2007年02月16日

ケータイにテレビ機能は必要か(EJ第2021号)

 携帯電話のテーマを取り上げて29回目です。このテーマはも
う少し続きますが、既に終盤に入っています。ここで今後のケー
タイの使い方に確実に影響を与えるワンセグケータイについて、
述べておくことにします。
 ワンセグが話題になる前にボーダフォンがアナログチューナー
を内蔵した携帯電話を販売したことがあります。しかし、満足す
べき画質が得られず、失敗に終わっています。
 しかし、一度でもケータイでワンセグ放送を見たことがある人
は、その映像の美しさ、安定さにきっと驚嘆すると思います。ア
ナログでは駄目だったのにどうしてワンセグはきれいに受像でき
るのでしょうか。「ワンセグはデジタルであり、デジタル方式の
通信を採用している携帯電話だから部品が共有できるからではな
いか」と考えている人がいるかも知れません。
 実は部品は共有化されていないのです。ワンセグ放送機能付き
携帯電話には携帯電話の通信に使う基板とは別に、デジタル地上
波チューナー用の基板が用意されているのです。ノイズを防ぐた
めに完全な独立機構になっているのです。つまり、ワンセグ付き
携帯電話はなかなかの高級仕様なのです。
 ところで、ワンセグとは一体何でしょうか。
 地上波デジタル放送は、1チャンネルを13セグメントに分け
て送信しているのですが、高画質・高品質の家庭用ハイビジョン
放送には12セグメントが使われるのです。そうすると、1セグ
メントが残りますが、これを使って移動体機器用に同じ番組を配
信することになったのです。そのため「ワンセグ放送」と呼ばれ
るのです。使用する帯域は429キロヘルツとなっています。
 ワンセグ放送の映像サイズは、かつて初期のPCで標準であっ
た解像度VGAの4分の1サイズであり、クオーターVGA(Q
VGA)と呼ばれています。音声はモノラルとステレオが用意さ
れててるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 VGA  640×480 ・・・   初期のPCの解像度
 QVGA 320×240 ・・・ ワンセグ携帯電話解像度
―――――――――――――――――――――――――――――
 さて、地上デジタル放送は、高画質・高音質で送信するときは
12セグメントを使いますが、通常の品質の番組であれば1つの
チャンネルにつき4セグメントしか使わないのです。したがって
3つの番組を同時に放送できるのです。
 そうすると、デジタル地上波テレビの4分の1で、ワンセグは
見られることになります。このことは重要なことです。つまり、
ワンセグは情報量が少ないのです。処理する情報量が少なければ
部品を動作させる時間が少ないので、消費電力は少なくて済むの
です。これがワンセグ放送が携帯電話に向いているといわれてい
る理由なのです。
 なお、当たり前のことですが、ワンセグ放送は電波を受信して
視聴するものですから、何時間見てもパケットなどには一切関係
はなく、NHKに届ける必要もないのです。つまり、テレビにつ
いては完全に無料なのです。
 それにワンセグケータイのテレビ放送は、別売のメモリカード
を装着すると録画できますし、予約録画までできるのです。しか
もこちらはコピーワンスは関係ないのです。そういう意味でもワ
ンセグを使わない手はないのです。
 しかし、ワンセグの普及に関しては、従来から携帯電話に搭載
されているネットアクセスの機能との兼ね合いで、「ネット接続
機能に比べれば、ワンセグは必需品ではないだろう」という人が
少なくないのです。それに呼応してか、一部の有力キャリアはワ
ンセグにはあまり熱心ではないのです。
 確かにケータイはあくまで電話であり、テレビは必需品でない
ことは確かです。しかし、ネット接続機能で便利なのは、メール
と乗り換え案内などの一部の機能であって、ウェブサイトの閲覧
は、たとえそれがケータイ・サイトであっても、もともと向いて
いないのです。それはケータイの画面サイズがあまりにも小さい
からです。それに結構お金もかかるからです。
 それに、音楽データやゲームソフトなどのダウンロードは、既
に述べたように、たとえ「パケットし放題」をつけても非常に高
く、無理してケータイでやる必要はないと思います。
 しかも、ある調査によると、「パケットし放題」をつけている
人でさえ、ネットにつなぐ頻度はせいぜい1日1回でしかないの
です。使っている人はごく一部の人なのです。
 しかし、テレビは違うのです。ケータイを持っていながら、ネ
ット接続はもちろんのこと、メールも通話さえもあまりやらない
人に私はワンセグケータイのテレビ映像を見せたら、それだけで
買いに行った人がいるのです。このように、ネット接続とテレビ
は明らかに違うことを認識すべきです。
 携帯電話にテレビは必要ないという人は、おそらく自らワンセ
グケータイを持っていないでしょう。テレビ付きの携帯電話の便
利さは持っていない人にはわからないものです。
 現在、最も情報が一番早く取得できるメディアは、テレビであ
ると思います。したがって、テレビを持ち歩いていると、即座に
情報を取得できます。ニュースから天気予報、プロ野球や相撲な
どの勝敗はネットでも知ることはできますが、テレビの方がはる
かに簡単で素早く、わかりやすく知ることができるのです。
 ワンセグケータイを持ってはじめて知ったことがあります。た
またま電車の中で、テレビでドラマを見たとき、そのセリフが画
面に文字で表示されたのです。聴覚障害者の文字放送番組ですが
番組数は結構多いのです。
 もちろん、テレビの音声はイヤーホンで聴くことができますが
そんなことをしなくても、画面だけ見ていても十分内容を掴むこ
とができます。今や携帯電話に付いている種々の機能のうち、テ
レビ機能は一番頻繁に使う機能になりつつあります。携帯電話の
常備機能になる可能性があります。 ・・・ [通信戦争/29]


≪画像および関連情報≫
 ・ワンセグに関る経費は・・?
  ―――――――――――――――――――――――――――
  UHF電波を利用するため、テレビの視聴とデータ放送は無
  料である(但し、データ放送から詳しいコンテンツを受信す
  るために放送局とパケット通信する場合はパケット通信料が
  掛かる。この場合、画面にサーバー受信可否を問う画面が必
  ず表示される。)。従来のアナログ放送と異なり、移動時で
  も安定した受信が可能である事から、携帯電話などの携帯機
  器での受信や車載受像機が商品化されている。
                    ――ウィキペディア
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posted by 平野 浩 at 04:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ通信戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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