2008年12月18日

●「小泉政権は何をやったのか」(EJ第2474号)

 ここで小泉・竹中政権が、いわゆる「構造改革」と称して、強
行したことは、次の4つです。これらがいかに日本を駄目にした
か、計り知れないものがあります。
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 1.財政面では、緊縮財政政策の実施によって、財政赤字削減
   を実現しようとしたこと
 2.金融面では、不良債権の加速処理で、「銀行等」の貸し出
   しを増やそうとしたこと
 3.国家のビジョンを明確にしないで、安易に「規制緩和」や
   「民営化」を行ったこと
 4.道路公団と郵政公社を民営化し、いかにも「改革」である
   ように宣伝していること
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 デフレが進行しているときに緊縮財政を取る――そうすればデ
フレは一層深刻化し、財政赤字の拡大と政府債務の増加を引き起
こすことは、歴史的にも明らかなことです。
 1930年代においてフーバー米大統領は、デフレの下で緊縮
財政政策を取って大恐慌を引き起こしていますが、そのフーバー
大統領と小泉元首相は何も変わらないと思います。米国では、フ
ーバー大統領のことを「ザ・ワースト・プレジデント」と呼んで
いますが、小泉氏も後世同じように呼ばれるものと思われます。
次の歴史の名言がありまいす。
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    愚者は「経験」に学び、賢者は「歴史」に学ぶ
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「歴史」から学べない人――つまり、他人の経験から学べない人
は「愚者」なのです。よく歴史を引き合いに出す小泉元首相も肝
心のことはわかっていなかったということになります。
 小泉元首相は、慶応義塾大学の経済学部に学びながら、「自分
は経済のことはわからない」という人です。まさにその通り、国
の財政赤字の巨大さにのみ目を奪われ、経済の状況を考慮するこ
となく、緊縮財政政策を取ったものと思われます。おそらくこれ
は小泉氏自身の考え方であり、周りのイエスマンはそれに逆らわ
なかったものと思われます。
 このデフレ下の緊縮財政政策の強行が、金融機関の不良債権を
増加させ、「不良債権の処理」をしなければならない状況がつく
りあげられたということができます。不良債権の処理の矛盾つい
ては、既に述べた通りです。
 それから規制緩和――これは「規制を緩和すればすべて良くな
る」という考え方のもとで、小泉政権下で行われてきているよう
に思われます。「規制は悪で規制緩和は善」という考え方です。
 しかし、そもそも「規制緩和」とは何でしょうか。
 そもそもさまざまな社会活動に規制をかけるのは、平均的な事
象というかレベルからの逸脱を防ぐという点にあるのです。もし
規制をかけないと物事が乱れるというのであれば、そういう規制
は必要であり、緩和すべきではないのです。
 しかし、平均レベルよりも大きく伸びようとするときにブレー
キになるような規制は、緩和するか撤廃すべき規制ということに
なります。あること――産業や技術などを大きく伸長させるとい
う国家計画があれば、当然それに関わる規制は抜本的に緩和する
か廃止すべきです。
 規制緩和はそういう国家ビジョンというか国家計画に基づいて
政府が個別に判断して行うべきですが、小泉政権ではそういう明
確な国家ビジョンなしに、個別の考慮もなく規制緩和が行われて
いるのです。その結果が、現在の社会的風潮を生んだのです。
 小泉政権の規制緩和に象徴されるのは、ライブドア事件や村上
ファンドのような詐欺的犯罪行為です。そういうものを正当化す
る社会的風潮ができてしまったからです。
 雇用情勢の不安定化から食品偽装や振り込め詐欺まで、まさに
現在の日本はモラルが崩壊してしまっています。こういう社会的
風潮を形成した原因の一端がビジョンなき規制緩和にもあると思
うのです。
 「鳥有亭日乗」というサイトでは、「規制緩和の功罪」につい
て的確な意見が述べられています。規制には「抑圧」と「支持」
の2つの側面があるとし、規制緩和を善とするためには次のこと
が必要であるとしています。
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 規制緩和を社会的善とするためには、成長に対して抑圧となる
 規制は撤廃し、頽落に対して支持となる規制は維持または強化
 することによって方向付けをすることが重要となる。この方向
 付けこそが将来に対する賭であり、大きな政治的選択である。
 奨励する必要がなくなることにより軽減される負担と規制緩和
 によって得られる成果の総和が、規制がなくなることにより節
 減できる費用と発生する損失の総和を上回る未来を手にするこ
 とができなければ、結果として将来は暗澹たるものになるであ
 ろう。          ――「鳥有亭日乗」のサイトより
―――――――――――――――――――――――――――――
 規制緩和を主張する人は、それによるバラ色の未来を語るが、
バラ色の未来だけでなく、それがもたらす可能性のある悪につい
ても述べる必要があるのです。それを「改革」という名の大義名
分のもとに強行し、現在の状況になっているのです。
 そして、何よりも重要なのは「郵政公社の民営化」です。小泉
元首相はすべてをかけたといってよい郵政民営化――その前途は
きわめて不透明です。昨日のEJで、このまま郵政の民営化に対
して何の手だても講じなければ、日本は世界最大の債権国である
のに、国内では長期金利も短期金利も上昇し、たちの悪い不況が
定着する――このように述べましたが、とくに長期金利が上がる
というのはとても気がかりなことです。この点についてはこの後
検討していきたいと考えています。
              ――[円高・内需拡大策/32]


≪画像および関連情報≫
 ●「規制緩和」とは何か
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  規制緩和とは、経済学や公共政策などの文脈で、ある産業や
  事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型
  の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的
  な政策手段のひとつで、市場競争を促進し経済活性化を果た
  すために採用されるが、導入による弊害の解決のため、セー
  フティーネットなどの構築が必要とされている。近年では単
  なる規制の撤廃・縮小だけではなく、全体的な制度改革を実
  行するとの意味合いから規制改革とも呼ばれる。
                    ――ウィキペディア
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小泉政権.jpg
小泉政権
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする