2008年11月17日

●「なぜ、反対意見を封じるのか」(EJ第2452号)

 森田実氏という政治評論家がいます。硬派の政治評論家の一人
です。私はこの森田氏の存在をテレビ朝日の「サンデープロジェ
クト」で知りました。この当時森田氏はテレビ朝日だけではなく
他局の政治番組の常連だったのです。
 この「サンデープロジェクト」という番組は1989年4月か
らはじまったのですが、そのときから一回も欠かさず見ることに
しているのです。もっとも最近のこの番組の運営にはいささか疑
問なこともありますが、私自身にとって非常に役に立っている番
組のひとつになっています。
 森田実氏ははっきりとものをいう辛口の政治評論家で、サンプ
ロの番組中でも出演している自民党の政治家とも激しい論戦を繰
り広げることが多くあったように思います。とくに小泉政権に関
しては相当シビアな見方をしており、小泉・竹中政権を強く批判
していたのです。
 その森田氏がテレビから完全に消える原因となったのは、20
05年8月9日のフジテレビの「めざましテレビ」なのです。ち
なみに、その前日の8月8日に小泉首相が郵政民営化のために衆
議院を解散しています。この番組で森田氏は、小泉の郵政解散に
ついて次のように批判しているのです。
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 日本という国は議会制民主主義の国であり、議会が法律の決定
 権を持っている。憲法第41条は、国会は国権の最高機関であ
 って、唯一の立法機関であると規定しています。その国会が郵
 政民営化法を否決したのに内閣総理大臣が納得できないといっ
 て、国民投票に代わる衆議院選挙で決着をつけようとしたのは
 内閣総理大臣が従わなければならない国会の決定を踏みにじっ
 て、首相を国会の上に置いたことであって、これは明らかな憲
 法違反であると私は言ったのです。小泉首相は重大な憲法違反
 をしたので、直ちに責任を取るべきだという発言をしました。
                       ――森田実著
                  『崩壊前夜日本の危機/
    アメリカ発世界恐慌で岐路に立つ日本』/日本文芸社刊
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 このあと8月16日にTBSのお昼の芸能番組から出演依頼が
あったそうです。テーマは静岡7区の選挙に関わることであった
そうですが、芸能番組でもあり、森田氏としては比較的おとなし
い解説をして帰ってきたそうです。ところがその日の夕方、TB
Sのアシスタントディレクターから森田氏に電話があったそうで
す。森田氏は前掲書で次のように書いています。
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 「実は森田さんが出演された直後に、TBSの官邸記者クラブ
 の政治部記者2人が飛んできました。それで急きょ会議が開か
 れました。このあと番組のディレクターから今後は森田には依
 頼するなと言われました」と。TBSの政治部記者が官邸から
 飛んできたというのは、その記者が官邸から何かを言われたの
 だと思います。これが東京のテレビ出演の最後になりました。
 私に限らず小泉を批判し郵政民営化を批判した人はほとんどテ
 レビから一掃されました。ある意味、政界に起こつた小泉批判
 者パージがマスコミにおいても起こつたのです。1950年の
 レッドパージのようなことが起こったのだと思います。その後
 は、東京のテレビ局、東京の大新聞社は私との連絡を断ちまし
 た。              ――森田実氏の前掲書より
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 まるで戦前の軍国主義の時代と同じです。言論が封殺されてい
るのです。最近の政治番組を見ていると、出演している政治評論
家は、政府与党を批判する場合も慎重に言葉を選んでいるように
感じます。正面切って批判する人は少ないです。もし、批判すれ
ば報復されると考えているとしたら、世も末です。
 そういう意味で森田実氏は、はっきりと自分の意見をいう本物
の政治評論家であると思います。同様に、小泉・竹中政権を痛烈
に批判していた人に経済学者の植草一秀氏がいます。植草一秀氏
に関しても不可解なことがたくさんあるのです。現在、ネット上
では植草氏の記事でもちきりです。読んでみると、マスコミの報
道とはかなり違うことが多くあることがわかります。興味があれ
ば、次のURLをクリックしてください。
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   http://news.livedoor.com/article/detail/3233768/
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 小泉・竹中政権以来、世界ではいったい何が進行しているので
しょうか。
 われわれは「共産主義」という言葉を聞くと、漠然と警戒心を
持ちます。しかし、「資本主義」とか「民主主義」とか「自由主
義」という言葉にはそういう警戒心を感じません。それどころか
何となく安心感すら感じます。
 しかし、怖い「資本主義」や「自由主義」もあるのです。それ
が「超資本主義」です。それは既に驚くべきほど全世界に浸透し
ており、日本の新聞の論調によくあらわれています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 危機を収束させるべく、世紀に一度のスケールで市場への政府
 介入が始まろうとしている。富を最大限化するには市場の力に
 委ねるのが最良であり、政府は極力手出しを控えるべきだ、と
 する米経済社会の信条を根本から覆すものだ。(中略)資本主
 義の大きな転換点としてけ歴史に残ることになるだろう。(中
 略)リスクを取って失敗した責任は自己で負う、との原則はも
 はや過去のものになった。
       ――2008年9月21日付、毎日新聞社説より
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 この社説を読むと、「米経済社会の信条」というものをいかに
妄信しているかわかるはずです。完全に洗脳されているといって
もよいでしょう。      ――[円高・内需拡大策/10]


≪画像および関連情報≫
 ●TVから消えた「ご意見番」森田実氏について
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  テレビ東京の夜の生番組「ワールドビジネスサテライト」で
  竹中平蔵経済産業相(当時)と森田氏が討論するという予定
  で招かれたときでさえ、竹中氏は森田氏との討論を拒んだ、
  と番組のスタッフが控え室で待っていた森田氏に告げた。テ
  レビ東京・広報部は5年前の番組に関して覚えている人はい
  ないと回答し、森田氏が言う出来事は起きたように思えない
  と彼は言った。「当方のスタッフの伝え方が悪いことが原因
  となって、森田さんに誤解を与えてしまった可能性が高いよ
  うに思います・・・政権に対して批判的であるか好意的であ
  るかは人選の判断基準には含まれません」とテレビ東京広報
  部は回答した。
       http://www.asyura2.com/07/hihyo6/msg/592.html
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森田実氏の本.jpg
森田実氏の本



posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(3) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする