2010年02月05日

●「小沢幹事長不起訴の背景」(EJ第2748号)

 2月4日、東京地検特捜部は、小沢幹事長の資金管理団体「陸
山会」の土地購入を巡る事件で、同会の事務担当者だった石川知
裕衆議院議員、小沢幹事長の公設第一秘書の大久保隆規、同会事
務担当者池田光智の3人を「政治資金規正法違反(虚偽記載)」
で起訴したものの、小沢幹事長については不起訴としたのです。
 これをもって野党は自分の資金管理団体の秘書が3人も逮捕・
起訴されたのだから、小沢は責任重大であり、その道義的責任を
問う構えです。
 しかし、この事件には基本的な疑問があります。なぜなら、こ
の事件が当時陸山会の直接担当者だった石川知裕衆院議員を国会
前に逮捕し起訴するほどの重罪だったのかということです。
 新聞各紙にはいろいろ書かれていますが、ていねいに読むと新
聞によって少しずつ違っている部分があります。要するに何がな
んだかよくわからないで書いているような感じすらします。
 石川議員の逮捕容疑は「政治資金規正法違反(虚偽記載)」に
なっていますが、元検事で弁護士の郷原信郎氏によると、石川議
員の逮捕・拘置事実は次の通りなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会の2004年分の政治資金収支報告書の「収入金額」を
 4億円過少に、「支出総額」を3億5200万円過少に記入し
 た虚偽記入の事実
―――――――――――――――――――――――――――――
 要するに収支が合っていないというだけのことです。郷原氏に
よると、政治資金規正法で政治家を逮捕するには、記載されるべ
きであったのに記載されていなかった収入・支出を特定するべき
であるのに、単に収支が合わないという理由だけで逮捕するのは
あまりにも乱暴であるというのです。
 事実はどうだったのかを整理してみることにします。実は4億
円は2つあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.陸山会が小沢から現金で借りた4億円 → 不記載
  2.銀行から小沢名義で融資された4億円 → 記 載
―――――――――――――――――――――――――――――
 石川は世田谷の土地を購入するよう小沢から指示を受けたので
すが、陸山会のあちこちの金を集めないと4億円はできないので
何とかして欲しいと小沢に頼んだのです。そうすると、小沢は現
金で4億円用意して石川に渡したのです。小沢はこの資金は自分
が貯めた自己資金であるといっています。
 石川はそのお金を陸山会の口座に入れ、そのお金で世田谷の土
地を購入しています。2004年10月29日のことです。石川
はその日に小沢名義で4億円の定期預金を担保して銀行から4億
円の融資を受けているのです。このときの4億円は、2004年
陸山会の収支報告書に記載されています。
 しかし、石川は小沢から現金で借りた4億円は収支報告書に記
載していないのです。逮捕後になぜ記載しなかったのかと理由を
聞かれた石川は「小沢氏が多額のお金を持っていることを伏せた
かった」と供述しているのです。したがって、石川はこのことに
ついては認めているのです。
 ごく常識的に考えれば、陸山会が世田谷の土地を購入するさい
手持ち資金が足りないので、小沢から現金で4億円借り、購入後
小沢名義の定期預金を担保にして銀行から4億円を借りて、小沢
に返したということではないのでしょうか。
 これなら、理屈に合う話です。ところが、検察は銀行から借り
入れの4億円は、小沢の現金の4億円の原資を隠すための偽装で
はないかと疑ったのです。そう考える根拠は、現金の4億円の中
には、水谷建設からの5000万円の裏献金が入っており、それ
を資金洗浄したと考えたのです。
 しかし、小沢は水谷建設からの裏金などないと断言し、これに
ついては、逮捕された石川、大久保、池田の3人もないと証言し
ているのです。そこで、小沢は検察の誤解を解くため、取り調べ
に応じ、4億円の原資は、これこれこういう経緯でストックした
自分の資金であることを証言しています。銀行口座も明らかにし
4億円の原資を検察に説明しているのです。
 今回小沢が不起訴になったのは、小沢の示した4億円の原資に
ついて、それがウソだといえるだけの証拠が検察側になかったか
らといえます。
 大メディアは意図的に報道しませんが、水谷建設元会長は、佐
藤栄佐久前福島県知事の汚職事件で、裏献金に関してウソの供述
をし、控訴審判決では「賄賂はゼロ」という裁判所の判断が示さ
れているのです。つまり、特捜部は政権与党の幹事長のいう証言
よりも、執行猶予欲しさに裏献金についてウソをついたことが明
白になっている水谷建設元会長の証言を信用しているということ
になるのです。どうしても小沢を上げてやるという異常な執念を
感じます。ちなみに、前福島県知事の汚職事件のときも今回の小
沢捜査も指揮をとる特捜部長は同じ佐久間特捜部長なのです。
 もうひとつ検察が虚偽記載といっているのは、不動産の取得が
2004年10月なのに、収支報告書は2005年1月になって
いるということがあります。小沢側はこれについて不動産屋の希
望と説明していますが、不動産取引にはよくあることです。
 それだけのことで、あの中川昭一元財務・金融相を破って小選
挙区で当選した石川議員の多数の有権者の支持を無視し、政治資
金規正法の虚偽記載という形式犯で前途有望な代議士を逮捕・起
訴して、公民権停止で失職させてよいものなのでしょうか。
 まして小沢は不起訴なのです。大メディアは世論調査をして小
沢辞職キャンペーンをしたり、小沢を「容疑者」と書いた大新聞
系列の夕刊紙などは「小沢人民裁判へ」というタイトルの記事を
書くなど常軌を逸しています。
 もっと冷静になって、これから民主党がどういう仕事をするか
見守ることの方が、根拠のない小沢叩きよりもはるかに意義のあ
ることと思います。         ―[小沢一郎論/23]


≪画像および関連情報≫
 ●文藝評論家/山崎行太郎の政治ブログ
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  小沢一郎幹事長が、2月1日、起訴の場合は「責任を取る」
  つまり「幹事長辞任もある」と記者会見で発言したことから
  前原某や枝野某、野田某等を中心にした「反小沢一派」の面
  々が、「小沢打倒」を目指して、俄に浮き足立った動きを開
  始した民主党内だったが、結果は、今夜(2月2日)になって
  検察側からのリーク情報だと思われるが、突然、「小沢不起
  訴」の情報が駆け巡り、一連の小沢事件の攻防は、「検察完
  敗」に終わりそうな雲行きになってきたわけで、またまた、
  「反小沢一派」のクーデターは空振りに終わりそうだ。しか
  しそれにしても、相変わらず空気の読めない、政治的センス
  の欠如した連中である。そもそも引退寸前のボケ老人──渡
  部某に「七奉行」などとそそのかされて、その気になること
  自体が政治家失格であり、お気の毒としか言いようがない。
  http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20100203/1265125274
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自宅を出る小沢幹事長.jpg
自宅を出る小沢幹事長
posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする