2010年02月15日

●「なぜ、記者クラブは問題があるか」(EJ第2753号)

 「日本最強の捜査機関」といわれる東京地検特捜部というのは
どういう捜査機関なのでしょうか。
 正式な名称は「東京地方検察庁特別捜査部」というのです。政
治家汚職、大型脱税、経済事件などを独自に捜査し、大物政治家
の立件・有罪などの結果を出すことから、日本における最強の捜
査機関といわれるのです。
 この東京地検特捜部――この捜査機関の前身がかつての連合国
軍による占領下で、旧日本軍が貯蔵していた隠退蔵物資を摘発し
てGHQの管理下に置くことを目的に設置された組織であること
を知っている人は少ないと思います。そのときの名称は、「隠匿
退蔵物資事件捜査部」というのです。
 実は、特捜部となってからも特捜部のエリートに在米日本大使
館の一等書記官経験者が多いのです。そのため、東京地検特捜部
は、米国の影響力を受けているといううわさがあるのです。ロッ
キード事件は、田中角栄元首相が、エネルギー政策の解決のため
に政権を奪取し、日本独自のエネルギー・ルートを確立しようと
して米国の石油資本を怒らせたといわれており、米国が深くから
んでいる事件なのです。
 それはさておき、検察にはこの東京地検――東京地方検察庁を
はじめとして、全国の地方検察庁に大メディアによる司法記者ク
ラブがあります。東京地検特捜部は、検事が最も憧れる花形ポス
トですが、それを取材する側の司法記者クラブもメディアの花形
ポストなのです。
 ところで、現在記者クラブはその30%が女性記者が占めてい
るといわれます。中でも検察・裁判所を担当する司法記者クラブ
には、各メディアが美人記者を競って配置しているといわれてい
るのです。
 なぜ、美人女性記者なのでしょうか。ある全国紙のキャップは
次のようにいっています。
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 記者の相手をするのは部長、副部長に限られるが、検事だって
 酒も好きだし、女も好き。特に被疑者の取り調べや資料の読み
 込みなどの格闘が続くと、気を抜きたくもなる。それがわかっ
 ているから民放は美人を揃える。そしてたまに女性記者を相手
 に酒を飲んで、カラオケにも行きたくなる。そんな中、露骨に
 スクープをあげることはないにしても、そこの局だけネタが取
 れない特落ち≠ヘかわいそうだと、そっと漏らしてしまった
 りするわけです。   ――『週刊ポスト』2/12日号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 とにかくこの東京地検特捜部は強大な権限を持っており、政権
与党幹事長の現役の秘書2人と元秘書――しかも衆議院議員を国
会開会直前に逮捕するという大胆にして乱暴な捜査をしているか
たわら、一方で罪状明らかな木嶋佳苗容疑者や上田美由紀容疑者
については埼玉県警や鳥取県警が異常なほど慎重な捜査をしてい
ることに違和感を感じてしまいます。
 何しろ政治家は、特捜部に逮捕されるだけで、結果として不起
訴になったり、起訴されて裁判の結果無罪になったとしても、政
治生命は逮捕された時点で終わりなのです。それだけに特捜部と
しては慎重の上にも慎重に捜査すべきですが、現状はかなり荒っ
ぽい捜査をしているようにみえます。
 それに大メディア――いずれも記者クラブ加盟メディアですが
その報道ぶりはどうしても検察寄りになります。どうしてそうな
るのかというと、事実上司法クラブ所属メディアはそうせざるを
得ないのです。なぜかというと、もし、検察について批判的な記
事を書くと、検察はその社を記者クラブに「出入り禁止」にし、
それ以外の場所でも絶対に取材に応じないのです。つまり、検察
捜査を批判すると、取材を封じて干し上げてしまうのです。
 こうなると、司法記者クラブは、検察に絶対に逆らえず、その
まま書くしかなくなります。それでも昔の司法クラブ記者のなか
には出入り禁止など意にかけず、検察捜査を批判する記事を書く
記者が少しはいたものですが、今は全般にサラリーマン化し、そ
ういう剛の記者はいなくなっているのです。
 検察と記者クラブのあり方について、既出の渡辺乾介氏は次の
ように書いています。
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 検察や警察など国家権力を発動する実力組織に記者クラブが同
 居することは本来あってはならないのだ。それだけで権力と一
 体化している証左になり、海外メディアには理解不能である。
 記者会見は全メディアが参加する開放されたものとして事前事
 後の談合を排し、メディアの自由競争が保証されたもとでこそ
 権力をチェックし、公正な報道ができるというものである。
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつ記者クラブにはからくりがあります。というのは、
記者クラブは記者個人が任意で加盟する親睦会になっていること
です。それでいて記者たちは、新聞社やテレビ局の名刺を持って
仕事をしています。
 なぜ、こんなことをするのかというと、もし、記者クラブを新
聞社やテレビ局の法人会員ということにすると、省庁や行政機関
や公的機関が一民間企業に特別なスペースを与え、特別な情報を
提供することは税金の不公平な使い方であり、行政の不公正を招
くという難しい問題になってしまうからです。
 それが個人であればすべてクリアできるわけではありませんが
少なくとも企業よりもグレーゾーンにすることができるのです。
ちょうど、企業団体献金は政治家個人には献金できないが、政治
団体ならできるというのと同じような考え方です。実際には政治
団体は代表者は違っても実質的には政治家本人なのですが、建前
上は政治団体に献金したことにできるのです。
 このように記者クラブは、百害あって一利なしの存在ですが、
いまだに生き残っているのです。   ―[小沢一郎論/29]


≪画像および関連情報≫
 ●「記者クラブ制度を考える」
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  行政や経済団体などが、特定の報道機関に無料で記者室を提
  供し、加盟社のみを対象に会見を開くということを慣例的に
  行ってきたのが記者クラブです。財務省「財政研究会」、日
  本銀行「日銀記者クラブ」、警視庁「七社会」、宮内庁「宮
  内記者会」、日本経団連「経団連記者クラブ」、東商「商工
  会議所記者クラブ」、東証「兜クラブ」などが代表的な記者
  クラブです。
  http://blog.goo.ne.jp/ccproducer/e/eaba0e5d4ec4c09a27d71f3f2b1605a4
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東京地検特捜部.jpg
東京地検特捜部
posted by 平野 浩 at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする