2010年02月01日

●「在日米空軍は日本の防空に関与しない」(EJ第2744号)

 2009年2月24日のことです。このとき小沢は民主党の代
表だったのですが、記者団に対して次のようにいったことを覚え
ておられると思います。
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 米海軍の第7艦隊だけで、米国の極東でのプレゼンス(存在)
 は十分である。           ──小沢前民主党代表
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 これに対して自民党は、民主党がいかに安全保障について無知
であるかを知らしめるよい機会とばかり、安全保障にかかわる多
く議員から、一斉に批判の声を上げたのです。麻生前首相などは
次のようにいっています。
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 同盟国である米国が海軍だけ、あとは空軍も海兵隊も陸軍もい
 らないとは防衛に少なからぬ知識のある人はそういう発言をな
 さらないのではないか。          ──麻生前首相
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 しかし、この小沢批判はしばらく続いたが、そのうち誰もいわ
なくなってしまったのです。この事情を明かすのは、軍事ジャー
ナリストの田岡俊次氏です。田岡氏は、「小沢氏の軍事知識は相
当のもの」と評価し、次のようにいっています。
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 自民党の幹部たちは「非現実的」「日米関係危うくする」など
 と批判した。だが、自衛隊の将官や軍事評論家の間では「小沢
 さんの言う通りじゃないか」との声が多く聞かれた。麻生前首
 相らの小沢発言への批判は在日米軍の実態や軍事再編をよく知
 らず、漠然とした「日本は米軍に守られている」との感覚から
 出たものと思われる。           ──田岡俊次氏
           SAPIO/早春合併特大号/小学館刊
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 何のことはない。非常識だなどといって小沢を批判した自民党
の方がよほど非常識であったのです。そのことが少しずつわかっ
てきたので、誰もいわなくなったのです。
 はっきりしていることがあります。日本の空に関しては、19
59年以来約50年にわたって、航空自衛隊が守ってきていると
いう事実です。米軍が守ってくれているのではないのです。どう
いう陣容かというと、F15が203機、F4EJが90機、F
2が76機、対空ミサイル「パトリオット」4連装発射機135
輌──防空のためには十分な陣容です。
 それでは、米空軍はどうかというと、沖縄の嘉手納にF15戦
闘機48機、青森三沢にF16戦闘機40機を配備しているので
すが、実態はもっと少ないのです。というのは、これらは中東な
どに交代で派遣されており、待機している実数はそれ以下という
ことになります。
 さらに1959年にレーダーサイトや防空指令所が航空自衛隊
に移管され、日米の航空部隊は指揮系統を別個にする協定が結ば
れているのです。これはどういうことかというと、防空の指揮は
日本側が行い、米空軍はその指揮下には入らないという意味なの
です。したがって、米空軍はかなり以前から、日本の防空にかか
わっていないのです。
 それでは沖縄はどうなのでしょうか。沖縄は1972年に返還
されましたが、それ以後は自衛隊が防空を行っているのです。そ
れでは嘉手納の米空軍は何をしているのかというと、沖縄返還以
後は、交代で韓国の烏山(おさん)基地に派遣され、韓国の防空
に当たっているのです。
 ところが、在韓米空軍が1986年に第7空軍として独立した
ので、以後は韓国に行く機会は減り、1991年以降はもっぱら
イラク上空の哨戒飛行のため、トルコやサウジアラビアの基地に
展開していたのです。日本にはまるで関係がないのです。
 ところがイラク軍は2003年のイラク戦争で壊滅し、その仕
事もなくなってしまったのです。そのとき、米議会では沖縄から
引き上げて米本土に戻せばいいではないかという意見も出たので
すが、日本にいると経費は日本持ちなので、その方がコストがか
からないとしていまだにいるわけです。
 つまり、こういうことです。沖縄・嘉手納の米空軍は、日本を
守っていないのに日本から駐留費をせしめているのです。数日前
の名護市長選の夜、ある沖縄テレビ局の女性アナウンサーは、沖
縄に住んでいる住民は米軍によって守られているとは一度も感じ
たことはないと激白していました。事実、米空軍は日本を基地に
しているだけで、日本から駐留費を取り、それでいて日本を守っ
ていないのです。
 それでは青森三沢基地はどうなのでしょうか。
 三沢のF16はオホーツク海に潜むソ連の弾道ミサイル原子力
潜水艦への備えなのです。この原潜を処理することによって、米
本土への核攻撃能力を削ぐ作戦なのです。さらに、オホーツク海
突入の妨げになるエトロフ島やサハリンのソ連航空基地を叩く目
的も持っていたのです。
 しかし、冷戦が終了したので、現在は、三沢の米空軍のF16
は、敵のレーダー電波をとらえて、その発信源を攻撃するミサイ
ル「ハーム」を搭載し、敵の防空網を制圧する専門部隊として中
東に派遣されることが多いのです。
 これで在日米空軍が日本の空を守っていないことは理解できた
と思います。それでは、在日米陸軍はどうなのでしょうか。
 現在は2500人程度ですが、大部分は補給、情報部員であり
戦闘部隊は沖縄に300人程度の特殊部隊がいるだけです。しか
し、この特殊部隊も日本を守るのが目的ではなく、有事のさいに
は、アジア各地に潜入して、情報収集、破壊工作を行う部隊であ
り、現在はフィリピンでイスラム・ゲリラ討伐の指導しているの
です。2012年には在韓米陸軍司令部を廃止し、戦時の指揮権
を韓国軍に委ねることになっています。そのため、厚木に小型の
軍団司令部を置いたのです。   ―――[小沢一郎論/20]


≪画像および関連情報≫
 ●米第7艦隊とは何か
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  舷力空母「ジョージ・ワシントン」を主力艦と擁し、50〜
  60隻の艦船、350機の航空機を擁する。戦時には6万の
  水兵と海兵を動員する能力を持つ。平時の戦力は約2万。米
  国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、米国海軍の
  艦隊の中では最大の規模と戦力を誇る。また、日本の海上自
  衛隊と密接な関係を持っている。
                    ──ウィキペディア
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米第七艦隊/空母ジョージ・ワシントン.jpg
米第七艦隊/空母ジョージ・ワシントン
posted by 平野 浩 at 04:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする