2016年12月09日

●「1700通のメールの内容は何か」(EJ第4418号)

 1700通のヒラリーメール──ウィキリークスの創始者であ
るジュリアン・アサンジ氏は、このメールを米大統領選の投票の
直前に公開すると宣言していたのですが、本当に公開されたので
しょうか。
 結論からいうと、1700通のメールは、公開されなかったの
です。ジュリアン・アサンジ氏のインターネット回線が切断され
たからです。どうしてこのようなことが起こったのかについては
現在アサンジ氏がどのような状況に置かれているのかについて知
る必要があります。
 アサンジ氏は、2012年よりロンドンのエクアドル大使館に
いるのです。彼は、オーストラリア人のジャーナリストですが、
ウィキリークスの活動をしている関係上、いろいろあって、ロン
ドンのエクアドル大使館に政治亡命したのです。
 アサンジ氏の「1700通のヒラリーメール」の公開予告に慌
てたケリー米国務長官がエクアドル政府に掛け合って、アサンジ
氏のインターネット回線を切らせたのです。ケリー国務長官は、
コロンビア革命軍(FARC/反政府左翼ゲリラ)の和平の実現
を引き替え条件に出したといわれます。
 アサンジ氏のいるエクアドル大使館はロンドンの中央にありま
すが、アサンジ氏は大使館を一歩でも出ると、ロンドン警察に逮
捕され、米国に引き渡されます。しかし、インターネットの回線
を切断されてしまうと、外部との連絡がとれず、ウィキリークス
の活動に影響が出ることになります。
 そこで、アサンジ氏は、同じオーストラリア人のジョン・ピル
ガー氏のインタビューを受けることにしたのです。インタビュー
は2016年11月5日にエクアドル大使館において、25分間
にわたって行われています。
 このインタビューのなかから「1700通のヒラリーメール」
の関連部分を抜き出すことにします。ジュリアン・アサンジ氏は
「JA」、ジョン・ピルガー氏は「JP」と略記します。
─────────────────────────────
JP:彼女は一体なぜ、リビアの破壊にこれほど熱心だったので
   すか? 電子メールで一体何がわかるか、 そこで何が起き
   たのか、少しお話し願えますか?というのは、リビアは今
   のシリアにおける余りに多くの破壊行為の大変な源なので
   すから。ISILや聖戦主義など。あれは、ほとんどヒラ
   リー・クリントンの侵略でした。電子メールで、あれにつ
   いて何がわかりますか?
JA:リビア、誰の戦争というよりも、ヒラリー・クリントンの
   戦争でした。バラク・オバマは当初、反対しました。一体
   誰がこれを主張したのか。ヒラリー・クリントンです。
    彼女の電子メールに証拠として残っています。彼女は、
   お気に入りの代理人、シドニー・ブルーメンソールをこれ
   に当てました。我々が公表した3万3千通のヒラリー・ク
   リントン電子メールの中には、リビアに関する1700通
   以上の電子メールがあります。リビアに安価な石油があっ
   たからではないのです。カダフィ排除と、リビア国家の打
   倒・・・大統領本選挙への準備に利用したいものだと、彼
   女は感じていたのです。
    2011年末に、ヒラリー・クリントンのために作成さ
   れた「リビアのチクタク」と呼ばれる内部文書があり、そ
   れは、リビア国内で約4万人の死者をもたらし、聖戦士が
   入り込み、ISISが入り込み、ヨーロッパの難民・移民
   危機を招いたリビア国家の破壊で、彼女がいかに中心人物
   であるかという時系列的説明になっています。
                   http://bit.ly/2gWYuPE
─────────────────────────────
 上記のアサンジ氏の話によると、クリントン国務長官(当時)
は、何が何でもリビアのカダフィー大佐を殺害し、リビアが保有
する富や武器を奪う強い意思を持っていたように思います。
 クリントン国務長官は、国務長官在任中、20カ国に総額16
50億ドルの武器売買取引を成立させています。武器輸出の商談
成立の前後に、軍事産業からクリントン財団への寄付が行われて
きているのです。これによって、オバマ政権は米国史上もっとも
大量の武器を輸出した政権になったほどです。このあたりのこと
を副島隆彦氏は、次のように明確に書いています。
─────────────────────────────
 カダフィを惨殺して(2011年10月20日)、リビアの国
家資金をすべて、アメリカの特殊部隊(スペシャル・フォーシズ
/CIAとの合同軍)が奪い取った。この資金おそらく200億
ドル(2・4兆円)ぐらいが、今のIS(アイエス)の凶暴な7
万人の傭兵部隊(マーシナリー)の設立資金になったのである。
ISは2014年6月10日に、突如、北イラクの都市モスルを
制圧して出現した。時間の流れがきちんと符合する。
                      ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 アサンジ氏によると、米国の国務長官という地位の人が、独裁
者というだけで、米国にとって脅威ではなく、何の罪もないアフ
リカの星であるリビアの国家元首の殺害に加担し、それによって
得られる武器はシリアの反政府軍の支援に回し、そこから得られ
る資金は、こともあろうに自らの大統領選挙に使おうとしていた
のではないかといっているのです。
 つまり、ヒラリーメール──それも1700通のメールの内容
は、カダフィー殺害に関してクリントン国務長官からのスティー
ブンス大使やブルメンソール氏に対する指示や、さまざまな報告
などのやり取りがわかるものとなっているのです。したがって、
このメールについては、米国としては、絶対に外に出させないと
して、アサンジ氏の通信手段であるインターネットを切断したも
のと思われます。    ──[孤立主義化する米国/103]

≪画像および関連情報≫
 ●ウィキリークスの創始者、ジュリアン・ポール・アサンジ
  ───────────────────────────
   ジュリアン・アサンジという男を覚えているだろうか。
   ウィキリークスの創始者であるジュリアン・ポール・アサ
  ンジは現在、未だに、イギリスのエクアドル大使館に身を潜
  めている。もう彼是2012年から3年以上の間にわたって
  同国大使館から一歩も出ていないのではと推測される。
   というのもエクアドル大使館周りでは厳重な警戒態勢が敷
  かれており、イギリス政府がアサンジの身柄拘束を狙ってい
  るためだ。大使館内に留まっている間はイギリス政府は手出
  しはできないが、一歩でも外を出た瞬間に捕まえられてしま
  うだろう。外交官ではないので外交官特権を行使することは
  できず、車で大使館から出たとしても移動後も警察車両に追
  跡され、車から出たところを確保されるに決まっている。
   要するに、アサンジは今軟禁状態にあるのだ。しかも、い
  つ解放されるかも分からない。一度捕まってしまえば、イギ
  リスからスウェーデンに引き渡され、その後アメリカに連れ
  て行かれるのは明白だ。アサンジはそれをもっとも恐れてい
  る。ウィキリークスで大損害を与えた、アメリカに連れて行
  かれることを。ウィキリークスでは米英を中心とした国家機
  密などの文書を大量に流出・公開させており、トップシーク
  レットの文書が流出することなどで国家が隠蔽し続けていた
  悪事などが一挙明るみに出ており、国家レベルでの自国民に
  対する諜報活動などに批判が続出している。
                   http://bit.ly/2g1nVLi
  ───────────────────────────

アサンジVSクリントン.jpg
アサンジVSクリントン
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2016年12月08日

●「1700通メールの意味するもの」(EJ第4417号)

 2016年8月〜9月11日までのヒラリーメール関連の出来
事を時系列に示します。一口メモも付けておきます。
─────────────────────────────
◎ 8月01日
 ・トランプ氏はオハイオ州集会で選挙集計の不正について言及
 ・クリントン財団の秘密を暴いた作家ソーン氏が山中で不審死
◎ 8月 3日
 ・英BBCはヒラリーメール問題が大統領選の中心議論と報道
◎ 8月 4日
 ・クリントン財団の秘密を調査中の弁護士ルーカス氏の不審死
◎ 8月 9日
 ・アサンジはヒラリーメール1700通を投票直前に公表予告
◎ 8月10日
 ・オバマ大統領はISISの創立者であるとトランプ氏が発言
◎ 8月11日
 ・FBIと司法省がメールとクリントン財団への合同捜査開始
◎ 8月22日
 ・裁判所は1万4900通の復元メールの公開を国務省に命令
◎ 9月 3日
 ・FBIがヒラリー氏への尋問書(供述調書)公開に踏み切る
◎ 9月 5日
 ・WSJ紙は尋問書を読んでヒラリー氏を批判。信頼崩壊宣言
◎ 9月11日
 ・クリントン氏は追悼式典の最中に気分不良で中途で退席する
◎ 9月26日
 ・第1回大統領選討論/  オハイオ州デイトン、ライト大学
◎10月 9日
 ・第2回大統領選討論/    ミズーリ州、ワシントン大学
◎10月19日
 ・第3回大統領選討論/  ネバダ州ラスベガス、ネバダ大学
─────────────────────────────
 トランプ氏は、テレビ討論のさい、司会者に投票結果を受け入
れるかと聞かれ、明言を避けています。そのあとで「自分が勝っ
たときは受け入れる」と発言をしましたが、これは米国の投票シ
ステムに疑問があるからです。これについて副島隆彦氏は、次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 トランプが、「大統領選で(各州の得票計算の段階で)不正行
為が行われるのではないかと私は危惧している」とオハイオ州の
演説で語った。トランプが心配しているのは「アリストス・シス
テム」“Alistossystem” という名の選挙集票の不正計算のコン
ピュータ・ソフトであり、これが使用されると、集票計算に変更
が加えられて投票結果をねじ曲げる不正が行われる。日本でも、
2000年ごろから「ムサシ」という名の不正選挙用のソフトが
使われ始めたと囁かれるようになった。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 2016年8月9日、ウィキリークスの創設者のジュリアン・
アサンジ氏は、次のように発言しています。
─────────────────────────────
 ヒラリーとリビア・ベンガジ事件に関係するヒラリーメール
 1700通を10月中に公開する。 ジュリアン・アサンジ
─────────────────────────────
 このアサンジ氏のいう「1700通のメール」とは、どういう
内容のメールなのでしょうか。
 メールの正確な総数は不明ですが、おそらく全部で5〜6万通
はあったと考えられます。メールを使っている人ならば容易にわ
かると思いますが、1万通のメールが溜まるのにたいして時間は
かからないからです。
 ヒラリー・クリントン氏が国務長官を務めたのは、2009年
〜2013年の4年間です。私用メールの問題は、2012年9
月にリビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件をめぐる調査
の過程で発覚しています。
 クリントン氏は、国務長官退任後の2014年に、国務省の求
めに応じ、在任中の3万件のメールを提出しています。FBIは
クリントン氏が在任中に使っていた複数のサーバーや携帯端末を
徹底的に調査したものの、クリントン氏のアカウントには、直接
何者かが侵入した形跡はないことがわかっています。
 しかし、メールは他の誰かとやり取りするものであり、通信相
手のアカウントがハッキングされる可能性もあります。実際に、
クリントン氏が国務長官のとき、私的側近を務めていたシドニー
・ブルメンソール氏に送ったメールが多数ありますが、ブルメン
ソール氏のアカウントがハッキングされ、外部に流出してしまっ
ています。これについては、11月22日付、EJ第4406号
で取り上げています。         http://bit.ly/2gaxc4l
 実はヒラリーメールのうち、最も重要なのは2011年のメー
ル──カダフィー殺害とリビア国崩壊時点のメールなのです。こ
れに関連するメールが「1700通のメール」なのです。結果と
して、これらのメールは既に国務省は把握していますが、国家機
密として公開されていないのです。開示してもその部分は、いわ
ゆる「のり弁」になっているのです。
 ウィキリークスの創設者であるジュリアン・アサンジ氏が、8
月9日に「ヒラリーメール1700通を選挙投票の直前に公開す
る」と通告したのは、クリントン陣営や国務省に対する脅し(ブ
ラフ)です。もし、本当に公開されれば、クリントン氏が勝つこ
とは不可能になるだけでなく、米国という国の権威にも関わる重
大事態となります。これについて国務省は直ちに行動を起こして
います。これについては明日のEJで述べます。
            ──[孤立主義化する米国/102]

≪画像および関連情報≫
 ●ウィキリークス「ヒラリーの証拠メール持っている」
  ───────────────────────────
   アメリカ大統領選挙は外交政策(過激イスラム主義、移民
  規制政策)が表の大きな争点ですが、裏の争点というか本当
  の争点は「オバマとヒラリーの外交政策の失敗」です。それ
  が「アラブの春」を引き金とする中東のブッシュ政権終了時
  以上の混乱です。
   それは何かというと、シリア、リビア、エジプトの政権転
  覆で、これにアメリカ国務省が関わっていたのではないかと
  するものです。ずい分前からアメリカがシリアの反体制派に
  武器を供与していて、その結果として、アルカイダよりも更
  に恐ろしいISIS(イスラム国)が生まれたということは
  言われてきました。「いや、アメリカは穏健派の反アサド大
  統領派にだけ武器を供与するんだ」と言っていましたが、実
  際はそうではなくものすごく過激な勢力に武器を与えていた
  のではないかという疑惑。それがまさしくリビアのベンガジ
  領事館襲撃(2012年9月11日の事件)ですが、ここの
  オペレーションにヒラリー・クリントン国務長官が関わって
  いたのではないかと言われていた。ただ、いまままでは断片
  的な状況証拠やメールしかなかった。その証拠となるメール
  を、ウィキリークス代表のジュリアン・アサンジが持ってい
  ると発言しました。発言した場所は、日本でもよく知られる
  「デモクラシーNOW」という番組でのインタビューの中で
  ヒラリーとリビア関連のメールは1700通あるそうで、こ
  れをしかるべくタイミングを見て、検索できる形で公開する
  とアサンジは言っている。    http://amba.to/2fZeDQe
  ───────────────────────────

ジュリアン・アサンジ氏.jpg
ジュリアン・アサンジ氏
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2016年12月07日

●「サンダース支持者を取り込めない」(EJ第4416号)

 昨日のEJでお知らせした2016年7月の出来事のうち、4
つを再現します。
─────────────────────────────
◎ 7月07日
 ・下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、喚問実施
◎ 7月12日
 ・リンチ司法長官は、下院ベンガジ特別委員会に呼ばれて喚問
◎ 7月22日
 ・ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
◎ 7月25日
 ・民主党全国大会初日、サンダーズ支持者が大会から大挙退場
─────────────────────────────
 クリントン陣営としては、2016年7月25日〜28日の民
主党全国大会前に何とかしてヒラリーメール問題を鎮静化させた
かったのです。そのため、ビル・クリントン氏は、旧知のロレッ
タ・リンチ司法長官と直接会って、「ヒラリー不起訴」の確約を
とろうとしたのです。そのため、6月27日にビル・クリントン
氏は、フェニックス空港でリンチ司法長官に密かに面会し、おそ
らくその確約を得ているはずです。
 しかし、一方の共和党としては、まともに戦ったのでは、知名
度はもちろんのこと、政治家としても実績のあるクリント氏に勝
てないので、むしろヒラリーメール問題で突破口を開こうと考え
たものと思われます。
 ビル・クリントン氏とリンチ司法長官の「密会」はメディアの
知るところとなり、ヒラリーメール問題は、鎮静化どころか、か
えって炎上する結果になったのです。
 7日7日、下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、
喚問を実施しています。喚問のポイントは、コミー長官が踏み込
み過ぎた発言をしたからです。これについて、副島隆彦氏は次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 ジェームズ・コーミーFBI長官がヒラリー・メール問題の捜
査について、「クリントン氏は国家機密文書の取り扱いできわめ
て不注意であった。しかし、このことで刑事起訴できるほどのこ
とではない」と司法省(=検察庁)に対して、推奨(レコメンデ
ーション)を出した。
 ここでコーミーFBI長官が「ヒラリー・クリントンを不起訴
にすることが妥当である」とまで、司法省に対して判断を示した
ことが問題となった。本来なら、「FBIとしては極めて違法性
が高いと判断する。しかし、刑事起訴するか否かは司法省が決め
てください」とコーミー長官は言うべきであった。コーミー長官
自身に疑惑が出て非難されることになった」。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 コミーFBI長官へのこの喚問を契機に、FBIと司法省は合
同で、終了したはずのヒラリーメールの再調査を開始しているし
国務省もそれまで中断していたヒラリーメールの内部監査を再開
すると発表しています。いや、そうせざるを得なかったのです。
 これに対して、ヒラリー派に属する国務省高官は、過去の悪事
が暴かれることを恐れ、内部監査にさまざまなブレーキをかけて
妨害したといいます。
 さらに7月25日には、ロレッタ・リンチ司法長官が下院ベン
ガジ事件特別委員会に呼ばれて喚問を受けています。これは、5
時間に及ぶ長時間喚問で、ガウディ委員長が「リンチをリンチし
た」といわれるほど厳しかったといわれます。
 副島隆彦氏によると、「リンチ=私刑/私的制裁」という言葉
は、昔リンチ(Lynch) という名前の裁判官が南部にいて、たく
さんの犯罪容疑者の黒人に死刑判決を出したことから生まれたと
いわれています。
 このようにして、民主党全国大会までに何とかヒラリーメール
騒ぎの鎮静化を狙ったヒラリー陣営の画策は失敗し、かえって騒
ぎが大きくなる最悪の結果になってしまったのです。それに加え
て、クリントン陣営にさらなるダメージを与えたのは、7月22
日、ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
したことです。
 こともあろうに、DNCがクリントン氏を確実に勝たせるため
に、民主党の予備選の候補者であるバーニー・サンダース氏の選
挙妨害をやっていた事実が白日の下に晒されたのですから、サン
ダース支持者が怒ったのは当然です。
 しかし、それでもサンダース氏は、自身の支持者に対して、次
のように訴えていたのです。
─────────────────────────────
 「ブーイング、背中を向けること、退出すること。そういった
デモストレーションで、私たちの運動の信頼性は損なわれてしま
う」。代議員たちに向けたメッセージの中で、サンダース氏はこ
う述べた。「それこそ、商業主義のメディアが求めているものな
のです。それこそ、ドナルド・トランプが求めているものなので
す。しかしそれは、この国の革新的運動を発展させるものではあ
りません」。            http://huff.to/2ae2GGv
─────────────────────────────
 しかし、サンダース氏のこの説得にもかかわらず、民主党全国
大会の初日には、サンダース支持派の各州代議員たちは反発して
「ウォーク・アウト」と叫んで退場したのです。そのため、大会
会場に多くの空席が生じ、あわてて党本部がエキストラを雇って
穴埋めをしたほどだったといいます。
 この傾向は、全国大会だけではなく、各州のクリントン氏の集
会でも人が集まらず、エキストラや映像処理による仮装を施した
といわれています。しかし、トランプ氏の集会はどこも満員だっ
たといいます。     ──[孤立主義化する米国/101]

≪画像および関連情報≫
 ●サンダース支持者/ヒラリーよりもトランプを
  ───────────────────────────
   米大統領選の民主党候補指名でヒラリー・クリントン前国
  務長官と争ったバーニー・サンダース上院議員は25日の党
  大会初日、11月の本選でクリントン氏に投票するよう自ら
  の支持者らに呼び掛けた。
   ところが、支持者の一部からはブーイングも上がり、サン
  ダース氏がもはや自身が始めた「政治革命」をコントロール
  できなくなったことを印象付けた。サンダース氏から支持表
  明を得たことはクリントン氏にとっては大きな勝利となった
  が、サンダース氏支持者の取り込みに不安を残した。
   数百人のサンダース氏支持者は党大会の会場周辺で、クリ
  ントン氏の候補指名に反対するデモ行進を決行。サンダース
  氏の演説中には、同氏支持者とクリントン氏支持者の間で小
  競り合いも発生したという。
   クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏の支持率が拮
  抗するなか、クリントン氏はこれまで以上にサンダース氏支
  持者の票が必要だ。サンダース氏は指名レースの党員集会・
  予備選で1300万票を獲得。コロラド、インディアナ、ミ
  シガン、ニューハンプシャー各州で勝利を収め、アイオワ州
  でも勝利の一歩手前に迫った。これらの州は11月の本選に
  おいても激戦が予想されるため、クリントン氏がトランプ氏
  に勝つには、サンダース氏支持者らの票の一部がぜひとも必
  要となる。            http://bit.ly/2gmYtkH
  ───────────────────────────

サンダース支持者のデモ.jpg
サンダース支持者のデモ
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2016年12月06日

●「メール問題と苦闘/ヒラリー陣営」(EJ第4415号)

 7月11日から執筆している今回のテーマ「孤立主義化する米
国」は、今回でちょうど100回になります。しかし、12月に
入っているので、このままこのテーマを続け、新年から、新しい
テーマに取り組みます。12月はヒラリーメール問題の真相究明
トランプ次期政権の正体、日本との関係、とくに日米安全保障条
約への影響などにも言及するつもりです。
 さて、ヒラリーメール問題が、いかにしてクリントン氏を追い
詰めたのかについて、選挙本番の2016年6月と7月について
時系列に追ってみると、次のようになります。1行メモをつけて
おきます。EJ第4411号で取り上げたクリントン周辺の不審
死5人中3人は、6月と7月に死亡しています。
 これをみると、7月の共和党全国大会と民主党全国大会の前後
に実にさまざまなことが起きているのがわかると思います。これ
までの大統領選挙では考えられなかったことであり、きわめて異
例なことです。
─────────────────────────────
◎ 6月22日
 ・ジョン・アッシュ氏がヒラリー氏関連の議会証言前日に死去
◎ 6月27日
 ・ビル・クリントン氏がリンチ司法長官と長官専用機内で密談
◎ 7月02日
 ・FBIがクリントン氏を呼び、事情聴取。3・5時間かかる
◎ 7月05日
 ・コミー長官声明。ヒラリー氏は不注意だが、刑事訴追できぬ
◎ 7月06日
 ・リンチ司法長官はクリントン氏を立件・訴追はしないと発表
◎ 7月07日
 ・下院の行政監視委員会はコミーFBI長官を呼び、喚問実施
◎ 7月10日
 ・DNC職員のセス・リッチ氏FBIとの面接に行く途中射殺
◎ 7月12日
 ・リンチ司法長官は、下院ベンガジ特別委員会に呼ばれて喚問
◎ 7月18日
 ・共和党大会第1日目。初日からトランプ候補が登場する異例
◎ 7月19日
 ・共和党大会第2日目。クリスティー知事のヒラリー模擬裁判
◎ 7月21日
 ・共和党大会第4日目。トランプ氏が候補者指名受諾演説実施
◎ 7月22日
 ・ウィキリークスがDNCの大物7人の内部メールの束を公開
◎ 7月24日
 ・共和党全国委員長のワッサーマンシュルツ氏が突然辞任表明
◎ 7月25日
 ・民主党全国大会初日、サンダーズ支持者が大会から大挙退場
 ・副大統領候補ケイン氏の補佐役のジョン・モンタノ氏が急死
─────────────────────────────
 2016年7月25日の民主党全国大会に向けて、クリントン
陣営としては、いわゆるヒラリーメール問題を何とか鎮静化させ
ておきたかったものと思われます。
 そこで、ヒラリー氏の夫であるビル・クリントン元大統領は、
ロレッタ・リンチ司法長官と会って、「訴追しない」との言質を
取りたかったのです。1999年にクリントン大統領はロレッタ
・リンチ氏をニューヨーク州東部地区連邦裁判判事に任命してお
り、関係は良好だったといわれます。
 2016年6月27日、ビル・クリントン氏は、プライベート
・ジェット機で、アリゾナ州のフェニックス空港に行き、飛行機
から降りずに機内で、ロレッタ・リンチ司法長官の専用機が来る
のを待っていたのです。
 事前の約束があったのか、待ち伏せしたのかはわかりませんが
その後リンチ司法長官の専用機が空港に着陸すると、ビル・クリ
ントン氏はプライベート・ジェット機から降りて、司法長官専用
機に乗り込み、そこで30分間にわたって密談しているのです。
 しかし、この「密会」は、2日後に地元のフェニックスの新聞
にスッパ抜かれてしまいます。そのためリンチ司法長官は、6月
30日に記者会見をせざるを得なくなり、「クリントン氏と会っ
たが、ヒラリーメール問題については話していない。旅行やゴル
フや孫のことを話しただけ」と述べています。
 しかし、7月2日にFBIはヒラリー・クリントン氏をワシン
トンに出頭させ、3時間30分にわたって尋問しています。この
尋問調書(58ページ)は、9月3日にFBIによってメディア
に公開されていますが、そのうちの14ページ分は、日本でいう
ところの「ノリ弁」状になっていたのです。これは国家機密に関
わるメールの交信内容であることを示しています。
 ところがFBIのコミー長官は、ヒラリーメール問題の調査に
おいて、「クリントン氏は国家機密の扱いについては非常に不注
意だったが、このことで刑事告訴できるほどのことではない」と
いう意見を付けて、司法省の判断にまかせています。
 このFBIのレコメンディションを受けてリンチ司法長官は、
その翌日の7月6日に次の決定を発表したのです。
─────────────────────────────
 FBIの判断を全面的に受け入れて、ヒラリー・メール問題を
起訴(立件・訴追)しないことを司法省として決定する。
               ──ロレッタ・リンチ司法長官
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 リンチ司法長官とビル・クリントン氏との「密会」がバレてい
るので、この司法当局の判断について、米国国内で強い批判の嵐
が巻き起こったのは当然のことといえます。
            ──[孤立主義化する米国/100]

≪画像および関連情報≫
 ●FBI、クリントン氏メール問題見直すと発言
  ───────────────────────────
   クリントン氏が、米国務長官時代に公務メールを私用サー
  バーで扱っていた問題で、FBIはすでに機密情報を含むメ
  ールも私用サーバーを経由していたと確認。コーミー長官は
  7月、クリントン氏とスタッフの行動は「きわめて不注意」
  だったものの、訴追には相当しないと発表していた。
   しかしコーミー長官は28日、連邦議会に対して書簡で、
  捜査員が発見した「別件に関する」メールが「(メール問題
  の)捜査に関係する様子」のため、メール問題を「見直す」
  と説明した。「この資料が重要かどうかまだ精査できていな
  いし、この追加作業を終えるまでどれくらいかかるのか予測
  できない」と長官は書いている。
   消息筋によると、問題のメールは、クリントン氏の右腕と
  も言われる最も近い側近、フマ・アベディン氏の別居中の夫
  アンソニー・ウィーナー元下院議員に対する捜査の中で発見
  された。FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的な
  メールを送っていた疑いに関連して、元議員やアベディンさ
  んの電子端末を押収して調べていた。メールが何通あり、誰
  が発信あるいは受信したものかは明らかにされていない。ア
  イオワ州デモインで記者会見したクリントン氏は、「米国の
  人たちはただちに、すべての事実を完全に知らされるべきで
  す」と強調。「この問題がなんであれ、(FBIは)なんと
  しても、滞りなくこの問題を説明しなくてはならない」と求
  めた。              http://bbc.in/2fVxfAm
  ───────────────────────────

クリントン夫妻.jpg
クリントン夫妻
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2016年12月05日

●「ロシアは真にハッキングの犯人か」(EJ第4414号)

 絶対有利とみられていたヒラリー・クリントン氏が大統領選に
敗れた原因はいろいろあるものの、最も大きなダメージは、その
出陣式ともいうべき民主党全国大会の直前に「民主党の中心人物
7人」の1万9000通以上のメールが、内部告発サイトのウィ
キリークスによって白日の下に晒されたことであるといえます。
 どうしてかというと、これによって予備選でサンダーズを支持
した共和党の支持者がクリントン氏から完全に離れたからです。
それは当然です。候補者をサポートすべき民主党全国委員会(D
NC)が、クリントン氏を当選させるために、サンダーズ氏を潰
そうと画策していたことがバレてしまったからです。
 もし、民主党全国委員会のサーバーのハッキングが本当にロシ
アによるものであるとすれば、このハッキングとメールの公開は
クリントン氏を不利にさせ、トランプ氏を勝たせるためにはきわ
めて効果的であったことになります。
 しかし、当のロシアのプーチン大統領は、2016年9月1日
にブルームバークの取材に応じ、DNCのサーバー侵入事件につ
いて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ・よく聞きなさい。そもそも誰がハッキングしたのかは重要で
  はない。重要なのは国民に公開された情報の内容だ。そちら
  について議論するべきである。
 ・犯人捜しにつながる些細な物事を論点にして、国民の関心を
  「問題の本質」から反らす必要はない。
 ・それでも私は、ふたたび言おう。この事件に関して私は何も
  知らない。またロシアが国家レベルで、それを行ったことは
  一度もない。           http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 ロシアがこの情報漏洩に関わったかどうかは本当のところは不
明ですが、常識的に考えれは、ロシアのサーバー攻撃を担当する
チームが、DNCのサーバーをハッキングし、そのメール情報を
ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏に提供した可能
性は高いと思います。しかし、当然のことながら、アサンジ氏は
「そのような証拠は一切ない」という微妙な表現で、そのことを
否定しています。
 しかし、プーチン大統領は「ロシアがやったのではない」と明
確に否定しているものの、まるでブルームバークの記者をからか
うかのように、次のような趣旨のことを述べています。
─────────────────────────────
 仮にロシアが、機密情報を利用して、米国の大統領選挙に影響
を与えたいと願ったとしても、米国の政治は複雑な色合いを持っ
ており、それを理解することは、わが国の外務省にいる専門家で
すら、それを汲むのに充分な感性を持っているのか、私には確信
がもてない。   ──プーチン大統領 http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 これに対して米国当局は、2016年7月25日、この情報漏
洩事件について、「どのようにしてDNCのサーバーがハッキン
グされたのか。またこの侵害が、ロシアがトランプに利益をもた
らすための事件か否かについて、現在FBIは、鋭意捜査してい
る」という見解を表明したのです。
 つまり、FBIは、DNCのサーバーのハッキングが、プーチ
ン大統領と犬猿の仲のヒラリー・クリントン氏より、プーチンに
友好的なトランプ氏を大統領にすることを望んで行われたロシア
によるハッキングではないかということがいいたいのです。
 これに対して、9月7日付の「RT/旧ロシア・トゥデイ」は
次のように米当局に反論しています。
─────────────────────────────
◎タイトル「米国のメディアが、DNCのスキャンダルを誤魔化
 すため、反ロシアの『魔女狩り』を始めた」
 極めて重要な選挙が行われる年に、大量の漏洩メールによって
「民主党の姑息な取引」が暴かれたとき、米国のメディアは何を
しようとするだろう?もちろん、ロシアの批判だ。
 さまざまな国に諜報活動を働いている張本人でありながら、証
拠もないまま、米政府はロシアへの帰属ばかりを続けている。米
メディアも、国内のスキャンダルに触れようとせず、米国の主張
をまことしやかに伝えている。     http://bit.ly/2gXsOKA
─────────────────────────────
 ロシアによると思われる米大統領選の関与は、投票にまで及ん
でいる可能性があります。現在、米国での選挙の投票は、電子投
票と紙による投票の二本立て行われています。
 しかし、電子投票機は不正操作などに弱く、紙による記録も残
らないので、正確に集計できないとの懸念が根強いのです。それ
でも未だに広く普及しており、ロイターの調べによると、11月
の米大統領選では、国民の4人に1人が電子投票機で投票するこ
とになります。ロシアのハッキングは、この電子投票に影響を与
えた可能性があります。
 ロイターが、米国勢調査局、選挙補助委員会、選挙監視団体な
どのデータを分析したところ、全国民の25%に当たる4400
万人の有権者が、電子投票機を使う管区に住んでいる計算になり
ます。このなかには、ジョージア、ペンシルベニア、バージニア
といった激戦州も含まれているのです。
 とくに次の3州は票差が非常に少なく、再集計が求められてお
り、ウィスコンシン州は再集計をすることが決まっています。も
し、この3州の結果が覆ると、クリントン氏が逆転します。
─────────────────────────────
              選挙人     票差
     ウィスコンシン  10人   0・7%
     ペンシルベニア  20人   1・2%
        ミシガン  16人   0・3%
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/099]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選3州で不正操作か/専門家が不審な傾向を指摘
  ───────────────────────────
  (CNN)今月8日に投開票された米大統領選をめぐり、激
  戦となった一部の州で票数が不正に操作されたり、コンピュ
  ーターシステムへの不正侵入があったりした可能性を、著名
  な専門家らのグループが指摘していることが23日までに分
  かった。
   ミシガン大学のコンピューター科学者、アレックス・ホル
  ダーマン教授らによると、大統領選で民主党地盤とされなが
  ら共和党のドナルド・トランプ氏が制したウィスコンシン、
  ミシガン、ペンシルベニア各州の集計結果に不審な傾向がみ
  られるという。同教授らのグループは17日、敗北した民主
  党候補、ヒラリー・クリントン氏の陣営幹部らに対し、3州
  の再集計を要請するべきだと申し入れた。
   申し入れの内容に詳しい情報筋によれば、これらの州では
  機械を使った電子投票方式の郡でクリントン氏の獲得票が少
  なく、投票用紙に記入する方式の郡での票数を7%も下回っ
  ていたことが判明した。グループは、不正侵入の証拠が見つ
  かったわけではないとしたうえで、独立機関による調査が必
  要だと主張している。米誌ニューヨーク・マガジンが最初に
  報じた。CNNは、同グループやトランプ氏の政権移行チー
  ムに取材を試みたが、22日夜の時点で回答は得られていな
  い。クリントン陣営の関係者は、この指摘に基づく監査を要
  請するかどうかについて明言を避けた。
                   http://bit.ly/2fOxvBq
  ───────────────────────────

米国の電子投票機.jpg
米国の電子投票機
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2016年12月02日

●「ロシアの2つのハッカーグループ」(EJ第4413号)

 民主党全国委員会(DNC)のサーバーへのハッキングは、本
当にロシアのやったことなのでしょうか。
 民主党全国委員会への侵入というと、1972年のウォーター
ゲート事件を思い出します。DNCは、1972年の事件当時は
事件名になったポトマック川近くのウォーターゲートビルにあっ
たのですが、現在は、そこから南東4・3キロ離れた連邦議会議
事堂近くのビルにあります。
 DNCがネットワークの異常に気が付いたのは、2016年5
月のことです。早速ネットワーク・セキュリティ企業のクラウド
ストライク社に調査を依頼して情報流出が判明したのです。6月
にDNCと米当局はこれを「ロシア政府による諜報活動」と断定
しています。
 その直後、「グッシファー2・0」と名乗るハッカーが、次の
声明を発表したのです。
─────────────────────────────
 これは私が単独で行った犯行である。すでに主要な数千点の
 ファイルやメールはウィキリークスに提供している。彼らは
 近いうちにそれを公開するだろう. http://bit.ly/2ghDaDZ
─────────────────────────────
 「グッシファー(GUCCIFER)」というと、ヒラリー・クリント
ン氏の側近であるシドニー・ブルメンソール氏のメールをハッキ
ングしたハッカーの名前を思い出します。犯人はそれを知ってい
て、「グッシファー2・0」という名前を使ったのではないかと
思われます。
 7月22日にウィキリークスは、DNCのサーバーから流出し
たと思われるメールを公開したのです。公開者はそのさい、公開
したデータは、「米民主党の中心人物7人」のメールボックスか
ら得たものであることを断っています。
 これらの公開メールのなかには、なかなか興味深いものがあり
ます。それは、民主党全国委員会の最高財務責任者であるブラッ
ド・マーシャル氏の次のメールです。
─────────────────────────────
◎表題「No Shit/そんなことは分かってんだよ」
 ケンタッキー州とウエストバージニア州において「あなたの信
仰は?」と彼に質問してもらえるよう誰かに頼めないだろうか。
 彼は無神論者だろう。彼が無神論者であることが判明すれば少
しは違った結果になりそうだ。南部バプテスト協議会のメンバー
が多い私の票田の人々は、「ユダヤ人」と「無神論者」の間に明
確な境界線を引くだろう。       http://bit.ly/2ghDaDZ
─────────────────────────────
 ここでいう「無神論者のユダヤ人」といっているのは、明らか
に、バーニー・サンダーズ氏を指しています。要するに、予備選
においてサンダーズ氏が困る質問をして、その勢いを止めようと
していることがこのメールでわかります。
 何しろ、同じ共和党の候補者のサンダーズ氏の勢いにブレーキ
をかけて、クリントン氏を有利にしようと民主党全国委員会が仕
組んでいることが明らかになったのです。これは、どうみても不
公平そのものです。
 今回サンダーズを熱心に支持していた人々は、もともと極端な
ヒラリー嫌いであり、それに加えて民主党全国大会の直前にウィ
キリークスの情報公開で、民主党全国委員会が最初からサンダー
ス氏を潰そうと画策していたことがわかったので、怒り狂ったの
は当然です。これでは、サンダース氏の支持者が素直にヒラリー
氏支持に回れなくなったのは当然で、クリントン氏の敗因のひと
つになったといえます。
 この民主党全国委員会のハッキングに対して、FBIなどの米
当局は、ロシアによるものであると断定したのです。それは、ロ
シアの次の2つのハッキング・グループの侵入の形跡を掴んでい
たからです。
─────────────────────────────
     1.ファンシーベア(別名:APT28)
     2. コージーベア(別名:APT29)
─────────────────────────────
 「1」は「ファンシーベア」です。
 これは、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の指揮下にある
グループです。
 このグループは、2000年代半ばから活動し、これまでに米
航空宇宙局(NASA)や国防総省、エネルギー省などの米政府
機関やメディアなどに対して、サイバー攻撃を行っています。そ
れは米国のみならず、西ヨーロッパ、ブラジル、カナダ、中国、
イラン、マレーシア、韓国、日本でも積極的に活発に活動を行っ
ているのです。
 典型的な手法は、標的とした組織のドメイン名を取得し、偽の
ウェブサイトを立ち上げて、内部システム侵入のパスワードなど
の情報を盗み出すというものです。
 「2」は「コージーベア」です。
 コージベアは、ファンシーベアよりもさらに高いスキルを持つ
グループとされています。これはソ連国家保安委員会(KGB)
の後継組織で、諜報活動を行うロシア連邦保安庁(FSB)との
関連が指摘されています。
 2015年のホワイトハウスや国務省、統合参謀本部へのサイ
バー攻撃や、西ヨーロッパ、ブラジル、中国、メキシコ、ニュー
ジーランド、韓国、トルコ、日本への攻撃が疑われています。
 このグループの典型的な手法は、特定の組織や個人に向けてカ
スタマイズした内容の偽メールを送り、侵入プログラムをダウン
ロードさせる「スペア型攻撃」を得意とし、PCのウイルス対策
ソフトにはひっかからない特性を持っています。
 しかし、ファンシーベアとコージベアはそれぞれ独立してハッ
キングを行っており、連携している形跡はないのです。競争して
いるようです。     ──[孤立主義化する米国/098]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選 露ハッカー集団「コージーベア」が暗躍か?
  ───────────────────────────
  【ワシントン=加納宏幸】米大統領選の民主党候補クリント
  ン前国務長官の陣営幹部のメールが暴露された問題で、米政
  府はロシア情報機関がハッキングに関与したとみている。ク
  リントン氏の秘密を暴き、プーチン露大統領を「力強い指導
  者」とたたえる共和党候補トランプ氏を勝たせようとしてい
  るとの見立てだ。同氏は苦戦しているとはいえ、サイバー攻
  撃への米国の脆弱さは露呈し、クリントン氏は19日のテレ
  ビ討論会で、プーチン、トランプ両氏の「結託」を印象づけ
  ようとした。
   「プーチン氏は操り人形(トランプ氏)を米大統領にしよ
  うとしている。ロシアは米国へのサイバー攻撃に携わり、ト
  ランプ氏は私たちの仲間へのスパイ行為をけしかけた」
   クリントン氏の念頭には、自らの私用メール問題でトラン
  プ氏が今年夏に発した一言がある。同氏はロシアに対し、消
  去されたメールへのハッキングを呼びかけていたのだ。クリ
  ントン陣営は10月18日、「トランプ氏はプーチン氏のス
  パイ活動を悪用しているが、クリントン氏は大統領として、
  プーチン氏の容認できない行為に抵抗し彼を甘やかさない」
  との声明を発表した。       http://bit.ly/2fK7D9F
  ───────────────────────────

バーニー・サンダーズ氏.jpg
バーニー・サンダーズ氏
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2016年12月01日

●「異様づくめだった両党の全国大会」(EJ第4412号)

 今回の米大統領選には、予備選の段階から各種の日本のメディ
アは多くの記者を派遣し、長期間にわたって大統領選の取材して
います。しかし、肝心なことは何も伝えてきていないのです。
 今振り返ると、最終的に2大政党の候補者を決定する共和党全
国大会と民主党では、両方とも異常なことが起きていたことを日
本のメディアは何も伝えていません。
─────────────────────────────
 1.共和党全国大会 ・・ 2016年7月18日〜21日
 2.民主党全国大会 ・・ 2016年7月25日〜28日
─────────────────────────────
 これらの両大会は、予備選を勝ち抜いた両党の候補者を正式候
補者として決定し、それぞれの党が一丸となってその正式候補者
を応援し、盛り上げる大会のはずです。しかし、今回は両大会と
もきわめて異常な状況に陥っていたのです。
 共和党全国大会については、本来であれば、党の長老や大統領
経験者が出席し、党の正式候補者であるドナルド・トランプ氏を
党の支持者に紹介し、その健闘を讃えるとともに、本選に向けて
激励するべきですが、そのようになっていないのです。
 なぜなら、党の重鎮や大統領経験者はほとんど大会を欠席し、
そのため、トランプ陣営としては、4日間のスケジュールが埋ま
らず、1日目からトランプ氏本人が登場し、家族などをフル動員
して、家族が応援演説をやっています。
 2日目からは、既に述べたように、クリスティーニュージャー
ジー知事が登壇し、トランプ氏を支持すると表明し、対抗相手で
あるヒラリー・クリントン氏の模擬裁判を実施したのです。彼は
ヒラリー氏の罪状を読み上げ、ひとつずつ「彼女は有罪か」と会
場に問いかけると、会場からは「ギルティー!(有罪だ)」の大
合唱が起こっているのです。そして、「ヒラリーを逮捕、投獄せ
よ!」と声を揃えるのです。異常そのものです。
 この状況を日本のメディアは取材しているはずですが、大会1
日目は伝えたものの、2日目以降は一切伝えていないのです。ど
うしてでしょうか。日本のメディアもクリントン氏に不利な情報
は伝えたくないのでしょうか。これについて、副島隆彦氏は、自
著の「まえがき」の冒頭で、次のように書いています。
─────────────────────────────
 いったい、超大国アメリカの政治に何が起きているのか。なぜ
ヒラリーは逮捕され、裁判で有罪判決を受け、刑務所に入らなけ
ればならないのか。その理由を日本国向けに書く人がいない。だ
から私が詳しく書く。
 アメリカの共和党の党大会(7月19日)で、7千人の党員が
集まった大会会場で、「ロック・ハー・アップ」──「ヒラリー
を逮捕せよ、投獄せよ」の激しい怒号の大合唱が沸き起こった。
(添付ファイル)の大会会場の様子の写真のとおりである。とこ
ろが不思議なことに日本ではこういう真実が少しも広まらない。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 この共和党全国大会と負けず劣らず異様だったのは民主党全国
大会も同じです。民主党大会では、共和党の大会と違って、表面
上は、オバマ大統領が応援に駆け付け、党の重鎮も出席し、通常
の大会運営が行われたのですが、実際は開催前からてんやわんや
だったのです。
 というのは、民主党全国大会の4日前の7月22日のことです
が、とんでもないものが内部告発サイトのウィキリークスに公開
されたのです。それは民主党の全国大会(DNC/デモクラット
・ナショナル・コミティ)のサーバーがハッキングされ、デビー
・ワッサーマンシュルツ委員長のメールが大量に公開されたので
す。副島氏によると、民主党全国委員会のトップは、日本でいえ
ば、自民党の幹事長に相当する大物だということです。
 問題は、そのメールの中身です。それは、大統領選の予備選に
おいて、党の全国委員会のメンバーが、予備選で、好調な同じ民
主党の候補者であるサンダーズ氏の評判をいかに下げるか、どの
ように対抗するかについて指示したり、どのように選挙運動を妨
害するかについて指導したりする内容だったのです。
 当然のことですが、これにサンダーズ支持派は怒り狂ったので
す。この反発を受けて、全国大会前日の7月24日、ワッサーマ
ン・シュルツ全国委員長は、大会閉幕と同時に辞任すると表明し
たのです。
 そのようにして、25日から行われた民主党全国大会の様子に
ついて、副島隆彦氏は次のように書いています。
─────────────────────────────
 そして民主党大会が開かれた4日間にもヒラリー非難の激しい
嵐が続いた。ヒラリーがやってきたことは犯罪だ、という怒りが
まじめな民主党員の活動家たちの中に広がっていった。「代議員
35人が、ウォーク・アウト(大会場から抗議の退場)をした」
と報じられたが、実際にはそんな少数ではなくて、300人以上
いた。3千人の代議員のうちの300人だ。
 彼らは、このあと会場の外のプレス・テントの前に座り込んで
「真実を世界中に報道してください」と要請した。しかしメディ
アは知らん顔だ。やがて、大会を警備する警備員たちに排除され
た。彼ら、ヒラリー反対派は「ヒラリー・フォー・プリズン(ヒ
ラリーを刑務所へ)」の看板(プラカード)を掲げて行進した。
                ──副島隆彦著の前掲書より
─────────────────────────────
 何のことはない。共和党全国大会も民主党全国大会も両方とも
ヒラリー・クリントン氏を非難しているのです。共和党の場合は
まだわかるとしても、民主党全国大会までクリントン氏を非難す
るのはきわめて異常なことです。それにしてもロシアは、なぜ、
ハッキングしたのでしょうか。
            ──[孤立主義化する米国/097]

≪画像および関連情報≫
 ●「民主党はサンダースを勝たせたくなかった」
  ───────────────────────────
   7月25日から4日間の日程で始まる、アメリカ民主党全
  国大会。ところが、開幕の前日から波乱が起きた。党全国委
  員長のデビー・ワッサーマンシュルツ氏が「党大会が終わっ
  た後に委員長を辞任する」と発表したのだ。
   引き金になったのは、22日に発表された内部告発サイト
  「ウィキリークス」の告発だ。同サイトは、民主党全国委員
  会の幹部の間で交わされた1万9252通にも上るEメール
  を公開。民主党予備選挙で、ヒラリー氏がサンダース氏に勝
  つよう働きかけていたことを明らかにした。
   例えば、委員会の最高財務責任者である、ブラッド・マー
  シャル氏は、サンダース氏が「無神論者」であることを理由
  に同氏に不利な選挙戦を仕掛けようとしたと思われるEメー
  ルを送っている。メールでは人物の名前は書かれていないが
  サンダース氏だとみられている。マーシャル氏自身は「メー
  ルはサンダース氏について触れたものではない」と疑惑を否
  定している。
  民主党がサンダース氏を、支援しない態度をとっていること
  を、党全国委員長のワッサーマンシュルツ氏は、何カ月前か
  らも批判されていた。同氏は11月の大統領選までは委員長
  の座に留まると主張していたが、今回のウィキリークスのE
  メール公開により、辞任を避けられなくなった。
                  http://huff.to/2gs7Qjf
  ───────────────────────────
 ●写真出典/副島隆彦著の前掲書より

共和党全国大会/2016.jpg
共和党全国大会/2016
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2016年11月30日

●「クリントン周辺で連発する不審死」(EJ第4411号)

 2016年の米大統領選の最中の6月〜8月に、クリントン陣
営に何らかの関係のある人物が次々と5人も亡くなっています。
それらは次の人物です。
─────────────────────────────
 1. ジョン・アッシュ ・・ 2016年6月22日死亡
 2.   セス・リッチ ・・ 2016年7月10日死亡
 3. ジョー・モンタノ ・・ 2016年7月25日死亡
 4.ヴィクター・ソーン ・・ 2016年8月01日死亡
 5.ショーン・ルーカス ・・ 2016年8月04日死亡
─────────────────────────────
 「1」は、ジョン・アッシュ氏の死です。
 ジョン・アッシュ氏は、黒人エリートの国連職員ですが、民主
党本部とヒラリー・クリントン氏のことで、議会で宣誓証言をす
る前日(諸説あり)の6月22日に亡くなっています。ヒラリー
氏に不利な証言をする予定だったようです。死因は、自宅でベン
チ・プレスをしているときに心臓麻痺を起して亡くなったことに
なっています。なお、ニューヨーク州ドッブス・フェリーの警察
当局は、後になって死因を修正、練習時に喉を損壊し亡くなった
としています。
 しかし、ジョン・アッシュ氏の場合は一応病死であり、死亡に
よって、ヒラリー氏を利することはあっても、ヒラリー陣営の仕
業とはいえないと考えられます。
 「2」は、セス・リッチ氏の死です。
 セス・リッチ氏は28歳、民主党の全国委員会の幹部職員です
が、FBIの捜査官との面会に向う途中で、銃弾を数発受けて死
亡しています。7月10日のことです。
 セス・リッチ氏は、民主党本部の腐敗というか不祥事に強い怒
りを持っていて、それらを内部告発しようとしていたのです。と
くに当時民主党本部のやっていたバーニー・サンダーズへの選挙
妨害や、ヒラリーメールの証拠をFBIに提出しようとして、そ
れによって被害を受ける関係者に殺されたものと思われます。
 セス・リッチ氏が暴こうとしていたことは、ロシア情報局が実
施したとみられるハッキングによって、結果として暴かれること
になったのです。これに関する次の記事があります。
─────────────────────────────
 米国民主党全国委員会のコンピューター・サーバーがハッキン
グされ、民主党本部によるバーニー・サンダース議員への意図的
なサボタージュを示す2万通のEメールがウィキリークスによっ
て報じられました。
 この事件の責任を取って、民主党全国委員会の委員長であるデ
ビー・ワッサーマン・シュルツ議員が辞任しています。このハッ
キングには、ロシア情報局が関連していたと見られ、FBIやC
IAの捜査では、米国大統領選挙において、民主党ヒラリー・ク
リントン候補のダメージを狙い、ドナルド・トランプ氏の当選を
促す意図があったという見方が強まり、ホワイトハウスもこれを
確認しています。           http://bit.ly/2gueTeg
─────────────────────────────
 「3」は、ジョー・モンタノ氏の死です。
 ジョー・モンタノ氏は民主党全国大会の元議長で、セス・リッ
チ氏と同様に、ヒラリー・クリントン氏が選出されるために行っ
てきた違法的な活動をすべて把握していたといわれます。
 ジョー・モンタノ氏の死については、「ヒラリーと不審な仲間
たち」のサイトに次のように出ています。
─────────────────────────────
 ジョー・モンタノ氏の家族によると、彼が遺体で発見されたの
は、民主党全国大会に出席するため、でかける準備をしている時
だったという。家族によると彼の健康は絶好調だった。
 彼の死は民主党全国大会(DNC)の当時、議長だったデビ―
・ワッサーマン・シュルツの件を表沙汰にしたウィキリークスの
暴露から数時間内のことだった。モンタノはまた、副大統領候補
であり、機密にあずかってると推察されているティム・ケインの
補佐役でもあった。インサイダー紙によるとモンタノはDNCの
不祥事とティム・ケインについてあまりにも知りすぎていたと解
説している。             http://bit.ly/2gufnNT
─────────────────────────────
 「4」は、ヴィクター・ソーン氏の死です。
 ヴィクター・ソーン氏については、その著書を副島隆彦氏は翻
訳しています。副島氏はソーン氏について、驚きをもって次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 ヴィクター・ソーン氏が死んだのは8月1日だ。彼は作家で、
クリントン財団の秘密を暴いた本を書いた人だ。自分の家のそば
の山で、銃弾を浴びて死んでいるのが発見された。何と、このヴ
ィクター・ソーン氏は、私、副島隆彦が、2006年に翻訳出版
した『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』(徳間書
店)の著者である。(中略)私はヴィクター・ソーン氏とメール
を交信しながら、この本を翻訳した。だから、人ごとではない。
私は、彼を同志、仲間として、追悼する。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 「5」は、ショーン・ルーカス氏の死です。
 彼は民主党のサンダース氏の支持者で、クリントン財団と民主
党本部(DNC)の秘密の利益供与を調べていた弁護士です。ル
ーカス氏は、DNCの不正行為を暴露しようと準備していたので
す。彼は、8月4日に自宅で不審な死を遂げています。
 このように、クリントン陣営と民主党にとって都合の悪い人物
が、6月〜8月に実に5人も死亡しているのです。しかし、米国
のメディアはこのことをほとんど報道していないのです。なぜで
しょうか。       ──[孤立主義化する米国/096]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン夫妻の友人47人の不審死
  ───────────────────────────
   夫は第42代米国大統領ビル・クリントンで、自身も米国
  初の女性大統領を狙うヒラリー・クリントン。昨今、彼女の
  名前をメディアで見聞きしない日はない。しかしビルとヒラ
  リーの周囲には、どす黒い疑惑が渦巻いていた──!?
   クリントン夫妻の周りに「不自然な死」が多いことをご存
  じだろうか?実は最近になって、複数の海外メディアがこの
  疑惑を報じていて、その数何と47人。「クリントン夫妻の
  友人たちは、変な死に方をする癖をお持ちのようだ」と皮肉
  られている。その中でも特に有名な10人を紹介したい。
  ■ジェームス・マクドゥガル:1998年/心臓発作
   マクドゥガルはアーカンソー時代、クリントン夫妻の不動
  産ビジネスのパートナーであった。しかしこのビジネスには
  不正があり、後に社名を取って「ホワイトウォーター疑惑」
  と呼ばれるようになった。マクドゥガルはこの不正を訴追さ
  れ、3年半の懲役刑を受けて服役中に持病の心臓発作を起こ
  した。彼が発作を起こした時、除細動器が刑務所に常設され
  ていたが使用されず、時間のかかる遠方の福祉病院に運ばれ
  た。彼はクリントン夫妻を訴追しようとしたスター検察官側
  の最重要証人として裁判に出廷予定であったが、彼の死によ
  り訴追は困難となった。      http://bit.ly/2f7VTPN
  ───────────────────────────
 ●写真出典/──副島隆彦著の前掲書より

クリントン周辺で次々と起きる不審死.jpg
クリントン周辺で次々と起きる不審死
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2016年11月29日

●「失敗したヒラリーメールの火消し」(EJ第4410号)

 米大統領選におけるテレビ討論において、トランプ氏とクリン
トン氏は次のやり取りをしています。
─────────────────────────────
 クリントン:ドナルド・トランプのような人間に米国の法律が
       任されていないのは喜ばしいことだ。
  トランプ:もし、俺様が法律を担う立場なら、お前は確実に
       刑務所行きだ!
─────────────────────────────
 まことに低レベルのやり取りですが、クリントン氏には、リビ
ア侵攻、アルカイダ支援、ショックドクトリン、それにクリント
ン財団、ウォール街との癒着、そして公務に私的メールの使用と
まるで米国版「疑惑の総合商社」です。これでもし選挙に負ける
と「刑務所行き」も十分あり得ることだったのです。実際にヒラ
リーメール問題についてトランプ氏は、特別検察官を任命して、
問題を追及すると明言していたのです。
 しかし、選挙終了後、トランプ氏は、ヒラリー疑惑をどうする
のかについてニューヨーク・タイムズ紙の記者に問われると、次
のように答えているのです。
─────────────────────────────
 私は前に進みたい。後退したくない。クリントン一家を傷つけ
たくないんだ。本当にそんなことしたくない。彼女は大変な思い
をしてきたし、いろいろな形でとても苦しんできたからね。
                 ──ドナルド・トランプ氏
─────────────────────────────
 まるで「仏のトランプ」への変貌です。しかしこれについて、
トランプ氏の支持者たちは強く反発しています。共和党支持者で
ある「レッド・ステイト・コム」は、約束していた特別検察官を
任命しないなら、「この候補は、これまで本人が主張していたよ
うな人間ではないという赤裸々な事実」が明かされることになる
と書いています。赤(レッド)は共和党の色であり、共和党の強
い州は「レッド・ステイト」と呼ばれるのです。
 また、トランプ氏を強力に支持してきた右派メディア「ブライ
トバート・ニュース」は、「約束が違う」とトランプ氏の立場修
正を非難しています。ブライトバートの前最高経営責任者は、ス
ティーブ・バノン氏であり、彼は次期トランプ政権の首席戦略官
に任命されているので、ヒラリーメール問題がトランプ氏のいう
ようにこのままになるとはとても思えないのです。
 今回の米大統領選においてクリントン陣営は、終始ヒラリーメ
ールの対応に追われ、その結果選挙に敗れるという最悪の結果に
終わっています。しかも、この問題は大統領選が終了してもまだ
終わっていないのです。
 ヒラリーメール問題があまねく世界の知るところとなったのは
2015年3月3日付のニューヨーク・タイムズ紙の報道です。
その翌日、AP通信がヒラリーメールを追跡した結果、ニューヨ
ークチャパクア地区にあるクリントン氏の自宅のサーバーにたど
り着いたと報道しています。
 クリントン氏のITの知識は十分ではなく、自宅のサーバーは
元国務省職員でクリントン氏の選挙スタッフのブライアン・パグ
リアンス氏によってセットされたこともわかっています。しかし
そのサーバーには何のセキュリティ対策も施されていなかったと
いわれます。これでは、メールが流出するはずです。もし表に出
せないメールをやり取りするのであれば、もっと厳重なセキュリ
ティー対策を施すべきであったのです。
 そして、ニューヨーク・タイムズ紙報道の1ヶ月後の2015
年4月12日に、ヒラリー・クリントン氏は大統領選への出馬を
正式に表明しています。クリントン氏にとって最悪のタイミング
での出馬表明になってしまったといえます。
 その点日本の政治家は、閣僚でも平気で個人のメールアカウン
トを使うし、普通の携帯電話で重要な会話をやり取りしているの
です。安倍首相ですらドコモのケータイを使っています。要職に
ある者は、たとえ個人的な対話でもすべてが公務になると認識す
べきです。ヒラリーメールの深刻さについて、副島隆彦氏は次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 ヒラリーが国務長官に就任した(2009年1月)後、すぐに
この私的なメール・アカウントを契約して使い始めた。ヒラリー
が、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウント(暗号
化され三重に防衛されている)を使わずに、個人アカウントのメ
ールで、自分の手下、配下の国務省の下部組織である、CIAの
特殊部隊(暗殺部隊、破壊工作班)をいいように使っていた。そ
れが、ヒラリー・メールの公表とともに今どんどんバレようとし
ている。それがまさしくべンガジ事件であり、ヒラリー・メール
問題だ。ヒラリーはもう逃げられない。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 クリントン陣営としては、当然ヒラリーメール問題の火消しを
必死になってやっています。気になるのは、2016年6月27
日に、ロレッタ・リンチ米司法長官が、ビル・クリントン元大統
領と密談していたことです。ヒラリー氏の夫であるビル・クリン
トン元大統領はこの事件の利害関係人であり、司法長官は会うべ
きではないのです。
 それも話し合っている場所が異常な場所なのです。アリゾナ州
の空港に駐機していた司法長官専用機の中で、2人は何かを話し
ていたのです。時期が時期だけにそれがヒラリーメール問題であ
ることは明らかであると思います。
 しかし、後に何を話したのかについて聞かれたリンチ司法長官
は「ビル・クリントン氏とは孫とゴルフの話をしただけ」と答え
ています。そんな話なら、空港のティールームでも話せばよいの
です。         ──[孤立主義化する米国/095]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリー氏/夫の失態で窮地に!
  ───────────────────────────
   クリントン元大統領と言えば、マサチューセッツ州の予備
  選でも選挙違反と思しき行動を取って一部で猛烈な批判を浴
  びたものです。今度は、妻ヒラリーのメール問題の調査をめ
  ぐり最終段階にある米司法省の長官に歩み寄るという失態を
  犯してしまいました。
   オブザーバーによると、アリゾナ州のフェニックス空港に
  て離陸するはずのクリントン元大統領が乗ったプライベート
  ・ジェット機は、ロレッタ・リンチ米司法長官が控える航空
  機が同じ滑走路に着陸するまで待機していたといいます。明
  らかに、クリントン元米大統領が面会する機会を伺っていた
  と解釈できますよね?リンチ米司法長官と言えば、当時大統
  領だったクリントン氏にNY東部地区連邦地方裁判所の判事
  に指名された人物です。
   妻のクリントン候補は暫く沈黙していたものの、FBIで
  聴取を受けた後にNBCのインタビューに応じるなかで夫と
  ロレッタ米司法長官との面会に触れ「短い、偶然の機会だっ
  た」と振り返っていました。その上で、両者の顔合わせがい
  かに政治的に批判を招くものだったかとお互い認識したと言
  及、二度とこうした面会はないと述べた一方で「後の祭り」
  と断っていました。もともと、クリントン元大統領は空港で
  誰かに話しかける癖があったようです。
                   http://bit.ly/2gtUVQW
  ───────────────────────────

ロレッタ・リンチ米司法長官.jpg
ロレッタ・リンチ米司法長官
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2016年11月28日

●「激戦3州の投票数再計算の可能性」(EJ第4409号)

 米大統領選は、トランプ氏が勝利し、次期大統領に決まってい
ますが、厳密にいうとまだ確定していないのです。12月19日
に選挙人による投票が行われ、来年1月6日に正式に次期大統領
が決まります。そして、1月20日に大統領就任式が行われるこ
とになっています。
 11月23日、米インターネット・メディアである「クック・
ポリティカル・リポート」は、今回の米大統領選の正式な得票数
は、次の通りであることを発表しています。
─────────────────────────────
                   最終得票数
    クリントン氏 ・・ 6422万7373票
     トランプ氏 ・・ 6221万2752票
             ―――――――――――
               201万4621票
─────────────────────────────
 これによると、敗者のクリントン氏の方が201万票多くなっ
ています。しかし、米国の大統領選挙は、民主党と共和党が州ご
とにそれぞれ決めた選挙人を一般投票で選ぶのであって、大統領
候補者を直接選ぶのではないのです。
 選挙人はあらかじめ投票する候補者を決めており、そのため、
獲得選挙人が多い方が勝利するのですが、選挙人は絶対にあらか
じめ決めている候補者に、投票しなければならないというわけで
もないのです。一般的にはあり得ないことですが、12月19日
も造反が起きる可能性はゼロではないのです。そういう意味では
大統領選の勝負はまだついていないといえます。
 今回の米大統領選は何もかも異常であり、何が起きても不思議
ではないのです。2016年11月25日付の朝日新聞には次の
記事が出ています。
─────────────────────────────
 今月8日に投開票された米大所額選で、激戦となったペンシル
ベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州について再集計を求め
る動きが広がっている。コンピューターヘのハッキングで投票が
不正操作された可能性があるとしている。
 ミシガン大のコンピューター科学者アレックス・ホルダーマン
教授らは、以前から州の集計システムの脆弱性を指摘していた。
大統領選では、民主党全国委員会やクリントン前国務長官の陣営
幹部のメールがハッキングされ、内部告発サイト「ウイキリーク
ス」が次々暴露。ロシアの関与が指摘されている。科学者のみな
らず、支持者が投票用紙の再点検と再集計を求める請願書を州に
提出する動きもある。
        ──2016年11月25日付/朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 確かにこれらの激戦各州での両候補者の差は1・2ポイント以
下とわずかであり、もし3州で逆転すると、勝者と敗者は逆転し
クリントン氏が勝利することになります。単なる集計ミスではな
く、ロシアによるとみられる不正操作が原因とみられており、再
集計される可能性はあります。
 今のところクリントン陣営に再集計を求める動きはないですが
トランプ大統領誕生に反発する勢力はけっして少なくなく、そう
いう勢力が、今後再集計を強く求める可能性は高いといえます。
カルフォルニア州などは合衆国離脱まで口にしているのです。
 米国では大統領が代わるというのは大変なことなのです。政権
交代によって閣僚が代わるのは当然のことですが、閣僚以外に約
3000人は“首が切られる”ことになります。これらは政治任
用されている公務員です。その数は全体の公務員の10%以下に
抑えられるようにはなっているものの、やはり、それは大移動で
す。約3000人の内訳は次の通りです。
─────────────────────────────
     1.  高級管理職 ・・・ 1050人
     2.  上級管理職 ・・・  650人
     3.スケジュールC ・・・ 1290人
─────────────────────────────
 「1」と「2」は管理職ですが、「3」のスケジュールCとは
幹部の秘書が中心であり、一般職も含みます。主がいなくなれば
“首が切られる”のは当然です。
 この大統領交代、とくに今回のように党の代わる交代(民主党
から共和党)は大変な騒ぎになります。したがって、どのような
ことが起きても不思議ではないのです。この政権交代の騒ぎにつ
いて、副島氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 (政権交代になると)ワシントンの各省の高級官僚どもが、大
量に失職する。総取り替えになる。アメリカ人は、官僚、公務員
たちでも政権交代の時に首を切られる。年功序列で、定年まで安
心、ということはない。日本の公務員制度にも、民間企業と同じ
首切り、失業があるべきなのだ。(中略)
 官僚たち内部のこのイス争い(権力闘争)が、今、アメリカの
各省の本省の、幹部公務員たちの間で起こっている。それで朝か
ら晩まで、この人事を巡る大騒動の噂話でもちきりで、ワシント
ン全体を揺るがしている。公務員としての仕事どころではない。
ものすごい騒ぎとなって、アメリカ政治が、激しく揺れている。
失業したら、いまどきは、アメリカの上級公務員でも、なかなか
再就職先は、簡単には見つからない。──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 このように大統領選挙は、その結果によって、自分の運命が大
きく変化してしまう人がたくさんいるのです。閣僚クラスになる
と、もともと大学教授や事業家などの何らかの職業を持っており
元に戻るだけですが、それはレアケースなのです。ほとんどの人
は職を失ってしまうのです。彼らにとってそれは死活問題である
といえます。      ──[孤立主義化する米国/094]

≪画像および関連情報≫
 ●米大統領選、専門家が3州の結果の再確認提案
  ───────────────────────────
   ミシガン大学のコンピュータサイエンスを専門とする教授
  のJ. Alex Halderman氏ら3人の専門家は、 投票結果の確認
  を呼びかけている。電子投票マシンのハッキングが可能であ
  ることを示す大きな証拠があるという。ただし、ほとんどの
  専門家が、ハッキングによって国政選挙に影響を与えるのは
  非常に難しいはずだという見解で一致している。このような
  マシンは、3州の複数の郡で使用されていたと Halderman氏
  は指摘している。
   Halderman 氏は、そのようなハッキング行為があったこと
  を示す証拠はないと認識しているという。それでも、得票数
  が拮抗したいくつかの州では、不安を取り除くため、また多
  くの電子投票マシンが生成する紙のバックアップを常に確認
  するという前例を作るために、再集計する価値があると同氏
  は主張している。
   Halderman氏は、 「選挙がハッキングされたというよりも
  世論調査が体系的に誤っていたというのがおそらく最もあり
  得る説明だと思う」とMedium のブログに記した。「しかし
  このような一見あり得ないような説明のうちの一方が他方よ
  りも圧倒的に可能性が高いとは思わない」(Halderman氏)
                   http://bit.ly/2gtlXp7
  ───────────────────────────

米国バージニア州投票所.jpg
米国バージニア州投票所
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2016年11月25日

●「トランプ次期政権は対中強硬政権」(EJ第4408号)

 トランプ次期米大統領は、日本時間の22日、就任初日に実行
する政策を示したビデオメッセージで、「TPPから離脱する」
という声明を発表しています。選挙中にあれほど明確にいってい
たのですから、「やっぱり!」という感じです。
 TPPをアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけていた安倍首
相としては、さぞがっかりしていると思いますが、TPPはそれ
ほど日本にとって利益のある協定なのでしょうか。
 当の安倍首相も首相になる前はTPPに反対だったはずです。
それを米国に歩調を合わせるため、それが中国封じ込めにもつな
がるとの判断から加盟に踏み切った経緯があります。それに協定
の内容の細部はまだ国民に十分知らされてはいないのです。
 元大阪市長の平松邦夫氏は、TPPについてブログで次のよう
にコメントしています。
─────────────────────────────
 「戦後史の正体」で孫崎享さんが指摘されているように、対米
追随外交の歴史が日本をここまで「属国、属領」的な形に落とし
込めているという指摘をどう受け止めるのでしょうか。
 東京新聞がすっぱ抜いたように、見えない情報、いや意図的に
見せない情報の存在が明らかになっているのに、政治家も、大手
メディアも、経済界も「見えないことにしていきましょう」とい
う前時代的な国民懐柔(誘導)策がいつまで通用すると思ってい
るのでしょうか。
 自民党は、「日本国憲法」をアメリカから押し付けられた憲法
であり、「自主憲法」制定を党是としていた筈。なのに、国民の
暮らしを支えているはずのわが国の健康保険制度、ただでさえ確
かでない食糧自給、そんなこの国の現状を、より、アメリカ主導
型の見せかけの貿易自由協定に踏み込もうというのか。
           ──平松邦夫氏 http://bit.ly/2fT1D20
─────────────────────────────
 確かに中国のなりふり構わない力にものをいわせる現状変更は
許しがたいものがあります。しかし、対中国封じ込めに関しては
ここにひとつの重要な情報があります。
 11月22日発行の「夕刊フジ」の冒頭で、ジャーナリストの
加賀孝英氏が、米情報当局者の間で、トランプ氏が「対中強硬方
針を決断した」という情報が広がっていると伝えています。そし
て、加賀孝英氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 トランプ氏は選挙期間中、日本やドイツも批判していたが、一
番激しく攻撃していたのは中国だ。彼は以前から「アンチ・チャ
イナ」を前面に出していた。いわく、「大統領就任初日に中国を
『為替換作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強
化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主
義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ
海で米軍の存在感を高める」・・。まさに中国との「通貨戦争」
「貿易戦争」「全面衝突」すら辞さない決意表明ではないか。
        ──2016年11月22日発行「夕刊フジ」
─────────────────────────────
 加賀氏はもうひとつ重要な情報を伝えています。それは「なぜ
トランプ氏は勝利できたのか」ということです。それは、米国防
当局と米軍、そしてFBI周辺の陰ながらのバックアップがあっ
たからだという考え方です。つまり、いわゆる「隠れトランプ支
持者」とは、国防当局と軍とFBIであるというわけです。
 加賀氏は、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報として
次のように述べています。
─────────────────────────────
 国防当局と軍は、オバマ政権の「対中腰抜け政策」に激怒して
いた。彼らは常に、南シナ海や東シナ海で、中国への強硬策を進
言してきたが、オバマ政権は口だけで逃げた。米国のアジアでの
威信は地に落ち、混乱した。オバマ政治を継続するヒラリー氏は
容認できなかった。         ──前掲の「夕刊フジ」
─────────────────────────────
 確かにオバマ大統領の対中国政策は、ひどいものだったといえ
ます。その証拠に任期中に国防大臣が3人も辞任しています。ロ
バート・ゲイツ、レオン・パネッタ、チャック・ヘーゲル3氏が
辞任し、現在は4人目のアシュトン・カーター氏が国防長官を務
めています。こんなことは前代未聞です。
 トランプ氏は、次期国防長官に対中強硬派で知られるジェーム
ズ・マティス元中央軍司令官を検討しているといわれます。この
マティス氏は海兵隊上がりで、最終階級は大将。NATO変革連
合軍最高司令官、アメリカ統合戦力軍(USJFCOM)司令官
アメリカ中央軍(CENTCOM)司令官などの要職を歴任して
います。もし、マティス氏に決まると中国は大ショックです。
 さらにトランプ氏は、ロシアのプーチン大統領と会い、連携を
考えています。もし、これが実現すると、シリア内戦をめぐる米
露対決は解決し、イスラム国掃討作戦で結束できます。
 そのためにトランプ氏は、今後軍事費を約300億ドル(約3
兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図るものと思われ、
同盟国にも相応の負担増を求めてくると思われます。
 こういった話は、11月17日の安倍VSトランプ会談でも出
ているはずです。アジア問題を重視しているからこそ、他国に先
がけてトランプ氏は安倍首相と会ったのです。そのため、中国は
相当神経質になっているのです。
 確かに加賀氏の情報が正しいとすると、FBIのコミー長官が
ヒラリーメール問題を小出しにして、クリントン氏を揺さぶった
ことは理解できます。それはトランプ氏勝利に貢献したのです。
FBI内部では「なぜヒラリー氏を起訴しないのか」という不満
がうず巻いていたといわれます。
 コミー氏は、国防総省に近いロッキード・マーチン社の役員も
務めており、内部から相当強い突き上げがあったものと考えられ
ます。         ──[孤立主義化する米国/093]

≪画像および関連情報≫
 ●次期米大統領、対中政策は強硬に/WSJ
  ───────────────────────────
  【上海】中国の指導部は、米大統領選挙の候補者たちによる
  中国バッシングに耳を塞ぐことを学んできた。米選挙戦での
  結局は無害な気まぐれだとして、そうしたバッシングを無視
  したのだ。投票が終われば元の鞘に収まっていつも通りにな
  るだろう、と彼ら中国指導者は予想している。
   彼らは何度となく正しかった。ニクソン大統領による19
  72年の訪中以降、共和党であれ民主党であれ新政権は中国
  政策について、前政権が中断したところからまた始めるのが
  常だった。
   だが、今回の選挙は、従来とは異なる結果をもたらすはず
  だ。それはニクソンの関与政策のおおざっぱな練り直し(つ
  まり米政策担当者サークルと企業役員室において依然として
  根強い支持を集めているアプローチ)ではなく、ある種の再
  調整である。中国に向けた米国の態度は現在、政策スペクト
  ラム全域で硬化しつつある。ヒラリー・クリントン氏とドナ
  ルド・トランプ氏のいずれが勝つにしても、勝者は貿易と投
  資から南シナ海に至るまで、さまざまな争点で従来以上に強
  硬な路線を追求する公算が大きい。一方、中国の習近平国家
  主席は、毛沢東時代の反米的な態度とスローガンをこれまで
  復活させてきたが、来週の米大統領選投票を前に自らの権力
  を一段と高めた。       http://on.wsj.com/2gnPeBq
  ───────────────────────────

ジェームズ・マティス氏.jpg
ジェームズ・マティス氏
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2016年11月24日

●「党派性の強いベンガジ特別委員会」(EJ第4407号)

 そもそも「ヒラリーメール」(以下、この表現で統一)はいつ
頃からいわれるようになったのでしょうか。副島隆彦氏の本を中
心に時系列に事件を追ってみることにします。
 クリントン国務長官が退任したのは2013年2月1日のこと
です。同年3月3日に、あるハッカーがシドニー・ブルメンソー
ル氏のメールをハッキングしたのです。ブルメンソール氏という
のは、ビル・クリントン元大統領の補佐官であり、国務長官に就
任したヒラリー・クリントン氏の私的な相談相手を務めていた人
物といわれています。
 したがって、ブルメンソール氏のメールのなかには、当然のこ
とながら、クリントン国務長官とやりとりしたメールが多く含ま
れていたのです。このハッカーは、「グッシファー」と呼ばれる
ルーマニア人であり、ブルメンソール氏のメールアカウント経由
でクリントン国務長官のメールをハッキングしたことを明らかに
したうえで、クリントン氏が国務省の国家機密を勝手に使ってい
たという事実を暴露したのです。
 しかし、このことは表に出ていないので、ヒラリーメールのこ
とは多くの人の知ることにならなかったのです。その後その男は
ルーマニアで逮捕され、7年の刑を宣告されています。2015
年に米国に移送され、現在バージニア州の拘置所に収監されてい
るといわれます。
 ちょうどその頃、元CIA職員であるエドワード・スノーデン
氏は、政府が違法な情報収集をしているとして、主要メディアに
国家機密を送り始めたのです。実はそのなかに、ヒラリーメール
が多数含まれていたのです。しかし、身の危険を感じたスノーデ
ン氏は、2013年5月20日に香港に脱出し、6月23日にモ
スクワに政治亡命しています。
 2014年5月2日に米議会下院に「ベンガジ特別委員会」が
設置されます。委員長は共和党のトレイ・ガウディ氏です。この
特別委員会の設立は、ヒラリーメールが発覚したことと無関係で
はないのです。ヒラリーメール(一部ではあるものの)その内容
が尋常ならざるものであったからこそ、特別委員会を立ち上げた
ものと思われます。
 さらにその頃から、次期大統領選には、民主党からヒラリー・
クリントン氏が出馬することが既定事実になっており、共和党と
してはその意味からもヒラリーメールとの関連でベンガジ事件を
究明することによって、ヒラリー・クリントン氏の出馬を牽制し
たかったのではないかと考えられます。
 果せるかな、この特別委員会には民主党が猛烈に抵抗したので
その開催が3ヶ月間も遅れたのです。もし開催され、調査がはじ
まると、ベンガジ事件が暴かれ、オバマ政権にとって不利な事態
になると考えたうえでの抵抗です。
 2014年8月に調査が行われると、ベンガジ特別委員会の要
請に基づいて国務省はヒラリーメールの一部を提出したのです。
このあたりから、クリントン氏が国務長官時代の公務に、私的な
メールアカウントを使っていたことが明るみに出たのです。
 2014年11月に、ベンガジ特別委員会は、クリントン氏が
私的に使用したメールをすべて提出するよう命令しています。こ
れを受けて、ヒラリー事務所は3万490通の印刷されたメール
(約5万5千ページ)を国務省に提出しています。なお、このメ
ールの数については、いろいろいろな情報があってはっきりして
いないのです。
 2015年3月3日付けのニューヨーク・タイムズ紙が、ヒラ
リーメール問題を取り上げたのです。これによって、この問題が
世界的に知られることになったのです。このニューヨーク・タイ
ムズ紙の記事について、新田容子日本安全保障・危機管理学会主
任研究員は次のように報じています。
─────────────────────────────
 2015年3月3日付けのニューヨーク・タイムズ紙によると
クリントン氏が国務省時代の4年間、個人のメールアカウントを
使用して職務に当たっていたという。
 側近が5万5千ページに渡る同氏のメール内容をアメリカ国立
公文書記録管理局(米国連邦政府下の独立機関)へ提出した後に
明るみに出た。タイムズ紙はクリントン氏が職務用に個人メール
を使用した初めての政府高官ではないとしているが、このスクー
プは懸案を引き起こしている。評論家や政治家達がこの問題にか
かる倫理性と合法性について論じている一方、クリントン氏の通
信の安全性が取りざたされている。   http://bit.ly/2fpO21F
─────────────────────────────
 クリントン氏は、2015年10月22日のベンガジ特別委員
会の公聴会で「自分はきちんと職務を果たしている。やましいこ
とはしていない」と証言しています。この公聴会は、10時間に
わたり議論が行われましたが、新しい事実はほとんど出なかった
のです。肝心のメールが表には出ていないからです。
 しかし、ガウディ委員長は、ブルメンソール氏とやり取りした
メールの内容にこだわり、民主党委員と激しい論戦になったとい
います。BBC系のサイトは次のように述べています。
─────────────────────────────
 ガウディ委員長が、クリントン氏の友人のシドニー・ブルーメ
ンソール氏が、リビア関連の機密情報をメールでクリントン氏に
送っていた事実にこだわったのだ。ガウディ委員長は、ブルーメ
ンソール氏がクリントン氏のリビア政策に不当に影響を及ぼし、
スティーブンス大使よりも頻繁にクリントン氏に連絡をとってい
たのではないかと示唆した。
 民主党の委員たちはそれに強く反発し、ブルーメンソール氏の
証言内容を公開するよう要求した。そのやり取りをクリントン氏
は、面白がっているような表情で超然と眺めるだけだった。
                   http://bbc.in/2f5n6Wx
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/092]

≪画像および関連情報≫
 ●ベンガジ事件やメール問題の追及かわす/下院公聴会
  ───────────────────────────
   ワシントン(CNN)2012年に起きたリビア・ベンガ
  ジの米領事館襲撃事件をめぐり、ヒラリー・クリントン前米
  国務長官は22日、下院特別委員会の公聴会に出席した。
   襲撃事件ではクリス・スティーブンス駐リビア大使ら米国
  人4人が死亡した。公聴会では、下院の過半数を占める共和
  党の議員たちが、国務長官としてのクリントン氏の事件への
  対応や、長官在任中に個人の電子メールアカウントを使用し
  ていた件などを追及した。
   党派色の非常に強い公聴会で、多くの米国民の見方に影響
  を及ぼすものではなかったかも知れない。共和党は在外公館
  の警備に関するクリントン氏の失策が事件を招いたと考え、
  前国務長官が徹底調査に応じていないとの立場を崩そうとし
  ない。一方、民主党から見れば、公聴会は同党の大統領選指
  名候補争いで最も有力視されているクリントン氏を傷つける
  ために開かれた一種の「魔女狩り」だ。
   クリントン氏は終始落ち着いた様子で、質疑の主導権を握
  っていた。それでも時間が経つにつれ、共和党からの質問内
  容や、何度も発言に横やりを入れられることにいらだちの表
  情も見せていた。だが結果としてクリントン氏は、約11時
  間にわたる公聴会をさしたる痛手も受けずに切り抜けること
  ができた。            http://bit.ly/2gfZTAr
  ───────────────────────────

ベンガジ特別委員会/公聴会でのクリントン氏.jpg
ベンガジ特別委員会/公聴会でのクリントン氏
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2016年11月22日

●「カダフィー暗殺部隊と米国務長官」(EJ第4406号)

 ヒラリー・クリントン前国務長官の私的メール問題がいかに重
要であるかを理解するには、リビア・ベンガジ事件で何が起きて
いたかを知ることがきわめて重要です。なぜなら、これは犯罪で
あり、事実が明らかになれば、クリントン氏の逮捕は十分あるし
オバマ大統領の関与も取り沙汰される可能性があります。
 しかし、逆にいうと、国家機密に関する問題なので発表すれば
国益を害する恐れがあるので、そのまま不問にしてしまう可能性
もあるのです。いずれにせよ、トランプ新政権が発足すると、こ
の問題はもう一度蒸し返されることになると思います。
 リビア・ベンガジ事件というのは、リビア第2の都市ベンガジ
で、2011年9月11日(911)に米領事館が多数の暴徒に
襲われ、スティーブンス大使ら4名が殺害された事件です。領事
館の職員が4人も殺されるのは大事件です。
 ところが当初クリントン国務長官は「領事館職員1名死亡」と
発表。しかし、実際は領事館職員3名と特命全権大使のスティー
ブンス氏の4名が死亡しているのですが、そのことを在リビア大
使館も国務省も正確な情報を掴んでいなかったのです。
 その約1年前にカダフィー大佐が殺害されているのですが、そ
の時点では誰もカダフィー殺害事件と領事館襲撃事件とを結び付
けて考える人がいなかったのです。領事館が暴徒に襲撃されたの
は、2011年の米国映画『イノセンス・オブ・ムスリム』で、
予言者ムハンマドが残酷な殺人者であるとする部分の14分間の
映像がユー・チューブに動画投稿されたのが原因とであると米国
務省は強く主張したからです。
 しかし、これは事実と異なります。なぜ、領事館が襲撃された
のかについての真相を知るには、カダフィー大佐が誰によってど
のように殺害されたかを知る必要があります。
 まず、添付ファイルをご覧ください。この写真は、副島隆彦氏
の新刊書『ヒラリーを逮捕、投獄せよ』(光文社刊)の95ペー
ジ出ていた写真です。そこには、次の説明がついています。
─────────────────────────────
 2011年10月18日にトリポリの飛行場で。一緒に写真に
写っている者たちはリビア人ではなく、アフガニスタン人の傭兵
の殺人部隊だ。彼らは、このあと自国に帰って「事故で」殺され
る。首からぶら下げているのは、後ろの米軍輸送機に搭乗するた
めの許可証である。        ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
          カラー写真の出所 http://bit.ly/2f9i32f
─────────────────────────────
 この写真を見て驚いたことがいくつもあります。1つは、この
時期に米国の国務長官が、なぜりビアの首都トリポリにいたのか
ということです。この時期というのは、リビアにはNATOの空
爆が行われている最中でいわば戦場なのです。そんな危険な場所
に国務長官がなぜ赴くのでしょうか。まるで陣頭指揮です。しか
もその2日後に、カダフィー大佐は殺害されているのです。
 副島氏によると、クリントン長官を取り巻いているのは、アフ
ガニスタンの殺人部隊であるということです。その全員が飛行機
の搭乗証をぶら下げているのをみると、後ろに写っている米国の
輸送機に乗ってどこかから飛んできたものと思われます。それは
おそらくアフガニスタンからだと思われます。
 クリントン国務長官を取り巻いているのは、アフガニスタン人
の傭兵で、彼らがカダフィーを殺害したといわれています。それ
にしても米国の国務長官がどうしてこのような殺人集団と一緒に
写真に収まっているのでしょうか。もしクリントン氏ではなく、
スティーブンス駐リビア全権大使であれば理解できます。なぜな
ら、スティーブンス氏は任務としてCIAと一緒にリビアで反政
府勢力を育てようとしていたからです。
 もうひとつ重要なことがあります。それは、「彼らはこのあと
自国に帰って「事故で」殺される」という部分です。これに関し
て、副島氏は次のように説明しています。
─────────────────────────────
 この暗殺部隊は、リビア人ではなくて、アフガニスタン人であ
る。彼らはこのあと自国のカブールに英雄として凱旋しようとし
た。だがカブール空港に着陸しようとして、「タリバーンの攻撃
があって」輸送機ごと爆殺された。口封じで殺されたのだ。ヒラ
リーというのは、こういう恐ろしいことをやってきた女なのであ
る。                    ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 カダフィー大佐を殺害するために、米国はアフガニスタンの傭
兵を雇い、目的を果たした時点で、その殺人部隊全員を殺害した
ことになります。爆破された輸送機はおそらく写真に写っている
米軍輸送機であると思われます。ひどい話ですが、CIAであれ
ばそのぐらいのことはやり兼ねないのです。
 このようにクリントン国務長官は、リビア事件に深く関与して
いたのです。そのとき、クリントン長官の指示を受けて動いてい
た人物は、次の2人です。
─────────────────────────────
       1. クリス・スティーブンス
       2.シドニー・ブルメンソール
─────────────────────────────
 「1」のクリス・スティーブンス氏は、当時駐リビア米国大使
であり、ベンガジ事件で殺害されています。「2」のシドニー・
ブルメンソールは、夫のクリントン元大統領時代にホワイトハウ
スで側近を務め、自分に最も近いアドバイザーの一人です。
 クリントン氏は、自分が国務長官になるとき、ブルメンソール
氏に国務省のポストを与えようとしたのですが、オバマ政権から
拒否されています。しかし、クリントン氏は何かとブルメンソー
ル氏にアドバイスを求め、私的な秘書のように扱っていたといわ
れています。      ──[孤立主義化する米国/091]

≪画像および関連情報≫
 ●新ベンチャー革命/2016年5月8日
  ───────────────────────────
   筋金入りの反戦主義者であるケリー米国務長官はヒラリー
  のカダフィ暗殺関与とベンガジ米領事館襲撃事件の闇を是非
  暴露して欲しい、それこそが日本を乗っ取っている戦争中毒
  勢力の弱体化に貢献する。
  1.次期米大統領選は、ヒラリーに仕掛けられていると思わ
    れるスキャンダル爆弾がさく裂するかどうかで決まる。
  2.本ブログでは今、次期米大統領選を取り上げていますが
    米共和党指名候補がトランプ氏で確定し、一方ヒラリー
    氏が米民主党指名候補として有力となっています。
   まったく政治経験のないトランプ氏が決選に勝ち残ったこ
  とから、この選挙戦は前例のない異例なものとマスコミは報
  じています。常識的に予想すれば、政治経験豊富なヒラリー
  の方が有利なはずですが、好事魔多しであるヒラリーにはス
  キャンダル爆弾が仕掛けられていると本ブログでは観ていま
  す。さて、本ブログは、日本を乗っ取っている米国戦争屋の
  ウォッチをメインテーマとしていますが、ヒラリーは米民主
  党における米戦争屋エージェントであると本ブログでは観て
  います、なぜなら、ヒラリーをNY州上院議員にしてくれた
  恩人は米戦争屋ボス・デビッドRFだからです。
                   http://bit.ly/2g9q61B
  ───────────────────────────

シドニー・ブルメンソール氏.jpg
シドニー・ブルメンソール氏
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2016年11月21日

●「カダフィー大佐を殺したのは誰か」(EJ第4405号)

 民主主義国家から見ると、「独裁国家=悪」という考え方を持
つものです。とくに民主主義国家を世界中に拡大したいと考えて
いる米国はそのように考えるのがつねです。しかし、独裁国家で
あってもきちんと統治されている国家は少なくないのです。かつ
てのイラクもそういう国のひとつだったのです。
 ところが米国は、イラクが実際には保有していなかった大量破
壊兵器を確証もないのに保有しているとし、イラクに戦争を起こ
してフセイン大統領を排除したのです。このさい、大量破壊兵器
の有無など、どうでもよかったのです。米国が戦争を起こした理
由は他にあります。
 それは一言でいえば米国の国益を守るためです。本当の理由は
イラクが米国に対して、絶対に容認できないことをやったからで
す。それは、イラクが自国の原油の取引をドルからユーロに変更
したことです。
 原油は現在ドルでしか取引できませんが、もし他の産油国がイ
ラクに同調してユーロでの取引に切り替えるようなことが起きる
と、米ドルは基軸通貨の地位を失いかねないことになります。そ
のため、イラクが大量破壊兵器を保有しているという不確かな情
報に基づいて戦争に踏み切ったのです。つまり、イラクは米国の
虎の尾を踏んでしまったのです。実際にイランでもドルをユーロ
に切り替えており、これに対して米国はイランに対し、厳しい経
済協力を課したのです。
 それでは、リビアのカダフィ大佐は、なぜ殺されたのでしょう
か。リビアも資源豊かな産油国であり、独裁国家であることはイ
ラクと同じです。リビアはアフリカでも屈指の石油産出国であり
2010年のGDPは779億ドル、アフリカ第7位の豊かな国
です。リビアを統治していたカダフィ大佐は、独裁者ではあった
ものの、国民に対しては善政を行っていたのです。
 ただ、カダフィー大佐は、アフリカを何とかひとつにまとめよ
うと努力していたのです。しかし、そのためにやろうとした次の
3つのことが、欧米諸国の国益を損ねたといえます。ちなみにこ
れら3つのうち、カダフィー大佐が実際にやったのは「1」だけ
で、「2」と「3」は実現する前に殺害されています。
─────────────────────────────
 1.コミュニケーション用衛星を独自に打ち上げ、英米資本
   家に損害を与えた。
 2.「ユナイテッド・ステート・オブ・アフリカ」を作り上
   げようと努力した。
 3.AMF(アフリカ通貨基金)を設立して、IMFに損害
   を与えようとした。
─────────────────────────────
 このなかで、「3」はストロスカーン前IMF専務理事と組ん
で、カダフィー大佐は、米ドルに替わる基軸通貨を作る方向で動
いていたのです。この点はフセイン大統領と同じであり、とくに
米国にとっては、とても受け入れられないことだったのです。
 しかし、リビアの場合は、イラクの場合と違って、世界の関心
が日本の311(東日本大震災)に向いているときに、こっそり
とNATOによる空爆が行われ、地上では米国が後押しする反政
府勢力によって、カダフィー大佐が殺害されたのです。かたちの
うえでは、カダフィ大佐の殺害は反政府勢力によって行われたと
されています。
 カダフィー大佐は、2011年4月30日、空爆を続けるNA
TOに対して、次のメッセージを発信しています。
─────────────────────────────
 NATOの人々よ、聞きなさい!あなたたちは、アフリカから
欧州への移民流入を堰き止めてきた壁を爆撃しているのでり、ア
ルカイダのテロリストを抑えてきた壁を爆撃しているのです。リ
ビアがその壁だったのでしょう。それをあなたたちは破壊しよう
としているのです。あなたたちは馬鹿ものだ。アフリカからの数
千の移民のせいで、アルカイダに対する支援のせいで、あなたた
ちは地獄に落ちるがよい。実際、そうなるだろう。私は、嘘はつ
かない。今言っていることは嘘ではない。
         ──カダフィー大佐/2011年4月30日
─────────────────────────────
 それでは、米国は何をやったのでしょうか。
 米国は、リビア第2の都市であるベンガジを中心に反政府軍を
密かに組織し、武器を貸与してカダフィー大佐の殺害を企てたの
です。その中心人物はベンガジ米領事館のスティーブンス大使な
のです。スティーブンスは大使ですから、当時国務長官をしてい
たヒラリー・クリントン氏の部下ということになります。このク
リス・スティーブンス大使について、副島隆彦氏は次のように述
べています。
─────────────────────────────
 このクリス・スティーブンスは、国務長官だったヒラリーの直
属の外交官で、CIAの人殺し部隊というか特殊部隊の責任者で
もあった。スティーブンス大便はその前年に、自分が直接指揮を
してカダフィ大佐を惨殺した。リビアの独裁者カダフィ殺し──
2011年10月20日の最高責任者はヒラリーである。ヒラリ
ーはカダフィが殺される2日前に、リビアの首都トリポリに自ら
乗り込んでいる。そして暗殺部隊と写真に収まっている証拠写真
がある。                  ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
─────────────────────────────
 カダフィー大佐が殺害されてから、クリス・スティーブンス大
使の周辺は危険が増していたのです。米国のベンガジ領事館は、
領事館としての最小限度の警備も設備も備えておらず、単なる派
出所に過ぎなかったからです。スティーブン大使は、何回もベン
ガジの警備体制を整えて欲しいとクリントン国務長官に申請した
のですが、クリントン国務長官は、なぜか、その申請のすべてを
却下したのです。    ──[孤立主義化する米国/090]

≪画像および関連情報≫
 ●カダフィーの真実/理想社会を創った英雄
  ───────────────────────────
  カダフィー大佐。
   2年前のリビア戦争で話題になった人です。最期は反政府
  軍らに殺害されます。「独裁者」とか「アラブの狂犬」とか
  悪の象徴であるかのような感じでしたね。確かに緊張みなぎ
  った強面ですし。腕っ節の強そうな剛毅な感じもします。
   40年以上も独裁者だった、とい言われていましたね。ま
  た武装もしていないリビア国民をも無差別に攻撃したとか。
  残虐非道で、悪魔のような人物。リビア国民は恐怖と圧政に
  強いられていたんだろうな、という感じでした。
   ですので、リビア戦争では、「民主主義万歳!」「反政府
  運動イケイケ!」という感慨をおそらく全世界の人達が持っ
  たでしょう。欧米メディアでは、カダフィー大佐を「悪者」
  として報道していましたし。無差別攻撃の映像が流れたり。
  そんな報道一色でした。これに対して「正義の味方」の「国
  連・NATO」といった感じでもあったりします。しかし、
  カダフィー大佐は、報道されていた人物とは真逆でした。
  「え!?」と想うかもしれません。最初知った時は、私も驚
  きました。カダフィーの本当の姿は、独裁者でも無ければ、
  狂犬でもありませんでした。なんとリビアの国民の全てを愛
  し、リビア国民の幸福の実現のために、本気で取り組んだ方
  だったのです。          http://bit.ly/1TCa8HJ
  ───────────────────────────

クリス・スティーブンス大使.jpg
クリス・スティーブンス大使
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2016年11月18日

●「なぜクリスティー氏は外されたか」(EJ第4404号)

 トランプ次期米大統領の政権移行チームがもめています。これ
はヒラリー・クリントン氏のメール問題にも影響が及ぶ可能性が
あるので、取り上げることにします。
 これについて、ブルームバークのサイトでは、次のように伝え
ています。
─────────────────────────────
 ドナルド・トランプ米次期大統領の政権移行チームでは、内紛
で新政権の人選が妨げられているようだ。その根拠の一つがトラ
ンプ氏の長女の夫、ジャレッド・クシュナー氏がクリスティー・
ニュージャージー州知事のグループを排除しようとしているとの
情報だ。
 こうした見方の背景となったのは、クリスティー氏が政権移行
チームの国家安全保障分野のリーダーに起用したマイク・ロジャ
ース元下院議員が11月15日、突然同チームを離れると表明し
たことだった。事情に詳しい2人の関係者が人事問題を理由に匿
名を条件に明らかにしたところによれば、議員時代に下院情報特
別委員長を務めていたロジャース氏の離脱はクリスティー氏とク
シュナー氏の摩擦による実質的な解任だという。クリスティー氏
は政権移行チームを率いていたが、11日に発表された新体制で
降格となり、新たなリーダーにはマイク・ペンス次期副大統領が
就いた。   ──2016年11月16日付、ブルームバーク
                   http://bit.ly/2fYdwk7
─────────────────────────────
 クリス・クリスティーニュージャージー知事といえば2016
年度米大統領選の予備選に立候補しながら、自分への支持が集ま
らないと見ると、早くからトランプ氏への支持を表明し、トラン
プ氏の選挙活動に付き添ってサポートしていた人物です。
 7月19日の共和党全国大会では、党大会の演説で、模擬裁判
を開廷し、クリントン候補の犯罪疑惑リストを読み上げて糾弾し
たことは既に述べた通りです。
 つまり、早くからトランプ氏有利とみて、トランプ氏勝利のさ
いは、人事などで、主導権を取ろうとしたフシがあります。そし
て実際にトランプ氏が勝つと、政権移行チームの委員長になると
思われていたのです。
 しかし、委員長になったのは、次期副大統領のマイク・ペンス
氏であり、クリスティー氏は副委員長にとどまったのです。この
ことが、クリスティー氏に近いマイク・ロジャース元下院議員の
政権移行チームからの離脱につながったとみられています。政権
移行チームは、明らかにクリスティー氏一派を外そうとしている
ことは確かです。
 なぜ、クリスティー氏は外されたのでしょうか。クリスティー
氏は、トランプ陣営に取って、今回の選挙の功労者の一人です。
クリスティー氏が外された理由について、11月17日付の朝日
新聞朝刊は次のように書いています。
─────────────────────────────
 米メディアによれば、移行チームの委員長から、ニュージャー
ジー州のクリス・クリスティー知事を外させたのは、クシュナー
氏(トランプ氏の長女イヴァンカ氏の夫)の意向とされる。かつ
てクリスティー氏が検事時代に、クシュナー氏の父を脱税や違法
政治献金などで起訴、刑務所暮らしを強いられたことへの意趣返
しとも報じられる。
 今回のロジャー氏の離脱も、クリスティー氏に近い人物だから
との説もささやかれる。首席補佐官にプリーバス氏を強く推した
のも、クシュナー氏とイヴァンカ氏だった。
        ──2016年11月17日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 クリス・クリスティー氏が副委員長にとどまった理由について
は別の見方があります。それは、10月にトランプ氏の女性蔑視
発言が報じられたときに、クリスティー氏はトランプ氏を擁護す
ることを拒否し、トランプ氏の不興を買ったのが原因であるとい
う説で、17日付の日本経済新聞が報じています。
 このように、クリスティー氏はニュージャージー連邦地検検事
正を務めていたことがあり、今回政権移行チームを離脱したマイ
ク・ロジャー氏も連邦捜査局(FBI)の特別捜査官や下院情報
特別委員長を歴任しているなど、クリントン氏のメール問題摘発
に深く関与している人物です。この2人が新政権の主流から外れ
つつあることは、クリントン氏のメール問題の今後の進展に影響
を与えるものと思われます。
 しかし、その一方において、クリスティー氏が司法長官になる
可能性はあります。何といってもクリスティー氏は早い段階でト
ランプ氏への支持を表明しており、トランプ政権誕生の功労者の
一人です。確かにクシュナー氏との確執はあったとしても、閣僚
になる可能性は残っています。そうなると、クリントン氏のメー
ル問題は真相解明に急速に動くと思われます。
 ヒラリー・クリントン氏の私的メール問題は、リビア・ベンガ
ジ事件に深く関与しており、副島隆彦氏や巷間いわれている噂が
本当であるとすれば、オバマ政権にも関わる国家犯罪ともいえる
ものであり、ヒラリー氏への訴追は不可避になります。共和党と
しても、あれほど選挙期間中に問題にし、アッピールし続けたク
リントン氏の私的メール問題を、選挙に勝利したからといって、
このまま放置することは許されないことです。
 次期トランプ政権は、ブッシュ(子)政権以来の共和党政権で
あり、議会も上下両院を共和党が制しています。この問題に決着
をつけるには絶好の環境にあります。コミーFBI長官が「問題
なし」としたクリントン氏への捜査を新しい体制によって、捜査
再開が行われるものと思われます。
 EJでは、これまでと同様に、今後のトランプ氏の政権づくり
の動きを注視しながら、副島隆彦氏の本などを参照して、クリン
トン氏のメール問題を追及していきます。
            ──[孤立主義化する米国/089]

≪画像および関連情報≫
 ●米政権移行チームが大混乱/2分で分かるアメリカ
  ───────────────────────────
   アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、政権始動に
  向けホワイトハウスの重要ポストや閣僚の人選を本格化して
  います。
   政権移行チームのリーダーを務めるのはマイク・ペンス次
  期副大統領。先週金曜日、ニュージャージー州のクリス・ク
  リスティーズ知事から代ったばかりです。チームには、トラ
  ンプ氏の長女であるイヴァンカさんをはじめとした家族、シ
  リコンバレーの投資家ピーター・ティール氏、弁護士で元ニ
  ューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏のほか、ワシン
  トンに拠点を置くシンクタンク、ヘリテージ財団の関係者が
  含まれています。
   こうした中、政権移行チームで安全保障問題を担当してい
  たマイク・ロジャーズ氏が15日、チームを抜けました。ロ
  ジャーズ氏は、下院の諜報委員会の元委員長で重鎮。また、
  ジュリアーニ氏は司法長官のポストを辞退しました。
   ニューヨーク・タイムズ紙は政権移行チームの作業が「遅
  れ」から「停止寸前」に変わりつつあると報じました。政権
  移行は通常、速やかに、計画的に進むものだが、スタート時
  点の遅れと不透明感がトランプ政権のスタートに影響する可
  能性があるとしています。     http://bit.ly/2f3pPuK
  ───────────────────────────

ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻.jpg
ジャレッド・クシュナー/イヴァンカ夫妻
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2016年11月17日

●「バノン氏が力を握るトランプ政権」(EJ4403号)

 来年1月に誕生するトランプ政権には権限が対等な次の2人の
補佐官が就任する模様です。
─────────────────────────────
       プリーバス大統領首席補佐官
       バノン首席戦略官・上級顧問
─────────────────────────────
 首席補佐官というのは閣僚級ポストで、大統領への面会や文書
の管理などのほか、ホワイトハウスの職員を監督・統括する官房
機能も担う役職で、日本の官房長官に匹敵します。共和党本部は
首相補佐官に誰が選ばれるのかについて、緊張感を持って見守っ
ていたのです。候補者として、プリーバス氏とバノン氏の2人が
候補に上がっていたからです。
 というのは、共和党で公職の最高位にあるライアン下院議長は
バノン氏との仲は最悪であるのに対し、プリーバス氏とは、同じ
ウィスコンシン州出身で、気心は通じている人物だからです。し
たがって、もし首席補佐官にバノン氏が就くと、共和党本部との
関係は最悪になり兼ねなかったからです。
 結果として首席補佐官にラインス・プリーバス氏が就き、参謀
役としてスティーブン・バノン氏が政権をサポートするという人
事配置になったのです。この人事について、ライアン議長と反ト
ランプの急先鋒であるグラハム上院議員は次のような歓迎のコメ
ントを出しています。
─────────────────────────────
 ◎ライアン下院議長
  わが友を誇りに思い、興奮している。
 ◎グラハム上院議員
  プリーバス氏を首席補佐官にした選択はすばらしい。統治に
  ついて真剣に考えていることを示すものだ。
        ──2016年11月15日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 しかし、トランプ氏は明らかにバノン氏に重点を置いているよ
うに見えます。トランプ氏は11月13日に発表した声明におい
て、バノン氏の名前を先に上げ、首席戦略官・大統領上級顧問に
指名しています。
 バノン氏は、トランプ氏がイラクで戦死したイスラム教徒の米
兵の遺族を中傷したことで支持率が急下落したときに、トランプ
陣営の最高責任者に就任した人物で、以後体制を立て直し、トラ
ンプ陣営を勝利に導いた立役者であり、トランプ氏から厚い信頼
を得ています。
 トランプ氏は、プリーバス氏に首席補佐官として、共和党本部
との橋渡しをする役割をさせ、バノン氏に大きな権限を与えると
思われるので、トランプ政権の政策にはバノン氏の意向が強く反
映される可能性があります。
 それでは、バノン氏とはどういう人物なのでしょうか。朝日新
聞は次のように紹介しています。
─────────────────────────────
 バノン氏は、以前は最右派系ニュースサイト「プライバート・
ニュース」の会長だった。このサイトは「反エスタブリッシュメ
ント(既得権層)」が特徴で、2007年設立以来、既存の政治
やメディアを批判的に扱うことで存在感を伸ばしてきた。しばし
ば信頼性の低い、陰謀史観的な「ニュース」を掲載。白人至上主
義や反イスラム、反ユダヤなど人種差別的論調を牽引してきたこ
とでも知られる。
 サイトでは、トランプ不支持を打ち出した保守派の論客ビル・
クリストル氏を「裏切り者のユダヤ人」などと人種差別的な表現
で批判。共和党主流派を敵視することでも有名で、以前はティー
パーティー(茶会)を支持。最近も「我々に必要なのは、共和党
に平手打ちを食らわせてやることだ」などと、発言し、主流派内
にも懸念が広がっていた。
        ──2016年11月15日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 これによると、選挙中のトランプ氏の言動の源泉がこのバノン
氏であることがよくわかります。バノン氏は、米海軍やゴールド
マン・サックス勤務の経験もあり、さまざまなルートから、多く
の情報を収集しています。クリントン氏の私的メールの内容につ
いても、そのルートから多くの情報を収集し、選挙戦に有利にな
るよう展開してきています。そういう意味で、バノン氏は「米国
の最も危険な政治職人」と呼ばれているのです。
 選挙中にトランプ氏が発言したいわゆる「暴言」といわれるも
のは多いですが、なかでも「イスラム国(IS)はオバマ大統領
とクリントンが創設者である」というのは、まさに決定打という
べき発言といえます。しかし、これは必ずしも暴言とはいえない
のです。イスラム国が組織として結成された経緯を考えると、も
ともとシリア政府に対抗する反政府軍のひとつなのです。
 米国はイスラム国に対して空爆を行っていますが、その戦い方
は非常に不可解です。米軍のイスラム国への空爆は、その多くが
爆撃しないで戻ってきているからです。2015年1月〜3月で
米爆撃機は7319回出撃していますが、空爆を実行したのは、
1859回しかないのです。とても米国が本気でイスラム国の制
圧をしようと努力しているとは思えないのです。やはり、米国は
イスラム国の創設に関わっているのでしょうか。
 これについては、EJの前回のテーマ「現在は陰謀論の時代」
の次の部分を参照していただきたいと思います。
─────────────────────────────
 2016年 6月 1日/EJ第4288号〜
            http://bit.ly/1P2nbRA
        2016年 6月21日/EJ第4302号
                  http://bit.ly/28K3Qcg
─────────────────────────────
            ──[孤立主義化する米国/088]

≪画像および関連情報≫
 ●わざとイスラム国に負ける米軍/MAG2 NEWS
  ───────────────────────────
   数的優位な有志連合軍が「イスラム国」(ISIS)にイラ
  クの戦略的要衝ラマディを奪われるなど、不可解とも取れる
  戦況が続く中東情勢。しかし国際情勢解説者の田中宇さんの
  無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』はこの状況につ
  いて、決して不可解ではなく、米軍がわざとISISに負け
  ているだけだと断言します。
   2015年5月17日、米軍が指導するイラク政府軍の約
  1万人の部隊が、イラク中部のスンニ派の都市ラマディで、
  自分らの10分の1しかいない1000人程度の過激派テロ
  組織「イスラム国」(ISIS)と戦って敗北、敗走し、ラマ
  ディはISISの手に落ちた。米国とイラクにとって、昨年
  6月のモスル陥落以来の大敗北だ。イラク軍は装甲車大砲な
  ど大量の兵器を置いて敗走し、それらの兵器はすべてISI
  Sのものになった。ラマディは、首都バグダッドから130
  キロしか離れていない。東進を続けるISISは、イラクを
  危機に陥れている。敗北時、イラク軍には世界最強の米軍が
  ついていた。米軍は制空権を握り、戦闘機でいくらでもIS
  ISを空爆できた。しかし、地上で激戦のさなかの空爆は4
  回しか行われず、それも市街の周辺部を小規模に空爆しただ
  けだった。            http://bit.ly/1U7zLGF
  ───────────────────────────

スティーブン・バノン氏.jpg
スティーブン・バノン氏
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2016年11月16日

●「ヒラリーメールは何を意味するか」(EJ第4402号)

 なぜ、大方の予想に反して、ドナルド・トランプ氏が大統領に
決まったのでしょうか。それは、共和党を含むトランプ陣営が対
抗相手であるヒラリー・クリントン氏の私的メール問題を手を替
え品を替え攻撃したからです。なぜなら、この私的メール問題が
リビア・ベンガジ事件に深く関わっているからです。
 トランプ陣営と共和党本部は、トランプ氏の数々の暴言によっ
て不仲になっていたはずです。しかし、そのウラではきちんと連
携して動いていたと思われます。確かに共和党はFBIに対して
クリントン氏にFBIが行った7月2日の尋問資料(供述調書)
の全面公開を求めたり、クリントン氏を訴追しない方針を決めた
コーミーFBI長官を批判しています。
 また、共和党は、選挙期間中にクリントン候補に対して行われ
るインテリジェント・ブリーフィングを実施しないよう要求した
りしているのです。インテリジェント・ブリーフィングとは、大
統領候補者に対して、国家情報長官室やCIAから行われる国家
機密の開示のことです。共和党としては、私的メールの内容いか
んによっては逮捕・訴追されるかもしれないクリントン氏に国家
機密を話すのは問題であるという考え方です。
 逆に民主党としては、ロシアのプーチン大統領に親近感を示す
トランプ氏に国家機密を明かすことへの懸念を表明しています。
8月5日付、産経ニュースは、インテリジェント・ブリーフィン
グについて次のように述べています。
─────────────────────────────
【ワシントン=加納宏幸】米共和党の不動産王トランプ氏、民主
党のクリントン前国務長官が大統領候補として国家情報長官室や
中央情報局(CIA)から国際情勢の説明を受ける「インテリジ
ェンス・ブリーフィング」(情報説明)が近く始まる。テーマは
「イスラム国」(IS)やロシア情勢などだ。来年1月の就任後
すぐに米軍最高司令官を務めるための準備だが、両候補に機密情
報を伝えることへの慎重論も出ている。
 オバマ大統領は4日の記者会見で、「(野党の)共和党であれ
候補になれば、大統領の職をゼロから始めることのないよう安全
保障に関する説明を受ける必要がある」と述べた。一方で情報機
関から受けた説明を外に漏らすことのないようクギを刺した。ト
ランプ氏が念頭にあるとみられる。
 トランプ、クリントン両氏に対して情報説明を始めることには
民主、共和両党から、情報漏洩(ろうえい)を懸念する意見が出
ている。CIA長官を務めたパネッタ元国防長官ら民主党有力者
は、トランプ氏がロシア政府に対して、クリントン氏のメールを
ハッキングするよう求めた発言を問題視。リード上院院内総務は
情報機関に対し、「トランプ氏は危険人物なので、(機密情報に
ついて)何も言わず偽の情報説明をすればいい」と求めている。
          ──2016年8月5日付、産経ニュース
                   http://bit.ly/2fTUFIF
─────────────────────────────
 上記の産経ニュースの記事のなかで「トランプ氏がロシア政府
に対して、クリントン氏のメールをハッキングするよう求めた発
言」はきわめて重要です。これは何らかの事情でトランプ陣営は
メールの内容の一部を把握しており、それに基づいてトランプ氏
は演説などで繰り返し発言しているとみられます。
 トランプ氏は、FBIや司法当局がメールに重大な内容が書か
れていたとしても、国家機密ということで公開しないことが考え
られるので、ロシアに働きかけて、メールの内容を公開してくれ
と要請しているのです。ロシアには、ウィキリークスのジュリア
ン・アサンジ氏がいるからです。
─────────────────────────────
 ロシアよ。私の演説を聞いていたら、ヒラリーが勝手に(証拠
隠滅)削除した3・3万通のメールを見つけ出してくれ。
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 しかし、クリントン氏を支持するオバマ政権では、これらの発
言は「暴言」として、問題視しないで無視しています。しかし、
クリントン氏の私的メール問題をフォローしていくと、単なる暴
言とはいえなくなってきているのです。
 8月10日になってトランプ氏は、「IS/イスラム国」の創
設者はオバマ大統領であり、クリントン前国務長官は共同創設者
であるとするとんでもない発言を行っています。まさに暴言の類
いですが、これとても単なる暴言とはいえない真実味を帯びてい
るのです。
─────────────────────────────
 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が8月
11日のフロリダ州での集会で、過激派組織「イスラム国」(I
S)について「オバマ大統領に敬意を払っている。彼がISの創
設者だからだ。共同創設者は、ひねくれクリントンだ」と語る場
面があった。
 トランプ氏は最近の世論調査で、民主党候補ヒラリー・クリン
トン前国務長官(68)に大きくリードを許している。トランプ
氏の発言はオバマ氏とクリントン氏の失策がISの台頭を招いた
と訴える趣旨とみられるが、再び暴言と受け止められ、物議を醸
す恐れもある。    ──2016年8月11日付、時事通信
                 ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 「オバマ大統領とクリントン氏がイスラム国(IS)を創設し
た」というのは、いかにも根拠のない暴言のように聞こえますが
EJでも前回テーマで取り上げたように、そうとはいえないので
す。これはベンガジ事件と深い関係があり、クリントン氏の私的
メール問題とも無関係ではないのです。
            ──[孤立主義化する米国/087]

≪画像および関連情報≫
 ●ヒラリーが土壇場で大苦戦する「3つの理由」/東洋経済OL
  ───────────────────────────
   いよいよ、11月8日のアメリカ大統領選挙まであとわず
  かとなった。10月分の雇用統計も発表され、民主党のヒラ
  リー・クリントン候補を応援する主要メディアは、堅調な雇
  用の数字はオバマ政権の成果であり、民主党の政策は正しか
  ったと国民に訴えている。
   ところが、そのヒラリーの勝利を前提にしていた米国の株
  式市場は、S&P500が4日で9営業日連続の下落となっ
  た。これは1980年以来初めての現象だ。これに対する一
  般的な解説は、10月28日の金曜日、突如出たFBI(米
  連邦捜査局)によるヒラリーのメール問題の再調査で、ヒラ
  リーの勝利が「確定」から「不安」になったということであ
  る。だが筆者にはその前から、大統領がどちらになっても株
  はいったん下がることを織り込み始めていたように見える。
  一例は、日本で恐怖指数といわれるVIX指数の先物の残高
  と、それを対象とするETF(上場投資信託)・ETN(指
  標連動証券)の派生商品の値動きに乖離が生じていたことで
  ある。VIX先物の買いがどんどんたまっているのに、VI
  XのETF・ETNの価格は、それほどは変動しなかった。
  これは大地震の前、プレートへじわじわと圧力がかかるって
  いるのに、限界を迎えるまで地上では危険を感じない状態に
  似ている。            http://bit.ly/2fT5r3I
  ───────────────────────────

次期米大統領ドナルド・トランプ氏.jpg
次期米大統領ドナルド・トランプ氏
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2016年11月15日

●「メール問題はこのままにできない」(EJ第4401号)

 「反トランプ」デモが止まらない。選挙から4日経つのに拡大
するばかりです。クリントン候補に60%以上の州民が投票した
というカルフォルニア州では、アメリカ合衆国からの離脱・独立
の動きがはじまっています。これを英国離脱の「Brexit」にちな
んで「Calexit」 を呼んでいます。
 米国では、南部11州が奴隷制度廃止に反対し、1860年代
に連邦を離脱し、「アメリカ南部連合」を結成したことがありま
したが、合衆国からの離脱の動きはそれ以来のことです。それほ
どトランプ大統領の誕生は米国にとって大衝撃なのです。
 今回のトランプ氏の選挙戦の戦いを見ていると、共和党とトラ
ンプ氏の「デキレース」ではなかったかと思われます。共和党と
しては、予備選のトランプ氏の戦いを見ていて、共和党としては
トランプ氏には予備選のように自由に選挙戦を戦わせ、ときにト
ランプ氏の発言をめぐって党本部と対立することはあっても、党
本部としては、ひたすらクリントン氏の最大の弱点である「私用
メール問題」を徹底的に追及する高等戦略をとったのではないか
と思われます。見事な役割分担が功を奏したのです。
 それを象徴するように、トランプ氏は勝利宣言では、選挙戦と
は一変してまともな発言をし、対立していたライアン下院議長と
会うとともに、政権移行チームのトップに副大統領になるペンス
氏を据えて、共和党本部の支えを得ながら、新政権づくりを進め
ようとしています。11月13日の朝日新聞は、その模様をトッ
プ記事に掲げています。
─────────────────────────────
◎政権移行 共和党頼み
 米国のトランプ次期大統領が11日、政権移行チームの陣容を
刷新した。来年1月の政権発足に向け、閣僚など膨大な政治任用
ポストを埋めるには準備不足は否めず、ワシントンでの政治経験
の長いペンス次期副大統領を執行委員長に充てた。選挙期間中は
対立してきた共和党の支えも得ながら人選し、新政権づくりを進
めたい考えとみられる。    ──2016年11月11日付
                       朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 ところで、クリントン氏の私用メール問題は今後どうなるので
しょうか。
 これは、単なる選挙用の攻撃材料としては終わらないと考えら
れます。しかし、真相が明らかになると、米国の国益にも深く関
わる事件であるので、捜査は継続されるものの、本当のところは
どうだったのかはわからないままになる可能性があります。そし
て、陰謀論的なかたちでいい伝えられると思います。
 しかし、副島隆彦氏の本では、メール問題について衝撃的な真
相が明らかにされています。EJでは、副島氏の本を手掛かりと
して、ネットの情報も加えて真相に迫るつもりです。
 ヒラリー・クリントン氏が国務長官に就任したのは、2009
年1月21日のことです。就任直前の1月13日、クリントン氏
は国務省には内緒で自宅の地下にある個人サーバーで、マイクロ
ソフト社と契約し、次のアカウントを登録しています。それまで
の上院議員時代には別のメールアドレスを使っていたのです。
─────────────────────────────
  Clintonemail.com /プロバイダー=マイクロソフト社
─────────────────────────────
 クリントン氏は、2009年3月18日から、上院議員時代の
メールアドレスを使うことをやめ、自宅地下の個人サーバーのア
カウントを使いはじめたのです。そして、上院議員時代のすべて
のメールを削除し、復元しないようにしています。このような私
用メールは政府の閣僚が絶対にやってはならないことです。
 米国では、閣僚は私用のメールアドレスを使って公務をするこ
とは許されず、国家機密が厳重に保護されている国務省のアカウ
ントを使うことになっています。これは携帯電話でも同様であり
閣僚になると、たとえ私的な会話であっても、外部に流出すると
問題になるので、セキュリティが万全の特殊な携帯電話を使うこ
とになっています。
 2012年9月11日、エジプトやリビアなどアラブ諸国のア
メリカ在外公館が次々と襲撃されたのです。これによって、在リ
ビア・アメリカ領事館のクリストファー・スティーブンス駐リビ
ア大使ら4人が殺害されたのです。これがリビア・ベンガジ事件
といわれる事件です。死亡したスティーブンス大使は、ヒラリー
・クリントン氏の忠実な部下の一人だった人物です。
 ところがこの事件に不審を抱いた民間団体があるのです。ジュ
ディシャル・ウォッチという行政を監視する民間団体です。この
民間団体によって新事実が次々と暴かれるのです。その新事実と
は、次のようなことです。
─────────────────────────────
 2012年9月11日にベンガジの米領事館と中央情報局(C
IA)の活動拠点がテロリストに襲撃された数日後にホワイトハ
ウスが送信した電子メールで、新たな事実が発覚した。これらの
メールは昨年、事件への対応と事後処理に関するすべての文書だ
とオバマ政権が主張した資料には含まれていなかった。保守系の
監視団体ジュディシャル・ウォッチによる情報公開請求を受けて
4月29日に公表されたこのメールを見ると、オバマ政権がなぜ
メールを隠そうとしたのかが分かる。
                 http://on.wsj.com/2f4Rtbf
─────────────────────────────
 この事件がどうして起きたのかについて、オバマ政権は、ユー
チューブに投稿された不明瞭な反イスラム動画に対する自然発生
的な抗議行動が原因であるとし、自らの関わりを一貫として否定
したのです。このときは、クリントンのメール問題は何も表には
出ていないのです。それが明らかになるのは、2013年3月3
日のことです。あるハッカーによるハッキングがきっかけで判明
したのです。      ──[孤立主義化する米国/086]

≪画像および関連情報≫
 ●「ベンガジ疑惑」を乗り越えたヒラリ−と暴言トランプ
  ───────────────────────────
   ヒラリー・クリントンに対して共和党は「ベンガジ事件」
  に関する疑惑を執拗に追及しています。この事件は2012
  年9月11日にリビアのベンガジにあったアメリカ領事館で
  クリストファー・スティーブンス駐リビア大使ら国務省およ
  びCIAの職員4人が、重武装をした勢力の攻撃を受けて殺
  害されたものです。
   この事件に関して共和党は、発生直後から事件当時国務長
  官として在外公館の安全確保に責任を負っていたヒラリーに
  「過失」があったのではないかという追及を続けています。
  重要なドラマとしては、まず2013年1月には「上下両院
  合同の調査委員会」が開催され、ジョン・マケイン上院議員
  (共和)などが代わる代わるヒラリーを追及したのです。
   その13年の喚問では、感情的にふるまって悪印象を与え
  たヒラリーですが、2015年10月にあらためて下院調査
  委員会に証人として召喚された時には、慎重に言葉を選びつ
  つ堂々と受け答えをしており、11時間におよぶロングラン
  の喚問を「破綻なく」乗り切りました。ですが、共和党の追
  及はこれで完全に止むことはありませんでした。その追及で
  は、まず「当時ベンガジで起こりつつあった武装勢力の攻撃
  について、アメリカで発生した『ムハンマド侮辱ビデオ』に
  反対する平和的なデモと同様だと誤認したこと」が、結果的
  に大使の死につながったのではという疑惑、そして「その疑
  惑に関してモミ消しを図ったのではないか?」という疑惑の
  2点が焦点になっています。    http://bit.ly/29avNdY
  ───────────────────────────

ベンガジ米領事館襲撃事件.png
ベンガジ米領事館襲撃事件
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2016年11月14日

●「ヒラリーメール疑惑捜査再開必至」(EJ第4400号)

 米大統領選挙中、共和党のトランプ陣営は、トランプ氏の価値
に言及するよりもひたすらクリントン候補の欠点を痛烈に批判す
ることに重点を置いたのです。それは、このさい何が何でも政権
を民主党から取り戻す共和党の戦略だったといえます。
 予備選においてトランプ氏は、当初泡沫候補の扱いをされてい
ましたが、意外にも予備選を勝ち抜いて、共和党の大統領候補の
資格を勝ち取っています。しかし、その時点でもトランプ陣営は
政治経験と知名度抜群のヒラリー・クリントン候補に勝てるとは
到底思えないほど劣勢だったのです。トランプ陣営にとって、ク
リントン氏はそれほど強大な候補であったといえます。
 したがって、トランプ陣営は、政策で争ったら到底勝てないの
で、相手の欠点を徹底的に衝く戦略をとったのです。その最大の
焦点はクリントン氏のメール問題です。トランプ陣営はこの問題
を徹底的に調べ上げ、そのウラに恐るべき事実があるのことを把
握します。そして、選挙期間中にひたすらこの事実を支持者に訴
えて、勝利を勝ち取る選挙戦を展開します。
 それは、2016年7月18日〜21日の4日間にわたる共和
党全国大会で、はっきりと示されていたのです。今回の大統領選
では、日本の各種メディアは、大勢の記者を米国に派遣し、現地
で取材していたはずですが、なぜか、共和党全国大会の2日目以
降を報道していないのです。
 大会2日目のクリス・クリスティーニュージャージィー州知事
の演じたクリントン模擬弾劾裁判については、前号でお知らせし
ましたが、実はそれだけではないのです。大会3日目に、著名な
ラジオ・パーソナリティのローラ・イングラハム女史のきわめて
激しいヒラリー糾弾演説が行われているからです。
 これは、全米では報道されたものの、日本のメディアはクリン
トン氏に遠慮してか、まったく報道されていないのです。日本の
メディアは、アタマからクリントン氏の勝利を信じ切っていたの
か、メール問題もきちんと報道されているとはいえません。
 ローラ・イングラハム女史の演説は、クリントン氏のメール問
題の真実を真剣に報道しようとしない米国のメディアに激しく怒
りが向けられています。
─────────────────────────────
 ハイ、ハニー。ハイ、マイ・フレンズ。(この党大会の会場の
一番上の階にいるアメリカのメディア報道陣に向って)お前たち
が、一番腐敗しているんだ。お前たちがこの国で最悪なんだ。お
前たちが、真実を報道しないで、ウソばかり報じている。お前た
ちが、一番責任がある。      ──副島隆彦著/光文社刊
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
─────────────────────────────
 誠に激しいローラ・イングラハム女史の演説ですが、日本のメ
ディアに対してもそっくりそのままいえることです。添付ファイ
ルの写真を見ていただくとわかるように、ローラ・イングラハム
女史は、とてもかっこいいです。日本のラジオ・パーソナリティ
やテレビのコメンテーターとは随分違います。副島隆彦氏は、日
本のメディアを次のようにこてんぱんに糾弾しています。
─────────────────────────────
 私は日本のメディアに向かって、ローラ・イングラハムに倣っ
て、「お前たちが、一番、悪いんだ。最悪の人間どもだ。いくら
安倍政権というヒラリー派、ネオコン派に属する、権力独占体に
睨まれるのが恐いからといって、それで、これほどの偏向報道を
続けていいのか。恥を知れ!」と、私も、最大級の声で怒りを表
明する。            ──副島隆彦著の前掲書より
─────────────────────────────
 いま振り返ってみると、共和党全国大会以後も共和党はクリン
トン氏のメール問題に関して、いろいろな働きかけを行っていま
す。この共和党の揺さぶりと、その後のFBIの捜査の再開など
の対応は無関係ではありません。
 共和党全国大会の行われた2週間ほど前の7月5日に、コミー
FBI長官は、ヒラリー氏のメール問題について「国家機密文書
の取扱に関して極めて不注意であったが、刑事起訴する問題では
ない」と発表し、同じ日にリンチ米司法長官はヒラリー氏を「起
訴しない」と決定し、共和党員を激怒させていたのです。
 そのときクリントン氏はまだ正式に民主党の大統領候補には決
定していませんでしたが、FBIや司法当局が、まるでクリント
ン氏の出陣の前の露払いをしているように見えたからです。だか
ら、共和党全国大会が盛り上がったのです。通常であれば、最後
の日に登場するトランプ氏が初日に登場したのも、クリントン氏
糾弾の演出を効果的にするためであったと考えられます。
 ところで、日本のメディアではあまり大きく取り上げられてい
ませんが、9月3日になって、突然FBIが「ヒラリーへの捜査
記録」を公開したのです。これも共和党側からの強い要請に基づ
くものです、それが共和党の選挙戦術だったからです。
 この「ヒラリーへの捜査記録」は、全58ページ中14ページ
はすべてブランクだったのです。日本流にいうと「海苔弁」とい
うわけです。これは、国家機密であって、クリントン氏が国家機
密をセキュリティの甘い自分のサーバーを使って発信していたこ
とを意味します。問題はその内容が何であるのかは公開できませ
んが、外に出せない内容ということになります。
 こういう状況のもとで、10月に入ってさらに新しいクリント
ン氏のメールが発見されたので、FBIコミー長官しては公開せ
ざるを得なかったと考えられます。
 ところが再捜査を公表したところ、今度はクリントン陣営から
はもとより、オバマ大統領自身からもFBIに対してクレームが
来たのです。これらの共和党とオバマ大統領の批判のせいか、コ
ミー長官はまたしても「訴追せず」と火消しを行っています。こ
ういう状況ですから、トランプ政権になると、この問題は、必ず
再々捜査が行われることは必至です。
            ──[孤立主義化する米国/085]

≪画像および関連情報≫
 ●共和党全国大会、有名女性キャスターがナチス敬礼
  ───────────────────────────
   ドナルド・トランプ氏が共和党大統領候補に指名された共
  和党全国大会で21日、トランプ氏の応援演説に駆け付けた
  保守系の女性有名ラジオキャスターのローラ・イングラハム
  さんが演説の後半でトランプ氏に対して右手をピンと張り上
  げる格好のナチス式敬礼を行った。
   共和党全国大会の模様はTVを通じて全米に生中継されて
  いたこともあり、保守系の女性有名ラジオキャスターがトラ
  ンプ氏に対してナチ式敬礼を行ったことは、疑問と同時に波
  紋を呼ぶところともなっている。
   イングラハムさんは、自分がナチス式敬礼を行ってしまっ
  たことに気付くと、直ぐに、手を折り曲げて拍手喝采に応え
  るかのような動作をすることで、自分の動作を隠してしまっ
  たが、イングラハムさんが行った身振りは明らかにナチス式
  敬礼そのもので、一体、なぜ、女性有名ラジオキャスターが
  こうした行動をとったのか、様々な憶測が飛び交っている。
   トランプ氏はその言動からこれまで度々、ヒトラーに例え
  られてきたが、イングラハムさんは熱狂的なトランプ氏支持
  派ということもあり、トランプ氏を批判する意味で、トラン
  プ氏に対してナチ式敬礼を行ったわけではないことだけは確
  かだ。              http://bit.ly/2ftaZ1W
  ───────────────────────────

ローラ・イングラハム氏.jpg
ローラ・イングラハム氏
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2016年11月11日

●「トランプの勝利を予言した評論家」(EJ第4399号)

 大方の予想を裏切って、誰もが予想していなかったドナルド・
トランプ氏が第45代大統領になることが決まったのです。英国
のEU離脱に続く衝撃的なニュースです。
 それにしても、勝利会見のトランプ氏が一転してまともだった
ので、1000円下落した日経平均が下落分を取り戻し、10日
午前10時現在、1万7千円台を取り戻しています。しかし、ト
ランプ氏はそれほど甘い人間ではありません。選挙中に公約した
ことは、全部ではないにせよ、実現を図ろうとするはずです。
 ところで、既にこのテーマのEJの読者にはお知らせしている
ように、トランプ大統領の実現を今年の5月の段階で公言してい
た人がいます。評論家の副島隆彦氏です。8月18日付、EJ第
4342号のその部分を再現します。
─────────────────────────────
 2016年5月3日、共和党のインディアナ州予備選でトラン
プが勝った。当日、競争者のテッド・クルーズ候補(テキサス州
上院議員)が選挙戦から撤退した。これで、トランプの勝ちが決
まった。
 このあと5月12日にトランプは、アメリカの共和党の実力者
で下院議長のポール・ライアン(若い。46歳)と話をつけた。
これでトランプは共和党の大統領候補指名を確実にした。ポール
・ライアンと何を話したか。「私たちの間には今もいくつかの相
違点がある。しかし、大きいところでは意思一致(合意)」でき
た」と互いに承認し合った。これは「トランプ=ライアン・ステ
ートメント(宣言)」と呼ばれるべきものだ。共和党本部がトラ
ンプに折れたのだ。
 どうやら、ここでドナルド・トランプが、次のアメリカ大統領
になる流れが生まれた。そして私は5月22日に「トランプが大
統領になる」と決断した。自分なりに10日間真剣に考え込んだ
あとでの結論だった。            ──副島隆彦著
      『トランプ大統領とアメリカの真実』/日本文芸社
                   http://bit.ly/2b0mMYc
─────────────────────────────
 これは大胆な予言です。もし、外れれば著名な評論家の名声に
も傷がつくことにも考えられます。しかし、本選が始まるとトラ
ンプ氏の暴言やスキャンダルもあって、一貫してメディアの世論
調査では、クリントン氏のリードが続いたのです。
 さらに、両候補による3回のテレビ討論を経て、さらにクリン
トン氏が有利に選挙戦を進め、「ヒラリー圧勝」が伝えられても
副島氏はひるまず、10月になると『ヒラリーを逮捕、投獄せよ
/Lock Her Up』(光文社) という本を上梓して、オクトーバー
・サプライズとしてクリントンは沈むと主張したのです。この本
の第1章の冒頭には次のように書かれています。
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 世界は大きな変動期に入っている。いま起きつつある事態を、
先へ先へと私は予測、予言してゆく。まず、アメリカ国民の怒り
を、テレビ番組の司会者やコメンテイターたちの、怒鳴り声での
ヒラリー糾弾の様子を知ってほしい。「ロック・ハー・アップ」
「ヒラリーを捕まえろ、牢屋に入れろ」のアメリカ全土を揺るが
しているアメリカ国民の叫び声が現にあるのだ。
 トランプ支持者たちは、全米のどこの会場でも、毎日、「ヒラ
リーを逮捕せよ、投獄せよ」と怒号している。これは国民政党で
ある共和党の多数意見だ。今やアメリカ国民の多数意見だ。それ
が「ロック・ハー・アップ!ロック・ハー・アップ!」は、「ヒ
ラリーを逮捕せよ、投獄せよ」の大合唱である。それなのに日本
国民はこの事実をほとんど知られていない。  ──副島隆彦著
    『ヒラリーを逮捕、投獄せよ/ロック・ハー・アップ』
                         光文社刊
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 いくらなんでも「ロック・ハー・アップ!」は激し過ぎると思
うかもしれませんが、実はトランプ氏の集会では、支持者からこ
の叫び声は、何回も何回も繰り返されていたのです。
 トランプ氏が正式に共和党の大統領候補の指名を受けた共和党
全国大会は、2016年7月18日〜21日にわたって、オハイ
オ州クリーブランドのクイッケン・ローンズ・アリーナで開催さ
れ、その初日の模様は日本でもテレビで報道されましたが、大会
の2日目に起きたことは報道されていません。何が起きたかにつ
いて、副島氏の本から引用します。
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 ・・・大会2日目、予備選から撤退したニュージャージー州知
事のクリス・クリスティーが登壇した。彼はトランプへの支持も
そこそこに、民主党の指名獲得を確実にしているヒラリー・クリ
ントンを糾弾した。国務長官時代の私用メール問題について「模
擬裁判」を始めた。会場から「有罪!」「牢屋にぶち込め!」と
声が上がった。
 ・・・同じ日、ニューハンプシャー州下院議員のアル・バルダ
サロがラジオ番組に出演した。大使ら4人が死亡した2012年
のリビア米領事館襲撃事件(=ベンガジ事件)について、当時国
務長官だったクリントンは「国家反逆罪で銃殺されるべきだ」と
言い放った。          ──副島隆彦著の前掲書より
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 「私用メール問題」といっても多くの日本人は、ことのいきさ
つを知らないから、確かにルール違反ではあるが、そんなに悪い
ことではないのではないかと思う人が多いと思います。
 日本では閣僚クラスの政治家でも平気で私用のスマホを使って
電話したり、メールを送受信しています。安倍首相もドコモの携
帯電話で電話し、タブレットを使い、LINEでスタンプまで送
っています。だから、国務長官が私用メールを使うことをそんな
に深刻な犯罪だとは思っていないのです。しかし、クリントン氏
の私用メール問題は、ベンガジ事件に関連しており、きわめて深
刻なのです。      ──[孤立主義化する米国/084]

≪画像および関連情報≫
 ●クリントン攻撃に終始した共和党全国大会
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   ドナルド・トランプの公式指名は最終日の木曜日になると
  予測されていたが、大多数の代議員はトランプに投票したた
  め、昨日の大会の初めに突然、指名を獲得したことが公表さ
  れた。今日三日目を迎えた大会は、トランプとの党内統合及
  び政策について語ることより、クリントンを攻撃することで
  共通の目的を見出したようである。ニュージャージー州知事
  のクリス・クリスティは一連の度重なる不運により、主に苛
  立ちからヒラリー・クリントンを攻撃し始めた。クリスティ
  はトランプにオバマ大統領に任命された全ての閣僚を解雇す
  ることを容易にする法律改正を提案したと伝えた。
   トランプは最初の副大統領の選択として、オハイオ州知事
  のジョン・ケイシックを希望していたが拒絶されたため、残
  されたショート・リストから社会保守派のインディアナ州知
  事マイク・ペンスを選択する結果になった。指名を公表する
  数日前、イバンカを含むトランプの子供達はペンスに会い彼
  を承認したようである。トランプとペンスは多数の政策にお
  いて著しい違いがあるため、両氏の間には既にぎこちない雰
  囲気があるが、ペンスを選択したことで、指名に必要な12
  37を無理なく獲得し、19日トランプは共和党大統領候補
  者として正式に指名を受けた。中絶や同性結婚に反対する強
  力な社会保守派の代議員らは、そのような課題で立場が頻繁
  に変わるトランプを信用していなかったため宗教を最も重視
  すると宣言し、社会政策で極右派であるペンスを副大統領に
  選択したことが著しく効果的であったようだ。
                   http://bit.ly/2fEKCqN
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クリス・クリスティー知事.jpg
クリス・クリスティー知事
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 孤立主義化する米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする