2011年08月02日

●「与党提出の内閣不信任決議案」(EJ第3110号)

 「お盆過ぎまで菅首相が辞めないときは、どんな手を使っても
降ろす」──小沢元代表の発言です。かなり自信に満ちた大胆な
発言です。一体小沢氏は何を考えているのでしょうか。
 それは不信任決議案(以下、不信任案)の提出です。日本の総
理大臣を降ろすには不信任案しかないと小沢氏はいうのです。も
っとも不信任案といっても再提出ではないのです。与党の民主党
から菅首相の不信任案を提出するか信任案を提出するのです。ど
ちらも同じですが、与党から出すときは、信任案の方がスジが通
っているように見えます。いうまでもないことながら、不信任案
のときは「賛成多数」、信任案のときは「反対多数」で首相は内
閣を総辞職するか、解散をするしかなくなります。
 このように不信任案と信任案は、野党でも与党でも提出できる
のです。ただし、提出には人数上の条件はありますが、現在の民
主党では退陣賛成派が多いので、問題なく、クリアできます。
 もうひとつ与党提出の不信任案にはそれを提出する方に大きな
メリットがあるのです。野党提出の不信任案に同調すると、党紀
違反になり、除名などの処分を受けることになります。しかし、
与党提出の不信任案は党の意思として出すことになるので、党紀
処分の対象にならないことです。
 したがって、小沢グループでは、最初から与党提出の不信任案
の提出を示唆していたのです。小沢氏は提出の根拠について、次
のように述べています。
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 【首相辞任】首相を代えるために唯一、憲法上認められるのは
 内閣不信任決議案の可決だ。自発的に辞めるなら結構だが、辞
 めないときは意を決するときが来る。不信任案は提出者と理由
 が違えば一事不再議に反するものではなく2度でも3度でも出
 せる。岡田克也幹事長も「お盆前に辞める」と言っているので
 当面は見守るが、辞めないのなら民主党議員全員が深刻に考え
 決断すべきだ。
 【ポスト菅】次の人については、菅さんでなければ、どなたで
 もいいんじゃないでしょうか。
           ──2011年7月29日付、産経新聞
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 同じ菅首相に対する不信任案ですが、提出者は野党ではなく、
与党の民主党、提出理由は「退陣表明しているのに辞めない」と
いうように前回と変更すれば出せるのです。
 新聞や小沢氏を批判する政治評論家は、これまでことあるごと
に小沢氏を「これで小沢氏の影響力の低下は避けられない」とい
う決まり文句で書くのがつねです。何とかして小沢氏の影響力を
排除したいの一心で固まっているのでしょう。報道人としては、
あってはならないことです。政権交代以来、小沢氏がそう書かれ
たのは次の5回に及ぶのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
         1.陸山会元秘書逮捕
         2.民主党幹事長辞任
         3.民主党代表選敗北
         4.検察審の強制起訴
         5.党員資格停止処分
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、いずれもメディアの書いていることとは、違う結果に
終っています。とくに2010年9月に民主党の代表選に破れ、
追い撃ちをかけるような検察審査会による強制起訴、そしてそれ
を利用して小沢氏の力を弱めようとした菅内閣執行部による党員
資格停止処分──メディアはそのつど「もはや小沢は終り!」と
書いてきたのです。
 そして今年6月の菅内閣不信任案の採決でのドタバタ──鳩山
氏の変心による不発によって、またしてもメディアは「小沢氏は
終り!」と書き続けたのです。
 しかし、事実はそれとまったく異なるのです。小沢氏を排除す
ることは、反小沢の菅内閣、執行部にプラスのメリットをもたら
すとして、党執行部は党を政権交代に導いた小沢元代表の恩を忘
れ、メディアの力も借りて小沢グループを干し上げたのです。
 そして、党則を破ってまで事実上無期限の党員資格停止処分と
いう座敷牢に小沢氏を閉じ込め、菅内閣はうまく政権運営ができ
たのでしょうか。2010年の参院選に負けてねじれの原因を作
り、その後のすべての選挙に負け続けても誰も責任を取らず、稚
拙きわまる政局運営に加え、国民との約束であるマニュフェスト
を大幅に変更して野党にへつらっても特例公債法案が通らない。
そうすると、今までかついできた菅首相を執行部や閣僚が批判す
るというグチャグチャの事態になっています。それでいて、菅首
相を降ろせず、遠巻きにして眺めている。なぜ、執行部や閣僚は
批判するなら、辞表を出さないのでしょうか。
 そこまで徹底的に露骨な小沢封じ込めをやってきて、迎えた不
信任案採決の事態──そのとき小沢氏は賛成同意の議員を77人
集めているのです。これについて元フジテレビ政治部の鈴木哲夫
氏は次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 不信任案で自主投票に転じた小沢グループについて、菅首相側
 近やメディアは「菅追い落としに失敗」「小沢氏の求心力も落
 ちた」と論評した。たしかに、不信任案採決前夜、賛成すると
 集まったのは77人。一気に不信任案を成立させる人数には足
 りず、かつて代表選で200票を集めたことからすれば「たっ
 た70人そこそこ」となる。しかし、私の取材では77人は脅
 威だ。小沢グループ幹部も「(集めたことで)この勝負は小沢
 の勝ち」と胸を張る。
   ──鈴木哲夫の永田町核心レポート/夕刊フジ/6.14
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              ── [日本の政治の現況/36]


≪画像および関連情報≫
 ●日本人は知ってはいけない/関連ブログの記事
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  予定通り内閣不信任案が提出されました。もともと、民主党
  は、菅直人氏と小沢一郎氏がタッグを組んで、政権交代を成
  し遂げてきたもの。それでは、どこで、おかしくなっていっ
  たのか大雑把に振り返り考えてみたい。ここからは全て筆者
  自身の妄想であります。妄想ではありますが、ほぼ間違えな
  いでしょう。民主党が政権を担う直前に策を練ったやつがい
  る。「小沢を潰そう」。その為に「小沢をえん罪にしよう」
  と。そして、マスコミ、検察の総動員で「水谷建設」、「検
  察」の疑惑をつくりだした。これがもとで世論の中で、風評
  にながされやすい、無知な人たちは影響を受け始めた。それ
  をマスコミはあおった。
   http://cosmo-world.seesaa.net/article/206204017.html
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主導権を握っている小沢グループ.jpg
主導権を握っている小沢グループ
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする