2010年02月01日

●「在日米空軍は日本の防空に関与しない」(EJ第2744号)

 2009年2月24日のことです。このとき小沢は民主党の代
表だったのですが、記者団に対して次のようにいったことを覚え
ておられると思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米海軍の第7艦隊だけで、米国の極東でのプレゼンス(存在)
 は十分である。           ──小沢前民主党代表
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに対して自民党は、民主党がいかに安全保障について無知
であるかを知らしめるよい機会とばかり、安全保障にかかわる多
く議員から、一斉に批判の声を上げたのです。麻生前首相などは
次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 同盟国である米国が海軍だけ、あとは空軍も海兵隊も陸軍もい
 らないとは防衛に少なからぬ知識のある人はそういう発言をな
 さらないのではないか。          ──麻生前首相
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、この小沢批判はしばらく続いたが、そのうち誰もいわ
なくなってしまったのです。この事情を明かすのは、軍事ジャー
ナリストの田岡俊次氏です。田岡氏は、「小沢氏の軍事知識は相
当のもの」と評価し、次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 自民党の幹部たちは「非現実的」「日米関係危うくする」など
 と批判した。だが、自衛隊の将官や軍事評論家の間では「小沢
 さんの言う通りじゃないか」との声が多く聞かれた。麻生前首
 相らの小沢発言への批判は在日米軍の実態や軍事再編をよく知
 らず、漠然とした「日本は米軍に守られている」との感覚から
 出たものと思われる。           ──田岡俊次氏
           SAPIO/早春合併特大号/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 何のことはない。非常識だなどといって小沢を批判した自民党
の方がよほど非常識であったのです。そのことが少しずつわかっ
てきたので、誰もいわなくなったのです。
 はっきりしていることがあります。日本の空に関しては、19
59年以来約50年にわたって、航空自衛隊が守ってきていると
いう事実です。米軍が守ってくれているのではないのです。どう
いう陣容かというと、F15が203機、F4EJが90機、F
2が76機、対空ミサイル「パトリオット」4連装発射機135
輌──防空のためには十分な陣容です。
 それでは、米空軍はどうかというと、沖縄の嘉手納にF15戦
闘機48機、青森三沢にF16戦闘機40機を配備しているので
すが、実態はもっと少ないのです。というのは、これらは中東な
どに交代で派遣されており、待機している実数はそれ以下という
ことになります。
 さらに1959年にレーダーサイトや防空指令所が航空自衛隊
に移管され、日米の航空部隊は指揮系統を別個にする協定が結ば
れているのです。これはどういうことかというと、防空の指揮は
日本側が行い、米空軍はその指揮下には入らないという意味なの
です。したがって、米空軍はかなり以前から、日本の防空にかか
わっていないのです。
 それでは沖縄はどうなのでしょうか。沖縄は1972年に返還
されましたが、それ以後は自衛隊が防空を行っているのです。そ
れでは嘉手納の米空軍は何をしているのかというと、沖縄返還以
後は、交代で韓国の烏山(おさん)基地に派遣され、韓国の防空
に当たっているのです。
 ところが、在韓米空軍が1986年に第7空軍として独立した
ので、以後は韓国に行く機会は減り、1991年以降はもっぱら
イラク上空の哨戒飛行のため、トルコやサウジアラビアの基地に
展開していたのです。日本にはまるで関係がないのです。
 ところがイラク軍は2003年のイラク戦争で壊滅し、その仕
事もなくなってしまったのです。そのとき、米議会では沖縄から
引き上げて米本土に戻せばいいではないかという意見も出たので
すが、日本にいると経費は日本持ちなので、その方がコストがか
からないとしていまだにいるわけです。
 つまり、こういうことです。沖縄・嘉手納の米空軍は、日本を
守っていないのに日本から駐留費をせしめているのです。数日前
の名護市長選の夜、ある沖縄テレビ局の女性アナウンサーは、沖
縄に住んでいる住民は米軍によって守られているとは一度も感じ
たことはないと激白していました。事実、米空軍は日本を基地に
しているだけで、日本から駐留費を取り、それでいて日本を守っ
ていないのです。
 それでは青森三沢基地はどうなのでしょうか。
 三沢のF16はオホーツク海に潜むソ連の弾道ミサイル原子力
潜水艦への備えなのです。この原潜を処理することによって、米
本土への核攻撃能力を削ぐ作戦なのです。さらに、オホーツク海
突入の妨げになるエトロフ島やサハリンのソ連航空基地を叩く目
的も持っていたのです。
 しかし、冷戦が終了したので、現在は、三沢の米空軍のF16
は、敵のレーダー電波をとらえて、その発信源を攻撃するミサイ
ル「ハーム」を搭載し、敵の防空網を制圧する専門部隊として中
東に派遣されることが多いのです。
 これで在日米空軍が日本の空を守っていないことは理解できた
と思います。それでは、在日米陸軍はどうなのでしょうか。
 現在は2500人程度ですが、大部分は補給、情報部員であり
戦闘部隊は沖縄に300人程度の特殊部隊がいるだけです。しか
し、この特殊部隊も日本を守るのが目的ではなく、有事のさいに
は、アジア各地に潜入して、情報収集、破壊工作を行う部隊であ
り、現在はフィリピンでイスラム・ゲリラ討伐の指導しているの
です。2012年には在韓米陸軍司令部を廃止し、戦時の指揮権
を韓国軍に委ねることになっています。そのため、厚木に小型の
軍団司令部を置いたのです。   ―――[小沢一郎論/20]


≪画像および関連情報≫
 ●米第7艦隊とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  舷力空母「ジョージ・ワシントン」を主力艦と擁し、50〜
  60隻の艦船、350機の航空機を擁する。戦時には6万の
  水兵と海兵を動員する能力を持つ。平時の戦力は約2万。米
  国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、米国海軍の
  艦隊の中では最大の規模と戦力を誇る。また、日本の海上自
  衛隊と密接な関係を持っている。
                    ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

米第七艦隊/空母ジョージ・ワシントン.jpg
米第七艦隊/空母ジョージ・ワシントン
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2010年02月02日

●「第7艦隊で十分/小沢発言の意味」(EJ第2745号)

 小沢のいう「米海軍の第7艦隊だけで十分」という発言の検証
の続きです。まず、第7艦隊について正確な知識を持つ必要があ
ると思います。
 米軍の実戦部隊は、そのほとんどが「統合軍」に組み込まれて
います。統合軍を定義すると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 統合軍、正式にいうと、統合戦闘軍は、陸海空軍および海兵隊
 の四軍から作戦部隊を含めて、単一の指揮官の下に置いた組織
 である。/Unified Combatant Command
         ――『アメリカ軍のすべて』/学習研究社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 統合軍は全部で9つありますが、その中に「太平洋軍」という
のがあるのです。太平洋軍はその名の通り太平洋を主な分担地域
とするのですが、実際にはインド洋の大部分、また北極海から南
氷洋までを分担に含んでいます。そのため太平洋軍の分担地域は
他の地域別統合軍すべてを合わせたものよりも大きく、合計1億
6900万平方キロに及ぶのです。この地域には、43の国家が
あって、世界の人口の約60%が居住しているのです。
 太平洋軍は、海軍が中核となる統合軍であり、海軍大将が太平
洋軍司令官に就任しています。司令部はオアフ島のパール・ハー
バーを見下ろすハラウ・ハイツのキャンプ・H・M・スミスに置
かれているのです。
 太平洋軍の中核となる太平洋艦隊には次の2つがあり、第7艦
隊は日本を前進配備の拠点としているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.第7艦隊 ・・・・・ 西太平洋とインド洋を担当
  2.第3艦隊 ・・・・・ 東大平洋を担当
―――――――――――――――――――――――――――――
 第7艦隊には任務別に9つの部隊があり、それぞれの部隊は米
海軍のすべての艦艇、潜水艦、作戦機を管理する組織である「タ
イプ別部隊」を指揮下に置いています。この中に「第79任務部
隊」というのがあるのですが、これには海兵隊の第3海兵遠征軍
が配備されるのです。
 この第3海兵遠征軍こそ沖縄に駐留している海兵隊なのです。
つまり、第7艦隊というときは、沖縄の海兵隊を含んでいるので
す。小沢発言を批判した自民党の議員たちは、第7艦隊は海軍だ
けであって、海兵隊を含んだ艦隊であることを知らなかったとし
か思えないのです。小沢はこのあたりのことを十分知った上で、
「第7艦隊だけで十分」といったのです。
 しかし、ここで重要なことは、海兵隊は沖縄の防衛兵力ではな
いということです。したがって、必ずしも沖縄に駐留していなく
ても、必要な時に編成できればよいのです。軍事ジャーナリスト
の田岡俊次氏は次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米海兵隊は3、4隻の揚陸艦に乗る「海兵遠征隊」を基本単位
 とし、戦乱や暴動、災害などの際の在外米国人の救出や上陸作
 戦の先鋒となるのが任務で、沖縄の防衛兵力でないことは言う
 までもない。               ──田岡俊次氏
           SAPIO/早春合併特大号/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 鳩山首相が沖縄問題に関連して「有事駐留」を語ったとき、自
民党や親米メディアは一斉に批判の大合唱をしましたが、米陸、
空軍自体が有事駐留に向かっていることを知らないようです。議
員は米軍再編というものをもっと勉強すべきです。
 米軍再編の基本的な考え方は次の4ポイントであり、小沢の考
え方に合致しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.固定的配置よりも柔軟な運用を目指すこと
    2.師団から旅団に編成を変更、軽量部隊展開
    3.海外の補給拠点や倉庫は整理し事前集積船
    4.在外兵力は縮小し地元を摩擦を起こさない
―――――――――――――――――――――――――――――
 現代は危険な地域や海域に大部隊を配置するのは非効率であり
危機に対して柔軟な対応をとる時代なのです。そのため、部隊を
軽量化して、素早く配置できるようにする必要があります。
 これに伴い、陸軍は「師団」(2万人)から、「旅団」(4千
人)に編成を変えたり、装甲車両も中型輸送機C−130で運べ
るものなどに行われます。
 加えて、海外の補給拠点や倉庫はできる限り整理して、装備、
弾薬、燃料は「事前集積船」に積んで待機させるなどの措置を取
るのです。そして在外兵力は極力地元との摩擦を減らすよう縮小
し、できる限り本国に戻すようにする――これが米軍再編の基本
的な考え方なのです。
 しかし、重要拠点には必要な兵力を配置・確保しなければなり
ません。これについて、既出の田岡氏は、小沢の主張に関連
して次のように述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米海軍の世界的制海権確保のためには、太平洋の対岸にある横
 須賀、佐世保の両港と岩国の海軍航空隊基地は不可欠で、ハワ
 イ、グアムには艦船の修理、補給の産業基盤がなく、西太平洋
 インド洋での艦隊の行動が制限される。これらの事情を考えれ
 ば、小沢氏の「米国の極東でのプレゼンスは第7艦隊だけで十
 分」との説を非難した人々は、自らの無知を暴露したと言うし
 かない。                 ──田岡俊次氏
           SAPIO/早春合併特大号/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国はイラク戦争、アフガン戦争の失敗で疲弊しており、加え
て年間1兆ドル以上の財政赤字が今後も続く状況です。効率化を
図らなければやっていけないのです。
                ―――[小沢一郎論/21]


≪画像および関連情報≫
 ●無敵の米海軍力
  ―――――――――――――――――――――――――――
  米海軍の戦力は、仮に今後10年間1隻も建造できなかった
  としても――それはありえないが、その間に退役する艦齢に
  達する艦を除いて、原子力空母10隻、戦略ミサイル原潜が
  9隻、攻撃原潜(対艦船用)36隻、巡洋艦16隻、駆逐艦
  27隻が10年後の姿であり、装備、訓練など質の高さとあ
  いまって、全世界の他の海軍が束になってもかなわない実力
  を持ち続ける。             ──田岡俊次氏
           SAPIO/早春合併特大号/小学館刊
  ―――――――――――――――――――――――――――

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軍事ジャーナリスト/田岡俊次氏
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2010年02月03日

●「小沢一郎/『私は戦う』の意味」(EJ第2746号)

 小沢一郎論を書くにあたって、小沢とメディアとのかかわりに
ついて触れないわけにはいかないと思います。とにかく小沢はこ
れまでに官僚機構とメディアに徹底的に攻撃のターゲットにされ
てきているからです。
 その異常さは、昨年来の検察の捜査とそれに伴うマスコミの報
道を見ればわかるはずです。日本国憲法では、有罪判決が出るま
では犯罪人ではないという法律の基本があるのに、検察のリーク
とそれを怒涛のように流すマスコミ報道によって、もはや小沢は
「巨悪」扱いです。図に乗って産経新聞などは小沢を「容疑者」
と書く大失態まで冒しています。
 この日本のマス・メディアについて、既出の渡辺乾介氏は次の
ように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 『日本/権力構造の謎』(早川書房刊)の著書で知られるオラ
 ンダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンが「日
 本というシステム」と呼んだ官僚主導の内向きな仕組みの中に
 はメディアも位置付けられている。新聞を中心とする大手ジャ
 ーナリズムを官製報道として厳しく批判した。それは欧米の日
 本メディアに対する見方、信用力の低さと軌を一にした批判で
 もある。
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 どうして小沢がマスコミのターゲットになるのかというと、小
沢とメディアのかかわりについての歴史を少し振り返ってみる必
要があります。小沢は中曽根政権下で自民党総務局長、衆院議院
運営委員長、自治大臣を務めて頭角をあらわし、続く竹下内閣の
官房副長官を経て自民党幹事長に昇進しています。そのとき、ベ
ルリンの壁の崩壊があって、時代の大きな転換期に小沢は立つこ
とになります。
 おりからの湾岸危機で、国際貢献策として自衛隊の海外派遣を
実現しようとする小沢の前に立ちはだかったのは、官僚機構の厚
い岩盤であり、当時の小沢は、結局それを跳ね返すことができな
かったということは既に書いた通りです。
 もうひとつ小沢の目指したものは政治改革なのです。政治とカ
ネのスキャンダルが起きるたびに政治的倫理確立を謳って政治資
金規正法改正を繰り返すこれまでの対応ではなく、政権交代を可
能にする選挙制度改革を作り、根っこから改革する必要があると
考えたのです。
 やがて小沢は、55年体制下の官僚主導、政官一体の政治と行
政の仕組みがそのまま残る自民党ではその改革はできないことが
わかり、小沢は1993年に自民党を割って離党したのです。
 そして、小沢は目指した小選挙区比例代表制を実現させ、その
目的である自民党から民主党への政権交代を成し遂げています。
その最終仕上げともいうべき「官主導」から「政治主導」への改
革に入りつつあった矢先に起きたのが、一年前に続いて二度目に
なる検察による小沢事務所の秘書の逮捕です。
 ちょうど一年前の2009年3月3日、東京地検特捜部は小沢
の公設第一秘書を政治資金規正法の虚偽記載で逮捕しているので
すが、そのとき、小沢の発した短い言葉について、渡辺乾介氏は
興味深い分析をしています。この分析は、小沢という政治家を知
るうえで意義のあるものと考えるのでご紹介します。
 大久保秘書が逮捕された夜、小沢は弁護士と連絡を取り、対応
を協議しているのですが、弁護士が来るまでの間、一時間半ぐら
い空白の時間があったのです。その時間を使って小沢は今後の自
分の進退について一人で考えたものと思われます。
 弁護士との相談を終えて部屋から出てきた小沢は、ふっきれた
ような明るい表情で、次のように述べたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・私には絶対に承服できない話だ。法律が法律として通らない
  国にしてはならない。法が悪いなら法を変えないと「国民」
  は不幸な目に遭う。私は戦う。
 ・政治や経済が不安定で混乱した状況になると、自己主張する
  ことが排斥される日本社会は非常に極端な流れに付和雷同し
  がちになるから、私の問題で「国民」に不安を与えてはなら
  ない。                 ──渡辺乾介著
         『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 渡辺乾介氏は、この2つの短い言葉の中に小沢はこの時点で辞
任を決意していることを感じたと述べています。そして時期は後
になったものの、小沢は民主党代表を辞任しているのです。
 前段で小沢は「私は戦う」といっていますが、渡辺氏はこれを
「私は一人でも戦う」という意味にとらえています。というのは
小沢がこの言葉を使うときは、党首、代表、幹事長などのように
重要な地位についているときに限られるからです。
 これは自分の政治理念というものをそういう重要な地位と切り
離して戦う──つまり、「辞任する」という意味であると渡辺氏
は分析しているのです。
 それなら、今年の1月15日に3人の秘書が逮捕されたときは
どうであったかというと、次の日に開催された民主党の党大会に
おいて小沢は「断固として、自らの信念を通し戦っていく」と表
明し、同じ言葉を使っています。捜査の推移を見守るしかありま
せんが、やはり幹事長辞任は視野に入っているものと思います。
 問題はそれで済むかどうかです。今回は小沢自身が事情聴取さ
れており、このままで終わるとは思えないからです。そうでなけ
れば、党大会の前夜にいきなり秘書を3人逮捕し、政権与党の幹
事長に任意とはいえ事情聴取までしないからです。
 さて、小沢は前段と後段で「国民」という言葉をそれぞれ1回
ずつ使っていますが、渡辺氏は小沢の気持ちの中では、別々のこ
とをいう意味で使っていると述べています。これについての分析
は明日のEJで行います。    ―――[小沢一郎論/22]


≪画像および関連情報≫
 ●民主党党大会/2010.1.16/小沢幹事長
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「何ら不正なお金ではない」「何としても納得できない」。
  演説では全身を前のめりに動かしながら一言一言に力を込め
  た。党大会前日の元秘書らの逮捕劇に「これがまかり通るな
  ら日本の民主主義は暗たんたるものになる」と憤然とした表
  情。「信念を通し戦っていく決意です」と自らに言い聞かせ
  るように大きくうなずくと、議員席から「そうだ!」という
  掛け声と大きな拍手が起こった。演説を終えると小沢氏はそ
  のまま退場。外で待ち構えていた記者団に「現職の国会議員
  が逮捕され、非常に残念。国民におわび申し上げたい」と陳
  謝し、「国民に味方していただける」と話して約十分で切り
  上げた。      ――2010.1.17「東京新聞」
  ―――――――――――――――――――――――――――

民主党党大会での小沢幹事長.jpg
民主党党大会での小沢幹事長
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2010年02月04日

●「小沢の使い分ける2種類の『国民』」(EJ第2747号)

 昨年の大久保秘書逮捕の後で小沢の発した言葉の分析を続ける
ことにします。言葉を2つに分けて再現します。まず、前段の言
葉の再現です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・私には絶対に承服できない話だ。法律が法律として通らない
  国にしてはならない。法が悪いなら法を変えないと「国民」
  は不幸な目に遭う。私は戦う。      ──渡辺乾介著
         『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 渡辺氏によると、上記の「国民」は「主権者」を指していると
いうのです。なぜ、主権者なのか――その理由を渡辺氏は小沢が
つねにいう次の「主権の定義」を示して説明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 主権とは国と社会のすべてを決める最高で最終の、他に侵され
 ない権力のことであり、その権力を持っているのは国民にほか
 ならない。                ――前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この時点で小沢は、自分の公設第一秘書を逮捕されているので
す。小沢としてはこの逮捕はとうてい承服できないと思っており
検察の裁量権の乱用であると考えています。
 日本の統治システムは現在、官僚主導、官僚支配のもとにあり
その官僚機構の一翼を担う検察は、法運用の裁量権を握っていま
す。もし、その裁量権の解釈しだいで犯罪の存否が決まるとした
ら、それは国民の主権侵害に及ぶ恐れがあります。したがって、
ここでいう「国民」は、主権者であると考えているわけです。
 そして、大久保秘書逮捕の容疑が「政治とカネ」の問題である
ことから、そういうことが今後絶対に起こらないようにするため
小沢は直ちに企業・団体献金の全面禁止を検討するよう指示して
います。民主党はこの小沢の指示を受け、パーティー券購入を含
め、「3年以内」の禁止を盛り込んだ改正案をまとめ、2009
年6月に衆院に民主党議員らが議員立法で提出しましたが、衆院
解散で廃案になっています。
 そこに今回の秘書逮捕です。民主党の対策チームでは、小沢が
2009年10月に有識者で構成する「新しい日本をつくる国民
会議」(21世紀臨調)に求めた政治資金規正などに関する提言
をこの2月に受け取ることになっているので、そのうえで詳細を
まとめる方針です。したがって、今回は成立するはずです。
 続いて後段の言葉を再現します。次の「国民」は何を意味して
いるのでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・政治や経済が不安定で混乱した状況になると、自己主張する
  ことが排斥される日本社会は非常に極端な流れに付和雷同し
  がちになるから、私の問題で「国民」に不安を与えてはなら
  ない。                 ――前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記の2つ目の「国民」について渡辺氏は、前段のそれが法理
論を中核とした観念であるのに対し、後段のそれは、生きとし生
ける「生活者」としての国民であると指摘しています。
 小沢という政治家は、自分がある政治的決断をし、行動を起こ
そうとするとき、それが国民生活にどのような影響を与えるかを
慎重に調査し、周到な検討をしたうえで行動を起こすのです。
 金丸5億円献金問題のときの小沢の行動にもそれはあらわれて
います。金丸は献金報道を受けて5億円の授受を認めることにし
て、小沢にその発表のタイミングや段取りのいっさいをまかせた
のです。それから、小沢はしばらく姿を隠し、何かをやっていた
のです。小沢の周辺では、小沢は検察対策を練っているのではな
いかとみられていたのです。
 しかし、小沢のやっていたことは周囲の予想とは大きく違って
いたのです。小沢はそのとき、この献金問題の発覚が景気と国民
生活にどう影響するかの分析を行っていたのです。これについて
渡辺乾介氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「大きな影響力のある政治家は自分の政治行動によって国民を
 犠牲にしたり、迷惑をかけたりしてはならない」と、その時の
 小沢は真剣に語っていた。金丸から5億円授受を打ち明けられ
 た小沢は、翌日から秘書、スタッフを投入して1か月以上前か
 らの株価の変動を示すチャートを作り、経済指標と各種データ
 を収集、さらに自ら信頼できる経済人らの景気診断を聞き、そ
 れらの分析に没頭した。          ――前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ちょうどそのとき、宮沢内閣は10兆円規模の大型経済対策の
最終調整段階にあったのです。そして慎重な判断の結果、小沢は
総合大型経済対策が決定される前日の1992年8月27日に金
丸に副総裁辞任を発表するようアドバイスをしたのです。
 一般的な小沢のイメージは権謀術数の金権政治家というもので
すが、意外にも彼はつねに経済の動向を気にかけていたのです。
なぜ経済かというと、経済は国民生活そのものであるからです。
自分の政治行動に国民を巻き込まないというのが小沢の信条であ
るのです。小沢のいう「私の問題で『国民』に不安を与えてはな
らない」とはそういうことをいっているのです。
 2000年4月の自自連立解消にさいしても小沢はそういう配
慮をしています。そのとき、自民党の小渕恵三と自由党の小沢一
郎は、両党を解党して新党をつくることで極秘の会談をしたので
すが、まとまらず、自自連立を解消しています。
 そのとき、小沢は3月はじめには連立離脱を決めていたのです
が、連立離脱の発表と実行は4月1日になったのです。それは、
3月30日に本予算が決まるのを待っていたからです。国民生活
への影響を考慮したからです。小沢という政治家は、一方的な報
道による巨悪イメージが定着しており、寡黙でもあるので、その
真実の姿は知られていないのです。  ―[小沢一郎論/23]


≪画像および関連情報≫
 ●金丸脱税事件について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京地検特捜部は、平成5年3月6日、元自民党副総裁金丸
  信と金丸の秘書生原正久を脱税の疑いで逮捕しました。前年
  の東京佐川急便による金丸に対する5億円違法献金で略式起
  訴、罰金20万円という決着で、失墜した検察の権威を回復
  する快挙でした。きっかけは5億円献金事件で浮かび上がっ
  てきた不明朗な金の流れでした。金丸の預金口座を調べるう
  ちに、意味不明な資金があることが判明し、東京国税局査察
  部との連携によって、とうてい政治資金とは認められない膨
  大な金の存在が明らかになったのです。
        http://www.seijikonran.com/1993/199305.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

2度逮捕された大久保秘書.jpg
2度逮捕された大久保秘書
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2010年02月05日

●「小沢幹事長不起訴の背景」(EJ第2748号)

 2月4日、東京地検特捜部は、小沢幹事長の資金管理団体「陸
山会」の土地購入を巡る事件で、同会の事務担当者だった石川知
裕衆議院議員、小沢幹事長の公設第一秘書の大久保隆規、同会事
務担当者池田光智の3人を「政治資金規正法違反(虚偽記載)」
で起訴したものの、小沢幹事長については不起訴としたのです。
 これをもって野党は自分の資金管理団体の秘書が3人も逮捕・
起訴されたのだから、小沢は責任重大であり、その道義的責任を
問う構えです。
 しかし、この事件には基本的な疑問があります。なぜなら、こ
の事件が当時陸山会の直接担当者だった石川知裕衆院議員を国会
前に逮捕し起訴するほどの重罪だったのかということです。
 新聞各紙にはいろいろ書かれていますが、ていねいに読むと新
聞によって少しずつ違っている部分があります。要するに何がな
んだかよくわからないで書いているような感じすらします。
 石川議員の逮捕容疑は「政治資金規正法違反(虚偽記載)」に
なっていますが、元検事で弁護士の郷原信郎氏によると、石川議
員の逮捕・拘置事実は次の通りなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会の2004年分の政治資金収支報告書の「収入金額」を
 4億円過少に、「支出総額」を3億5200万円過少に記入し
 た虚偽記入の事実
―――――――――――――――――――――――――――――
 要するに収支が合っていないというだけのことです。郷原氏に
よると、政治資金規正法で政治家を逮捕するには、記載されるべ
きであったのに記載されていなかった収入・支出を特定するべき
であるのに、単に収支が合わないという理由だけで逮捕するのは
あまりにも乱暴であるというのです。
 事実はどうだったのかを整理してみることにします。実は4億
円は2つあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.陸山会が小沢から現金で借りた4億円 → 不記載
  2.銀行から小沢名義で融資された4億円 → 記 載
―――――――――――――――――――――――――――――
 石川は世田谷の土地を購入するよう小沢から指示を受けたので
すが、陸山会のあちこちの金を集めないと4億円はできないので
何とかして欲しいと小沢に頼んだのです。そうすると、小沢は現
金で4億円用意して石川に渡したのです。小沢はこの資金は自分
が貯めた自己資金であるといっています。
 石川はそのお金を陸山会の口座に入れ、そのお金で世田谷の土
地を購入しています。2004年10月29日のことです。石川
はその日に小沢名義で4億円の定期預金を担保して銀行から4億
円の融資を受けているのです。このときの4億円は、2004年
陸山会の収支報告書に記載されています。
 しかし、石川は小沢から現金で借りた4億円は収支報告書に記
載していないのです。逮捕後になぜ記載しなかったのかと理由を
聞かれた石川は「小沢氏が多額のお金を持っていることを伏せた
かった」と供述しているのです。したがって、石川はこのことに
ついては認めているのです。
 ごく常識的に考えれば、陸山会が世田谷の土地を購入するさい
手持ち資金が足りないので、小沢から現金で4億円借り、購入後
小沢名義の定期預金を担保にして銀行から4億円を借りて、小沢
に返したということではないのでしょうか。
 これなら、理屈に合う話です。ところが、検察は銀行から借り
入れの4億円は、小沢の現金の4億円の原資を隠すための偽装で
はないかと疑ったのです。そう考える根拠は、現金の4億円の中
には、水谷建設からの5000万円の裏献金が入っており、それ
を資金洗浄したと考えたのです。
 しかし、小沢は水谷建設からの裏金などないと断言し、これに
ついては、逮捕された石川、大久保、池田の3人もないと証言し
ているのです。そこで、小沢は検察の誤解を解くため、取り調べ
に応じ、4億円の原資は、これこれこういう経緯でストックした
自分の資金であることを証言しています。銀行口座も明らかにし
4億円の原資を検察に説明しているのです。
 今回小沢が不起訴になったのは、小沢の示した4億円の原資に
ついて、それがウソだといえるだけの証拠が検察側になかったか
らといえます。
 大メディアは意図的に報道しませんが、水谷建設元会長は、佐
藤栄佐久前福島県知事の汚職事件で、裏献金に関してウソの供述
をし、控訴審判決では「賄賂はゼロ」という裁判所の判断が示さ
れているのです。つまり、特捜部は政権与党の幹事長のいう証言
よりも、執行猶予欲しさに裏献金についてウソをついたことが明
白になっている水谷建設元会長の証言を信用しているということ
になるのです。どうしても小沢を上げてやるという異常な執念を
感じます。ちなみに、前福島県知事の汚職事件のときも今回の小
沢捜査も指揮をとる特捜部長は同じ佐久間特捜部長なのです。
 もうひとつ検察が虚偽記載といっているのは、不動産の取得が
2004年10月なのに、収支報告書は2005年1月になって
いるということがあります。小沢側はこれについて不動産屋の希
望と説明していますが、不動産取引にはよくあることです。
 それだけのことで、あの中川昭一元財務・金融相を破って小選
挙区で当選した石川議員の多数の有権者の支持を無視し、政治資
金規正法の虚偽記載という形式犯で前途有望な代議士を逮捕・起
訴して、公民権停止で失職させてよいものなのでしょうか。
 まして小沢は不起訴なのです。大メディアは世論調査をして小
沢辞職キャンペーンをしたり、小沢を「容疑者」と書いた大新聞
系列の夕刊紙などは「小沢人民裁判へ」というタイトルの記事を
書くなど常軌を逸しています。
 もっと冷静になって、これから民主党がどういう仕事をするか
見守ることの方が、根拠のない小沢叩きよりもはるかに意義のあ
ることと思います。         ―[小沢一郎論/23]


≪画像および関連情報≫
 ●文藝評論家/山崎行太郎の政治ブログ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢一郎幹事長が、2月1日、起訴の場合は「責任を取る」
  つまり「幹事長辞任もある」と記者会見で発言したことから
  前原某や枝野某、野田某等を中心にした「反小沢一派」の面
  々が、「小沢打倒」を目指して、俄に浮き足立った動きを開
  始した民主党内だったが、結果は、今夜(2月2日)になって
  検察側からのリーク情報だと思われるが、突然、「小沢不起
  訴」の情報が駆け巡り、一連の小沢事件の攻防は、「検察完
  敗」に終わりそうな雲行きになってきたわけで、またまた、
  「反小沢一派」のクーデターは空振りに終わりそうだ。しか
  しそれにしても、相変わらず空気の読めない、政治的センス
  の欠如した連中である。そもそも引退寸前のボケ老人──渡
  部某に「七奉行」などとそそのかされて、その気になること
  自体が政治家失格であり、お気の毒としか言いようがない。
  http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20100203/1265125274
  ―――――――――――――――――――――――――――

自宅を出る小沢幹事長.jpg
自宅を出る小沢幹事長
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2010年02月08日

●「記者クラブ廃止の公約と民主党」(EJ第2749号)

 現代のテレビには、政治をテーマとしたバラエテイ番組が多く
あって、その視聴率はかなり高いといいます。テレビ朝日の「タ
ケシのTVタックル」や日本テレビの「太田総理」などがそうで
すが、小沢はこの手の政治バラエテイ番組にはいっさい出演しな
いことに決めているようです。
 もし、小沢がこの手の番組にときどきでも出演していれば、そ
の人となりが知られ、好感度もアップしたと思われますが、小沢
はそうしないのです。その理由について、小沢は次のように語っ
ているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治には国民の命が懸かっている。不真面目、いい加減な気持
 ちで茶化すものではない。バラエティには人々を楽しませる重
 要な意義があるが、それと政治は違う。政治を真正面から議論
 するならどこにでも出る。そうでなければ政界を引退してから
 考える。                 ──渡辺乾介著
         『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここから小沢とメディアの関係について書いていきますが、そ
の前に「メディア」の定義を明らかにしておく必要があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
          1.組 織メディア
          2.フリーメディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 「組織メディア」とは、新聞社とテレビ局を指しているのです
が、その実体は「記者クラブ」なのです。これについては、後で
詳しく述べます。
 「フリーメディア」とは、出版社系雑誌、外国報道機関、個人
のフリーランスメディアを指しています。メルマガやブログやツ
イッターなどのメディアも一応この中に入りますが、「ネットメ
ディア」という分類も考えられます。
 ところで、「記者クラブ」とは何でしょうか。一般的な定義を
上げておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者クラブとは、首相官邸、各省庁、地方自治体、地方公共団
 体、警察、業界団体などの組織に設置された記者室を取材拠点
 にしている、特定の報道機関の記者が構成する組織のこと。記
 者室を設置している各団体から独占的に情報提供を受けること
 で知られる。記者室の空間及び運営費用は原則として各団体が
 負担・提供し、記者クラブが排他的に運営を行う。同種の組織
 は日本国外では一般的でないため、たとえば、英語ではkisha
  clubないしはkisha kurabu と表記する。日本における報道
 の寡占・閉鎖性の象徴として内外から批判されている。
                    ――ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 テレビでたびたび見かける鳩山総理大臣の記者会見は、内閣記
者会がすべてを取り仕切っています。かねがね民主党は野党のと
きから、記者クラブは廃止するといっていたのですが、政権交代
が実現したとたん、平野官房長官はこの公約に消極的姿勢を示し
2009年9月16日に行われた鳩山首相の就任記者会見は、今
までの記者クラブのメンバーに外国特派員記者など一部の記者が
新たに会見に参加できたものの、ネットメディアは完全に締め出
されたのです。
 これは、明らかに公約破りなのですが、こういうことは記者ク
ラブを擁する組織メディアは絶対に書かないのです。つまり、組
織メディアは自分たちにとって都合の悪い情報はいっさい流さな
いということです。
 ところで、記者クラブには、内閣記者会のほかに次の2つのク
ラブがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.平河クラブ
           2.野党クラブ
―――――――――――――――――――――――――――――
 自民党政権時代は、平河クラブは与党(自民)担当の記者クラ
ブです。平河町にある自民党本部の平河クラブは「党本部平河」
といい、衆議院内にある平河クラブは「院内平河」として区別し
ているのです。所属する記者は、国会開会中は院内平河に、国会
閉会中は党本部平河に詰める場合が多いのです。
 これとは別に野党を担当する野党クラブがあります。政党の党
首、幹事長の会見は、今までは自民党と公明党は平河クラブ、野
党は野党クラブがやっていたのですが、政権交代でこれが逆転し
たことになります。つまり、平河クラブが野党クラブになり、野
党クラブが与党を担当することになるのです。
 記者クラブを廃止する――といってもこれは簡単なことではな
いのです。記者クラブは、新聞・テレビの政治部記者にとって、
取材と情報収集の最前線基地であるだけでなく、政治報道の生命
線的存在なのです。
 したがって、もし、記者クラブがなくなってしまうと、組織メ
ディアは政治報道が立ち行かなくなることは目に見えているので
絶対に反対なのです。
 しかし、メディアが一番警戒し、恐れているのは小沢幹事長な
のです。なぜなら、小沢は最初から、この記者クラブ制に反対で
あるからです。
 小沢は自民党幹事長に就任した当初は記者クラブの慣習にした
がって行動したのですが、しばらくすると、オフレコ懇談の記者
懇談会をやらなくなったのです。小沢の言い分はこうなのです。
「私は記者会見でもその他の場で言うことは同じだ。公式・非公
式も、建前と本音の別もない。だから、記者懇をしても意味がな
い」と。今回、検察と記者クラブ所属の組織メディアが共闘して
いるように見えるのは、案外こういうところにも原因がありそう
です。               ―[小沢一郎論/25]


≪画像および関連情報≫
 ●記者会見をオープン化した岡田外相
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢、鳩山の歴代代表の公約を反古にして官邸記者会見から
  インターネットメディアなどを締め出した民主党にも良心が
  残っていた。民主党幹事長時に党本部の記者会見をオープン
  にしてきた岡田克也外相は、9月29日から外務省の大臣記
  者会見を記者クラブ加盟社以外のジャーナリストにも開放し
  た。外務大臣記者会見開放をめぐる経緯はこうだ――。岡田
  氏は外相に就任すると間もなく記者会見を記者クラブ加盟社
  以外にも開放すると発表した。この方針に待ったをかけたの
  が記者クラブだ。理由を示してほしいと岡田大臣側が記者ク
  ラブに申し入れていたが、今日に至るも記者クラブ側から明
  確な見解は示されなかった。
   http://www.news.janjan.jp/media/0909/0909290965/1.php
  ―――――――――――――――――――――――――――

オープンの記者会見/岡田外相.jpg
オープンの記者会見/岡田外相
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2010年02月09日

●「記者クラブ制はどこが問題か」(EJ第2750号)

 自民党が与党の時代は、記者クラブに属さないフリーメディア
の雑誌などの記者は、記者会見にも参加できないので直接取材し
ようとすると、幹事長、役員、派閥領袖から一議員にいたるまで
次の言葉で追い返されていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
          記者クラブを通してこい
―――――――――――――――――――――――――――――
 それに加えて「番記者制度」というのものがあります。これも
記者クラブ記者の特権なのです。組織メディア各社の政治部は、
これまで与党自民党の三役、派閥領袖、実力者をはじめとして、
野党党首、野党幹事長までの政治家の「番」をする記者を担当者
――「番記者」として配置しています。
 そして、政治家の自宅に夜討ち、朝駆けして政治家との間に人
間関係を築き、そのうえで基本的には報道しないことを前提とす
るオフレコ懇談――「記者懇」を開き、重要情報を探る取材方法
を駆使してきたのです。もちろん、こうした記者クラブの取材活
動には外部から参入することは不可能だったのです。
 この記者クラブ制――何が問題なのかというと、情報が制限さ
れることです。政権与党にとって都合の悪い情報は何らかのサイ
ンを出せば書かないし、逆に書いて欲しいことは積極的に情報を
リークして書かせるというコントロールが可能な点です。
 これは与党側にとっても、組織メディアにとってもきわめて都
合のよいことですが、このやり方では本来国民に知らせるべき重
要な報道が制限されることになります。
 ところが、記者会見に素姓のわからない多くのメディアが参加
すると、クラブ記者は書くのを控えようと思っても、どこかのメ
ディアが報道するかもしれないので、結局は報道してしまうこと
になる――本来これでなければいけないのです。
 小沢はどうかというと、これは自民党の幹事長時代から一貫し
ていることですが、本来記者会見というものはテレビで報道され
新聞にも記事が載るものであり、公開が当然という考え方に立っ
ています。これについて渡辺乾介氏は、小沢は「公開」というよ
りも「開放」を目指したとして、次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 それまでの記者会見は記者クラブの、記者クラブによる、記者
 クラブ記者のためのものであり、質問は記者クラブ記者しか許
 されず、フリーメディアの参加など論外だった。小沢は自民党
 幹事長在任中の後期あたりから、記者クラブとは関係なく自分
 の記者会見には来る者拒まずの姿勢を鮮明にし、外国人記者や
 フリーランスの参加を認めた。小沢の公開記者会見は経世会分
 裂で旗揚げした「改革フォーラム21」、新生党の会見、細川
 政権の代表者会議、代表幹事記者会見へと間口を広げながら引
 き継がれた。新進党の幹事長――党首期にほぼ定着した。
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢の記者会見をテレビで見ると、よく小沢が記者を叱りつけ
る映像が報道されます。そういう部分だけを切り取って見せられ
ると、何と傲慢な・・という印象を受けてしまいます。
 これに対して、在日50年の米国人ジャーナリストであるサム
・ジェームソン氏は、「小沢さんは理屈に合う質問にはきちんと
答える人です」といって次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢さんとは、細川政権の時、外国人記者のグループで毎月懇
 談していました。非常に論理的で、どんな質問にも答え尽くそ
 うとしていたのが印象的でした。日本のプレスは「いつ説明責
 任を果たすのか」と、表面的なことばかり何度も何度も繰り返
 し質問するので、我慢強くない小沢さんが怒るシーンが(記者
 会見などで)撮影されていますが、本来、理屈に合う質問をす
 る人には理屈に合う返事をする人です。
  ――2010.1.29(28日発行)/日刊ゲンダイより
―――――――――――――――――――――――――――――
 ジェームソン氏は、小沢はマリナーズのイチローと同じタイプ
であるとして、日本人記者によるイチローへの愚にもつかない次
の質問を紹介しています。もちろんイチローは無視しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
         けさ、何を食べましたか
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本人記者がまともな質問もできないほどレベルが低いのは、
記者クラブのせいであると思います。なぜなら、クラブ記者は重
要な情報――正しいかどうかは不明であるが――ラクに手に入る
環境にいるからです。
 最近知った記者クラブの弊害をひとつ紹介します。小沢が政治
資金で土地を購入していることを鬼の首でも取ったように非難し
ている自民党の町村信孝議員が、やはり政治資金で土地を購入し
ていたことが、日刊ゲンダイ/1月28日(27日発行)に出て
いるのです。
 町村氏が代表を務める資金管理団体「信友会」は、2001年
に北海道江別市の不動産(建物)を1000万円で取得。登記簿
によると、建物の所有者は町村氏自身なのです。
 信友会は2007年にこの建物を約600万円で町村氏本人に
売却しているのですが、建物は2001年12月の「新築」なの
に信友会の政治資金収支報告書では、取得の日付が建築前の7月
と11月になっていることです。
 金額は違いますが、町村も小沢と同じようなことをやっている
のです。政治資金で不動産を購入するなんて今までに例がないと
テレビのコメンテーターはいっていますが、調べるとこういうケ
ースが続々と出てくるのです。
 しかし、何よりも卑劣なことは、記者クラブ所属の組織メディ
アはこのことを報道していないのです。「悪いのは小沢だけ」と
いえなくなるからです。       ―[小沢一郎論/26]


≪画像および関連情報≫
 ●江田憲司議員も政治資金で建物を購入している
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ネットによると、江田憲司議員も政治資金で不動産を購入し
  ています。当時は別に法的には問題はないのですが、「やっ
  ているのは小沢だけ」という組織メディアの報道は事実が明
  確だけに公平ではないと思います。購入した建物は、横浜市
  青葉区の106平方メートル、840万円であり、平成15
  年4月1日と収支報告書には記載されています。
      http://blogs.yahoo.co.jp/voteshop/1935210.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

町村信孝議員と江田憲司議員.jpg
町村信孝議員と江田憲司議員

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2010年02月10日

●「記者クラブ廃止に向けての小沢の戦略」(EJ第2751号)

 記者クラブを廃止する――これは小沢が自民党の幹事長時代か
ら密かに抱いている目標といえます。しかし、記者クラブを廃止
するというのは容易ならざることです。それは時間をかけてひと
つずつ既成事実を積み重ねていくしかない――小沢はそのように
考えていたのです。
 そこで小沢は自民党時代に記者懇を廃止し、記者会見をオープ
ンにしたのです。そして野党党首時代に野党でもできることをも
う一つやっているのです。
 それは外遊随行記者団の公開参加なのです。野党党首、それも
野党第1党党首の外国訪問ともなると、野党クラブは随行取材団
を編成します。この野党クラブは既に述べたように、記者クラブ
に属しているのです。
 政治部記者にとって、総理大臣や野党党首の外国訪問の随行取
材記者の一員として選ばれることは大変名誉なことであり、これ
こそ記者クラブ記者の特権だったのです。そこにフリーメディア
の記者たちが参加することなどあり得なかったのです。
 1996年5月、小沢は新進党党首として中国を訪問し、江沢
民国家主席、李鵬首相など中国の政府や共産党最高幹部と会談し
ています。このときの随行取材団は総勢25名であり、新進党議
員10数名の中に若き日の岡田克也氏の顔もあったのです。
 このときの随行取材団の中には、記者クラブ15社17名のほ
か、地元岩手の放送2社と県紙1社3名、週刊誌3社5名の記者
クラブ以外のメディアの参加を認めているのです。
 これは野党クラブにとって大ショックであったのです。しかし
正面切って反対できないので、「小沢は自分に好意的なメディア
を選んで随行記者団に参加させている」という記事を書いて対抗
するのが、せいいっぱいであったのです。
 しかし、中国では野党クラブの求めた記者懇に応じ、記者クラ
ブにサービスをしているのです。そのとき、小沢は記者懇で、自
民党が社会党、新党さきがけとの連立を解消するなら、新進党と
して協力もあり得るという重要なコメントをしているのです。小
沢は野党クラブにも配慮を示しているのです。
 そして今回の政権交代では小沢は与党民主党の幹事長であり、
記者クラブの廃止、開放が決まる可能性は高まったといえます。
記者クラブ側の危機感は相当あると思います。まして民主党は選
挙でも「記者クラブ廃止」を公言しているからです。
 しかし、記者クラブとして直接小沢を攻撃するのは問題がある
ので、渡辺乾介氏によると、非常にトリッキーな手法を使って小
沢を攻撃しているというのです。
 それは「小沢対反小沢」という構図を作って、反小沢側の小沢
批判に寄生することによって小沢を叩くという手法です。したが
って、小沢事務所にかかわる昨年来からの秘書逮捕は渡りに船の
事件であったのです。
 この裏金疑惑によって「小沢はこのように批判されている」と
報道するだけで、記事のリスクを回避して小沢を叩けるし、小沢
本人に取材する必要もないというわけです。そして、小沢を潰せ
ば民主党は崩壊すると考えているのです。
 しかし、これまでに一番小沢を怒らせたのは、組織メディアに
よる福田政権時代の大連立協議をめぐる報道なのです。このとき
組織メディアは、福田首相と野党第一党の小沢との会談の内容よ
りも、その会談の仕掛け人は誰かということに中心を置いた報道
に終始したのです。
 しかし、常識的に考えてこの仕掛け人は福田首相と考えるのが
筋というものです。なぜなら、当時与党の自民党・公明党は、参
院で過半数を持っていないので、法案が通らず困り果てていたか
らです。したがって、民主党党首の小沢に働きかけることによっ
て法案成立に協力してもらいたいとして、会談を申し入れること
はあっても不思議はなかったのです。
 しかし、組織メディアは最初からその仕掛け人は小沢であると
して一斉に報道したのです。これに対して激怒した小沢は、連立
をめぐる政治的混乱を生じたことを理由として、鳩山幹事長に代
表辞任を申し出たのです。2007年11月4日のことです。
 その記者会見において小沢は2枚のペーパーを用意しているの
です。問題はその2枚目のペーパーです。これには、衆議院議員
・小沢一郎名で「中傷報道に厳重抗議する」という標題がついて
おり、おおよそ次の内容だったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 福田総理との党首会談に関する新聞・テレビの報道は、明らか
 に報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱してお
 り、私は強い憤りをもって厳重に抗議いたしたいと思います。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民・民主両党の
 連立を持ちかけたとか、はては今回の連立構想について、小沢
 首謀説なるものまでが、社会の公器を自称する新聞・テレビで
 公然と報道されております。いずれも事実無根です。――この
 あと一切取材を受けたことはないと断って――それにもかかわ
 らず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞、日経
 新聞等を除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂
 れ流し、自ら世論操作の一翼を担っているとしか、考えられま
 せん。それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを
 決定的にダウンさせることを意図した、明白な誹譲中傷報道で
 あり、強い憤りを感ずるものであります。――一部略――
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは小沢の記者クラブの報道姿勢に対して向けられた怒りで
あり、一種の挑戦状ともとれる内容です。このあたりから小沢対
記者クラブは全面対決に入っていると考えられます。
 現在は大臣によって記者会見のやり方はバラバラになっていま
す。しかし、流れは確実にオープン化に向かっており、いずれ、
記者クラブの存続の是非が問われることになると思われます。
                  ―[小沢一郎論/27]


≪画像および関連情報≫
 ●マスコミ報道の信頼性調査/2010.1.29
  ―――――――――――――――――――――――――――
  マスコミ信頼度調査/中間速報(有効回答6530件)10
  1月29日現在、『設題3:マスコミは信頼できる報道をし
  ていますか?』
  1.どちらかと言えば信頼できる ・・・・・ 36.3%
  2.偏向報道が見受けられる ・・・・・・・ 27.5%
  3.どちらかと言えば信頼できない ・・・・ 18.5%
  4.信頼できない ・・・・・・・・・・・・  8.6%
  5.このままだとマスコミ業界が崩壊して行   5.4%
  6.信頼できる ・・・・・・・・・・・・・  3.0%
  7.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・  0.7%
   http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=83534
  ――――――――――――――――――――――――――−

小沢幹事長記者会見.jpg
小沢幹事長記者会見
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月12日

●「鳩山政権の中途半端な記者会見開放」(EJ第2752号)

 記者クラブが始まったのは1890年のことです。第1回帝国
議会の新聞記者取材禁止の方針に対して、『時事新報』の記者が
在京各社の議会担当記者に呼び掛けて、「議員出入記者団」を結
成し、1890年10月にこれに全国の新聞社が合流して名称を
次のように定めたのです。これが記者クラブの始まりなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
         「共同新聞記者倶楽部」
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者クラブの目的については、その歴史を調べると、いろいろ
な曲折があったようです。1949年10月には、日本新聞協会
は次の「記者クラブに関する方針」を打ち出しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者クラブは、親睦社交を目的として組織するものとし取材上
 の問題にはいっさい関しないこと
              ──「記者クラブに関する方針」
―――――――――――――――――――――――――――――
 要するに記者クラブは記者同士の親睦団体であるという位置づ
けをしているのです。しかし、この記者クラブの方針は48年後
の1997年になると、次のように変わっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者クラブは、公的機関が保有する情報へのアクセスを容易に
 する「取材のための拠点」とする。
              ──「記者クラブに関する方針」
―――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、記者クラブを「取材のための拠点」として明確にした
のは、そんなに前のことではないのです。そこで、現時点での記
者クラブの定義をご紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者クラブとは、首相官邸、省庁、地方自治体、地方公共団体
 警察、業界団体などの組織に設置された記者室を取材拠点にし
 ている、特定の報道機関の記者が構成する組織のこと。記者室
 を設置している各団体から独占的に情報提供を受けることで知
 られる。記者室の空間及び運営費用は原則として各団体が負担
 ・提供し、記者クラブが排他的に運営を行う。
                    ──ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢はこの記者クラブ制度について最初から疑問を感じており
記者会見においてはメディアを制限するということはやっていな
いのです。鳩山政権の大臣の何人かは、それぞれの判断で記者会
見をやっており、いわゆる記者クラブのルールは現在ゆらぎつつ
あるといえます。
 鳩山政権の閣僚のひとりである亀井大臣は、金融庁の記者クラ
ブに対して、自分の記者会見には他のメディアを同席させるよう
にと申し入れたところ、金融庁記者クラブから拒否されたという
のです。といっても、すべての記者クラブが一律に記者会見開放
に「ノー」といっているわけではないようです。外務省記者クラ
ブなどは、岡田外相の求めに応じて開放に同意しています。
 そこで、亀井大臣は反撃に出たのです。記者クラブ記者向けと
その他のメディア向けの2回の会見を開くことにしたのです。そ
の代わり、記者クラブ向けの会見は時間を半分にしたのです。そ
して、その他メディア記者向けの会見は、金融庁の大臣室で行う
ことにし、こちらはコーヒーが振る舞われるのです。つまり、亀
井大臣は記者クラブ記者に嫌がらせをしているのです。
 しかし、これは実に無駄な話です。金融庁の記者クラブが貴重
な大臣の時間を奪っているからです。毎週火曜日と金曜日、亀井
大臣は金融庁16階にある記者会見場で、新聞、テレビなどの記
者クラブメディア対象に大臣会見を開きます。通常の大臣ならば
これで記者会見は終わりです。ところが亀井大臣は違うのです。
記者会見を終えたばかりのその足で、17階の金融担当大臣室に
向かい、そこで待っているフリーランス、雑誌、ネット、海外メ
ディアなどの記者に対して、今終えたばかりの同じ記者会見をも
う一度やっているのです。
 亀井大臣は、記者クラブが記者会見の開放を断ってきたとき、
記者クラブ記者に向けて、次のようにいい、実際にそれを実行し
ているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 あんたたちはなんという時代錯誤なことをしているんだ。報道
 の自由や情報公開の見地からしておかしいでしょう。国民の知
 る権利をメディアが奪ってどうするんですか。それならばね。
 私は、自分主催の会見を開いて、そこにフリーランスやネット
 や海外メディアの皆さんをお呼びしますよ。  ――亀井大臣
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそもこの記者クラブに対して公然と反対を表明したのは、
当時長野県知事であった田中康夫氏です。2001年5月15日
のことです。いわゆる「脱・記者クラブ宣言」です。
 この記者クラブ制の廃止を早くから唱えてきている政治ジャー
ナリストの上杉隆氏は、記者クラブ制について次のように批判し
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世界の笑いものです。以前は韓国にも同種の記者クラブがあり
 ましたが、既になくなりました。私が調べた限りでは、記者ク
 ラブに近い制度があるのは日本とアフリカのガボンだけです。
 アジアも南米も、もちろんそんな制度はなく、日本にきた記者
 たちは驚いています。            ――上杉隆氏
        http://www.j-cast.com/2008/12/30032953.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、記者クラブの廃止を唱えているのは小沢だけでは
ないのです。しかし、民主党は正式に記者クラブ廃止にまだ踏み
切れていないのです。肝心の平野官房長官が反対の姿勢をとって
いるからです。           ―[小沢一郎論/28]


≪画像および関連情報≫
 ●中途半端な総務省の記者会見開放について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「会見を開放するといってもウェブ専業メディアは対象外。
  現時点では質問権を持つ参加は認められない」──「開放」
  したという総務省の定例記者会見に参加したい。ITメディ
  ア・ニュース編集部が総務省記者クラブに問い合わせをした
  ところ、こんな回答があった。総務省は2009年1月5日
  記者クラブに加盟していないメディアに対して総務相の定例
  会見を開放した。会見には「J−CASTニュース」といっ
  たウェブメディアも参加し、ニコニコ動画のライブ配信「ニ
  コニコ生放送」が生中継も行った。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/07/news077.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

亀井大臣の2回の記者会見.jpg
亀井大臣の2回の記者会見
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2010年02月15日

●「なぜ、記者クラブは問題があるか」(EJ第2753号)

 「日本最強の捜査機関」といわれる東京地検特捜部というのは
どういう捜査機関なのでしょうか。
 正式な名称は「東京地方検察庁特別捜査部」というのです。政
治家汚職、大型脱税、経済事件などを独自に捜査し、大物政治家
の立件・有罪などの結果を出すことから、日本における最強の捜
査機関といわれるのです。
 この東京地検特捜部――この捜査機関の前身がかつての連合国
軍による占領下で、旧日本軍が貯蔵していた隠退蔵物資を摘発し
てGHQの管理下に置くことを目的に設置された組織であること
を知っている人は少ないと思います。そのときの名称は、「隠匿
退蔵物資事件捜査部」というのです。
 実は、特捜部となってからも特捜部のエリートに在米日本大使
館の一等書記官経験者が多いのです。そのため、東京地検特捜部
は、米国の影響力を受けているといううわさがあるのです。ロッ
キード事件は、田中角栄元首相が、エネルギー政策の解決のため
に政権を奪取し、日本独自のエネルギー・ルートを確立しようと
して米国の石油資本を怒らせたといわれており、米国が深くから
んでいる事件なのです。
 それはさておき、検察にはこの東京地検――東京地方検察庁を
はじめとして、全国の地方検察庁に大メディアによる司法記者ク
ラブがあります。東京地検特捜部は、検事が最も憧れる花形ポス
トですが、それを取材する側の司法記者クラブもメディアの花形
ポストなのです。
 ところで、現在記者クラブはその30%が女性記者が占めてい
るといわれます。中でも検察・裁判所を担当する司法記者クラブ
には、各メディアが美人記者を競って配置しているといわれてい
るのです。
 なぜ、美人女性記者なのでしょうか。ある全国紙のキャップは
次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者の相手をするのは部長、副部長に限られるが、検事だって
 酒も好きだし、女も好き。特に被疑者の取り調べや資料の読み
 込みなどの格闘が続くと、気を抜きたくもなる。それがわかっ
 ているから民放は美人を揃える。そしてたまに女性記者を相手
 に酒を飲んで、カラオケにも行きたくなる。そんな中、露骨に
 スクープをあげることはないにしても、そこの局だけネタが取
 れない特落ち≠ヘかわいそうだと、そっと漏らしてしまった
 りするわけです。   ――『週刊ポスト』2/12日号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 とにかくこの東京地検特捜部は強大な権限を持っており、政権
与党幹事長の現役の秘書2人と元秘書――しかも衆議院議員を国
会開会直前に逮捕するという大胆にして乱暴な捜査をしているか
たわら、一方で罪状明らかな木嶋佳苗容疑者や上田美由紀容疑者
については埼玉県警や鳥取県警が異常なほど慎重な捜査をしてい
ることに違和感を感じてしまいます。
 何しろ政治家は、特捜部に逮捕されるだけで、結果として不起
訴になったり、起訴されて裁判の結果無罪になったとしても、政
治生命は逮捕された時点で終わりなのです。それだけに特捜部と
しては慎重の上にも慎重に捜査すべきですが、現状はかなり荒っ
ぽい捜査をしているようにみえます。
 それに大メディア――いずれも記者クラブ加盟メディアですが
その報道ぶりはどうしても検察寄りになります。どうしてそうな
るのかというと、事実上司法クラブ所属メディアはそうせざるを
得ないのです。なぜかというと、もし、検察について批判的な記
事を書くと、検察はその社を記者クラブに「出入り禁止」にし、
それ以外の場所でも絶対に取材に応じないのです。つまり、検察
捜査を批判すると、取材を封じて干し上げてしまうのです。
 こうなると、司法記者クラブは、検察に絶対に逆らえず、その
まま書くしかなくなります。それでも昔の司法クラブ記者のなか
には出入り禁止など意にかけず、検察捜査を批判する記事を書く
記者が少しはいたものですが、今は全般にサラリーマン化し、そ
ういう剛の記者はいなくなっているのです。
 検察と記者クラブのあり方について、既出の渡辺乾介氏は次の
ように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察や警察など国家権力を発動する実力組織に記者クラブが同
 居することは本来あってはならないのだ。それだけで権力と一
 体化している証左になり、海外メディアには理解不能である。
 記者会見は全メディアが参加する開放されたものとして事前事
 後の談合を排し、メディアの自由競争が保証されたもとでこそ
 権力をチェックし、公正な報道ができるというものである。
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつ記者クラブにはからくりがあります。というのは、
記者クラブは記者個人が任意で加盟する親睦会になっていること
です。それでいて記者たちは、新聞社やテレビ局の名刺を持って
仕事をしています。
 なぜ、こんなことをするのかというと、もし、記者クラブを新
聞社やテレビ局の法人会員ということにすると、省庁や行政機関
や公的機関が一民間企業に特別なスペースを与え、特別な情報を
提供することは税金の不公平な使い方であり、行政の不公正を招
くという難しい問題になってしまうからです。
 それが個人であればすべてクリアできるわけではありませんが
少なくとも企業よりもグレーゾーンにすることができるのです。
ちょうど、企業団体献金は政治家個人には献金できないが、政治
団体ならできるというのと同じような考え方です。実際には政治
団体は代表者は違っても実質的には政治家本人なのですが、建前
上は政治団体に献金したことにできるのです。
 このように記者クラブは、百害あって一利なしの存在ですが、
いまだに生き残っているのです。   ―[小沢一郎論/29]


≪画像および関連情報≫
 ●「記者クラブ制度を考える」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  行政や経済団体などが、特定の報道機関に無料で記者室を提
  供し、加盟社のみを対象に会見を開くということを慣例的に
  行ってきたのが記者クラブです。財務省「財政研究会」、日
  本銀行「日銀記者クラブ」、警視庁「七社会」、宮内庁「宮
  内記者会」、日本経団連「経団連記者クラブ」、東商「商工
  会議所記者クラブ」、東証「兜クラブ」などが代表的な記者
  クラブです。
  http://blog.goo.ne.jp/ccproducer/e/eaba0e5d4ec4c09a27d71f3f2b1605a4
  ―――――――――――――――――――――――――――

東京地検特捜部.jpg
東京地検特捜部
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2010年02月16日

●「金丸5億円献金事件を振り返る」(EJ第2754号)

 世間は小沢を、彼がこれまで政治家としてやってきた実績に関
係なく、イメージ的に何となくダーティーな政治家であると思っ
ています。その理由は何でしょうか。
 それは、あの田中角栄を師と仰ぎ、金丸信に仕えたことから、
彼らの悪い面をDNAとして受け継いでいる古いタイプの政治家
であるととらえているからです。しかし、小沢の政治信条やこれ
までの政治的実績をみると、その実像はかなり違うのです。
 ロッキード事件で田中角栄は総理大臣経験者としてはじめて刑
事被告人になったのですが、その公判がはじまったのは1977
年1月27日のことです。そのとき小沢は30代の若手議員の一
人でしたが、田中の第1回公判から191回におよぶすべての公
判を欠かさず傍聴した話はとても有名です。
 そして一審判決が出たとき、小沢は自民党総務局長になってい
たのです。このポストは選挙実務を取り仕切る中堅議員の登竜門
ともいうべきポストであったのです。そして、判決が出たとき、
小沢は衆議院議員運営委員長に就任していたのです。
 田中角栄の議員辞職を求める世論がわき上がる中で、自民党の
総理・総裁の中曽根康弘は、自民党の中の田中の政治的影響力を
排除することを宣言する「総裁声明」を発表し、このときから政
治倫理が政治の中心課題になったのです。
 小沢はこれを受けて、政治倫理綱領の制定や政治倫理審査会の
設置などを盛り込んだ国会法改正案をまとめ、衆議院議長に提出
しています。このときはこの改正案はお蔵入りになっていますが
後にこれらの改革案はすべて実現しているのです。
 なぜ、小沢は田中の裁判をすべて傍聴したのかについて、渡辺
乾介氏は直接小沢に聞いたことがあるといいます。裁判に臨む田
中の姿を他山の石として見ていたのかと聞いたとき、小沢は次の
ように答えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 他山の石というと、それを参考にして、自分ならこんな失敗を
 しないということになるが、そうではなく、政治家がああした
 嫌疑を受けて法廷の場で争うという状況になっても、それでも
 政治をつづけるという意味というかな、それは何なのかとか。
 または、日本の政治はどうあるべきなのか、自分だったらどう
 するか、といった反間もあったね。そういうことをいろいろに
 ずっと考えながら傍聴していた。      ――渡辺乾介著
        『あの人 ひとつの小沢一郎論』/飛鳥新社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 そして金丸5億円献金事件――われわれはこの事件についても
う一度考えてみる必要があります。なぜなら、それが小沢の政治
改革思想と密接に関係があるからです。
 金丸の東京佐川急便からの5億円献金が発覚したとき、政府自
民党の誰もが心配していなかったのです。この手の違反は政治家
本人におよぶことはなく、政治団体の会計責任者に対する「略式
起訴――罰金」の形式犯で終わっていたからです。これについて
は、小沢も同じ考え方であったのです。そのとき小沢は経世会会
長代行の職にあり、金丸を守る立場にあったのです。
 しかし、東京地検特捜部は、金丸の秘書の事情聴取で、金丸本
人が献金の事実を知っており、その金を政治家60数人に配って
いることを聞き出してウラをとっています。金額が5億円と多額
であり、量的制限違反の疑いによって、金丸本人から事情聴取す
る動きを見せたのです。
 これに対して竹下をはじめとする経世会幹部の間では、金丸に
上申書を提出させて、「略式起訴――罰金」で決着をつけるべき
であるという早期決着論が大勢を占めたのです。その筆頭に立っ
ていたのが、梶山静六――当時自民党幹事長だったのです。
 しかし、小沢はこれに徹底的に反対したのです。早期決着論に
反対し、「公判を辞さず」という強硬論を唱えたのです。これは
小沢と梶山の「一六戦争」といわれる激しい党内抗争に発展して
いくのです。これによって、経世会内部の亀裂も深刻化し、金丸
失脚後の派閥後継を巡る内部抗争のきっかけになったのです。
 この問題の決着を図ったのは竹下登なのです。竹下は早期決着
を目指すグループの方につき、金丸を説得して検察に上申書を提
出させたのです。検察も略式起訴を受け入れて「罰金20万円」
で決着がついたのです。
 本当はこれで終わりだったのです。しかし、これでは世間が納
得しなかったのです。「5億円もらって、罰金はたったの20万
円か」という国民の怒りが検察批判に向かい、検察は立件せざる
を得なかったのです。
 ところで、このとき小沢はなぜ徹底抗戦の強硬論を主張したの
でしょうか。
 渡辺乾介氏は、当時の小沢の法に対する考え方――裁判にかけ
てでも金丸の無罪を勝ち取ろうとした思いを次のように述べてい
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 戦後政治史の中で、いまだかつて政治家本人が政治資金規正法
 違反で立件されたことは一度もない。それは、政治家がうまく
 立ち回って責任を逃れてきたからではない。政治献金の実態と
 規正法の建前をきちんと使い分けて規制してきたからだった。
 日本の社会は建前と本音がかけ離れている。そこを法の解釈と
 運用でおさめてきた。税金だって、税法通りに厳密にとりたて
 たなら、中小企業はつぶれてしまう。だから、法の裁量、解釈
 運用でやっている。取り締まりをその範囲を超えるやり方です
 るなら、仕組みそのものを変える必要がある。――渡辺乾介著
        『あの人 ひとつの小沢一郎論』/飛鳥新社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回の小沢捜査も特捜部は明らかに小沢だけ、運用を変えて攻
めてきています。普通なら秘書を逮捕しないのに逮捕したり、少
なくとも自民党の政治家とは違う対応をしています。そのあげく
が不起訴です。           ―[小沢一郎論/30]


≪画像および関連情報≫
 ●金丸5億円献金事件の深層は何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京佐川急便事件は、1992年10月、、自由民主党経世
  会(のち平成研究会。竹下派)会長の金丸信が佐川急便側か
  ら5億円のヤミ献金を受領したとして衆議院議員辞職に追い
  込まれた汚職事件である。1986年、暴力団稲川会会長石
  井進は当初、住友銀行による平和相互銀行乗っ取りを阻止す
  る側として動いていたが、岸信介元首相からの電話により寝
  返り、乗っ取りに協力して多額の報酬を手にし、岩間カント
  リークラブ開発の所有権を得た。東京佐川急便社長渡辺広康
  は石井にトラブルの処理を何度も頼んだことがあり、その謝
  礼として石井のゴルフ場開発会社の資金調達のための銀行融
  資の際に数億円の債務保証をした。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

もうひとつの小沢論.jpg
もうひとつの小沢論
posted by 平野 浩 at 04:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月17日

●「小沢はなぜ壊し屋といわれるのか」(EJ第2755号)

 昨日のEJに続いて、小沢のイメージについてもう少し述べる
ことにします。小沢には次のイメージがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
         金権体質/剛腕/壊し屋
―――――――――――――――――――――――――――――
 はじめに「金権体質」について考えます。
 小沢一郎が政治資金というものについてどういう考え方を持っ
ているかを示すエピソードがあります。それを明かすのは小沢の
心友といわれる平野貞夫氏です。贔屓筋の情報は信用できないと
考える人もいるかもしれないが、心友であるからこそ、人の知ら
ない話を知っている可能性があります。
 小沢と羽田孜氏が率いる「改革フォーラム21」が、自民党を
離党して、「新生党」を結成したとき、平野氏が結成準備をして
いたときの話です。
 そのとき平野氏は、新しい政党の指導者になる小沢と羽田氏に
ついて密かに政治資金の問題がないか、法務省の友人に依頼して
身体検査をしたことがあるというのです。新生党は、改革を目指
す政党であるので、トップにカネの疑惑があったら困ると思った
からです。そのときは、2人とも「まったく問題はない」という
結果だったのです。
 ちょうどそのとき経団連が政治献金を停止した直後であったの
ですが、改革派の事務総長は、組織ではなく、個人として経団連
方式の献金先を紹介するという申し出があったので、小沢に相談
したところ小沢はこういったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「頼みたいところだが、改革を看板としている。丁重にお断り
 してください」。それで私はその日の内に、経団連事務総長に
 会って断った。その帰り、玄関で毎日新聞の社会部記者とすれ
 違った。そうしたら、翌朝の毎日新聞に「平野参院議員が経団
 連に献金要請」と書かれた。その記事を見た羽田新生党党首と
 細川護照日本新党代表に個別に呼ばれ、私が「本当は献金を断
 りに行ったんです」と説明したら、2人からはこう言われたの
 である。「どうして相談してくれなかったのか。断ることはな
 かったのに・・・」            ――平野貞夫著
              『わが友・小沢一郎』/幻冬舎刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 断っておくが、この頃は政治献金も現在ほど厳しい時代ではな
かったので、細川護照日本新党代表も、せっかくの申し出をもっ
たいないといったのです。
 この本の中で平野貞夫氏は、もうひとつの話題を披露していま
す。高知のゼネコン「大旺建設」の役員である平野氏の従弟から
新生党の結党祝いとして3000万円寄付したいという申し入れ
があったので、そのことを小沢に伝えたところ次の返事が返って
きたというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 大旺建設は経営状態が悪いと聞いている。寄付してもらうこと
 ことは心苦しい              ――前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 もちろんこんなエピソードだけで、小沢の金権体質を払拭でき
るとは思っていませんが、こんな話もあるということです。
 次は剛腕/壊し屋という批判です。
 「剛腕」は批判ではないという人がいます。しかし、新聞など
によく出る「剛腕・小沢」のイメージは、妥協しない、人のいう
ことを聞かない、独善的である、怖いなどなど、よくないイメー
ジの「剛腕」なのです。
 小沢は、その反対勢力から見ると、危険な存在であるといえま
す。ノンフィクション作家の魚住昭氏は、今回の小沢事件につい
て次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢事件の本質は、明治以来何度も繰り返されてきた検察権力
 VS政治権力の戦いです。検察にとって小沢は非常に危険な存
 在です。事務次官会議を廃止し、法制局長官の国会答弁を禁止
 するなど「脱官僚」路線を明確に打ち出している。このままだ
 と検察人事にまで介入されるという危機感を検察は持っている
 のでしょう。万が一、検察がこの権力闘争に負ければ、小沢か
 ら徹底的な報復を受けることが分かっているから裏取引で妥協
 する余地はありません。検察、小沢の双方にとって死ぬか生き
 るかの戦いなのです。 ――魚住昭/「小沢捜査を斬る」より
      2010年2月5日(6日発行)「日刊ゲンダイ」
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢が「壊し屋」と呼ばれるのは、これまでいくつもの政党を
作っては壊してきたからといわれていますが、実はそうではない
のです。平野貞夫氏によると、小沢が遮二無二政治改革を進めよ
うとするから、そう呼ばれるというのです。
 政治改革は、それに反対する勢力からすると、それは既存の制
度を壊す行為なのです。小沢は1992年〜93年にかけて一貫
して政治改革を唱えていたのですが、当時の宮沢政権はきわめて
これに消極的であったのです。そこで、小沢は「壊し屋」と呼ば
れるようになったのです。
 こうしたいきさつから、小沢は自民党を離党し、第40回衆議
院議員総選挙で細川内閣ができたのです、1993年3月のこと
です。後になって、細川政権は結局は何もできなかったといわれ
るのですが、そんなことはないのです。
 この内閣で小選挙区比例代表並列制と政党助成金の導入を柱と
する政治改革のための法律群が成立しているからです。この法律
は、小沢が海部内閣当時から成立を狙っていたものですが、やっ
と細川政権で成立したのです。1994年1月29日の未明のこ
とです。この政治改革4法案が成立していたからこそ、それから
15年後の2009年にやっと政権交代が実現することになった
のです。              ―[小沢一郎論/31]


≪画像および関連情報≫
 ●政治改革4法案成立の経緯/細川連立内閣
  ―――――――――――――――――――――――――――
  細川は自民党総裁河野洋平とトップ会談に入る。1994年
  1月29日未明に到達した最終的な着地点は小選挙区300
  比例代表(地域ブロック)200であった。同日、合意案は
  両院協議会で可決され、引き続いて衆参両院を通過し成立し
  た。ただし制度施行に必要な選挙区区割り法案は後日制定す
  ることとされた。区割り法案は、細川辞任後に社会党とさき
  がけが連立離脱したために少数与党として発足した羽田内閣
  の内閣総辞職と引き換えに成立する。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

平野貞夫氏の本.jpg
平野貞夫氏の本
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2010年02月18日

●「三宝会/小沢潰しを狙う組織」(EJ第2756号)

 竹下登、金丸信両氏、それに小沢一郎といえば、旧経世会の三
羽烏といわれていたのです。竹下、金丸とひとくくりにしていう
と、金のノベ棒によって象徴される金権体質の政治家というイメ
ージがあります。そして、小沢はそのDNAを引き継いでいる現
代の金権体質の政治家の代表ということになってしまいますが、
この見方は完全に間違っています。
 日本の政治の世界はそんなにきれいなものではありません。権
力をめぐって権謀術数が渦巻き、政官業と大マスコミが癒着し、
己の利益のためなら、マスコミを使って世論操作でも何でもする
というひどい世界になっています。
 ですから、本気でこれを改革しようとする政治家があらわれる
と、政官業と大マスコミが謀略を仕掛けて追い落とすことなど、
当たり前のように行われるのです。それは現在でも続いているの
です。現在そのターゲットとされている中心人物が、小沢一郎な
のです。彼が本気で改革をやりそうに見えるからです。
 それがウソと思われるなら、ぜひ次の本を読んでいただくとわ
かると思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
      平野貞夫著
      『平成政治20年史』/幻冬舎新書
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢は田中角栄にかわいがられた政治家であることはよく知ら
れています。田中角栄は小沢に亡くした長男を見ていたのです。
しかし、それを快く思わなかった人は少なくないのです。
 その中の一人が意外に思われるかもしれないが、竹下登氏なの
です。村山首相が政権を投げ出し、橋本龍太郎氏が後継首相にな
ると、竹下氏は「三宝会」という組織を結成します。三宝会の本
当の目的は、小沢を潰すことなのです。もっと正確にいうと、自
分たちの利権構造を壊そうとする者は、小沢に限らず、誰でもそ
のターゲットにされるのです。
 なぜ、小沢を潰すのでしょうか。それは小沢が竹下元首相の意
に反して政治改革を進め、自民党の利権構造を本気で潰そうとし
ていることにあります。この三宝会について平野貞夫氏は、その
表向きの設立の目的を次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (三宝会の)設立の目的は「情報を早く正確にキャッチして、
 (中略)、行動の指針とするため、(中略)立場を異にする各
 分野の仲間たちと円滑な人間関係を築き上げていく」というも
 のだった。メンバーは最高顧問に竹下、政界からは竹下の息が
 かかった政治家、財界からは関本忠弘NEC会長ら6人、世話
 人10人の中で5人が大手マスコミ幹部、個人会員の中には現
 ・前の内閣情報調査室長が参加した。要するに新聞、テレビ、
 雑誌などで活躍しているジャーナリストを中心に、政治改革や
 行政改革に反対する政・官・財の関係者が、定期的に情報交換
 する談合組織だ。             ――平野貞夫著
              『わが友・小沢一郎』/幻冬舎刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 この三宝会によって、小沢は長年にわたってことあるごとに翻
弄され、しだいに悪玉のイメージが固定してしまうことになりま
す。「剛腕」、「傲慢」、「コワモテ」、「わがまま」、「生意
気」など、政治家としてマイナスのイメージは、三宝会によって
作られたものなのです。
 なお、三宝会のリストはいくつかネット上に流出しており、見
ることができます。その会員名簿のひとつをご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
  http://www.rondan.co.jp/html/news/0007/000726.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 この会は現在も存続しているといわれており、上記の名簿の中
には、現在、TBSテレビの「THE NEWS」のキャスター
である後藤謙次氏(共同通信)の名前もあるのです。後藤謙次氏
のニュース解説は定評がありますが、こと小沢に関してはけっし
てよいことをいわないことでも知られています。
 もっとも現在のマスコミにおいて、小沢を擁護するキャスター
やコメンテーターは皆無でしょう。口を開けば「小沢さんは説明
責任を果たせないなら、辞任すべきだ」――もう一年以上こんな
ことが飽きもせず続いているのです。
 昨年来の小沢捜査で、唯一小沢に対して比較的擁護すべき論陣
を張っていたのはテレビ朝日系の「サンデープロジェクト」だけ
です。それは、元検察官で名城大学教授の郷原信郎氏の存在が大
きいのです。郷原氏は2009年の大久保秘書逮捕のときからこ
の捜査を最初から無理筋の捜査であり、容疑事実からして納得が
いかないと断じていたのです。郷原氏のコメントは実に論理的で
あり、納得のいくものであったのです。それは、今年になってか
らの小沢捜査でも変わらなかったのです。
 しかし、他局――というより、「サンデープロジェクト」以外
の番組は、「小沢=クロ」の前提に立って、それは徹底的に小沢
叩きに終始していたのです。
 一方、「サンデープロジェクト」以外の他局の代弁者は、元東
京地検特捜部副部長のキャリアを持つ弁護士の若狭勝氏です。サ
ンプロ以外のテレビにたびたび出演し、当然のことながら、若狭
氏は一貫して検察擁護の立場に立って主張したのです。
 「サンデープロジェクト」の郷原氏に対して、同系列局も含め
て他局はすべて若狭氏なのです。もっとも「サンデープロジェク
ト」では、1月29日深夜「朝まで生テレビ」でこの2人は激突
しています。1対1の対決ではなく、小沢クロ派――平沢勝栄氏
山際澄夫氏、それに若狭氏、これに対して、小沢擁護派は細野豪
志氏、大谷昭弘氏と郷原氏という強力な対決であり、勝負になら
なかったようです。しかし、ほとんどのテレビ局が反小沢という
のは本当におかしな話です。     ―[小沢一郎論/32]


≪画像および関連情報≫
 ●東京地検が「週刊朝日」に出頭要請 !?/2月6日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京地検(特捜)は、やはり解体させるしかない。週刊朝日
  への出頭要請は、小沢不起訴、そして逮捕された3名の保釈
  を決定するという屈辱感からくる、最後の悪あがきでもあっ
  たか。3名の保釈=「検察リークによる報道と実際の供述と
  の違い」、そして「検察の人権と法を無視した取り調べの実
  態」が晒されることを意味する。それでもなお、保釈すると
  言うことは、どこからかの意向が強く示されたと考える。何
  処の意向か?米国政府ではないか?
  ――このプログには驚くべきことが書いてある。表面上はな
  かったことになっているが、『週刊朝日』の編集長に東京地
  検から出頭要請があったという。真実はどうなのか。『週刊
  朝日』2/19号にその事実は書いていない。しかし、政治
  ジャーナリスト上杉隆氏の検察への抗議文は出ている。
  http://rightaction.cocolog-nifty.com/blog/cat7087639/index.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

平野貞夫氏.jpg
平野貞夫氏
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2010年02月19日

●「小泉元首相と検察との関係」(EJ第2757号)

 2009年3月に小沢の公設第一秘書である大久保隆規氏が逮
捕されたとき、民主党では国策捜査が行われたという非難の声が
上がったのです。
 そのときは、支持率低下で窮地に陥っていた自民党が、検察を
使って政敵である小沢を失脚させるウルトラCを狙ったのではな
いかと民主党支持者は考えたわけです。
 しかし、今年に入ってからの小沢の3人の秘書の逮捕は、民主
党が政権与党であるので、民主党としては、国策捜査という批判
は少なくともできないはずです。なぜなら、検察庁は法務省に属
する内閣の一組織であるからです。
 どうしてこんなことが起こるのか。日本は議員内閣制ではなく
官僚内閣制であり、政治の主導権は国会議員ではなく、官僚組織
が握っているのです。といっても表立ったことはすべて議員が行
い、それを官僚組織がウラで操るのです。したがって、自民党時
代は各省庁の事務次官が実質上、一番権限を握っていたのです。
 このようにして、自民党政権は50年以上の長きに当たって政
権を維持してきましたが、その間に自民党と官僚組織と大企業と
大マスコミは、それぞれの利権を守るためにがっちりと手を組ん
で今日までやってきたわけです。
 ところが、昨年の衆院選で自民党が敗北し、民主党に政権が交
代するや、民主党は政治主導を打ち出し、少しずつではあるが、
自民党と官僚組織と大企業と大マスコミの「連合軍」の一角を崩
しはじめたのです。
 これに危機感を深めた「連合軍」は、民主党の中で改革を前進
させる一番強い意思と力と権限のある小沢一郎に焦点を絞って、
潰しにかかったのです。小沢さえ失脚させれば、素人同然の民主
党はバラバラになる――「連合軍」の中枢である官僚組織はそう
考えて実に一年以上にわたって、主に検察と大マスコミを使って
小沢を攻め続けたのです。その効果たるや歴然であり、今や小沢
は「巨悪」に仕立てられているのです。
 どうやら、今回の小沢捜査はそのウラで小泉元首相が糸を引い
ているフシがあります。思い出して欲しいのです。あの「かんぽ
の宿疑惑」が湧き上がり、麻生首相の郵政民営化消極発言に小泉
元首相が批判してロシアに出かけて行った後のことを。あたかも
倒閣運動に加わったかに見えたものの、一転して「もう国内の政
治には発言しない」と宣言したとたん、東京地検特捜部がそれに
呼応するかのように動いて、大久保秘書を逮捕したのです。何か
つながっているように感じませんか。この大久保秘書逮捕によっ
て盛り上がりつつあった「かんぽの宿疑惑」はあっという間に隠
蔽されてしまったのです。
 一連の小沢捜査のウラには小泉がいる――こういう情報はネッ
トではよく出ているのですが、いまひとつ確証が持てなかったの
です。しかし、『週刊ポスト』2/19号――「小沢抹殺」攻防
/黒幕は「小泉純一郎」だ!――という特集が出て、一挙にそれ
は現実味を帯びてきたのです。
 こういう話をすると、当時既に政界を引退することを宣言して
いた小泉氏がなぜ検察を動かす権力を持っているのか不思議に思
う人も多いと思うので、そのいきさつについて説明するすること
にします。
 2001年、小泉内閣発足当初のことです。そのとき検察の裏
金疑惑が発覚したのです。当時神戸地検検事正であったA氏が地
検の「調査活動費」を本来の捜査活動に使わず、私的な飲み食い
に充てていたことが内部告発されたのです。その告発者は、A氏
の部下の三井環大阪高検公安部長なのです。
 実は、A氏は次の人事で高検検事長へ栄転が決定していたので
す。告発があったので、小泉元首相はとりあえず、この人事を凍
結したのです。
 困惑した時の原田明夫・検事総長は、首相官邸に小泉氏を訪ね
て、人事の承認を求めたのです。高検検事長の任命権は、法務大
臣ではなく、首相にあるからです。つまり、首相はA氏の人事に
ついて、生殺与奪の権を握ったことになります。
 小泉という人物は、自らもいう「政局好き」なのです。今後何
かのときのために検察に貸しを作っておいても損はない――しか
も、調査によると裏金作りは検察庁全体に広がっていて、これを
摘発すると、大騒ぎになることは必至だったのです。
 熟慮のすえ、小泉元首相はA氏を福岡高検検事長に任命し、裏
金問題は不問にしたのです。そして、森山法務大臣に次のように
表明させたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        検察の裏金疑惑は事実無根です
―――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、裏金疑惑を告発した三井氏はどうなったかというと
2002年に裏金問題のテレビ収録が予定されていた日に大阪地
検特捜部によって逮捕され、起訴されて、刑が確定してしまった
のです。これこそ国策捜査です。
 罪状は「詐欺」と「収賄」――しかし、「収賄」といっても、
わずか22万円ほどの接待を受けただけであり、詐欺にいたって
は完全な形式犯なのです。現職の検察幹部を逮捕するには、どう
考えても不自然な微罪に過ぎないのですが、検察としてはどうし
てもそうしないと格好がつかなかったのです。
 こういう事情で検察は小泉元首相に大変大きな借りを作ってし
まったのです。それが2004年の日本歯科医師連盟のヤミ献金
事件の不可思議な顛末になるのです。
 このとき、東京地検特捜部は、橋本派などに強制捜査をかけて
います。そして、日歯連から1億円のヤミ献金の授受の現場にい
た橋本龍太郎元首相や青木幹雄元参院議員会長、3000万円受
け取っていた山崎拓元副総理らは逮捕されず、逮捕されたのは既
に政界を引退していた橋本派の村岡兼造元官房長官だけだったの
です。しかも、村岡氏は金銭授受の現場にいないのに罪をきせら
れているのです。          ―[小沢一郎論/33]


≪画像および関連情報≫
 ●三井環氏の声明文
  ー――――――――――――――――――――――――――
  私は2002年5月10日、収賄などにより再逮捕されまし
  た。この事実も私に遺恨を抱いていた暴力団組員の利害と、
  私が検察の組織的裏金づくりを実名で公表しようとした口封
  じをする検察の利害とが一致し、暴力団員の嘘の供述をまに
  うけた検察とが結託して、虚構の事実をデッチあげて犯罪事
  実を構成したものであります。犯罪事実はいずれもデッチあ
  げであり、本来は真白であって明らかに捜査権の濫用であり
  ます。かようなデッチあげ捜査がまかりとおるならば、世は
  闇であります。 取調べはほとんどなく、保釈も許さず長期
  予防拘留を目的とする捜査、起訴であることは明らかであり
  ます。   http://www.kyudan.com/opinion/kensatsu2.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

三井 環氏.jpg
三井 環氏
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2010年02月22日

●「小沢捜査を指揮した親小泉検察官」(EJ第2758号)

 誰も知らないウラの世界で検察をひそかに味方につけた小泉元
首相は、その力を使って自らの政敵をひとり一人失脚させていっ
たのです。まず、はじめに犠牲になったのは、小泉政権誕生の立
役者である田中真紀子元外相です。
 2001年4月24日――通常国会の真っ只中に自民党は総裁
選挙をやったのです。そのとき自民党内も野党もまさか小泉氏が
勝つとは予想していなかったのです。その小泉氏に勝利をもたら
したのは、田中真紀子衆院議員なのです。
 平野貞夫氏は、この現象を「集団異常心理現象」と呼び、次の
ように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本人は平均60年周期で「集団異常心理」となる、というの
 が私の説だ。60年昔の1941年、日本人の90%が賛成し
 て、太平洋戦争が始まった。その約70年昔は、幕末の「ええ
 じゃないか」と踊り狂う民衆運動が起こっている。その約40
 年前には「文政のおかげ参り」が起こり、500万人が伊勢神
 宮に参拝した。              ――平野貞夫著
          『平成政治20年史』/幻冬舎新書105
―――――――――――――――――――――――――――――
 その恩人である田中議員を首相になった小泉氏は外相に任命し
ています。田中議員が外相就任をとくに望んでいたからといわれ
ます。しかし、外交機密費などをめぐって外務省官僚とトラブル
になり、結局1年足らずで事実上解任されたのです。
 それだけではないのです。田中議員が反小泉に回ると、秘書給
与ピンハネ疑惑で告発して追い詰め、捜査の手が伸びる前に議員
辞職に追い込んでいます。このときも検察の力を使った可能性が
高いのです。
 また、反小泉で鳴らした橋本派の鈴木宗男氏も、やまりん事件
で逮捕されています。これも外務省関連の逮捕ですが、この事件
にも検察の影を感じます。
 小泉元首相のターゲットは、自民党の旧田中派、橋本派なので
す。そして日歯連事件――小泉氏と総裁選を争った橋本龍太郎会
長は逮捕こそされなかったものの、この事件で派閥会長を辞任し
ています。小泉氏は最大の政敵を潰したことになります。
 ちなみに、この日歯連事件のとき、小泉内閣の法務省刑事局長
をしていたのが現検事総長、樋渡利秋氏なのです。昨年来の小沢
捜査にゴーサインを出した人物です。さらに、現在最高検検事で
日歯連事件の特捜検事だったのが、元特捜部長の大鶴基成氏なの
です。こうして見ると、樋渡検事総長を含め、小泉内閣時代に鈴
木宗男氏らの「国策捜査」を担った検事たちが、今回の小沢捜査
の中核をなしているのです。これなら、どうみても捜査が「政治
的」と見られても仕方がないといえます。
 政界を引退した小泉氏は、自民党が大敗した昨年の総選挙では
ほとんど応援に立たなかったのですが、2010年になって小沢
捜査が始まり、特捜部が小沢に事情聴取を要求しはじめた1月の
中旬以降はたびたび自民党本部に谷垣総裁を訪ね、「自民党の大
御所」として、積極的な政治的発言をするようになっていたので
す。小泉氏は京都で次の発言をしていますが、この機会に民主党
の首脳潰しに自ら乗り出した観があります。よほど小沢起訴に確
信を持っていたものと思われます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・政治資金で土地、マンションを買う政治家は一人もいない。
 ・自民党だったら、総理も幹事長もやっていられない。即刻、
  退陣だ!         ――『週刊ポスト』2/19号
―――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、なぜ小泉氏はこれほど民主党政権に怒りを持ってい
るのでしょうか。昨年の衆議院選で早くから自民党の負けを予測
し、政権交代は仕方がないなどと発言していたのと比べると、今
年に入ってからの小泉氏は議員でもないのに、小沢潰し、すなわ
ち、民主党潰しに積極的になっています。
 それは、次の2つの理由があるのです。1つは鳩山政権が進め
る「郵政民営化の巻き返し」と、もう1つは「普天間米軍基地の
移転問題」なのです。まず、前者について民主党幹部は次のよう
に述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 かんぽの宿の売却問題をはじめ、郵政の資産は民営化を推進し
 た小泉人脈に食い物にされてきた。民主党は野党時代に彼らを
 告発したのに、検察は動かなかった。日本郵政の人事一新は、
 小泉時代の旧悪を明らかにするために必要だった。
               ――『週刊ポスト』2/19号
―――――――――――――――――――――――――――――
 「郵政民営化の巻き返し」についてはさもありなんという気が
しますが、「普天間米軍基地の移転問題」になぜ小泉氏が拘って
いるのかは少しわかりにくい状況です。
 これについて、前掲の『週刊ポスト』2/19号は、次のよう
に書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 鳩山政権がストップさせた普天間基地の辺野古移転計画も小泉
 政権時代の沖縄利権と密接に絡んでいる。普天間基地の代替滑
 走路建設をめぐってほ、当初、環境への影響が小さい陸上滑走
 路案なども検討されていた。ところが、小泉首相は06年に名
 護市辺野古沖のサンゴ礁を埋め立てる案を採用し、官邸主導で
 より埋め立て面積の大きい「X字型」の滑走路を建設する計画
 を決定した。移転計画に直接携わった小泉派官僚の守屋武昌・
 元事務次官(汚職事件で公判中)は陸上ではなく、沖を埋め立
 てる計画が浮上したことについて、「埋め立て」に拘った背景
 には利権の発想があったと思う、と基地建設利権の存在を指摘
 した。           ――『週刊ポスト』2/19号
―――――――――――――――――――――――――――――
                  ―[小沢一郎論/34]


≪画像および関連情報≫
 ●田中真紀子氏議員辞職のいきさつ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  秘書給与横領で元秘書より告発され、自民党の党員資格を停
  止される。次々に横領の証拠が挙がり、議員辞職。その後、
  復活当選し、民主党会派(民主党・無所属クラブ)に入会し
  た。以降、選挙の際に民主党公認の立候補者の選挙支援に重
  用される。ただし、当時は民主党員ではなく、あくまで無所
  属であった。従来どおり自由民主党公認候補である夫の支援
  も行っていたが、その後、夫を離党させた。父角栄からの相
  続税の脱税が指摘され目白邸の一部を分納したことがある。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

田中真紀子議員.jpg
田中真紀子議員
posted by 平野 浩 at 04:21| Comment(1) | TrackBack(1) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月23日

●「小泉政権とB層マーケティング」(EJ第2759号)

 普天間米軍基地の辺野古移転計画について、小泉元首相が異常
なほどのこだわりをもっていたことは確かなのです。もともと沖
縄の公共事業は経世会(旧橋本派)がその配分権を握っていたの
ですが、小渕首相が亡くなると、森、小泉と2代にわたって清和
会(旧森派)が経世会に代わって沖縄の基地移転事業の主導権を
握ったのです。
 2010年1月13日のEJ第2731号でも述べたように、
そもそも辺野古埋め立て案は、小泉氏が中心になって、わざわざ
お金のかかる案を作り、米国側と合意したのです。もちろん米国
側の「日米安保でメシを食べている人々」もこれによって潤うこ
とになります。ここまで何度も述べてきたように、日本の安全保
障の観点などそこには何もなく、利権あるのみです。
 民主党の鳩山氏と小沢は、選挙前から、この清和会の沖縄利権
は潰すべきだということで、「県外移設」を打ち出したのです。
別に連立を組む社民党に配慮したわけではないのです。小泉元首
相としては、郵政民営化でもこの辺野古移転でも米国との約束が
からんでいるので、逆ギレしたのです。
 当時、環境相兼沖縄担当相だった小池百合子氏も、小泉首相に
環境への影響が小さくなる独自案を提案したときのことを『週刊
ポスト』の記者に次のように話しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私が(そのプランを)説明すると、「そんなんじゃダメなんだ
 よっ!」と、烈火のごとく怒り出し、こちらの話は全く受け付
 けないという感じで、青筋をたてて怒られた。
               ――『週刊ポスト』2/19号
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように見ていくと、今回の小沢捜査のバックには小泉元首
相がいたことは間違いないと思われます。しかし、昨年と違って
今年は、政権交代で政権与党は民主党になっているのです。いく
ら小泉氏が検察に強くても、いつまでも政権与党の幹事長に対決
するのは検察の上層部としては不安のはずです。
 まして確たる証拠もないのに民主党党大会の日に与党幹事長の
秘書を3人を逮捕し、徹底的に取り調べるかたわら、執拗なリー
クを繰り返して大マスコミに「小沢=巨悪」のイメージを植え付
けさせたあげくが小沢不起訴の結果です。
 しかし、不起訴であっても「小沢=巨悪」のイメージは定着し
70%が幹事長辞任を求めています。自民党+官僚機構+大マス
コミの連合軍としては所期の果実を手にしているのです。きっと
このままでは済まないでしょう。小沢はいずれ幹事長を辞任して
そのさいに内閣を改造をして夏の参院選に臨むと思われますが、
自民党はとても盤石の体制では選挙に臨めないはずです。
 既に小沢幹事長は、次の方針を打ち出しているそうです。『週
刊ポスト』は次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 鳩山内閣では各省の大臣、副大臣、政務官の政務3役が政策を
 立案する仕組みになっているが、そこに小沢氏直属の副幹事長
 国対副委員長らを「お目付役」に加え、「反乱分子」の大臣、
 副大臣を監視させるのである。これで前原民らは身動きが取れ
 なくなる。検察のリーク情報を垂れ流した大新聞に対しても、
 現在は、記者クラブが独占している各省庁の記者会見について
 「開放すべきという意見を政府与党首脳会議の席で伝えたい」
 (2月1日の記者会見)と一撃を浴びせた。
             ――――『週刊ポスト』2/19号
―――――――――――――――――――――――――――――
 この元首相、小泉純一郎という人物は、今までの政治家にはな
い独特のキャラクターを持ち、小沢のように「政治とカネ」の問
題が表面に出てこないという点で、多くの国民からの今でも強い
支持のある政治家です。
 しかし、彼の政権が竹中平蔵氏らと組んで日本のために何をし
たかということをじっくりと考えてみると、それは実に恐ろしい
ことをやっているのです。なかでも策略をこらした郵政民営化を
推し進め、国民の一部がおかしいぞと気が付きはじめたことから
この政権に多くの疑問符が付いたのです。
 だからこそ、民主党への政権交代が起こり、現在、郵政民営化
のやり直しが行われているのです。小泉氏が郵政民営化を推し進
めるときにどういう手法を使ったのか――このことが今になって
ネット上では大変話題になっているのです。
 もちろん、表の新聞やテレビなどの大メディアには例によって
この手のことはいっさい報道されないので、ネットを見ない人は
知らない話ですが、それを知ったら、小泉政権がいかに米国に迎
合した問題ある政権であったかがわかると思います。
 郵政民営化の思想の徹底に当たって、小泉元首相は竹中平蔵氏
を使って、「B層マーケティング」と呼ばれる特殊なマーケティ
ング手法を駆使し、それを実際に展開しているのです。それが功
を奏して、あの郵政選挙で自民党は劇的に大勝したのです。
 ところで、「B層」とは何でしょうか。
 添付ファイルの図を見ていただきたいが、縦軸にIQ(知能指
数)を取り、横軸に構造改革を取ります。そのうえで、国民を次
の4つの層に分類するのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  IQが高く、構造改革にポジティブ ・・・・・ A層
  IQが低く、構造改革にポジティブ ・・・・・ B層
  IQが高く、構造改革にネガティブ ・・・・・ C層
  IQが低く、構造改革にネガティブ ・・・・・ ?層
―――――――――――――――――――――――――――――
 小泉政権は、この中からB層、すなわち「IQが低く、構造改
革にポジティブ」な層に重点を絞って、徹底的なラーニング・プ
ロモーションをやったのです。そのときのキャラクタに使われた
のが、テリー伊藤氏なのです。    ―[小沢一郎論/35]
                  


≪画像および関連情報≫
 ●「B層」とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  B層とは、郵政民営化の広報企画にあたって、小泉政権の主
  な支持基盤として想定された、「具体的なことはよくわから
  ないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」のこと。広
  義には政策よりもイメージで投票を行うなどポピュリズム政
  治に吸引される層を意味する。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

B層マーケティング.jpg
B層マーケティング
posted by 平野 浩 at 01:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

●「B層訴求戦略は今も行われている」(EJ第2760号)

 国民を「IQ/知能指数」と小泉改革の最大の目玉である「構
造改革」という2つの柱で分けて、特定の層に働きかける――B
層マーケティング、4つの層を再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
  IQが高く、構造改革にポジティブ ・・・・・ A層
  IQが低く、構造改革にポジティブ ・・・・・ B層
  IQが高く、構造改革にネガティブ ・・・・・ C層
  IQが低く、構造改革にネガティブ ・・・・・ ?層
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここでいう「A層」とは、IQが高く、構造改革にはポジティ
ブである層という位置づけです。それなのにどうしてターゲット
にならないのでしょうか。
 A層は、財界の勝ち組企業や大学教授、マスメディア、都市部
のホワイトカラーなどを包含する層ですが、ある意味において、
構造改革のウソを見抜いている層なのです。それは、とくに失敗
に終わったと考えられる道路改革の結果を見て失望し、判断した
人が多く、この層は小泉政権の批判に回ったのです。
 これに対して「B層」は、主婦層や子供を中心とする層、シル
バー層、それに難しいことはわからないが小泉氏のキャラクター
を支持する層です。小泉元首相が街頭に立つと、写真を撮りたさ
に集まってくる人々です。「C層」というのは、IQは高いが、
もともと構造改革に批判的な層――守旧派であり、名前の付いて
いないもうひとつの層は失業などの痛みにより、構造改革そのも
のに恐怖を感じている層とされています。
 小泉政権は、道路改革が思惑通りにうまくいかなかったことを
重視し、郵政民営化の思想徹底のターゲットを「B層」に設定し
たのです。このことが問題になったのは、次のようないきさつが
あるのです。
 2005年6月21日のことです。第162回国会衆議院郵政
民営化に関する特別委員会において、民主党のネクスト総務大臣
こと五十嵐文彦衆議院議員(当時)が、政府広報費1億5000
万円の支出について質疑を行ったのです。その内容は、入札を行
わないで、竹中平蔵郵政担当大臣(当時)の秘書官が関係する業
者と随意契約をしたのはおかしいというものです。もし、収賄事
件などに発展すれば、竹中大臣の失脚もありえたので、報道でも
大きく取り上げられたのです。
 しかし、同じ年の8月8日、郵政民営化法案が参議院で否決さ
れたことをもって小泉首相は即日衆議院を解散したのです。結果
は自民党の圧勝で終り、五十嵐議員は落選してしまったのです。
そういうこともあって、この件はうやむやになったのです。ちな
みに五十嵐議員は、昨年の衆議院選挙で返り咲いています。
 2004年12月15日、有限会社スリードと株式会社オフィ
スサンサーラは次のタイトルの提案をしています。この2つの会
社は竹中平蔵氏と深いつながりがあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)
  http://www.tetsu-chan.com/2005-0621yuusei_igarashi.pdf
―――――――――――――――――――――――――――――
 政府は、このプランを採用し、政府広報業務として、契約を結
んでいるのです。明らかに随意契約です。このプランの中では4
つの層が示され、B層にターゲットを絞って郵政民営化の訴求を
行うよう提言され、実際にそれが実行されています。
 契約に基づいて政府広報は、竹中平蔵氏とテリー伊藤氏を起用
してB4サイズ二つ折り4ページ、フルカラーの次の小冊子を作
成し、2005年2月20日に全国の約1500万世帯に配布さ
れているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      「郵政民営化ってそうだったんだ通信」
―――――――――――――――――――――――――――――
 このB層マーケティング、現在、米国でも行われていると指摘
しているのは、山崎康彦氏の次のサイトです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「反オバマ」「反国民皆保険」の大キャンペーンを仕組んでい
 るのは、この新制度導入によって莫大な損失を受ける保険会社
 と製薬会社であり、彼らの意図を受けて反対の世論形成に動い
 ているのが人種差別を煽る共和党有力政治家達であり、FOX
 TVなどのマスコミ特に悪質なのがデマを流して視聴者を誘導
 するトーク番組の人気キャスター達だと落合栄一郎氏は言って
 います。
   http://www.news.janjan.jp/world/0910/0910021096/1.php
―――――――――――――――――――――――――――――
 このB層マーケティング――現在も行われているように思うの
です。最近テレビの政治バラエティ番組、「たけしのテレビタッ
クル」や爆笑問題の「太田総理」などの番組は、明らかにB層を
狙ったものであるといえます。最近これらの番組の民主党批判は
目に余るものがあります。
 「世を倦む日日」という有名なブログでは、このとことについ
て次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 昨夜「テレビタックル」の年末特集をやっていたが、出演して
 いる山本一太や平沢勝栄においてスタジオで語って視聴者に聴
 かせるトークは、全てこのB層理論を前提したものであり、カ
 メラの向こう側にいるIQの低いB層視聴者から支持や共感や
 納得を調達すべく演技して台詞を吐いているのである。――中
 略――竹中平蔵は大衆一般を自分が彼らを騙して収奪すべき愚
 鈍なマスだと明確に認識している。竹中平蔵にとっては、大衆
 を騙し、大衆を洗脳して操縦し収奪することが政治なのであり
 要するに大衆とは家畜の存在なのだ。税金だけ払わせて生かせ
 る奴隷なのである。   http://critic2.exblog.jp/2311417/
――――――――――――――    ―[小沢一郎論/36]


≪画像および関連情報≫
 ●郵政民営化ってそうだったんだ通信』に関連するプログ
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  はじめに、筆者は自分の不明を恥じていることを告白する。
  いま国会で民主党は、郵政民営化をPRする政府広報が、竹
  中郵政民営化担当相の秘書官の知人の会社に随意契約で発注
  された問題を追及している。その広報が「郵政民営化ってそ
  うだったんだ通信」というタイトルである。いうまでもなく
  竹中氏の著書をもじったものだ。筆者も本欄で以前、竹中氏
  に郵政民営化が必要だというなら、わかりやすく説明すべき
  だという趣旨の記事を書いた。「『郵政民営化ってそうだっ
  たんだ通信』」を語れ」(4月6日付記事)である。日にち
  が違うし、竹中氏が本欄を読んでいるとは思えない。さらに
  筆者は竹中氏と面識もないし、無関係である。
  http://www.news.janjan.jp/kokkai_watch/0506/0506258800/1.php
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竹中平蔵氏とテリー伊藤氏.jpg
竹中平蔵氏とテリー伊藤氏
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2010年02月25日

●「小沢はなぜ選挙を重視するのか」(EJ第2761号)

 小沢幹事長はそのやることなすことすべて選挙を意識してやっ
ていると批判する人がいます。小沢にそのことを聞くと、「民主
党は衆議院では過半数をいただいたが、参議院では過半数に達し
ていない」という返事が返ってきたものです。
 もっとも2月8日に、田村耕太郎参議院議員が民主党入りを表
明したので、参議院の民主党会派は参議院定数「242」の半数
である「121」を確保していますが、7月には参議院選がある
のでその結果しだいでは、どうなるかわからないところです。
 国家国民のことを考えないで「選挙」にだけ関心を向ける――
こういって小沢の姿勢を批判する人はたくさんいます。民主党議
員の中にもこういう批判を口にする人は少なくないのです。
 しかし、小沢にいわせると、国家国民のことを考えるからこそ
「選挙」が重要なのだというのです。なぜなら、民主主義の政治
では、政治家は選挙によって選ばれるからです。政治家は選挙に
よって鍛えられ、本物の「国民の代表」になるからです。
 小沢が民主党の代表になり、いったんは代表を辞任したものの
選挙担当になってからの民主党の選挙は、明らかに変貌したとい
われます。
 一言でいうと、それまでのスマートな選挙が、泥臭い「どぶ板
選挙」に変わったのです。小沢はこれについて自著の中で次のよ
うにいっています。
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 「どぶ板選挙」という言葉をご存じだろう。路地から路地へ、
 どぶ板を渡りながら歩くような、地道な選挙運動のことを言う
 のだが、マスコミはこの言葉を侮蔑的なニュアンスで使うのが
 常である。今はインターネットも普及しているマスメディアの
 時代なのに、そういう昔ながらの、地を這うような選挙をする
 連中は、時代遅れで古くさい候補だと暗に言いたいのだろう。
 だが、僕は「どぶ板選挙」こそが、本当の選挙だし、それがな
 くなったときに民主主義はなくなるとさえ思っているのだ。
      ――小沢一郎著、『小沢主義/志を持て、日本人』
                 集英社インターナショナル
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 今までの民主党の候補者がやっていた選挙は、支援してくれる
労働組合の組織に頼り、駅や繁華街などの人の集まる場所で、長
時間、演説をするというやり方だったのです。
 しかし、小沢流選挙戦術はまるで違うのです。昨年の衆議院選
の最大の目玉といわれた選挙があります。東京12区です。与党
の候補は、公明党代表、太田昭宏氏の選挙区です。この選挙区は
小沢自身が出るといううわさがあって、話題になったのですが、
小沢はそこに元タレントで参議院議員(比例)の青木愛氏を立て
たのです。その発表の席上、小沢は次のように述べています。
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 太田さんはそんなに強い候補とは思いません。それはいろいろ
 なデータを見ればわかる。一人でも多くの都民が彼女を見てく
 れれば勝てる。気力、体力の許すかぎり歩け、と頼みました。
                ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
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 このシーンはテレビで何回も報道されたので、ご覧になった方
も多いと思います。これを見て、とてもじゃないが、青木で公明
党の代表に勝てるはずがないと考えた人は多かったと思います。
 しかし、結果はどうだったでしょうか。青木愛氏は小選挙区で
太田候補に1万票の差をつけて当選し、比例の重複立候補をして
いなかった太田氏はバッジを失ったのです。出馬表明から一ヶ月
あまりしかなかったのに、落下傘候補の青木愛氏はなぜ強敵の太
田候補に勝てたのでしょうか。
 正確なことはわかりませんが、小沢には20人以上の私設秘書
がいるといわれています。いずれも小沢流の選挙戦術を叩き込ま
れている選挙のベテランです。
 なぜ、小沢は政治資金で土地や住宅やマンションを買うのかと
いうと、こういう秘書軍団の宿舎が必要だからなのです。しかし
このことは絶対に小沢は詳細を語らないのです。まさに究極の企
業秘密であるからです。
 実は青木氏の選挙事務所には2人の秘書が投入されています。
一人は常駐で、もう一人は出陣式や鳩山遊説など「ここぞ」とい
うときに応援に駆け付けるのです。したがって、実質的に青木氏
の選挙を仕切ったのは、常駐の秘書です。彼は東北地方の複数の
選挙事務所をかけもちしていたのですが、小沢の命令で青木氏の
常駐秘書として選挙の指揮をとったのです。
 青木氏は元タレントで、しかも参議院議員であり、知名度があ
ります。以前の民主党や自民党だったら、メディアを使って空中
戦をやるはずです。その遊説日程をメディアに明かせば、テレビ
局は勝手にやってきます。
 しかし、小沢はそんなことはさせなかったのです。何をやった
か。徹底的な「どぶ板」選挙です。遊説日程もメディアに知らせ
ていないし、青木氏が何をしているのか、太田陣営にはまったく
見えていなかったのです。
 ただ、太田陣営は、青木氏の出馬表明からわずか2日にして、
青木候補が並々ならぬ強敵であるということを思い知らされたの
です。それは、わずか2日間で1000枚を超える青木氏のポス
ターが選挙区全般に貼り出されたからです。人数を動員して夜を
徹してポスターを貼ったのです。これは完全に公明党のお家芸を
奪うものだったのです。まして青木氏のポスターはよく盗まれる
ほどの人気ポスターだったのです。
 そして、小沢は実に4回にわたって、青木事務所を電撃的に訪
問しています。小沢訪問ごとに青木陣営の団結力は強くなり、終
盤戦には勝利を確信するところに達したのです。まさに、小沢選
挙戦術恐るべしです。小沢は「選挙は風に頼るな!」といってい
るのです。           ―――[小沢一郎論/37]


≪画像および関連情報≫
 ●太田昭宏代表、民主党青木愛氏に敗れる
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  公明党の太田昭宏代表は東京12区で民主党元職の青木愛氏
  に敗れ、落選した。比例代表に重複立候補せず、背水の陣を
  敷いていた太田氏。選挙戦終盤は全国遊説に出ず、地元にと
  どまり、票の掘り起こしを図ったが、自民支持層も一部が青
  木氏に流れ、無党派層にも浸透しきれなかった。参院議員か
  ら転出した青木氏は選挙区内をくまなく回り、無党派層にも
  支持を広げた。(共同)
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民主党/青木愛氏.jpg
民主党/青木愛氏
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

●「小沢流選挙/川上から川下へ」(EJ第2762号)

 「風に頼った選挙をやるな」――これは小沢の選挙についての
信条なのです。2007年夏の参議院選で、大接戦を演じていた
一人区の民主党候補者に小沢自身が送った檄文の一部をご紹介し
ましょう。
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 緩めば負ける。必死で戦え
 参議院選挙は、早くも勝敗を決する中盤戦に入ります。今のと
 ころ確かに国民生活を顧みない安倍政治に対する国民の怒りが
 「風」となり、我々に追い風になっています。しかし、「風」
 は一瞬にして変わる。変わるからこそ「風」なのです。我々が
 油断をして隙を見せると、「風」はすぐ変わる。今のように気
 が緩んだまま投票日を迎えれば、下馬評とは逆に、我々は敗北
 してしまいます。(中略)幸運の女神は前髪しかないといいま
 す。女神の先に回り込み、その前髪をつかんだ人だけ、女神が
 微笑みます。私が先頭を走ります。ともに女神を追い抜き、勝
 利を手にしようではありませんか。        小沢一郎
                ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
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 小沢が民主党の代表になった直後の千葉七区の補欠選挙――こ
の選挙では太田和美氏が当選したのですが、この選挙ほど小沢選
挙の凄さを民主党議員に知らしめた選挙はなかったのです。その
ときの民主党は、「偽メール問題」の後遺症があり、党内はガタ
ガタの状態であり、選挙どころではなかったのです。
 告示は、2006年4月11日でしたが、直前の7日に小沢が
民主党の代表に就任したのです。このとき、小沢は、全国国会議
員に千葉県入りを命じるとともに、千葉県に住んでいる親戚縁者
や企業関係者の名簿を出すよう要請したのです。
 これに対する自民党は、この選挙に勝利して小沢に土をつける
ことによって、メール問題で傷ついた民主党にさらなる打撃を与
えるべく、武部幹事長自ら陣頭指揮をとり、小泉チルドレンを動
員して街頭に立たせたのです。
 しかし、小沢の選挙は完全に自民党の虚を衝くものであったの
です。全国からやってきた国会議員にはいっさい街頭に立たせる
ことはせず、全議員から提出させた千葉県関連の名簿を基に徹底
的に水面下で活動させたのです。街頭演説をするべきだと主張す
る議員に小沢はこういっています。
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 あなたたち国会議員のことなんか、だれも知らない。マイクな
 んか持ってもしかたない。   ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
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 そして弁護士出身の議員には、徹底的に選挙区内の弁護士事務
所を訪問させたのです。当時弁護士会は完全に自民党の勢力下に
あったのですが、弁護士バッジをつけた人間が同業者を訪ねれば
必ず会ってくれることを小沢は知っていて訪問を命じたのです。
 そして小沢がはじめて選挙区内に入って行った先は、太田和美
候補の事務所ではなく、千葉県の最北で田園風景が広がる関宿町
(現・千葉県野田市)だったのです。そして、その関宿町に本籍
がある鈴木貫太郎――第42代内閣総理大臣の記念館の前で演説
したのです。茨城と埼玉に囲まれた小さな町ですが、小沢が来る
というので、200〜300人も集まったのです。こういう場所
で小沢一郎という政治家はとても人気があるのです。そのとき、
小沢はビール箱の上に立って演説をしています。上から目線にな
ることを小沢は嫌うからです。
 現在、マスメディアでは70%の国民は幹事長を辞めるべきだ
としていますが、地方に行くと今でも根強い小沢人気があり、大
勢の人が集まるといいます。
 小沢が二度目に選挙区入りをしたのは流山市なのです。選挙区
の中では中くらいの規模の街ですが、このとき小沢は候補者の太
田とともに自転車で遊説をしているのです。当然のことながら、
マスコミはこの遊説風景を撮ってテレビで放映したのです。その
とき小沢が自転車に乗れるのを見てびっくりした有権者がいるほ
どです。自転車遊説は小沢のような有名人がやるからこそ報道ネ
タになることを小沢自身がよく知っているのです。
 そして小沢が三度目に選挙区に入ったのは、最も人通りの多い
新松戸駅前だったのです。ようやく繁華街にやってきたのです。
これこそ小沢流選挙の真髄である「川上から川下へ」の鉄則なの
です。『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』の著者は、これについ
て次のように書いています。
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 川の下流で問題が起こるとき、その原因の多くは上流にある。
 それと同じで、「川下の票を効果的にとるためには、まずは川
 上を押さえよ」というのが「小沢選挙」の鉄則なのだ。川上は
 高齢者が多く、人口も少ない。しかし、親世代の声は、必ず川
 下の子どもや孫へ伝播するというのである。 ――前掲書より
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 小沢の来る前の民主党であれば、真っ先に新松戸駅前を遊説場
所に選んだはずです。代表がわざわざ行くのだから、人が少なけ
れば話にならないと考えるわけです。むしろ、それが常識ではな
いかと考える人が多いのです。
 ちょうど小沢が関宿町に入った日、自民党候補、斎藤健氏のた
めに小泉首相は松戸市の大手スーパー前や野田市役所前で演説を
しています。そのとき、小泉は党本部からまわした大型の選挙カ
ーの上から演説をしています。完全に有権者を見下ろすかたちで
演説を行っているのです。選挙の考え方、やり方が自民党と小沢
民主党ではまるで違うのです。
 テレビで報道される小沢の演説では、大型選挙カーで有権者を
見下ろすかたちで選挙演説をしている姿はほとんどみられないの
はこのためです。        ―――[小沢一郎論/38]


≪画像および関連情報≫
 ●民主党・太田和美氏(衆院千葉7区補選)の勝因分析
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  今回、民主党の太田和美氏が当選した要因として、様々な見
  方がされています。「小沢効果・小沢旋風」、「小泉自民党
  にあまり勝たせ過ぎたという有権者の思い」、「小沢流のド
  ブ板選挙手法の効果」、「『格差拡大社会の是正』の主張が
  受けた」、「小泉チルドレンの大量投入に有権者が飽きた」
  「武部勤考案の『ジャンケンパフォーマンス』が逆に反感を
  買った」、「小沢一郎が自転車に乗った」等々・・。どれも
  当てはまると思いますし、選挙というのは様々な諸事情が複
  雑に絡み合ったゆえに出てくるものなのだと思います。
  http://soy-cerveza.at.webry.info/200604/article_7.html
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民主党/太田和美氏.jpg
民主党/太田和美氏
posted by 平野 浩 at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする