究員、早い段階
からSTAP細胞は怪しいと疑い、自身の仮名ブログでSTAP
論文を批判していた遠藤高帆理研研究員は、単なる出演者でなく
番組制作協力者ではなかったかと思われます。
 若山教授と研究員2人は、保存試料のSTAP幹細胞の解析を
行ったところ、それが小保方氏に渡したマウスの遺伝子と一致し
ない事実に愕然とし考え込みます。演技がお上手です。
 そこに遠藤氏がSTAP細胞には、アクロシンGFPという特
殊な遺伝子が組み込まれている事実を若山教授に告げるのです。
ここで、次のナレーションが入ります。
─────────────────────────────
 若山教授には、アクロシンGFPの組み込まれたマウスに心当
たりがあったという。若山研ではアクロシンGFPが組み込まれ
たマウスから、ある細胞を作り、保管していた。それは別の万能
細胞、ES細胞だった。小保方氏から受け取った細胞にこのES
細胞が混入していたのではないか。ES細胞が入っていればES
細胞は簡単に作れてしまう。     ──番組のナレーション
─────────────────────────────
 続いて、「取材を進めると、ES細胞を巡ってある事実が浮か
び上がってきた」という意味深なナレーションとともに、試験管
がたくさん入った容器の写真(添付ファイル参照)表示されるの
です。「これは問題発覚後、小保方研の冷凍庫から発見された容
器であり、中身はES細胞。若山研究所にいた留学生が作ったも
のだ」という解説が入ります。
 視聴者は、はじめにアクロシンGFPが組み込まれたマウスか
ら作られたES細胞の話があって、ES細胞の容器が見せられる
ので、それがアクロシンGFPを持つES細胞だと思ってしまい
ます。続いて、次のナレーションが入るのです。
─────────────────────────────
 これまで小保方氏側は、実験用のES細胞を保存しているとし
たうえで、それは若山研から譲渡されたと説明してきた。ところ
が、この組織が小保方氏側にあるのは不可解であるという指摘が
出ている。別の研究で解析中のもので、去年若山研究室が山梨大
に移ったさい、持っていくことになっていたからだ。
                  ──番組のナレーション
─────────────────────────────
 次のシーンで受話器を耳に当てている男性が映し出されます。
これはNHKの取材スタッフです。電話している先は「ES細胞
を作製した元留学生」と画面に表示されています。その元留学生
は次のように話しています。おお、質問するスタッフの音声は一
切ありません。
─────────────────────────────
 びっくりしました。保存しているのは全部ES細胞ですので、
なぜSTAP細胞の関係があるところで見つかったのか、本当に
びっくりしました。(一瞬間を置いて)
 (小保方氏に)それを直接私が渡したことはないです。
                  ──元留学生の電話の声
─────────────────────────────
 このやり取りを聞くと、視聴者は小保方氏がアクロシンGFP
を持つES細胞を若山研の元留学生のところから盗み出したので
はないかと思ってしまいます。番組の制作スタッフは、視聴者に
そのように思わせるように細工、いや捏造しているのです。その
証拠に、これを信じた元理研のスタッフは、小保方氏をES細胞
の窃盗容疑で警察に訴えているからです。
 事実は全く異なるのです。小保方氏の冷凍庫に入っていたES
細胞は確かに元留学生が作ったものには違いないのですが、それ
はアクロシンGFPを持つES細胞ではなく、「GOF─ES」
という名前のES細胞なのです。
 このGOF─ESは、小保方氏の方から若山研のメンバーに対
し、STAP細胞の研究でコントロールとして使いたいという依
頼があって、培養皿ごとGOF─ESは小保方氏に手渡されてい
るのです。このことは桂調査委員会報告書の7ページに記載され
ています。したがって、「若山研から譲渡されたもの」であるこ
とは事実であり、それが小保方氏の冷凍庫から出てきても何も不
思議はないのです。さらにナレーションがいう「別の研究で解析
中のもので、去年若山研究室が山梨大に移ったさい、持っていく
ことになっていた」というのも事実と異なるのです。
 この事実を若山教授と親しいNHKが知らないはずはないと思
うのです。しかも番組で明らかに事実と異なることが報道されて
おり、それが小保方氏の名誉を傷つける内容であるにもかかわら
ず、若山教授が何もそのことに言及しないのは不思議な話です。
 それにしてもこの留学生の発言は不可解です。彼が自分の作製
したGOF─ESが小保方研に譲渡された事実を知らないはずは
なく、なぜ事実と異なることを電話で話したのかは不明です。こ
れについて「研究者・教育者の意見」のブログでは取材者に次の
ように呼びかけています。
─────────────────────────────
 「眼鏡のお兄さん」、もしあなたに良心があるなら、元留学生
にどのように質問したのかを開示すべきた。直接的か間接的かは
誰にもわからないが、NHKスペシャルが「不正の深層」の中心
人物とした人が、直後に自殺しているのは紛れもない事実なのだ
から。                http://bit.ly/1fwkMUf
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/050]

≪画像および関連情報≫
 ●笹井氏の自殺はNHKと文春のせい/リテラ
  ───────────────────────────
   衝撃的な第一報が飛び込んできた。STAP細胞捏造疑惑
  で一躍時の人となった小保方晴子ユニットリーダーの上司で
  あり、論文共同執筆者でもあった笹井芳樹理化学研究所発生
  ・再生科学総合研究センター副センター長が首つり自殺を遂
  げたのだ。
   ネットでは早速、メディアスクラムが笹井氏を追いつめた
  というお得意のマスゴミ批判が展開されている。中でも取り
  ざたされているのが、7月27日のNHKスペシャル「調査
  報告STAP細胞/不正の深層」が決定打になったのではな
  いか、という見方だ。
   この番組は、NHKが専門家による独自の検討チームを組
  んで、捏造の真相に迫ったものだが、この中で、笹井氏が事
  実上、論文づくりをリードしていたことをあげたうえで、今
  最大の焦点となっているマウスのすりかえ問題を、笹井氏が
  知っていたのではないか、と指摘したのだ。このマウスのす
  りかえ問題を簡単に説明すると、以下のようなものだ。ST
  AP細胞は、若山照彦・山梨大学教授が小保方氏から手渡さ
  れたSTAP細胞から幹細胞とキメラマウスを作成したこと
  で、万能性の獲得が証明されたことになっていた。だが、相
  次ぐ不正発覚に疑問を感じた当の若山教授が第三者に遺伝子
  情報の解析を依頼。すると小保方氏から手渡されていたのは
  ES細胞をもった別のマウスだった事が判明したのである。
                   http://bit.ly/1eP8RzZ
  ────────────────────────

小保方研の冷凍庫から発見されたES細胞.jpg
小保方研の冷凍庫から発見されたES細胞
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2015年07月16日

●「Nスペの制作に若山研は協力か?」(EJ第4078号)

 昨日の続きです。NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞
/不正の深層』は元NHKアナウンサー山根基世氏のナレーショ
ンを中心に物語風に仕上げられています。こういう構成の番組の
場合、一部の出演者には、台本に沿った簡単な演技が求められる
ことがあります。
 番組の第2部「STAP細胞は存在するのか」では、山梨大の
若山研究室での若山照彦教授と研究員3人がSTAP幹細胞の解
析をする場面と、その結果に当惑し、若山教授が考え込むシーン
や遠藤理研上席研究員がアクロシンGFPを説明するシーンなど
は若干の演技が必要になります。そうであるとすると、少なくと
も若山教授は台本の構成の一部を知っていたことになります。
 STAP細胞の遺伝子の解析に関連して遠藤氏からSTAP細
胞にアクロシンGFPという特殊な遺伝子が入っていたことが伝
えられ、その直後に小保方氏の研究室の冷凍庫から見つかったと
いうES細胞の容器のシーンになることも若山教授は事前に知っ
ていたと思われます。もちろんそのES細胞が自分が小保方氏に
譲渡したGOF─ESであることもです。
 しかし、番組のシナリオの流れに沿うと、視聴者は冷凍庫から
見つかったES細胞は、アクロシンGFPが組み込まれたES細
胞であると思ってしまうし、それが若山研にいた元留学生に「私
は小保方氏にそれを直接渡していないです」という言葉で否定さ
れると、視聴者は「やっぱり盗んだのか」と考えます。
 視聴者にそう思わせるように巧妙にストーリーを構成している
のです。それでいてそれぞれの事実にはウソはないのです。ST
AP細胞にアクロシンGFPが組み込まれていること、小保方氏
の冷凍庫からES細胞の容器が見つかったこと、小保方氏がES
細胞を若山研から譲渡されていたことなどすべてにウソはないの
です。しかし、それらの事実を悪意で恣意的に編集すると、小保
方氏があたかもES細胞を盗んだかのような印象を与えることは
できるのです。
 ここで巧妙なことは、「ES細胞は若山研から実験用に譲渡さ
れていた」という事実を小保方氏の会見から切り取って、ナレー
ションで伝えていることです。NHKのことですから、この事実
を若山教授やそのスタッフに確認しているはずであり、ES細胞
が本当に譲渡されていたことを知っていたと思われます。
 そうであるとしたら、小保方氏の冷凍庫からES細胞の容器が
見つかっても何も不思議はないはずです。しかし、編集者はそれ
をミステリアスにするために元留学生との電話のやり取りのシー
ンを用意したのです。
 この元留学生は、李(Li Chong)氏であることがわかっていま
す。李氏は2007年から若山研に「ジュニア・リサーチ・アシ
スタント」として在籍し、2010年に「リサーチ・サイエンテ
ィスト」になっています。小保方氏がCDBの若山研に客員研究
員として参加した2011年4月も在籍しており、小保方氏とは
面識があったと考えられます。
 小保方氏の冷凍庫から発見された72本のES細胞の容器には
「ntES BOX Li」 というラベルが貼ってあったといいます。これ
には「Li」と書いてあり、李氏作製のものに間違いはなく、小保
方氏に譲渡されたES細胞なのです。既に述べたように、理研の
桂調査委員会報告書にも次の記載があり、間違いはないのです。
─────────────────────────────
 ES細胞GOF─ESは、CDBの別のグループから供与され
た、Oct4プロモーター下にGFPを発現するGOFマウスか
ら、若山氏が指示した別の研究に使用する目的で、2011年5
月26日から10月31日の間にCDB若山研メンバーによって
作製された。この期間に、小保方氏から、当該メンバーに対し、
STAP細胞の研究で、コントロールとして使用したいとの依頼
があり、培養皿ごとES細胞GOF─ESが小保方氏に手渡され
た。        ──桂理研調査委員会報告書7ページより
─────────────────────────────
 そうであるとすると、李氏はなぜびっくりしたのでしょうか。
この番組が放送されたのは、2014年7月27日ですから、若
山研の山梨大への移転はとっくに終わっています。もし、移転し
て研究に必要な試料(ES細胞)がなかったとすれば、当然CD
Bに問い合わせをしているはずです。
 推測ですが、当然これには何らかの演出があり、若山研がそれ
に協力している可能性が考えられます。取材者の「眼鏡のお兄さ
ん」と李氏との電話シーンを撮るには、若山教授の承認がないと
できないはずです。それにしても若山教授はなぜそこまでNHK
に協力し、小保方氏を潰そうとするのでしょうか。
 若山教授には謎の部分が多いのです。若山教授は笹井氏以上に
STAP細胞に近かった人です。それなのに、最初に逃げ出した
のはこの人です。2010年の民主党の事業仕訳のさい、理研職
員が妻をアシスタントにして、月給約50万円を理研が支払って
いることが明らかになり、仕分け人側からは「お手盛りではない
か」と厳しい追及がありましたが、これは若山教授のことである
と思われます。あるブログには次の関連記事が出ています。
─────────────────────────────
 雑誌『フライデー』によると、小保方氏が盗んだとされるES
細胞の箱には持ち主の名前「Li」と書かれていたと言う。「DO
RAのブログ」によると、それは若山研究室に在籍した中国人の
Chong Liさんだろうと言うことだ。 この名前と若山氏の名前で
検索すると面白い事が分かった。若山氏、その夫人で研究者の若
山清香氏、そして李氏。この3人は仲良く2011年開催のAR
BS「ポスタープレゼンテーション」のミーティングに参加して
いるのだった。冷蔵庫の鍵の管理をしていたと言う清香夫人と共
に、だ。色々と想像出来るが、実験室の箱の中、密室のトリック
なら、門外漢はお手上げである。    http://bit.ly/1Gf0rYB
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/051]

≪画像および関連情報≫
 ●「新ベンチャー革命」ブログ/2015年2月12日
  ───────────────────────────
  タイトル:後味の悪いSTAP細胞事件の幕引き:すべて小
  保方氏に罪を着せる卑怯な理研よ、よほど大きな圧力が、掛
  かったのか。
   1.理研はなんと、小保方氏がES細胞を盗んだと言い始
  めた!2015年2月10日、理研は小保方氏がES細胞を
  盗んだ疑いがあると発表しました。そして、小保方氏の弁護
  士は反論していません。非常に後味の悪い記者会見です。小
  保方氏の上司・笹井氏の自殺(?)の後の、理研の対応は、
  小保方氏一人にすべての罪をなすりつけて、自分たちは責任
  を逃れようという卑怯なものです、到底、許されません!理
  研がこのような発表をすると、STAP細胞というのはウソ
  で、小保方氏がつくったとされるSTAP細胞試料に彼女が
  密かにES細胞を混入させて、それをSTAP細胞とごまか
  したとわれら国民は理解します。一方、理研も国民がそのよ
  うに受け取ることを期待しているように感じられます。それ
  に対して、小保方氏が反論しないと、理研の言い分を小保方
  氏が認めたことになります、ちょっと信じられません、この
  ような流れは・・・。理研はどこまで国民をなめているので
  しょうか。
   2.ES細胞研究の世界的権威であった笹井氏が小保方氏
  のつくったSTAP細胞がES細胞だったと間違えるはずが
  ない!上記、理研のシナリオに従えば、小保方氏のつくった
  STAP細胞は実は盗んだES細胞であり、それをES細胞
  研究の世界的権威である笹井氏がウソを見抜けず、小保方氏
  にだまされたということになります。
                   http://bit.ly/1PYfAIP
  ───────────────────────────

元留学生に電話するNHK記者.jpg
元留学生に電話するNHK記者
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2015年07月17日

●「STAP有志の調査委員会の存在」(EJ第4079号)

 『週刊ポスト』2015年2月13日号に、小保方氏をES細
胞の窃盗容疑で兵庫県警に告発した理研OBの石川智久氏のコメ
ントが紹介されています。
─────────────────────────────
 小保方さんはSTAP論文が疑われた直後から、実験室にあっ
た細胞サンプルをこっそり処分し始めました。怪しいと感じた理
研の研究者有志がサンプルを保全して独自に調査したところ、小
保方さんの共同研究者だった若山照彦さん(現・山梨大教授)の
研究室から紛失していたES細胞が見つかった。そこで、私は彼
女がES細胞を窃盗したと推定し、刑事告発に踏み切りました。
日本の科学の国際的信頼を回復するためにも絶対にうやむやにし
てはいけない。
 小保方さんの研究室から見つかったES細胞は、若山研にいた
中国人留学生が作成、凍結しておいたもの。若山研が理研から山
梨大学に引っ越したときに紛失が発覚し、留学生は研究を継続で
きなくなったそうです。           ──石川智久氏
         『週刊ポスト』2015年2月13日号より
─────────────────────────────
 この石川氏のコメントが事実と違うことは、EJをここまで読
んできていただいている読者にはわかると思います。小保方氏は
留学生の李氏の作製したES細胞「GOF─ES」を若山研から
正式に譲り受けており、そのことは昨年12月に行われた桂調査
委員会報告書の7ページに明記されているからです。(16日の
EJ第4078号参照)
 したがって、「留学生は研究を継続できなくなったそうです」
というのは完全なウソということになります。李氏は自分のES
細胞を探しているフシはないし、研究の継続に困ってもいないの
です。理研CDBから山梨大学に持っていくべき試料などはすべ
て山梨大学に運ばれているからです。
 どうやら石川氏は、NHKスペシャル「不正の深層」の内容を
固く信じており、桂報告書も「STAP細胞はES細胞である」
という結論だけ読んで、全文を読まずに小保方氏を告発したこと
になります。人の名誉を傷つけかねない警察への告発をこのよう
に乱暴に行うとは、理研のOBらしからぬ軽率な行為であると思
います。告発状は受理されたらしいですが、結果がどうなったか
は現時点では不明です。ちなみに理研としては被害届を出してい
ないのです。もし裁判なって一番困るのはおそらく理研になると
思います。
 しかし、これで一つわかったことがあります。小保方氏がST
AP細胞の発表を行い、疑惑が生じた直後から、理研内部に「S
TAP細胞有志の調査委員会」なるものが結成され、STAP細
胞について調べたり、小保方氏の行動をそれとなく監視していた
ことです。おそらく理研内部では、途中から彗星のごとく現れ、
笹井CDB副センター長の信任も厚く、その内容が本当ならノー
ベル賞もありうる凄い研究発表をした小保方氏を妬む人がたくさ
んいたことになります。
 当然のことながら、そういう人たちは率先してNHKなどのメ
ディアに進んで協力し、小保方氏の足を引っ張る情報をいろいろ
提供したはずです。理研内部には「敵」がたくさんいたのです。
そうでなければ、笹井氏と小保方氏とのメールのやりとりなどが
外へ漏れるはずがないからです。
 聞くところによると、理研内部の有志の会は、小保方氏が休ん
でいるとき、細胞などを勝手に外に持ち出さないように、小保方
研の鍵を取り替えるなどしたそうです。これについて「研究者・
教育者」のブログでは、次のように批判しています。
─────────────────────────────
 「有志の調査委員会」が行った「小保方氏が細胞サンプルを自
由に処分できないように実験室の鍵を付け替えた」という行為は
「建造物侵入」と「威力業務妨害」に当たるだろう。「建造物侵
入」というのは不思議に思うかもしれないが、19歳の「つまよ
うじ混入少年」の容疑が「建造物侵入」であることを考えれば理
解できるだろう。スーパーのように誰でも入れる場所であっても
購入とは別の目的で入ればこの罪に問われる可能性がある。
 また、小保方氏が管理している部屋の鍵を付け替えれば、「威
力」によって小保方氏の正常な「業務」を妨害しているので「威
力業務妨害」だ。このような行為ができるのはCDBのセンター
長である竹市氏や理研理事長の野依氏だけだ。彼らにしても正当
な理由無しに小保方氏の管理下にある研究室を勝手に捜索したり
鍵を付け替えることは違法行為となる。警察であっても捜査令状
が必要であり、そして捜査令状の対象外の場所を勝手に捜査した
り封鎖したりすることはできないのだ。 http://bit.ly/1fwkMUf
─────────────────────────────
 このように第三者が小保方研に侵入できたということは、その
冷凍庫のなかにある細胞の容器に、誰かがある特定の細胞を入れ
ることもできることを意味します。
 というのは、ここでもう一つの疑惑が浮上しているからです。
小保方氏の冷凍庫の容器のなかから、若山研が小保方氏に譲渡し
た李氏作製のES細胞「GOF─ES」のほかに、別種のES細
胞「FES1/FES2}が出てきたからです。
 そのES細胞は、10年前の2005年にCDBの若山研に所
属していた大田浩研究員が作製したものであり、そのES細胞に
は、あのアクロシンGFPが組み込まれていたのです。
 大田氏によると、確かにそういうES細胞は作製したが、研究
には使わず、そのまま保存し、他の大学に転出するときにすべて
持ち出しているはずだと述べています。
 桂調査委員長は、この細胞株を若山教授と小保方氏に見せたが
2人とも「ぜんぜん知らない」と否定したというのです。つまり
若山氏も小保方氏も知らない細胞株が小保方氏の冷凍庫から見つ
かっているのです。この細胞株については、来週のEJで詳細に
究明します。       ── [STAP細胞事件/052]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞報道のNHKスペシャル批判/下田親氏
  ───────────────────────────
  この番組(NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不
  正の深層』)では「小保方、若山、笹井さんたちのチームが
  研究不正をしてネイチャー論文をでっち上げた」という結論
  が先にあったようです。それを導くために、様々な間接証拠
  を積み上げ、あたかも客観的な事実によって不正を証明した
  と言わんばかりの番組構成でした。ナレーションが「これも
  不正、あれも不正」と解説するのですが、具体的に視聴者が
  判るように映像や言葉でもって証明するものではありません
  でした。例えば、ネイチャー誌に発表された2報の論文の図
  表の内、理研の調査委員会が不正と認定した2つの図表に加
  え、番組では他の多くにも不正な操作があったと断定して、
  映像ではその図を赤い色で塗りつぶしていきました。これだ
  け見ると、論文は不正なデータばかりででっち上げたのかと
  思ってしまいます。これは映像による、とても酷いイメージ
  操作です。調査委員会が不正と断定した2つの図については
  僕の講演では詳しく、どこに問題があり、それが全体の結論
  にどのように影響したかを解説し、綿密に分析しました。し
  かし、このNスペではそういった説明は一切なく、赤く塗り
  つぶされた図表のイメージのみが示されたので、視聴者は論
  文がもう捏造データで溢れていると考えてしまう仕組みにな
  っていました。そもそも、上から赤く塗りつぶすわけですか
  らどんな図だったのかさえわかりません。
                   http://bit.ly/1L0YTta
  ───────────────────────────

小保方研究室.jpg
小保方研究室
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2015年07月21日

●「若山会見とNHK報道の巧妙演出」(EJ第4080号)

 7月17日のEJ第4079号の最後の部分をもう一度振り返
ります。小保方氏は、CDB時代の若山研の客員研究員をしてい
たとき、元留学生の李氏が作製したES細胞「GOF─ES」を
正式に譲り受けています。この点においてNHKスペシャルの報
道は完全に間違っています。わざとですが・・・。
 したがって、このGOF─ESが小保方研の冷凍庫から出てき
ても何も不思議はないわけです。しかし、それとは別のES細胞
も見つかっているのです。それは、遠藤高帆CDB上席研究員の
指摘したアクロシンGFPが組み込まれたES細胞「FES1/
FES2」だったのです。
 これについて桂委員長は、そのES細胞の入った容器を小保方
氏と若山山梨大教授の両方に見せたところ、2人とも「全然知ら
ない」と否定したといいます。つまり、本人がウソをついていな
い限り、小保方氏本人が知らないES細胞が、小保研の冷凍庫に
入っていたことになります。
 このアクロシンGFPの組み込まれたES細胞について『日経
サイエンス』は、まるで鬼の首でも取ったかのように「STAP
細胞は最初から存在しなかった」と断定したうえで、次のように
書いているのです。
─────────────────────────────
 実験に使われた「STAP細胞」の大半は,10年前の200
5年、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)
の若山照彦チームリーダー(現山梨大学教授)のもとで研究して
いた大田浩研究員が作ったES細胞だった。
 当時、若山研では,身体全体に加えて精子までが緑に光る,特
別なマウスを飼っていた。大阪大学の岡部勝・元教授が遺伝子導
入技術で作ったマウスだ。大田氏は、この岡部マウスと市販の白
マウスを掛け合わせて受精卵を取り、その受精卵からES細胞を
作った。だが研究には使わず,そのまま保存していた。
       ──『日経サイエンス』/2015年3月号より
─────────────────────────────
 しかし、大田浩氏の作製したES細胞が現在もCDB当時の若
山研にあるのはおかしいのです。なぜなら、大田氏自身が若山研
を転出するさいにすべて持ち出しているからです。科学者という
ものは自分の樹立した試料には強いこだわりがあり、それをうっ
かり忘れることはあり得ないことです。『日経サイエンス』にも
それを裏付ける記述があります。
─────────────────────────────
 大田氏は、2010年3月に若山研から転出するにあたり、自
分の樹立した細胞株をすべて運び出したはずだという。(中略)
若山研でSTAP研究が始まったのは2011年4月から。いっ
たいなぜ、大田氏のES細胞がSTAP細胞の研究に入り込んだ
のか。    ──『日経サイエンス』/2015年3月号より
─────────────────────────────
 これに関して若山教授は、確かにアクロシンGFPが組み込ま
れたES細胞は記憶にあるが、大田氏がすべて運び出したと思っ
ていたと述べています。転出した大田氏も送り出した若山教授も
そのES細胞が大田氏によって2010年3月にCDBから外に
持ち出されていることを認めているのです。
 現に若山研がCDBから山形大学に移転するさい、理研と交わ
した持ち出す試料や物資などの一覧を記述した資料にも大田氏作
製のES細胞「FES1/FES2」の記載はないのです。それ
がなぜ小保方研の冷凍庫にあるのでしょうか。まるでミステリー
のような話です。
 そもそも小保方氏がCDBの若山研に客員研究員として入った
のは2011年4月のことです。大田氏の転出の1年後のことで
あり、大田氏と小保方氏の接点は全然ないのです。
 したがって、小保方研の冷凍庫から出てきたES細胞「FES
1/FES2」の容器を桂調査委員長から見せられて、小保方氏
が「知らない」と答えたのは当然のことです。しかし、若山教授
まで「知らない」というのには疑問があります。これについては
もう少し事実を積み重ねて明らかにします。
 NHK番組制作者は、この大田氏作製のES細胞のことを知ら
ないはずはないのです。若山氏とも十分打ち合わせているはずで
すし、実際にNHKスペシャルでは遠藤氏にアクロシンGFPに
ついて言及させています。そのアクロシンGFPが組み込まれた
ES細胞が大田氏の製作したものだということもです。
 しかも、小保方研の冷凍庫から、ES細胞の入った容器が見つ
かったというニュースが流れたのが、2014年6月16日の夕
方なのです。ちょうどその日に若山教授は、第三者機関(?)の
細胞の解析結果について記者会見を開いているのです。これも十
分計算されたNHKの「小保方犯人説」への演出なのです。16
日のNHKオンラインは、次のように報道しています。
─────────────────────────────
◎冷凍庫内に「ES」記載容器
 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが使ってい
た研究所内の冷凍庫から「ES」と書かれたラベルを貼った容器
が見つかり、中の細胞を分析したところ共同研究者の若山教授の
研究室で保存されていた、STAP細胞を培養したものだとする
細胞と遺伝子の特徴が一致したとする分析結果がまとまっていた
ことがわかりました。
◎「STAP細胞の証拠ない」
 STAP細胞論文の共著者の若山照彦山梨大教授が16日、自
身が保管していたSTAP幹細胞は、小保方晴子氏に作製を依頼
して渡したマウスとは別系統の細胞だったとの解析結果を発表し
ました。   ──2014年6月16日付/NHKオンライン
─────────────────────────────
 これを見るとわかるように、若山教授とNHKがまるで打ち合
わせているように行動していることがわかると思います。
             ── [STAP細胞事件/053]

≪画像および関連情報≫
 ●真実を探すブログ/STAP細胞の証拠ない/若山教授
  ───────────────────────────
  理化学研究所の小保方晴子氏が作製した「STAP細胞」を
  基に作ったとされる細胞の遺伝子を第三者機関が解析したと
  ころ、別の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)の特徴が
  確認されたことが判明しました。第三者機関に解析を依頼し
  たのは論文共著者の若山照彦山梨大教授で、16日に記者会
  見を開き、「STAP細胞の存在を示す証拠が無かった」と
  発表しています。更にはSTAP細胞の培養に使ったマウス
  が、当初の報告とは別の個体であることも分かりました。し
  かも、16日夕方の報道によると、小保方氏の研究室にある
  冷蔵庫から「ES」と記載されている容器が発見されたとの
  ことです。これから中身の詳細な検査をする方針となってい
  ますが、これがES細胞である可能性が高いと見られていま
  す。STAP細胞の再現実験が始まる前に、再びこんな騒ぎ
  になるとは私も思いませんでした。当初はSTAP細胞を信
  じていましたが、今回の解析結果などを見てみると、流石に
  小保方氏の擁護は厳しいです。とりあえず、小保方氏はES
  細胞との関係について、ちゃんと話すべきだと思います。
                   http://bit.ly/1CKVqMq
  ───────────────────────────

NHKと歩調を合わす若山会見.jpg
NHKと歩調を合わす若山会見
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2015年07月22日

●「なぜ、NHKはそこまでやるのか」(EJ第4081号)

 STAP細胞事件でNHKが最大の情報源にしていたのは、若
山照彦山梨大学教授です。NHKは、STAP細胞が本物であっ
ても、捏造であっても報道のイニシアチブが取れるよう若山教授
を確保していたと思われます。それは若山教授にとっても願って
もないことであったと思います。なぜなら、自身のメッセージの
「拡声器」としてNHKを使えるからです。
 同じようなポジションを確保していたのは、毎日新聞科学環境
部記者/須田桃子氏による『捏造の科学者/STAP細胞事件』
(文藝春秋)です。結局「捏造の科学者とは誰なのか」──本書
はそれを名指しこそしていないものの、明らかに小保方晴子氏と
笹井芳樹氏の2人を指して、そういっています。
 しかし、その一方において須田氏の著書は、STAP細胞に関
する科学的論点や渦中の当事者のメールや証言、科学者たちの反
応、マスコミのあり方などで、この事件に関する多くの検討材料
を提供してくれており、この本がなければ、EJもこのテーマを
ここまで掘り下げることはできなかったと思います。
 ところが須田氏の本でも、若山教授を重要な情報源としている
せいか、小保方氏や笹井氏を捏造の科学者とする一方で、若山教
授を、論文の共著者でありながら論文不正究明に立ち上がった正
義の科学者というとらえ方をしているように思います。
 さらに、須田氏の本では、若山教授が依頼した第三者機関が真
の第三者機関ではなく、その解析結果が間違いであったことを正
確に伝えず、さらりと流してしまっています。そのためSTAP
細胞不存在を唱える科学者にとっては、この本もそのための格好
の「拡声器」になってしまっているのです。
 NHKの番組制作担当者は、2014年7月27日放送のNH
Kスペシャルの制作にあたり、さまざまなことを若山教授から聞
き取っているはずです。したがって、小保方研の冷凍庫から発見
されたES細胞には2種類あり、1つはCDB時代の若山研に在
籍した元留学生の李氏が樹立したGOF─ES、もう1つは既に
他大学に転出した研究者の大田氏が樹立したFES1/2である
ことも当然知っていたはずです。さらにGOF─ESは若山研が
小保方氏の要請にしたがって譲渡したこともです。
 ところが番組制作担当者は、「若山研の山形大学への転出のど
さくさに紛れて小保方氏がES細胞を盗み出した」というストー
リーに強くこだわったフシがあります。
 そのため、小保方氏が元留学生の李氏作製のES細胞をこっそ
り盗み、それを自分の冷凍庫に隠していたと視聴者が思うように
演出したのです。もちろん小保方氏自身が既にES細胞を保有し
ていたことは番組では伏せています。しかし、若山教授は、6月
16日の記者会見で、小保方氏へのES細胞の譲渡についても話
しているので、NHKがそれを知らないはずはないのです。
 しかもNHKはそれが後になってうそであることが判明とした
ときの言い訳も考えて巧妙に番組を構成しています。ES細胞の
容器の発見の前に遠藤上席研究員にアクロシンGFPの話をさせ
ており、実際にそのアクロシンGFPが組み込まれたES細胞が
小保方研の冷凍庫から発見されているので、それを元留学生が作
製したES細胞と間違えたといっても通るからです。
 この場合、アクロシンGFPが組み込まれた大田氏のES細胞
を小保方氏が盗んだという話にすると、大田氏は「すべて転出の
さい持って行った」と話しており、若山教授もそれを認めている
ので、小保方氏がそれを盗んだとするストーリーが現実味に欠け
ることになります。そのため、元留学生の作製したES細胞を小
保方氏が盗んだという話にすり替えたのです。
 それにしても公共放送のNHKが、番組の制作にあたって、こ
のような細工をしてもいいのでしょうか。小保方氏はこのことが
原因で、ES細胞の窃盗容疑で警察に告発されているのです。こ
れは小保方氏への重大な名誉棄損であり、告発される可能性も十
分あると思います。
 ここで、小保方氏が若山研からES細胞を盗み出せる状況だっ
たかどうかについて時系列に整理しておくことにします。小保方
氏がCDBの研究ユニットリーダーに正式に就任したのは、20
13年3月1日のことです。しかし、2013年1月から着任ま
では、笹井氏の指導の下で論文の制作に追われていたはずです。
その作業がどこで行われていたかは不明ですが、おそらく笹井研
で行われていたと考えるのが自然です。
 小保方氏は、若山研の客員研究員のときに細胞を保管する自身
の冷凍庫を持っていたはずですが、その冷凍庫は笹井研に持って
行っているはずです。論文の作製に必要であるからです。
 一方、若山研では引っ越しの作業が行われており、3月末日に
研究室は山形大学に転出しています。小保方氏は3月1日に正式
にCDBの研究ユニットリーダーになりますが、小保方研究室は
まだできていないので、完成する10月まで小保方氏は笹井研に
居候していたのです。
 笹井氏と小保方氏は、論文提出後、3月〜10月までは論文の
査読者の要請に対応するための実験やその取りまとめなどがあり
笹井研でその作業に追われていたと思われます。
 その間にも小保方氏はSTAP細胞は何回も作製しているはず
です。もし桂調査委員会の結論のように、小保方氏が毎回ES細
胞を混入させていたとすれば、ES細胞の権威である笹井氏の目
を誤魔化すことはとうてい不可能であったと思われるのです。調
査委員会は、細胞の解析結果から小保方氏がES細胞を混入させ
たと推定していますが、当時の小保方氏の作業の状況から見て、
それは可能とは思えないのです。
 調査委員会の結論は、STAP細胞といわれるほとんどのもの
は、アクロシンGFPの組み込まれたES細胞であると断定して
います。つまり、大田氏の作製したES細胞です。それでは小保
方氏は、そのFES1/2をどのようにして入手することができ
たのでしょうか。小保方氏にとっては、全く接点のないES細胞
だからです。       ── [STAP細胞事件/054]

≪画像および関連情報≫
 ●「なぜ小保方氏はES細胞を盗んだのか」/池田信夫氏
  ───────────────────────────
   NHKスペシャル「STAP細胞/不正の深層」を録画で
  見た。「おさらいだ」と批判を浴びるのはしょうがないが、
  気になったのは、肝心のES細胞の話をきちっと詰めてない
  点だ。STAP細胞と称するサンプルのDNAが若山研究室
  のES細胞と同一で、彼女の研究室の冷凍庫にも同じES細
  胞があった。ここまでは既報だが、そのES細胞をどこから
  入手したのかが問題だ。この番組では、元留学生が電話で、
  「私は渡していない。驚いた」と話していた。
   これだけでは決め手にならないが、彼女の冷凍庫にあった
  ES細胞が若山研究室のもので、誰もそれを渡していないと
  すれば、彼女が盗んだと考えるしかない。例の突撃インタビ
  ューはこれを質問したのだろう。しかし傷害事件になったた
  め大幅にカットしたものと思われ、表現があいまいになって
  いる。だからなぜ、若山研究室のES細胞が彼女の冷凍庫に
  あったのかが焦点だ。若山研究室とは行き来があったようだ
  から、人のいないとき盗むのはむずかしくなかっただろう。
  それは若山研究室が山梨大学に移動する前だと思われるので
  引っ越しのときの記録を見ればわかるはずだ。元留学生の証
  言が電話になっているところを見ると、放送直前にわかって
  取材する時間がなかったのかもしれない。しかし、
  @彼女が「STAP細胞ができた」といって若山氏に渡した
   のは、彼の研究室に保管されていたES細胞だった。
  A同じ若山研究室のES細胞が小保方研究室の冷凍庫から出
   てきた。
  B誰も彼女にES細胞を渡していないという事実が確認され
   たとすると、偶然の取り違えは考えられない。彼女も会見
   で「ES細胞の混入はないように研究環境を管理した」と
   言っているので、事故の可能性もない。
                   http://bit.ly/1MbADUz
  ───────────────────────────
 ●写真出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著/『捏造の科学
  者/STAP細胞事件』/文藝春秋

「ES」と書かれES細胞のチューブ.jpg
「ES」と書かれES細胞のチューブ
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2015年07月23日

●「若山研に送付された大田ES細胞」(EJ第4082号)

 桂勲委員長による理研の調査委員会は、STAP細胞関連残存
試料──次の3種類のSTAP幹細胞とFI細胞の遺伝子解析を
行った結果、それらはいずれもES細胞であったと断定し、ST
AP細胞は最初から存在しなかったと結論づけています。
─────────────────────────────
  STAP幹細胞/FLS →  大田マウスESと確定
  STAP幹細胞/AC129→ 若山マウスESと確定
  STAP幹細胞/GLS → GOFマウスESと確定
    FI幹細胞/CTS →  大田マウスESと確定
─────────────────────────────
 なぜ、STAP細胞ではなくSTAP幹細胞なのかというと、
STAP細胞それ自体には増殖力がなく、そのままのかたちでは
死滅してしまい、残存できないからです。そのため、特殊な培養
を行い、幹細胞化して残しているのです。FI細胞というのは、
胎児だけでなく胎盤にも分化する幹細胞です。ここでいうFI幹
細胞はSTAP細胞由来のものとして残されていたのです。
 実はもうひとつ「FLS─T」という幹細胞が2株あるのです
が、これについても調査委員会は遺伝子解析をしているものの、
この幹細胞については公表していないのです。実は、これがST
AP細胞事件の真相に迫る重要なカギになると私は考えているの
で、後から取り上げます。
 桂調査委員会は、STAP細胞由来とされるこれらの幹細胞は
遺伝子解析の結果、すべてES細胞であり、「STAP細胞は最
初から存在しなかった」と結論づけたのです。その調査委員会の
結論をNHKをはじめとする各メディアと日経サイエンスなどの
科学雑誌は、何の疑義も挟まず、そのままトレースして報道して
います。「完全無欠であり、疑いの余地なし」として、いわゆる
STAP細胞事件の幕引きをしたのです。数多くの疑問を置き去
りにしたままでの幕引きです。
 STAP細胞「AC129」の2株は若山研のマウスから作ら
れたES細胞、STAP細胞「GLS」の13株は、小保方氏が
若山研から譲渡されたGOF─ES──若山研の元留学生李氏作
製のES細胞です。これらのES細胞については、本当にやった
かどうか、やれたかどうかは別として、小保方氏がそれらのES
細胞を混入させることはできたはずです。
 しかし、STAP幹細胞「FLS」の8株とFI幹細胞「CT
S」については、大田マウス由来のES細胞であるというのです
が、既に述べているように、大田氏の作製したアクロシンGFP
が組み込まれたES細胞は、大田氏が若山研を転出するさいに全
部持ち出しており、若山研には存在しないはずのES細胞です。
それがどうして小保方氏の冷凍庫から見つかり、STAP細胞に
化けていたのでしょうか。
 ここに重大な疑問が生じます。調査委員会は、STAP幹細胞
「FLS」の遺伝子を解析し、大田氏が作製した「FES1/F
ES2」の解析結果と一致したといっていますが、「FES1/
FES2」をどのようにして入手したのでしょうか。それは若山
研にはないはずのES細胞だからです。
 既に述べたように、若山教授が理研CDBから山梨大学に研究
室を移転させるさいに交わした「試料提携契約書(MTA)」に
も作成者大田氏の細胞、2005年作製の細胞の記載はなかった
のです。それなのに、調査委員会が遺伝子解析をするときには、
若山研にはそのES細胞は存在していたことになります。
 「小保方博士の不正報道を追及する有志の会」というのがあり
ます。小保方氏への人権を無視した科学的根拠に基づかない不当
な報道に抗議する有志の会だそうです。
 この会は、上記の疑問を若山研究室に問い合わせたところ、次
のような重要な情報を得ているのです。これは、NHKをはじめ
日経サイエンスなどの科学雑誌も一切報道していない事実です。
彼らは、小保方氏にとって少しでもプラスになる報道は一切しな
い方針のようです。
─────────────────────────────
 「FES1と2」の移動経路について、若山研究室に二度問い
合わせたところ、「京大、大田博士から取り寄せた」という回答
があり、大田博士からも「2014年6月に若山研究室に冷凍状
態で送った」との回答を得た。     http://bit.ly/1ff6XJ7
─────────────────────────────
 はじめて聞く情報です。なんと若山教授は、2014年6月に
第三者機関で遺伝子解析をしてもらうため、大田氏からアクロシ
ンGFPが組み込まれたES細胞を冷凍状態で送ってもらってい
たのです。桂調査委員会が遺伝子解析をしたのは、このES細胞
なのです。それならば、そのES細胞がなぜ小保方研の冷凍庫に
入っていたのでしょうか。
 これは完全に謎です。小保方研の冷凍庫からES細胞が発見さ
れたのも、若山教授が記者会見をしたのも、2014年6月16
日なのです。しかし、少なくともその16日以前には山梨大学の
若山研究室には、大田氏のES細胞は存在していたのです。
 したがって、既にその時点では、体調を崩し、自分の研究室に
は出入りしていなかった小保方氏以外の誰かが、悪意を持ってそ
のES細胞の一部をチューブに入れ、小保方研の冷凍庫に入れる
ことはできたはずです。STAP細胞の研究に嫉妬し、小保方氏
の足を引っ張るグループも理研内部には多数いたからです。
 「小保方博士の不正報道を追及する有志の会」は、日経サイエ
ンスの報道姿勢を批判し、次のように述べています。
─────────────────────────────
 日経サイエンスは、STAP幹細胞の「元」だったとする「F
ES1と2」の「移動経路」を調べず、いつも必ず若山研究室側
の視点でSTAP幹細胞の解析をドラマ仕立てで報じている。
                   http://bit.ly/1ff6XJ7
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/055]

≪画像および関連情報≫
 ●残存ES細胞に関する若山教授との一問一答
  ───────────────────────────
  ──解析結果に見合うES細胞というのは、若山研にあった
    のでしょうか?
  若山:FLSと一致するES細胞は、僕の研究室にはありま
     せん。
  ──AC129とGLSに関してはどうですか?
  若山:AC129は系統が違ってしまっているんですが、1
     29B6F1というバックグラウンドになってしまい
     ますが、これに関しては、僕の方でFLSが成功した
     後、そのFLSのコントロールとして受精卵ESを作
     製して、小保方さんに渡しています。
  ──GLSに関しては?
  若山:GLSは、Oct4GFP、全身が初期化されると光
     るマウスなんですが、これも僕の研究室でES細胞を
     その時期に使っていたという記録があります。
  ──そこは御記憶ということですね
  若山:僕が覚えているというよりかは、僕の研究室の学生の
     人がその実験をしていて、ES細胞をつくっていたと
     いうことがわかっています。
  ──それを、その方がES細胞を小保方さんに渡したかどう
     かというのは、わかっていないのでしょうか?
  若山:本人は渡したということを言っています。学生さんで
     すが。           http://bit.ly/1CJfE9K
  ───────────────────────────

「日経サイエンス」/2015年3月号.jpg
「日経サイエンス」/2015年3月号
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2015年07月24日

●「最初から結論ありきの調査委員会」(EJ第4083号)

 ここまで調べてきてわかるように、STAP細胞事件は論文を
批判する声ばかりで、STAP細胞の存在を支えようとする動き
がまるでないように感じます。あたかもSTAP細胞が存在する
と困るかのように、皆で寄ってたかって潰している感じです。こ
れはきわめて異常なことであり、常軌を逸しています。まさに現
代の「魔女狩り」であるといえます。
 そのSTAP論文への批判が頂点に達していた2014年8月
のことですが、タレントで健康社会学者でもある河合薫氏はこの
異常な「小保方バッシング」について、女性の立場から次のよう
に述べています。少し長いですが引用します。
─────────────────────────────
 なんとも言葉にしがたい、憤りを感じている。完全に超えては
いけない「一線」を越えている。露骨すぎる。マスコミも世間も
怖い。本当に怖い。結局、行きつくところはここなのか?そんな
思いでいっぱいである。先週、発売された週刊誌の内容は、とに
もかくにもひどかった。
 小保方さんに関する、バッシング報道である。いったいこの報
道にどんな意味があるのか?持ち上げられた人が落ちていく様は
そんなに面白いですか?安全地帯から石を投げるようなことをし
て満足ですか?ときにマスコミは、人間の中に潜む闇の感情を引
き出す「悪の装置」と化す。と同時に、世間の人たちの「闇」を
匿名化し、消費させる都合のいい装置でもある。
 要するに、下劣なのはマスコミだけじゃない。フェイスブック
やツイッターなどでも、悪趣味なジョークが飛び交っていた。本
人たちは、ブラックジョークのつもりなのだろうけど、完全にア
ウトだ。と書きながらも、おそらく私の中にも「闇」は存在して
いるのだと思う。だから余計に怖いのである。(中略)
 ノーベル賞級の大発見だ!割烹着だの、どこそこの指輪だの、
と大騒ぎしたマスコミ。論文発表から相次いだ論文に関するさま
ざまな指摘。挙句の果てに行きついた下劣なバッシングの数々。
 その背後には、「なんで、あの人だけ評価されるわけ?」「な
んで、自分が選ばれないで、彼女になったわけ?」「所詮、女っ
ていうだけで、選ばれたんだろう?」
 そんな嫉妬が、どこかにあったんじゃないだろうか。不思議な
もんで、人間というのは、嫉妬する自分を恥ずかしいと思うらし
い。だから、必死にその嫉妬心を隠すために、一瞬でも「あら」
を見つけると、正義を振りかざす。──「行き過ぎた『小保方さ
んバッシング』と女性活用の『闇』」 http://nkbp.jp/1Ls1NHE
─────────────────────────────
 桂勲委員長による調査委員会は、残存試料の複数のSTAP幹
細胞やFI幹細胞と若山研にあるES細胞の遺伝子解析をしたと
ころ、そのほとんどが一致したとして、「STAP細胞は最初か
ら存在せず、その正体はES細胞である」と断定しています。
 このようにいわれると、遺伝子解析などに詳しくない素人には
「やっぱり小保方氏がES細胞を混入させたのか」と考えてしま
います。調査委員会は、報告書の図表編にCDB時代の若山研究
室の見取り図(7月3日付、EJ第4069号参照)をわざわざ
載せ、次のように記述しています。
─────────────────────────────
 STAP細胞の作製には酸処理から約7日間、細胞をインキュ
ベーター内に放置するが、このインキュベーターが置かれた培養
室は他の部屋(研究室、実験室、胚操作室)から隔離された状態
にあり、クリーンベンチや蛍光顕微鏡を使用する人がときどき入
る以外は、あまり人がいない状態にあった。
 また、若山氏の聞き取り調査から、当時のCDB若山研では、
多くの人が夜中にこの部屋に入ることが可能だった。つまりイン
キュベーターやフリーザーへの接近が可能だった人は数多くいた
ことになる。したがって、作製中のSTAP細胞が入ったディッ
シュを判別できれば多くの人に混入の機会があったことになる。
            ──研究論文に関する調査報告書より
─────────────────────────────
 報告書によると、インキュベーターは鍵がかかっているわけで
はなく、誰でも開けることができたとしながら、「作製中のST
AP細胞が入ったディッシュを判別できれば」という条件をつけ
事実上ディッシュを判別のできるのは当の小保方氏しかいなかっ
たということを暗示しているのです。
 しかし、シャーレで培養中のSTAP細胞にES細胞を混ぜる
と、それを一目見ればコンタミはわかる──このように笹井氏は
いっているのです。調査委員会は、こういうSTAP細胞が存在
する証拠になるものには、調査の対象外としてすべてスルーして
いるのです。最初から結論ありきの調査です。
 それにしてもこの結論はあまりにも乱暴過ぎると思います。遺
伝子解析の結果が一致したからといって「STAP細胞は存在し
ない」とは必ずしもいえないからです。
 STAP細胞を作るのは2段階があるのです。第1段階は、若
山教授が研究室で飼っているマウスを交配させて生後一週間の赤
ちゃんマウスを作り、それを小保方氏に渡すまでです。第2段階
は、小保方氏がその赤ちゃんマウスの脾臓のリンパ球を取り出し
弱酸性の液体に浸けて刺激を与えたうえで、培養してSTAP細
胞を作製する段階です。
 少し分かりにくいかもしれませんが、実はES細胞の混入の可
能性は、小保方氏が担当する第2段階だけではなく、赤ちゃんマ
ウスを作る第1段階にもあるのです。しかし、調査委員会は第1
段階の可能性を一切考慮していないのです。一貫して小保方氏だ
けを疑い、なぜか若山教授をぜんぜん疑っていないのです。
 NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」でも、須田桃子
記者の『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)でも、
若山教授側からしか物事を見ていないのです。しかし、このこと
はさらに論点を整理し、証拠を積み上げたうえで明らかにしてい
くつもりです。      ── [STAP細胞事件/056]

≪画像および関連情報≫
 ●NHKは本当に責任がとれるのか/2014年7月30日
  ───────────────────────────
   本ブログではこれまで、何度も小保方STAP細胞事件を
  取り上げてきました。これを自分ながらに再度フォローした
  上で、先日のNHKスペシャルの小保方追及番組を振り返る
  とこの番組は一体何なのかとあきれ返ってしまいます。元N
  HKの池田信夫氏のブログによれば、NHKのこの番組が日
  本国民に伝えようとしているのは、小保方氏が盗人だという
  ことのようです、それが言いたくて、われらの受信料でこの
  番組をつくったようです。また、このNスぺは、出色の出来
  だったとべた褒めするブログもあります。NHKは全国の受
  信料契約者に小保方氏を盗人だと思わせる放送をしているこ
  とになりますが、このままだと、警察が動かざるを得ないで
  しょう。もし、違っていたら、NHKはどうするのでしょう
  か。謝罪して済ませるのでしょうか。
   仮に、小保方氏に盗みをやった疑いが掛かったとしても、
  警察への盗難届も出ていない段階で、全国放送で小保方氏の
  人格破壊を行うことが許されるのでしょうか。これには既視
  感があります、そう、2009年に政権交代を果たした小沢
  氏に対するマスコミの大バッシングを彷彿とさせます。そし
  て今、マレーシア航空機墜落事件をウクライナ親露勢力の仕
  業と断定するマスコミの報道振りにもあきれ返ってしまいま
  す、バッカじゃないのと・・・。  http://bit.ly/1KjAmQd
  ───────────────────────────

「小保方バッシング」について語る河合薫氏.jpg
「小保方バッシング」について語る河合 薫氏
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2015年07月27日

●「STAP事件はミステリーである」(EJ第4084号)

 雑誌『文藝春秋』の2015年5月号に、次の異色の対談が掲
載されています。
─────────────────────────────
 ◎「小保方事件の謎に迫る/STAP細胞/なぜ不正に手を
  染めたのか」
  対談:宮部みゆき(作家)
     須田 桃子(毎日新聞環境部記者)
           ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 まさに異色の対談というべきでしょう。なぜ、STAP細胞事
件について、宮部みゆき氏のようなミステリー作家が出てくるの
か意外ですが、宮部氏はこの事件は「ミステリーである」といっ
ているのです。この点は私と同じですが、何がミステリーなのか
という捉え方は宮部氏とは違います。
 宮部みゆき氏は、対談の冒頭でこの事件はミステリーとしては
低レベルであるとして次のように述べています。
─────────────────────────────
 それにしても謎の多い事件でしたね。まず、昨年の1月の論文
発表から1ヶ月も経たないうちに不正疑惑が指摘されたというこ
とは、すぐバレるレベルの捏造だったということですよね。何十
年も誰も気付かないようなハイレベルな捏造であればミステリー
的にも納得がいくのですが、こんなに早くバレてしまうなんて、
これが小説なら編集者に「プロットを練り直してください」と言
われてしまいますよ。           ──宮部みゆき氏
            ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 このように宮部氏は最初から「小保方氏の捏造」と決めていま
すが、昨年暮れの桂勲委員長による理研の調査委員会の結論が出
ているので当然ではあるものの、ミステリー作家であれば、その
ウラ事情にも切り込んでほしかったと思います。
 宮部/須田対談の中間部分には、ES細胞の混入に関する話も
出てきます。ここでも宮部氏は、小保方研の冷凍庫から「ES」
と書かれたチューブが見つかっている事実だけをもって、小保方
氏がES細胞を混入させたと単純に考えているようです。
─────────────────────────────
宮部:私、小保方さんが行った記者会見を、テレビで、食い入る
   ように見たんです。ですからはっきり覚えているのですが
   STAP細胞は混入したES細胞ではないのかという質問
   に対して小保方さんは、「研究室ではES細胞のコンタミ
   (混入)は起こり得ない状況を確保していた」と、いいお
   声ではっきりおっしゃっていました。でも、須田さんが取
   材して、実は小保方さんの研究室にはES細胞があったこ
   とがわかった。「ES」と書いた入れ物が残っていたと、
   その写真までこの本に載っていますね。これだけ一流の科
   学者たちが集まっているのにこんな杜撰なことが起こった
   ことが、本当に不思議です。
須田:私たちジャーナリズムも、論文発表当初は懐疑的な視点で
   取材をしていなかったかもしれません。私iPS細胞の時
   にも取材したのですが、この時もやはり、誰もが起こり得
   ないと思っていたことが起こってしまったわけです。この
   経験があったから、今回も、多くの研究者やメディアがあ
   まり疑うことをせずに受け入れてしまったという面はあっ
   たと思います。  ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 ES細胞が入った「ES」と書かれたチューブは、7月23日
のEJ第4082号で述べたように、若山研が2014年6月に
京大の大田博士に依頼して取り寄せたアクロシンGFPが組み込
まれたES細胞の一部であると考えられます。それまでには若山
研にも小保方研にも存在しないはずの細胞です。
 それが小保方研の冷凍庫から見つかったとすれば、これは小保
方氏以外の誰かが冷凍庫に置いたとしか考えられないのです。小
保方氏は2014年6月時点では入院しており、研究室には行っ
ていないのです。それでは、誰が、どのような目的で、「ES」
と書かれたチューブを小保方研の冷凍庫に置いたのか。そうであ
るとすると、これこそ本物のミステリーになると思います。
 もっとも宮部みゆき氏は、この対談ではなく、須田桃子氏の著
書『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)の書評にお
いて次のように書いています。
─────────────────────────────
 自分はミステリー作家だが、推理小説での犯人探しの基本は、
「その結果で利益を得る者は誰か」ということだ。その観点を念
頭に推理小説を読むように本書を読了し、悲しみと共に愕然とす
るのは、STAP細胞事件には、この「利益を受ける誰か」が存
在しなかったということだ。
 誰にもいいことがなかった。誰もが傷ついた。犯罪がペイしな
いように、捏造もまたペイしない。それは希望のみを優先し、地
道に一歩ずつ現実を切り開く科学的なものの考え方に背く行為で
あり、結果として、大切だったはずの希望をも打ち砕いてしまう
のだ。       ──宮部みゆき氏 http://bit.ly/1OnDOqW
─────────────────────────────
 宮部氏のいう通りなのです。STAP細胞事件の関係者全員に
何も良いことはなかったのです。誰もが不幸になり、笹井氏にい
たってはこのことが原因で自殺しているのです。死者が一人出て
いるのです。
 しかし、この事件をもっと深く考えてみると、宮部みゆき氏の
いうように受益者はゼロではないのです。いや、受益者というよ
りも、STAP細胞が消えてなくなることによって利益を受ける
人、いや企業、いや業界はあるのです。STAP細胞事件のウラ
には深い闇が存在しているのです。
             ── [STAP細胞事件/057]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP論文の調査委員会報告に疑義を唱えるブログ
  ───────────────────────────
   2015年5月10日に発売された文藝春秋5月号に、毎
  日新聞/須田記者と作家の宮部みゆき氏の対談が載っていま
  す。「小保方事件の謎に迫る──STAP細胞/なぜ不正に
  手を染めたのか」とのタイトルで、「科学史に残るスキャン
  ダルを読み解く」がサブタイトルです。もっともこれは、編
  集部が付けたタイトルと思われ、中身を読むと、小保方氏が
  積極的に捏造を働いたというところまではニュアンス的には
  言っていないようです。ただ、不正を認定された部分には、
  故意があった、思う通りのデータが出ないので、この程度の
  操作は許されるだろうと思ったのではないか、といった指摘
  はしています。
   文藝春秋がこういう対談記事を載せたのは、須田記者の著
  書『捏造の科学者』が文藝春秋刊で、その文藝春秋と縁の深
  い大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したことによる販促的
  意味合いが多分にあるのだろうと思います。対談の中身は、
  断片的なやり取りに留まっており、特段、目新しい指摘等が
  あるわけではありません。この対談記事ではっきりしたこと
  は、須田氏の著書が11月時点での出版だったわけですが、
  その後に出てきた諸材料があっても、特に考えが変わってい
  るわけではなく、追加取材が必要だと感じているわけでもな
  さそうだということです。「若山氏の遺伝子解析発表が契機
  となって、ES細胞であることが明らかになった」と語って
  いますから、あの発表の間違いがあっても若山氏に対する信
  頼は続いているようです。     http://bit.ly/1MpfMhI
  ───────────────────────────

宮部.みゆき氏と須田桃子氏jpg.jpg
宮部みゆき氏と須田桃子氏
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2015年07月28日

●「『捏造の科学者』をめぐる疑問点」(EJ第4085号)

 須田桃子著『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)
が発刊されたのは2014年12月30日です。著者が「あとが
き」を書いているのは、11月14日のことであり、11月初旬
には脱稿し、年内に印刷を終えていたものと思われます。
 本書は、第46回大宅壯一ノンフィクション賞受賞作品です。
STAP細胞が発表された2014年1月28日からほぼ時系列
的にこの事件をていねいに追っており、科学的な知見に基づいて
論点が整理されていることから、この事件を振り返るのに貴重な
文献になっています。
 本書刊行の企画がいつ立てられ、いつ頃から執筆に着手したか
は不明ですが、おそらく論文について数々の疑惑が噴き出し、そ
れが容易なるざる事態になってきた5〜6月頃だったのではない
かと思います。本書にはいくつかの疑問点があります。
─────────────────────────────
1.事件を時系列に追っているのに、肝心の論文の調査委員会の
  最終報告書が出る前になぜ刊行したのか。
2.著者は毎日新聞科学環境部の記者で、内容は取材を通じて得
  た情報であるのになぜ文藝春秋社なのか。
3.本書の内容は、一貫して「小保方捏造説」を裏付ける内容に
  なっているが、公平さに欠けていないか。
─────────────────────────────
 「1」は本の刊行日の問題です。
 なぜ刊行日を問題にするのかというと、本書が印刷され、製本
化されている12月に理化学研究所による2つの調査報告が行わ
れているからです。
 2つの調査報告とは、小保方氏が参加した「STAP現象の検
証結果の報告」(2014年12月19日)と「研究論文に関す
る調査委員会の報告」(2014年12月25日)の2つです。
 これら2つの報告は、理化学研究所によるSTAP細胞事件に
関する最終報告であり、本書が主張する「STAP細胞は存在し
ない」という推論に影響を与える重大な報告であるはずです。そ
れも何ヶ月も待つ必要はないのです。約1ヶ月後に報告が出るの
に、なぜそれを待たずに刊行を急いだのでしょうか。
 「2」は本の出版社の問題です。
 本書の著者は毎日新聞の科学環境部の記者です。新聞社ですか
ら、当然毎日新聞出版という出版会社を持っています。しかも、
本の内容は著者の日常業務である取材を通して得た情報をベース
にしており、通常であれば自社グループの出版会社を使うもので
すが、なぜ、文藝春秋社からの出版になったのでしょうか。大宅
壯一ノンフィクション賞との関係があるのでしょうか。
 「3」はコンセプトの問題です。
 この本のコンセプトは科学の不正の追及です。それもこの本の
執筆時点の段階ではまだ白黒のついていない2人の科学者の不正
を暗示して『捏造の科学者』のタイトルを付けています。これは
かなり大胆なタイトルであるといえます。
 もし、12月の理研による2つの調査報告の結果、「STAP
細胞は存在する」という結論が出たら、かなりリスキーなことに
なるはずです。それとも取材によって「そういう結論は出ない」
という感触を掴んでいたのでしょうか。
 『捏造の科学者』に関するこれらの指摘は「小保方博士の不正
報道を追及する有志の会」(以下、有志の会)のブログで主張し
ているものですが、理研の調査報告を待たなかった理由について
有志の会は次のように述べています。
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』は、同賞の第46回(2015年)書籍部門
を受賞している。もしかして・・・と思ってネットで調べると、
第46回の賞の対象は「前年1月1日から12月31日までに発
表されたもの」とある。2014年度中に発行された書籍でなけ
れば、第46回のノミネート対象にならないということだ。調査
委の結論を待たず刊行を急いだ理由は、このためだったのではな
いか。                http://bit.ly/1g8qiN7
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』の発行日が2014年12月30日になって
いるのは上記のような理由だったということであれば納得がいき
ます。年末は書籍が売れる時期ですが、そのためには12月のは
じめから本を書店に出す必要があります。
 しかし、本書が書店に出たのは1月7日からなのです。ちょう
ど理研の調査委員会の最終報告の結論が「STAP細胞は存在し
ない」であったので、それが格好の宣伝となって、大幅に売り上
げを伸ばし、大ヒットになったのです。
 私は『捏造の科学者』が12月の理研の2つの報告を待たずに
発行したのは、次の3つの理由があると思っています。
─────────────────────────────
 1.理研としての結論が出る前に出版することによって、結
   論前が免罪符になる。
 2.毎日新聞としては、別の出版社から刊行することで、リ
   スクから逃れられる。
 3.理研の結論が本の主張と同じであれば、タイミングが絶
   妙なので本は売れる。
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』の著者が一番心配したのは、おそらく小保方
氏が参加して行われた再現実験が成功することです。しかし、そ
れはまずあり得ないという確信を須田記者は取材から得ていたも
のと思います。この著者の確信は現実になり、本は好調に売れて
大宅壯一ノンフィクション賞に輝いたのです。
 本書の著者の須田桃子氏は、本のあとがき(2014年11月
14日)で、「ごく最近、これまでの認識が覆されるような驚く
べき情報を幾つか耳にした」と述べています。これは一体何のこ
となのでしょうか。明日のEJで引き続き追及します。
             ── [STAP細胞事件/058]

≪画像および関連情報≫
 ●須田桃子記者にインタビュー/動画あり
  ───────────────────────────
  ──まず本のタイトル「捏造の科学者」。この直接的な表現
  が、最後まで釈然としなかったSTAP細胞事件の核心を表
  現していますね。
  須田桃子記者:理化学研究所の調査委員会は昨年12月、公
  式見解として「STAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)が混
  入したものだ。ただ、意図的な捏造があったかどうかは分か
  らない」と言っています。でも私は、1年以上にわたるさま
  ざまな実験と解析の中で、すべて偶然にES細胞が混入した
  とは思えないんです。しかも1種類のES細胞ではなく、そ
  の都度、違う系統や違う種類のES細胞が混入している。そ
  れが偶然に起こることはあり得ないので、やはり誰かが意図
  的に混ぜたのだと確信しています。
  ──誰が混入したかについて理研調査委は結論を出していま
  せん。「誰がなぜ、どのように」という核心に迫らず、結論
  を出さずに終了したんですね。
  元村有希子編集委員:研究不正の調査って、警察の捜査では
  ないので限界があります。相手を問いただしても、「いや私
  は絶対にやっていません」と言われたら、別の証拠がない限
  り、信じるしかない。決めつけられないんです。いま刑事告
  発はされていますけど。
  須田:今回の事件に直接関係しない元理研研究者による刑事
  告発ですね。本来は理研が告発してもおかしくないという声
  もあります。           http://bit.ly/1gRjgws
  ───────────────────────────

須田桃子記者にインタビュー.jpg
須田桃子記者にインタビュー
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2015年07月29日

●「小保方検証実験で成果は出ている」(EJ第4086号)

 現在、世の中の多くの人は、STAP細胞事件は、小保方氏の
捏造ということで「一件落着」と考えていると思います。おそら
くそれは、小保方氏自身による検証実験の失敗という事実を重く
受け止めているからだと思います。「当の本人がやって再現でき
ないのでは仕方がない」と素直に考える人が多いからです。
 しかし、結論からいうならば、小保方氏が検証実験に失敗した
とは必ずしもいえないのです。確かに幹細胞化もキメラマウスも
できなかったけれども、STAP現象自体はきちんと確認できて
いるからです。
 理研は、笹井氏が自殺する前と後でSTAP細胞に対する方針
を変えています。最初は論文に対する批判があっても、論文を撤
回することで対応し、あくまで「STAP細胞は存在する」とし
て、その証拠固めを笹井氏を中心にやろうとしていたのです。
 しかし、笹井氏が自殺すると、理研の生き残りのために、小保
方氏1人に全責任を負わせ、この問題の早期の幕引きを図ろうと
方針を転換させたのです。したがって、もし検証実権が成功する
と、理研としては困る立場にあったといえます。
 小保方氏の参加したSTAP現象の検証実験は、理研という密
室のなかで、厳重な監視の下で、この種の検証実験としてはきわ
めて短期間で、数々の制約条件のなかで行われたものであり、そ
の結果をそのままのかたちで受け取ることはできないのです。
 ここでSTAP細胞の作製とはどこまでをいい、何をもって成
功したといえるかを明確にする必要があります。便宜上次の3段
階に分けて考えます。
─────────────────────────────
 第1段階:生後1週間の赤ちゃんマウスの脾臓からリンパ球
      を取り出し、弱酸性の溶液に30分浸して刺激を
      与え培養する。約1週間で緑色の細胞ができる。
 第2段階:その緑色の細胞を「ACH+LIF」などの特殊
      な培養液に浸して培養すると、増殖能を持たない
      STAP細胞が増殖能を持つ幹細胞に変化する。
 第3段階:STAP細胞をマウスの受精卵に注入し、それを
      仮親マウスの子宮に戻すと、全身にSTAP細胞
      由来の細胞が散らばるキメラマウスが誕生する。
─────────────────────────────
 なお、この場合、STAP細胞からキメラを作る場合と、幹細
胞化してから、作る場合があります。STAP細胞を作製するプ
ロセスは第1段階であり、検証実験では、小保方氏が担当したの
です。これは途中経過をライブ・セル・イメージング(顕微鏡ム
ービー)で観察できます。
 第3段階のキメラマウス作りは、第1段階でできたSTAP細
胞が万能細胞であるかどうかを検証するために行うものであり、
毎回行うものではないのです。これは成功率がけっして高くなく
キメラづくりの名手といわれる若山教授でも、何回も失敗したう
えで、やっと作製に成功したことは既に述べた通りです。
 なお、理研では、若山山梨大学教授に対して、この検証実験へ
の協力を何度も求めたのですが、その都度多忙を理由にして断ら
れたといいます。彼は明らかに逃げています。そこで、第2段階
と第3段階は、理研の研究員がやっているのです。
 検証実験では、第1段階は小保方氏と丹羽氏が別々に行ってい
ますが、丹羽氏の検証結果について、報告書(12月19日)に
は次の記述があります。
─────────────────────────────
 一方で、酸処理を行った細胞を培養したとき、処理群で特異的
に細胞塊が出現する現象は、細胞が由来する臓器と酸処理の方法
に依存して、再現性よく確認された。最も効率よく、高い再現性
で確認されたのは、肝臓由来の細胞をATP処理した時で、独立
に行った49回の実験のうち37回でSTAP細胞様細胞塊の出
現が確認された。 ──理研の「STAP現象の検証結果」より
                   http://bit.ly/1DDyWs4
─────────────────────────────
 これは、「ATP処理」をしたものについては、明らかにST
AP細胞とみられる細胞塊ができたと報告しているのです。つま
り、第1段階の検証では一定の成果を出しており、第2段階、第
3段階の検証結果では、失敗したということ意味しています。
 これに関して『文藝春秋』2015年5月号での宮部みゆき氏
と須田桃子氏の対談では次のやり取りがあります。
─────────────────────────────
須田:たとえば、STAP細胞は体細胞を弱酸性の溶液に30分
   ほど漬けておくとできるということだったのですが、溶液
   には塩酸を希釈して使ったというのが最初の説明でしたし
   論文にも3月に発表されたプロトコル(詳細な実験手順)
   にも塩酸と書いてあった。ところが11月頃になって、実
   は塩酸ではなく、ATP(アデノシン三リン酸)という別
   の物質で作った溶液に浸していたのだという話が出てきた
   のです。小保方さんは調査委員会の聴取に対して、論文の
   データはすべてATPを使って作ったATPのほうがよく
   できる、という話をしたそうです。
宮部:ATPを使うのであれば、そう書けばいいわけですよね。
須田:ええ。もっとも12月に発表された検証実験の結果では酸
   でもATPでもSTAP細胞はできなかったのですが。さ
   らに不思議なのが、ATPを使ったということを、論文の
   共著者である若山さんも丹羽さんも知っていたらしいとい
   うことです。   ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 須田桃子氏がいいたいのは、理研がATPを使う方法があるこ
とを隠していたのではないかと疑っているのです。しかし、須田
氏は、ATPでも検証実験では成功できなかったといっています
が、できているのです。理研の「STAP現象の検証結果」を読
んでいないのでしょうか。 ── [STAP細胞事件/059]

≪画像および関連情報≫
 ●理研の思考停止で遠ざかるSTAP細胞の真相解明
  ───────────────────────────
  STAP細胞が幻と判明した今、今後の課題はなぜ不正論文
  が世に出てしまったのかという真相解明に尽きる。だが、今
  回の会見でも、理研の“体質”に疑問を抱かせるような場面
  が散見されるなど、解明には程遠いと言わざるを得ない。例
  えばその一つが論文とは異なるSTAP細胞の作製方法だ。
  論文では細胞の刺激に「塩酸」を使っているが、検証実験で
  は「ATP」という物質も試している。相澤慎一・検証実験
  チームリーダーは「塩酸よりATPの方が作製効率が良いと
  小保方さんが言っていた」と説明するが、なぜこれまで公表
  しなかったのか。特に理研は、論文に疑義が持たれた3月、
  詳細なSTAP細胞の作製手法(プロトコル)を公表してい
  る(7月に撤回)。この段階で、プロトコルの責任者だった
  丹羽リーダーもATPの情報を知っていたというが、「論文
  との齟齬があると考え、プロトコルに記述しなかった」と述
  べた。一連の理研の対応について、内部でどのような判断が
  されてきたか明らかにされるべきだ。また、安易に小保方氏
  の依願退職を認めた判断も疑問だ。「退職金は出ない。調査
  委員会からも支障はないと返事を受けた」(坪井裕理事)と
  するが、理研職員でなくなる小保方氏が、今後も続く外部調
  査に協力するかは疑わしい。情報を後出しにするなど、社会
  常識と懸け離れた判断をする。こうした姿勢が改まらない限
  り、理研の自浄作用には期待できないだろう。
       ──『週刊ダイヤモンド』/2015年1月5日
                   http://bit.ly/1RZzi82
  ───────────────────────────

宮部/須田対談掲載の『文藝春秋』.jpg
宮部/須田対談掲載の『文藝春秋』
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2015年07月30日

●「故笹井氏の指摘を無視する調査委」(EJ第4087号)

 理研の桂調査委員会は、残存しているSTAP細胞由来の幹細
胞の遺伝子解析をしたところ、それらはすべて若山研が保有して
いるES細胞のいずれかの解析結果ときわめて似ており、「ST
AP細胞といわれているものの正体はES細胞である」という結
論を発表しています。つまり、STAP細胞は最初から存在しな
かったといっているのです。
 この調査委員会の報告──STAP幹細胞の遺伝子解析の結果
はES細胞のそれとよく似ている──おそらくこれは間違いでは
ないと思われます。一流のその道の権威が実施した遺伝子解析の
結果であるからです。しかし、それをもって「STAP細胞は最
初から存在しない」と結論づけるのは、あまりにも論理が飛躍し
ています。なぜならそれは小保方氏がSTAP細胞であるといっ
て実験関係者に見せたり、渡したりしていたものが、全部ES細
胞であったことを意味するからです。これについて毎日新聞の須
田桃子氏は大宅壯一ノンフィクション賞受賞関連のインタビュー
で次のように述べています。
─────────────────────────────
 理化学研究所の調査委員会は昨年12月、公式見解として「S
TAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)が混入したものだ。ただ、
意図的な捏造があったかどうかは分からない」と言っています。
 でも私は、1年以上にわたるさまざまな実験と解析の中で、す
べて偶然にES細胞が混入したとは思えないんです。しかも1種
類のES細胞ではなく、その都度、違う系統や違う種類のES細
胞が混入している。それが偶然に起こることはあり得ないので、
やはり誰かが意図的に混ぜたのだと確信しています。
           ──須田桃子氏 http://bit.ly/1gRjgws
─────────────────────────────
 須田氏のいう「意図的にES細胞を混ぜた誰か」といっている
のは、明らかに小保方晴子氏のことを指しています。実際に小保
方氏以外にそれが可能な人はいないからです。
 理研の関係者でSTAP現象を目視した人はたくさんいます。
ライブ・セル・イメージング(10以上の視野を同時に観察でき
る顕微鏡ムービー)で細胞塊ができていく様子を笹井芳樹氏をは
じめ複数の研究員が見ています。彼らはES細胞を見せられてい
たのでしょうか。ES細胞では説明がつかない現象なのです。
 それに小保方氏が実験のためにSTAP細胞であるとして細胞
自体を渡した人は3人しかいないのです。若山氏と笹井氏と丹羽
氏の3人です。とくに若山氏に対してはおそらく100回以上渡
しているはずです。それからキメラマウスを作製したり、幹細胞
化する実験を担当していたのが若山氏だからです。
 いうまでもなく笹井氏と若山氏は、ES細胞の扱いに関しては
相当の実績のあるプロの研究者であり、丹羽氏は幹細胞の権威な
のです。そのようなプロに対して、彼らが日頃見慣れているES
細胞をSTAP細胞であると騙せるものでしょうか。日本の再生
医療のプロはその程度のレベルなのでしょうか。関係者は誰もこ
のことを口にはしませんが、そんなことは不可能であるといって
も過言ではないと思います。
 故笹井芳樹氏は、「STAP細胞へのES細胞の混入はあり得
ない」として、次の3つを上げています。彼は、もしES細胞が
混入されていれば目視で判断できるといっているのです。
─────────────────────────────
1.STAP細胞はES細胞より小型で、核も小さく、細胞質が
  ほとんどない特殊な細胞で見分けが可能である。
2.遺伝子発現パターンの詳細解析においても、STAP細胞は
  ES細胞や他の幹細胞とは一致することはない。
3.ES細胞は増殖能力が高く、個々の細胞からでも培養できる
  が、STAP細胞は分散すると死んで増えない。
─────────────────────────────
 記者に笹井氏のいうこれらの「STAP細胞がないと説明がつ
かない」現象をどう思うかと質問されたとき、桂勲調査委員長は
「それは今回の調査の対象ではない」といって、スルーしていま
す。それでいて、「STAP細胞は最初から存在しない」と断言
しているのです。
 STAP細胞とES細胞は形状が異なり、はっきりと見分けが
つくと笹井氏はいっています。仮に形状が違うのを見落したとし
ても、STAP細胞とES細胞では、培養期間も培養溶液もキメ
ラの作製方法も異なるので、実験の途中で気がつくはずであると
もいっているのです。
 また、笹井氏は、STAP現象は、一個人の人為的操作で行う
ことは不可能であるとして、自分が最も有力な仮説と考える理由
について、次の2つのことを指摘しています。少し専門的ですが
ご紹介します。自身の記者会見時の解説です。
─────────────────────────────
1.Oct4GFPを発現しない脾臓の血球系細胞から、Oct
  4GFPを発現する「他の細胞では知られていない」形質を
  持った小型細胞の塊が生ずること。
2.胚盤胞への注入された細胞の貢献は、ES細胞やTS細胞で
  は説明できない特別な多能性の表現型を示し、また内部細胞
  塊や桑実胚の細胞とも考えにくい。 http://bit.ly/1TX4x2d
─────────────────────────────
 笹井氏は小保方氏とは2013年1月からSTAP論文の手伝
いをしただけです。それでもSTAP細胞の存在を認め、共著者
に加わっています。これに対して若山山梨大学教授は、2011
年4月から2012年末まで、小保方氏の実験のパートナーとし
て何回も小保方氏の作製したSTAP細胞を受け取ってキメラ化
や幹細胞化の実験をしてきています。もしそれがES細胞だった
ら気がつかない方が不思議です。
 ところが若山教授はSTAP論文撤回を最初に呼びかけ、小保
方氏の実証実験にも非協力姿勢を貫き、明らかにこの問題から逃
げています。       ── [STAP細胞事件/060]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞と考えないと説明できないデータがある
  ───────────────────────────
  ──小保方さんの横に座って論文の修正をしたということだ
  が、二人きりでやったのか?
  笹井:マルチ画面の大きなモニターの前に座って、文章と画
  像を同時に作るのでサイドバイサイドの位置関係になるとい
  うことです。もちろんディスカッションをするときにがやが
  やしている場所でやることはないです。非常に緊張感高く、
  1ページずつやっていった。
  ──不適切な関係はあったという報道もあったが。
  笹井:そのような関係はありません。
  ──理研と山中先生の間に対抗意識は?
  笹井:山中先生の仕事はリスペクトしてますが、iPS研究
  をやる上においてES細胞の研究も同時に進めるべきだとい
  う考えでSTAP細胞についてもそのように言ってました。
  対抗意識というのはありませんが、理研は、より基礎研究を
  行っていて、山中先生は応用のための研究をしている。むし
  ろ一緒にいろいろアプライしていく関係だと思います。
  ──小保方さんに論文の撤回を呼びかけたり、バカンティ氏
  に対する考えは?
  笹井:撤回を勧めたかという点ですが、私と丹羽さんは彼女
  にそのような考えを伝えました。撤回の可能性も含めてバカ
  ンティさんらと話す中で、彼らの意見も聞いて今の考えをお
  持ちなんだと思います。呼びかけについてはバカンティさん
  の親心なのかとは思いますが、小保方さんがどういう道を進
  むかはご自身で考えることだと思います。応援をしたい気持
  ちではあります。        http://huff.to/1CXz3E4
  ───────────────────────────

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笹井芳樹CDB副センター長記者会見
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2015年07月31日

●「笹井芳樹氏自殺には3原因がある」(EJ第4088号)

 STAP細胞事件を取り上げるうえでどうしても避けて通れな
いのは、笹井芳樹CDB副センター長の自殺です。笹井氏はなぜ
自殺をしなければならなかったのでしょうか。
 2014年8月5日、理研CDBの副センター長笹井芳樹氏は
午前8時40分頃、CDBに隣接する先端医療センター内で、首
をつった状態で亡くなっているのが発見されたのです。CDBと
先端医療センターとは4階と5階が通路で繋がっており、その4
階と5階の踊り場で首をつっていたのです。なぜ、この時期に自
殺とは!?STAP論文は、7月末までに、画像の取り違えや改
竄などで散々叩かれ、遂に論文取り下げが決定されたのです。ネ
イチャー誌も7月2日に論文取り下げを決定しています。
 ここでひとつ違和感があるのは、理研がやっていたのは、ST
AP細胞が存在するかどうかではなく、あくまで論文の不備の指
摘であり、STAP細胞が存在するかどうかは埒外であったこと
です。それも異常なバッシングに見えます。大勢で寄ってたかっ
て論文のあら探しをしているように見えるのです。
 多くの国民は、論文に若干のミスがあったとしても、STAP
細胞が実際に存在すれば、その多大な功績によって論文の多少の
不備などは許されるのではないかと考えていたと思います。
 しかし、6月16日の若山山梨大学教授の記者会見によって、
論文内容そのものが虚偽であるという疑惑が出てきたのです。し
かも若山教授は論文の主要著者の一人であり、その人物が疑惑を
口にしたことは、疑惑を一層濃いものにしたといえます。
 それでは、笹井氏はなぜ自殺したのでしょうか。その原因と考
えられるのは次の3つです。
─────────────────────────────
 1.自分が手がけたSTAP細胞論文が不正と認定され、論
   文の撤回を余儀なくされたことである。
 2.6月12日に発表された理研の「研究不正再発防止のた
   めの改革委員会」の提言の内容である。
 3.7月27日放送のNHKスペシャルによって、学者とし
   ての能力に疑問符が付いたことである。
─────────────────────────────
 考えられる第1は、「STAP論文」の撤回です。笹井氏は当
事者(当事者は小保方晴子氏)ではありませんが、「論文作成の
天才」といわれた笹井氏が論文撤回に追い込まれたことは、学者
にとって屈辱そのものであったといえます。かつて笹井氏の論文
ではそのようなことはなかったからです。
 考えられる第2は、理研の「研究不正再発防止のための改革委
員会」が2014年6月12日に提出した改革案の提言書の厳し
い内容です。そこにはCDBの解体まで言及されていたのです。
笹井氏としてはCDBは自分が立ち上げたという自負があり、そ
れを解体されることは耐えられなかったと思われます。
 改革案の提言書は、「CDBについて」「理研本体について」
「STAP論文について」の3つがありますが、「CDBについ
て」は次の通りです。
─────────────────────────────
・小保方氏、笹井氏、竹市民に相応の厳しい処分を下し、現セン
 ター長や副センター長の交代を含め、組織の人事を一新する。
 責任が重大な前副センター長の西伸一、相澤慎一両特別顧問は
 新組織の上層部から排除する。
・「人事異動などの通常の方法では欠陥の除去は困難」なため、
 任期制の職員の雇用を確保したうえで、早急にCDBを解体す
 る。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代し、
 研究分野及び体制を再構築する。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 考えられる第3は、NHKスペシャル「不正の深層」の内容で
す。このNHKスペシャルの内容は、小保方氏と笹井氏を一方的
に批判しています。それに対して若山氏は、いち早く論文撤回に
立ち上がった勇気ある正義の科学者という扱いです。
 既に『週刊文春』などに笹井氏と小保方氏の不適切な関係を匂
わせる記事も複数出ており、このNHKスペシャルでも笹井氏が
小保方氏に宛てたメールのやり取りがわざわざナレーターによっ
て情感たっぷりの演出で公開されるなど、笹井氏としては耐えら
れないものであったことは確かです。
 笹井氏が亡くなったのは、このNHKスペシャルが放送された
10日後のことです。全国放送であれほど露骨に報道されたこと
によって、自分の学者としての前途が失われたと考えても不思議
はないと思います。須田桃子記者と笹井氏との3月時点でのメー
ルのやり取りに次のようなものがあります。
─────────────────────────────
須田:私のような若輩者が差し出がましいことを申し上げるのは
   大変恐縮ですが、客観状況やこれまでの取材内容に鑑みま
   すと、このままではSTAP細胞問題は、笹井先生の今後
   の研究者人生に大きな悪影響を及ぼしてしまうのではない
   かと危惧しています。
笹井:今回の件が、私の研究者人生に大きな打撃を与えたのは、
   おっしゃる通り、間違いないでしょう。ご心配いただき、
   申し訳ございません。この先挽回できないかもしれないほ
   どのものかもしれません。(中略)週刊誌等の理解しがた
   いゴシップネタですから、私自身は無視しても、いろいろ
   な意味で私自身の研究展開にマイナスに働くこともあるで
   しょう。(中略)今は調査に協力し、また出来る範囲で通
   常の自分の研究をラボメンバーを励ましながら、胸を張っ
   て進めるしか、私のできることはありません。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/061]

≪画像および関連情報≫
 ●笹井氏自殺で広がる波紋/zakzak/夕刊フジ
  ───────────────────────────
   理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)
  の笹井芳樹副センター長(52)の自殺をめぐり、直前に放
  送されたNHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」の影
  響が取り沙汰されている。同番組は笹井氏が実験の不備を把
  握していた可能性をにおわすなど責任を追及。小保方晴子研
  究ユニットリーダー(30)にけがを負わせた強引な取材手
  法も問題となり、結果的に笹井氏を追い詰めたのではないか
  との見方があるのだ。エリート科学者の自殺は、思わぬとこ
  ろに波紋を広げている。
   NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」(7月27
  日放送)は論文問題を深く掘り下げ高評価を得たが、放送直
  前の23日に、小保方氏を追いかけ回し、全治2週間とされ
  るけがを負わせる“事件”を起こした。「科学文化部のエー
  スのデスクが陣頭指揮を取り、かなり力を入れていた番組で
  す。それなりにいいネタは入っていたが、パンチに欠けると
  いう話になり、小保方氏か笹井氏の独占インタビューを柱に
  したいとなった。それで、あの“小保方事件”が起きたんで
  す。笹井氏にも何度も手紙を書いたり、メールを送ったりし
  ていたが、メールが一通返ってきただけだった」(NHK関
  係者)小保方氏への直撃シーンは放送されなかったが、番組
  では、小保方氏の実験ノート2冊や2000ページに及ぶ内
  部資料を入手し、100人以上の関係者に取材をしたとして
  問題に斬り込んだ。笹井氏について、「論文執筆の天才」で
  交渉力に優れ、CDB全体の予算獲得を握っていたと紹介。
  3度掲載を断られた小保方氏の論文が英科学誌ネイチャー誌
  に掲載されたのは、笹井氏の協力が大きく、その背景には米
  国特許の本申請の締め切りが迫っていたことがあるとした。
                   http://bit.ly/V0dSfk
  ───────────────────────────

記者会見での笹井芳樹氏.jpg
記者会見での笹井 芳樹氏
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