2010年02月19日

●「小泉元首相と検察との関係」(EJ第2757号)

 2009年3月に小沢の公設第一秘書である大久保隆規氏が逮
捕されたとき、民主党では国策捜査が行われたという非難の声が
上がったのです。
 そのときは、支持率低下で窮地に陥っていた自民党が、検察を
使って政敵である小沢を失脚させるウルトラCを狙ったのではな
いかと民主党支持者は考えたわけです。
 しかし、今年に入ってからの小沢の3人の秘書の逮捕は、民主
党が政権与党であるので、民主党としては、国策捜査という批判
は少なくともできないはずです。なぜなら、検察庁は法務省に属
する内閣の一組織であるからです。
 どうしてこんなことが起こるのか。日本は議員内閣制ではなく
官僚内閣制であり、政治の主導権は国会議員ではなく、官僚組織
が握っているのです。といっても表立ったことはすべて議員が行
い、それを官僚組織がウラで操るのです。したがって、自民党時
代は各省庁の事務次官が実質上、一番権限を握っていたのです。
 このようにして、自民党政権は50年以上の長きに当たって政
権を維持してきましたが、その間に自民党と官僚組織と大企業と
大マスコミは、それぞれの利権を守るためにがっちりと手を組ん
で今日までやってきたわけです。
 ところが、昨年の衆院選で自民党が敗北し、民主党に政権が交
代するや、民主党は政治主導を打ち出し、少しずつではあるが、
自民党と官僚組織と大企業と大マスコミの「連合軍」の一角を崩
しはじめたのです。
 これに危機感を深めた「連合軍」は、民主党の中で改革を前進
させる一番強い意思と力と権限のある小沢一郎に焦点を絞って、
潰しにかかったのです。小沢さえ失脚させれば、素人同然の民主
党はバラバラになる――「連合軍」の中枢である官僚組織はそう
考えて実に一年以上にわたって、主に検察と大マスコミを使って
小沢を攻め続けたのです。その効果たるや歴然であり、今や小沢
は「巨悪」に仕立てられているのです。
 どうやら、今回の小沢捜査はそのウラで小泉元首相が糸を引い
ているフシがあります。思い出して欲しいのです。あの「かんぽ
の宿疑惑」が湧き上がり、麻生首相の郵政民営化消極発言に小泉
元首相が批判してロシアに出かけて行った後のことを。あたかも
倒閣運動に加わったかに見えたものの、一転して「もう国内の政
治には発言しない」と宣言したとたん、東京地検特捜部がそれに
呼応するかのように動いて、大久保秘書を逮捕したのです。何か
つながっているように感じませんか。この大久保秘書逮捕によっ
て盛り上がりつつあった「かんぽの宿疑惑」はあっという間に隠
蔽されてしまったのです。
 一連の小沢捜査のウラには小泉がいる――こういう情報はネッ
トではよく出ているのですが、いまひとつ確証が持てなかったの
です。しかし、『週刊ポスト』2/19号――「小沢抹殺」攻防
/黒幕は「小泉純一郎」だ!――という特集が出て、一挙にそれ
は現実味を帯びてきたのです。
 こういう話をすると、当時既に政界を引退することを宣言して
いた小泉氏がなぜ検察を動かす権力を持っているのか不思議に思
う人も多いと思うので、そのいきさつについて説明するすること
にします。
 2001年、小泉内閣発足当初のことです。そのとき検察の裏
金疑惑が発覚したのです。当時神戸地検検事正であったA氏が地
検の「調査活動費」を本来の捜査活動に使わず、私的な飲み食い
に充てていたことが内部告発されたのです。その告発者は、A氏
の部下の三井環大阪高検公安部長なのです。
 実は、A氏は次の人事で高検検事長へ栄転が決定していたので
す。告発があったので、小泉元首相はとりあえず、この人事を凍
結したのです。
 困惑した時の原田明夫・検事総長は、首相官邸に小泉氏を訪ね
て、人事の承認を求めたのです。高検検事長の任命権は、法務大
臣ではなく、首相にあるからです。つまり、首相はA氏の人事に
ついて、生殺与奪の権を握ったことになります。
 小泉という人物は、自らもいう「政局好き」なのです。今後何
かのときのために検察に貸しを作っておいても損はない――しか
も、調査によると裏金作りは検察庁全体に広がっていて、これを
摘発すると、大騒ぎになることは必至だったのです。
 熟慮のすえ、小泉元首相はA氏を福岡高検検事長に任命し、裏
金問題は不問にしたのです。そして、森山法務大臣に次のように
表明させたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        検察の裏金疑惑は事実無根です
―――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、裏金疑惑を告発した三井氏はどうなったかというと
2002年に裏金問題のテレビ収録が予定されていた日に大阪地
検特捜部によって逮捕され、起訴されて、刑が確定してしまった
のです。これこそ国策捜査です。
 罪状は「詐欺」と「収賄」――しかし、「収賄」といっても、
わずか22万円ほどの接待を受けただけであり、詐欺にいたって
は完全な形式犯なのです。現職の検察幹部を逮捕するには、どう
考えても不自然な微罪に過ぎないのですが、検察としてはどうし
てもそうしないと格好がつかなかったのです。
 こういう事情で検察は小泉元首相に大変大きな借りを作ってし
まったのです。それが2004年の日本歯科医師連盟のヤミ献金
事件の不可思議な顛末になるのです。
 このとき、東京地検特捜部は、橋本派などに強制捜査をかけて
います。そして、日歯連から1億円のヤミ献金の授受の現場にい
た橋本龍太郎元首相や青木幹雄元参院議員会長、3000万円受
け取っていた山崎拓元副総理らは逮捕されず、逮捕されたのは既
に政界を引退していた橋本派の村岡兼造元官房長官だけだったの
です。しかも、村岡氏は金銭授受の現場にいないのに罪をきせら
れているのです。          ―[小沢一郎論/33]


≪画像および関連情報≫
 ●三井環氏の声明文
  ー――――――――――――――――――――――――――
  私は2002年5月10日、収賄などにより再逮捕されまし
  た。この事実も私に遺恨を抱いていた暴力団組員の利害と、
  私が検察の組織的裏金づくりを実名で公表しようとした口封
  じをする検察の利害とが一致し、暴力団員の嘘の供述をまに
  うけた検察とが結託して、虚構の事実をデッチあげて犯罪事
  実を構成したものであります。犯罪事実はいずれもデッチあ
  げであり、本来は真白であって明らかに捜査権の濫用であり
  ます。かようなデッチあげ捜査がまかりとおるならば、世は
  闇であります。 取調べはほとんどなく、保釈も許さず長期
  予防拘留を目的とする捜査、起訴であることは明らかであり
  ます。   http://www.kyudan.com/opinion/kensatsu2.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

三井 環氏.jpg
三井 環氏
posted by 平野 浩 at 04:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする