2005年03月01日

NASAは人面岩に関心を持っている(EJ1542号)

 「光と影のいたずら」といい続けている火星シドニア地区のモ
ニュメントに関して、実はNASAは重大なる関心を寄せている
と考えられます。そのため、マーズ・パスファインダーの着陸地
点をアレス峡谷ではなく、シドニア地区に変更したことは、ホー
グランドの指摘の通りであると思われるのです。
 しかし、火星探査機のフォローは、逐一米国パサディナにある
JPLで行っており、進路変更などすればすぐにわかってしまう
はずです。前回述べたように、JPLは必ずしもNASAのいう
通りにならないからです。これに対してホーグランドは、次のよ
うにいっているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  6月24日から25日にかけて、ロシアの宇宙船ミールに給
 油船が衝突するという事故が起きたが、この事故の第1報が入
 ったとき、人々の関心は一瞬だが、パスファインダーから離れ
 たのです。そのスキを狙って、シドニア地区降下のための進路
 変更が行われたのだ。    ――リチャード・ホーグランド
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ホーグランドによると、NASAはJPLのほかにもうひとつ
の秘密のコントロールセンターを持っており、それはテキサス州
ダラスにあるといっています。その施設は工場地帯の一角にある
としていますが、正確な場所は特定されていません。
 つまり、探査機を追い、その情報を受ける真のコントロールセ
ンターはダラスの施設で行い、そこからニセの情報がパサディナ
のJPLに送られている――ずいぶん大胆な予測ですが、そうい
う可能性も100%否定しきれないのです。
 1997年7月20日――NASAは7月4日の着陸地点から
送られてきた写真とは別に、パスファインダーからのもう一枚の
写真を発表しています。この写真にはラクダのコブのような2つ
の峰――これは「ツインピークス」と呼ばれる峰が写っているの
です。添付ファイルをごらんください。
 ホーグランドは、このツインピークスが、シドニア地区のピラ
ミッドであると主張しているのです。7月22日、NASAはこ
の写真について、アリゾナ大学のピーター・スミス教授を通じて
次のコメントを出しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  ツインピークスの右側の山の中腹に水で削られた跡と見られ
 る窪みが発見されている。(中略)パスファインダーの着陸地
 点は、かつて大洪水に見舞われている。

  これは、丘陵地帯の拡大写真です。ふたつある峰のうち、北
 側(右側)のものです。この写真には頂上部分しか写っていま
 せんが、頂上部分の下もいくつもの層が折り重なった構造であ
 ることも考えられます。     ――ピーター・スミス教授
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 スミス教授のこの発言を踏まえてNASAは、着陸地点には、
かつて洪水が起こった痕跡が残されているのが確認されたと発表
したのです。しかも、そのさいに流出した水の量は、なんと地中
海を満たすほどの規模であったというのです。
 添付ファイルの写真の2つの峰を見てください。向かって右側
の峰は洪水による損傷はひどく、土砂崩れでも起こしたように崩
落しています。しかし、崩れながらも峰は残っています。
 これに対して左側の峰に至っては、洪水による影響をまったく
受けていないように見える――いずれにせよ、地中海を満たすほ
どの水がきたら何もかも流されて平地のようになってしまうはず
なのに、これら2つの峰は残っているのです。堅牢に造られたピ
ラミッドであったからこそ残ったのではないか――これがホーグ
ランドの考え方なのです。
 スミス教授はこれらの峰を「頂上部分の下もいくつもの層が折
り重なった構造」と述べていますが、これはピラミッドの構造そ
のものではないかとホーグランドは主張するのです。もし、2つ
の峰がピラミッドであるとすると、パスファインダーの着陸地点
は、やはりシドニア地区ということになるのです。NASAは、
なぜそんな大事なことに沈黙しているのでしょうか。
 もうひとつ、パスファインダー(MPF)とその1ヶ月前に打
ち上げられたマーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)に関
して奇怪な事件が起きていることをお知らせしておきます。
 1997年6月25日――ロシアの宇宙船ミールが事故を起こ
した日のこと――NASAの上級プログラム・ディレクターを務
めていたガーガン・レイ博士が、メリーランド州ポトマックの自
宅近くで変死体となって発見されたのです。
 しかも、その数日前、カルフォルニア州のパロ・アルトにおい
て、MPFのコンピュータ制御を担当していたエンジニアが、ス
タンフォード大学近くの高級住宅街の立ち木とフェンスの間に挟
まって死体となって発見されたばかりだったのです。
 さらに、MGSの35歳の女性プログラム・マネジャー、メア
リー・K・オルセンが、JPLに出向後に非常に珍しい病気で急
死しているのです。
 NASAの職員が、MPFの着陸と前後して不可解な死を遂げ
ている――しかも、探査機の航行などに深く関わっているプログ
ラム担当の部署に所属する職員が、立て続けに3人も不審の死を
遂げたというのはどう見ても尋常ではないです。
 どのように考えても、NASAは火星に関して発表していない
多くのことを握っています。問題は、なぜそこまでして真相を隠
蔽しようとしているのか――その理由は何かです。
 火星のシドニア地区には人工物が存在している。それは超古代
文明の遺産の一部である。NASAはその事実を公表すべきであ
る――リチャード・ホーグランドはマスメディアを通じ、批判を
繰り返したのです。これに対し、NASAはその批判を払拭すべ
く、はじめて動いたのです。明日のEJでそのことについて詳し
く述べることにします。


≪画像および関連情報≫
 ・写真A
  ツインピークスの全体像
  写真B
  2つの峰の右側の部分をクローズ・アップ
  写真C
  ぼやけているが、黒い構造が規則的に並んでいる。

ツインピークス.jpg


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2005年03月02日

マクダニエル教授はどう裁定したか(EJ1543号)

 火星の人面岩とピラミッド――それがなぜ問題になるのかとい
うと、そのような人工物が本当に火星に存在するのであれば、火
星には知的生命体が存在したことの証明になるからです。
 マーク・カーロット博士――火星表面の構造物が人工的なもの
であるか否かの分析を行った学者ですが、分析の手法として「フ
ラクタル分析」という手法を採用したのです。
 フラクタルというのは、「フラクチュア」(破片)を語源とし
て命名されたもので、自己相似構造を持つ図形を意味します。こ
の理論を用いて分析すると、人工的に造られた物体と周囲の環境
を区別することが可能になるのです。フラクタル分析は1991
年の湾岸戦争でも、砂漠に隠された戦車を発見する手段としても
使われて、効果を発揮しているのです。
 カーロット博士は火星表面の構造物に対してフラクタル分析を
行った結果、少なくとも人面岩に関しては、自然の構造物とは考
えられず、人工物であるとの結論を出しています。
 五角形ピラミッド(D&Mピラミッド)については、地図学や
地形学が専門のエロル・トランが分析をしています。彼はシドニ
ア地区のD&Mピラミッドについて分析した結果、非常に重要な
事実を発見したのです。話が少し専門的になることを勘弁してい
ただくことにして、トランの説を紹介します。
 トランは、まず、五角形を成す岩が自然の作用でできる可能性
は低いと指摘しています。そのうえで、D&Mピラミッドが造り
出す角度について、五角形の内角度の数値が人面岩からピラミッ
ドを結んだ直線から得られる角度にも見られるといっています。
 さらに、D&Mピラミッドの位置――北緯40.868、西経
9.5度)は、きわめて慎重な計算のうえに選ばれたらしいと指
摘したのです。
 そして北緯40.868度という数値の正接関数(タンジェン
ト)の値はe(イー/自然対数の底)を円周率π(パイ)で割っ
た数値に等しいことを発見したのです。この数字はエジブトのピ
ラミッドやスフィンクスとも関連してくるのです。
 これほどの証拠が上がってくると、NASAもホーグランドの
批判をそのままにしておけなくなってきたのです。そこで、NA
SAは、この問題をカルフォルニア州ローランドにあるソノマ州
立大学のスタンレー・マクダニエル名誉教授に公式調査を委嘱し
たのです。
 NASAとしては、マクダニエル教授であればNASAに有利
な裁定をしてくれるであろうと期待して委嘱したと思うのです。
マクダニエル教授は、論理学、哲学、倫理学について30年以上
も教鞭を執るかたわら、コンピュータ関連のマニュアルも数多く
執筆している大物の学者なのです。
 マクダニエル教授は、約1年間にわたって調査を行い、その結
果を1993年に発表したのです。それが、「マクダニエル・レ
ポート」といわれるものです。
 EJで「マクダニエル・レポート」の詳細をお伝えすることは
適当でないでしょう。なぜなら、その内容は非常に難解なものに
なってしまうからです。マクダニエル教授は数学的・幾何学的に
アプローチしているからです。
 それでは、マクダニエル教授のこの問題に関する裁定結果はど
うだったのでしょうか。
 マクダニエル教授は、NASAの思惑とは逆の結論を出してい
るのです。つまり、NASAに非があったことを明らかにして、
ホーグランドの報告を非常に科学的であり、すべての調査が信頼
に値する各分野の専門家によってなされているとして、その内容
を高く評価したのです。
 この結論は、発表と同時に全米に大きな反響を巻き起こしたの
です。なぜなら、米国の国民が絶対的な信頼を寄せているNAS
Aがウソをついていたことが明らかになったからです。NASA
はその実態は確かに軍事機関ではありますが、あくまで表向きは
民主的機関を装っており、米国国民からは絶対的信頼を勝ち得て
いたからです。このレポートによって、その信頼の一角が崩れた
ことになります。
 それにしてもなぜNASAは、そのようなリスクを冒してまで
真相を隠そうとしたのでしょうか。
 これについてマクダニエル教授は、NASAの行動を縛ってい
るのは「ブルッキング・レポート」の存在であると言明している
のです。
 「ブルッキング・レポート」とは何でしょうか。
 これは、1958年、NASAの設立にあたって、ワシントン
D.Cにあるブルッキング研究所が、宇宙探査に関する指針を示
した文書を作成し、下院に提出したのです。これが「ブルッキン
グ・レポート」と呼ばれるものです。
 このレポートがなぜ問題なのでしょうか。それは、同レポート
の215ページの記述を見れば明らかです。このレポートの内容
は、平和利用のための宇宙探査と宇宙開発に関するものが中心な
のですが、216ページには地球外生命体について言及している
のです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  知性を持った地球外生命体との遭遇は、あと20年間は発生
 しないであろう。しかし、今後の月、火星および金星に関する
 宇宙探査の過程において、彼ら地球外生命体がかつて建造した
 構造物が発見されるかも知れない。
            ――「ブルッキング・レポート」より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この指摘は驚くべきものです。既に1958年において、「地
球外生命体がかつて建造した構造物」が発見される可能性を指摘
しているからです。おどろくべき予見といえます。
 これによると、NASAは最初から惑星上においてそういう構
造物が存在する可能性を予測し、そのための探査を行っているこ
とになります。


≪画像および関連情報≫
 ・「ブルッキング・レポート」には、次のようなことも書かれ
  ている。

   人類の歴史において、ある文明がまったく異なる高度な文
  明に出会ってしまったために、重大な危機に陥ってしまった
  例は枚挙にいとまがない。だから、地球外生命体と遭遇した
  場合、発生する影響を考慮したうえで、情報をいかに操作す
  るかが問題になる。
   地球外生命体の存在を公表した場合、最も危険な集団とし
  ては、用心深い人々および非科学的思考を持つ人々があげら
  れる。こういった集団が、いかなる情報に敏感に反応するか
  を考慮しなければならない。彼らにとっては、地球外生命体
  にせよ、それらが構築した構造物にせよ、脅威でしかありえ
  ないのだ。科学者や技術者にとっても、人類を万物の霊長と
  する概念を出発点としてしている限り、はるかに高度な、し
  かもまったく異質の文明に接することは危険でさえある。
            ――「ブルッキング・レポート」より

マクダニエル・レポート.jpg


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2005年03月03日

JPLにあってNASAにないもの(EJ1544号)

 これから火星のテーマは、その地表にあるとされる人面岩につ
いて述べていくことになりますが、そこにはNASAやJPLの
虚々実々の駆け引きがあり、話がかなり複雑になっています。そ
こで、もう少し前提条件について述べておくことにします。
 そもそもマーズ・オブザーバーからはじまる米国の火星探査の
目的は、表面上は気象学的、地誌学的調査などのもっともらしい
目的がついているものの、実はシドニア地区の人面岩などの調査
に絞られているのです。
 それも尋常の力の入れ方ではなく、巨費を投入して数多くの探
査機を火星に送り出しているのです。1992年9月打ち上げの
マーズ・オブザーバーから数えて、実に8機を火星に送っている
のです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                   打上年     成否
 マーズ・オブザーバー       1992     失敗
 マーズ・グローバル・サーベイヤー 1996     成功
 マーズ・パスファインダー     1996     成功
 マーズ・クライメートオービター  1998     失敗
 マーズ・ポーラーランダー     1999     失敗
 マーズ・オデッセイ        2001     成功
 スピリット            2003     成功
 オポチュニティ          2003     成功
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 しかし、世間では「火星の人面岩」などというと、何かいかが
わしいもの、妄説としてとらえられています。UFOと同じ扱い
で、まともな新聞・雑誌では一切取り上げられていないのです。
 これは、NASAの徹底的な情報操作がもたらしたもので、当
のNASAはシドニア地区の異常構造物について、巨費を投じて
調査を続けているのです。
 現在、火星の情報の99%は米国に握られています。しかし、
唯一、2003年6月2日に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関
(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」が火星の周回
軌道に乗ることに成功しているのみで、過去の探査船はすべて失
敗しているのです。
 このESAのマーズ・エクスプレスは、軌道周回機と着陸機で
ある「ビーグル2」によって構成されているのですが、ビーグル
2は、2003年12月12日に火星への着陸に失敗しているの
です。ロシアにいたっては、ソ連時代に15回、ロシアになって
1回、計16回火星に探査機を出しているのですが、ことごとく
失敗しているのです。どこか、異常だと思いませんか。
 NASAとJPLの関係については、2月28日のEJ第15
41号で述べましたが、もう少し詳しく述べることにします。
 JPLにあってNASAにないもの――それは「DSNシステ
ム」というものです。DSNというのは、ディープ・スペース・
,ネットワーク/深宇宙電信網の略です。
 ここで宇宙開発におけるNASAとJPLの役割分担について
知っておく必要があります。スペースシャトルを例にとって説明
しましょう。
 スペースシャトルの場合、打ち上げおよび着陸は、「ケープカ
ナベラル宇宙センター」で行われます。しかし、打ち上げ直後か
ら着陸直前までは、「ゴダード宇宙センター」が直接管理するこ
とになっています。
 ゴダード宇宙センターには、STDN――スペースフライト・
トラッキング・アンド・データ・ネットワークと呼ばれるシステ
ムがあります。ここはNASAのNASCOM――コミュニケー
ション・システムの中枢であり、パイロットの健康状態からエン
ジンの調子まで、すべての情報はSTDNを通してヒューストン
の本部に送られるのです。
 ここまではNASAの担当ですが、ロケットが地球の衛星軌道
を離れ、惑星間航行に入るとNASAからJPLに管理が移され
るのです。そこからは、JPLのDSNシステムがデータを収集
し、分析をするのです。ボイジャーやパイオニア、それにガリレ
オといった探査機の映像は、すべてがJPLのDSNシステムに
よって解析されているわけです。つまり、このDSNシステムが
ある以上、NASAはJPLに依存せざるを得ないわけです。
 DSNシステムはNASAの歴史よりも古いのです。1950
年代において、JPLは米国陸軍と契約を結んだのですが、その
さいにミサイルの飛行情報管理システムとして開発したものが、
DSNシステムの基礎となったのです。
 それ以来、50年以上かけて改良が加えられ、数億キロかなた
にある複数の探査機を同時に遠隔操作でき、送信されてきた莫大
なデータをきわめて短時間で処理するという驚くべきシステムに
変貌を遂げているのです。
 なお、DSNシステムを支えるパラボラアンテナは、直径63
メートルもある巨大なもので、次の地域に設置されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      カルフォルニア州ゴールド・ストーン
      スペイン/マドリッド
      オーストラリア/キャンベラ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 NASAは軍事機関であることを理由にJPLに対して圧力を
かけ、データの隠匿や改ざんを要求するのですが、JPLはこれ
に反発し、表面上は従うフリをして、重要データを無修正でイン
ターネットで流したりするのです。シドニア地区の情報もこのよ
うにして外に流出したのです。既出のリチャード・ホーグランド
も、JPLから情報をもらっていたといわれています。
 NASAは、JPLがこのように深く介在するシステムでは、
情報の流出は防げないとして、非常手段に打って出たのです。そ
れは、JPLとは別のDSNシステムを構築し、秘密のコントロ
ール・センターを設置することだったのです。


≪画像および関連情報≫
 ・ソ連の火星探査計画失敗の軌跡(年号は打上日)
  名前なし ・・・・・・ 1960.10.10
  名前なし ・・・・・・ 1960.10.14
  名前なし ・・・・・・ 1962.10.24
  マルス1 ・・・・・・ 1962.11. 1
  名前なし ・・・・・・ 1962.11. 4
  ゾンド2 ・・・・・・ 1964.11.30
  コスモス419 ・・・ 1971. 5.10
  マルス2 ・・・・・・ 1971. 5.19
  マルス3 ・・・・・・ 1971. 5.28
  マルス4 ・・・・・・ 1973. 7.21
  マルス5 ・・・・・・ 1973. 7.25
  マルス6 ・・・・・・ 1973. 8. 5
  マルス7 ・・・・・・ 1973. 8. 9
  フォボス1 ・・・・・ 1988. 7. 7
  フォボス2 ・・・・・ 1988. 7.12
  マルス96 ・・・・・ 1996.11.16/ロシア

DSNパラボラアンテナ.jpg


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2005年03月04日

探査機をスペース・ハイジャックする(EJ1545号)

 宇宙探査技術において米国が突出していることは確かです。し
かし、旧ソ連/ロシアが16回も挑戦してすべて失敗に終わって
いるというのは、かつて宇宙開発競争では米国を凌駕していたロ
シアとしては、少し不可解な状況であるといえます。
 逆に米国の不可解さといえば、次の3つの探査機が失敗してい
ることです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  1992年/マーズ・オブザーバー
   ・火星到着直前の1993年8月21日通信途絶
  1998年/クライメートオービター
   ・火星到着直前の1999年9月23日通信途絶
  1999年/ポーラーランダー
   ・火星到着直前の1999年12月3日通信途絶
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 米国ほどの技術を持っていて、いずれも判を押したように火星
到着直前に突如として通信途絶――これはどうみても不可解その
ものといえます。
 旧ソ連も最初の7台ぐらいまでの探査機の失敗は、技術力に問
題があったといえると思いますが、8台目のマルス2号は火星の
表面にペナントを残しているし、マルス3号からは写真撮影には
成功し、技術力を高めてきていたのです。
 そして1988年7月のフォボス1号とフォボス2号について
は、その技術レベルが失敗するはずがないレベルに達していたの
です。しかし、既に述べたように、フォボス1号については火星
に行く途中で通信途絶になり、フォボス2号は衛星フォボスに接
近する寸前にやはり通信が途絶してしまっています。UFOに撃
墜されたという説はとても信ずるに値しないと思うのです。
 真偽のほどは分かりませんが、旧ソ連のフォボス計画失敗につ
いては、米国が破壊工作に関与した疑いがあるのです。NASA
は火星に関しては隠していることがたくさんあるので、米国以外
の国の探査機が無事に火星に来て欲しくないのです。火星探査は
表面上は平和利用をうたっていますが、宇宙飛行士は軍人ですし
宇宙探査は軍事行動という側面もあるのです。したがって、国益
にかかわるという事態になれば、他国の探査機を排除することも
十分あり得るのです。
 探査機は多くの部品からできていますが、戦時中ではないので
これらの部品はすべて自国製のものを使うわけではなく、諸外国
――とくに宇宙開発の先進国である米国の部品を使うことが多い
のです。
 米国は軍需産業ルートを使って、フォボス計画に参加するヨー
ロッパ側の要人と内通し、フォボス1号と2号の両方に米国製の
秘密の基盤を組み込ませることに成功したのです。この基盤はあ
る特別な周波数を感知すると、姿勢制御ブースターが破壊するよ
うに設計されていたのです。
 ソ連のフォボス計画の場合、1号と2号を同時に暴走させると
不審に思われるので、最初に1号を破壊し、2号については火星
軌道に入り、軌道変更した時点で破壊したのです。つまり、米国
は、他国の探査船をこのようにして排除する技術も既に持ってい
たことになります。
 さて、NASAにとっては、他国の探査機よりももっとやっか
いな相手がJPLなのです。JPLにあってNASAにないもの
――それはDSNシステムです。DSNシステムさえあれば・・
とNASAは考えても不思議はないのです。
 NASAは米国政府の機密予算ブラック・バジェットから資金
を引き出し、JPLのとは別に秘密のDSNシステムを構築して
しまったのです。このNASA版DSNシステムは、ホーグラン
ドの指摘通り、ダラスにあるといわれます。大型ビルの地下深く
に「シークレット・コントロール・センター」があって、そこに
NASA版DSNシステムが設置されています。
 NASA版DSNシステムの性能は、JPLのそれを上回ると
いわれており、そういう意味でNASAは既にJPLを必要とし
ていないのです。しかし、表の顔としては不可欠ですが・・。
 宇宙からの信号をキャッチするためのパラボラアンテナは地上
ではなく、高度3万6000キロの静止軌道上に軍事衛星として
宇宙に浮かんでいるのです。その数は3機――巨大なパラボラア
ンテナを宇宙に向けているのです。場所は、太平洋上空、大西洋
上空、そしてインド洋上空の3つです。
 NASAは、2つのDSNシステム――JPLのDSNとNA
SAの秘密のDSN――これをどのように使い分けているのでし
ょうか。はっきりしていることは、あくまでDSNシステムは、
JPLのひとつであり、それ以外のDSNシステムはあり得ない
――こういう建前に立っています。
 このNASA版のDSNシステムの存在を前提とすると、冒頭
の3つの米探査機の通信途絶事件の謎は簡単に解けてきます。こ
れらの探査機は、JPLのコントロールからNASAがスペース
・ハイジャックしたものと思われます。
 すべてにおいて順調だったマーズ・オブザーバーは、1993
年8月21日に火星の周回軌道への投入の直前に突如通信が途絶
えたのです。その犯人はNASAです。NASAはあらかじめ発
信信号が自動変換する基盤をマーズ・オブザーバーに埋め込み、
NASA版DSNシステムを使ってそのコントロールを乗っ取っ
たのです。これには米空軍も一枚噛んでいるのです。
 信号が変換されてしまうと、JPLのDSNシステムには情報
は入ってこなくなり、通信途絶状態になるのです。通信が途絶え
た以上、何らかの故障が生じたと考えざるを得ないのです。
 その時点でマーズ・オブザーバーのコントロールはNASAに
委ねられ、JPLに気づかれることなく、極秘裏に火星の探査が
進められることになります。同じく通信途絶になったクライメー
ト・オービターとポーラーランダー――これについては、来週の
EJで述べることにします。


≪画像および関連情報≫
 ・添付写真「マーズ・オブザーバー」(貴重な写真)
  マーズ・オブザーバ探査機は、バイキング探査機以降途絶え
  ていたアメリカの火星探査機である。火星表面の元素分布測
  定、高度分布測定、火星表面・大気温度測定、磁場測定など
  を行う予定だったが、火星周回軌道投入3日前に通信が途絶
  一般的には推進系の不具合が原因と考えられている。

1545号


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2005年03月07日

火星における表の情報と裏の情報(EJ1546号)

 NASAはJPLを出し抜いて火星の真の秘密を守るために、
密かに独自のDSNシステムを構築したのです。その結果、火星
に関する情報には表の情報と裏の情報が存在することになったの
です。つまり、真の情報は裏の情報としてNASAが握っていて
それにフィルターをかけた情報が表の情報として世界に公開され
ているのです。
 1992年から1999年までの米国が打ち上げた火星探査機
を並べてみます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1992年 9月25日/通信途絶
  ・マーズ・オブザーバー
 1996年11月 7日/成功・継続的に火星表面探査
  ・マーズ・グローバル・サーベイヤー
 1996年12月 4日/成功・初めての火星着陸
  ・マーズ・パスファインダー ・・・・
 1998年12月11日/通信途絶
  ・マーズ・クライメイトオービター
 1999年 1月 3日/通信途絶
  ・マーズ・ポーラーランダー
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 そもそもの発端は、1976年のヴァイキング1号が撮影した
シドニア地区の写真「35A−72」と「70A−13」にある
のです。ここに人面岩が写っていたからです。
 なぜ、この写真が流出したのでしょうか。
 実は当初からNASAはシドニア地区のピラミッド構造物に関
心を持っていたのです。しかし、人面岩には気づいていなかった
と思われます。NASAとしては、まだはっきりしていない事実
に関しては公表を控えるという方針で臨んでおり、探査機から送
られてくる膨大な画像に関してそれに該当するものがあれば、申
告するようJPLに申し渡していたのです。
 しかし、JPLはうっかりミスを装って、「35A−72」と
「70A−13」の写真を外に流してしまったのです。ところが
そこには例の人面岩が明確に写し出されていたのです。この写真
をめぐって世界では大騒ぎになります。NASAは「光と影のい
たずら」とコメントしますが、騒ぎは沈静化しなかったのです。
 そこでNASAとしては、密かにシドニア地区の徹底調査が必
要であると考えます。当時NASAの技術顧問をしていたコーネ
ル大学のカール・セーガン博士は、シドニア地区の探査を目的と
するマーズ・ミッションの必要性を強調したのです。
 そこで、NASAははじめてとなる火星探査機をシドニア地区
に着陸させることにしたのですが、表向き着陸地点はアレス峡谷
ということにしたのです。これをめぐって、NASAとカール・
セーガンは相当衝突したと伝えられています。
 NASAがこの決定をしたとき、ちょうど旧ソ連が火星探査機
フォボス1号と2号を打ち上げる時期に当たっていたのです。こ
の探査機は成功する可能性があり、これによってシドニア地区の
情報が漏れたら大変なことになる――そう考えたNASAはフォ
ボス1号と2号の破壊を実施したのです。乱暴なようですが、宇
宙開発は戦争と同じであり、国益に関わると考えれば米国は何で
もやるのです。
 そして、当面の脅威がなくなった1992年、NASAはマー
ズ・オブザーバーを打ち上げます。そして、かねてからの計画に
したがって、NASA版DSNシステムによってスペース・ハイ
ジャックし、マーズ・オブザーバーをシドニア地区に着陸させた
のです。もちろん、世界にはマーズ・オブザーバーは通信が途絶
して失敗したと公表したわけです。
 シドニア地区に密かに着陸したマーズ・オブザーバーはシドニ
ア地区の予備調査を行ったものと思われますが、この情報はもち
ろんJPLには知らされず、NASAだけが握っているのです。
 予備調査を終えたNASAは、1996年にマーズ・グローバ
ル・サーベイヤーとマーズ・パスファインダーを打ち上げて、い
ずれも成功させています。巧妙なことに、このミッションはJP
Lに探査機のフォローをまかせて、表のミッションとしているこ
とです。もちろん、NASAはダラスのシークレット・コントロ
ール・センターでJPLのフォローをチェックしているのです。
 マーズ・グローバル・サーベイヤーは、周回軌道による火星の
マッピングを行うとともに、地下構造も詳細に分析して、全火星
的な人工構造物の位置と大きさを把握しています。
 マーズ・パスファインダーは、1997年9月27日に火星地
表にはじめて無事軟着陸した米国の探査機となっていますが、そ
の着陸場所は本当はシドニア地区なのにアレス峡谷と公表されて
いる経緯は既にお話しした通りです。
 マーズ・パスファインダーは、探査車ソジャナーを発進させて
シドニア地区をくまなく調べています。ソジャナーには地下構造
を探る機能があり、人面岩の内部構造を把握することができたは
ずです。しかし、情報の多くは伏せられています。JPLもあま
り派手にリークはできないからです。
 1998年12月に打ち上げられたマーズ・クライメート・オ
ービターは、1999年3月に通信が途絶していますが、これは
裏のミッションなのです。このオービターとセットでミッション
を行うマーズ・ポーラーランダーも、当然のことのように極地方
の着陸に失敗、通信が途絶していますが、この2機もNASAに
よるスペース・ハイジャックが行われているのです。
 マーズ・ポーラーランダーはNASAの誘導によって、極地方
を通過して軌道を変更し、シドニア地区に到着――2機の小型探
査機マイクロ・プローブを放出して人面岩の掘削作業を行ってい
るのです。そして、これらの情報はすべてNASAが独占的に把
握しています。
 人面岩とは何なのでしょうか。そして、人面岩の現状はどうな
っているのでしょうか。今週はそれを探ります。


≪画像および関連情報≫
 ・写真/シドニア地区の3D画像

1546号.jpg


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2005年03月08日

変形している人面岩/NASA公開(EJ1547号)

 1998年3月26日、NASAはマーズ・グローバル・サー
ベイヤー(MGS)がシドニア地区の人面岩の観測を開始すると
発表します。関係者はこれに大きな期待を抱いたものです。NA
SAが人面岩の観測を口にすることは珍しいこと、それにMGS
に搭載されているカメラが非常に高度なものだったからです。
 MGSのカメラの解像度は、1画素で約4.3メートル四方を
カバーでき、ヴァイキングのカメラの解像度の10倍も高いので
もっと鮮明な人面岩の写真が見られると期待したのです。
 そして、NASAが発表した10日後の4月5日、人面岩の最
新画像が公開されたのです。NASAによると、この写真の画像
解析は、カルフォルニア州サンディエゴにある「マリン・スペー
ス・サイエンス・システムズ」によって行われ、JPLに送られ
インターネットを通じて世界に発信されたのです。
 しかし、その写真には人面岩など写っていなかったのです。高
さ800メートルと計算されている人面岩はどこにも見当たらな
いのです。ただ、よく見ると、変形した楕円形の模様がうっすら
とあることがわかる程度です。添付ファイルの写真Aです。
 これは、強いていえば人面に見えなくもないといった程度であ
り、まさにNASAのいう「光と影のいたずら」以外の何もので
もなかったからです。NASAの技術者の「してやったり」とい
う顔が浮かんでくるような写真であるといえます。
 人面岩の存在を信じる科学者たちは、この写真は意図的に修正
されていると判断し、画像の再解析をはじめたのです。その中心
人物は、米国海軍天文台の天体力学部長トマス・ヴァン・フラン
ダーン博士です。
 人面岩の最大の特徴は左右対称性にあります。しかし、MGS
が撮影した人面岩は左右対称性が崩れ、向かって左側が大きくな
り、代わって右側が縮んだように小さくなっているように見えま
す。そのように見えるのは、火星の冬独特の砂塵や雲の影響と考
えられるのですが、NASAはあえてそういう写真を選んで公開
したと考えられます。それとも、何かによって右側が崩されとも
いえるのです。
 フラン・ダーン博士は、まず、NASAの写真の陰影を強調し
てみたのです。そうすると、顔の造作がはっきりとしてきます。
これが添付ファイルの写真Bです。これなら、人面らしきものが
浮かび上がってきます。
 フラン・ダーン博士は、次に太陽光の当たり具合と明度を調整
し、顔の中央に鼻がくるように修正したのです。これでかなり顔
の輪郭がはっきりとしてきたのです。これが添付ファイルの写真
Cです。大きな疑惑とされるのは、NASAは本当はこのように
撮れている写真を修正して写真Aのようにしたのではないかとい
うことです。
 これに対してNASAは、2001年5月24日にさらに人面
岩の写真を公開しています。それが添付ファイルの写真Dです。
この写真は、1998年のものに比べると左右対称ははっきりし
ており、このことから考えても、1998年の写真には意図的な
修正があったことは間違いないと考えられます。
 NASAが公開した人面岩の写真Dを見ると、右側が相当崩れ
てはいるものの、少なくとも自然のものではなく、人工物である
ことは確かであるといえます。NASAは明言こそしていません
が、それが人工物であることを暗に認めたと考えて間違いないと
思われます。
 もうひとつ写真Dをよく見ると、これは人面というよりも猿に
近い容貌ではないかと考えられます。実際の人の顔に比べて額が
狭いからです。専門家によると、骨相学的には人面よりも猿面に
近いといえるということです。
 しかし、ここに興味ある指摘があります。リチャード・ホーグ
ランドが率いる「独立火星調査団」のメンバーであるコンピュー
タ技師のマーク・カーロットの次の指摘です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 人面岩の映像を詳細に解析した結果、眼窩に眼球が存在し、瞳
 も存在する。さらに目から頬にかけて涙の跡らしいものが認め
 られる。             ――マーク・カーロット
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「涙を流している」と考えると、やはり猿面ではなく人面と考
えられますが、モニュメントとして、あえて「涙」を構築したと
すると、そこには何らかのメッセージがあるということになりま
す。一体何を伝えようとしたのでしょうか。
 「涙を流す石像」は地球上に存在します。その場所は、南米ボ
リビアのアンデス高地――標高4000メートルの高原にあるプ
レインカ時代のティアワナコ文明の遺跡です。そこにカラササヤ
神殿があるのですが、その手前に「太陽の門」といわれる高さ約
3メートルほどの石像物があります。太陽の門は、チチカカ湖と
いう湖の近くにあります。
 その太陽の門の正面に、ひとりの神が前を向いた姿で描かれて
いるのです。神は両手に杖を持ち、空中に浮かんでいます。頭部
の額は狭く、インディアンがつけるように鳥の羽根でできた冠を
かぶっています。角ばった顔からはふたつの丸い目が見開き、そ
こから涙が数滴、頬を伝わって流れているのです。添付ファイル
写真Eをごらんください。
 この石像の神は、火星の人面岩とよく似ています。ホーグラン
ドによれば、約50万年前、シドニア・シテイから人面岩を見る
と、ちょうど口元のあたりから太陽が昇ったというのです。そう
であるとすると、「人面岩=太陽の門」という図式も成立するこ
とになります。
 この神は、古代インカの神話に登場する主神「ヴィラコチャ」
という創造主ではないかといわれています。天地をあまねく照ら
す太陽神であり、光そのものを象徴しているのです。その神のい
る門であることから太陽の門といわれるのです。なお、火星には
「インカ・シテイ」と呼ばれる場所もあるのです。


≪画像および関連情報≫
 ・写真のメモ
  写真A
  ・NASA1998年公開/MGSによる人面岩
  写真B
  ・フラン・ダーン博士解析@/陰影を強調
  写真C
  ・フラン・ダーン博士解析A
   太陽光の明度を調整し、鼻を中央に持ってくる
  写真D
  ・NASA2001年公開/MGSによる人面岩
  写真E
  ・プレインカ遺跡/太陽の門「ヴィラコチャ」

1547号.jpg


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2005年03月09日

人面岩は人間とライオンの融合物である(EJ1548号)

 昨日のEJで火星の「インカシテイ」について触れましたので
今朝はこの話からはじめます。
 1971年5月30日のことです。米国は火星探査機の「マリ
ナー9号」を打ち上げます。マリナー9号は同年11月13日に
世界ではじめて火星の周回軌道に乗ることに成功し、火星表面の
70%をカバーする7329枚の写真を撮影し、地球に送ってき
たのです。
 その中の1枚――南経80度、東経64度の南極付近の写真に
奇妙なものが写っていたのです。それは、ほぼ正確に4〜5キロ
の幅で区切られた遺跡のような地形なのです。添付ファイルの写
真Aをごらんください。
 NASAの科学者ジム・カッツと国立地質調査所のラリー・ソ
ダーブロムは、ヴァイキング計画のためにマリナー9号の写真を
チェックしているときにこの不思議な地形を発見――見た目の第
一印象から「インカ・シテイ」と名づけたのです。
 「インカ・シテイ」の名前のもとになったのは、南米ペルーの
インカ遺跡マチュピチュ――正確な長方形が整然と並んでいると
ころなど、共通点は確かに多いです。インカ遺跡マチュピチュに
ついては、添付ファイル写真Bをごらんください。
 しかし、そのときからNASAは一貫して「自然の光と影のい
たずら」という主張をしており、当のジム・カッツは建前上、こ
れは自然の地形であると述べる一方で割り切れないものを感じて
いたと思われます。自然の産物にしては、あまりにも不気味な規
則性があり過ぎるからです。ラリー・ソダーラムとその同僚のハ
ロルド・マサースキーも地質学者として、「自然の地形としては
ほかに類例がない」と述べています。
 しかし、NASAの科学者アーデン・オルビー博士は、CNN
との会見で、次のように述べて、人工物であることを否定してい
るのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  地盤に強い圧力がかかった場合、比較的、軟らかい部分が押
 し固められ、それ以外がやがて侵食される。インカ・シテイは
 そうした地形の一例に過ぎない。――アーデン・オルビー博士
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 火星と地球では重力や気候などの環境が違うものの、地形の形
成メカニズムについては、同じように扱うことができる――これ
がNASAの科学者の意見のようです。それならどうして地球上
で、インカ・シテイに似た構造がひとつも見つからないのでしょ
うか。NASAの主張には説得力が欠如しています。
 このように、火星にはシドニア地区だけに異常構造物があるの
ではなく、いろいろな場所にそういうものが発見されているので
すが、NASAは公式には一向に認めようとしないのです。
 ここで、もう一度人面岩の話に戻りましょう。
 マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)が撮って、20
01年にNASAが公表した真上から撮った人面岩の写真――ホ
ーグランドは、これに対してさまざまな分析をしています。人面
岩の顔を左右半分にカットして、それぞれを鏡合わせにする――
例えば、左半分をカットしてそれから右半分を作成して貼り合わ
せて左右対称の顔にする――これを鏡合わせというのです。
 このようにして左半分を合成すると、写真Cのように動物の顔
になるのです。これに少し手を加えたものが写真Dです。これは
まさしくライオンの顔そのものです。
 同様にして右半分を合成すると写真Eのようになります。これ
は若干猿の顔に似ており、人間の顔に近いと考えられます。目を
補正すれば人間の顔になると考えられます。ちなみに、ヴァイキ
ングが撮影した人面岩についても同じことをやっていますが、同
様の結果になっています。
 このことから、火星の人面岩は人間の顔とライオンの顔との融
合の産物なのです。人間とライオンの融合というと、エジプトの
スフィンクス――首から上は人間、下はライオン――を連想する
と思います。ピラミッドといい、人面岩といい、火星とエジプト
文明は何かがつながっているのです。
 スフィンクスといえばそこに大きな謎があるのです。スフィン
クスは第2ピラミッドの参道脇にある大スフィンクス像のことで
すが、このスフィンクスは侵食がひどく、これまで何度も修理が
行われてきているのです。同時期に建造されたといわれている河
岸神殿はビクともしていないのに、なぜスフィンクスだけがそん
なに傷んでいるのでしょうか。
 1973年にフランスの数学者であるR・A・シュワレ・ド・
リュピタは、大スフィンクスの頭部以外は水による侵食を受けて
いると指摘しています。しかし、エジプトのカイロは、ここ数千
年間乾燥状態にあり、ほとんどまとまって雨が降らないのです。
したがって、水による侵食はあり得ない――こういうわけでリュ
ピタの説は誰も注目しなかったのです。
 しかし、そうともいえなくなってきたのです。スフィンクスを
含む三大ピラミッドの建造年代に疑問が出てきたからです。つま
り、これが建造されたのは1万2000年以上前のことであると
いう説が出てきたからです。
 これについては、改めてテーマを設けて述べることにして、も
う一度人面岩に戻ります。MGSの人面岩の画像をもとにして作
られた3D画像があります。添付ファイルの写真Fですが、上は
東、下は西から人面岩を見ています。下の画像を見ると、2つの
コブがはっきり見えます。これが「ツインピークス」と呼ばれる
ものですが、何のことはない。人面岩なのです。
 マーズ・パス・ファインダー(MPF)から最初に送られてき
た写真に「ツインピークス」は写っていたのですが、これは人面
岩を西から撮影したものであり、MPSの着陸地点がアレス峡谷
ではなく、シドニア地区であることの証拠になります。つまり、
カール・セーガン基地は、人面岩のあるシドニア地区ということ
になるのです。


≪画像および関連情報≫
 ・写真メモ
 ・写真A−−MGSの撮影したインカ・シテイ
  写真B−−インカ遺跡マチュピチュ
  写真C−−左部分の合成写真――ネコ科の動物の顔
  写真D−−写真Cの補正写真――ライオンの顔
  写真E−−右部分の合成写真――人間の顔
  写真F−−MGS撮影の人面岩の3Dグラフィックス

1548号.jpg


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2005年03月10日

独自理論/ハンコックとヴェリコフスキー(EJ1549号)

 火星のテーマを取り上げてから、今日で28回目になります。
そろそろテーマのしめくくりをはかる必要がありますが、今後の
展開として、次の2つの方向があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1.火星には超古代文明が存在していた可能性があるが、それ
   はエジプト文明と関連が深い。この火星と地球をめぐる壮
   大なコネクションを探っていく方向
 2.火星に超古代文明が存在していたとしても、それがどうし
   て崩壊してしまったのか。その謎を探り、火星再生計画を
   進める方法について探っていく方向
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 いずれも大きなテーマであり、それぞれがひとつのテーマにな
る内容があります。そこで、これらの両方にまたがる問題をこの
あと続けてこのテーマはひとまず終了し、時期を改めて上記2つ
のテーマに挑戦したいと考えています。
 「火星には超古代文明が存在した」――既にこの段階で抵抗を
感じてしまう人も少なくないと思います。しかし、火星上に展開
する数多い異常構造物――これらはどのように考えても人工物と
しか思えないものばかりです。
 現在でもNASAはこれらの異常構造物を人工物とは明確に認
めていませんが、内部的にはそれらが人工物であるという仮説に
立って、数多くの火星探査機を火星に飛ばすことによって、その
細部を詳しく探ろうとしています。
 かつては、「火星には生物がいるかいないか」に興味の中心が
あったのですが、現在では「火星の超古代文明はどのようなもの
であったか」とか「その超古代文明はどのようにして滅びたか」
また「その超古代文明と地球とはどのような関係にあるのか」と
いう火星に何らかのかたちでETI――地球外知性体/エクスト
ラテレストリアル・インテリジェンスが存在したことを前提とし
て、それがどうなったかを研究することに興味の焦点は移ってい
ると感じます。
 グラハム・ハンコックという人物をご存知でしょうか。
 グラハム・ハンコックは、『神の刻印』『神々の指紋』『天の
鏡』(いずれも翔泳社刊)などの世界的ベストセラーの著者なの
です。これらの本は世界で500万部以上を売り上げ、27の言
語に翻訳されているといわれます。
 ハンコックは、人類の歴史および前史に関して正統な疑問を呈
し、大衆的な盛り上がりを背景に主流派学者の凝り固まった見解
に挑みかかる人物として認識されるようになってきています。
 このグラハム・ハンコックは、火星にはかつてETIが存在し
たことを前提として、火星の超古代文明が滅んだ原因は、彗星、
もしくは小惑星の火星への激突ではないかと推測しています。彼
は火星だけではなく、地球もまた、かつて小惑星が激突し、それ
が原因で失われた文明が存在するのではないかという仮説を立て
ていることでも知られています。
 火星の表面を見ると、数多いクレータが見られます。これは隕
石の衝突によってできるものです。中には、火星の直径の8分の
1以上のスケールを持つクレータもあるのです。したがって、グ
ラハム・ハンコックのいう小惑星の激突によって火星の超古代文
明が滅亡したというのはそれなりに根拠があります。
 ここで注目すべきは火星の海なのです。火星に超古代文明が存
在したということは、火星には豊富な水があったということを意
味します。もちろん海もあったのです。その海の水はどこに行っ
たのかということです。
 火星の海を消滅させたものは何か――火星の海を消滅させたカ
タストロフィこそが火星の超古代文明を滅亡させた原因ではない
かというわけです。そのカタストロフィは、小惑星が地球に激突
したということなのでしょうか。
 小惑星が地球に激突した場合、海の水はどうなってしまうので
しょうか。仮に小惑星が海に激突したとしたら、一体何が起こる
のでしょうか。
 小惑星が海に激突したら、想像を絶する高波が大陸を襲い、高
熱で大量の水が水蒸気になるはずです。つまり、火星は灼熱のス
チーム状態となるわけです。しかし、その水蒸気はどこに行って
しまうのでしょうか。
 現在火星に残るクレータから逆算して衝突した隕石の大きさを
計算しても、海の水を一挙に失わしめるほどの隕石が衝突したと
は考えられないのです。つまり、多少大きい隕石が火星に激突し
ても、海の水が一挙に失われることはあり得ないのです。
 アカデミズムは、数億年かけて水は少しずつ失われていったと
していますが、これについてもそれを裏づける実証データは一切
ないのです。NASAは学者の集まりであり、当然アカデミズム
の側に立っています。
 海の水が一挙に失われるほどのカタストロフィは、隕石や彗星
小惑星クラスのものではなく、もっと巨大な天体が関与しなけれ
あり得ない――それは想像を絶する天体の動きというものが前提
となるのです。具体的には巨大天体による火星とのニアミス――
つまり、大天変地異がそれにかかわっているとしか考えられない
のです。これには、惑星形成論が深く関連してきます。
 ここにアカデミズムが最も忌み嫌い、恐れる理論がこの問題に
かかわってきます。それは「ヴェリコフスキー理論」といって、
かつてNASAが徹底的に攻撃して、葬り去ったはずの理論なの
ですが、火星の大気のほとんどを奪い取り、海の水を一挙に消滅
させる大天変地異を説明する理論なのです。
 イマヌエル・ヴェリコフスキー――学界の従来の理論を根底か
らくつがえす奇想天外な理論で学界に衝撃を与えた精神科医であ
り、NASAとしては絶対に受け入れられない理論なのです。
 NASAが忌み嫌うイマヌエル・ヴェリコフスキー理論とは、
一体どういう理論なのでしょうか。明日のEJでは「ヴェリコフ
スキー理論」について解説します。


≪画像および関連情報≫
 ・イマヌエル・ヴェリコフスキー
  ユダヤ系ロシア人で精神科医。1950年に米国で『衝突す
  る宇宙』を著し、学界に衝撃を与えている。
  ≪ヴェリコフスキー事件に関する参考文献≫
   @アイザック・アシモフ著、「我が惑星、そは汝のもの」
    ハヤカワ文庫、pp.65-81
   AM.ガードナー著、「奇妙な論理」、社会思想社現代教
    養文庫、pp.54-62
   B「禁断の超「歴史」「科学」」、新人物往来社、pp.124
    -131
   Cカール・セーガン、「サイエンス・アドベンチャー」
    潮選書
   Dテレンス・ハインズ著、「ハインズ博士『超科学』をき
    る」、化学同人、pp.276-285

1549号.jpg


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2005年03月11日

神話をベースとするヴェリコフスキー理論(EJ1550号)

 ヴェリコフスキー理論について述べる前に、この理論が相当問
題のある理論であることをお断りしておく必要があります。要す
るに、ヴェリコフスキーの主張は従来の天文学の常識から考えて
とても受け入れ難い理論であるということです。
 そのため、ヴェリコフスキーの理論は多くの学者から激しく攻
撃され、徹底的に批判されたのです。その批判者の中には、あの
カール・セーガンもいたのです。しかし、彼はヴェリコフスキー
の考え方をまともに受け止め、十分研究したうえで、根拠を明ら
かにして、反論したのです。
 ヴェリコフスキーを批判する学者の中には、彼の考え方をロク
に研究もせず、批判した学者も非常に多かったのです。学者でな
くてもそういう人は多くいます。多くの人が批判するから、自分
も批判するというスタンスの人です。
 そういう人に対して、カール・セーガンは次のように戒めてい
るのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  科学は自由な研究によって進歩してきたし、自由な研究のた
 めに存在する。どんな奇妙な仮説でもその長所を考えて見よう
 いうのが科学である。(中略)
  ヴェリコフスキーの事件よくない点は、彼の仮説が間違って
 いるのか、確立された事実に反しているというのではなく、科
 学者と自称する人たちがヴェリコフスキーの研究を抑圧しよう
 としたことだ。           ――カール・セーガン
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 カール・セーガンの偉いのは、どのような荒唐無稽な理論に対
してもまともに向き合ったということです。これらのことを前提
としてヴェリコフスキーの理論について説明します。
 ヴェリコフスキーとはどのような人だったのでしょうか。
 1895年ロシアに生まれ、英国に渡ってエディンバラで自然
科学を学び、ロシアに帰国後、法律・経済・歴史を学び、モスク
ワ大学、チャルコワ大学で医学を修めたのです。そのあとドイツ
に渡り、ベルリンで生物学を学び、雑誌「スクリプタ・ウニベル
シタティス」を創刊するのです。これは世界のユダヤ人学者をま
とめ、エルサレム大学創立のきっかけとなるのです。
その後パレスティナで医者を開業し、チューリッヒとウィーン
でフロイト派の精神分析学を研究しています。とてもエネルギッ
シュな学者であるという印象です。
 ヴェリコフスキーの理論の特色は、天文学がベースではなく、
世界中の神話や伝説がベースであるという点です。その取り上げ
られている数は膨大であり、彼は世界中の神話に通じていたので
す。それにしても理論のベースになるものが神話とは・・・この
あたりにヴェリコフスキーの理論の問題点があるといえます。
 その神話や伝説の研究において彼はあるひとつの発見をしたの
です。それは、古代中国やインド、それにバビロニアなどの古い
神話や伝説になればなるほど、金星の話が出てこないのです。そ
れでいて、どの神話にも金星に相当する神の誕生の話は劇的に描
かれている――そのことから、ヴェリコフスキーは約4000年
前には金星はなかったのではないかと考えたのです。金星に相当
する神の誕生とは、ギリシャ神話のアフロディティとパラス・ア
テナ、ローマ神話のヴィーナスの誕生です。
 ここで、パラス・アテナの誕生についてふれておきます。ゼウ
スは、女神メーティスを飲み込んだところ、頭がとてつもなく痛
くなったのです。そこで鍛冶の神ヘファイストスに自分の頭を斧
で割って欲しいと頼むのです。この要請を受けてヘファイストス
は、斧でゼウスの額を割ったところ、真っ赤な傷口から武装した
パラス・アテナが飛び出してきたというのです。
 このたわいもない神話からヴェリコフスキーは、驚くべきこと
を考えたのです。それは、ゼウスを木星、パラス・アテナは金星
と考えたのです。つまり、ゼウスの額からパラス・アテナが誕生
したというのは、木星から金星が飛び出し、彗星となったと解釈
したわけです。
 ピテゴラス派という一派がありますが、アリストテレスは彼ら
について次のように書いています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  ピタゴラス派と呼ばれる若干のイタリア人は、彗星は惑星の
 一つであるが、長い期間を隔てて現れるものであり、地平線か
 ら、わずかしか上がらないものだという。
                    ――アリストテレス
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 水平線からわずかしか上がらない惑星とは、彗星だけではなく
金星にもそれは当てはまるのです。つまり、西暦前4世紀のピタ
ゴラス派の人々は、5つの惑星の1つは彗星であると考えていた
わけです。
 木星から飛び出したとされる灼熱の巨大彗星「金星」は当分は
現在のような安定した公転軌道を描いてはいなかったのです。そ
れは多くの彗星がそうであるように、長楕円軌道をとっていたの
です。そのため、ほかの惑星の公転軌道と交差するようになった
とヴェリコフスキーは主張するのです。
 さらにヴェリコフスキーは、金星が木星から誕生した時期を割
り出したのです。それは『旧約聖書』に記されている預言者モー
セがイスラエル人を率いてエジプトを脱出したときではないかと
考えているのです。
 映画『十戒』で見られたあの「紅海割れ」――これは彗星であ
る金星の地球への超接近によって潮汐作用が激しくなり、地球の
海の干満の差が激しくなったためであるとしています。とくに紅
海の付近は一時的に未曾有の干潮となり、水位が極端に低下し、
海の水が左右に分かれたのです。
 このように、ヴェリコフスキーはすべてを聖書や神話によって
立証しようとするのです。火星の海の水が失われたのもこれが原
因であるとヴェリコフスキーはいっているのです。


≪画像および関連情報≫
 ・パラス・アテナ=金星説について
  パラス・アテナ=金星説に関してはヴェリコフスキー自身は
  まったく根拠を挙げていないわけではない。歴史家プルタル
  コスの著作『モラリア』の一編「エジプト神イシスとオシリ
  スの伝説について」には、「サイスにある女神アテナ、これ
  を人々(エジプト人)はイシスだとも信じている」とある。
  さらに『博物誌』で知られるプリニウスは、エジプトの女神
  イシスは金星であると記している。

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2005年03月14日

火星を襲ったカタストロフィーの謎(EJ1551号)

 ギリシャ神話における火星の神は「アレス」と呼ばれます。と
ころが、ローマ神話では「アレス」は「マルス」と呼ばれるので
す。英語で火星のことを「マーズ」というのは、この「マルス」
が語源であるからです。
 マルスは「軍神」と呼ばれ、恐れられるのですが、これは火星
の色が赤であるからです。真っ赤な色は血の雫を連想させ、火星
は不吉な星とされたのです。このことから、マルスは血を好む殺
戮と戦争の神を象徴するものとされたのです。
 しかし、不思議なことがあるのです。西暦前8〜9世紀におけ
る古代神話の世界において火星は軍神どころか何ら顕著な働きを
していなかったのです。つまり、火星は誰からも恐れられてはい
なかったのです。むしろ恐れられていたのは、輝くばかりの原始
大気を後ろにたなびかせて暴れまわっていた金星の神「アテネ」
だったのです。
 この「輝くばかりの原始大気を後ろにたなびかせて」という表
現は、金星が彗星であったことを暗示しています。金星は超楕円
軌道を描き、多くの惑星を危機に陥れていたからです。
 しかし、紀元前8〜9世紀以降、それまでおとなしかった火星
は軍神「マルス」に変貌し、暴れまわっていた金星は、愛と平和
の女神「ヴィーナス」へと変貌してしまったのです。それは、金
星が現在の円軌道、太陽系第2番惑星の地位を獲得したことと無
関係ではないでしょう。
 ヴェリコフスキーは神話をベースとして宇宙論を展開する――
このようにいうと、いかにも荒唐無稽に思えますが、もともと神
話は天空の神々の話――宇宙の惑星など――であり、宇宙の話な
のです。かつて宇宙で起こったことを神話として後世に伝えてい
るのです。
 そうであるとすると、おとなしかった火星の神が不気味な軍神
「マルス」となり、暴れ者であった金星の神「アテネ」がおとな
しくなったという神話は何かを暗示しているのです。
 それは紀元前8世紀頃、金星は火星に異常接近し、火星に想像
を絶するカタストロフィーを引き起こしたのではないかという暗
示です。それは、火星の海をも一挙に失わしめるほどの未曾有の
カタストロフィーです。
 火星の質量は金星の8分の1程度ですから、もし異常接近する
と、受けるダメージは火星の方がはるかに深刻になります。神話
で縷々と語られるように火星は金星に敗れ去ったのです。それを
示す証拠はたくさんあります。
 第1の疑問は、火星の地表はなぜ赤いのかということです。
 これは、マリナーやバイキングらの火星探査機によって、既に
明確になっています。火星が赤いのは表土が赤いからです。赤土
が火星の全面を覆っているために、赤く光って見えるのです。
 火星の表土は、土の中に大量の鉄分が含まれていることにより
赤い色をしているのです。酸化した鉄は赤い色を帯びているので
す。探査機バイキングによる分析の結果、赤い土壌の正体は、酸
化第二鉄を含む風化生成物であることが分かっています。
 問題は、火星の表面には、なぜ、こんなにも多量の鉄分が存在
するのかということです。鉄は比較的重い元素ですから、原始惑
星の時代に、その多くは地中深く沈んでしまうのです。
 それでは、地中深く沈んでしまっている鉄分がなぜ地表にあら
われるかです。それは、火山の爆発によって地表に露出してくる
のです。
 赤土として有名な関東平野の「関東ローム層」――これは、か
つて富士山から噴出した火山灰がその正体なのです。火山が爆発
したとき、地中深くにあった鉄分が地上に噴出したのです。その
ため、火山灰の中に含まれる鉄分が酸化して、赤くなってしまっ
たのです。
 それでは、火星の場合も火山が噴火して地中深くにあった鉄分
が表層化したのでしょうか。否、それはあり得ないことです。な
ぜなら、火星中の火山がすべて噴火しても、たかが知れているか
らです。それに、火星の場合、赤土の広がりがきわめて不均衡で
あることです。
 それに、火星には真っ黒な地表が露出しているところがあるの
です。よくよく観察すると、黒い地表の上に、赤土の表土が覆い
被さっていることが分かります。それは、まるで、宇宙から赤い
表土が吹付けられたかのように見えるのです。
 第2の疑問は、火星の赤道付近にあるクレーターの存在です。
 そのクレーターは「台状クレーター」と呼ばれるもので、極地
方特有のクレーターなのです。
 隕石が極地方に衝突すると、厚い氷床の上に破片が積もること
になります。夏になって氷床が溶けはじめますが、上に塵が集積
した場所だけ、日光を遮断するので、溶け方が遅くなります。そ
うすると、クレーターを中心として、氷床が台状に溶け残ってし
まい、結果として台状のクレーターになってしまうのです。
 問題は、本来であれば極地方にしか存在しない台状クレーター
がなぜ赤道付近にあるかです。それにこの台状クレーターは実は
もうひとつ存在し、それは互いに火星の反対側になっているので
す。これは何を意味しているのでしょうか。
 想像でしかありませんが、その台状クレーターのある2つの地
域がかつての火星の極地方であったということになるのです。つ
まり、何らかの天変地異が起こって、両極が移動してしまったと
考えられるのです。これを「ポールシフト」といいます。
 この火星と金星の天変地異は、ギリシャ神話の原典ともいうべ
きホメロスの叙事詩――「イリアス」と「オデュッセイア」にお
ける第20歌と第21歌として伝承されてきているのです。
ヴェリコフスキーは、アテネを「金星の神」、アレスを「火星
の神」とし、この闘いを独自の宇宙論をもって、惑星同士の宇宙
的衝突を描いたものと解釈したのです。
 火星にかかる天変地異があったとすると、火星には超古代文明
があって、その時点で滅びているとの解釈も成り立つのです。


≪画像および関連情報≫
 ・写真左 ・・・ 火星の赤い地表
  写真右 ・・・ 台状クレーター

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2005年03月15日

なぜ、ヴェリコフスキーを無視できないのか(EJ1552号)

 神話をベースとしてすべての理論を構築しているヴェリコフス
キーに対して天文学者たちがヒステリックに攻撃したのは理解で
きるような気がします。なぜなら、彼の仮説はあまりにも荒唐無
稽であるからです。
 しかし、それならばなぜ無視できなかったのでしょうか。荒唐
無稽なことをいっているなら無視して相手にしなければいいので
す。それなのにアカデミズムはヒステリックに攻撃している――
それはその理論を相当意識をしている証拠だと思うのです。
 その理由は、荒唐無稽な仮説であるはずのヴェリコフスキーの
理論が、探査機が火星や金星に行くようになって、いろいろな事
実が判明し、次第に無視できなくなりつつあるからです。
 金星や木星の探査がまだ行われていなかった時代に、ヴェリコ
フスキーはいくつかの予言をしているのです。
 そのひとつに金星に関する予言があります。
 金星は誕生して4000年ほどしか経過してしないので、まだ
熱が十分に放出されていない――したがって地上は灼熱状態であ
るといっているのです。
 これに対してアカデミズムは、金星が有史以前から知られてい
る存在であったため、誕生してから4000年しか経っていない
という点に強い反発を感じていたのです。
 それどころか、金星は地球に近い惑星であり、濃密な大気もあ
って地球と似ている点も多いため、発見当初は生命の存在すら期
待されていたほどなのです。そのため、あのカール・セーガンで
すら、当初は火星よりも金星をテラフォーミングの対象として考
えていたほどだったのです。
 ところが探査機を打ち上げて金星を調べて見ると、金星の地表
の気温は摂氏400度以上――とても生物が住める状態ではない
し、テラフォーミングの対象になり得ないことがわかってきたの
です。一番新しい調査では金星の気温は摂氏530度――鉛です
ら融解する灼熱地獄であることがわかっています。ヴェリコフス
キーの予言は的中したのです。
 もうひとつ、ヴェリコフスキーは金星は木星から誕生した惑星
であり、そういう木星であるから、かなり活発な活動をしている
に違いない――とくに電磁気エネルギーが莫大であり、おそらく
電磁波を放出していると予言したのです。
 金星が木星から誕生したということについてアカデミズムは認
めるはずはないのですが、電磁波エネルギーについては的中した
のです。木星には強力な地磁気が存在し、極地方にはオーロラが
たびたび観測されているのです。
 このようにヴェリコフスキーの予言が次々と的中するにつれ、
NASAの学者たちは真っ青になったといいます。そのため、ア
カデミズムは集中的に攻撃する裏で、ヴェリコフスキー理論を徹
底的に分析し、そのかなりの部分が正しいことを既に悟っている
といわれています。アカデミズムがヴェリコフスキーをけなしな
がらも無視できないのは、こういう理由によるものです。
 ここで「マクダニエル・レポート」に話を戻します。この「マ
クダニエル・レポート」がどのような趣旨のレポートであるかご
存知ない方は3月2日のEJ第1543号を参照してください。
 このレポートで、マクダニエル教授は、火星のシドニア地区の
構造物群については次の趣旨のことを述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  シドニア地区に集中する構造物群には、数学的・幾何学的概
 念が介在している。それは、火星地表に存在する特異な構造物
 群が人工構造物である可能性を十分に示唆するものである。
  それぞれの構造物、あるいは複数の構造物の間に特定の位置
 関係がある。これは、19.5度といった特定の角度で表され
 るものである。           ――マクダニエル教授
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 D&Mピラミッドを覚えておられるでしょうか。
 以下の記述は添付ファイルを見ながら読んでいただくと理解し
やすいと思います。まず、写真を見てください。
 D&Mピラミッド(五角錐体構造物)の頂点から人面岩(FA
CE)とホーグランドの発見した正四面体構造廃墟(RUIN)
とをそれぞれ直線で結ぶと、そこに19.5度という角度ができ
るのです。
 この19.5度という角度には幾何学的な意味があるのです。
既に述べたようにD&Mピラミッドは五角錐体ですが、正五角錐
体ではないのです。ひとつの辺を挟んだひと組の2辺がほかの辺
よりも少し長いのです。また、北側の稜線は先が三叉に分かれて
います。
 まず、このD&Mピラミッドの頂点から北東に伸びる稜線と火
星の緯度(北緯40.868度)が作る角度を測ってみると、こ
れが19.5度になるのです。
 続いて、D&Mピラミッドの北東角から突起部まで引いた直線
と北東辺との角度が19.5度なのです。さらにD&Mピラミッ
ドの北西角から突起部まで引いた直線と北西辺との角度を測ると
これも19.5度なのです。
 この19.5度という数値は何なのでしょうか。
 正四面体(三角錐)とそれの4つの頂点に内接する球体を考え
てください。このとき正四面体の頂点のひとつを北極点にもって
くると、残りの3つの頂点は南緯19.5度に等間隔に並ぶので
す。反対に、それを南極点にすれば3つの頂点は北緯19.5度
にくるのです。
 マクダニエル教授は、火星のシドニア地区の異常構造物にはこ
の19.5度の他に次の3つの数字も出てくるといっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    1.√3、√2、√5の数値が頻出すること
    2.円周率 π を組み合わせて得られる数値
    3.1対1.618の黄金比率が発見できる
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


≪画像および関連情報≫
 ・図形出典
  並木伸一郎著『火星人面岩の謎』
  学習研究社/学研

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2005年03月16日

北緯/南緯19.5度にあるもの(EJ1553号)

 昨日のEJで述べた19.5度の謎――これについてもっと深
く調べた人物がいます。あのリチャード・ホーグランドです。彼
は、地球、火星、海王星、木星の4つの惑星について、その北緯
/南緯19.5度に何があるかを調べたのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   地 球 ―― 北緯19.5度 マウナロア火山
   火 星 ―― 北緯19.5度 オリンポス火山
   海王星 ―― 南緯19.5度 大暗班
   木 星 ―― 南緯19.5度 大赤班
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 地球の北緯19.5度には、ハワイのマウナロア火山がありま
す。この火山は地球最大の火山として知られています。続いて、
火星の北緯19.5度には、太陽系最大の巨大火山であるオリン
ポス火山があるのです。
 遠く離れた海王星の南緯19.5度には「大暗班」――グレー
ト・ダーク・スポットがあるのです。高気圧の渦巻きと見られて
いますが、その正体は不明です。そして木星の南緯19.5度に
は「大赤班」――グレート・レッド・スポットがあるのです。
 ホーグランドは、惑星における北緯/南緯19.5度には、エ
ネルギーを放出する特殊なポイントがあるとしています。しかし
地球と火星は火山であることはわかっていますが、海王星と木星
については、その正体はわかっていないのです。
 しかし、サイエンス・エンタテイナーを自称する飛鳥昭雄氏は
海王星と木星についても火山であると明言しています。飛鳥氏は
ヴェリコフスキー理論を信奉しており、木星の大赤班は金星が飛
び出した場所であるとしており、その下には超弩急の巨大火山が
あると主張しています。ちなみにヴェルコフスキー自身は金星を
生み出した場所までは特定していないのです。
 しかし、この説には大いに疑問があるのです。なぜなら、飛鳥
氏の仮説が成立するためには、木星が地球と同じように固い地殻
を有する惑星であることを証明しなければならないからです。
 しかし、木星の基本的なデータだけを見ると、木星がそのよう
な固体惑星ではあり得ないのです。確かに木星は太陽系の中で最
も大きい惑星であり、その大きさは太陽系が木星とその他で出来
ているといえるほどなのです。
 ところが、木星の体積は地球の約1316倍であるのに、質量
は約318倍しかないのです。しかも、密度にいたっては、地球
の4分の1しかないのです。これは何を意味しているのかという
と、木星はほとんどが軽い元素――水素とヘリウムで構成されて
いるということなのです。
 そしてそれらの元素は、高圧力のために液体化せざるを得ない
のです。赤道半径約7万1000キロのうち、少くとも表面から
1万キロ以上が水素を中心とするガスなのです。そのような木星
に火山が存在するはずがないのです。
 それならば、大赤班の正体は何でしょうか。
 カール・セーガンによれば、大赤班は巨大な台風であるとして
います。木星の大気は非常に高速で流れており、そうした気流の
はざまで渦巻く低気圧が大赤班であるといっているのです。
 しかし、飛鳥氏は台風ではないと主張しています。その理由は
大赤班は南緯20度付近にとどまっていてほとんど動いていない
からであるというのです。
 しかし、これに対して大赤班は大きく移動しているという説が
あります。これに関してはデータもありますので、本当のことで
あろうと思います。データについては、添付ファイルCのグラフ
を参照してください。
 このデータによると、1831年から1880年までについて
は−1200度ほど移動、1880年から1910年は600度
ほど移動、1910年から1930年は−200度以上移動、そ
して1930年から1980年までには、約1250度移動して
いるのです。そして、現在も大赤斑は西に移動し続けているとい
うのです。
 ちなみに、木星からの金星誕生を語るヴェリコフスキー説は、
カール・セーガンらが「定量的に」覆しており、その信憑性には
疑問符がつくのです。つまり、木星が金星を生むことはあり得な
いというわけです。
 しかし、宇宙の情報に関しては、NASAが独占しており、情
報の操作も行われていることは確実なので、部外者が知ることの
できる範囲は限られていると思います。何しろ、本当にアポロが
月に行ったかどうかですら疑われているほどですから、本当のと
ころは、部外者にはわからないのです。
 部外者の研究家については、ひたすら多くの情報を収集し、そ
こからから推論するしかないのです。そういう意味では、飛鳥昭
雄氏らの太陽系の研究も大いに参考になるのです。
 火星について、今日まで32回にわたっていろいろ調べてきま
したが、どうやら火星には超古代文明が存在した可能性は高いと
いえると思います。その情報を一番握っているのはもちろん米国
のNASAです。
 もし、火星にかつて超古代文明が存在したと仮定すると、次の
2つのことが想定されるのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1.地球には古代に優れた文明があって、既に火星に行ける技
   術力を有していて、人類が火星の超古代文明を形成したと
   考えてみる。
 2.もともと人類は火星に住んでいたが、火星の環境が住むの
   に適さなくなったので、一番近い惑星――地球に移ったと
   考えてみる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 どちらも驚天動地の考え方ですが、もし、火星に超古代文明が
あったとすれば、以上のような想定も十分成り立つのです。明日
はもう少し詳しく考えてみましょう。


≪画像および関連情報≫
 ・Cのグラフの説明
  このグラフは、大赤班が1831年以来経度方向にどのくら
  い推移したかを示す。この変化は、大赤班が固定した模様で
  もなければ、木星の雲の下のいかなる固定した地形的様相と
  も関連していないことを示している。

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2005年03月17日

カイロは火星と同義語である(EJ1554号)

 それが人工物か否かの議論は別として、火星にピラミッドが存
在することはNASAも事実として認めています。そのピラミッ
ドは地球にもある――エジプトの首都カイロの郊外に存在するの
です。実はこの「カイロ」という地名は「火星」を意味する言葉
なのです。これは単なる偶然の符合なのでしょうか。
 1983年のピラミッド調査の最高責任者、ランバート・ドル
フィンによると、カイロは10世紀頃「キャンプ」という名称か
ら改名されたもので、このキャンプという名称も同様にアラビア
語の「火星」に由来するというのです。
 もう少し正確にいうと、「キャンプ」は「エル・カヒラ」と呼
ばれるようになるのですが、「エル」というのはエルサレムのエ
ルと同様に都市を意味するのです。そのため、語幹は「カヒラ」
となり、やがてそれが「カイロ」と呼ぶようになったのです。
 古代エジプトの中心地にしてピラミッドがある土地「カイロ」
が「火星」を意味することを最初に発見したのはあのリチャード
・ホーグランドなのです。
 カイロの郊外にあるピラミッドといえば、やはり世界七不思議
のひとつといわれる三大ピラミッドでしょう。古代エジプト文明
の遺産ですが、建造されたのは古王国第4王朝の時代であり、今
から4550年前といわれています。
 歴史書によると、ピラミッドを建造したのは、北側からクフ王
カフラー王、メンカウラー王ということになっています。しかし
これはギリシャの歴史家ヘロドトスの書を根拠にしてしているの
ですが、ヘロドトスの記述にはかなりの誤りがあることが現在わ
かっているのです。
 それに、クフ王、カフラー王、メンカウラー王が建造したとい
う根拠が非常に乏しいのです。そこで、かねてから三大ピラミッ
ドの建造年代に疑問を抱いていたピラミッド研究家のジョン・ア
ンソニー・ウエストは、1990年にボストン大学の地質学者ロ
バート・ショック博士に連絡をとり、大スフィンクスに刻まれた
侵食について調査を依頼したのです。
 これについては既に少し述べましたが、ショック博士は、大ス
フィンクスの侵食は降雨によるものと断定したのです。しかし、
カイロはここ数千年間にわたって、雨らしい雨が降ったという記
録がないのです。
 かつてこの地に経常的な降雨があったとすると、少なくとも数
千年――7000年〜9000年は遡る必要があるのです。した
がって、建造はさらに遡る必要があるのです。あのグラハム・ハ
ンコックの計算によると、大スフィンクスが建造されたのは、お
よそ1万2000年以上前になるのです。つまり、大スフィンク
スは、古代エジプト文明の遺産ではないということになります。
 この三大ピラミッドに関しては、興味深い不思議な話がたくさ
んあるのです。そのひとつに三大ピラミッドの配置があります。
普通3つのものを並べようとすると、縦か横に一列に並べるか、
斜めに一列にするか、正三角形か二等辺三角形のそれぞれの頂点
の位置に並べるか――そういうものを意識するのが人間というも
のです。
 しかし、三大ピラミッドはそのいずれでもないのです。それで
は、とくに意識せずに建造したのかというと、けっしてそうでは
ないのです。なぜなら、それぞれのピラミッドの底辺が正確に東
西南北に向いているからです。
 この三大ピラミッドの位置に関連して、注目すべき意見を述べ
ている人が2人います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   ヴィリー・クロス ・・・・ ドイツのエンジニア
   ロバート・ボーヴァル ・・ ピラミッドの研究家
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 ドイツの技師ヴィリー・クロスは、1977年に著書『クフ王
のピラミッドの数学的・天文学的な謎を解く新しい試み』の中で
驚くべき仮説を提唱しているのです。この説は、1980年に宇
宙考古学協会フルダ会議でクロス本人によって発表され、世界中
で注目を集めたのです。
 どのような説かというと、火星にある三つの火山――アスクレ
ウス山、パボニス山、アルシア山が、それぞれクフ王、カフラー
王、メンカウラー王のピラミッドに対応しているというのです。
 三大ピラミッドの配置に合わせて火山は作れないから、火星の
3つの火山に合わせてピラミッドを建造しているフシがある――
クロスはこれを数学的にきちんと証明しているのです。
 これが正しいとすると、かつて人類は火星にいて、地球にやっ
てきたものである――そして、故郷の3つの火山に位置に合わせ
て三大ピラミッドを建造したという仮説が現実味を帯びてくるこ
とになります。そして彼らはその地に火星を意味する「カイロ」
という地名をつけたのではないか――というわけです。
 ロバート・ボーヴァルは、ベルギーの建築家でピラミッドの研
究家なのですが、彼は三大ピラミッドの配置がオリオン座の3つ
の星とよく似ていることを発見したのです。オリオン座には、ア
ルニタク、アルニラム、ミンタカという3つの星がありますが、
そのそれぞれがクフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッ
ドに対応しているといっているのです。
 それも見た目によく似ているというのではなく、きちんとした
数学的な位置関係を検証してのことです。しかも、天空のオリオ
ン座の右上と左下の星についても、それぞれダハシュールの屈折
ピラミッドと赤のピラミッドが対応しているというのです。
 さらに、オリオン座の左側に位置する天の川が、三大ピラミッ
ドの東側を流れるナイル川に対応しているといるのです。ロバー
ト・ボーヴァルは、この説を『オリオン・ミステリー』という本
にまとめて発表し、大反響を呼んだのです。
 どうでしょうか。火星と地球はどうやらつながっているようで
す。それにしても、「カイロ」が火星を意味するとは・・・驚き
です。


≪画像および関連情報≫
 ・添付ファイル説明
  上図――三大ピラミッドの配置とオリオン座の3つの星
  左図――火星三大火山と三大ピラミッドの配置への対応
  右図――カイロ――ギザの大スフィンクスとピラミッド

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2005年03月18日

地球にもあるシドニア地区(EJ1555号)

 火星のテーマは本日で第34回目ですが、このテーマは今回で
一応終了し、来週からは新しいテーマとなります。まだ、大きな
謎が残ったままですが、それにはさらなる調査とデータ収集が必
要になるからです。
 それに、2月25日のEJ第1540号でご紹介したリチャー
ド・ホーグランドの著書『火星のモニュメント』――梅木氏に依
頼して練馬図書館から借りた本ですが、3週間借りて返却したと
ころ、この本を予約していた人がいて、現時点でまだ戻ってきて
いないのです。こういう事情があって、このテーマは本日で終了
ということにさせていただきたいと思います。
 リチャード・ホーグランドは、人面岩のある火星のシドニア地
区には19.5度という数値をちりばめた構造物群があることを
指摘していますが、地球上にもその縮小モデルというべきものが
あるという驚くべき発表をしています。
 その場所は、英国のパンプシャー州にあるのです。先史時代の
遺跡であるエイブベリー・サークルと人工古墳としてはヨーロッ
パ最大級の規模を持つシルベリー・ヒルがそれです。
 このエイブベリー・サークルとシルベリー・ヒルは、4500
年前に造られたものといわれていますが、その正確な建造年代や
建築方法、建造の目的についてはわかっていないのです。
 まず、エイブベリー・サークルですが、その直径は320メー
トル以上もある円形の巨大遺跡です。シルベリー・ヒルは人工の
円錐形の丘で、斜面の角度は約30度、高さ39メートル、その
頂点は2.5メートルの平らな面となっています。
 ここで以後の説明のために、ホーグランドが火星のシドニア地
区の構造物について命名した2つの言葉の意味を知っていただく
必要があります。それは次の2つの言葉です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 トロス ・・ 円形構造物/らせん状の道を持つ円錐盛り土
 クリフ ・・ 崖/山の屋根を思わせるかたちの直線状の崖
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ホーグランドは、この遺跡に行ったとき、何となく火星のシド
ニア地区と共通性があると感じたのです。そこで、彼の主宰する
「エンタープライズ・ミッション」のスタッフに現地の軍用地図
を用意させ、シルベリー・ヒルとエイブベリー・サークル間の距
離が、火星のトロスとクレーター間の距離と等しくなるように倍
率を設定して地図のコピーを作成させたのです。
 そして、そのコピーとシドニア地区の写真を重ねてみると、驚
くべきことがわかったのです。何とエイブベリー・サークルは、
火星のシドニア地区のクレーターと同じ大きさだったのです。エ
イブベリー地区の遺跡は、火星のシドニア地区をおよそ100分
の7の縮小率で再現したものだったのです。
 早速ホーグランドは現地に行き、地図を片手にシドニア地区の
クリフに該当するものを探したのです。現在のエイブベリー地区
には中心部の近くに郵便局やパブや一般住宅があるのですが、ホ
ーグランドはその地区の最北端に「溝」のようなものを発見し、
それがクリフであると仮定したのです。
 火星のシドニア地区のトロスの中心からクレーターの切れ目に
ある四角錐ピラミッドの頂点まで引いた線と、トロスからクリフ
まで引いた線とのなす角度は19.5度になります。
 同様に、シルベリー・ヒルの頂点からエイブベリー地区で発見
された「溝」とエイブベリー地区の切れ目に2本の線を引き、そ
こにできた角度を測るとこれも19.5度になったのです。
 このようにして、ホーグランドと「エンタープライズ・ミッシ
ョン」のスタッフは、シドニア地区にあるピラミッドや人面岩に
該当する構造物を丹念に探したのです。
 シドニア地区における構造物の配置図を基にしてエイブベリー
地区の地図に線を引き、火星の構造物が存在する地点にそれらし
きものはないかと探したところ、いずれもそれらしき痕跡が発見
されているのです。ただ、人面岩についてはそのものずはりのも
のは発見されなかったのですが、それがあったとおぼしき痕跡は
見つかっています。
 それにしてもなぜこの地に火星のシドニア地区の痕跡があるの
でしょうか。考えてみれば不思議な話です。それに英国のエイブ
ベリー地区といえば、近年ミステリーサークルの多発地帯として
も知られています。
 2001年8月14日のことです。同じハンプシャーのチルボ
ルトンの電波望遠鏡施設前の畑に巨大な顔と情報ボードのミステ
リーサークルがあらわれたのです。備え付けられていたセキュリ
ティ・カメラには何も写っていなかったそうです。
 どんな顔だったかというと、驚くなかれ、あの火星の人面岩に
そっくりなのです。きっと何者かによるいたずらと考えられます
が、気持ちの悪い話です。添付ファイルで確認してください。
 ミステリーサークルには明らかに人工のものとそうでないもの
とがあります。後者を仮に「本物のミステリーサークル」とした
場合、そのサークル内の麦を顕微鏡で観察すると、麦の節の細胞
壁が膨張し、細胞内は小さな穿孔で穴だらけになっているのが分
かるというのです。これと似ている現象は、電子レンジで引き起
こせることがわかっています。
 しかし、ことミステリーサークルについては人工的なものであ
ることはわかっています。あのオカルト絶対反対論者の早稲田大
学の大槻義彦教授は、プラズマ装置を使って小型とはいえ、ミス
テリーサークルを実際に作っているからです。
 大槻教授によって作り出されたミステリーサークルは、単円、
二重円、三重円とほぼ完璧です。小麦に現れた細胞レベルでの変
化についても、プラズマが放つ電磁波の影響を受けたと考えれば
納得がいくのです。
 それにしても、火星と地球のコネクションはまだ精査する必要
があります。いずれさらに情報を積み重ねてEJで取り上げるこ
とにします。長期のご愛読感謝いたします。


≪画像および関連情報≫
 ・画像説明
   A.英国ハンプシャー州エイブベリー地区
   B.シドニア地区に散見される19.5度
   C.エイブベリー地区における19.5度
   D.チルボルトンでのミステリーサークル
   E.ミステリーサークルの人面岩部分拡大

1555号(縮小版).jpg
posted by 平野 浩 at 19:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 火星探査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

火星探査について

 現在のEJのテーマは「火星探査」です。2003年8月27日に火星の大接近があり、火星については多くの情報がもたらされているように見えます。いろいろなことがわかってきているように思えます。
 しかし、実際のところは火星の情報は、NASAによってかなり制限されており、正確な情報が伝わってはいないのです。どうして、そのようになっているのでしょうか。このシリーズでは、そのあたりのカラクリに解明のメスを入れたいと思います。


↓「火星探査」の第1回目の記事はこちらをクリック↓
Electronic Journal 1522号/「死せる火星/死につつある地球」
posted by 平野 浩 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月22日

日本でM&Aはなぜ急増したか(EJ1556号)

 今年に入ってから、「紅白歌合戦」「ハウルの動く城」「火星
の地球化計画」とテーマを重ねてきましたが、しばらく現在話題
になっている「敵対的買収」をテーマとして取り上げてみたいと
思います。TVなどでは、おもしろおかしく毎日のように取り上
げられていますが、肝心なこと、重要なことが語られていないと
思うからです。
 そもそも経営者を含むビジネスマンに対して、『「M&A」と
は何ですか』と聞くと「乗っ取り買収」と答える人が多く、どう
いう言葉の省略かと聞くとほとんど答えが返ってこないのです。
 「M&A」のMは「合併」、Aは「買収」を意味する次の言葉
の略です。つまり、M&Aは「合併&買収」の意味なのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     M&A = Mergers and Acquisition
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 M&A関連の言葉でよく出てくるのは、「IN」と「OUT」
――「IN」は国内企業、「OUT」は外国企業を意味している
のです。したがって、M&Aには次の3つがあります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  国内企業同士にのM&A ・・・・・・ IN――IN
  国内企業の外国企業へのM&A ・・・ IN−OUT
  外国企業の国内企業へのM&A ・・・ OUT−IN
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 現在、日本企業に関連するM&Aはどのくらい起きていると思
いますか。
 添付ファイルをごらんください。これは、日本企業に関連する
M&Aの取引件数の推移を示しています。IN−INがほとんど
ですが、1996年以降7年連続で増加しており、2003年に
前年比8.5%の減少となっています。これは、バブル崩壊以降
長期にわたって低迷する自社の企業業績や株価を各企業が何とか
しようと模索する中で、M&Aが企業の経営戦略のひとつとして
少しずつ根付いてきていることを示しています。
 1996年以降になぜM&Aが急増したのか――これにははっ
きりとした理由があります。従来日本の企業は、安定した取引を
行うために、銀行や取引先との株式の持ち合いが当然のことのよ
うに行われてきたのです。したがって、この時期にはM&Aの数
は微々たるものだったのです。
 しかし、90年代の半ばを過ぎると株の持ち合い解消が急速に
進みはじめたのです。金融商品の時価会計制度の導入などによっ
て、株式の保有が毎期の資本の部に影響を与えるようになるなど
状況が変わってきたことが原因です。
 本来銀行や取引先との株式の持ち合いは、安定取引や政策を目
的としているのですが、90年度半ば以降は日本においても株主
重視の経営の声が高まってきているため、これと相反する恐れが
出てきたのです。
 たとえば、政策目的である企業の株を大量に保有している企業
があるとします。この保有株はたとえ株価が大きく上がったとし
ても売れないのです。その企業の株に対して多額なプレミアムを
付けたかたちで敵対的TOBが仕掛けられたとき、当然TOBを
仕掛けられた企業は、株を持ってくる企業に対してTOBに応じ
ないよう要請してくるはずです。
 この場合、株を保有する企業は、その企業によって有利なTO
Bに応じない理由を株主価値の観点から株主に説明して、納得さ
せることが求められるのです。そうでないと、株主に損害を与え
たとして、株主代表訴訟を起こされる恐れがあります。
 今回、東京電力が、市場価格よりも低い価格のフジテレビジョ
ンのTOBに応じたことを不服として、株主から株主代表訴訟を
起こされようとしているのもこれと同じことです。企業の都合よ
りも株主価値の観点からどうかという発想をしなければならない
時代になっているのです。
 M&Aがこういう企業を取り巻く状況の変化――伝統的な持合
構造と安定株主神話の崩壊の中で急増してきているのは理解でき
ると思います。急速な事業再編の波の押し寄せる中にあって、企
業にとって、自社が買収者になるか、その対象会社になるかの違
いがあるにせよ、敵対的なM&Aがいつ起きるかわからない状況
にあることを経営者は認識する必要があるのです。
 したがって、今回のライブトア対フジテレビジョンの敵対的買
収をめぐる騒動はけっして特殊なものではなく、そういうことが
これから頻繁に起こる可能性が少なくないのです。ある外国人記
者がいったそうです。「ただのM&Aに過ぎないのに何を騒いで
いるのか」と。日本人の感覚が遅れているのです。
 ところで「敵対的買収」といいますが、誰に対して「敵対的」
なのでしょうか。
 米国では、敵対的買収を次のように定義づけているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  敵対的なTOB――敵対的な公開買付けとは、現金、有価証
 券その他の対価により、議決権株式を取得して会社支配権の変
 更を実現するため取締役の承認を得ることなしに当該議決権を
 有する株主に対して行われる買付けの提案などを指す。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この文章を見ると、敵対的とは「取締役」に対するものと考え
られます。しかし、取締役とは株主の利益を代表する存在ですか
ら、敵対的とは「株主に対して」ということになるのです。した
がって、敵対的買収者から守るべきものは、あくまで「株主の利
益」ということになるのです。
 日本においても敵対的買収は、買収対象会社の取締役もしくは
取締役会の賛同を得ないで行われるものとされているのですが、
日本の場合は取締役が経営執行者を兼ねていることが多いので、
経営執行者である取締役が純粋に株主の立場に立って利益を守る
判断ができるかどうかは疑問であるとする意見もあります。日本
では「株式会社は株主のもの」という意識が希薄なのです。


≪画像および関連情報≫
 ・金融商品の時価会計制度
  2004年4月1日より開始する事業年度から導入。持合株
  式は「その他有価証券」として毎期時価で評価し、評価損益
  を「その他有価証券評価差額金」として資本の部に反映。

1556号.jpg
posted by 平野 浩 at 08:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 敵対的買収 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月23日

日米における取締役の違い(EJ1557号)

 ライブトアとフジテレビジョンの敵対的TOBの報道を見てい
ると、フジテレビジョンの日枝会長やニッポン放送の亀渕社長の
発言には、自らが株主の利益代表者であるという立場に立っての
発言が皆無であることに気が付きます。
 あくまで会社は自分たち役員のものであって、その維持保全や
社員を意識した発言がほとんどです。そこには、会社が株主のも
のであるという自覚が感じ取れないのです。まるで会社が現状の
ままでいることがベストであり、それが株主の利益にもつながる
と考えているかのようです。
 これに対してライブトアの堀江社長は、つね日頃から「株式会
社は株主のものである」と明言し、その考え方に立って、株主に
対しては実に誠実な対応をしていることで知られます。株主総会
を大勢の株主が参加できる休日に開催し、株主からの質問に対し
て堀江社長自身がいちいちていねいに答えているのです。
 これは、サラリーマン社長と創業社長の根本的な違いであると
思います。激烈な社内抗争に勝ち抜いてトップに就いた経営者に
とって一番大切なのは自らの地位保全であり、自分を支えてくれ
る社員なのです。したがって、株主などは遠い存在にしか感じら
れないのだと思います。
 そういう意味において、日枝会長は日本的経営者であり、堀江
社長は米国的経営者であるといえます。というのは、日米で取締
役に対する考え方が大きく異なるからです。
 米国においては、経営を執行する経営陣とそれを監視する取締
役が分離しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    取 締 役 ・・・・・ Director
    経営執行役 ・・・・・ Executive Officers
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 取締役には、社内取締役と社外取締役がありますが、なかでも
社外取締役は業務執行担当を兼ねないため、敵対的買収が起こっ
たようなときは、どうしても利害相反を生じやすい社内取締役や
経営陣とは独立した立場で株主の利益になるような判断を行うこ
とが求められるのです。そのため、社外取締役は会社とは別の弁
護士などのアドバイザーをつけて株主への説明責任を果たそうす
る――それが社外取締役の役割なのです。
 これに対して日本では取締役と執行役員とは明確に分離されて
いないのです。ソニーなどのように社外取締役が導入されている
会社は少数であり、導入されていてもかたちだけの会社が多いの
です。これでは、真の意味で株主の利益を代弁する役員がいない
ことになります。
 ソニーの社外役員に就任している日産のカルロス・ゴーン氏は
まさに株主利益を代弁する立場なのです。彼はソニーの2004
年度の経営会議のとき、当時の出井会長が利益目標として10%
を打ち出したとき、社外取締役のゴーン氏は「それはコミットメ
ントと考えてよろしいか」と迫って、出井氏を絶句させたといわ
れます。「コミットメント」とは、株主に約束する数字であって
もしできなかったときは退任する――そういう覚悟に立った数字
かと迫ったのです。
 そして、2004年度にソニーはその約束を守れず、出井会長
以下7人の取締役が退任するという事態になったのです。約束し
た利益目標を守れない役員は株主にとって利益につながらないの
で、退任するのは仕方がないという考え方なのです。
 ライブドアがニッポン放送株の50%を取得し、攻勢を強めて
いますが、守勢に立たされたニッポン放送側はさまざまな防衛策
を取ろうとしています。ところが米国ではTOBに対してそうい
う防衛策をとることに是非論があるのです。
 米国では、最近敵対的買収は減ってきていますが、1970年
代から1980年代にかけて敵対的買収がさかんに行われ、さま
ざまな防衛策が考え出されたのです。なぜ防衛策が編み出された
かについては、次の3つの理由があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 @破壊的な買収によって経営の安定性が著しく損なわれる危険
  性が考えられたこと。
 A敵対的買収の防衛策実施が取締役にどのような責任が生ずる
  か明確でなかっこと。
 B敵対的買収に敗れ、経営者の地位を剥奪されることに対して
  防衛本能が働くこと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ここで「破壊的買収」とは、企業の経営やその将来に対して、
コミットする意思のない買収者が、買収後に対象企業の有する現
金や資産をを切り売りし、それによって得た利益で買収費用をま
かない、投機的なリターンを得る買収のことです。こういう買収
者のことを「フィナンシャル・バイヤー」というのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        @フィナンシャル・バイヤー
        Aストラテジック・バイヤー
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 さて、フィナンシャル・バイヤーに対して、自社の事業戦略上
必要な企業に対して買収を仕掛けるバイヤーのことを「ストラテ
ジック・バイヤー」といいます。
 これとは別に「グリーン・メーラー」と呼ばれる買収者がいる
のです。グリーン・メーラーは、企業の株式を買い集め、その対
象企業や関連企業などに高値で買取りを求め、それによって投下
資金を回収して収益を上げることを狙っている業者のことをいう
のです。いわゆる俗にいう「買占め屋」のことをグリーン・メー
ラーというのです。
 ニッポン放送やフジテレビジョンは、ライブドアの堀江社長を
フィナンシャル・バイヤーかグリーン・メーラーであると考えて
いるのだと思います。だからこそ、ああいう対応になるのだと思
います。しかし、本当にそうなのでしょうか。


≪画像および関連情報≫
 ・グリーン・メーラー
  英語で「ブラック・メール」というと脅迫状のことである。
  ドル紙幣はグリーンなので、それを高値で買い取らせる脅し
  という意味でグリーン・メーラーと呼んだのである。


1557号.jpg
posted by 平野 浩 at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 敵対的買収 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月24日

敵対的TOB防衛策には是非論がある(EJ1558号)

 昨日のEJでも述べたように、敵対的買収に対して防衛策を取
るべきかどうかについて、米国では大きな議論があるのです。ど
うしてそのような議論があるかについて理解するには、1970
年代以降に米国で敵対的買収がなぜ頻発したのか、その背景的事
実について知る必要があります。
 1960年代において米国企業の多くは事業の多角化を目指し
たのです。しかし、そのほとんどはうまくいかず、株価の低迷を
もたらす結果となったのです。そのため、市場価格と実体価値に
乖離のある企業が増加したのです。
 本業自体はうまくいっているのに多角化した事業がうまくいっ
ていないため株価が低迷している――これらの企業は多くの資産
を有しているケースが多く、買収者が狙いやすいのです。株価が
低いということは買収に要する資金負担が少なくて済み、買収後
は換金できる資産や事業があるので、クイック・リターンが期待
できるからです。
 これらの企業に敵対的買収を仕掛けたのはフィナンシャル・バ
イヤーであり、そのほとんどはLBOファンドなのです。LBO
(レバレッジド・バイアウト――テコを使った企業買収)につい
ては改めて述べますが、買収しようとする企業の事業や資産を担
保にして資金を調達する方法がLBOです。
 そのため、企業買収後は利益の出ていない事業を整理して事業
領域を絞り込み、経営の効率化を図り、継続する事業から創出さ
れるキャッシュ・フローによって買収資金を返済していくことに
なるわけです。それが企業の再生にプラスに働き、その後の米国
経済が活性化するという効果を生んだのです。
 こうした動きに刺激されるように、事業戦略上のニーズによっ
て、必要な企業を買収するストラテジック・バイヤーによる敵対
的買収も行われるようになったのです。このようにして1970
年代に米国では、フィナンシャル・バイヤーとストラテジック・
バイヤーによる敵対的買収がさかんに行われたのです。
 このLBOファンドによる敵対的買収は、買収の対象にされる
企業の経営者にとっては、とんでもないことであるとして必死に
なって防衛しようとするのは当然のことですが、株主の立場から
見ると、少なくとも経営者サイドとは話が違ってくるのです。
 株主にとって株価の低迷は迷惑な話なのです。そのため、敵対
的買収によって企業活動が活性化し、その結果株価が上昇すれば
敵対的買収は大歓迎なのです。
 また、敵対的買収を仕掛ける場合、買収者はTOB価格を市場
価格よりも高く設定するのが通例であり、株主としては高く株を
売れるというメリットもあるわけです。
 それにしても、今回フジテレビジョンのTOBにおいてそのT
OB価格を市場価格よりもあえて低く設定したのは、企業の驕り
以外の何ものでもないのです。それでも取引のある企業は応じて
くると考えたフジテレビジョン側の考え方は、株主のことをいか
に考えていないかの証明でもあるのです。
 このように、買収される企業サイドを中心とする考え方と株主
の立場では、敵対的買収に対する受け止め方は大きく異なるわけ
です。このことから、敵対的買収の防衛策の是非論がいわれるよ
うになり、現在でも続いているのです。
 まず、敵対的買収に対して企業は防御策を取るべきであるとの
立場からご紹介することにします。
 この考え方は、改めて述べる「ポイズン・ピル」の創始者であ
るマーティン・リプトン弁護士であり、彼は「取締役は経営判断
の原則によって支配されるべきであり、それは防衛策の選択につ
いても同様である」と述べています。
 敵対的買収の防衛策賛成派の意見は次の5つにまとめることが
できます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 @企業はつねに「売出中」とみなされていると経営の安定性が
  失われ、余分なコストがかかる。
 A株価は必ずしも企業の本質的な価値を表しているものではな
  く、実体が違う例は少なくない。
 B株主は必ずしも十分な諸情報に基づいた的確な判断ができる
  存在ではないと考えられること。
 C敵対的買収の多くはその後の事業継続を目的としていないの
  で社会経済的にマイナスである。
 D取締役(経営陣)は、自らの保身のためにしか行動しないと
  いうのは正しいことでないこと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 続いて、敵対的買収の防衛策を講ずるべきではないという立場
の意見を紹介します。この考え方は、取締役は能動的な防衛策を
講ずるべきではなく、意見の表明などによる対応にとどめるべき
であり、TOBに応ずるか否かの判断は株主が自らすべきである
という意見です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 @敵対的買収の防衛策を禁ずることによって買収が活発化し、
  それによって、株主価値が向上する。
 A株価はつねに企業の本質的価値を正確に反映しており、買収
  者はその価値を上げる可能性がある。
 B取締役が高い買収価格を受け入れない理由は本能的な自己保
  身であり買収価格に原因はないこと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 要するに、買収を仕掛けられているのに何もしないのは経営者
の怠慢であり、防衛策を講ずるべきであるという考え方と、そも
そも破壊的買収を仕掛けられる経営者に責任があるのですから、
防衛策によって買収の可能性をゼロにするのは株主利益に反する
という考え方の攻防なのです。
 最近では、後者の考え方が少しずつ力を得てきています。そし
て「企業防衛」は、コーポレート・ガバナンスの問題としてとら
えられているということです。


≪画像および関連情報≫
 ・ポイズン・ピル
  既存株主にあらかじめあるオプションを付与しておき、敵対
  的買収が起こったとき、それを行使することによって、買収
  者にマイナスの効果を与えること。


1558号.jpg
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2005年03月25日

オラクルによるピープルソフトの敵対的買収(EJ1559号)

 「敵対的買収」のテーマ――平易に書こうとしているのですが
テーマの性格上どうしても難しくなってしまいます。そこで、事
例を中心に解説していくことにします。
 そのうえで現在進行中の格好の敵対的TOB――ライブドア対
フジテレビジョンの経過を追っていくと、この問題の本質がよく
見えてくると思います。
 「オラクル対ピープルソフト」――これは、2003年6月〜
2005年1月までの約1年半にわたるさまざまなやりとりのす
え決着がついた買収劇です。
 ピープルソフトというのは、ERPソフト業界第3位の企業で
す。正確には過去形を使うべきですが、あえてこういう表現をさ
せていただきます。ERPソフトは企業の基幹系業務システムを
統合管理するパッケージソフトなのですが、詳しくは巻末の説明
を参照していただきたいと思います。
 2003年6月時点でのERPソフト業界の順位は次のように
なっていたのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   業界第1位 ・・・ SAP(独)
   業界第2位 ・・・ オラクル(米)
   業界第3位 ・・・ ピープルソフト(米)
   業界第4位 ・・・ J・D・エドワーズ(米)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 2003年6月6日、ピープルソフトは、J・D・エドワーズ
社に対して、17億ドル相当の株式を対価とする買収を友好的に
実施すると発表します。両社の関係は友好的であり、この買収は
成功するものと思われたのです。
 しかし、6月2日になって業界第2位のオラクルがピープルソ
フトに対してTOBを実施することを公表したのです。ピープル
ソフトは当然のことながら仰天したのです。
 TOBとは、対象会社――この場合はピープルソフトの経営権
の取得を目的として、株式の買付けを有価証券の市場外で行うこ
とをいうのです。重要なことは、この段階ではこれを「敵対的買
収」とはいわないことです。TOBにおいてオラクルはTOB価
格を提示しますが、その条件が株主にとって大きな利益になる場
合は、対象会社の取締役会が受け入れることがあるからです。
 この時点のオラクルのピープルソフトに対する提案内容は次の
ようなものだったのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ピープルソフトの株式を1株当たり16ドルの現金をもって
 受け入れる。提示総額は51億ドルである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この1株当たり16ドルというTOB価格は、ピープルソフト
の平均株価を0.06ドル上回る額に過ぎず、しかも、オラクル
の発表当日の価格は18ドルまで上昇したのです。
 オラクルとしては、約60億ドルの手元資金を有しており、提
示総額を自社でまかなうことができる状況だったのです。オラク
ルの狙いとしては、ピープルソフトの技術陣の一部と顧客層の獲
得にあって、かねてからピープルソフトに目をつけていたものと
思われます。
 そこにピープルソフトがJ・D・エドワーズの買収を公表した
ので、チャンス到来と考えたのです。それに、その時点でのER
Pソフト関連のオラクルの売上高は約27億ドル、ピープルソフ
トがJ・D・エドワーズを買収すると、両社の売上高合計は、約
28億ドルになり、オラクルを上回る可能性があったのです。
 ピープルソフトのクレイグ・コンウェイ会長は、オラクルの行
為に対して次のようにコメントしています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 非常に下品な行動を積み重ねてきた会社による非常に下品な行
 動である。ピープルソフトによるJ・D・エドワーズの買収を
 阻止しようとする魂胆が明らかである。
               ――クレイグ・コンウェイ会長
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 コンウェイ会長は、ピープルソフトの株主に対して「取締役会
が本案件に対する最終的な行動案を提示するまで即座に行動する
ことを控えて欲しい」と呼びかけ、取締役会を開催したのです。
 その結果、オラクルのTOBに対して拒否すべきであるとする
株主への勧告を全会一致で決議しています。あわせて、J・D・
エドワーズ社は、オラクルとオラクル経営陣を相手取って「事業
活動妨害」の約17億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしてい
るのです。
 オラクルによるピープルソフトへのTOBはこの時点で敵対的
TOBになったといえます。オラクルもピープルソフトの対応を
批判して、次のように非難声明を発表しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      株主の利益を無視した取締役会の暴走
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 そして、TOB価格を16ドルから19.5ドルに引き上げて
買収総額を63億ドルとしたのです。しかし、TOB価格引き上
げ前日の17日のピープルソフトの株価は17.15ドル、引き
上げ後の18日の終値は17.93ドルとあまり大きな動きはな
かったのです。これは、投資家が現行条件での買収成立に懐疑的
であることを示しているといえます。
 オラクルとピープルソフトとの買収をめぐる攻防はここから泥
沼化していくのです。ピープルソフトの抵抗により、思うように
株を集めることができないオラクルは、その後何回もTOB期間
の延長を重ねることになるのです。
 現在、ライブドアとフジテレビジョンとの攻防が激化していま
すが、つねに後手に回っているように見えるニッポン放送とフジ
テレビジョンの企業イメージが日を追って悪くなっていくように
感じます。来週はピープルソフトの抵抗ぶりを紹介します。


≪画像および関連情報≫
 ・ERPとは何か――Enterprise Resource Planning
  中堅・中小企業向けERPパッケージソフトの開発と導入が
  注目されている。ERPパッケージソフトとは、全社的な業
  務プロセスの改革を目的とした受発注や経理・会計・人事な
  どの基幹系業務システムを統合管理するパッケージソフトで
  ある。ERPパッケージソフトは、これまで大企業を中心に
  導入されてきたが、最近では中堅・中小企業への導入が中心
  となってきている。特に、SAPやオラクルといった外資系
  ソフト会社が、中堅・中小企業を対象にしたERPパッケー
  ジソフトの開発・販売に力を入れている。その背景には、大
  企業向け市場の鈍化と中堅・中小企業向け業務用ソフト市場
  の拡大がある。

1559号.jpg
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2005年03月28日

ピープルソフトが仕掛けたポイズン・ピル(EJ1560号)

 先週の23日、ニッポン放送の新株予約権発行をめぐる東京高
裁の司法判断は三たびライブドアに軍配を上げています。しかも
この高裁の決定は、先の東京地裁の決定よりも大きく踏み込んで
ライブドア側の主張が正当であることを指摘している点に注目す
べきです。これについては改めて取り上げます。
 ライブドアとフジテレビジョンの今回のTOB騒動――大企業
であり、公共放送を担うフジテレビジョンの対応は、大人として
の対応ではないと感じられます。まるで対戦相手を馬鹿にしてい
た横綱が小兵力士にいいように攻め込まれ、横綱らしくない小技
を連発しているが、それでも勝機を掴めない――そのように感じ
られるのです。
 それでいて、高裁決定の次の日に発表されたソフトバンク・イ
ンベストメント(SBI)との提携話――これは一種のニッポン
放送・フジテレビジョンによる焦土作戦に近いものです。ニッポ
ン放送がフジテレビジョンの株を売るとマズイので、SBIに貸
し出すという奇策であると思います。
 貸株というのは所有権が相手に移り、議決権も行使できますし
配当金を受け取る権利を得ることもできるのです。もっとも今回
の「株券消費貸借」の契約では、フジの配当金はニッポン放送に
戻す契約になっているそうですが、貸し手から見ると事実上売っ
たも同然なのです。
 どうして、フジはこのような奇策を連発するのでしょうか。こ
れではフジの企業価値が下がるばかりです。それにSBIの北尾
吉孝CEOの記者会見――映像は恐ろしいもので、あの会見で北
尾なる人物がどういう人物かわかります。
 フジの日枝会長もそうでしたが、小さいとはいえひとつの企業
を代表する人物を「君」付けで呼び、オレの方が先輩と胸をはる
ことで、この人がどういう人であるかの人物評価は定まると思う
のです。これでは、ライブドアの堀江貴文社長の茶の間での人気
が上昇するばかりです。
 さて、そのことはさておき、オラクルによるピープルソフトの
買収劇に話を戻します。
 オラクルという会社の実力から見て、スムーズに行くと思われ
たピープルソフトのTOBですが、しだいに泥沼化の様相を呈し
てきます。それは、ピープルソフトがこういう事態を予測して、
さまざまな防衛策をとっていたからです。その防衛策について研
究することにします。
 そのひとつが「ポイズン・ピル」です。「ポイズン・ピル」に
ついては巻末の解説を読んでいただくとして、ピープルソフトの
ポイズン・ピルについて説明します。1995年にピープルソフ
トは、次のような制度を導入したのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 特定の株主が発行済株式総数の20%超を保有した場合、特定
 の株主以外の株主が権利行使価格の2倍相当の価値の普通株式
 を取得できる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ピープルソフトの場合、権利行使価格は190ドルに決められ
ています。この場合、普通株主の権利行使とは、ある特定の株主
が20%超の株式を取得した場合に行使できる権利です。
 仮にある特定株主が20%の株式を取得した時点の株価が20
ドルと仮定して計算すると次のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   190ドル × 2 ÷ 20ドル = 19株
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 つまり、こういうことです。仮にオラクルがピープルソフトの
発行済株式の20%を取得したとして、そのときの株価が20ド
ルであったとすると、オラクル以外のすべての株主は19株の新
株を手にすることができるというわけです。その結果、オラクル
の持分が希薄化してしまうことになります。実に巧妙な制度なの
です。このような制度をポイズン・ピルというのです。
 さらにピープルソフトは、オラクルによるTOB提案後に役員
の退職金の規定を修正し、もし、オラクルがピープルソフトを買
収し、経営陣の入れ替えに成功した場合、ピープルソフトはコン
ウェイ社長に7000万ドルもの退職金を支払う規定に改正して
いるのです。これも敵対的買収の防御策で、「ゴールデン・パラ
シュート」と呼んでいるのです。
 ピープルソフトはさらに凄い仕掛けをしていたのです。それは
オラクルのエリソン会長がTOBに当たって言明した次の言葉を
逆に利用した防衛策なのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 買収後はピープルソフトブランドを積極的に販売するつもりは
 ない。            ――オラクル/エリソン会長
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これを受けてピープルソフトは、ピープルソフトのソフトを購
入したユーザから高額でソフトを買い戻す施策を実施すると発表
したのです。ピープルソフトが買収された場合、ソフト購入代金
の数倍の金額でソフトを引き取るというものであり、もし、買収
が成功すると、多額の現金が社外に流出することになって、買収
者にとってターゲット企業の魅力を下げることになるのです。
 しかし、この施策は株主にとってはマイナスに働くことになり
ピープルソフトの取締役は忠実義務違反に問われる恐れがありま
す。もともと株主ではないソフトの顧客は買収劇に関しては買収
でどのような不利益をこうむっても何も関与できないのです。
 ところがピープルソフトのユーザには政府や大企業が多く、こ
れらのユーザは高額のオラクル製品を避けて、ピープルソフトを
採用したケースが非常に多いのです。つまり、オラクル嫌いの力
のあるユーザが多かったわけです。
 ピープルソフトのコンウェイ会長は、こういう顧客群を味方に
つけて徹底的に反撃に出ます。この反撃策については、明日述べ
ることにします。


≪画像および関連情報≫
 ・ポイズン・ピル(毒薬条項)
ポイズン・ピル――とは、買収のターゲットになった企業が
自社株の魅力を、買収者にとって低下させる措置をとること
  を定める条項のことをいう。新たな優先株を発行し、企業買
  収が成立した場合、高価格で償還を受ける権利を株主に付与
  するのが一例である。こうした条項を発動すると、買収コス
  トが増加し、同時に1株当たりの企業価値が低下するという
  希薄化の発生で、買収を諦めさせるという効果がある。

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2005年03月29日

次々とM&Aを仕掛けるオラクル(EJ1561号)

 ピープルソフトは、もしオラクルによる買収が行われた場合、
ピープルソフトのユーザはオラクル製品への乗り換えを強制され
るというネガティブ・キャンペーンをはじめたのです。
 こういう状況に対して、ピープルソフトの大口顧客からピープ
ルソフトの経営陣に対し、協力の申し出が相次いだのです。その
中には米国の州政府もいたのです。同社のソフトは多くの州政府
で使われていたのです。
 オラクル製品への乗換えが強制されることを危惧するいくつか
の州政府は、オラクルによるTOBの差し止め訴訟を提起してい
ます。また米司法省は、オラクルによるピープルソフトへのTO
Bが反トラスト法に違反していないか調査し、その結果、200
4年2月にサンフランシスコ連邦地裁に敵対的買収の差し止めを
提訴しています。
 このように、オラクルのピープルソフトに対する敵対的TOB
において、ピープルソフトのユーザが重要な役割を演じたことは
非常に特異なケースであるといえます。
 2004年3月25日、ピープルソフトの株主総会が開催され
ているのですが、ここではオラクルのTOBに反対しているコン
ウェイ会長を含む4人の取締役の再任が承認されているのです。
ピープルソフトの株主は、反オラクルである現経営陣の支持を明
確にしたことになるのです。
 一般的に買収のターゲット企業にここまで抵抗されると、買収
側はあきらめるか何らかの戦略変更を行うものです。しかし、オ
ラクルは執拗にTOBの期間を繰り返し延長して、ピープルソフ
トを追い詰めたのです。
 2004年5月14日、オラクルはピープルソフト株式の市場
における評価が変化したことを理由に、TOB価格を1株当たり
26ドルから21ドルに下げています。そして、TOB期間をさ
らに変更したのです。この時点でエリソン会長は米司法省による
反トラスト法違反の判決をひたすら待っていたのです。
 そして、2004年9月9日、エリソンにとって待望の判決が
出たのです。オラクル勝訴です。これでピープルソフトにとって
大きな支えがなくなったことになります。
 ちょうどその頃、ピープルソフトは「コネクト2004」とい
うユーザ・カンファレンスを9月21日〜24日までサンフラン
シスコで開催しています。そのカンファレンスでコンウェイ会長
は基調講演を行っているのですが、そこでIBMとの業務提携を
発表しています。そして、オラクルとの攻防については直接触れ
ず、次のことばで締めくくったといいます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 少し過去の話をしましょう。ピープルソフトは1年前にJ・D
 エドワーズとの合併を完了させてから、ずっと両製品の統合と
 機能強化に努めてきました。その間、周囲ではいろいろ騒がし
 かったようですが、われわれはただ静かにユーザのために働い
 てきたのです。    ――ピープルソフト/コンウェイ会長
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この発言は、株主やユーザの意向がない限り、オラクルの提案
には乗らないことの宣言と考えられます。そのための後ろ支えと
して、IBMとの提携を発表したのでしょう。しかし、それから
というもの、ピープルソフトは次第に追い詰められ、遂に12月
13日にオラクルがピープルソフトを買収することが決まったの
です。そのときのTOBの期限は12月28日であり、その時点
でオラクルは75%以上の株式を取得していたのです。
 しかし、オラクルはさらにTOBの期限を2005年1月6日
と定めて、株式の90%以上の取得を目指したのです。なぜ、株
式の90%以上の取得を目指したのかというと、90%を超えて
いれば株主投票を行わないで済むからです。
 そして2005年1月7日にオラクルはピープルソフトの発行
済み株式の97%を取得したことを発表し、1年半に及ぶ買収劇
は終了したのです。
 このオラクルによるピープルソフトの買収でもわかるように、
資金力のある企業からTOBを仕掛けられると、たとえターゲッ
ト企業がどのように抵抗したとしても買収されてしまうものであ
ることを認識しておく必要があります。
 買収には、買収対価が現金の場合と買収者の株式の場合がある
のです。オラクルの場合は現金だったのですが、実は現金の方が
怖いのです。
 対価が買収者の株式による場合は、株主は買収者の買収後の経
営がどうなるのかに関心があるので、買収者の狙いについて反論
をすることが可能です。買収者が主張するシナジーは出ないとか
リスクの指摘などができるので、株主を説得する余地がそこにあ
ります。
 しかし、現金による買収の場合は、株主にとっては「いくらで
売れるか」ということに関心があり、自分が売ったあとのその企
業の経営がどうなろうと関係がないのです。したがって、非常に
高い価格でTOBを仕掛けられると、株主を説得するすべはない
といえます。
 それにしても、オラクルがなぜピープルソフトを買うのかにつ
いては多くの謎があります。エリソン会長は「合併は大変大きな
効果をもたらす。オラクルはより多くの顧客を獲得し、アプリケ
ーションの開発とサポートにもっと多くの投資ができるようにな
る」と述べていますが、103億ドルも使いながら、オラクルは
自社のアプリケーション製品に加え、ピープルソフト製品、さら
にJ・Dエドワーズの製品まで抱えることになるのです。これら
の製品はもともと市場で競合しており、補完関係はないのです。
 しかも、オラクルは今年の3月に小売業界向けソフトウエア開
発を手がける米リテック社をSAPと争って買収に成功している
のです。マイクロソフト社に対して非常に好戦的なエリソン会長
ですが、なぜ、かくもM&Aを続けるのでしょうか。とにかく米
国のビジネス社会は少しも気は抜けないのです。


≪画像および関連情報≫
 ・[ニューヨーク 22日 ロイター]
  米企業向けソフトウエア大手オラクルは、2005年3月
  22日、小売業者向けソフトを開発する米リテックを買収
  することで合意したと発表した。買収価格は、リテック株
  1株当たり11.25ドル。ロイター通信の計算によると
  買収総額は約6  億3100万ドル。リテックをめぐっ
  ては、オラクルと独同業SAPが買収合戦を繰り広げてい
  たが、オラクルによるとSAPは買収合戦から離脱した。

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2005年03月30日

日本人初の敵対的TOBはMAC対昭栄(EJ1562号)

 村上世彰氏――いわずと知れた村上ファンドのあの村上氏のこ
とですが、この人は株の世界では超有名人です。そこで、「オラ
クル対ピープルソフト」の事例に続いて、村上氏が最初に仕掛け
た敵対的TOBのケースを分析してみることにします。
 村上世彰(よしあき)氏――彼は小学生の時に、父親から今後一
切お金をあげないという条件付きで、100万円の現金を渡され
たそうです。小遣いの前渡しのようなものです。父親としては息
子がその金をどのように使うかテストをしたものと思われます。
 世彰氏はそれでサッポロビールの株を買い、小学生のときから
日本経済新聞を読んでいたというのです。自分が投資した虎の子
の100万円がどうなるか新聞から情報を得ようとしたのです。
 株という資産はリスクがあります。自分の資産にリスクがあれ
ば誰でも気になるものです。そこで株価を気にするようになり、
それに加えて今後の動向を知るために、企業の業績や経済の流れ
を掴もうとします。そういうとき、日本経済新聞はとても役に立
つのです。
 村上氏は1983年に東大法学部を卒業後、通産省に入省して
キャリア官僚になります。通産省を退職後、1999年に投資会
社エム・エイ・シー(MAC/M&Aコンサルティング)を設立
するのです。そして、敵対的買収を始めたのです。
 彼が最初にターゲットとしたのは「昭栄」という企業です。こ
の企業は、マンションなど不動産や電気部品などを扱う会社であ
り、2000年頃の不況で業績は芳しくなく、株価もそれを反映
して安値で推移していたのです。
 しかし、村上氏の調査により、その企業の実態は、バブル期に
不動産取引で儲けた利益を資産としてため込んでいたそうで、そ
の総額がなんと約660億円もあることが判明したのです。村上
氏の率いるMACは、この昭栄をターゲットとして敵対的TOB
を仕掛けたのです。村上氏のデビュー戦であり、日本人による初
の敵対的TOBになったのです。
 TOB開始直前の昭栄の株価は880円――しかし、時価総額
約123億円に対して保有有価証券の時価は約360億円、不動
産部門の資産価値は約360億円であり、含み益を勘案した株価
水準で考えると、880円の株価は非常に割安であると判断した
からです。
 最初村上氏は昭栄の大株主に経営改革の必要性を説いたのです
が、一顧だにしてもらえなかったので、自らの考え方を市場に問
うために敵対的TOBに踏み切ったといっています。TOB価格
は1000円――2000年1月24日のことです。
 翌25日に昭栄は「公開買付けの反対に関するお知らせ」を公
表し、TOBに反対することを正式に公表します。これで敵対的
TOBということになります。
 ところが26日から昭栄の株は上がり始め、1260円となり
TOB最終日の2月14日まで、株価はTOBの価格1000円
をすべて上回ることになったのです。これなら、市場で売却した
方が得であるとして、TOBそのものはうまくいかなかったので
す。MACは昭栄の発行済株式総数の6.52%を確保したにと
どまり、村上氏のデビュー戦は一敗地にまみれたのです。
 失敗の原因として、次の2つが上げられます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      1.TOB設定価格が低すぎる
      2.株の持合関係が強固である
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 第1は、「TOB設定価格が低すぎる」ことです。
 MACがつけた1000円というTOB価格は、過去2〜3年
の株価推移から見ると、一定のプレミアムがついた価格といえま
すが、昭栄の持つ資産から見ると明らかに低いのです。
 当の村上氏も「昭栄には1株当たりの会社の価値が少なくとも
5000円以上ある」といっていたのですから、もう少し高い値
をつけてもよかったと思われるのです。米国のファンドの運用担
当者ですら、キャノンの株式と不動産の含み益を控え目に評価し
ても1株2300円の価値があるとコメントしていたのです。
 第2は、「株の持合関係が強固である」ことです。
 昭栄には芙蓉グループをはじめとする持合関係が非常に強固で
あり、上位10社のうち8社が持合関係にあるのです。その保有
比率は46.15%、TOB前のMACの保有比率は2.78%
で第8位の株主だったのです。
 筆頭株主はキャノンですが、昭栄株の保有比率は11.25%
昭栄の持つキャノン株は6036(千株)、第2位株主は安田火
災海上保険、昭栄株の保有比率は10%、昭栄の持つ安田火災海
上株数は2782(千株)といった具合です。これではTOBが
成功するはずはないのです。
 しかし、昭栄の資産と含み益が市場株価に反映していないのが
問題なのです。600億を超える資産がありながら年収は3億円
国債を買っても年15億円の利益は得られる。資産を時価で計算
すると1株5200円もの価値のある会社の株価を1000円未
満にしかできないで、それを経営といえるのか――村上氏の敵対
的TOBは失敗したとはいえ、こういう問題指摘をしたという意
味において意義があったといえます。
 この村上氏による日本人初の敵対的TOB以来、外国人投資家
が「株主重視経営」のプレッシャーを強めてきたことを考えると
この敵対的TOBの影響は少なからずあったのです。
 このように考えると、TOBは単なるマネーゲームではないこ
とがわかります。昭栄にしてもMACによる敵対的TOBを受け
たあと、不採算部門である電気部門からの撤退を表明し、業績改
善に努力した結果、現在では東証第1部(当時は東証第2部)に
上場しているのです。
 ライブトア対フジテレビジョンの敵対的買収についてもおなじ
ことがいえます。狙われるフジテレビジョンに脇の甘いところが
あったからこそ狙われたのです。


≪画像および関連情報≫
 ・村上世彰氏
  株式会社M&Aコンサルティング 代表取締役
  1983年、東京大学法学部卒、通商産業省入省。同省在南
  アフリカ日本大使館一等書記官、通商政策局経済協力部アジ
  ア太平洋地域協力推進室課長補佐大阪APEC担当、通商産
  業研究所法令審査委員、生活産業局サービス産業企画官など
  を経て、1999年、株式会社M&Aコンサルティング設立
  して現在に至る。

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2005年03月31日

注目を集めたMAC対東京スタイル(EJ1563号)

 もうひとつMAC村上世彰氏の名前を有名にした事例をご紹介
することにします。2002年に起こったMAC対東京スタイル
のケースです。これは本格的な「プロキシー・ファイト」の事例
として参考になると思います。「プロキシー・ファイト」につい
ては、この事件の経過の中でわかってくるはずです。
 東京スタイル――当時連結売上高625億円のアパレルメーカ
です。しかし、この企業は1280億円もの現金や有価証券を保
有しており、その合計が総資産の70%を占めていたのです。そ
して、会社側はこの潤沢な資産を使ってファッションビルを購入
する計画を立てていたのです。このビルに東京スタイルが投じよ
うとしている資金は約500億円です。
 村上氏はかなり早くからこの事実を知っており、東京スタイル
の株を買い増ししていたのです。そして、2002年1月15日
時点で同社の発行済み株式の9.3%を取得し、筆頭株主に躍り
出たのです。
 そして、村上氏率いるMACは、1月31日に東京スタイルに
対し、次の株主提案権行使請求書を提出したのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  1.ファッションビルへの500億円の不動産投資の中止
  2.保有する現金や有価証券を原資とし自社株を買い実施
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 つまり、東京スタイルは、純資産が株式時価総額を超えている
銘柄なのです。時価総額というのは、次の式で算出します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   時価総額 = 発行株式数 × 前日の株価終値
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 公募して資金を集めながらほとんど使わず、株価が下がっても
平気な企業や歴史が長く内部留保は厚いが現在では投資先がない
企業などは、東京スタイルのようなかたちになるのです。
 それに対して村上氏は、資金を使う事業がなかったり、適切な
投資先がないなら、そのお金で自社株買いを積極的に進めたり、
配当を増やすなどして株主へ利益還元すべきであると主張したの
です。米国流というよりも、極めて説得力のある、納得できる主
張であるといえます。
 当然のことながら、この情報は市場に流れて、2月1日の東京
スタイルの株価は179円上がって1319円になったのです。
もし、東京スタイルが村上提案を受け入れ、豊富な資金を使って
自社株買いをすれば株価上昇は間違いないからです。
 東京スタイルの高野義雄社長にしてみれば、「イザというとき
に備えて十分な蓄積は必要である」という考え方で、現金や有価
証券をストックしていたのでしょうが、これは極めて日本的な経
営の考え方であるといえます。MACの村上氏は、東京スタイル
のこういう経営体質にクレームをつけたのです。
 東京スタイルの決算は2月であり、株主総会は5月なのですが
高野社長は「MACの提案にはコメントできない」として、マス
コミと会うことを拒否し、5月の株主総会に向けて、MACとの
対決姿勢を強めていったのです。
 そして、株主総会の5月に向けて壮絶な「プロキシー・ファイ
ト」が展開されたのです。プロキシー・ファイトというのは、株
主総会に先立ち、株主から多数の委任状――プロキシーを獲得す
る争いのことです。多数のプロキシーを握った方が、株主総会で
の議決において,支配権が得られるからです。
 MACとしては、5月の株主総会に向けて、次の3つの提案を
行ったのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   1.1株あたり500円の配当を実施すること
   2.総額500億円まで自社株の買い付け実施
   3.村上氏に指定する2人の社外取締役を選任
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 2002年5月23日、午前10時、東京スタイルの株主総会
は開始されたのです。MACはさらに東京スタイル株を買い進め
て、11.9%を保有する筆頭株主になったのです。
 MACとしては、29%を占める外国人株主の大半がMAC側
につくと読んでいたのです。さらに8%の個人株主も大丈夫と考
えていたようです。
 しかし、これは甘かったようです。東京スタイル側は、村上氏
を総会屋と喧伝して個人株主がMAC側につくことを防ぎ、長年
続けた12.5円の配当を増額して20円にし、123億円の自
社株買いを提案して持ち合い株主の取り込みを図ったのです。徹
底した持ち合い株の多数派工作が事前に行われていたのです。
 さらに議決権数を数えるには時間がかかるので事前にやろうと
MAC側が提案したのに無視し、あえて総会の当日にそれを行い
時間をわざとかけることによって、MAC側の質問の時間を封ず
る作戦に出たので、株主総会は実に7時間に及んだのです。
 結果は、次のように会社側提案は通り、MAC側の提案は大差
で否決されてしまったのです。またしてもMAC側の完敗です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          20円配当   自社株買い
      賛成 48031票  45522票
      反対 37456票  40015票
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 MAC側の敗因は、村上氏に好意的であった外国人投資家の5
%が委任状を出さなかったことと、棄権すると思われていた投資
信託銀行や投資顧問などの年金運用者が会社側につき、総会屋と
いう会社の喧伝を信じた個人株主までもが会社側支持にまわった
ことにあります。
 コーポレート・ガバナンス(企業統治)で重要なのは、取締役
と株主との関係です。取締役はサラリーマンが出世して座るポス
トではなく、株主に選ばれていることを認識すべきです。東京ス
タイルのケースは、そういうことを考えさせる事件でした。


≪画像および関連情報≫
 ・株主提案権
  株主提案権は、欧米の株主総会では以前から定着していた制
  度で、株主総会で会社(取締役会)が議案を提案するのと同
  じように、株主にも議案提案の権利を認めようというもので
  ある。日本では、昭和56年の商法の改正で、「232条の
  2」に導入されている。その目的は、株主に対して、株主総
  会の機会を利用して、会社の経営に関する株主自身の意思を
  決議に反映させ、会社内部の風通しをよくしようというもの
  である。株主提案は、6ヶ月以上前から株式総数の100分
  の1以上または300個以上の株を持っている株主なら誰で
  も行なうことができる。

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