2011年09月27日

●「小沢氏3秘書へ疑惑の有罪判決」(EJ第3148号)

 2011年9月26日、陸山会裁判の判決が言い渡されたので
す。判決は3人の小沢氏の元秘書はすべて有罪という驚くべきと
いうか、唖然とする判決だったのです。
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 大久保隆規被告 ・・・・・      禁錮3年6月求刑
               禁錮3年/執行猶予5年判決
 石川 知裕被告 ・・・・・        禁錮2年求刑
               禁錮2年/執行猶予3年判決
 池田 光智被告 ・・・・・        禁錮1年求刑
               禁錮1年/執行猶予3年判決
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 これを見るとわかるように、検察側の論告求刑をそのまますべ
て認めた判決です。これについて、26日のアサヒコムは次のよ
うに報道しています。
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 土地取引をめぐる事件で登石裁判長は、小沢元代表から借り入
 れた土地購入代金の4億円を、石川被告が複数の口座に分散入
 金し、その後集約して組んだ定期預金を担保に銀行から融資を
 受けたことを「隠蔽(いんぺい)工作」と指摘。「4億円を隠
 すため、故意に虚偽記載したのは明らかだ」とした。水谷建設
 からの裏献金については「石川被告と大久保被告に5000万
 円ずつ渡した」とした同社元社長の証言は信用できると判断。
 動機を「4億円の原資を追及され、水谷建設からの資金が明る
 みに出ることを恐れたため」と、検察側の主張通りに認めた。
                     ──アサヒ・コム
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 これを読むと、水谷建設の裏献金をすべて認めているというこ
とがわかります。裁判に出てきた証人のいうことは信頼できると
しており、それだけで有罪の判決を下したのです。唖然として言
葉がないという感じです。まさに「司法の危機」です。
 当初多くの検察調書を証拠として採用せず、裁判所は検察の違
法な取り調べを認識し、少しは反省しているのかと思ったら、検
察側の言い分を証拠もないのにすべて認めて有罪にしたのです。
やはり、検察と裁判所は同じ穴のムジナであるということがよく
わかったというべき判決だったのです。
 これは小沢氏の元秘書3人の裁判というよりも、日本を支配し
ているのは官僚なのか、政治家なのかを決める戦いなのです。官
僚機構にとってもはや自民党は敵ではなく、政権交代した民主党
も完全に骨抜きにしています。怖いのは小沢一郎の率いるグルー
プだけです。もし、小沢氏が来年の4月に無罪になれば、9月の
代表選に出馬し、民主党の主流として、いや最悪の場合は総理と
して復活してくる──これは彼らにとって悪夢なのです。
 もちろん、3秘書はすべて控訴するはずです。26日夜、石川
知裕議員は会見を開き、「証拠もないのに水谷建設からの献金を
認めて判決するとは許せない」として、27日にも控訴すると言
明しています。他の2人も当然控訴すると思われます。
 官僚機構にとって、二審や最高裁で無罪が出てもいいのです。
官僚にとっては3秘書を有罪にすれば、小沢氏はその道義的責任
を問われるので、その影響力を削ぐことができ、検察審査会の裁
判も有利に進められると判断しているのです。このように検察と
裁判所が繋がっているのなら、検察審査会も間違いなく繋がって
います。彼らにとっても危機なのです。したがって、あらゆる手
段を駆使して、小沢氏の人格破壊を行っているのです。
 それに彼らにとって強い味方である記者クラブメディアが例に
よってあることないこと書き立てるに決まっているので、小沢氏
のイメージは地に落ちる──そのように考えているはずです。そ
うすれば代表選に出ても勝てないだろうと見ているのです。
 こういう事態は予測されたのです。もし、今回裁判所が3人に
無罪判決を出すと、検察の権威は泥にまみれ、再起不能になるで
しょう。したがって、何が何でも有罪にする必要があったわけで
す。また、水谷建設からの裏献金をムリ筋でも裁判所が認めると
小沢氏に対する検察審査会裁判でも、この問題を取り上げやすく
なります。検察官役の弁護士も、小沢氏に対して有罪判決を出し
たいのでしょう。ましてこの裁判の担当裁判官は、今まで無罪判
決をほとんど出しことのない人物といわれています。
 裁判では、石川氏が4億円を複数の口座に分散したり、4億円
を定期預金にして同額借り入れるという行為を資金を隠蔽するた
めの工作と裁判長は決めつけていますが、これはきわめておかし
な話です。そんなことは企業でよくやることだからです。現金は
それがたとえ担保になって使えなくても、帳簿上存在する方がい
ろいろな意味において企業にはメリットがあるのです。そのため
に利息がかかったとしてもです。
 もっともこのあたりのことについて、石川氏がうまく説明でき
ていないことも確かです。そうであるとしても、そのことが違法
であるはずもありません。このような怪しいことをしているのだ
から、有罪というのでは無茶苦茶です。この点については改めて
詳しく述べることにします。
 この3秘書の有罪判決については、現時点ではあまりにも情報
が少ないのです。おそらく明日から来週にかけて多くの情報が出
てくるものと思います。そこで、今週はこの問題はひとまずおい
て、別な観点から政治の問題を論じ、十分な情報収集をしたうえ
で、改めて今回の判決の問題点を検証する予定です。
 野田内閣は完全に財務省に牛耳られており、バックにいる財務
省事務次官の勝栄二郎氏が動かしています。そのため、「勝栄二
郎内閣」と呼ばれています。ここにきて週刊誌などではそう書く
ようになってきています。ここまで日本経済をだめにした責任は
財務省と日銀にあります。それに懲りもせず、この経済状況にお
いて、増税をやろうとしているのです。野田内閣では日本は沈む
一方です。        ─── [日本の政治の現況/74]


≪画像および関連情報≫
 ●26日のBSプライムニュースを見て追加コメント
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  26日のBSプライムニュースでは、またしても、解説委員
  (フジテレビ経済部長/安倍宏行氏)がおかしな発言をして
  いる。小沢氏から借り入れた4億円を収支報告書に記載しな
  いで隠したといっている。しかし、これは事実と異なる。官
  報にきちんと記載されていることは、EJで何回も述べてい
  る通りである。それに、あの宗像弁護士を呼んできてコメン
  トを求めている。これはフェアではない。少なくとも弁護側
  の弁護士も呼ぶべきではないか。しかし、その宗像氏ですら
  水谷建設の裏献金については証拠を示しておらず、状況証拠
  のみであるといっている。実に疑惑に満ちた判決であったと
  いうことである。
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石川被告「断固として戦い続ける」.jpg
石川被告「断固として戦い続ける」
posted by 平野 浩 at 04:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする