2011年08月23日

●「民主党の基本政策はそんなに劣悪か」(EJ第3125号)

 現在の民主党に大きな疑問を感ずるのは、民主党の基本政策で
ある次の4つの政策を次々と捨て去ろうとしていることです。
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          1.   子ども手当
          2.高校授業料無償化
          3.高速道路の無料化
          4.農家戸別所得補償
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 自民党はこれを「バラマキ4K」と呼び、メディアは票集めの
ための人気取り政策とボロクソにいっていますが、本当にそんな
にひどい政策なのでしょうか。
 これら4つの公約には共通する特色があるのです。それは「直
接給付」ということです。自公時代は、農業補助金のように役所
が天下り団体を通じて恣意的に業界に金を配分する「間接給付」
だったのです。こういう金の配分方式では、特定集団に既得権が
発生してしまうのです。このようなかたちで、もし既得権ができ
てしまうと、それ以後長年にわたって、そこには膨大な税金が注
ぎ込まれることになるのです。
 民主党ではこれを「直接給付」することによって、役人の権益
を縮小し、特定団体の既得権を破壊しようとしたのです。高速道
路や教育に使われる税金についても、そのメリットを等しく国民
が享受できるようにしようということで、マニュフェストが作ら
れたのです。そのどこがいけないのでしょうか。
 民主党のマニュフェストに危機感を抱いたのは、霞が関、すな
わち財務省です。そして、その財務省に洗脳されている自民党で
す。財務省にとって既得権を侵害する者はすべて敵なのです。そ
のため首謀者の小沢一郎氏の政治活動を検察を使ってとことん妨
害し、あらゆる手段を講じて、既得権益を守ろうとしたのです。
そして小沢氏が座敷牢に入れられて動けない間に自民党を使い、
特例公債法などの重要法案を人質にとって、「バラマキ4K」を
すべて葬り去ろうとしたのです。要するに、菅政権とその執行部
は自らのマニュフェストの精神をまるで理解しておらず、自己保
身で自民党との大連立を目指し、「バラマキ4K」を捨てようと
したのです。
 民主党のマニュフェスト策定ブレーンの一人である山崎養世氏
──成長戦略総合研究所理事長は、高速道路の無償化を提案した
人物ですが、その政策について次のように述べています。
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 自公政権は構造的に地方を貧しくする政策をとってきた。高速
 料金ひとつを例にとっても、首都高は安く、地方は高い。だか
 ら民主党はまず高速無料化で大都市と地方の格差をなくし、地
 域が自立して豊かになる社会をつくることを国作りの目標にし
 た。地域が潤えば地域の人口も増える。国民益にもなる。とこ
 ろが、政治家、官僚、マスコミが無料化したらJRが困る、お
 れの業界が困るからとよってたかって高速無料化をつぶした。
               ──『週刊ポスト』9/2より
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 こういうマニュフェストは、民主党全体で検討し、合意の下で
作られているはずです。しかし、前原誠司元国交相は、担当大臣
であるにもかかわらず、高速道路無料化は間違いだったと次のよ
うに述べているのです。
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 担当大臣でありながら、実は、おかしいなと思っていました。
 道路建設の負債が約34兆円あり、それを返さないといけない
 し、維持管理費も年間、数千億円単位でかかる。全道路を無料
 化すると、他の公共事業費が捻出できないだけでなく、既存の
 インフラの維持・管理すらおぼつかなくなります。(中略)高
 速道路無料化という公約は撤回すると正直に言い、国民にお詫
 びするべきだと思います。  ──『週刊朝日』8/26より
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 この前原氏の発言には唖然とせざるを得ないのです。高速道路
無料化の政策は、民主党の基本政策であるのに、前原氏はタッチ
していなかったのでしょうか。彼は民主党において、基本政策作
りに意見もいえない程度の人物なのでしょうか。
 しかも担当大臣を務めながら、高速道路無料化をおかしな政策
だとは何事でしょうか。おかしな政策なら、担当大臣のときに廃
止すればいいではありませんか。
 前原氏は、新聞の世論調査などでは「国民的人気が高い」とさ
れていますが、この程度の人物なのです。20日発行の日刊ゲン
ダイが前原氏について次のように書いています。
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 前原総理なんて国民にとっては悪夢だ。八ツ場ダムしかり、J
 AL再建も尖閣問題も、最初だけは威勢がいいが、すぐ腰砕け
 になって、結局、後始末は他人任せ。何ひとつマトモニこなせ
 なかった「口先番長」である。
      ──2011年8月20日発行/日刊ゲンダイより
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 前原氏は、鳩山首相時代には国土交通相、菅政権では外相を務
めていますが、どんな仕事をしたでしょうか。国土交通相時代は
八ツ場ダムとJAL再建を迷走させ、高速道路無料化は信念がな
いので適当に行い、外相としては何をやったか思い出せず、しか
も外国人献金疑惑を国会で追及され、辞任しています。
 それでも新聞は「国民的人気の高い首相候補」と書き立て、本
人もその気になっています。もし、彼が首相になったら、菅政権
よりも民主党は劣化してしまう恐れがあります。
 民主党にはまだ2年残っているのです。この2年で党勢を復活
させられるのは、ただひとり首相をやっていない小沢一郎氏しか
いないと思います。小沢氏が残っていることが民主党にとって真
の切り札なのです。     ── [日本の政治の現況/51]


≪画像および関連情報≫
 ●高速道路無料化を拒んでいるのは誰か/山崎養世氏
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  民主党の目玉政策であるはずの高速道路無料化を巡る混乱が
  続いている。前原誠司国土交通大臣と小沢一郎民主党幹事長
  の対立が報じられ、混乱の原因は小沢幹事長だ、という見方
  がマスメディアの大勢だ。事実は全く異なる。2003年に
  当時の菅直人代表が私の高速道路無料化の提案を民主党のマ
  ニフェストに採用し、私を「影の内閣」の国土交通大臣に指
  名した。それ以来私は政権交代からこれまでの経緯をつぶさ
  に見てきたし、高速道路無料化を巡る動きを体験してきた。
  今、私にはっきり分かるのは、前原国土交通大臣が、高速道
  路無料化の予算がマニフェストの6分の1にまで削減される
  のを放置してきたということだ。そのため、新しい通行料金
  は、8割のユーザーにとっては値上げになる。
         http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3347
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前原誠司氏.jpg
前原 誠司氏


posted by 平野 浩 at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする