2011年07月12日

●「参院予算委における古賀氏の発言」(EJ第3096号)

 ウォルフレン氏の3つの分類──市民、官僚、国民によると、
古賀茂明氏は、身分は官僚なのですが、市民の立場に立って公務
員制度改革について革新的な発言をしたわけです。しかし、これ
は官僚から見ると、とんでもない裏切りであるわけです。
 ところで最初のうち古賀氏を高く評価していた仙谷官房副長官
がなぜ古賀氏を遠ざけるだけでなく、その退職勧奨にまでかかわ
るようになったのかについて古賀氏の本を参照してまとめておき
たいと思います。そうすれば、現在の菅政権の公務員制度改革に
ついての姿勢も見えてくるからです。
 2010年10月15日のことです。その日古賀氏は前日から
四国に出張していたのですが、急遽帰京を命じられたのです。み
んなの党の小野次郎議員から指名があり、参議院予算委員会に出
席せよという命令です。
 そのまま空港に向かい、帰京して何の準備もないまま、参議院
の予算委員会に出席したのです。質問に立った小野議員は次のよ
うに私に意見を述べるよう促したのです。
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 国家公務員制度改革の政府案では、天下り根絶というスローガ
 ンが骨抜きになっている。政府は現役出向は天下りではないと
 いっているが、このことに関して貴兄の知見を伺いたい。
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 この手の質問がくることは見当をつけていたのですが、実際問
題として古賀氏は正直にいうべきかどうか迷っていたそうです。
もし、国会で話せば大きな問題になり、それなりの覚悟はしなけ
ればならない。しかし、小野議員に促されてると、その瞬間自分
の考え方として正直に述べようという気になっていたのです。
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 天下りがいけないという理由は二つある。天下りによってその
 ポストを維持する、それによって大きな無駄が生まれる、無駄
 な予算がどんどん作られる、あるいは維持されるという問題が
 一つ。もう一つは、民間企業などを含めてそういうところと癒
 着が生じる。そして、たとえばその企業あるいは業界を守るた
 めの規制は変えられないというようなことが起こる。ひどい場
 合は官製談合のような法律に違反する問題さえ出てくる。一部
 に退職金を二回取るのが問題だという詰もあるが、それは本質
 的な問題ではなくて、重要なのは、無駄な予算が山のようにで
 きあがる、あるいは癒着がどんどんできる、これが問題だ。現
 役で出ていけば、問題ないというのは非常に不思議なロジック
 だ。無駄が生まれる、あるいは維持される、それから不透明な
 癒着ができるということは、公務員の身分を維持して出ていっ
 てもまったく同じことが起きる可能性があるので、その点が非
 常に問題だ。               ──古賀茂明氏
              /『日本中枢の崩壊』/講談社刊
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 これに対して、仙谷官房長官(当時)は小野議員から質問をさ
れていないのに、次のように発言したのです。これによって、参
議院予算委員会の会場は騒然となったのです。
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 さっきの古賀さんの上司として、一言先ほどのお話に私から話
 をさせていただきます。私は、小野議員の今回の、古賀さんを
 こういうところに、現時点での彼の職務、彼の行っている行政
 と関係のないこういう場に呼び出す、こういうやり方はなはだ
 彼の将来を傷つけると思います・・・。優秀な人であるだけに
 大変残念に思います。      ──仙谷官房長官(当時)
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 仙谷官房長官(当時)は、古賀氏に対してでなく、小野議員に
クレームをつけたのです。その当時古賀氏は政府案が骨抜きであ
ることを批判しており、経産省大臣官房付という閑職に追いやら
れ、長期出張をさせられていたのです。
 それをわざわざ国会に呼び出して政府案の批判をさせるなど許
せない。そんなことをすれば古賀氏をやめさせることになる──
これが仙谷氏の本音であったと思います。
 この参議院予算委員会の質疑のさい、小野議員の人事に対して
配慮を求めたのに対し、当時の大畠章宏経産大臣は次のように答
えています。
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 ご本人のお話などを承わりながら、ご本人の経験やあるいは能
 力、そういうものが十分発揮できるような形で対処してまいり
 たいと思います。      ──大畠章宏経産大臣(当時)
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 しかし、その後大畠大臣は経産相を去り、この約束は何ら引き
継がれていないのです。大畠大臣としても官僚幹部とぶつかって
まで古賀氏を守るつもりなどないし、後任の海江田大臣にしても
こんなことに首を突っ込むほどヒマではないわけです。
 経産省幹部としては、しばらく時間稼ぎをして、あまり騒がれ
なくなるまで待つという考え方であったようです。しかし、経産
省幹部は、この7月15日付での退職勧奨を古賀氏に求めている
ようです。意外に早いという感じです。
 その原因は仙谷官房副長官がそれを経産省に求めたものと思わ
れます。というのは、現在の菅政権は先行きが不安定であり、い
つ退陣するかわからない情勢にあります。そうなると、仙谷氏は
官房副長官を外れる可能性があり、自分が官邸に力を持っている
うちにケリをつけたいと考えたものと思われます。
 しかし、もし今古賀氏をクビにすると、相当大きくマスコミに
取り上げられることは必至であり、古賀氏はテレビに引っ張りだ
こになるはずです。単に部下に恥をかかせられた腹いせでしょう
か。自分が口を出してまでやるべきことではないのになぜそうす
るのでしょうか。古賀氏は正しいことをいっているのです。民主
党の主張ではないですか。  ── [日本の政治の現況/22]


≪画像および関連情報≫
 ●古賀氏答弁/仙谷官房長官の発言/動画で再生
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  菅直人内閣で異様な存在感を放つ仙谷由人官房長官が、20
  10年15日の参院予算委員会で、政府参考人として菅内閣
  の天下り対策に批判的な答弁をしたキャリア官僚に対し「彼
  の将来が傷つき残念だ」と発言し、審議が一時紛糾した。批
  判的な官僚に対する人事権の発動とも受け取れ、「公衆の面
  前で官僚を恫喝した仙谷氏の罷免を求める」(自民党中堅)
  との声も出てきた。
           http://sakura-memo.jugem.jp/?eid=118
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参議院予算委員会での古賀茂明氏.jpg
参議院予算委員会での古賀 茂明氏
posted by 平野 浩 at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする