元代表が、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と会談をしているの
です。自由報道協会の公開討論においてです。
そこでは、政府の震災・原発事故対応について、「今までみた
いなやり方をしていたらダメだ」と菅政権を批判し、意見の一致
を見たのです。小沢氏とウォルフレン氏は確か直接会うのはこれ
がはじめてではないかと思われます。
そして、討論会後の記者会見で、菅首相の辞任問題について、
小沢氏は次のように述べているのです。
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日本人的常識で言えば菅さんも『辞める』みたいなことを言っ
たんでしょうけれども、その常識の通用しない相手だとどうし
ようもないわけで、今のようになっちゃうわけです。
──小沢一郎
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1108.html
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先週のEJでも書きましたが、菅首相の側近の下村健一氏や橘
民義氏(EJ第3108号)の発言を聞いてわかったことがあり
ます。それは、6月2日の代議士会の前夜、菅首相以下、執行部
が票読みをしたところ、賛成票は80票をはるかに超えており、
不信任案の可決は必至の情勢であったのです。
焦った菅首相は、鳩山前首相の提案を受け入れることにし、話
し合いをもったのです。そのとき菅首相は「メドがついたら首相
を辞める」と明言しているはずです。いま発言しているようなぼ
かした表現ではなく、「辞める」とはっきりいっているのです。
そうでなければ、いくら鳩山氏が甘くても、ぼかした表現では納
得するはずがないからです。
ところが代議士会ではああいう発言です。しかし、鳩山氏とし
ては、直前に「辞める」という発言を聞いているので、総理の立
場上そういわざるを得なかったのだろうと好意的に判断したわけ
です。菅首相はそういう鳩山氏の甘さにつけ込んで不信任案可決
を回避したのです。だから、菅首相が「辞任とはいっていない」
といったとき、鳩山氏は「ペテン師だ」といって怒ったのです。
さらに菅氏は鳩山氏が民主党を壊したくないという思いも利用
したのです。もし、このまま不信任案の採決に突入すると、小沢
グループ約77人以上が賛成する──たとえ否決しても小沢グル
ープは党を割ることは確実で、そうなると、民主党は壊れる。お
そらく同調者がさらに加わると思われるので、民主党は衆議院で
過半数を失ってしまうのです。
したがって、鳩山氏としては、それを何とか回避したかったの
です。だからこそ、菅氏は「辞任」するフリをすれば、鳩山氏は
それに飛びつくと考えたのです。
この経緯から見て、同席していた岡田幹事長は菅氏の「辞任」
発言を直接聞いているはずです。それでいて岡田幹事長が鳩山氏
のペテン師発言を聞いたとき、「辞任とはいっていないし、一定
のめどというのは辞任の条件ではない」と否定しているので、2
人が共謀して鳩山氏を騙したことは明らかです。
鳩山氏は、おそらくこれで菅直人と岡田克也という人物とは付
き合っていけないと思ったはずです。最近の鳩山氏は民主党につ
いて弟である邦夫氏との対話でこう話しています。
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邦 夫:菅さんは辞めるのか?一体、どうなっているのか霧の
中みたいだ。兄貴はどうするつもりなんだ?
由紀夫:いよいよ民主党への愛着がなくなってきたよ。若手議
員らもどんどん民主党への愛着がなくなってきてる。
もう、民主党なんか壊れたっていい。
──2011年7月25日発行、夕刊フジ
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鳩山邦夫氏も、兄の鳩山由紀夫氏が菅首相の「退陣偽装」に騙
されたのは「党を壊したくない」という思いであり、「兄貴はそ
の心の隙に付け込まれた」といっています。その由紀夫氏が「も
はや愛着がない」というのは、尋常ならざることです。邦夫氏は
次のように由紀夫氏の気持ちを代弁しています。
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菅首相に母屋を取られたんだからもういい。母屋は菅首相にや
ればいい。新しい道(新党)しかないな、ということだろう。
──前掲、夕刊フジより
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もともと民主党は、鳩山兄弟に菅氏が加わってスタートしたの
です。新党設立資金は、由紀夫氏が8億円、邦夫氏が7億円借金
して用意したのですが、菅氏は300万円しか出さなかったとい
うのです。菅直人という人は、こういうときはたとえ金があって
も出さない人といわれているのです。その民主党を菅氏は鳩山氏
をペテンにかけて取り上げたのです。
一体民主党はどうなるのか。小沢氏はそれまで菅首相の問題は
執行部の責任でやるべきだといって、表立って動かなかったので
すが、ウォルフレン氏との討論会を契機に一挙に前面に出て発言
するようになっており、次のように述べています。
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岡田幹事長をはじめとする執行部や、菅さんを支えてきた人た
ちが、「お盆まで辞める」といっているのだから、今は見守る
しかない。もっともお盆を過ぎても辞めなければ、これは話が
違うということになってくる。自発的に辞めてくれなければど
んな手を使っても・・・というものはある。
──2011年7月29日発行、日刊ゲンダイ
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なんだかんだといっても、現在の民主党は小沢グループを無視
できないのです。小沢グループが誰につくかによって、代表が決
まるからです。 ── [日本の政治の現況/35]
≪画像および関連情報≫
●ブログ「日々坦々」より/小沢一郎発言
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原発事故、深刻な事態と、当初から訴えてまいりました。日
本人の長所が発揮されていると同時に、欠点も露呈されてい
る。皆、力をあわせて復興のため努力している。その忍耐、
努力、能力は誇っていい。しかし、原発事故と放射能汚染の
拡大は、個人の力の発揮だけでなく、国家として力を発揮す
る仕組みが大事になる。ところが、一般の国民の中からもな
かなか出てこない。これは日本的な現象。他国だったら、そ
うはならない。国民運動のようになる。日本人の不思議なと
ころ。マスコミが政治が何をするべきか、お悔やみをいうこ
とか。政治家は国家がどうあるべきか、考えるのが仕事。
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1108.html
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小沢一郎×カレル・ウォルフレン