2010年02月12日

●「鳩山政権の中途半端な記者会見開放」(EJ第2752号)

 記者クラブが始まったのは1890年のことです。第1回帝国
議会の新聞記者取材禁止の方針に対して、『時事新報』の記者が
在京各社の議会担当記者に呼び掛けて、「議員出入記者団」を結
成し、1890年10月にこれに全国の新聞社が合流して名称を
次のように定めたのです。これが記者クラブの始まりなのです。
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         「共同新聞記者倶楽部」
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 記者クラブの目的については、その歴史を調べると、いろいろ
な曲折があったようです。1949年10月には、日本新聞協会
は次の「記者クラブに関する方針」を打ち出しています。
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 記者クラブは、親睦社交を目的として組織するものとし取材上
 の問題にはいっさい関しないこと
              ──「記者クラブに関する方針」
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 要するに記者クラブは記者同士の親睦団体であるという位置づ
けをしているのです。しかし、この記者クラブの方針は48年後
の1997年になると、次のように変わっています。
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 記者クラブは、公的機関が保有する情報へのアクセスを容易に
 する「取材のための拠点」とする。
              ──「記者クラブに関する方針」
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 つまり、記者クラブを「取材のための拠点」として明確にした
のは、そんなに前のことではないのです。そこで、現時点での記
者クラブの定義をご紹介しておきます。
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 記者クラブとは、首相官邸、省庁、地方自治体、地方公共団体
 警察、業界団体などの組織に設置された記者室を取材拠点にし
 ている、特定の報道機関の記者が構成する組織のこと。記者室
 を設置している各団体から独占的に情報提供を受けることで知
 られる。記者室の空間及び運営費用は原則として各団体が負担
 ・提供し、記者クラブが排他的に運営を行う。
                    ──ウィキペディア
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 小沢はこの記者クラブ制度について最初から疑問を感じており
記者会見においてはメディアを制限するということはやっていな
いのです。鳩山政権の大臣の何人かは、それぞれの判断で記者会
見をやっており、いわゆる記者クラブのルールは現在ゆらぎつつ
あるといえます。
 鳩山政権の閣僚のひとりである亀井大臣は、金融庁の記者クラ
ブに対して、自分の記者会見には他のメディアを同席させるよう
にと申し入れたところ、金融庁記者クラブから拒否されたという
のです。といっても、すべての記者クラブが一律に記者会見開放
に「ノー」といっているわけではないようです。外務省記者クラ
ブなどは、岡田外相の求めに応じて開放に同意しています。
 そこで、亀井大臣は反撃に出たのです。記者クラブ記者向けと
その他のメディア向けの2回の会見を開くことにしたのです。そ
の代わり、記者クラブ向けの会見は時間を半分にしたのです。そ
して、その他メディア記者向けの会見は、金融庁の大臣室で行う
ことにし、こちらはコーヒーが振る舞われるのです。つまり、亀
井大臣は記者クラブ記者に嫌がらせをしているのです。
 しかし、これは実に無駄な話です。金融庁の記者クラブが貴重
な大臣の時間を奪っているからです。毎週火曜日と金曜日、亀井
大臣は金融庁16階にある記者会見場で、新聞、テレビなどの記
者クラブメディア対象に大臣会見を開きます。通常の大臣ならば
これで記者会見は終わりです。ところが亀井大臣は違うのです。
記者会見を終えたばかりのその足で、17階の金融担当大臣室に
向かい、そこで待っているフリーランス、雑誌、ネット、海外メ
ディアなどの記者に対して、今終えたばかりの同じ記者会見をも
う一度やっているのです。
 亀井大臣は、記者クラブが記者会見の開放を断ってきたとき、
記者クラブ記者に向けて、次のようにいい、実際にそれを実行し
ているのです。
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 あんたたちはなんという時代錯誤なことをしているんだ。報道
 の自由や情報公開の見地からしておかしいでしょう。国民の知
 る権利をメディアが奪ってどうするんですか。それならばね。
 私は、自分主催の会見を開いて、そこにフリーランスやネット
 や海外メディアの皆さんをお呼びしますよ。  ――亀井大臣
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 そもそもこの記者クラブに対して公然と反対を表明したのは、
当時長野県知事であった田中康夫氏です。2001年5月15日
のことです。いわゆる「脱・記者クラブ宣言」です。
 この記者クラブ制の廃止を早くから唱えてきている政治ジャー
ナリストの上杉隆氏は、記者クラブ制について次のように批判し
ています。
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 世界の笑いものです。以前は韓国にも同種の記者クラブがあり
 ましたが、既になくなりました。私が調べた限りでは、記者ク
 ラブに近い制度があるのは日本とアフリカのガボンだけです。
 アジアも南米も、もちろんそんな制度はなく、日本にきた記者
 たちは驚いています。            ――上杉隆氏
        http://www.j-cast.com/2008/12/30032953.html
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 このように、記者クラブの廃止を唱えているのは小沢だけでは
ないのです。しかし、民主党は正式に記者クラブ廃止にまだ踏み
切れていないのです。肝心の平野官房長官が反対の姿勢をとって
いるからです。           ―[小沢一郎論/28]


≪画像および関連情報≫
 ●中途半端な総務省の記者会見開放について
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  「会見を開放するといってもウェブ専業メディアは対象外。
  現時点では質問権を持つ参加は認められない」──「開放」
  したという総務省の定例記者会見に参加したい。ITメディ
  ア・ニュース編集部が総務省記者クラブに問い合わせをした
  ところ、こんな回答があった。総務省は2009年1月5日
  記者クラブに加盟していないメディアに対して総務相の定例
  会見を開放した。会見には「J−CASTニュース」といっ
  たウェブメディアも参加し、ニコニコ動画のライブ配信「ニ
  コニコ生放送」が生中継も行った。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/07/news077.html
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亀井大臣の2回の記者会見.jpg
亀井大臣の2回の記者会見
posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする