された意見です。
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農業 奥住高正(東京都日野市 60)
今回の菅内閣不信任案を民主党内のごたごた・茶番劇などと評
する向きがある。が、すべては小沢一郎元代表の政治家うんぬ
ん以前の性向から起きていることではないか。なぜ彼のような
政治家が日本に存在し得るのか。常々闇に隠れて配下の者にこ
とを図らせ、人心を操る。(中略)菅直人首相が任期中になす
べき最大の職務は、この元代表を民主党からたたき出すことだ
と私は思う。野党と組んで政権を倒す構えを見せたことは許さ
れざる反党行為である。執行部が直ちに元代表を除名しなけれ
ば党としての体をなさず、民主党に未来はないと考える。
──2011年6月11日付/朝日新聞
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これが現在世間の多くの人が考えている小沢一郎という政治家
の評価であろうと思います。まるで「悪」を代表する政治家のよ
うです。明らかに新聞、テレビ、週刊誌などのメディアの伝える
小沢一郎像をストレートにそのまま取り入れています。
私は小沢ファンでも支持者でもないのですが、あまり、小沢一
郎氏の評価がひどいことと、異常なほど何年にもわたって執拗に
続けられているので、小沢一郎について書かれた本や雑誌──好
意的に書かれたものも、そうでないものも含めてすべて丁寧に読
み、ネットなどからの資料も可能な限り集めて分析してみると、
事実とはかなり異なることが分かったのです。
そこで、その資料を基にして2010年1月4日から4月14
日のウィークデイの毎日、71回にわたって「小沢一郎論」を書
いたところ大きな反響がありました。この連載はブログに掲載し
ておりますので、興味があればご覧ください。
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『小沢一郎論』/2010年1月4日〜4月14日
http://electronic-journal.seesaa.net/category/7466989-1.html
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人物破壊──character assassination という言葉があるそう
です。ウォルフレン氏によると、標的とする人物を実際に殺さな
いまでも、その世間での評判や人物像を破壊しようとする行為の
ことです。小沢一郎氏や植草一秀氏などは、明らかにこの人物破
壊を受けていると思います。
世界に目を転じてみると、そのような人物破壊は数多くあると
ウォルフレン氏はいいます。例を上げると、米国政府によるベネ
ズエラ大統領のチャベス氏への人物破壊、最近では「ウィキリー
クス」の創始者、ジュリアン・アサンジ氏に対する人物破壊キャ
ンペーンなどがあります。
しかし、ウォルフレン氏は、こと小沢氏の人物破壊については
いささか常軌を逸しており、異常ですらあるとして次のように述
べています。
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だが小沢氏の人物破壊キャンペーンに関するかぎり、これは世
界のあらゆる国々の政治世界でも目にすることはない、きわめ
て異質なものだと結論せざるを得ない。その理由は、断続的な
がら、このキャンペーンが実に長期にわたって続けられている
ことだ。世界のどこを見回しても、ひとりの人間の世評を貶め
ようとするキャンペーンが、これほど長期にわたって延々と繰
り広げられてきた例はほかにない。しかも、再燃するたびごと
に、それは強化されている。
──カレル・ヴァン・ウォルフレン著/井上実訳
『誰が小沢一郎を殺すのか?』/角川書店刊
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小沢氏への人物破壊は、小沢氏が自民党を離党して新生党を結
成し、非自民連立政権を樹立した1993年から連綿として続け
られ、代表として率いる2009年にはそれが頂点に達したとい
えます。そして現在でも執拗に続けられています。
なぜ、2009年が強化されたのかというと、小沢氏が代表を
務める民主党が衆院選で勝利するのはほとんど間違いがないとみ
られていたからです。もし、小沢代表のまま2009年の衆院選
に突入していたら、小沢首相が実現していたのです。しかし、そ
れだけは何としても避けたいと考えるある勢力が、あろうことか
証拠も明確でないまま、小沢氏の第一秘書を逮捕したのです。そ
してやっと小沢氏を代表から引きずり下ろしたのです。
ウォルフレン氏は、日本の最有力紙の論説執筆者が、まるで個
人的な恨みでもあるかのように小沢氏を批判するのをみて、首を
傾げています。政治評論家のほとんどや雑誌の編集者、テレビの
コメンテーターなどにも小沢氏を誹謗する人が多いのです。
なかには次のような本まで書く人もあらわれるなど、明らかに
異常そのものです。
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西部邁著/飛鳥新社刊
『小沢一郎は背広を着たゴロツキである』
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全編小沢氏のことを書くほどの情報もなく、それ以外の政治家
も取り上げているのですが、それにしてもこのタイトルで本にす
る神経には疑問を感じます。本人に対してあまりに失礼であるし
いささか品がなさ過ぎると思います。
これほどの人物破壊を受けても小沢氏は依然として健在のよう
です。新聞は「小沢氏の影響力に陰り」とか「小沢氏の求心力は
低下」と連日書きまくっていますが、不信任案採決のときに70
人を超える同調者を集めたのです。この数には鳩山グループが含
まれていないことを考えると、影響力はまったく低下していない
ようです。 ─── [日本の政治の現況/04]
≪画像および関連情報≫
●文藝評論家/山崎行太郎氏によるゴロツキ本の批評
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西部邁といえば「大衆批判」とか「衆愚批判」等でお馴染み
だが、七十二歳にもなった今でも馬鹿のひとつ覚えのように
政治家や選挙民を捕まえて「大衆」だ、「衆愚」だ、「民主
主義が政治家を真底まで腐らせた」と喚いているが、僕には
むしろ、西部邁こそ衆愚の代表のように見えるし、西部邁の
ような「評論家業者」に関して、「民主主義が評論家業者を
真底から腐らせた」と思わないわけにはいかない。─中略─
要するに、西部邁は、小沢一郎やその他の政治家達を論じ、
罵倒するのに、完璧に情報不足であり、情報難民であること
がわかる。つまりテレビや新聞のマスコミ報道しか情報源は
ないらしいことが分かる。
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20100725/1280067487
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西部 邁氏と本